今晩(2017年4月7日)配信した「メルマガ金原No.2775」を転載します。

共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.8~三重県議会、宮崎県議会が「慎重な検討を求める意見書」を採択

 共謀罪シリーズの第18回をお送りします。
 3月21日に閣議決定され、その日のうちに国会に上程された共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)が、昨日(4月6日)、いよいよ衆議院本会議で審議入りしました。
 今日は、その関連のニュース、動画の他、同じく昨日(4月6日)日比谷野外音楽堂で行われた「話し合うことが罪になる共謀罪法案の廃案を求める4・6大集会&デモ」の動画をご紹介しました。
 そして、声明の部では、宮崎県議会が3月22日に採択した「テロ等準備罪」の新設について慎重な検討を求める意見書」をご紹介しました。自民党が優に過半数を超える議席を有する地方議会において、いかにして「慎重な検討を求める意見書」が採択(それも全会一致!)されるに至ったのか、その間の事情は詳らかにしませんが、いずれにせよ注目したいと思います。
 
【その1 ニュースの部】
東京新聞 2017年4月7日 朝刊
「共謀罪」審議入り 首相「テロ対策」前面 野党「市民も処罰の恐れ」

(抜粋引用開始)
 犯罪に合意したことを処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案は六日、衆院本会
議で審議入りした。安倍晋三首相は「東京五輪・パラリンピックを控え、テロ対策に万全を期すことは開催国の責務」などと共謀罪の必要性を強調。野党は「テロ対策は口実」「憲法が保障する思想・良心の自
由などを侵害する」「一般市民も処罰の可能性がある」などと追及した。(山田祐一郎、木谷孝洋)
 共謀罪は組織的犯罪集団の活動として、二人以上で犯罪を計画(合意)し、誰か一人が何らかの準備行
為をした場合、全員が処罰される。自民、民進、公明、共産、日本維新の会の五党が質疑に立った。
 心の中で考えたことが処罰されるとの指摘について首相は「内心を処罰するものでない」と繰り返し、
その根拠として、合意だけでなく準備行為がなければ処罰できないことを挙げた。
 しかし、処罰対象は犯罪の手前の段階の「合意」であり、捜査では外側から分からない心の中を調べることになる。また準備行為は、資金や物品の手配、下見と、曖昧で危険性がない行為であり、捜査機関の
判断次第でどんな行為も準備行為とみなされ、捜査につながる恐れがある。
 公明党の国重徹氏が「市民団体が座り込みを計画しただけで組織的犯罪集団に当たるのか」と指摘すると、金田勝年法相は「目的が重大な犯罪の実行にあるとは考えられず、対象になることはない」と答えた。だが、普通の団体でも目的が犯罪の実行に変わったとみなされれば、組織的犯罪集団に認定される可能
性がある。目的が変わったかどうかを判断するのは捜査機関になる。
 政府は今回、共謀罪を「テロ等準備罪」と呼び、テロ対策を前面に押し出す。民進党の逢坂誠二氏は「テロ対策を口実にして法案の成立を画策するのは姑息(こそく)な手口だ」と批判。これに対し、首相は
「テロ対策に『これで十分』ということはない。できる対策は全て尽くす」と説明した。
(略)
 本紙は、組織犯罪処罰法改正案の審議で注目する三つのテーマと九つの論点を設定しました。今後、政
府・与党と野党がどのような議論を交わすのか。継続的にチェックしていきます。
(金原注)東京新聞が設定した「三つのテーマと九つの論点」は以下のとおりです。
「心の中」の処罰(違憲の恐れ)
①計画段階の捜査で人権侵害の恐れ
②何が「合意」に当たるのか
③何が「準備行為」に当たるのか
一般人の処罰
④何が「組織的犯罪集団」に当たるのか
⑤冤罪、誤認逮捕の恐れ
「テロ対策」なのか
⑥なぜ対象犯罪が277なのか
⑦テロを防止できるか
⑧国際組織犯罪防止条約はテロを対象にしているのか
⑨共謀罪なしで条約締結できないのか
(引用終わり)
 
【その2 動画の部】
平成29年4月6日 【衆議院】 「本会議」(2時間06分)

[説明・質疑者等]
2分~ 大島理森(衆議院議長)
2分~ 御法川信英(財務金融委員長)
5分~ 金田勝年(法務大臣)
9分~ 土屋正忠(自由民主党・無所属の会)
29分~ 逢坂誠二(民進党・無所属クラブ)
1時間03分~ 國重徹(公明党)
1時間23分~ 藤野保史(日本共産党)
1時間51分~ 松浪健太(日本維新の会)
[答弁者等]
安倍晋三(内閣総理大臣)
麻生太郎(財務大臣、内閣府特命担当大臣(金融)、デフレ脱却担当)
岸田文雄(外務大臣)
松本純(国家公安委員会委員長、海洋政策・領土問題担当・国土強靭化担当・内閣府特命担当大臣(消費者
及び食品安全防災))
 
20170406 UPLAN 話し合うことが罪になる共謀罪法案の廃案を求める4・6大集会&デモ(2時間28分)

開会の挨拶
 
24分~ 海渡雄一さん(共謀罪NO!実行委員会)
政党挨拶
29分~ 有田芳生さん(民進党・参議院議員)
36分~ 田村智子さん(共産党・参議院議員)
41分~ 福島瑞穂さん(社民党・参議院議員)
48分~ 山本太郎さん(自由党・参議院議員)
55分~ 伊波洋一さん(沖縄の風・参議院議員)
発言
1時間01分~ 吉岡 忍さん(ノンフィクション作家/日本ペンクラブ専務理事)
1時間08分~ 青木初子さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)
1時間14分~ 佐藤学さん(安全保障関連法に反対する学者の会)
1時間18分~ 山口二郎さん(立憲デモクラシーの会)
1時間22分~ 高山佳奈子さん(京都大学教授・刑事法)
行動提起 
1時間28分~ 福山真劫さん(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)
共催:共謀罪NO!実行委員会、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
会場:日比谷野外音楽堂
1時間32分~ 国会請願デモ
 
【その3 声明の部】
宮崎県議会 議員発議案第3号
「テロ等準備罪」の新設について慎重な検討を求める意見書

(引用開始)
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を三年後に控えており、テロ対策は最重要課題の一つである。テロ行為を防止するためには、国際社会と緊密に連携することが必要不可欠であり、こうした協力関係を構築する上で、既に187の国と地域が締結している「国際的な組織犯罪の防止に関する国際
連合条約」を締結することは極めて重要である。
 今般、同条約に基づく国内法の整備の一環として、「テロ等準備罪」の新設が検討されているが、現行法においてもテロ行為等の準備行為を処罰する規定が存在しており、現行法の規定に加えて、テロ行為等
の準備行為の処罰を一般化する必要性や合理性が明らかにされなければならない。
 また、「テロ等準備罪」については、一般市民が対象とならないよう、犯罪の主体を「組織的犯罪集団」とする、対象となる罪を絞り込む、構成要件に準備行為を加えるなどの対応を図るとされているが、様
々な懸念があると指摘されている。
 犯罪の主体について、政府見解は、正当な活動を行っていた団体であっても、その目的が犯罪を実行することに一変したと認められる場合には、「組織的犯罪集団」に当たり得るとしており、取締りの対象に
なる可能性があると指摘されている。
 よって、本県議会は、国に対し、「テロ等準備罪」の新設について、幅広い観点から慎重に検討するこ
とを強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
  平成29年3月22日
                              宮 崎 県 議 会
衆議院議長 大島理森 殿
参議院議長 伊達忠一 殿
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
法務大臣 金田勝年 殿
内閣官房長官 菅 義偉 殿
(引用終わり)

 以上は、3月22日に宮崎県議会が採択した意見書です。実は、都道府県レベルの議会では、3月2日に三重県議会が「「テロ等準備罪」の新設について慎重な検討を求める意見書」を採択しており、宮崎県議会と表題が一緒であるばかりか、実は本文もほとんど一緒です。一字一句比較した訳ではありませんが、三重県議会にあった「加えて、「テロ等準備罪」の新設は、未遂に至らない段階の行為の処罰範囲を拡大することから、捜査機関による監視等の範囲の拡大につながるおそれがあることも懸念されている。」が、宮崎県議会で無くなっていること、執行先に、三重にはなかった菅義偉内閣官房長官が宮崎では付け
加わっていることくらいでしょうか。
 明らかに、宮崎県議会が、先行する三重県議会の意見書を参考にしたものと思われます。
 それにもかかわらず、なぜ私が先行した三重県議会ではなく、宮崎県議会の方を引用したのかというと、三重県議会は、自民党ではなく、民進党系の「新政みえ」が最大会派であるという珍しい(?)
県議会であるのに対し、宮崎県議会は、定数39名の内、
  宮崎県議会自由民主党  22名
  自由民主党県民クラブ     1名
  自由民主党 青の国      1名
という具合に、自民党が過半数の議席を占めている状況の中、何と「全回一致」で、この「慎重な検討を
求める意見書」が採択されたということに注目したからです。
 どういう事情なのかよく分かりませんが、とりあえず「宮崎県議会、素晴らしい」と言うべきなのだろ
うと思います。
 
NHK WEB NEWS 4月6日 16時58分
「テロ等準備罪」 36地方議会が撤回などの意見書

(引用開始)
 共謀罪の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案が衆議院本会議で審議入りしましたが、6
日までに全国36の地方議会から法案の撤回や反対、それに、慎重な審議を求める意見書が国会に送られ
ています。
 衆議院の事務局によりますと、6日までに長野県千曲市、福島県会津若松市、北海道江差町、東京都国立市など全国12の都道県にある合わせて36の地方議会からこの法案について意見書が衆議院に送られ
ているということです。
 このうち、29件は「国民を監視し萎縮させ、民主主義を奪う法案だ」などとして撤回や反対などを求めています。残りの7件は国民が抱く危惧を払拭(ふっしょく)し、十分慎重な審議を求めるなどとして
いるもので、この中には、三重と宮崎の県議会レベルの意見書が含まれています。
 一方、法案に賛成し、積極的に成立を求める内容のものはないということです。こうした意見書は今後
、正式に受理され、法案が審議される法務委員会に参考として送られることになっています。
 宮崎県議会は、先月22日、慎重な検討を求める意見書を全会一致で可決しています。意見書では「東京オリンピック・パラリンピックを3年後に控え組織的なテロや犯罪を防ぐための国際組織犯罪防止条約を締結することは極めて重要だ」とする一方で、「テロ等準備罪」について、「さまざまな懸念があると指摘されている」としています。そのうえで、「国に対し幅広い観点から慎重に検討することを強く要望
する」としていて、全会一致で可決されました。
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2017年2月6日
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む
2017年2月7日
日弁連パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)を読む
2017年2月8日
「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む
2017年2月10日
海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する
2017年2月21日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介
2017年2月23日
日本弁護士連合会「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」(2017年2月17日)を読む
2017年2月24日
「安倍政権の横暴を許すな!」連続企画@和歌山市のご案内~3/3共謀罪学習会&3/25映画『高江―森が泣いている 2』上映と講演
2017年2月28日
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2017年3月1日
ついに姿をあらわした共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)
2017年3月3日
「共謀罪」阻止の闘いは“総がかり”の枠組みで~全国でも和歌山でも
2017年3月4日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.4

2017年3月6日
共謀罪に反対するのも“弁護士”、賛成するのも“弁護士”
2017年3月8日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.5~「テロリズム集団その他」のまやかし

2017年3月9日
3月9日、和歌山で共謀罪に反対する街頭宣伝スタート~総がかり行動実行委員会の呼びかけで
2017年3月17日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.6~立憲デモクラシーの会が声明を出しました
2017年3月21日
閣議決定された「共謀罪」法案~闘うための基礎資料を集めました
2017年3月31日