今晩(2017年4月19日)配信した「メルマガ金原No.2787」を転載します。

「自由なラジオ LIGHT UP!」最新アーカイブを聴く(053~055)~命を見つめ続けてきた人たち

 「ラジオフォーラム」の事実上の後継番組として、昨年の4月にスタートした「自由なラジオ LIGHT UP!」ですが、無事1年が経過して2年目に突入しました。
 今日は、2年目の4月に放送された3番組(053~055)をご紹介します。
 これまでも非常に多彩なゲストが招かれてきた「自由なラジオ LIGHT UP!」ですが、2年目の最初の3本は、「命を見つめ続けてきた人たち」の声に満ちているように思われました。
 是非じっくりと耳を傾けていただければと思います。

「2017年3月末、国による除染作業のための財政支援が終了、これに伴い各地方自治体でも除染作業は大幅に縮小することになることでしょう。「空間線量を毎時0.23マイクロシーベルト以下に下げれば、年間の外部被ばく線量を1ミリシーベルト以下に抑えることができる」という基準により進められて来た除染だが、発災当時から子どもたちを被ばくから守るために積極的に活動してきた福島在住のお二人のママたちは、国は被災地の現実を何もわかっていないと憤ります。復興という名のもと、事態の収束に向けて「計画通り」被災地を見捨てていく国のやり方は、あまりにも残酷だと訴えます。
 なぜならば、自分たちの手で自分たちの住む町の線量を測定しつづけるママたちは、モニタリングポストや四つ角と真ん中しか測定しない計測の数値には表れない、「現実」を知っています。広範囲に汚染された土の上で子どもたちが座り、遊ぶ。高線量を知っていながらそれを見過ごすわけにはいきません。原発事故前はなかった学校給食の地元食材採用に踏み切る地域もあり、それは子どもたちを実験台にしながらの復興アピールキャンペーンに外ならないと訴えます。これ以上の子どもたちの追加被ばくをどう防いだらよいのか?リスナーの皆さんとともに考えたいと思います。
 また今回の「Light Up!ジャーナル」は、おしどりが2月に訪れた脱原発先進国ドイツでの取材レポートをお届けします。ここでも衝撃の事実が!こちらもお楽しみに。
はっぴーあいらんど☆ネットワーク演劇プロジェクト
■Light-Upジャーナル:「おしどりの脱原発先進国ドイツレポート」

「政治圧力によって従軍慰安婦問題を取り扱ったNHKの番組が急遽放送前夜から当日にかけて凄まじく改変されたとされる「NHK番組改変問題」(2001年)をご記憶の方も多いことでしょう。その番組「ETV2001・戦争をどう裁くか」の統括プロデューサーだったのが、永田浩三さんです。迷彩服を着た右翼が渋谷のNHK局舎に乱入し、名指しで「殺す」と言われた永田さん。それでもメディアが国家に迎合しながら腐敗する様に、今でも警鐘を鳴らし続けておられます。それは、永田さんのお母様が広島原爆投下の爆心地から800メートルの場所で被爆したことから、戦争を憎み、争いのない平和な世の中を願う永田さんの心の底からの叫びでもあるようです。
 今回この番組では、永田浩三さんのご著書「ベン・シャーンを追いかけて」と「広島を伝える詩画人・四國五郎と原爆の表現者たち」という2冊の著書をひもときながら、誰もが望む戦火のない世の中とは真逆を行くような危なげな今の日本を見つめていきます。日本でも著名なベン・シャーンは、「核は人類に幸せをもたらさない」とはっきりと主張し、身の危険を顧みず当時の米国家と対立してきた画家です。永田さんは、ベン・シャーンが残したものが現代にどのような影響を与えているのかを調べる旅に出掛け、それを「ベン・シャーンを追いかけて」にまとめられました。その中で、永田さんはご自身の生い立ちとベン・シャーンの奇妙なつながりを発見されます・・・・。
 またこの番組の収録日にたまたま東京にいらっしゃった四国五郎さんのご子息、四國光さんが、スタジオに遊びに来てくださいました(自由なラジオ第28回にもゲスト出演されています。
)。永田浩三さんの本を読んだ四國光さんが永田さんに連絡をとり交流が始まったというお二人。それをきっかけに「広島を伝える詩画人・四國五郎と原爆の表現者たち」が生まれたといいます。今回の放送では改めて、平和のための静かな炎を絶やさなかった反戦画家・四國五郎さんの生涯を、四國光さんとともに辿りました。
 語り継ぐことの大切さ、言葉で表現し言葉で残すことの大切さが、体温のような温かさで伝わる永田浩三さん、四國光さんのお話です。広島、福島の当事者たちが、苦しい現実の中で残した言葉を、私たちはどう残し、未来へ運んで行けるのか?ずっしりと重い宿題を背負ったように感じた今回の対談となりました。
著書紹介
『ベン・シャーンを追いかけて』
ベン・シャーンを追いかけて
永田 浩三
大月書店
2014-10-30

『広島を伝える詩画人・四國五郎と原爆の表現者たち』

 また今回は音楽の時間にも、スタジオにお客様をお迎えしました。東京芸大で民族音楽を研究するキルギス共和国ご出身の演奏家、ウメトバエワ・カリマンさんに、コムズという珍しい楽器の生演奏をお聞かせいただきました。デジタルの音に耳が慣れてしまった方には、本当に癒される時間になっています。こちらもどうぞお楽しみに。
●今回と同じく四國 光さんをゲストにお迎えした第28回も是非合わせてご聴取ください。
第28回 シベリア、ヒロシマ、そしてこれから……。

戦争を静かに描き続けた父・四國五郎のぶれない思い


「久々にアーサー・ビナードがナビゲートする市民のための自由なラジオ“Light Up!”。今回は、小さくて不器用な者たちに優しい視線を向けながらも、読む人に力強いパワーを与えてくれる絵本作家、田島征三さんを訪ねました。
 「落ちこぼれみたいな動物、あまり走るのも早くない、飛ぶのも上手くない、そんなものを描くのが好きなんです。」子どものようないたずらな笑顔を見せながら、インタビューに応えてくださった田島征三さん。
 彼の作品の原点は、戦争の記憶でした。5歳のとき疎開先で終戦を迎えたあと、ろくに食べるものがない戦後のくらしを高知の山奥で過ごします。国破れて山河あり、生き物たちと対話しながら、生かされている自分に気づく中、自然と「機械類とか自動車とか描くのが下手な画家」になります。それらは書いたとしても「鳥のような、動物のような、虫のようなもの」になってしまう。彼の作風は一貫して、子どもが落書きしたようであったりします。デッサンをせずに一気に書き始めるという田島さんの作品には、じんわりと伝わる温かさと、社会に対する確かなメッセージが潜んでいるのです。
 かつて田島さんが移り住んだ東京都西多摩郡にある「日の出の森」での暮らしからも、たくさんの作品が生まれました。しかし1989年、その豊かな自然を取り壊し巨大なごみ処分場が建つ計画が持ち上がり、田島さんはごみ処分場建設の反対運動を始めます。そこで田島さんは、ただ住民運動を繰り広げたのではなく、その運動を「文化」ととらえ、ユニークな活動を続けて来られました。残念ながら日の出の森は、ダイオキシンなどの有害物質に汚染された化学工場に変わってしまいましたが、田島さんたちが遺したものは、確かな財産となって次の世の中につながっていると思います。
 その「文化」の継承のひとつの形が、「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」です。この美術館は、新潟県十日町市の廃校になった小学校をそのまま利用して、全体を立体絵本として田島さんがデザインしたものです。ここからは、人の息づかいがたくさん残っているものが「ごみ」として焼却されるのは偲びないという温かな思いが伝わってきます。自然とのハーモニーをそのまま活かしながら、ユニークな作品の数々にふれることができるこの美術館は、動植物たちと同じように雪深い冬は冬眠(休館)し、4月29日、春の訪れとともにまた再開します。番組では、この「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」の魅力についてもじっくりと伺いました。
 「細胞が躍る!」と言いながら制作中の絵本「虫けら君の旅」は、ひどい目にあってもあきらめない多足類の「虫けら」が果敢に旅を続けるものがたりだとか。がんを患うも抗がん剤を断った田島さんが、伊豆の潮風とこごみを好み、自然から力をもらって元気を取り戻したエピソードに重なり、また何よりも今、私たちが、この息苦し社会の中で、どこを見つめて歩いて行けばいいのか、そんなことが少しだけ見えてくる時間になりました。」
田島征三さん 公式ホームページ
鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館
田島征三さんの絵本
 

(付録)
『キルギスの伝統楽器1 コムズ(三味線)の演奏