今晩(2017年6月6日)配信した「メルマガ金原No.2835」を転載します。

予告・「共謀罪」って何?こんなにある問題点!(講師:金原徹雄弁護士)@新宮市(6/11)と真宗大谷派による共謀罪法案反対声明(5/18)

 共謀罪シリーズの第29回です。
 今日(6月6日)午後5時30分から、JR和歌山駅前(西口)において、和歌山弁護士会が、共謀罪法案に反対する街頭宣伝行動を行いました。畑純一会長、藤井幹雄共謀罪法案対策プロジェクトチーム座長(前会長)が交替でマイクを握り、道行く勤め帰りの人や学校帰りの高校生らに対し、法案の問題点を訴えま
した。
 私も一会員として参加したのですが、カメラを持って行くのを忘れたため、スピーカー(話し手)の横で和歌山弁
護士会の幟を持つ役を務めていました。
 その場で配布したのが、日本弁護士連合会が作った
「テロ等準備罪は共謀罪です 名前を変えてもその危険性は変わりません」というA4版のチラシでした。以下にその記載内容を引用します。

(引用開始)
テロ等準備罪は共謀罪です
名前を変えてもその危険性は変わりません

対象犯罪は277に及びます

政府は2020年に東京オリンピック・パラリンピックの開催を控える中,テロを含む組織犯罪を未然に
防止するためとして,「テロ等準備罪」法案を提出しています。
政府は当初の676の適用対象の犯罪を277に減らしたと説明していますが,組織犯罪やテロ犯罪と無縁の犯罪が依然として対象とされています。例えば,楽譜のコピー(著作権法違反)やマンション建設反対の座り込み(組織的威力業務妨害罪)などを計画すると犯罪とされかねません。
 
一般市民も対象となることがありえます
政府は,この法案は組織的犯罪集団を適用対象とし, 一般市民を対象としないと説明しています。しかし
,政府は,もともと正当な活動をしている市民団体でも,性質が一変したと認められるときには組織的犯罪集団に当たるとも説明しています。そして,その判断は捜査機関がするのです。
準備行為は歯止めになりません
政府は,今回の法案では準備行為を犯罪成立の条件にして歯止めをかけたとしていますが,預金の引き出
しなどの日常的行為も準備行為とされるので,何ら歯止めになりません。
 
市民の人権に影響を及ぼしかねない監視社会に
計画は,電話,メール,SNSなどでも成立しますから,コミュニケーションの内容を集めることが捜査
の手段になります。その捜査は,通信傍受(盗聴)の拡大になることが予測されます。市民の人権に影響
を及ぼしかねない監視社会にしてはなりません。

私たちは,新たな共謀罪法案に 反対 します
日本弁護士連合会
(引用終わり)

 さて、昨日もお知らせしましたが、今度の日曜日(6月11日)、和歌山県新宮市で、くまの平和ネットワークのお招きにより、共謀罪についてのお話をさせていただくことになっています。事務局には、「レジュメは8日(木)までにメールで送ります」とお約束しているものの(これがデッドライン)、忙しさに取り紛れ(それだけではなく、共謀罪をめぐる情勢の緊迫もあって)、なかなかレジュメが書けずに
頭を抱えています。
 5月9日にWAASA(安全保障関連法制の廃止を求める和歌山大学有志の会)の学習会でお話した時
のレジュメを基に、その後の情勢を反映させてアップツーデートしようと思ってはいるのですが。
 そういう悩みは悩みとして、4年ぶりにくまの平和ネットワークでお話できることになり、くまの地方の旧知の皆さんと再会できることを楽しみにしています。新宮、東牟婁、南牟婁の皆さん、ご都合がつけ
ば是非おいでください(※チラシPDF)。
 
憲法の講演会
◆演題◆「共謀罪」って何?こんなにある問題点!
講師 金原徹雄弁護士(和歌山弁護士会所属)
2017年6月11日(日)午後1:00開場/1:30開演
新宮市福祉センター(市役所前)
入場無料
※どなたでもお気軽にお越し下さい。有志の方のカンパは大歓迎です。
主催●くまの平和ネットワーク〈代表 二河通夫/(問)TEL 0735-21-1674 植村〉
後援●「大逆事件」の犠牲者を顕彰する会
くまの平和ネットワーク
―紀南9条の会/しんぐう九条の会/紀宝9条の会/宝来9条の会/年金者組合
新東支部9条の会/新日本婦人の会東牟婁支部/ほんぐう9条くらぶ/御浜九条の会/なちかつ・たいじ九条の会/くしもと9条の会(順不同)―以上「憲法を守りたい」と活動している熊野から串本までの地域10団体の共同企画です。

 今日は、あと1つ、新宮で共謀罪についてお話する機会をいただいたこととも密接な関係がある「声明
」をご紹介したいと思います。
 それは、5月18日に真宗大谷派が発表した宗務総長名による
「テロ等組織犯罪準備罪(共謀罪)法案に反対する声明」です。まずは、その全文をお読みください。

(引用開始)
         テロ等組織犯罪準備罪(共謀罪)法案に反対する声明

 現在、テロ等組織犯罪準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案が、国会で審議されています。当然テロ
等の犯罪行為は、決して許されるものではありません。
 しかしこの法案は、実際の行為がなくとも、犯罪とみなされる計画をしただけで処罰することができる、いわゆる「共謀罪」の内容が盛り込まれており、市民の日常生活に重大な制約をもたらす恐れがありま
す。
 どのような計画が犯罪になるのかは捜査機関の判断によることから、恣意的な検挙が行われ、市民の思想や言論、表現の自由全般が損なわれる可能性は否めません。さらに犯罪の事実を立証するために、日常的にプライバシーが侵害され、市民どうしが相互に監視する社会をつくりだしてしまうことを危惧します

 宗祖親鸞聖人は、時の権力によって「専修念仏」が罪とされたことにより、同行たちが斬首され、聖人自身も流罪となった承元の法難を経験されました。権力側が欲する秩序を護るために個を抹殺しても厭わ
ない当時、宗祖は「主上臣下、法に背き義に違し」との痛みをもった厳しい言葉を残しておられます。
 また明治期の日本では、国家による思想弾圧事件として、多くの人たちが無実の罪で死刑、無期懲役となった「大逆事件」が起こりました。国全体が戦争へと突き進む中、宗祖の教えに生きんとし、非戦と平
等を説いた当派僧侶・高木顕明師もこの事件に連座した一人でありました。
 思想や信条は、他から侵害されてはならないものです。そして、思想や信条の自由は、一人ひとりが声
をあげてこそ守られるものと考えます。
 すべての人が共に生き合える同朋社会の実現をめざす教団として、テロ対策という名のもとに政府が市民を監視し、私たち個人の思想や言論、表現を統制しようとする今回の法案に対して、真宗大谷派は強く遺憾の意を表明し、廃案を求めます。

2017年5月18日

             真宗大谷派(東本願寺)宗務総長  但 馬  弘
(引用終わり)

 真宗大谷派が、日本の伝統仏教教団の中では「異例」と言って良いほど、様々な社会問題について教団としての意思を明確に表明しており、私がそれを高く評価してきたことは、巻末のリンク一覧をご覧になれば明らかでしょう。ちなみに、私も浄土真宗の門徒の家に生まれましたが、東本願寺(真宗大谷派)で
はなく、西本願寺(浄土真宗本願寺派)です。
 西と東の態度の違いがどこから生じるのかについて考察を加えたのが、「真宗大谷派(東本願寺)「宗憲」と宗務総長による「憲法解釈変更」批判」(2014年5月31日)です。大谷派の「宗憲」は、日本国憲法を祖述したと言っても過言ではない内容ですから、信者でなくても、是非一度読んでみる価値
があります。

 さて、その東本願寺による「声明」で言及されている「大逆事件」犠牲者の1人・高木顕明(たかぎ・けんみょう)師は、新宮市の浄泉寺住職であった1910年、「大逆事件(幸徳事件)」のいわゆる熊野・新宮グループの1人として検挙され、いったん死刑判決を受けるも無期懲役刑に減軽。事件から4年後の1914年、秋田刑務所で獄中死(自死)した真宗大谷派の僧侶です。検挙後、宗門は直ちに高木師の僧籍を剥奪しましたが、ようやく教団がその誤りを認めて謝罪し、同師の名誉回復を図ったのは1996年のことで
した。
 6月11日の講演会を後援してくださっている「大逆事件」の犠牲者を顕彰する会は、早くも4月10日の段階で、「「共謀罪」に反対する声明 許せない「共謀罪」」を発表されています。既に私のメルマガ(ブログ)でご紹介済みですが、再度、同声明を全文引用させていただこうと思います。
 これを読め返せば、6月11日の講演会に向けた、講師としてのモチベーションがさらに高まることは間違いありません(それだけプレッシャーも強まるのですが)。

(引用開始)
「共謀罪」に反対する声明
 
許せない「共謀罪」

 過日、テロ対策を名目に「共謀罪」(「テロ等準備罪」)という法案が閣議決定され、国会に上程されました。これは、犯罪行為が発生する以前から人を逮捕できるという、刑法の原則を完全に無視したもので、人権侵害や冤罪事件を増やし、表現の自由や人それぞれの心の内の自由をも脅かすことが可能になる、問題を多く含んだ法案です。私たちは強い危機意識の下にこの法案が廃案になる事を強く求めるもので
あります。
 私たちが生きる熊野新宮の地では、明治時代の一大冤罪事件であった「大逆事件」の犠牲者の志を継ぐために顕彰する会を立ち上げ、彼等一人ひとりに寄り添い、その志を現代から未来へと生かすべく、学習し、運動に取り組んでまいりました。当地の犠牲者6人は、悩み多き者として真摯に考え、煩悶し、ごく普通に生活をしていた市民でした。そうした人たちを襲ったのが、まさにこの「共謀罪」のような、国家による謀略です。熊野川での単なる舟遊びが「天皇暗殺謀議」に仕立て上げられたのです。担当の検事は
、行為ではなく考え方を裁くのだと公言してはばかりませんでした。
 さらに戦時下の治安維持法で断罪された「横浜事件」の犠牲者のひとり、木村亨氏がやはり熊野新宮の出身であったことも忘れてはなりません。出版祝賀の酒宴が非合法活動と目され、逮捕・死者が出たので
す。私たちは「大逆事件」と「横浜事件」の真実を共に学んでまいりました。
 そして今、「平成の治安維持法」とも言われる「共謀罪」法案がまたもや持ち出されています。オリン
ピックを安全に催すためという「大義」など、国際的にみれば妄言に過ぎません。
 この法案に反対する全国の人たちと共に、国会での議論を見極め、廃案への動きに連動出来ればと強く
思う次第です。
 「大逆事件」の犠牲者と遺族の方々の無念の思いを改めて噛みしめ、彼等の志の高さを今一度想起しなければならないと思います。

2017年4月10日
「大逆事件」の犠牲者を顕彰する会
会長 二河通夫
(引用終わり)

(弁護士・金原徹雄のブログから/共謀罪シリーズ)
2017年2月6日
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む
2017年2月7日
日弁連パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)を読む
2017年2月8日
「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む
2017年2月10日
海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する
2017年2月21日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介
2017年2月23日
日本弁護士連合会「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」(2017年2月17日)を読む
2017年2月24日
「安倍政権の横暴を許すな!」連続企画@和歌山市のご案内~3/3共謀罪学習会&3/25映画『高江―森が泣いている 2』上映と講演
2017年2月28日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.3
2017年3月1日
ついに姿をあらわした共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)
2017年3月3日
「共謀罪」阻止の闘いは“総がかり”の枠組みで~全国でも和歌山でも
2017年3月4日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.4

2017年3月6日
共謀罪に反対するのも“弁護士”、賛成するのも“弁護士”
2017年3月8日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.5~「テロリズム集団その他」のまやかし

2017年3月9日
3月9日、和歌山で共謀罪に反対する街頭宣伝スタート~総がかり行動実行委員会の呼びかけで
2017年3月17日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.6~立憲デモクラシーの会が声明を出しました
2017年3月21日
閣議決定された「共謀罪」法案~闘うための基礎資料を集めました
2017年3月31日
2017年4月7日
2017年4月14日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.9~民科法律部会の声明を読む
2017年4月18日
声明「許せない「共謀罪」」~「「大逆事件」の犠牲者を顕彰する会」が引き継ぐ「志」
2017年4月26日
緊急開催!和歌山弁護士会「共謀罪法案(テロ等準備罪)を考える県民集会」(5/10@プラザホープ)
2017年4月27日
高山佳奈子京都大学大学院教授による共謀罪法案についての参考人意見陳述(2017年4月25日・衆議院法務委員会)を読む

2017年5月9日
「共謀罪」阻止のために~5/9WAASA学習会で話したこと、6/11くまの平和ネットワーク講演会で話すべきこと

2017年5月17日
「共謀罪」をめぐる5月16日の動きを動画で振り返る~衆議院法務委員会参考人質疑、日比谷野音大集会、立憲デモクラシーの会シンポ

2017年5月20日
闘いはこれからだ~5/19「安倍政治を終わらせよう5.19院内集会」&5/20「安倍政権に反対する和歌山デモ」
2017年5月22日
越野章史さん(和歌山大学教育学部)スピーチ全文「教育勅語と共謀罪がもたらす社会」~5/20「安倍政権に反対する和歌山デモ」から
2017年6月5日
「共謀罪」法案の衆議院における修正案(可決)を読む


(弁護士・金原徹雄のブログから/真宗大谷派関係)
2012年1月6日(2015年5月26日に再配信)
12/28(2011年)真宗大谷派「原子力発電に依存しない社会の実現にむけて」
2012年6月15日(2015年5月26日に再配信)
6/12(2012年)真宗大谷派(東本願寺)「大飯原子力発電所再稼動に関する声明」
2014年5月31日
真宗大谷派(東本願寺)「宗憲」と宗務総長による「憲法解釈変更」批判
2015年5月26日
真宗大谷派・声明「日本国憲法の立憲の精神を遵守する政府を願う『正義と悪の対立を超えて』」(2015年5月21日)を読む
2015年5月27日
真宗大谷派・宗議会決議「すべての原発の運転停止と廃炉を通して、原子力発電に依存しない社会の実現を求める決議」(2012年2月23日)をあらためて読む
2015年8月11日
川内原発再稼働を「非」とする倫理的根拠~真宗大谷派(東本願寺)宗務総長声明
2016年3月19日
真宗大谷派「不戦決議」(1995年)と「非戦決議2015」を読む ※追記あり(安全保障関連法成立に対する宗派声明)

くまの平和ネットワーク「共謀罪」チラシ