憲法(特に9条)についての各党「公約」比較~とても分かりやすくなっていた
 
 選挙戦も終盤、気がついてみるともうあと4日だけとなった10月17日の夜。今頃になって各党の政権公約を比較するというのは遅すぎるとも思いますが、各種世論調査とあまり違わぬ結果が出たとすると、間違いなく、「安倍改憲」が具体的な政治日程に上ると覚悟しなければならず、「投票日前の3日間が最後の勝負」ということも言われていますので、「9条改憲」には絶対反対だという人に、最後の訴えが届くように頑張ろうという趣旨です。
 以下には、各党選挙公約から、憲法に言及した部分を抜粋し、私からの簡単なコメントを付け加えます。
 なお、分かりやすいように、「9条改憲」を推進する政党の公約は赤字で、「9条改憲」に反対する政党の公約は青字で表示しました(公明党は、ほんの少しの期待を込めて緑にしておきました)。
  
(引用開始)
06 国民の幅広い理解を得て、憲法改正を目指します。
この国の未来を切り拓く。
 現行憲法の「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」の3つの基本原理は堅持しつつ、憲法改正を目指します。
 憲法改正については、国民の幅広い理解を得つつ、衆議院・参議院の憲法審査会で議論を深め各党とも連携し、自衛隊の明記、教育の無償化・充実強化、緊急事態対応、参議院の合区解消など4項目を中心に、党内外の十分な議論を踏まえ、憲法改正原案を国会で提案・発議し、国民投票を行い、初めての憲法改正を目指します。
(引用終わり)
⇒コメント
 「教育の無償化・充実強化」や「参議院の合区解消」などは法律で対応できます。「自衛隊の明記」によって憲法9条が大きく変質することについては、末尾にリンクした私のブログをご参照ください(多すぎるかも)。「緊急事態対応」については、自民党「日本国憲法改正草案」(2012年4月)による提案が盛り込まれることになると、著しく危険な武器を政府に与えることになってしまいます。
 
(引用開始)
憲法についての基本姿勢
 施行70年を迎えた日本国憲法を優れた憲法であると評価しています。現行憲法は、日本の民主主義を進展させ、戦後秩序の基本となりました。とくに、「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「恒久平和主義」の3原理は普遍の原理であり、将来とも堅持します。
 一方、憲法施行時には想定できなかった課題が明らかになり、憲法規定に不備があるためそれを解決できないのであれば、そのための新たな条文を付け加えること(加憲)によって改正することを考えています。
 これまで加憲論議の対象としてきた項目は、例えば、①地球環境保護を含めた環境の保護を憲法上の権利もしくは責務として位置付けるべきかどうか、②地方自治をより強化するため、自治体の課税自主権の拡大など行財政運営の充実を定めるべきかどうか、③国家の緊急事態にこそ議会制民主主義が機能すべきとの立場から、緊急事態に国会議員の任期の特例等を設けるべきかどうか、などです。
 それぞれ多岐にわたる論点があり、さらに論議を深めてまいります。
憲法9条について
 憲法9条1項2項は、憲法の平和主義を体現するもので、今後とも堅持します。
 2年前に成立した平和安全法制は、9条の下で許容される「自衛の措置」の限界を明確にしました。この法制の整備によって、現下の厳しい安全保障環境であっても、平時から有事に至るまでの隙間のない安全確保が可能になったと考えています。
 一方で、9条1項2項を維持しつつ、自衛隊の存在を憲法上明記し、一部にある自衛隊違憲の疑念を払拭したいという提案がなされています。その意図は理解できないわけではありませんが、多くの国民は現在の自衛隊の活動を支持しており、憲法違反の存在とは考えていません。今、大事なことは、わが国の平和と安全を確保するため、先の平和安全法制の適切な運用と実績を積み重ね、さらに国民の理解を得ていくことだと考えます。
国民投票と国民の理解
 国会で発議された憲法改正案は、国民投票によってその是非が決せられます。したがって、何よりも国民の理解を得ることが不可欠です。そのため、国会の憲法審査会を中心に、丁寧かつ冷静な論議、検討を行い、多くの政党の合意形成が図れるよう努めていくべきです。
(引用終わり)
⇒コメント
 これだけ読めば、公明党は改憲に慎重姿勢と思うでしょう?実は、集団的自衛権や安保法制が議論されていた頃も、公明党は慎重姿勢というポーズをとっていたのです。その結果はご存知のとおり。せいぜい、「2度あることは3度ある」ではなく、「3度目の正直」となるよう、創価学会婦人部の皆さんと共に祈りましょうか。
 
(引用開始)
公約8 憲法改正
 憲法9条をふくめ憲法改正論議をすすめます。
 国民の知る権利、地方自治の分権を明記します。
(引用終わり)
⇒コメント
 何しろ、ホームページを読んでもこれだけしか書いていないので、正直よく分かりません。政党の体をなしていないとさえ思います。ただ、9条改憲論議を進めるそうですから、自民党との改憲に向けた「合意」も十分あり得ることを明らかにしてくれていて、ある意味分かりやすいとも言えます。なお、後半の「地方自治の分権」は意味不明です。好意的に解釈すれば、「地方分権の推進を明記します」と書くつもりだったのかもしれませんけどね。小池百合子代表といい、公約起案者といい、言葉を大事にしない(する意思も能力もない)政党を信頼できるはずないですよね。安倍政権を批判するつもりで、まかり間違って、比例で希望の党に入れるようなことがないよう、よくよく注意して欲しいと思います。
 
(引用開始)
4 時代に適した“今の憲法”へ。
憲法改正
①教育の無償化 ②道州制の実現を含む統治機構改革 ③憲法裁判所の設置 ④憲法改正国民投票で、現行憲法が未だに国民投票を経ていない等の問題点を解消 ⑤国際情勢の変化に対応し、国民の生命・財産を守るための9条改正
⇒コメント
 ⑤において「9条改正」を明言しており、とても分かりやすいですね。「憲法9条」を変えてはいけないと考えている人にとって、日本維新の会は全く選択外だということが(前から明らかではありましたが)より明確になりました。④は、憲法制定時に国民投票を経ていないことが、あたかも正統性に問題があるかのように立論しており、明言はしていませんが、押し付け憲法論の陰が見え隠れします。
 
(引用開始)
5 安倍政権による9条改悪に反対し、憲法9条にもとづく平和の外交戦略を確立します
 無制限の海外での武力行使を可能にする9条改憲を許しません
 安倍首相は、戦後初めて、首相として、具体的な期限と条文を明確にして改憲の意思を明らかにしました。「維新」や「希望」も9条改定をとなえています。
 9条に自衛隊を書きこむという首相の改憲案が実行されれば、「後からつくった法律は前の法律に優先する」という法の一般原則(後法優先の原則)により、9条2項(戦力不保持・交戦権否認)は空文化=死文化することは避けられません。
 首相が憲法9条に書き込もうとしている自衛隊とは、安保法制=戦争法によって集団的自衛権の行使が可能となった自衛隊です。
 海外での無制限の武力行使を可能とし、憲法違反の安保法制を合憲化する――これが安倍改憲案の正体です。
憲法9条の精神にたった平和の外交戦略で、北東アジアの平和と安定を築きます
 日本共産党は、北朝鮮問題など北東アジアに存在する紛争と緊張を、平和的・外交的手段によって解決する対案として、「北東アジア平和協力構想を提唱しています。東南アジア諸国連合(ASEAN)がつくっている平和の枠組みを、北東アジアにも構築しようという提案です。
北東アジア平和協力構想
1 紛争の平和的解決のルールを定めた北東アジア規模の「友好協力条約」を締結する。
2 北朝鮮問題を「6カ国協議」で解決し、この枠組みを地域の平和と安定の枠組みに発展させる。
3 領土問題の外交的解決をめざし、紛争をエスカレートさせない行動規範を結ぶ。
4 日本が過去に行なった侵略戦争と植民地支配の反省は不可欠の土台となる。
変えるべきは憲法ではなく、憲法をないがしろにした政治です
 日本国憲法は、9条という世界でもっともすすんだ恒久平和主義の条項をもち、30条にわたる豊かで先駆的な人権条項が盛り込まれています。変えるべきは憲法ではなく、憲法をないがしろにした政治です。
 日本共産党は、現行憲法の前文を含む全条項をまもり、とくに平和的民主的条項の完全実施をめざします。
(引用終わり)
⇒コメント
 共産党の特色は、9条の理念をより具体化した安全保障政策についての具体的提言(北東アジア平和協力構想)を行っていることでしょう。そこに至る筋道についての構想をもっと知りたい気がしませんか?社民党も類似の提言をしていますが。
 
(引用開始)
5 立憲主義を回復させます
 アジア、そして世界の中で、国際協調にもとづく、日本の安全保障に関する基本姿勢を守ります。2015年に強行採決された違憲の安保法制の問題をうやむやにしたままに、理念なき憲法改正が叫ばれています。専守防衛を逸脱し、立憲主義を破壊する、安保法制を前提とした憲法9条の改悪とは、徹底的に闘います。現下の安全保障環境を鑑み、領域警備法の制定と憲法の枠内での周辺事態法の強化をめざします。基本的人権の尊重、立憲主義、民主主義といった原則は、決して揺るがしません。解散権の制約や知る権利など、この原則を深化するための憲法論議を進めます。
1 専守防衛を逸脱し、立憲主義を破壊する、安保法制を前提とした憲法9条の改悪に反対
2 領域警備法の制定と憲法の枠内での周辺事態法強化により、主権を守り、専守防衛を軸とする現実的な安全保障政策を推進
3 SACO合意から20年たっても建設できていない現実や米軍再編による状況変化を踏まえ、辺野古移設について再検証をし、沖縄県民の理解を得られる道をゼロベースで見直す
4 北朝鮮の核実験・弾道ミサイル発射は極めて深刻な脅威であり、断じて容認できない。北朝鮮を対話のテーブルにつかせるため、国際社会と連携し、北朝鮮への圧力を強める。平和的解決に向け、外交力によって北朝鮮の核・ミサイル放棄を訴え、最後の一人まで拉致問題の解決に取り組む
5 共謀罪(テロ等準備罪)の廃止、水際対策など真に実効性のあるテロ対策の実施
(引用終わり)
⇒コメント
 何しろ、政党の届け出をしたのが10月3日、ホームページ(特設サイト)が立ちあがったのはさらに遅れたのですから、おそらく民進党・民主党のマニフェストをベースに、手直しを加えた(ブラッシュアップした)のではないかと推測します(比較対照はしていませんが)。それと、枝野幸男代表の意見が、かなり反映されているのかな、という気もします。読み比べれば、共産党や社民党との違いがどこにあるかもよく分かると思います。
 
(引用開始)
3 憲法を活かした安心の社会保障(項目のみ抜粋)
▶憲法25条を活かす
▶年金
▶医療
▶介護
▶障がい者
▶生活保護
11 平和憲法は変えさせない
○日本国憲法の「平和主義」、「国民主権」、「基本的人権の尊重」の三原則を遵守し、憲法を変えさせません。憲法理念を暮らしや政治に活かして、具体的な法制度の整備を迫り政策提起をすすめます。
○「戦争法」に基づき、アメリカと一体となって世界中で戦争する自衛隊をそのまま憲法に位置づけ、9条を死文化しようとしている安倍首相の「2020年改憲案」に反対します。9条の平和主義を守り活かします。教育無償化や参議院の合区解消、緊急事態対応には、憲法改正は不要です。
○集団的自衛権の行使を容認した「7・1閣議決定」を撤回させ、「戦争法」を廃止します。
○平和憲法の理念に基づく安全保障政策を実現するために、「平和創造基本法」を制定します。自衛隊の予算や活動を「専守防衛」の水準に引き戻します。国民を戦争体制に巻き込む、「経済的徴兵」や大学等での軍事研究に反対します。
○米国追随の外交政策をあらため、平和憲法の理念に沿った「人間の安全保障」重視の多国間の外交政策をすすめます。
○「誰一人取り残さない」という2015年に国連で採決された「持続可能な開発目標(SDGs)」の考え方を、内政、国際協力の両面で適用し、貧困や飢餓の解消、基礎教育、誰もが保健医療にかかわる体制の整備、ジェンダー平等の推進に取り組みます。「持続可能な世界と日本」の実現をめざします。
○日米安保条約は軍事同盟の側面を弱めながら、将来的に経済や文化面での協力を中心にした平和友好条約への転換をめざします。
○「非核三原則」を法制化し、核廃絶に向け全力で努力します。「核兵器のない世界」をめざし、「核兵器禁止条約」への日本の参加を働きかけます。
○6カ国協議の枠組みを発展させ、地域の集団安全保障の枠組みを強化します。北東アジア非核地帯と北東アジア地域の総合安全保障機構の創設をめざします。
○北朝鮮の核開発とミサイル技術開発に反対します。アメリカ追従や圧力・制裁一辺倒ではなく、徹底した対話による粘り強い外交努力で平和的解決をめざします。米朝会談や「6カ国共同声明」の実現に向けて日本が努力するとともに、「日朝平壌宣言」に基づき、拉致問題の徹底調査と真相解明、国交正常化について、北朝鮮と粘り強く交渉します。
○迫害をのがれ、支援を必要とする難民を、温かく迎える社会をつくります。難民認定のあり方を見直すとともに、自立した生活を安心して送れるよう難民支援を強化します。
○自衛隊内部の人権侵害を防ぐための、「自衛官オンブズマン」制度の創設をめざします。
○辺野古新基地建設に反対し、普天間飛行場の閉鎖・撤去、県内への移設の断念を求めます。在日米軍再編合意については米国と再交渉を行い、在沖海兵隊の早期の全面撤退を求めます。
○沖縄県東村高江のヘリパッド建設・運用の即時中止を求めます。固有種、希少種の宝庫である「やんばるの森」を守り、辺野古・大浦湾とあわせ米軍基地建設による環境破壊を許しません。
○嘉手納基地で米軍が強行している「パラシュート降下訓練」の即時中止を求めます。米軍人・軍属に特権・免除を与え、基地周辺住民の市民生活を圧迫している「日米地位協定」の全面改正を求めます。
○事故が相次いでいる新型輸送機「オスプレイ」の、普天間飛行場からの即時撤去、横田基地への配備撤回を求めるとともに、全国での訓練拡大に反対します。自衛隊の「オスプレイ」導入と佐賀空港への配備に反対します。
○宮古島、石垣島で強行に進められている南西諸島への陸上自衛隊基地建設に反対します。
(引用終わり)
⇒コメント
 9条をめぐる「課題一覧表」の趣きがある公約です。どれをとっても難しい課題ですが、見過ごす訳にはいかないものばかりですね。
 
(引用開始)
政策実例(注:昨年の参院選前に発表したものをそのまま残しています)
一. 我が党は、長い歴史と伝統を持つ日本の国柄と日本人のこころを大切にした、日本人の手による自主憲法の制定を目指す。
(1)憲法上の天皇の位置付けを検討
(2)国家緊急権に関する規定の整備
(3)自衛のための戦力の保持
(4)憲法改正の発議要件の緩和
(引用終わり)
⇒コメント
 要するに、2012年自民党「日本国憲法改正草案」の線での改憲を主張しているという訳ですね。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/安倍改憲メッセージ関連)
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和歌山弁護士会憲法学習集会9/20「安倍首相の新たな改憲提言について―自衛隊を憲法に書き込む改憲は何をもたらすか―」(講師:青井未帆氏)のご案内
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