2017年11月4日配信(予定)のメルマガ金原.No.2976を転載します。
 
2日連続 名古屋大学大学院教授(本秀紀氏&愛敬浩二氏)から学ぶ憲法をめぐる動向
 
 昨日(11月3日)は本秀紀(もと・ひでのり)先生、今日(11月4日)は愛敬浩二(あいきょう・こうじ)先生という、お2人の名古屋大学大学院法学研究科の憲法学の教授が、連日、和歌山市で改憲問題をテーマに講演されました。
 記録に留めるため(?)以下に開催概要を記載しておきます。
 
2017年11月3日(金・祝)午後2時00分~
和歌山市河北コミュニティセンター 2階多目的ホール
守ろう9条 紀の川 市民の会 第14回 憲法フェスタ 9条をまんなかに~えがこう平和への道~
講演「安倍政権の9条破壊を許さない~海外で戦争する『自衛隊』は認められない~」
講師 本 秀紀(もと・ひでのり)さん(名古屋大学大学院法学研究科教授・憲法学)
 
2017年11月4日(土)午後2時30分~
和歌山県JAビル 11階会議室
9条の会共同講演会(26団体共同企画)「安倍改憲を許すな!!」
講演「自衛隊を憲法に明記させてはならない」
講師 愛敬浩二(あいきょう・こうじ)さん(名古屋大学大学院法学研究科教授・憲法学)
 
 何故2日連続して名古屋大学の憲法学の教授が和歌山市で講演されることになったのかについて、今のところ、本先生をお招きする企画の方が先に決まっていたこと、9条の会共同講演会について、会場と講師の日程の都合により、可能な日が11月4日しかなかったこと、という2点が耳に入っているだけで、それ以上のことは不明です。
 ただ、怪我の功名というか何というか、私を含め、2日連続して聴講する機会に恵まれた者は、みんな大満足したのではないですかね。おそらくレジュメを読み返し、自ら考えることによって、さらに色々な示唆が得られることと思います。
 2日とも、かなり詳しめにFacebookにレポートを書きましたので、それを一部補訂の上転載することにします。写真については、リンク先のFacebookの方には複数掲載しています。
 


 本日(11月3日)、和歌山市河北コミセンで、「守ろう9条紀の川市民の会」が主催する「第14回 憲法フェスタ」が開かれました。午前中には、和歌山県平和フォーラムの協力により、『高江 森が泣いている2』(藤本幸久・影山あさ子共同監督/2016年)の上映会や、不要となった子供服などをタダで貰えるリサイクル広場があったりして賑わいました。
 午後2時からの多目的ホールでは、①治安維持法犠牲者(戸臺俊一氏)の甥・戸臺敏治さんのお話、②和歌山県原水協の白井春樹さんからの核兵器禁止条約ニューヨーク要請行動の報告などに引き続き(ここまでで大幅タイムオーバーではらはらしました)、本秀紀(もと・ひでのり)先生(名古屋大学大学院法学研究科教授・憲法学)による講演が行われました。以下に、本先生が用意されたレジュメの項目(見出し)をご紹介します。
 
はじめに-安倍政治による議会制民主主義の危機
1 憲法から見た2017年総選挙-「自民大勝」は本当か?
2 安倍改憲の内容とねらい
(1)経緯
(2)内容:4本柱
(3)問題点
(4)ねらい
3 9条破壊を許さないために
 
 限られた時間(もともと限られていたのに、スケジュールが押していよいよ限られてしまった)の中で、ポイントを絞り、分かりやすくお話いただけました。
 私個人としては、レジュメの2(3)で、現時点での「自衛隊明記改憲」を考えるための4類型についての説明が、頭の整理のために非常に役立ちました。
 
※参考(レジュメから引用)
1 自民党改憲草案(2012年):9条2項を削除し、「国防軍」を創設。
cf. 西尾幹二「何もできない自衛隊を永遠化するという、空恐ろしい断念宣言」(6/1産経)
2 自衛隊=違憲(9条2項違反):2項と「自衛隊」保持規定が矛盾⇒2項の「無効化」
3 自衛隊=合憲+集団的自衛権行使=違憲:2項(戦力=違憲)にもかかわらず、自衛隊は「自衛のための必要最小限度の実力」として合憲⇒自衛隊の明記は無意味or「自衛隊」を明記することで、2項により効いていた(自衛隊の活動に関わる)諸制約が緩和(ex.集団的自衛権行使の合憲化、軍事費拡大の歯止め緩和…)=2項の「無効化」
4 自衛隊=合憲+集団的自衛権行使=合憲(9条2項はほぼ無意味)⇒自衛隊の明記は無意味or「フルスペック」の集団的自衛権行使など、より「普通の軍隊」化が容易になる?
 
DSCN2262 ちなみに、明日(11月4日)は、本先生の名古屋大学での同僚・愛敬浩二(あいきょう・こうじ)先生が和歌山県JAビルで講演されますが、なぜ2日連続で名古屋大学の憲法学の先生が和歌山市で講演されることになったのか、その真相について、フェスタ終了後の講師を囲んだ懇親会の席上、両方の企画に関わったM氏から「告白」がありましたが、ここで書くのは控えます。ただ、本先生から、是非明日の愛敬先生の講演会に参加して欲しいという要請があったことをご紹介しておきます。
 
 さて、写真をご覧いただければお分かりのとおり、本先生は名古屋から愛用のギターを持参して、講演の合間に(というか講演の一部として)得意の歌を3曲披露してくださいました。曲目をご紹介しておきます。
 
1曲目『戦争を知らない子どもたち』(一部替え歌)
2曲目『兵士Aくんの歌』(七尾旅人)
3曲目『島んちゅぬ宝』(一部替え歌)
 
 正直、「歌う憲法学者」という評判は耳に入っていたものの、これまで動画サイトでも本先生の歌声を拝聴したことがなかったのですが、いやあ、完全に素人芸の域を脱しています。特に、『兵士Aくんの歌』は、曲自体の内容にもよりますが、満場の聴衆が息をのんで歌詞の一語一語に引き込まれていましたもの。
 ちなみに、作者である七尾旅人さんの歌唱は、YouTubeでいくつも聴くことができますし、いずれも素晴らしい演奏ですが、本先生の演奏は、オリジナルを尊重しながら、完全に自分の歌になっていると感心しました。

 
 なお、本先生は愛知憲法会議の事務局長を務めておられますが、講演会でも特に推奨されていた憲法会議が1冊100円で好評頒布中の20ページの憲法パンフレット「憲法9条を変えて、『戦争する自衛隊』にしていいのですか」の申込書(FAX用)はこちらです。
 
 さて、「守ろう9条 紀の川 市民の会」は(地方の一地域9条の会にもかかわらず)春の総会(記念講演)と秋の憲法フェスタに憲法学者をお招きすることが多く、本先生で7人目となります。
 
2012年・憲法フェスタ 吉田栄司先生(関西大学教授)
2014年・総会 森英樹先生(名古屋大学名誉教授)
2014年・憲法フェスタ 清水雅彦先生(日本体育大学教授)
2015年・憲法フェスタ 高作正博先生(関西大学教授)
2016年・総会 石埼学先生(龍谷大学教授)
2017年・総会 植松健一先生(立命館大学教授)
2017年・憲法フェスタ 本秀紀先生(名古屋大学教授)
 
 毎回必ず憲法学者に来ていただいている訳でもないのですが、9条の会ですから、やはり「憲法を学ぶ」ことを中心に人選することになります。来年の総会(普通、3月か4月に開催しています)はあっという間に来てしまいますから、今から人選を進めないといけませんね。本先生からお名前の上がった〇〇先生にあたってみようか、それとも「憲法ネット103」に相談してみようか、はたまた全然別ジャンルの方を考えるか。いずれにしても、もうあまり時間はありません。
 それにしても、本先生に至る講師陣の顔ぶれ、凄いでしょ?(と主催者としては自慢したい気持ちもある)何とかこの伝統を繋いでいきたいものです。
 


 3連休の中日となった11月4日(土)午後2時30分より、和歌山県JAビル11階会議室において、名古屋大学大学院法学研究科教授の愛敬浩二(あいきょう・こうじ)先生による講演会がありました。
 チラシに記載があるとおり、和歌山市及びその周辺の9条の会25団体による共同企画であり、私も、チラシ印刷には間に合いませんでしたが、趣旨に賛同することを決めた26番目の団体(憲法9条を守る和歌山弁護士の会)のメンバーとして、分担金(非常に低廉な額ですから、これで全経費を賄うわけにはいかないでしょう)を実行委員会事務局に届けるとともに、11月21日(火)に開催するリレートーク「自民党・改憲4項目の検証」チラシを各団体の代表にお渡しして広報への協力をお願いするため、早めに会場に着きました。
 最初のうちは各団体の事務局長などが分担金を払うためにぼちぼち来られるだけで、キャパ195席の会場にどれだけの人が来てくれるかと心配していましたが、開会前の目分量で、ほぼ8割方は埋まっており、流石に20数団体共同企画だけのことはあると思いました。
 
DSCN2282 午後2時半という比較的遅めの開会ということもあり、愛敬先生は、少し早めの電車で来られ、和歌山城を観光されたとか。昨日の本秀紀(もと・ひでのり)先生(守ろう9条 紀の川 市民の会)は、ギターを抱えて観光という訳にもいかず、講演+公演オンリーでしたけど。
 
 実質的には「九条の会・わかやま」が提唱した共同企画ですが、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」を含めれば26団体の共催と言ってもよい訳で、場内の聴衆は、ほとんどが主催者の一員でもあったことになります。
 衆院選の結果が出てから2週間、あらためて9条改憲についての危機感をいだき、参加された方も多かったのではないかと思います。その点については、質疑応答での質問の内容を聞いても推測されます。
 
 以下に、愛敬先生のレジュメから、その項目(骨子)を抜き書きします。
 ちなみに、演題「自衛隊を憲法に明記させてはならない」は主催者からの提案だろうと思いますが、副題「2017総選挙後の憲法動向と私たちの課題」は、愛敬先生が自分で考えられたのかと推測します。
 
1 10・22総選挙で改憲動向にどんな変化が生じたのか?
(1)総選挙の結果
(2)10・22総選挙前の改憲情勢-「3分の2」にもかかわらず、なぜ「抱き込む」のか?
(3)改憲勢力としての希望の党への期待
2 現代政治の諸条件と安倍「改憲・壊憲」戦略
(1)現代改憲の特徴-安倍改憲は個性的ではあるが、例外ではない。
(2)戦後欧米諸国が築き上げたLiberal Democracy(資本主義の枠内での平等と寛容)の危機
3 安倍9条3項「加憲論」の問題点と危険性
(1)安倍個人の「遺産Legacy」としての9条改憲-「憲法の私物化」の極地
(2)9条3項「加憲論」の危険性
4 9条運動の課題
(1)Overlapping Consensusとしての憲法9条
(2)「戦後平和運動の記憶」の回復
(3)9条改憲国民投票の実施を視野に入れて
 
 自公両党で3分の2の議席を確保した選挙結果は少しも意外ではなかったとか、共産党の議席大幅減は、元に戻っただけで、2009年、2012年に比べれば増えているとか、がっかりばかりしていても良くないという愛敬先生の考え方に目を開かれました。
 あと、運動論との関わりで私が非常に参考になったことを2点だけご紹介しておきます。
 
〇「希望の党」をいかに「左ぶれ」させるかが重要(⇒「こちらの方から『希望の党』を右へ、右へと追いやっても仕方がない」とは言われませんでした。これは私の独り言です)
〇9条加憲案が発議され、国民投票となった場合、改憲派は「もしも憲法改正案が否決されたら、自衛隊がなくなってしまうかもしれない。それでもいいのか?」と国民を脅しにかかると考えなければならない。従って、9条加憲反対派も、否決した場合に「どこまで戻るのか?」ということについての意見をしっかりと持つべきである。
立憲民主党(「立憲デモクラシーの会」も?)は、2014年7月1日の集団的自衛権を容認した閣議決定がなされる前の状態(伝統的自民党政権の立場)に戻ると主張するのだろうと思う。しかし、私たち(共産党なども?)は、海外派兵は一切認めないという1990年(湾岸戦争1991年、PKO協力法1992年)に戻ることを主張すべきではないか。
 
 以上の2点以外にも、色々と示唆に富むご意見が伺えたと思います。レジュメを読み返すことによって、また新たな発見もあるでしょう。
 2日連続での「名古屋大学大学院教授から学ぶ憲法をめぐる動向」、私を含め、2日続けての聴講者はかなりいたようです。実に貴重な体験であったことをご報告します。 
 

(弁護士・金原徹雄のブログから/安倍改憲メッセージ関連)
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