2020年4月30日配信(予定)のメルマガ金原No.3461を転載します。
2020年のゴールデンウイークに自宅で読む本~読めるかな?
4月7日に東京、大阪など7都府県を対象に発令された緊急事態宣言(新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条に基づく)が同月16日に全国に拡大されてから2週間、最も長いところでは、4月25日(土)から5月10日(日)までの16連休に入っている事業所もあるようですが、コロナ問題発生前には暦通りの営業を予定していた事業所でも、今日(4/30)・明日(5/1)の2日間を休みとして、4月29日から5月6日までの8連休としたところも多いのではないでしょうか。
昨年は、天皇家代替わりということで特別に10連休となりましたが、今年は全く想定外の新型コロナウイルス感染症対策のために、思わぬ長期休暇ということになってしまいました。
もちろん、医療関係者、保健所等感染症対策の最前線を担う機関で働く人々の他、生活必需物資の製造、販売、物流に携わる方など、大型連休どころではないという多くの皆様がおられることは決して忘れてはならないことです。
とにかく、極力対人接触を避けるのが至上命題ということなので、行楽地に出かける訳にもいかず、好むと好まざるとにかかわらず、誰もが自宅で長い時間を過ごすことになるはずの今年のゴールデンウイークです。
そもそも、ゴールデンウイークという言葉自体、日本の映画業界が編み出した宣伝用の和製英語だそうですが、その肝心の映画を観るための映画館が全国的にほぼ休館状態となっており、否応なく自宅での鑑賞を余儀なくされます。
コロナ禍とは関係なく、普段からの延長でTV放映(地上派、BSなどを含む)やネット配信、レンタルビデオなどで映画を楽しむことができるのは当然ですが、休業を余儀なくされて経済的に苦境にある全国のミニシアターにも参加してもらい、映画館、配給、製作の当事者に「金が回るシステム」を構築するための「仮設の映画館」という試みがスタートしており、早速私も、ドキュメンタリー映画『春を告げる町』(島田隆一監督)を鑑賞したということは、このブログでご報告したとおりです(「仮設の映画館」がオープンしました!~まずは『春を告げる町』(島田隆一監督)を鑑賞/2020年4月26日)。
このシステムの提唱者である想田和弘監督の新作『精神0』も、明後日5月2日から「仮設の映画館」での上映が始まりますので、私も出来れば5月6日までの間に時間を見つけ、鑑賞したいと思っています。
ところで、本稿は、「これから読もう(出来ればゴールデンウイーク中に)」と思っている本のご紹介です。
私は、これまで、自分が読んだ本の感想をブログに書き留めることもしてきましたが(数は多くありません)、「これから読む本」の紹介(というか、「読むつもりで買ってきた本」の紹介)を書いたことも、思い出す限りで2回あります。それぞれどんな本を紹介したかというと、
2016年6月27日
文庫本を3冊買った、みんな素晴らしい本に違いない~『立憲非立憲』『音楽入門』『山之口貘詩集』
(購入した本)
佐々木惣一 著 『立憲非立憲』(講談社学術文庫)
伊福部 昭 著 『音楽入門』(角川ソフィア文庫)
高良勉 編 『山之口貘詩集』(岩波文庫)
2018年4月25日
「憲法」についての新書を2冊買った、これから読むけどお薦めします~『五日市憲法』『広告が憲法を殺す日 国民投票とプロパガンダCM』
(購入した本)
本間龍・南部義典 著 『広告が憲法を殺す日 国民投票とプロパガンダCM』(集英社新書)
新井勝紘 著 『五日市憲法』(岩波新書)
それで、上記5冊は「全部読んだのか?」という質問への答えは、まあ言わぬが花ということにしておきましょう。
ところで、当初の私のゴールデンウイーク読書計画(?)では、新しく購入するのではなく、既に購入済みだがまだ読んでいな本を考えており、4月27日の昼休みにはFacebookに以下のような投稿をしていました。
(引用開始)
連休中に旅行するのもはばかられるし、自宅で読書でもと考えておられる方も多いことでしょう。私も、未読の本なら自宅にいくらでもある(あり過ぎる)ので「どれにしようか」と目移りがします。漱石全集(岩波の一つ前の版)のうち、まだ読んだことのない巻にするか(『文学論』&『文学評論』など?)、あるいはダニエル・キイスの一連の小説も悪くないとか色々考えますが、今のご時世、みんなが読み始めたという『ペスト』(カミュ)を引っ張り出すか(昔読んだか、買っただけか記憶があやふや)、それともヨーロッパの古典『デカメロン』(ボッカッチョ)にするかとも考えています。14世紀に書かれた『デカメロン』については、ちくま文庫(全3巻
柏熊達生訳)で買って、全然読んでいなかったのですが、数年前に受講した放送大学の講義の中で取り上げられたのを機に冒頭の2~3話(全部で100話ある)を読んだことがあるだけです。西洋の艶笑物語集とだけ捉えられがちな『デカメロン』が、「1348年に大流行したペストから逃れるためフィレンツェ郊外に引きこもった男3人、女7人の10人が退屈しのぎの話をするという趣向」という枠組みであることはその時知りましたが、この状況から考えれば、今が『デカメロン』を読むのに最も相応しい時期なのかもしれません。
※Wikipedia「デカメロン」
(引用終わり)
そこで、5月6日までの休みを利用して、『デカメロン』を読むことを考えていたのですが、昨日(4/29)、ある雑誌を求めて大型書店を訪れたついでに、文庫本の新刊コーナーに立ち寄ったところ、どうしても買いたい本が3種類見つかり、全部購入してしまいました。これにより、『デカメロン』読書計画は頓挫し、以下の本(冊数では4冊)がこのゴールデンウイーク中に読破すべき目標となりました。
早速、版元のホームページから内容紹介の文章を引用してみましょう。
ルース・ベネディクト著/岡部大樹 訳 『レイシズム』
講談社学術文庫 2020年4月8日 第1刷発行 920円(+税)
「日本人論の「古典」として読み継がれる『菊と刀』の著者で、アメリカの文化人類学者、ルース・ベネディクトが、1940年に発表し、今もロングセラーとなっている RACE AND RACISMの新訳。
ヨーロッパではナチスが台頭し、ファシズムが世界に吹き荒れる中で、「人種とは何か」「レイシズム(人種主義)には根拠はあるのか」と鋭く問いかけ、その迷妄を明らかにしていく。「レイシズム」という語は、本書によって広く知られ、現代まで使われるようになった。
「白人」「黒人」「黄色人種」といった「人種」にとどまらず、国家や言語、宗教など、出生地や遺伝、さらに文化による「人間のまとまり」にも優劣があるかのように宣伝するレイシストたちの言説を、一つ一つ論破してみせる本書は、70年以上を経た現在の私たちへの警鐘にもなっている。
訳者は、今年30歳の精神科医で、自らの診療体験などから本書の価値を再発見し、現代の読者に広く読まれるよう、平易な言葉で新たに訳し下ろした。グローバル化が急速に進み、社会の断絶と不寛容がますます深刻になりつつある現在、あらためて読みなおすべきベネディクトの代表作。」
浅見雅男 著 『もうひとつの天皇家 伏見宮』
ちくま文庫 2020年4月10日 第1刷発行 1200円(+税)
「第二次世界大戦後、皇籍を離脱した11の宮家――。その全ての源流となった伏見宮家とは、一体どのような存在だったのか?どのようにして誕生したのか?皇位継承問題で揺れる昨今。「旧宮家の復活」を求める声も聴こえてくるが、消滅に至るまでの歴史や事実を知らぬまま、易々と論じることはできないはずだ。南北朝時代にまでさかのぼる伏見宮の始まりから、明治・大正・昭和天皇との関係性までを網羅した、天皇・皇室研究に必携の一冊。」(ホームページの紹介文が簡単過ぎたので、文庫本のカバー裏記載の文章を転記しました)
※単行本は2012年刊行(講談社)。
岩波現代文庫 2020年4月16日 第1刷発行 1880円(+税)
ジョン・ロールズ 著/サミュエル・フリーマン編/齋藤純一・佐藤正志・山岡龍一・谷澤正嗣・髙山裕二・小田川大典 訳
岩波現代文庫 2020年4月16日 第1刷発行 1820円(+税)
「ロールズが退職するまで三十年間ハーバード大学で行った「近代政治哲学」講座の講義録。自らの〈公正としての正義〉という構想に照らして、リベラリズムの伝統をつくった八人の理論家(ホッブズ、ロック、ヒューム、ルソー、ミル、マルクス、シジウィック、バトラー)を取り上げて解説する。『正義論』読解に不可欠の書。」
『レイシズム』と『もうひとつの天皇家
伏見宮』については、ネット情報で刊行されたこと自体は知っており、そのテーマに興味を引かれていたのですが、昨日実際に手に取ってみて購入を決意しました。やはり、全てをネット通販でという訳にはいきませんよね。
『ロールズ 政治哲学史講義』は、2011年に岩波書店から単行本が刊行された際に書店で手に取り、購入するかどうか相当に迷ったのですが、買っても積んだままになりそうであり、値段も高かったので結局断念したものでした。それが9年経って文庫化され、衝動的に買ってしまいました。一つには、先月、同じく岩波現代文庫から刊行されたロールズの『公正としての正義
再説』を買ったばかりだった(まだ序文しか読んでいないけれど)からということもあります。
ロールズの主著『正義論』はまだ未購入ですが、まずはその周辺の講義録から読んでいければと思って購入しました。けれども、2冊合計で1000ページ近くもあり、ゴールデンウイーク中に読めるだろうか?・・・多分難しいでしょうね。
(付録)
よしだよしこ『She said NO !』(よしだよしこ DVD 2016 Season I より)
作詞作曲:よしだよしこ
※現代リベラリズムの代表的論者であるジョン・ロールズ(1921~2002)を読もうというブログの(付録)としては、ローザ・パークスを歌ったよしだよしこさんのこの曲が相応しいと思いました。
※よしだよしこさんの「オリジナル・エコバッグ」(1500円+税)が好評発売中です。私も公式サイトの通販「注文フォーム」から申し込んで入手しました。素敵なデザインで縫製もしっかりしていますよ。今年の7月からはレジ袋が有料化されますので、是非お買い求めください。
CDやDVDもご一緒に。私のお薦めは、『「She said NO!」フツウノコトバたち』が売り切れなので、やはり『笑って唄って』(CD/2500円)かな。歌詞カードは付いていませんが、ホームページからダウンロードできます。