弁護士・金原徹雄のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します。

社会

『増補版 熊野・新宮の「大逆事件」前後-大石誠之助の言論とその周辺』(辻本雄一著/論創社刊)刊行のお知らせ

 20231229日配信(予定)の「メルマガ金原No.3539」を転載します。
 Facebookにも同内容で掲載しています。

『増補版 熊野・新宮の「大逆事件」前後-大石誠之助の言論とその周辺』(辻本雄一著/論創社刊)刊行のお知らせ

 過去、私が「ブログ毎日更新」をしていた頃(2013年1月から2019年1月までの丸6年間)、憲法問題や(特に初期は)原発問題をテーマに取り上げることが圧倒的に多かったのですが、そのどちらとも言えないが、結構、何年にもわたり、何度も取り上げてきたテーマの1つが「『大逆事件』と和歌山~特に大石誠之助について」でした。

 私が過去そのテーマで書いた記事は、一番最後の新宮市名誉市民記念・企画展「大石誠之助とはどんな人?」(2018年10月2日~2019年2月24日@佐藤春夫記念館)のご案内」(2018年9月16日)の巻末に掲載したリストにリンクを貼っていますので、ご参照いただけると幸いです。

 そして、私が継続して上記テーマに関心を持ち続けた最も大きな要因となったのが、ほぼ10年前(2014年2月)に刊行された『熊野・新宮の「大逆事件」前後-大石誠之助の言論とその周辺』という本でした。
 私がこの本を知ったのは、その著者である辻本雄一先生(新宮市立佐藤春夫記念館館長)を和歌山市にお招きし、2014年5月に「熊野・新宮の『大逆事件』」と題してご講演いただくこととなった際、企画の中心となっていた松浦攸吉さん(平和と憲法を守りたい市民の声)から、刊行されたばかりの上記書籍を紹介していただいたのがきっかけでした。
 その後も、上記ブログで詳しくご紹介している人と人との繋がりなどもあり、辻本先生からはご厚誼をいただいてきており、2017年には念願の佐藤春夫記念館訪問がかない、辻本先生に詳しく館内をご案内いただいたりしてきました。

 さて、その『熊野・新宮の「大逆事件」前後-大石誠之助の言論とその周辺』の待望の増補版が、来たる2024年1月10日に、初版刊行から10年ぶりに発行されることになりました。
 ところで、皆さんは「増補版」と聞いてどういうことを想像されるでしょうか。
 私は、今、初版と印刷されたばかりの増補版を見比べているのですが(ありがたいことに著者からの「謹呈本」が昨日届きました)、圧倒的にページ数が増えていることは一見しただけで明らかです。
 詳しく調べてみると、
  初版の最終頁  393頁
  増補版の最終頁  687頁
ということで、ほぼ300頁の増加となっています。
 目次で確認してみると、初版の最終章は「第Ⅳ部 第11章 熊野における「大逆事件」余聞-漱石の俳句と大石ドクトル一統、そして中上文学へ」でしたが、増補版では、以下の章が新たに付け加えられていました(版元ドットコムから引用)。

 増補版の定価「5,000円+税」を高いと思われる方もおられるでしょうが、約300頁の新稿を付け加え、おそらく旧稿部分の修正も行い、カバーも新しくして、「3,800円+税」からわずか1,200円(+税)アップにとどめたのは、この種の研究書の常識からすると、版元(論創社)の英断だと思います。
 いわば、「正編」と「続編」の2冊を合本としたような「増補版」です。

 是非1人でも多くの方に手に取っていただきたく、ご案内することと致しました。

(通販サイト)
AMAZON 
楽天ブックス 
紀伊國屋書店ウエブストア 

(増補部分)
第Ⅴ部
 第十二章 大石誠之助における「信仰」の問題
 はじめに
 1 誠之助とキリスト教・兄余平の影響
 2 「大逆事件」・獄中の誠之助・刑死とその後
 
 第十三章 大石誠之助の獄中落書きに寄せて

 第十四章 在米・岩佐作太郎の京都帝大学生宛の「公開状」
 「公開状」(抄)

 第十五章 熊野川を遡る「新思想」

 第十六章 牧師作家沖野岩三郎の『宿命』を読み解く
       ――「大逆事件」との遭遇と熊野・新宮時代
 はじめに―「有りの儘」と「萬年筆と原稿紙の生まれた話」
 1 「懸賞小説に当選して 応募について」の感想から
 2 新聞連載時改稿と作品「宿命」の問題
 3 新宮時代の初期作品から
 4 与謝野晶子来訪の問題
 5 「細部」の「事実」から読む「宿命」
 6 「沖野神話」のひとり歩き
 おわりに

 第十六章付表・牧師作家沖野岩三郎の『宿命』を読み解く(含・関連年譜)

 第十七章 与謝野寛の詩「誠之助の死」成立にみる、晶子の「大逆事件」
 1 一九一五(大正四)年三月、晶子「熊野行」の意味
 2 「誠之助の死」成立の背景
 3 与謝野夫妻と沖野岩三郎の文学的出発
  【付・参考資料】

 第十八章 「大逆事件」の受刑者たち
       ――いわゆる「紀州グループ」と言われた人たちをめぐって
 はじめに
 1 「犠牲者」六名の人と為り
 2 六名のその後
 3 成石勘三郎の「獄中手記」と崎久保誓一の「名誉回復」への願い
 4 再審請求と棄却の問題
 おわりに

 第十九章 「大逆事件」と熊野の人びとの「現代」
 はじめに
 1 「大逆事件」とは―石川啄木の慧眼
 2 「大逆事件前夜」の熊野新宮
 3 犠牲者の名誉回復から大石名誉市民の実現まで

 第二十章 大石誠之助の名誉市民実現をめぐって 
 1 「咽のど喉に刺さったトゲ」
 2 反骨の榾火―大石誠之助の名誉市民推挙を支える信念
 3 大石誠之助、名誉市民実現に際して
 4 〔年表〕 大石誠之助・新宮市名誉市民実現までの道のり

 第二十一章 熊野反骨の系譜
 1 十津川からの「眼差し」―文武館と「隠岐コミューン」と新宮でのキリスト教受洗
 2 畑下(山口)熊野の自由民権運動時代
 3 自由民権運動と熊野地方
 4 印東玄得のこと―追悼碑建立の「気骨」の裏側で
 5 印東熊児が古河力作に贈った「豆本聖書」
 6 異境の地での「大逆事件」研究―仲原清のこと
 7 「発禁・熊野誌」六号への濱畑榮造氏の書き込み
 8 「煉瓦の雨」の下敷きになった大石余平の最期
 9 死刑判決を報じる、幻の「熊野日報」の号外
 10 「大逆事件」を機に追放された教師たち―八十三年前の「新聞投稿」に触発されて
 11 西浦宇吉の歩み 
 12 沖野岩三郎の「紀南半島夜話」―大石誠之助と津田長四郎への追悼文
 13 崎久保誓一、名誉回復への願い
 14 坂本清馬、「大逆事件」再審請求の執念と棄却
 15 戦争の最中、玉置酉久の讃美歌に誘われて
 16 佐藤春夫の父豊太郎の「懸泉堂割譲」への反発
 17 佐藤春夫、「老父の賜物」、中国趣味と「強権」への抗いと
 18 在野の東欧文学研究・エスペランチスト栗栖継・『真実へのひとり旅』
 19 伊達李俊の悲劇
 20 管野須賀子の「針文字」展示
 21 没後20年の中上健次
 22 抵抗の画家・石垣栄太郎は熊野人
 23 反戦平和の信念を貫いた女性・北林トモ
 24 「人権を取り戻す」―果敢に闘った木村亨
 25 堺利彦の故郷、みやこ町・豊津を訪れて

 第二十二章 書評など
 1 新たな「大逆事件問題」を提起―田中伸尚著『大逆事件―死と生の群像』を読んで
 2 I am only a free thinker ―黒川創著『きれいな風貌―西村伊作伝』を読む
 3 峰尾節堂のこと―田中伸尚著『囚われた若き僧峯尾節堂 未決の大逆事件と現代』を読む

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『司法はこれでいいのか―裁判官任官拒否・修習生罷免から50年』(現代書館)出版記念集会(2021年4月24日)の動画ご紹介

 2021522日配信(予定)のメルマガ金原No.3492を転載します。

『司法はこれでいいのか―裁判官任官拒否・修習生罷免から50年』(現代書館)出版記念集会(2021424日)の動画ご紹介

 去る4月24日、東京において、『司法はこれでいいのか―裁判官任官拒否・修習生罷免から50年』(23期・弁護士ネットワーク著/現代書館)の出版を記念した集会が開催されました。主催等は以下のとおりです。

司法はこれでいいのか。: 裁判官任官拒否・修習生罷免から50年
23期・弁護士ネットワーク
現代書館
2021-04-06


主催:23期弁護士ネットワーク
共催:青年法律家協会弁護士学者合同部会
協賛:日本民主法律家協会

 この集会の模様を収録した動画がNPJ(代表の梓澤和幸先生も23期ですね)から公開されていますのでご紹介します。


 何しろ全編で3時間17分にも及ぶ長大な動画なので、私もまだつまみ食い的にしか視聴していませんが、以下に集会の概要を引用します。

(引用開始)
☆総合司会 澤藤統一郎
☆出版と集会の趣旨説明 村山 晃
☆挨拶 阪口徳雄(23期修習生罷免当事者)
☆メッセージ(代読) 宮本康昭氏 (13期再任拒否当事者)

第1部 パネルディスカッション (司法の現状把握と希望への道筋)
☆司会 梓澤和幸
☆パネラー冒頭発言
 ・西川伸一氏 司法の現状:制度と運用の実態をどう把握するか
 ・岡田正則氏 司法の現状:司法はあるべき職責を果たしているか
 ・伊藤 真氏 司法の希望への道筋をどう見い出すか。
☆各パネラーへの質疑と意見交換

第2部 具体的事件を通じて司法の希望を語る
☆司会 北村 栄、豊川義明
☆報告者
 1 東海第二原発運転差止訴訟弁護団  丸山幸司弁護士
 2 生活保護基準引下げ違憲大阪訴訟  小久保哲郎弁護士
 3 「結婚の自由をすべての人に」北海道訴訟  皆川洋美弁護士
 4 建設アスベスト京都1陣訴訟弁護団  谷 文彰弁護士
 5 東京大空襲訴訟弁護団  杉浦ひとみ弁護士
☆フリーディスカッション
 冒頭発言 森野俊彦 (23期・元裁判官)
 会場・Zoom参加者からの発言
 ※どうすれば、裁判官の共感を獲得できるか。
 ※個別事件での獲得課題と司法を変えていく課題とはどう結びつくか。
 ※司法の独立・民主化に向けて今何が課題なのか など。
☆議論のまとめ 「司法の希望を切り開くために」 豊川義明

☆青法協弁学合同部会議長挨拶
 ・上野 格
☆閉会あいさつ
 ・梓澤和幸
(引用終わり)

 私は司法修習41期で、1989年(平成元年)に弁護士になりましたから、23期の皆さんは法曹界の大先輩なのですが、それにしても「多士済々」というのはこの「期」のためにあるような言葉だと感心します。

 ところで、上記集会の登壇者・発言者の顔ぶれを眺めてみると、私の地元和歌山にご縁のある方が少なくとも2人おられます。
 森野俊彦元裁判官はかつて和歌山家裁の上席裁判官としてお世話になりましたし、集会の主役(?)の1人である「修習生罷免から50年」の当事者である阪口徳雄弁護士(大阪弁護士会)は、和歌山で司法修習された大先輩なのです。

 記念出版や集会のタイトルとなった50年前の「裁判官任官拒否・修習生罷免」は法曹界にとっての大事件で、このために日本弁護士連合会は臨時総会を開催し(1971年5月8日)、以下の2つの決議を採択したほどです。

 第一決議 裁判官の再任拒否に関する決議 
 第二決議 司法修習生の罷免に関する決議 

 先ほど、23期の先輩方を「多士済々」と評しましたが、多感な修習生時代(1969年4月~1971年4月)を、「政治の時代」(ひょっとしたら今のところ「最後の政治の時代」だったかもしれません)の荒波に翻弄されて過ごされた世代であったということと深く関連しているのかもしれません。
 私もじっくりと視聴させていただこうと思います。

東京オリンピックは中止すべきか~志位和夫日本共産党委員長の代表質問と菅義偉首相の答弁を視聴した(文字起こし付)

 2021123日配信(予定)のメルマガ金原No.3488を転載します。

東京オリンピックは中止すべきか~志位和夫日本共産党委員長の代表質問と菅義偉首相の答弁を視聴した(文字起こし付)

 2019年1月25日までの丸6年間、ブログ毎日更新を続けている間は、秘密保護法、安保法制、共謀罪など、問題法案が目白押しであり、国会論戦もそれなりに時間をかけてフォローしていました。
 そこで気が付いたことは、日本共産党の「質問力」のレベルが非常に高いということでした。もちろん、他の野党にも、周到な準備を踏まえて鋭く踏み込んだ質問をする議員はたくさんいましたが、共産党は、党としての調査力、分析力が一段他党よりも勝っているのではないかという印象を受けたということです。
 中でも、2015年の安保法制審議に際しての志位和夫委員長による質疑に感心した私は、巻末にご紹介したとおり、衆議院特別委員会での2日にわたる志位委員長の質疑を6回分載で「読み解く」ことまでしたほどです。

 体調の問題から、ブログ毎日更新が途絶え、ブログを書くのはせいぜい月に2~3回となって以降は、国会論戦も以前ほど熱心にフォローしなくなり、ネット記事であとから気が付くということが多くなりました。これは何とかせねばと思っているのですがね。
  その「何とかする」ためのウオーミングアップとして、1月20日から始まった各党代表質問のうち、1月21日の衆議院本会議で行われた志位和夫日本共産党委員長による代表質問と、それに対する菅義偉内閣総理大臣の答弁を聴いてみることにしました。
 ただし、今日は、そのうちの「今夏の東京オリンピックを中止すべきか否か」というテーマに絞りました。まだ衆議院WEBサイトには、本会議の会議録がアップされていませんので、衆議院インターネット審議中継で視聴しながら自分で書き起こししてみるという作業を自らに課しましたので、時間と体力の都合から、これくらいがウオーミングアップには適当と判断しました。
 志位委員長による代表質問の概要が、しんぶん赤旗WEB版に掲載されているので読んだところ、オリンピック中止を迫るポイントを3つの具体的な問題点に絞って質問していることに感心したため、インターネット審議中継で実際の発言を確認し、文字起こしすることにしたものです。

 マスクをしているから、という事情もあるのでしょうが、2015年の安保法制審議の際に比べると、さすがの志位委員長も、声の調子がいまひとつかな、と思わざるを得ないのは残念でしたが、それでも早口に原稿を読み飛ばしていく菅首相の滑舌の悪さに比べればはるかにましです。それに、質問の内容自体は、限られた時間の中で説得力を持たせるため、しっかりと吟味されていました。

 なお、志位委員長の質問だけというわけにもいかないので、菅首相によるオリンピック関連部分の答弁も書き起こししましたが、「ワクチンを前提としなくても、安全・安心の大会を開催できるよう準備を進めています」には議場から(主に野党席からでしょうが)呆れたようなどよめきが起こり、「必要な医療体制については、地域医療に支障を生じないよう、東京都、組織委員会などと連携しつつ準備を進めてまいります」については、目的と手段が乖離していないか、心配になるところです。
 答弁を起案したのは官僚でしょうが、このテーマ(オリンピック)については、官僚も既に「投げて」いるのではないか、などと思ったりしました。

 皆様も、じっくり比較して味わっていただければと思います。

2021年1月21日 衆議院本会議より

志位和夫日本共産党委員長 
衆議院インターネット審議中継 1時間28分45秒~1時間31分33秒 
日本共産党YouTubeチャンネル動画 16分20秒~19分08秒

 総理は施政方針演説で、今年の夏の東京オリンピック・パラリンピックを、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として開催すると述べました。しかし、コロナ機器の拡大の下、世論調査でも、中止・再延期を求める声は既に8割を超えています。総理は一体何を根拠に夏の東京五輪の開催が可能だと言うんですか。説明いただきたい。
 我が党は、夏の東京五輪の開催は、いくつもの重大な問題点があると考えます。
 第一に、一部の国でワクチン接種が始まったものの、集団免疫については、WHOの主任科学者は、「2021年中に達成することはあり得ない。いくつかの国ではできるかもしれないが、世界全体の人が守られる水準になることはない」と述べています。ワクチンを頼りに、開催を展望することはできないのではありませんか。
 第二に、アスリートが最も強く願っている「フェアな大会」という点でも、各国の感染状況の違いによって、アスリートの置かれている練習などの環境に大きな較差があり、ワクチンの接種でも、先進国と途上国との間で較差が生じています。「アスリート・ファースト」という立場からも、開催できる条件がないのではありませんか。
 第三に、五輪開催期間中に必要とされる医療従事者は、熱中症対策だけでも5,000人とされています。これに、PCR検査などコロナ対策を加えたら、これをはるかに上回る医療従事者が必要となるでしょう。半年後に、多数の医療従事者を医療現場から引き離して五輪に振り向けることはとても現実的ではないのではありませんか。
 総理は、これらの問題点をどう考えますか。日本共産党は、これらの問題点を考慮するならば、今年夏の五輪開催は中止し、日本と世界のあらゆる力をコロナ収束に集中するべきだと考えるものであります。
 総理に求めたい。開催国の政府として、「五輪開催ありき」でなく、ここで立ち止まって、ゼロベースから開催の是非を再検討し、東京都、組織委員会、IOCなどとの協議を開始すべきではありませんか。答弁を求めます。

菅義偉内閣総理大臣 
衆議院インターネット審議中継 1時間42分38秒~1時間44分08秒 
日本共産党YouTubeチャンネル動画 30分13秒~31分41秒 
 コロナ危機と東京五輪の開催についてお尋ねがありました。まずは、新型コロナウイルスの克服に全力を尽くします。東京大会については、安全・安心の大会を実現するため、IOCや各競技団体とも相談しながら、感染対策の具体的内容を検討してまいります。バッハ会長とも、東京五輪を必ず実現をし、今後とも緊密に協力していくことにしており、引き続き東京都、大会組織委員会、IOCなどと緊密に連携して準備をしっかりと進めてまいります。
 ワクチン、アスリートとの問題、医療体制についてお尋ねがありました。アスリートも含めて、感染症対策をしっかり行うことにより、ワクチンを前提としなくても、安全・安心の大会を開催できるよう準備を進めています。また、必要な医療体制については、地域医療に支障を生じないよう、東京都、組織委員会などと連携しつつ準備を進めてまいります。
 東京五輪の開催の再検討についてお尋ねがありました。さきほど申し上げましたとおり、新型コロナウイルス克服に全力を尽くし、引き続き万全な感染対策を検討し、準備をしっかりと進め(以下聴取不能ですが、文脈からいうと「ております」ですかね)。

(弁護士・金原徹雄のブログから)
2015年5月28日 
国会論戦はこうありたい~志位和夫日本共産党委員長による安倍首相追及を多くの人に視聴して欲しい 
2015年6月1日 
志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く(1)~自衛隊は「戦闘地域」に派遣される 
2015年6月2日 
志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く(2)~必ず戦死者が出る 
2015年6月3日 
志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く(3)~兵站は軍事行動の不可欠の一部 
2015年6月4日 
志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く(4)~治安維持でも「殺し、殺される」 
2015年6月5日 
志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く(5)~日本は“米国の戦争”に反対したことはただの一度もない 
2015年6月6日 
志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く(6/完)~ベトナム戦争とイラク戦争を教訓としない国

(あしたの朝 目がさめたら 弁護士・金原徹雄のブログ2 から)
2015年6月6日 
志位和夫日本共産党委員長による安保法制特別委員会質疑(まとめ)

放送大学・ラジオ科目「感染症と生体防御('18)」(45分講義×15回)がインターネットで全編公開(OCW)されています

 20201218日配信(予定)のメルマガ金原No.3483を転載します。

放送大学・ラジオ科目「感染症と生体防御('18)」(45分講義×15回)がインターネットで全編公開(OCW)されています

 私が、COVID-19感染症の蔓延という事態の下、私自身が学生として在籍する放送大学に対し、ラジオ科目「感染症と生体防御('18)」(45分講義×全15回)をOCW(オープンコースウエア)として、全編インターネットで公開して欲しいと大学当局にお願いするブログを書いたのが今年の8月2日のことでした。

2020年8月2日 
放送大学はラジオ科目「感染症と生体防御('18)」全15回を全編インターネットで公開してください 

 また、その翌8月3日には、放送大学の学生(私のことですが)から大学当局に対する「要望書」の形に書きあらためて郵送しました。この「要望書」については、以前のブログ(放送大学「危機の時代に考える」(全15回をWEBで公開)視聴の勧め/2020年9月6日)でもご紹介しましたが、以下に本文のみ再掲します。 

(引用開始)
(要望の趣旨)
 本学開講科目(ラジオ)「感染症と生体防御('18)」全15回をオープン・コース・ウェア(OCW)として、速やかに全編インターネットで公開されることを要望致します。

(要望の理由)
 日頃より、私たち学生にとって生涯学習の拠点である本学の運営に多大のご配慮をいただき、心より御礼申し上げます。
 また、本年上半期に発生したCOVID-19感染症の蔓延という事態に際し、実施できなくなった面接授業の代替措置としてのWEB講義を短時間のうちにご用意いただくなど、単位認定試験の代替方法の策定などを含め、適切なご配慮をいただき、感謝申し上げます。
 さて、私が居住する和歌山県におきましても、いったんは収束したかに見えた新型コロナウイルスによる感染者が、7月9日以降、第一波襲来時を上回るペースで増加しており、県の担当者自ら「第二波襲来であると認識している」と明言している状況です。
 このような中、本学・生活と福祉コース開設科目である「感染症と生体防御('18)」をシステムWAKABAを通じて視聴したところ、感染症についての正しい基礎知識を身につける上で、非常に有益な科目であることを確信し、次学期には科目登録したいと考えております。
 ところで、本学学生であれば、上記科目の全講義を、システムWAKABAを通じていつでも視聴できますが、一般には、その第1回のみが公開されているに過ぎません。
 本学では、既にテレビ授業32科目、ラジオ授業24科目が、15回の講義全てをインターネットで視聴できるように公開されており(OCW)、「感染症と生体防御('18)」をこれに加えることは、主任講師、分担講師の先生方のご了解さえあれば、それほど困難なことではないと思われます。
 COVID-19をめぐっては、様々な言説がマスメディア、ネット空間を飛び交っており、自らの思考の拠り所としての、学説上の共通認識(到達点)についての正しい知識を身につけることが、今ほど求められている時はないと存じます。
 そして、本学開設科目「感染症と生体防御('18)」は、まさにそのような国民的要請に応え得る素晴らしいツールであると思います。
 放送大学に期待される使命から見ても、現時点において、最も歓迎される社会貢献となるのではないかと考えます。
 以上の理由により、「要望の趣旨」記載のとおり、「感染症と生体防御('18
)」全15回をOCWとして、全編インターネットで公開されることを要望致します。
(引用終わり)

 私が言いたかったことは上記「要望書」に尽きるのですが、さてその結果です。「要望書」は送ったものの、そう簡単には実現しないかもしれないと思っていたところ、9月下旬、私の自宅に放送大学から封書が届き、開けてみると、何と学長の來生新先生からの「要望書」に対するお礼と現状報告のお手紙であり、はなはだ恐縮したことでした。
 來生学長は、「要望書」の趣旨に賛意を示された上で、「感染症と生体防御('18)」全15回を公式サイトで一般向けに公開するにあたっては、学内手続きにそれなりに時間を要するが、必ず実現する見通しであると説明してくださっていました。

 ということで、その後、おりおりには放送大学のホームページを確認していたのですが、しばらくチェックを怠っていたところ、本日(12月18日)、

放送大学公式サイト トップページ 
 ↓ 
特集 
 ↓ 
新型コロナウイルス状況下での学習をサポートする学習コンテンツのご提供 

上記ページを確認してみると、「OCW(全15回公開) ラジオ」の上から4番目に「感染症と生体防御(’18)」が掲載されており、45分講義×全15回が全編公開されていることに気が付きました。

 本講義はラジオ科目ですから、基本的に音声のみで動画はありませんが、この科目は、逐語的に字幕を表示する機能も付いており、字幕を表示したい場合には、画面右下に4個並んでいるうちの右から2番目のボタン(Settings)をクリックし、「Subtitles」の右側を選択してください(左側を選択すると字幕は表示されません)。

 以下に、「感染症と生体防御('18)」のシラバスから、講義概要と各回の担当講師名をご紹介しておきます。

(引用開始)
感染症と生体防御(’18)
主任講師名:田城 孝雄(放送大学教授)、北村 聖(地域医療研究所シニアアドバイザー)

【講義概要】
本講義は、人間の健康について広範に論ずる「健康科学」の中の講義の一つとして実施される。健康科学は人間生活に密接に関わる学問であることから、感染症関係では昨今の話題であるHIV、結核はもとよりSARS、新型インフルエンザなどの新興・再興感染症と医療現場での感染症問題に特に焦点を当てた。また、生態防御については、免疫システムの多様性と多型性、自然免疫と獲得免疫、自己免疫と免疫が関与する疾患などを中心に免疫学の最近の動向についてわかりやすく疾患との関係も踏まえながら講義を行う。

【授業の目標】
交通機関の発達、生活様式の変化、そして医療技術の進歩や医療行為に伴い現代社会に脅威を及ぼしている感染症の特徴を正しく理解するとともに、これら感染症などに対処するためにヒトが有している免疫システムの特徴および多様性について理解を得るようにする。

【各回のテーマと授業内容】
第1回 ヒトと感染症の歴史
講師名:田城 孝雄(放送大学教授)

第2回 免疫学総論
講師名:北村 聖(地域医療研究所シニアアドバイザー)

第3回 細菌感染と免疫応答
講師名:北村 聖(地域医療研究所シニアアドバイザー)

第4回 ウイルス感染と免疫応答
講師名:北村 義浩(元国際医療福祉大学教授)

第5回 市中感染症①
講師名:岩田 健太郎(神戸大学教授)

第6回 市中感染症②
講師名:岩田 健太郎(神戸大学教授)

第7回 結核
講師名:乾 啓洋(順天堂大学准教授)

第8回 HIV感染症
講師名:乾 啓洋(順天堂大学准教授)

第9回 真菌感染症
講師名:高橋 優三(岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授)

第10回 寄生虫感染症
講師名:高橋 優三(岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授)

第11回 衛生動物による健康被害
講師名:高橋 優三(岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授)

第12回 医療関連感染症①
講師名:矢野 晴美(筑波大学教授)

第13回 医療関連感染症②
講師名:矢野 晴美(筑波大学教授)

第14回 予防接種と感染症
講師名:北村 義浩(元国際医療福祉大学教授)

第15回 21世紀の感染症の課題-国内と国際保健の課題-
講師名:田城 孝雄(放送大学教授)
北村 義浩(元国際医療福祉大学教授)
高橋 優三(岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授)
(引用終わり)

 ところで、本日(12月18日)現在、15回の講義全てがインターネットで公開されている(OCW)放送大学の科目は、テレビ授業41科目、ラジオ授業40科目に達していました。
 本年度はじめ(4月)に確認した時点では、たしか、テレビ授業32科目、ラジオ授業24科目であったと思いますので、この間、新型コロナウイルス感染症拡大の収束が見通せないという状況の下、「新型コロナウイルス状況下での学習をサポートする学習コンテンツ」という位置付けから、「感染症と生体防御('18)」だけではなく、多くの科目を追加公開するという判断に至ったのではないかと推測します。
 是非、公開されているテレビ科目、ラジオ科目の一覧に目を通し、ご自身が興味を持たれた科目を見つけた上で、じっくりと視聴・学習していただければと思います。

ある日の挿話

 2020827日配信(予定)のメルマガ金原No.3477を転載します。

 本稿は、昨日(2020826日)、私のFacebook及び第2ブログ(あしたの朝 目がさめたら)に掲載したものを転載するものです。

ある日の挿話

 平日の朝、和歌山市内の路線バスに乗車する機会など全くなかった私が、この8月半ば以降、3回も同じ路線のバスに乗っている。

 停留所の名前を出しても、和歌山市在住の人以外には少しも土地勘が働かないだろうが、私が乗ることになったのは、JR和歌山駅前を出発し、海南駅前を終点とする路線バスであり、私は、事務所近くの「公園前」停留所から乗車し、「医大病院前」で下車している。

 先日、3回目の時には、中学生と思しき生徒たちが多く乗車していたこともあり、前2回の時とは異なり、乗車した際には座る席がなかった。
 ただ、「市役所前」と「県庁前」で降りる人もあり、特に「県庁前」では私の近くの席が空いた。

 その席のすぐ前に立っていた女子中学生は、その制服から、私のはるか後輩らしく、であれば、「県庁前」の次の「真砂町(まさごちょう)」で降りると思われた。
 実際、その女生徒は、空いた席に座るそぶりを見せず、かえって、近くにいた私が座りやすいように、身体を少し前方にずらしてくれたように見えた。
 私が、彼女に会釈してその席に座った際、女生徒も会釈を返してくれたようだった。
 予想通り、次の「真砂町」で、彼女や他の男女の中学生何人かが降りて行った。

 「真砂町」バス停で乗り降りする中学生といえば、私の後輩としか考えられないが、私がその中学校にバス通学していた60年代終わりから既に半世紀以上が経ち、当時、「どういう場合に席を譲ろうか」と考えていた私が、いまや中学生から席を譲られて、人も自分も怪しまない年齢に達したことにそれなりの感慨を覚えたという、残暑まことに厳しいある日の挿話である。

放送大学はラジオ科目「感染症と生体防御('18)」全15回を全編インターネットで公開してください

 202082日配信(予定)のメルマガ金原No.3476を転載します。

放送大学はラジオ科目「感染症と生体防御('18)」全15回を全編インターネットで公開してください

 今日は、去る4月19日に書いた「緊急事態宣言下での「放送大学」視聴の勧め~寺脇研さんの呼びかけに応えたひとりの放送大学学生として」の続編です。

 続編ですから、放送大学の学生ではない方のための、放送大学の基本的な授業提供システムについての説明を繰り返すことはしませんので、興味のある方は前編をお読みいただければ幸いです。

 今日書くことは、内容的には、1人の放送大学学生としての大学に対する「提言」ということになりますので、何もブログで公開せずとも、大学宛にメールか手紙を送れば良いようなものではありますが、出来れば他の放送大学の学生の皆さんにも読んでいただきたい気持ちもあり、ブログに書くことにしました。

 私は、巻末リストにあるように、自分が受講したり、受講し損なったりした(「日本美術史('14)」がそれですね)放送授業の視聴を皆さんにお勧めするブログを過去何本も書いていますが、今日は、これから(2020年2学期)受講申込みをするつもりの授業(ラジオ科目)をご紹介しようと思っていました。それは、生活と福祉コースの導入科目、「感染症と生体防御('18)」という科目です。
 少し長くなりますが、シラバスの重要部分をご紹介しましょう。

(引用開始)
感染症と生体防御(’18)
Infectious Disease and Host Defense ('18)
主任講師名:田城 孝雄(放送大学教授)、北村 聖(地域医療研究所シニアアドバイザー)
2020年度 [2学期]放送時間(BS531チャンネル)
(水曜)15:0015:45 ※107日から

【講義概要】
本講義は、人間の健康について広範に論ずる「健康科学」の中の講義の一つとして実施される。健康科学は人間生活に密接に関わる学問であることから、感染症関係では昨今の話題であるHIV、結核はもとよりSARS、新型インフルエンザなどの新興・再興感染症と医療現場での感染症問題に特に焦点を当てた。また、生態防御については、免疫システムの多様性と多型性、自然免疫と獲得免疫、自己免疫と免疫が関与する疾患などを中心に免疫学の最近の動向についてわかりやすく疾患との関係も踏まえながら講義を行う。

【授業の目標】
交通機関の発達、生活様式の変化、そして医療技術の進歩や医療行為に伴い現代社会に脅威を及ぼしている感染症の特徴を正しく理解するとともに、これら感染症などに対処するためにヒトが有している免疫システムの特徴および多様性について理解を得るようにする。

【各回のテーマと授業内容】
1回 ヒトと感染症の歴史
感染症は、人間社会の脅威となってきた。交通機関の発達や医学の進歩により克服されたと思われていた感染症は、薬剤耐性を獲得するなどして、その様相を変えて再び現代社会の脅威となっている。講義では人類に脅威を及ぼしてきた感染症の変遷、そして対策の変化を理解する。
放送担当講師名:田城 孝雄(放送大学教授)

2回 免疫学総論
疫(感染症)を免れるという体の免疫のしくみ、免疫系を構成する要素とその働きについて解説する。抗体の構造と機能、抗体の種類とその生物学的活性、抗体の多様性を生み出す遺伝子の再構成、抗体を作り出すリンパ球の種類とその機能、リンパ球の働きを調節する分子等について述べる。
放送担当講師名:北村 聖(地域医療研究所シニアアドバイザー)

3回 細菌感染と免疫応答
細菌感染の概説、感染症を生じる病原細菌の分類と、感染経路と、生体防御機構の細菌感染に対する免疫応答について解説する。
放送担当講師名:北村 聖(地域医療研究所シニアアドバイザー)

4回 ウイルス感染と免疫応答
ウイルスの性質とウイルス感染の基本を学ぶ。ウイルス感染に対する宿主の免疫応答の基本も学ぶ。
放送担当講師名:北村 義浩(元国際医療福祉大学教授)

5回 市中感染症①
普段の社会生活を送っている中で罹患した感染症である市中感染症は最も一般的な感染症である。市中感染症に関して、その起因菌と診断について解説する。
放送担当講師名:岩田 健太郎(神戸大学教授)

6回 市中感染症②
普段の社会生活を送っている中で罹患した市中感染症に関して、その代表的な疾患を挙げて、診断と治療を講義する。感染症の診断には、病原体を検出する方法と、患者が示す免疫反応により診断する方法がある。感染症の治療の中心である化学療法薬の分類と実際の使用法について解説する。
放送担当講師名:岩田 健太郎(神戸大学教授)

7回 結核
人類とともに歩んできた結核が、現在もなお世界の大きな保健医療上の課題となっている現状を認識させるとともに、感染症としての結核についてその病原体、感染伝播の様式、発病にいたる経過などについて基本的な知識を習得させる。結核の発病、診断、治療そして予防について基本的な知識を習得させる。
放送担当講師名:乾 啓洋(順天堂大学准教授)

8回 HIV感染症
流行発覚後4半世紀の間に、HIVAIDS流行は推定感染者数4千万人というパンデミックに発展し、現在東アジアで急速に拡大しつつある。わが国は、多剤併用療法登場後も、HIV感染者とAIDS患者数が、未だに同時に増加を続けている稀な先進国である。HIV感染とAIDSの病態について解説する。
放送担当講師名:乾 啓洋(順天堂大学准教授)

9回 真菌感染症
真菌には種々の種類がある。発酵食品の製造で役立つものもあるが、住居や食べ物に生えて人々を不快にするカビもある。ヒトの体にも、この真菌が感染し水虫、フケなどの病害を及ぼす。症状が無く、本人が感染に気が付かない不顕性感染もあるし、体の深部にも感染が広がり、時には重篤となる場合もある。真菌感染症を防ぐ日常生活の知識を紹介する。
放送担当講師名:高橋 優三(岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授)

10回 寄生虫感染症
寄生虫感染症はウイルスや細菌などの感染症と比較して、生物学的、臨床的、また公衆衛生学的にも、興味深い側面を有している。病原体自身が高度に進化した動物であり、寄生適応にあたって、複雑な宿主-寄生虫相互作用を必要としている。感染の成立の条件を軸に、講義では、寄生虫感染がその地域の環境や文化に依存している例を挙げ、安全な海外旅行や食生活のための知識を紹介する。
放送担当講師名:高橋 優三(岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授)

11回 衛生動物による健康被害
衛生動物とは、人の健康に害を及ぼす有害な小動物の総称である。健康害としては、アレルギー反応(ダニ、蜂、蚊、ムカデなど)、有毒物質(蛇、アオバアリガタハネカクシ)、病原体の媒介(蚊、ツェツェバエ、マダニ、鼠、犬など)などが知られている。特にアナフィラキシーショック、熱性疾患(マラリア、アフリカ睡眠病、出血熱)、狂犬病などは、命に関わる重大関心事である。
放送担当講師名:高橋 優三(岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授)

12回 医療関連感染症①
(医療関連感染)
医療関連感染とは入院後、48時間以降に起こった感染症の総称である。代表的な医療関連感染の概要およびその包括的な予防策について学ぶ。
放送担当講師名:矢野 晴美(筑波大学教授)

13回 医療関連感染症②
(感染経路別感染対策と職業感染予防)
院内における感染経路のまとめと感染経路別感染対策について学ぶ。また医療現場での職業感染対策について、ワクチン接種および針刺し切創について学ぶ。
放送担当講師名:矢野 晴美(筑波大学教授)

14回 予防接種と感染症
ワクチンは病原体の一部分、あるいは病原性を減弱した病原体から作られる。感染症から身を守るためには治療よりもワクチンによる予防の方が効果的である。ワクチンと予防接種の基本とわが国の予防接種行政の仕組みの概略を学ぶ。
放送担当講師名:北村 義浩(元国際医療福祉大学教授)

15回 21世紀の感染症の課題
-国内と国際保健の課題-
わが国の感染症対策は明治維新以降の国家体制の整備とともにはじまり、医学の進歩等により感染症は急速に制圧されていった。しかしまた、これまで知られていなかった新たな感染症も出現している。感染症対策には医療体制の整備など発生時の的確な対応のみならず、法制度等の整備による事前対応型対策の展開、国際協力などの政策が重要となる。感染症が社会生活に及ぼす影響、国内外の対策、課題、今後の方向性を理解する。さまざまな感染症の世界的規模での流行が危惧される今日、これらに起因する健康被害の発生予防、拡大防止、治療対策を迅速に講じ、初期段階で感染症を制圧することが極めて重要である。途上国の感染症の実態に触れ、わが国の国際協力の在り方について探る。
放送担当講師名:田城 孝雄(放送大学教授)
北村 義浩(元国際医療福祉大学教授)
高橋 優三(岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授)
(引用終わり)

 放送大学の講義の多くは4年から6年で内容が改訂されますが、この「感染症と生体防御」も、私が放送大学の学生となった2008年以降も、2008年、2014年、2018年と改訂され、現在開講中の授業は2018年改訂版です。
 このように、改訂されながらずっと提供され続けていることは、看護師資格取得のための必須科目という位置付けがあるからかもしれませんが、その重要性がうかがい知れます。

 そして、今年に入ってからのCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の蔓延です。今この時にあたり、多くの国民が感染症に関する正確な基礎知識を身につける必要性が誰の目にも明らかとなっているのですから、放送大学でも、それなりの配慮があってしかるべきではないかと思い、まず、2020年第1学期(4月~9月)の番組表を調べてみました。
 特に、通常放送が終わった後の「夏期学習期間」(7月15日~9月30日)に、「感染症と生体防御('18)」の集中再放送があるのでは?と期待をもって見てみたのですが、残念ながらありませんでした。
 まあ、この1学期の番組を編成する頃には、まだコロナウイルスのことなど誰も念頭になかったでしょうから仕方がありませんけどね。

 それであれば、このラジオ科目(45分×15回)を誰でもインターネットで聴けるようにできないのだろうか?そうです、オープン・コース・ウェア(OCW)です。 
 4月に書いたブログでご紹介したとおり、既に放送大学では、テレビ32科目、ラジオ24科目が全15回公開されていますので、これに「感染症と生体防御('18)」を追加して公開することがそんなに難しいことだとは思えないのですけど。

 分担講師の中に神戸大学の岩田健太郎教授がおられたり、講師陣も多士済々と思われますが、ネットでの公開に反対される人はどなたもおられないでしょう。
  国費を投入して制作された番組なのですし、こういう時にこそ、公開大学としての国民に対する責任を果たす時だと思います。

 結論として、「感染症と生体防御('18)」全15回をOCWとして、速やかに全編インターネットで公開されることを大学当局にお願いしたいと思います。

 ちなみに、「感染症と生体防御('18)」の第1回だけは、見本として公開されています(ラジオの039番です)。   
 
https://v.ouj.ac.jp/view/ouj/#/navi/vod?ca=494 
 https://v.ouj.ac.jp/view/ouj/#/navi/player?co=8958&ct=V&ca=1051 

(弁護士・金原徹雄のブログから/放送大学関連)
2015年1月30日 
放送大学(オープンコースウェア)受講の勧め~学ぶことは楽しい 
2015年10月22日 
放送大学「日本美術史('14)」単位認定試験にかかわる見過ごせない大学の措置について 
2015年10月24日 
放送大学長「単位認定試験問題に関する件について」を批判的に読む 
2016年1月30日 
放送大学で学ぶ“貧困”~「貧困と社会('15)」(西澤晃彦神戸大学大学院教授)受講の奨め 
2016年8月6日 
高橋和夫教授の「パレスチナ問題('16)」(放送大学)受講のすすめ 
2017年1月26日 
高橋和夫教授(放送大学)の「パレスチナ問題('16)」全15回を是非視聴して欲しい 
2017年5月1日 
IWJからの緊急メッセージと高橋和夫放送大学教授の4講義「受講」の奨め 
2017年5月23日 
山部赤人はどこから富士を眺めたのか?~「名歌「田子の浦ゆ・・・」を解釈する 
2017年8月17日 
高橋和夫教授(放送大学)の「パレスチナ問題('16)」全15回を是非視聴して欲しい(再説) 
2018年1月19日 
放送大学あれこれ~高橋和夫教授の退任と「子ども居場所づくりで子そだち子そだて支援-学びは生きる力-」(2/10和歌山学習センター) 
2019年4月2日 
初めて大学の卒業式(学位記授与式)に出席しました 
2020年2月1日 
テキスト(印刷教材)は捨てられない 
2020年2月2日 
タカ派こそ「和平」を進められる~けれどもタカ派にも色々ある 
2020年4月19日 
緊急事態宣言下での「放送大学」視聴の勧め~寺脇研さんの呼びかけに応えたひとりの放送大学学生として

蓮池透氏講演会のお知らせ(2020年8月8日)@和歌山市勤労者総合センター

 2020722日配信(予定)のメルマガ金原No.3473を転載します。

蓮池透氏講演会のお知らせ(202088日)@和歌山市勤労者総合センター

 以前、「弁護士・金原徹雄のブログ」でお知らせしたとおり、核戦争防止和歌山県医師の会・2020年平和講演会(講師:久保田智子さん)が、去る7月18日(土)に和歌山県JAビル2F和ホールで開かれました。
 キャパ(テーブル2人掛けで)120人の会場を借りたということで、チラシには定員60人(要事前申込)となっていましたが、もしも60人を超えるようなら、椅子席だけにするかもしれないということでした(椅子だけならキャパ320人なので)。
 私は所用のために参加できませんでしたが、参加した知人に聞いたところ、会場は椅子席のみであったそうですから、申し込みが60人を超えたのかもしれません。

 この週末(7月25日)午後2時から、和歌山県民文化会館小ホールを会場とした上方落語会「桂南光独演会」(主催:和歌山音楽愛好会フォルテ)が久々に開催される旨主催者から案内がありましたが、やはりキャパ(324)の半分しか客入れできないということで、開催するかどうか迷ったものの、米朝事務所と協議した結果、何とか開催に踏み切ることにしたということでした。

 このようにして、「キャパの50%以下」という「目安」という名のしばりはありつつ、徐々に各種企画が動き出しているところに、市民連合わかやまから蓮池透さん講演会のチラシを入手しましたので、ご紹介することとします。

(チラシから開催概要を引用開始)
蓮池透さんと語ろう

日時 2020年8月8日(土)
     開場:13時00分
     開演:13時30分
会場 和歌山市勤労者総合センター
     和歌山市七番丁23番地 電話:0734320001

資料代 500円
※マスク着用願います

主催 市民連合わかやま
連絡先  講演会事務局 090-7757-1959
(引用終わり)

 なお、開催概要以外のチラシ記載事項の一部もご紹介しておきます(選挙のための公約を列挙したような部分は、興味があればチラシをご覧ください)。

(引用開始)
みんなで変えよう、
生きづらい世の中を

地方に住んでいるから見えてきた
元東電社員だから見えてきた
拉致問題から見えてきた

拉致問題の真実
原発神話の嘘
安倍政権の冷血さ
(引用終わり)

 「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」元事務局長、東京電力元社員で、『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)の著者であり、昨年(2019年)夏の参院選では、山本太郎氏率いる「れいわ新選組」から比例候補として立候補するも落選した蓮池透さんについては、「一度じっくりとそのお話をうかがってみたい」と思われる方も多いのではないでしょうか。

 ということで、会場の和歌山市勤労者総合センター(チラシに記載がありませんが、6階の文化ホールに決まっています)の施設案内をホームページで確認してみました。
 それによると、「定員 180名」となっており、これは当然「椅子だけ」並べた場合の数字でしょう。

 和歌山県がホームページで公開している「イベント開催制限の段階的緩和の目安」の「基本的な考え方」によると、「8月1日以降」の「屋内イベント」については、「収容率50%以内」がやはり「目安」となるようですから、蓮池透氏講演会をこれにあてはめれば、とりあえず「90人上限」という数字が出てきます。

 チラシには、事前申し込み必要とも何とも書いていませんので、90人以上の来場は予想していないのかもしれません(勝手な推測ですが)。

 和歌山県が6月1日以降、「感染防止対策の徹底のため、下記ガイドライン等の遵守をお願いします。」としているガイドラインは、この種講演会については、公益社団法人全国公立文化施設協会が5月25日に公表した「劇場、音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」でしょう(県のホームページがリンクしています)。

 私も、「守ろう9条 紀の川 市民の会」の第17回憲法フェスタ(11月3日@和歌山市河北コミセン)の企画を検討中なので、人ごとではなく、切実な問題として関心があります。今後、同種の講演会を企画する団体の参考ともなりそうな部分を引用してみます。

(抜粋引用開始)
〇公演会場入口
・公演主催者に対し、会場の入口に手指消毒用の消毒液を設置するように要請してください。
・会場入口の行列は、最低1m(できるだけ2mを目安に)の間隔を空けた整列を促す等、人が密集しないよう工夫するようにしてください。
〇チケット窓口
次の通りチケット窓口で対応を行うものとし、公演主催者やチケット取扱事業者に対しても同様の取り組みを要請してください。
・対面で販売を行う場合、アクリル板や透明ビニールカーテンにより購買者との間を遮蔽するよう努めてください。
・チケット窓口の行列では、最低1m(できるだけ2mを目安に)の間隔を空けた整列を促す等、人が密集しないよう工夫するようにしてください。
〇公演主催者に協力を求める具体的な対策
(公演前の対策)
・チケットシステム等により事前に把握している範囲で、公演ごとに、来場者の氏名及び緊急連絡先の把握に努めてください。また、来場者に対して、こうした情報が来場者から感染者が発生した場合など必要に応じて保健所等の公的機関へ提供され得ることを事前に周知してください。
・来場前の検温の実施の要請のほか、来場を控えてもらうケースを事前に周知するようにしてください。
(公演当日の対策)
・感染予防のため、施設管理者と協力の上、来場者に対し以下について周知してください。
 咳エチケット、マスク着用、手洗い・手指の消毒の徹底、社会的距離の確保の徹底、下記の症状に該当する場合、来場を控えること(咳、呼吸困難、全身倦怠感、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、味覚・嗅覚障害、眼の痛みや結膜の充血、頭痛、関節・ 筋肉痛、下痢、嘔気・嘔吐)
・以下の場合には、入場しないよう要請してください。
① 発熱があり検温の結果、37.5℃以上の発熱があった場合
② 咳・咽頭痛などの症状がある場合
③ 新型コロナウイルス感染症陽性とされた者との濃厚接触がある場合
④ 過去 2 週間以内に政府から入国制限、入国後の観察期間を必要とされている国・地域への訪問歴及び当該在住者との濃厚接触がある場合等
・パンフレット・チラシ・アンケート等は極力手渡しによる配布は避けるようにしてください。
・接触感染や飛沫感染を防止するため、消毒や換気の徹底、マスク着用と会話抑制等、複合的な予防措置に努めてください。
・座席は原則として指定席にするなどして、適切に感染予防措置がとれる席配置とするよう努めてください。
・座席の最前列席は舞台前から十分な距離を取り、また、感染予防に対応した座席での対策(前後左右を空けた席配置、又は距離を置くことと同等の効果を有する措置等)に努めてください。
・公演中の来場者同士の接触は控えていただくよう周知するほか、座席のひじ掛けの使用についても、左右いずれかに統一するように要請してください。
・場内における会話は控えていただくよう周知してください。
・事前に密集状況が発生しないように余裕を持った休憩時間を設定し、トイレなどの混雑の緩和に努めてください。
・パンフレット等の物販を行う場合、最低 1m(できるだけ2mを目安に)の間隔を開けて整列していただくようにしてください。
・物販に関わる従業員は、マスクの着用と手指消毒を徹底してください。
・対面で販売を行う場合、アクリル板や透明ビニールカーテンにより購買者との間を遮蔽してください。
(公演後の対策)
・公演ごとに、可能な範囲で来場者の氏名及び緊急連絡先を把握し、名簿を作成・保存するよう努めてください。
・感染が疑われる者が出た場合、保健所等の公的機関による聞き取りに協力し、必要な情報提供を行ってください。
・なお、個人情報の保護の観点から、名簿等の保管には十分な対策を講ずるようにしてください。
(引用終わり)

 最後に、以上のガイドラインをざっと読んで、私が今、講演会を企画してチラシを作るとしたら、こういう情報は書いておくかもしれないと思うことを書き留めておきます(事前申込制は無理と判断し、主催者において検温する場合を想定)。

〇新型コロナウイルス感染症感染予防のため以下の点にご協力ください(ご協力いただけない場合には入場をお断りすることがあります)。
・マスクは必ず着用願います。
・高熱、体調不良の方は入場をご遠慮ください。
・入場される際の検温にご協力ください(37.5℃以上の方は入場をお断りします)。
・入場の際、受付にて氏名及び緊急連絡先のご記入をお願いします。この情報は、万一来場者から感染者が発生した場合、保健所等の公的機関に提供されますのであらかじめご了承ください(それ以外の目的には使用しません)。

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長野たかしさん・あやこさんの新作CD『残り時間』を是非聴いて欲しい

 2020711日配信(予定)のメルマガ金原No.3472を転載します。

長野たかしさん・あやこさんの新作CD『残り時間』を是非聴いて欲しい

 「『関西フォーク』というムーブメントがあった」と聞いてぴんと来る人、知識として知っているだけではなく、「自分もそのムーブメントに参加していた」という自覚がある世代の中では、1954年(昭和29年)生まれの私などは、比較的若い方(?)でしょうか。
 「関西フォークの時代」をいつからいつと定義するかは困難な問題ですが、私の個人史に引きつけて言うと、1967年末の『帰ってきたヨッパライ』(ザ・フォーククルセダーズ)の発売・大ヒット(私は中学1年生)に始まり、岐阜県の坂下町(現中津川市)、椛の湖のほとりで開かれた第3回全日本フォークジャンボリー(高校2年生だった私も友人とテント持参で参加していた)が、一部参加者による舞台占拠をもって幕を閉じた1971年夏まで、という気がします。

 そして、その頃歌い始めたアーティストで、今なお現役という方々も多い中で、私が、ここ数年の間に、和歌山のライブハウスで生の演奏に複数回接することができ、とても感銘を受けた方々のお名前を挙げるとすると、中川五郎さん、よしだよしこさん、そして、長野たかしさん(元五つの赤い風船のベーシスト)と奥様の森川あやこさんでしょうか。

 このうち、長野たかしさん・あやこさんについては、ほぼ毎年、和歌山でのライブにおじゃましているように思います。実際、そのライブ会場で手売りされていた以下の4枚のCDを都度購入させてもらっていますので。

Face to Face 面と向かって!』 6曲収録
 「花をください」「君こそは友」「心のネット」「生きる」「コップ半分の酒」「Hard Times Come Again No More

『希求』 11曲収録
 「めぐり逢い」「灰色の街」「私が歌う理由(わけ)」「コップ半分の酒」「希求」「Last night I had strangest dream」「追放の歌」「勇気を出して」「モノローグ」「つまんない歌」「夢の夜会」

『同じ丘に立って』 10曲収録
 「同じ丘に立って」「私が私と言えるよう」「このままじゃ死ねないね」「心許なきこの国で」「光あるうちに」「街はレンガ色に」「何もせん隊ダジャレンジャー」「いいんだよ それで」「守ろうこの平和」「同じ丘に立って(instrumental)」

『れぞれの木は空へ 2018.11.10 長野たかし50周年記念ライブ with あやこ』 14曲収録
 「残りの人生で」「モノローグ」「同じ丘に立って」「灰色の街」「Fight To The Last」「私が私と言えるよう」「コップ半分の酒」「光あるうちに」「それぞれの木は空へ」「心許なきこの国で」「希求」「めぐり逢い」「いいんだよ それで」「君こそは友」

 ところが、今日ご紹介しようと思っている出たばかりのお二人のCD『残り時間』(10曲収録)は、ライブ会場での手売りではなく、「先行予約」した上で郵送していただいたものです。
 その間の経緯を理解していただくには、長野さんご自身が「CD先行予約」をFacebookで呼びかけた文章の一部を引用するのが良いでしょう。

(引用開始)
いよいよ、生活苦が現実のものとなりました。
予約をしていたライブハウスから続々と中止、延期、そして開催中止・延期を促すメールや電話が届いています。
そんな中、政府の休業補償とは名ばかりで、ほとんどのツアーミュージシャンは、減収証明ができる書類などはなく、網の目から落とされます。
私どももその中の一人です。
その上、緊急事態宣言が発せられると、私どものライブをしてくれる頑張っているライブハウスも、今後ライブ開催ができるか微妙ですので、ライブをして得る私の現金収入も断たれてしまいます。
そこで、私どもが生き抜く方法としては、現在できている新曲をCDにしたり、これから作っていく曲を録音CDにして皆さんに買って頂くしか術がありません。
しかし、現在、CD製作する資金もなく、前回させて頂いいた様に先行予約という個人的なクラウドファンディングを行いCD製作資金と生活費を確保するしかありません。
(略)
販売予定価格は3000円
どうか先行予約をお願いいたします。
どうぞ宜しくお願いいたします。
目標は「所得補償給付」と同じ額の30万円です。
30万円が集まったところで、CDの原版をプレスにまわせるよう、残りの曲を作ろうと思います。30万円との競争と、自分にプレッシャーをかけておきます。…基本なまけもんなんで。
(引用終わり)

 ここまで率直な文章を書ける人はあまりいないかもしれません。
 この文章が書かれたのが4月7日、奇しくも一都二府四県に緊急事態宣言が発令されたその日であり、まだ、全国民に所得制限なしで10万円ずつ支給する方針に転換する前のことでした。

 CDのジャケットに長野さんが書かれた文章も少し引用してみましょう。

(引用開始)
2020年1月16日、70歳の誕生日を迎え、今年は頑張って古希記念70ヶ所ライブツアーに取り組んでみようと、日本各地のライブハウス、ライブ居酒屋、喫茶店の情報を集め、ツアー計画を立て動き始めました。ところが、2月初め頃からクルーズ船でのコロナウイルスによる感染患者のことが報道され出し、ライブ中止、延期の連絡が次々と入ってきたのです。ライブのできないツアーミュージシャンにとっては死活問題。考えた末「私のできることは、曲を作り歌うこと」。CDを作り売れば口に糊することもできるのではないかという結論に至りました。
(引用終わり)

 全国のライブハウス(居酒屋、喫茶店)を回って演奏されているミュージシャンの皆さんにとって、「歌う場」に対する行政からの休業要請、そして正式要請の前から吹き荒れていた「自粛」の嵐は、まさに、表現活動と生計の双方を直撃する「死活問題」だったわけです。
 徐々にライブは復活の兆しを見せ始めているとはいえ、いまだ危機の渦中であり、今後の演奏活動とそれを支える収入の確保は、全てのミュージシャンにとって切実な問題であり続けているのだろうと思います。

 そのような中、届いた長野たかしさん・あやこさんによる待望の新作CD『残り時間』です。タイトルを見て、私は前作の冒頭に収録された『残りの人生で』を思い出しました。その歌詞をご紹介したいのは山々なのですが、最初の1行を書き写すと、それで歌詞の全部を転記したことになってしまい、著作権法上の「引用」として許容されるかどうか、いささかためらいがありますので控えておきます。
 いずれにせよ、私は、長野さんの5学年下ですが、「残り時間」で何が出来るか、いやでも意識せざるを得ない年代となっていますので、私にもぴったりと身につくタイトルです。

 収録されているのは以下の10曲です。

『残り時間』
1.Hard Times Come Again No More  詞・曲:Stephen Foster 訳詞:長野たかし
2.More to Come  詞・曲:長野たかし
3 私に嘘はつかないで   詞・曲:長野たかし
4 午前0時の鐘が  詞・曲:長野たかし
5 だいじょうぶ  詞・曲:長野たかし
6 Chain  詞・曲:長野たかし
7 平和の道(平和行進のうた)  詞・曲:長野たかし
8 道の駅  詞・曲:長野たかし
9 自分の心に正直に  詞・曲:長野たかし
10 風が吹く  詞・曲:長野たかし

 この1曲、1曲の感想を書いていてはきりがありませんし、第一、実際の曲を聴いていない人にその良さを伝えることはもともと至難なことなので、あきらめました。
 その代わりとして、長野たかしさん・あやこさんのファン代表(?)として、このアルバムのレコーディングにも参加されている、大阪の熊取町議会議員であり、琵琶奏者でもある江川けいこさんのFacebookに書かれた感想の一部を引用させていただきます。ちなみに、江川さんは、和歌山での長野たかしさん・あやこさんのライブにも、長野さんのベースで演奏するオープニングアクトの出演者として何度も出演されており、昨年のライブで演奏された『感謝』(作詞:北山修、作曲:加藤和彦)はとても素晴らしかったですよ(何組も出演していたので、間違っていたらごめんなさい)。

(引用開始)
【残り時間】~えがどんの勝手な感想~
 長野たかしさんの「希求」を5年前に初めて聞いた時、私が探し続けていたのはこんな歌だと心奪われ、それからは二人の追っかけを可能な限りしています。
 あれから4枚のCD(アルバム)が生まれました。
 新曲の制作に没頭する長さんの気迫と、「こんな音どう?」と気に入ったコードをひいて聞かせてくれた時は、それが楽しそうでたまりませんでした。
 今回、新しいCDをつくると聞いた時、二つのお願いをしました。
 一つは琵琶の音色を入れてほしいとお願いしました。長さんは琵琶の特徴をすぐ理解され、調弦を変えて挑戦するこができました。プロってすごいなと思いました。「道の駅」は、ご高齢のご夫婦が人生の道の駅で一息つきながら、これまで目指してきたことや、将来について戸惑いを感じながらも二人で生きていこうという、長さん自身の人生を歌ったものだと思いました。そんな曲に琵琶の音を入れて下さったこと、とっても感謝しています。
 二つ目は、「平和行進」に向けた曲を作ってほしいとお願いしました。毎年広島・長崎まで核兵器の廃絶と平和を求めてみんなで歩きます。音楽を通して元気に歩けて、歌詞は覚えなくても誰でも気軽に歌えるような曲にしてほしいとお願いしました。そこで生まれたのが「平和への道」です。今年は特に新型コロナ感染症で行進時に歌えなかったのですが先導カーから「平和の道」が流れると「元気が出た」との感想をいただきました。行進用はガヤ(会話)抜きで伴奏たっぷりの分を頂きました。
 私は「五つの赤い風船」時代を知りませんが、どの曲もいとおしいです。あやこさんが長さんの歌詞に込められた思いをまっすぐ受け止め、尊重しながら歌い、二人のハーモニーが絶妙です。ぜひ聞いてほしいです。
(略)
 今回のCDには多くのミュージシャンが加わり、とっても豊富な曲想で楽しめます。いろんな意味で私の支えになった曲ばかりです。勝手な感想をるる述べましたが、ぜひ手に取って聞いてくださいませ。
(引用終わり)

 1曲1曲の紹介はあきらめると書きましたが、音源をご紹介できる曲はこの限りにあらずということで、長野たかしさんの公式YouTubeチャンネルで聴ける『残り時間』収録の2曲は是非聴いてください。

 まずは、『午前0時の鐘が』です。
 この曲については、アルバムのジャケットに長野さんご自身が書かれた紹介文をお読みいただくべきでしょう。

(引用開始)
特に劇団(※金原注 人形劇団MOMO)の作品を通じて、長年やってきた環境問題については、コロナ禍とは切り離せない問題だと知りました。ウイルスは単独では生存することができず、何らかの生物を宿主としていなければならず、その宿主が絶滅の危機に陥ると、別の生物に宿り生き延びていくということを知りました。つまり、人類が自然破壊を行い、絶滅危惧種を作っていく限り、COVID-19のようなウイルスが、次から次と、人類に襲い掛かって来るということです。

このことは必ず訴えようと「午前0時の鐘が」を書きました。
環境危機時計という、地球環境問題の悪化に伴う人類存続危機の程度をどのように感じているか、時計の針にたとえて表示したものがあります。
2019年の調査では「9時46分…極めて不安」となっております。
MVも作り、YouTubeに載せておりますので、ぜひ一度ご覧ください。
(引用終わり)

『午前0時の鐘が』
 


 もう1曲、全曲ヴァージョンがアップされているのが『私に嘘はつかないで』です。
 この曲は、長野たかしさん・あやこさんがやっておられる人形劇団MOMOの「主演女優」(自称なので、本当かどうかは知りません)である「ザベス」ちゃんのデビュー曲ということのようです。
 曲は、字幕付きの演奏を聴いていただければ分かりますが、ダブル・ミーニングの技法で作られています。
 3番まである歌詞の1番だけ引用します(この程度なら著作権法が許容する「引用」でいけるでしょう)。

(引用開始)
ちゃんと目を見て話してよ
いつも話をはぐらかす
責任とるとは言うけれど
口から出任せ嘘ばかり
 笑いあってた金髪だーれ?
 いくら貢げば気が済むの
 ガラクタばかりを押しつけられて
 なにがそんなに嬉しいの
私に嘘はつかないで
勝手にルールは変えないで
私に嘘はつかないで
勝手にルールは変えないで
(引用終わり)

 表向き(?)の意味は、不実な交際相手の男性をなじる健気な女性の嘆きですが、裏の意味はもちろん(普通の大人には)分かりますよね?これが分からない人は、よほど世間離れしている・・・と私などは思いますが、実はそういう人が案外多いのかも。

 アルバム収録ヴァージョンは、さらにYouTube版に手を加え、素敵なアレンジになっていますよ(この曲に限らず、『残り時間』の多彩な編曲はとても優れていると思います)。

『私に嘘はつかないで』


 今回の収録曲10曲の中で長野たかしさん公式チャンネルにアップされている曲が実はもう1曲ありました。それがフォスターの『
Hard Times Come Again No More』です。
 長野さんが、東日本大震災に衝撃を受け、自らの訳詞で歌い始めたこの曲ですが、2011年6月、宮城県の牡鹿半島の小さな避難所を支援物資を持って回った際、「ある漁村に来たとき、どうしてもこの歌を、今、ここで歌わなければならないという衝動にかられ、歌った」映像です。
 訳詞も掲載されたご自身による解説とともにご視聴ください(解説を読むためにはYouTubeサイトに移動して視聴する必要があります)。

Hard Times Come Again No More


 今回のアルバム『残り時間』の冒頭に、再び『
Hard Times Come Again No More』をニューアレンジで収録(もちろん、あやこさんと2人で歌っています)したのは、コロナ禍に見舞われた(ご自身も含めた)人類のために「波間に漂う小船のように/辛いことが続いても/きっといつかは祈りは届く/OhHard Times,com again,no more」(訳詞の4番より)と歌わずにはいられなかったのだと思います。

 なお、このニューアルバム『残り時間』の入手方法ですが、長野たかしさんのFacebook(7月8日付)では以下のように説明されています。

(引用開始)
7月7日発売!のお約束果たせました。
ご予約頂いていた方へのCDを、全て投函、送付いたしました。
既に届いた方からの、嬉しい感想がぞくぞく届いております。
ありがとうございます!
◆ご希望の方は、メッセンジャーにて、ご住所、お名前をお知らせ下さい。
到着後送金・送料込みの3000円でおわけしております。(振込用紙を添付します。)
宜しくお願い致します。
(引用終わり)

 これによれば、長野たかしさんのFacebookにメッセンジャーで
  CD『残り時間』 〇枚購入します。
  住所&氏名
と書いて送信すれば良く、料金(送料込みで3000円)は、CD到着後に同封された振込用紙で送金する(その送金手数料は購入者負担)ということのようです。
 書かれてはいませんが、注文する際には、自己紹介とFacebookの友達申請も併せて行うのが良いように思います(もっとも、友達申請の方は、5,000人の定員間近のようですが)。
 それでは、Facebookをしない人はどうすれば良いのか?ということが問題となりますが、
〇これを機にFacebookのアカウントを取得する
Facebookをやっている家族・友人などに頼んで注文してもらう
〇長野さんのライブ情報などをもとに(閲覧するだけならFacebookのアカウントがなくても大丈夫)ライブに出かけていって長野さんから直接購入する(お二人のサインも貰える)
のどれかですかね。
  実は、先行予約していたCDを送っていただいたので、長野さんの住所も携帯番号もメールアドレスも分かるのですが、勝手にこのブログで公開する訳にもいきませんしね。この程度の情報提供でご了解ください。

 以上で、少し長くなり過ぎたような気がするCD紹介を終えます(私の文章は概して長くなり過ぎる傾向があります)。
 CDも素晴らしいですが、是非また和歌山のライブ会場でお二人の演奏に接することのできる日が近いことを心から願っています。

(付録)
 今回のアルバム収録曲以外にも、長野たかしさんのYouTubeチャンネルには素晴らしい曲が何曲もアップされていますが、その中から、「日本国憲法賛歌」というサブタイトルを持つ曲をご紹介しましょう。

『それぞれの木は空へ・日本国憲法讃歌』


(余談)
 このブログの巻末に『残り時間』のジャケット(表)の画像を掲載していますが(厳密に言うと著作権侵害のような気もしますが、まあ長野さんの了解は得られるだろうということで)、逆向きになっていて読みにくいとは思いますが、「ヒヤリングアート株式会社」という補聴器の会社による広告が掲載されています。長野さんが最近補聴器を使われているということは、昨年のライブの「ネタ」にもなっていましたが、その補聴器の会社がこのCDの制作に「賛助広告」を出してくれたということでしょう。とても感心しましたので、以下に広告全文を引用します。

(引用開始)
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大阪府豊中市岡町北1-1-15 1階
(引用終わり)

(弁護士・金原徹雄のブログから/長野たかしさん&森川あやこさん関連)
2014年5月6日 
音楽で憲法を感じる、考えるⅡ(長野たかし氏・森川あやこ氏奉納ライブ 鞍馬寺) 
2015年4月5日 
5月3日の過ごし方~鞍馬寺・奉納ライブ(長野たかし・森川あやこ他)はどうですか? 
2016年12月27日 
長野たかしさんの「乗り越える」ための新しい“We Shall Overcome”~付・CD『希求』ダイジェスト試聴のお勧め 

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『10代からの批判的思考 社会を変える9つのヒント』(名嶋義直編)を読む

 2020628日配信(予定)のメルマガ金原No.3469を転載します。

『10代からの批判的思考 社会を変える9つのヒント』(名嶋義直編)を読む

 1冊の本を読み上げ、その感想をブログにまとめるという作業は、思いの他エネルギーを要することで、昨年(2019年)1月から3月にかけて左自然気胸によって立て続けに3度入院するという偶然の機会に読み得た憲法関連の書籍を取り上げた「入院読書日記」(1)~(3)以来、久しく遠ざかっていました。

2019年3月23日 
『いま 日本国憲法は 原点からの検証(第6版)』(小林武・石埼学編)を読む~入院読書日記(1) 
2019年4月30日 
『「表現の自由」の明日へ 一人ひとりのために、共存社会のために』(志田陽子著)を読む~入院読書日記(2) 
2019年5月18日 
『日本国憲法』(長谷部恭男解説/岩波文庫)を読む~入院読書日記(3) 

 今日取り上げようとするのは以下の書籍です。

『10代からの批判的思考 社会を変える9つのヒント』 
編著者 名嶋義直
著者 寺川直樹、田中俊亮、竹村修文、後藤玲子、今村和宏、志田陽子、佐藤友則、古閑涼二
2020年4月24日 初版第1刷発行
株式会社明石書店


 
 4月中旬にAMAZONで予約しましたが、コロナ禍の影響(?)からか、届いたのは5月13日でした。そして、読み終えたのが6月21日なのですから、約270ページの本を読むにしては時間がかかり過ぎています(そこからブログを書くまでさらに1週間かかりました)。
 この本は、9つの章を9人の共著者が分担執筆していますので、自分の関心の向かう章から読み進めていけば良いのだろうとは思いつつ、出来れば第1章から順番に読み進んでいきたい気持ちもあり、途中まで読んでしばらく中断すると、また前書きに戻って読み始めるということを繰り返していたことが、通読するのにかくも時間を要した主要な原因です。

 そうなったについては、編者の名嶋義直さんが書かれた前書き「この本を手に取ってくれた皆さんへ」が素晴らしく感銘深い文章だったので、ついついそこから読み始めたくなるということもあったと思います。それに、前書きの中で、「もちろんどの章から読んでもいいのですが、第1章から順番に読んでもらうと、その世界の広がりをもっともダイナミックに感じてもらえると思います。」とも書かれていましたしね(実際、そうでした)。

 名嶋さんの前書きは実に11ページにも及び、この本の狙い、読み方、第1章~第9章のガイダンスなどが、丁寧に、誰にでも分かりやすい言葉で説明されています。版元(明石書店)のホームページには、「内容紹介」と「目次」が掲載されていますが、出来れば編者の名嶋義直さんによる「この本を手に取ってくれた皆さんへ」を立ち読みできるようにしておいてくれたらなお良かったのにと思います。

 まず、この本のあらましを知っていただくために、目次の大項目・中項目をホームページから引用するとともに、「この本を手に取ってくれた皆さんへ」の重要部分を転記させていただきます。

(引用開始)
目 次

この本を手に取ってくれた皆さんへ[名嶋義直]

第1章 校則(ルール)って?[寺川直樹]
 1 こんな校則(ルール)がなぜあるの?
 2 自由とルール(秩序)
 3 「よりよい」ルール(校則)の創造へ

第2章 いじめって?[田中俊亮]
 1 はじめに
 2 いじめの定義と分類
 3 いじめの原因は?
 4 いじめをどう解決する?
 5 いじめの「加害/被害」を考える
 6 おわりに

第3章 いろいろな学びの形――高校生活の多様な選択肢[竹村修文・名嶋義直]
 1 先輩からのメッセージ
 2 引きこもりから転校を経験して
 3 母の高校受験挑戦
 4 高校の選択肢はいろいろ

第4章 いろいろな学びの形――生涯学習/キャリア教育[竹村修文・名嶋義直]
 1 生涯学習の時代
 2 生き方は変わってきている
 3 マルチステージを生きるために
 4 さあ、新しいステージへ

第5章 仕事って?[後藤玲子]
 1 はじめに
 2 規範としてのワーク・ライフ・バランス
 3 仕事は多すぎず、少なすぎず、ほどほどに――どうして?
 4 仕事と生活の「適度」な組み合わせ――どのように?
 5 働くとはどういうことなのか
 6 仕事と職業
 7 結びに代えて

第6章 メディアを読む力、問いかける力[今村和宏]
 1 メディアの多様性と偏り、影響力
 2 想像力、疑問を持って読み、ちょっと調べてみる
 3 メディアに問いかけ、発信する

第7章 「表現の自由」って何ですか?[志田陽子]
 1 「自由です」ということの意味
 2 ルールを知ることで自信を持とう
 3 知っておきたい権利のいろいろ
 4 批判と差別は違う
 5 「こんなルールは困る」と思ったら?
 6 「自由です」ということの意味

第8章 豊かでプライドが持てる日本が続くために――多文化共生[佐藤友則]
 1 日本の現状はどうか?
 2 多文化共生、多様性による日本の活性化
 3 多文化共生に関する基本法の整備
 4 自分の手で強い日本を持続=多文化共生の勉強を!

第9章 世界に挑め!――グローバル人材への道[古閑涼二]
 1 はじめに――「どうして英語ができないの?」
 2 グローバル化の必要性
 3 グローバル人材への道
 4 学生時代にすべきこと
 5 おわりに――グローバルという未知の世界へ

この本を手に取ってくれた皆さんへ[名嶋義直] から抜粋

生きる力
 この本は、皆さんのような若い人がその「生きる力」を身につけ、育て、伸ばしていくためのお手伝いをしたいと思って作りました。
「批判的」って、なんかちょっと・・・
 「批判的に考える」とか「批判的思考」とか「批判的姿勢」というのは、簡単に言うと「一歩立ち止まってじっくり考えてみる」姿勢を言います。だから「よいこと」なのです。
 さらに言うと、この「批判的に考える」という姿勢と実践は、今さかんに言われる「アクティブ・ラーニング」の本質そのものなのです。
人生は旅
 この本はこのように、九つの章が少しずつ、また時には章を超えて関連し合いながらつながっていて、皆さんが読み進めて行くにつれて、今自分がいる世界からもっと外の世界・さらに広い世界へ旅に出て行く、そんなイメージで作られています。
いくつかの読み方
  問いの中には簡単には答えられないものがあるかもしれません。そんな時は「自分でいろいろ調べる」などしてみてください。また、自分で考えたり調べたりしても答えが出ない問いがあるかもしれません。その場合でも「考えることを諦めない」で、「どこまで答えられるのか、どこから答えられないのか」を考えてみてください。
 そして、考えたことを身近な人と「対話」してみてください。「他者の考え」は「自分にはない視点」を教えてくれる大切な学びのための資産です。また逆に見れば、あなたの視点が他者の学びに寄与するとも言えます。この「対話を通して学び合う」姿勢を持ってください。
情報にアクセスする (略)
各章の紹介 (略)
よい旅を!
 第1章から第9章までの内容を見てわかると思いますが、それぞれの章で取り上げているテーマは具体的な事例としては個別的なものです。しかしそこを入り口としていろいろ考える実践は、今後さまざまな場面や局面で必要になってくるもので、まさに「生きる力」につながるものです。またこの本を読みながら、自分で考えたり、友達や先生と一緒に考えたり、時には議論して対立したりといった経験も、皆さんにとってとても大切な「生きる力」になるはずです。この本は、知識・考え方(理念や価値観など)・実践する方法、といった多面的な「生きる力」を、この1冊の中で少しでも伸ばしてもらえたらいいなあと思って作りました。
 もしかしたらその「生きる力」はすぐには必要にならないかもしれません。逆に読む前からすでにそのような「生きる力」を必要としている人もいるかもしれません。読者の皆さんにとって、この本が「社会を主体的に生きて行く」上での地図やコンパスのようなものになればとても嬉しいです。この本で学んだことをカバンに詰め込んで自分の旅に出てください。
 では、皆さん、よい旅を!
(引用終わり)

 ここまで引用すれば、この本の紹介としては十分ではないかという気もしますが、それでは、Facebookで明石書店のこの本を紹介するページにリンクし、「皆さん、良い本ですからお薦めします」と一言コメントするのと大差ないことになるので、もう少し続けることにします。

 まず何より述べておきたいのは、この本が(編著者9名が)主として想定した読者層と、今この本を読み終わった私との年代の相当な懸隔をどう理解するかについてです。
 本書は、「皆さんのような若い人」(この本を手に取ってくれた皆さんへ)、「みなさんんの多くは未成年者だと思います。」(第7章)、「その時に法律(※多文化共生基本法)制定の意見書提出の中心になるのは若い読者の皆さんです。」(第8章)、「最後に、皆さんが学生時代にすべきことをお伝えします。」(第9章)など、誰がどう読んでも、この本は明確に若い読者層に向けて書かれています。具体的には、高校生、大学生、あるいは彼らと同年代の青少年ということでしょうか。
 これに対して私は、本書第4章で取り上げられた「生涯学習」の実践として、ここ12年ほど放送大学の現役学生であり続けているものの、昨年末から前期高齢者の仲間入りをしており、本書の想定読者層とは、40~50歳の年齢の開きがあります。
 そのような私が本書を読む意義とは何だろうか?ということは、読み進めながら常に頭を離れなかった問題意識です。
 感銘深く本書を読み終えた今、私のような年配者が本書を読むことによって何が得られるかという観点から、本書の読後感をまとめてみたいと思います。

〇自らの行動の指針として
 通読してみて、編者の名嶋義直さんの「第1章から順番に読んでもらうと、その世界の広がりをもっともダイナミックに感じてもらえると思います。」という助言は正しいと得心がいった一方、私のような年配の読者には、「まず自分が最も関心を有する分野から読み進める」ことをお薦めしたいと思います。
 例えばこういうことです。
 私は、昨年(2019年)1月の入院を機に、6年間続けた「ブログ毎日更新」を中断せざるを得なくなったこともあり、ブログ更新よりもはるかに手軽に出来るFacebookによる情報発信の方により時間を割くようになりました。
 私の場合、SNSの利用はもっぱらFacebookであり、instagramtwitterはほぼ利用していないのですが、情報を受け取るにしても、また発信するにしても、自らのスキルが全く不十分であることを意識せざるを得ませんし、同じような思いを持たれている方も少なくないのではないでしょうか。
 このように、SNSはそこそこ利用しているが、自信を持ち切れないという方には、本書の第6章「メディアを読む力、問いかける力」(今村和宏さん)と第7章「「表現の自由」って何ですか?」(志田陽子さん)をじっくりとお読みになることをお薦めします。
 私のような年代は、新聞を中心とする活字媒体とテレビ、ラジオによる放送媒体が主要な情報ツールという時代に成長し、社会人としての生活をスタートしてからも、インターネットには、相当後年になってから初めて接することになった世代です。また、自らが簡単に情報の発信者となり得る時代も、インターネットの普及と共にやってきたことは言うまでもありません。
 第6章と第7章は、インターネットがらみの問題だけを取り上げている訳ではなく、もっと普遍的な「メディア・リテラシー」と「表現の自由」に関する分かりやすい解説となっているのですが、インターネットと無縁の生活などあり得ない時代だからこそ必要となる、情報の吟味や表現行為について身につけておくべき貴重な知識が豊富に提供されており、一読、思わず膝を打つ箇所がどれだけあるかによって、読者自身の問題意識の高低が測られているような気もします。
 日々Facebookに流れる情報の中には、真偽不明、出典未詳の、正直に言えば、本来取り上げるに値しない膨大な情報が流れていることは、利用している人には説明の必要もないでしょう。そのような情報の中に、たまたま自分の意見に近いものがあったとしても、それを安易にシェアする前に、「待てしばし」「出来るだけ真偽を確認するための裏取りをしよう」という習慣を身につけるためには、本書第6章はとても有用です。
 また、自らが意見や情報の送り手となる場合、そのような「表現の自由」を保障するためにこそ守られなければならないルールがあること、「表現の自由」が民主主義を支えるための根幹をなす権利であること、異論を許容する(異論を表現する自由を保障する)ことこそ、「表現の自由」が想定する「自由」のあり方であることなどが、第7章で語られます。
 この2章については、若い人にももちろん読んでもらいたいですが、年代の別なくとても役立つ章だと思います。

※参考
 第7章の著者・志田陽子先生(武蔵野美術大学教授)は、2018年10月に『「表現の自由」の明日へ 一人ひとりのために、共存社会のために』(大月書店)という単著を刊行されていますので、より詳しく知りたいという方は、同書をお読みになることをお薦めします(冒頭でリンクしているとおり、私のブログでもご紹介しています)。



※参考
 「メディア・リテラシー」ということに関連して書いた私のブログを1つご紹介しておきます。
2019年1月23日 
情報の真偽は自分の目で確認しなければならない~平成26年度東京大学教養学部学位記伝達式における石井洋二郎学部長の式辞から 

〇自分の周りの若い人のために
 本書を冒頭から読み進めながら、「本来の想定読者である若い人たちがこれを読めばどう思うだろうか?」ということを考える瞬間が幾度かありました。
 残念ながら私には子どもがないため、自分の子どもに本書を読むことを勧める訳にはいきませんが、このような読み方も出来るという一例として書いておきたいことがあります。
 第3章「いろいろな学びの形――高校生活の多様な選択肢」(竹村修文さん・名嶋義直さん)には、高校を中退した後、病院で介護の仕事をしながら、息子の高校受験と同じタイミングで通信制の高校に進学して卒業した女性、その息子で、高校を中退した後、建設関係の会社で働きながら、再び高校卒業を目ざす青年などと共に、高校に登校できなくなり、休学、転学、転籍などの末、7年がかりで高校を卒業した女性が、働きながら三級自動車整備士資格を取得し、さらに自動車教習所の指導員になった話が紹介されていました。
 実は、本書を読んでいたころ、私は国選で被疑者弁護事件を1件受任していました。被疑者は20歳そこそこの青年で、高校を中退し、その後少年院にも入り、今は解体の現場で働いているという、(我々にとっては)別に珍しくもない経歴の持ち主だったのですが、珍しかったのは、その青年が「将来は自動車整備士になりたい」という希望を持ち(本人の話では、そんな希望を口に出したのは初めてとか)、お母さんに、そのために何か参考になる本を差し入れて欲しいとお願いしたという話を私にしてくれたことでした。
 参考書の差入れはお母さんに任せることとし、私は、得意の(?)ネット検索でヒットした体験談(整備士になる夢を実現した)などをプリントアウトし、次の接見の時に差入れしました。
 専門学校などを経て資格をとるのでない限り、実務経験を積みながら、まずは三級自動車整備士の資格をとり(ネットで見つけた学科試験を解こうとしましたが全く分かりませんでした)、さらに経験を積んだ上で二級を目ざすということらしく、夢を実現するのは相当に大変らしいということは分かりました。
 幸い、その青年は不起訴で釈放となりましたので、今頃、自分で立てた目標に向かって一歩でも半歩でも前に進んでくれていることを願っているのですが、そのような目標や意欲を持っている、あるいは持ちたいと思っている、一度は高校卒業を断念した青年たちにも、是非本書を手に取って貰いたいと編著者の皆さんは願っておられるのではないか、ということを思ったりしました。

〇これからの日本を考えるために
 「類は友を呼ぶ」という成語を使うのが適切かはさておき、人は、自らの意見・嗜好に適合する情報には喜んでアクセスするが、自らの立場を突き崩されそうになる考え方・情報などからは、意識的・無意識的に目を背けるものであることは、否定しがたいことだろうと思います。
 本書において、特に年配の読者にとって、「あまり読みたくない」章は、第8章「豊かでプライドが持てる日本が続くために―多文化共生」(佐藤友則さん)と第9章「世界に挑め!―グローバル人材への道」(古閑涼二さん)、とりわけ第9章でしょう。
 日本の将来予測、特に著しい人口減少(労働力人口の減少)と市場規模の縮小について、よほど世情に疎い人でない限り、うすうすでも感じていない人はいないと思うのですが、それでも「見たくないものは見ない」人が圧倒的に多いのではないでしょうか。
 そこを堪えて、第8章、第9章を通読すれば、今から若い人と同じことはできないまでも、壮年、老年の者にも出来ることはあると思えるはずです。

〇「生きる力」を身につけるために
 「生きる力」という言葉が中教審の答申の中ではじめて使用されたのは、「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について 中央教育審議会  第一次答申」「-子供に[生きる力]と[ゆとり]を-」(平成8年7月19日)においてであったそうです。
 たまたま、その翌年(多分)から、私は10年以上、和歌山県教育委員会の委嘱により、小中学校教員採用試験の第2次試験の面接委員を務めたのでした。
 そして、面接試験が始まる前の試験委員に対するガイダンスの際、受験者に対する質問例が配布されるのですが、そこに書かれた「生きる力」という見慣れぬ用語をどう理解したら良いのか?私は一緒の組となる他の試験委員(皆さん教員)に質問したものでした。先生方からどのような説明を伺ったかは完全に忘れてしまいましたが、おそらくは、中教審答申に書かれた以下の記述をコンパクトに要約したようなことだったのだろうと思います。

「我々はこれからの子供たちに必要となるのは、いかに社会が変化しようと、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力であり、また、自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性であると考えた。たくましく生きるための健康や体力が不可欠であることは言うまでもない。我々は、こうした資質や能力を、変化の激しいこれからの社会を[生きる力]と称することとし、これらをバランスよくはぐくんでいくことが重要であると考えた。」(「-子供に[生きる力]と[ゆとり]を-」、「第1部 今後における教育の在り方」、「(3) 今後における教育の在り方の基本的な方向」)

 私は、当初数年の間、自信がないので「生きる力」についての質問は他の面接委員の先生方にお任せしていましたが、受験者の回答も手探りのようで、体験に裏打ちされ、自信をもった意見や抱負を聞いた記憶はあまりありません。
 私が教員採用試験の面接委員を務めていたころから既に相当の年月が過ぎ去りましたが、今本書を通読し、「生きる力」の全体像がようやく見えてきたという感慨がひとしおです。あの頃この本を読んでいれば、もっと適切な質問が出来たのに、と言ってもあとのまつりですが。
 若い高校生ら以外にどのような人に本書を読んでもらいたいかを考えた結果、少なくとも、将来教員を目ざす人には自信をもってお薦め出来るということに思い至りました。

〇もしも私が今高校生だったら
 私が何度も前書きに戻り、本書冒頭から順を追って第9章まで読み終えることにこだわったのは、編者による助言もありましたが、「もしも私が今高校生だったら」という仮定のもとに読んでみたら、どのような人生があり得るだろうか?、という不可能と言うしかない設定が、常に頭の片隅にあったからでした。
 誰しも、「私には別の人生があり得たのではないか」という夢想を抱く瞬間があると思うのですが、本書には、「10代からの」というタイトルからして、そのような夢想を促進してくれる要素がふんだんに盛り込まれています。
 もちろん、60代半ばの私が10代に戻って実際に人生をやり直すことは出来ませんが、様々な気付きが示唆してくれる方向は、1人1人の年代に即した応用が可能です。そのような観点からは、特に、第4章「いろいろな学びの形―生涯学習/キャリア教育」(竹村修文さん・名嶋義直さん)、第5章「仕事って?」(後藤玲子さん)などが有用でしょう。
 もちろん、現実の高校生なら、第1章「校則(ルール)って?」(寺川直樹さん)や第2章「いじめって?」(田中俊亮さん)は、切実な問題として身近に感じられるでしょう。
 全ての人に本書のご一読をお薦めします。

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和歌山県・高野町の取組~住民への消毒液とマスク(1人あたり50枚)の配布~から考える

 2020412日配信(予定)のメルマガ金原No.3455を転載します。

和歌山県・高野町の取組~住民への消毒液とマスク(1人あたり50枚)の配布~から考える

 新型コロナウイルス感染症による「災厄」に対し、住民・国民を守るために地方公共団体や国が何をしようと努め、何をしたかについて、日々、ものを思わない人はいないでしょう。
 その一々をブログに書き留めることに意義はあるのかもしれませんが、私自身の身辺の事情や意欲の問題もあり、これまでそのような問題を取り上げることはしてきていませんでした。

 もちろん、ワシントンポスト(アジア太平洋版)にまで、「和歌山モデル」として称揚された和歌山県におけるPCR検査の効果的な実施と感染封じ込め対策については、私自身、仁坂吉伸知事が推進するIR誘致に大反対であるという立場は立場として、それなりに評価してFacebookで関連情報をシェアなどしてきました。
 一昨日(4月10日)、東京の日本記者クラブと和歌山県庁をインターネットで結び、仁坂知事のリモート会見が行われましたので、関心のある方にはアーカイブ動画の視聴をお勧めします。

20200410「新型コロナウイルス」(8)  仁坂吉伸・和歌山県知事(57分)


 私が特にお勧めしたいのは、53分頃から、このような危機に臨んだトップのあり方について質問されたのに対し、仁坂知事が「一番大事なのは『論理』であり、しっかり議論すればよい。一番いけないのは『ええかっこしい』である」(金原による要約)と答えた部分です。

 さて、本題に戻り、「住民・国民を守るために地方公共団体や国が何をしようと努め、何をしたか」について、今日私がご紹介しようとするのは、弘法大師空海が開いた高野山金剛峯寺が所在する和歌山県伊都郡高野町(こうやちょう)の取組です。

 私が、高野町独自の取組に気が付いたのは、毎日新聞(ネット版)の以下の記事を読んだ時でした。短い記事であり、無料サイトで公開されていますので、全文引用させていただきます。

毎日新聞2020年4月7日 地方版
新型コロナ 高野町が「消毒液」配布へ 児童らに洗えるマスクも /和歌山
(引用開始)
 新型コロナウイルスの感染予防対策として、高野町は16日から、手指などの消毒に使われる次亜塩素酸水の町民への配布を始めることを明らかにした。次亜塩素酸水を生成する装置を購入し、町役場と富貴支所で毎週月曜日と木曜日の午前9時~午後6時に配布する。毎回1人500ミリリットル以内で、洗浄済みペットボトルなどの容器を持参してもらう。
 また、町内のこども園や小中学校の園児、児童、生徒計約230人を対象に、洗えるマスクを1人に付き3~4枚配布するという。
 一方、影響を受けている観光業や住民の暮らしなどに対する経済対策として、町内全域(公共施設を除く)の水道料金や下水道などの使用料の5~7月請求分を無料とする方針も固めた。対策に関係する計約1億3000万円の一般会計補正予算案を町議会に提出する予定だ。【藤原弘】
(引用終わり)

 「次亜塩素酸水」というのは聞き慣れない上に、自治体が住民を対象に消毒液を配布するというのは興味深いと思い、高野町ホームページで確認したところ、4月9日付で以下の告知がアップされていました。

安全に使える除菌水「次亜塩素酸水」を町民の皆さまに配布します(※PDF

 「次亜塩素酸水(微酸性電解水)」(じあえんそさんすい/びさんせいでんかいすい)の性質については詳しく説明されていますが、正直、私にはよく分かりません。
 ただ、一般的な消毒液の入手難を経験した人(多くの人が経験したと思いますし、当然、高野町の町民の皆さんもそうでしょう)にとっては、とてもありがたい施策だと思います。

 そして、翌4月10日に高野町のホームページにアップされたのが「町民の皆様にマスクを配布します!」というお知らせでした。
 以下に告知文を引用します。

(引用開始)
              マスクを配布します!
新型コロナウイルス感染症対策として、住民の皆さまにマスクを配布します。
〇配布場所
 ①高野町役場 9:00~18:00
 ②富貴支所   9:00~17:00
〇配布日 令和2年4月20日から
〇配布枚数 お一人あたり 1箱(50枚入り)
〇対象者 高野町に住所を有する住民すべての方
〇交換方法 郵送で届くハガキがマスク引換券です。必ずご持参ください。
※住民の皆さまのマスクについては、人数分確保しております。
〇お問い合わせ
 高野町福祉保健課 0736-56-2933
(引用終わり)

 除菌水「次亜塩素酸水」配布の案内文にはなかったエクスクラメーション・マーク「!」が付いていることからも、高野町職員の「達成感」がしのばれます。ここまでこぎ着けるには、それなりの努力が必要だったはずですものね。

 ここまで読んできて、「素晴らしい!」と思ったその次に、自分の住む自治体と思い比べながら、「高野町ではなぜこのような取組ができるのか?」という疑問がわいてくるのが普通の反応でしょう。
 「人口が少ないので、必要とするマスクの量や予算規模も少なくて済むからではないか?」ということは、一応誰でも思いつくことでしょう。
 実際、人口92万人台の和歌山県(和歌山より少ないのは7県のみ)にある30市町村の中でも、高野町の人口は下から数えて4番目(多分)の約3,000人です。

 しかし、人口の多寡が本当に問題なのでしょうか?
 「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」についての4月7日付閣議決定には、例の「1住所当たり布マスク2枚配布」という、国際的にも揶揄・嘲笑の対象となった政策が(今さら引っ込みもつかないのでしょう)以下のように掲げられていました(8頁~)。

(引用開始)
 国内でマスク・消毒液等を製造する企業に対して生産設備への投資を支援することで更なる増産に取り組み、マスクについては月7億枚を超える供給を確保するなど、例年の需要を上回る供給量を確保する。
 その上で、マスク等の衛生資材を、介護施設、障害者福祉施設、保育所及び学校等に配布する。布製マスクについては、政府による買上げにより、介護施設利用者等及び妊婦に対して、順次、必要な枚数を配布するとともに、全国の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・高等専修学校等の児童・生徒及び教職員に対して、4月以降、1人2枚配布する。加えて、全国で 5,000 万余りの世帯全てを対象に1住所当たり2枚配布する。
(引用終わり)

 国が全国民(というか全「住所」)に布マスクを配布できるのであれば、はるかに住民に近い立場にある基礎自治体(市町村)が、全住民にマスクを当面の必要量配布することが不可能なはずはないでしょう。当然、個々の自治体の中には「必要量のマスクが確保できない」「予算の手当がつかない」というところも出てくるはずで、それを援助するのが国の仕事でしょう。「布マスク2枚配布」について、大半の国民が呆れ返ったのは、以上のような役割も弁えず、人気取りのために400億円以上の貴重な国費を蕩尽しようとする国の底意が見え透いていたからだと思います。
 私が、一昨日の仁坂吉伸和歌山県知事の日本記者クラブ会見の中で、特に「一番大事なのは『論理』であり、しっかり議論すればよい。一番いけないのは『ええかっこしい』である」という部分に感銘を受けたのは、以上のような感慨から来たものなのです(仁坂知事の真意が奈辺にあるかは知りませんが)。

 もとより、頑張っていいる自治体は高野町だけではありません。マスクが不足しがちな医療機関や福祉機関に優先的に配布しているところも多いと聞いています。
 また、埼玉県川口市のように、経営難に陥っている小規模事業者に一律10万円を独自に支給すると発表した自治体もあります。
 これからも、「新型コロナウイルス感染症による「災厄」に対し、住民・国民を守るために地方公共団体や国が何をしようと努め、何をしたかについて」注意深く見守っていくとともに、素晴らしい取組には賞賛の声を届けたいと思います。

(追記/2020年4月13日)
 Facebookやブログで高野町のコロナウイルス感染症対策としての住民サービスをご紹介しましたが、同町では、公式ホームページの他に「高野町長室」というFacebookページを開設し、タイムリーな情報発信に努めておられるようです。以下の投稿で、消毒液やマスクの配布に要する予算規模なども分かります。
 公式ホームページにも同内容のPDFファイルが掲載されていますが、探すのはなかなか大変で、Facebookをフォローする方が断然情報を入手しやすいように思います。
 ちなみに、元投稿のコメント欄を読むと、写真に写っている町長室の椅子は自費で購入したものを持ち込んでいるのだとか。平野町長はモータースポーツ愛好家なのだろうか?
 また、平野町長は徳島文理大学薬学部卒で、20年近く薬剤師として町立高野山病院に勤務していたとか。その経歴が役立っているかもしれませんね。
 https://www.jiji.com/sp/v2?id=20140604top_interview31_36 
 http://www.yakuyukai.org/whatsnew/?p=497

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宮尾節子さんの新刊詩集『女に聞け』を読む

 20191027日配信(予定)のメルマガ金原No.3431を転載します。

宮尾節子さんの新刊詩集『女に聞け』を読む

 先日、丸谷才一著『日本文学史早わかり』(講談社文芸文庫)の冒頭を久しぶりに読み返していた時、「詩は詞華集で読むに限る。」と断言した部分に続けて、「国の詩の歴史全体をつらぬく詞華集をわれわれは持っていない」とある箇所に至り、「そうなんだろうか?」とふと自分の読書体験を振り返ることになり、私が文学好き(まあ、そうでしょう)になるについて相当の影響を及ぼした本の中に、高校時代に愛読した伊藤信吉編『現代名詩選』という3冊セットの新潮文庫があったことを思い出しました。
 ということで、かれこれ半世紀近く前に愛読した文庫本を探し出そうと試みたのですが、私の自宅の床から天井まである作り付けの書棚に並べた本にはやたらと文庫本が多く、また、かなりの量のCDも、文庫や新書の前列に並べているため、後列に並べた背表紙の読めない本の山の中から特定の文庫本を探し出すというのは、時には至難ということもあります。実際、『現代名詩選』(上・中・下)も発見できず、おそらく書棚に並べきれず、段ボール箱に詰め込んで物置に収納している古い文庫本の中に紛れ込んでいる可能性が高く、当面、探索は断念しました。
  まあ、その探索の副産物として、山本鈴美香の名作マンガ『エースをねらえ!』全18巻(なぜか第14巻までが文庫版で残りの4冊がコミックス版だった)が出てきたのは喜ばしい発見でした。誰かにあげてもうないとばかり思っていたのですが、あるいは当初コミックス版で買っていたものを誰かにプレゼントし、その後、文庫で買い直したのかもしれません(そういえば年下の従姉妹にあげたような気もする)。是非読み返してみようと思います。

 それで、問題は「詞華集」です。伊藤信吉編『現代名詩選』は、丸谷氏のいう「国の詩の歴史全体をつらぬく」ものではなく、「現代詩」に限定した詞華集ですが、今思い返しても、様々な本を手当たり次第に読んでいた(トルストイとアール・スタンリー・ガードナーを並行して愛読していた)高校生の私にとって、詩という人類最古の文学型式への格好の導き手であったと思います。

 とはいうものの、その後の私が詩の良き読者になったかといえば全くそうはならず、文学といえばもっぱら小説中心という読書生活を送り、やがて年齢を重ねるにつれ小説を読む機会もどんどん減っていき、購入する本の大半が論説・ノンフィクションになるという経過をたどりました。
 その間、個人詩集を全く買わなかった訳ではありませんし、書棚を総ざらえすれば、有名詩人の詩集がそこそこは見つかりますが、それらの詩集を折に触れて手に取るという習慣がある訳でもありません。
 やはり、詩をもっと身近な存在とするためには、良き「詞華集」が必要なのだと思います。ということで、私は丸谷才一氏の冒頭で紹介した極論とも言える意見に一応は賛成なのです。

 とはいえ、優れた詩や詩人との出会いが、「詞華集」ではなく、個人詩集によってもたらされるということはあるもので(というよりもそれが普通か)、今はそれにインターネット(SNS)も付け加える必要があるようです。

 皆さんは、2014年にTwitterで公開され、爆発的に読まれた以下の詩をご記憶でしょうか?(著者自身によって著作権フリーが宣言されていますので全文引用します)

(引用開始)

明日戦争がはじまる
                    宮尾節子

まいにち
満員電車に乗って
人を人とも
思わなくなった

インターネットの
掲示板のカキコミで
心を心とも
思わなくなった

虐待死や
自殺のひんぱつに
命を命と
思わなくなった

じゅんび

ばっちりだ

戦争を戦争と
思わなくなるために
いよいよ
明日戦争がはじまる
(引用終わり)

 とても感銘を受けた私は、その年のうちに同作を表題作とする詩集『明日戦争がはじまる』(思潮社刊)を購入し、ブログに感想を書き留めました。

2014年10月24日
「明日戦争がはじまる」をあらためて読む

 当時の「明日戦争がはじまる」をめぐる報道では、宮尾節子さん(高知県出身、飯能市在住)の発言もかなり詳しく紹介されていましたので、著作権法の許容範囲も意識しつつ、相当詳細に引用していますので、是非お読みいただければと思います。

 さて、その宮尾節子さんが、「『狼が来たぞ』と言う嘘つき少年と同じだ、との厳しいお叱りも受けた詩『明日戦争がはじまる』を発表して以後、五年間に書き貯めたわたしの詩」を、「新しい詩集出版の形を、という予てよりの願いがあり」「クラウドファンディングで出版資金を調達するという方法」によって出版にこぎつけた新刊詩集『女に聞け』(2019年10月20日・響文社刊)が3日前に自宅に届き、早速昨日、大阪での会議に出席するための往復の電車の中で2回読みました(ゆっくり読むために往復とも指定席券を購入しました)。
 こんなに早く届いたのは、私もクラウドファンディングに全くの些少ながら協力したからですが、期待以上の素晴らしい読書体験をさせてもらいました。

女に聞け
宮尾節子
響文社
2019-10-20


 個人詩集を読む時はいつもそうですが(著明な詩人の作品集を後人が選定した場合であっても)、最初から最後まで全作品に感銘を受けるということはまずないことで、中には書かれている内容がどうも理解できない、などという作品が混じっていたりするのは当たり前であり、『女に聞け』も例外ではありません。
 そういう作品に出会ったらどうするかといえば、とりあえず今のところは読み流すしかありません。後に読み返して、しっくり理解できれば幸いというものです。

 しかし、一読、再読、さらに三読して、読むほどに感銘が深まる作品がいくつもあれば、幸運な詩集との出会いであることは間違いありません。
 私の一押しは、やはり表題作の「女に聞け」(10頁)です。
 ここで「女に聞け」という作品をどう紹介したものかと迷います。全文引用(転載)するのはどう考えても著作権侵害だし、かといって、詩の内容だけ要約しても、どうして読み手が感動したのか伝わらないでしょう。
 そこを我慢して何とかこの3連構成の作品を紹介してみましょう。

第1連(23行)
 女性が、こんなにも恥ずかしい格好をし、恥ずかしい姿を人目にさらし、恥ずかしい声を絞り出さねば、「あなたは、ここに生まれて、来ていない。」と男に事実を突きつけた上で、こう確信を述べます。「あのときの、ひどくみじめに」「敗れたわたしの姿から、生まれたあなたの世界が」「愛であることを、」「平和であることを、」「わたしは、信じて疑わない。」

第2連(3行)※引用します。
 どんな姿から、いったい何が生まれるか。生まれないか。
 男よ、だから
 あなたが忘れている。産声を、わたしは知っている。

第3連(3行)※引用します。
 けんぽうきゅうじょうに、ゆびいっぽん
 おとこが、ふれるな。やかましい!
 平和のことは、女に聞け。

 実は、この表題作だけではなく、全編を通して私が感じたのは、作者の中で、何かがふっ切れたようだということでした。

 この詩集の中には、「女に聞け」の他に、憲法9条に言及した作品があと1つあります。「美しいからだ」(124頁)は、詩の最後に「―憲法9条讃」と明記されています。全6連のうちの半分だけ引用させてもらいます。

第1連
 そのことばの
 一文字一文字
 一語一句が
 清く潔く
 美しいからだ。

第5連
 そのことばの
 守る世界が
 そのことばに
 守られる世界が

第6連
 ひとの
 いちばん
 美しい姿だからだ。

 以上のような憲法9条や平和に関わる作品だけではなく、他にも、表現者としての責任を引き受けようという決意がひしひしと読者に伝わってくる作品がたくさんあります。「鶴を」(28頁)、「何を忘れたか」(30頁)、「赤ままの歌」(32頁)など、第1部「女に聞け」に納められた作品に目立ちますが、他にも「乳の流れる歌」(80頁)や「誰が世界を語るのか」(88頁)など。詩人として言葉を紡ぐことに対する覚悟のほどがしのばれます。

 最後に、「願います」(108頁)という全5連19行の作品の一部を引用して本稿を終えたいと思います。
 それは、私が以下に引用する部分を読みながら、宮沢賢治のあの有名な作品を思い出したからでもあります。
 是非多くの方に手に取っていただきたい詩集です。

第1連
 誰かが声をあげることで、黙っている人が
 辛くならないように。
 黙っている人がいることで、声をあげる人が
 辛くならないように。

第3連
 どちらの孤独にも、矜持をもてて
 それでも 聞く耳を なくさず。
 どちらの孤独にも、敬意をはらえて
 ときには 自分の正しさを うたがい。

第4連
 何より 失望に負けず。
 笑みを忘れず。
 誰もが
 ここで、己自身を十全に生きられるように。

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和歌山県議会9月定例会で「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」に反対した6人の議員の皆さん

 2019109日配信(予定)のメルマガ金原No.3430を転載します。

和歌山県議会9月定例会で「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」に反対した6人の議員の皆さん

[この記事は、昨日、Facebook第2ブログ(あしたの朝 目がさめたら)に掲載した文章に大幅な補訂を加えて再掲するものです。]

 去る9月27日に閉会した和歌山県議会9月定例会は、最終日に「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」を賛成多数で採択しました。
 決議は、以下のような内容でした。

(引用開始)
                                          和議第10号
             統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議(案)
 特定複合観光施設、いわゆる統合型リゾート(以下「IR」という。)は、成長戦略の一つとして、我が国の観光立国政策に貢献するとともに、和歌山県における新たな産業の創出や観光振興、地域振興、雇用の拡大、財政の改善、さらには人口減少の抑制など、将来の本県の発展に多大な貢献をもたらすことが期待できる。
 また、こうした経済的・社会的効果を発現させることにより、日本におけるIR導入の成功例として、本県の存在感を全国に示す絶好の機会となるものである。
 よって、和歌山県議会は、本県が目指すIR誘致の取組を支持するとともに、特定複合観光施設区域の一つに選ばれるよう、地元の合意形成に向けた誘致機運の醸成を図るなど、IRの誘致活動を積極的に推進する。
 以上、決議する。
   令和元年9月27日
                  和歌山県議会
                  (提 出 者)
                   総務委員会委員長 川畑 哲哉
(引用終わり)

 平成28年に成立した「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「IR推進法」「カジノ推進法」)で使われている「特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものである」(同法1条)というような謳い文句をベースに、「人口減少の抑制」「本県の存在感を全国に示す」など、県民の心をくすぐる(?)と起案者が考えたご当地用フレーズをまぶせば、まあこんなものになるのでしょう。

 ところで、「賛成多数」での採択と書きましたが、和歌山県議会議員は全部で42人であり、その会派別構成は以下のとおりとなっています。

自由民主党県議団 27人
改新クラブ 5人
日本共産党県議団 4人
公明党県議団 3人
無所属の会 2人
日本維新の会 1人

 無所属の会のことはよく知りませんが、改新クラブは完全な寄り合い所帯で、対立が激しい決議、意見書の採決では、意見が割れることも珍しくありません。

 ところで、和歌山県議会では、個々の議員の議案に対する賛否は公開していませんが(これは早急に改善すべきでしょう~電子投票システムを導入する予算がないのだろうか?)、会派ごとの賛否の状況は公表しています。
 そこで、「令和元年9月定例会における議案等に対する各会派の賛否の状況」を調べてみました。
 それによると、「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」についての会派別の賛否は以下のとおりでした。

(賛成)
自由民主党県議団
公明党県議団
無所属の会
改新クラブの一部
(反対)
日本共産党県議団(奥村規子、高田由一、楠本文郎、杉山俊雄各議員)
日本維新の会(林隆一議員)
改新クラブの一部

 案の定、改新クラブの意見は割れたのですが、同クラブの5人の賛否をどうすれば確認できるのか?
 知り合いの県議会議員に直接尋ねるという方法もあるでしょうが、誰でもできる方法をご紹介しましょう。
 まず、基本的に採決は、全会一致の場合には(事前に事務局が調査するらしい)「議長:ご異議ございませんか?」「議場:異議なし」で済まし、賛否が別れる場合には、賛成者に起立を求める方法で行うようですから、誰が立ったのか、誰が座ったままだったのかを映像で確認すれば良いのです。
 採決の模様は、県議会ホームページの「本会議中継・録画」というコーナーで視聴することができます。
 今回のIR誘致決議については、以下の方法で録画が視聴できます。

和歌山県議会 インターネット中継
  ↓
録画中継
  ↓
令和元年度
  ↓
9月定例会
  ↓
9月27日(金) ※52分12秒

 以上の最終日の録画のうち、「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」については、43分~48分で、日本共産党県議団の奥村規子議員による反対討論が行われています。映像を注意深く視ていると、討論終了後の48分11秒あたりで、奥村議員に拍手する議員が5人確認できます(結局、その5人と奥村議員が反対することになるのですが)。

 その直後の48分55秒~49分09秒あたりで採決が行われ、賛成の議員は起立し、反対の議員は座ったままなのですが、反対した議員が誰かを調べるためには、県議会ホームページの中の「本会議場議席図」をご覧ください。
 私はこの議席図をプリントアウトした上で、中継録画の映像との照合を行いました。こう書くと面倒そうですが、何しろ反対者は少ないですからね。たった6人でした。
 結局、この議案の採決に際して座ったままだったのは、奥村規子議員の演説に拍手を送った5人に、奥村議員自身を加えた6人だけだったことが映像で確認できます。
 あらためて、その6人の議員を賞賛するために、以下にその氏名を掲載します。

日本共産党県議団
 奥村規子さん、高田由一さん、楠本文郎さん、杉山俊雄さん
日本維新の会
 林隆一さん
改新クラブの一部
 谷口和樹さん

 なお、「和歌山カジノに反対する海南の会」さんのFacebookに、ネット中継された採決の模様を静止画にしたものがアップされていましたので、議長席から見て右側の部分だけですが借用して掲載させていただきました。こちら側に、反対した議員6人全員が写っています。

 余談ながら、日本維新の会の林隆一議員がなぜ反対したのか?理由が知りたいと思い、同議員のTwitterFacebookを閲覧してみましたが、よく分かりませんでした。可能性としては、①カジノそのものに反対、②大坂維新の会が推進する大阪・夢洲へのカジノ誘致に対する援護射撃、③その他、などが考えられますが、はて?
 和歌山市議会議員当時、林さんの市民図書館問題について市当局を厳しく追及する姿勢には注目していたものですが。

 それにしても、と私が想起するのは、2014年9月定例会で和歌山県議会が採択した「国会に憲法改正の早期実現を求める意見書」の賛否状況です。この時は、意見書を発出して欲しいという請願を採択するかどうかと、意見書そのものの採択で賛否を使い分けた議員(公明党など)がいたりしてややこしかったのですが、少なくとも請願採択に反対した議員が7人いました(以下のとおり)。

(引用開始)
賛成 自民党と公明党全員・改新クラブの一部(長坂隆司・片桐章浩)
反対 共産党全員(雑賀光夫・高田由一・松坂英樹・奥村規子)
     改新クラブの一部(藤本眞利子・浦口高典・谷口和樹)
(引用終わり)

 それがカジノについては、維新の会を含めても反対「6人」ですからね。やれやれ・・・。
 和歌山県民の中で、カジノ誘致に賛成という者が36/42(86%)もいるとは到底思えませんが、議会の現状はこのとおりです。
 それにしても、今回賛成した議員は、4月の統一地方選で、本当に「カジノは誘致すべき」と県民に訴えて当選したのだろうか?

カジノ県議会2019年9月27日

4番目のブログ「冬の陽中(ひなか)から」について~こんなに簡単にブログが出来てしまって良いのだろうか?

 2019年4月3日配信(予定)のメルマガ金原.No.3412を転載します。
 
4番目のブログ「冬の陽中(ひなか)から」について~こんなに簡単にブログが出来てしまって良いのだろうか?
 
 2013年1月24日から2019年1月25日までの6年と2日間、「毎日更新」を続けていた私のブログが実は2つありました。
 
 
wakaben6888のブログ(Hatena) Since 2012年8月30日
 
 いずれも、私が限られた友人・知人にBCCで送信していた「メルマガ金原」をそのまま転載していましたが、当初、「Hatenaブログ」で「wakaben6888のブログ」を始めた時には、試験運用というつもりで、「毎日配信」ではなく、それなりに選別した上でアップしていました。
 一つには、「メルマガ金原」自体、2011年3月28日の創刊以来、はじめのうちは1日に複数発信することもたびたびで、その代わり、1つ1つの記事はごく短いものもたくさんあったという事情もありました。
  それが、2012年のうちに、「メルマガ金原」も原則1日1本となり、本格的に「弁護士・金原徹雄のブログ」を「livedoorブログ」で立ち上げた2013年1月以降は、メルマガ毎日送信&ブログ毎日配信となったのでした。
 その際、「wakaben6888のブログ」の更新を止めようかとも思ったのですが、既にこちらのブログにも固定読者がある程度付いてくれていたので、メルマガの記事をコピペするだけならそんなに更新の手間もかからないということで、こちらの方も更新を続けて(内容は基本的に「弁護士・金原徹雄のブログ」と一緒です)今に至っているという次第です。
 
 その後、「livedoorブログ」では、1つのアカウントで10個までのブログを作れるということだったので、2013年2月にもう1つのブログを立ち上げました。
 
 
 こちらの方は、「弁護士・金原徹雄のブログ」を補完するものという位置付けで、「メルマガ金原」からの転載ではない記事をアップしたい時に利用するつもりでスタートしたのでした。
 
 さて、以上のような経緯から、3つのブログの更新を続けてきたのですが(もっとも、「あしたの朝 目がさめたら」の更新ははなはだ不規則でした)、今年の1月26日以降、私の体調の問題から、更新が思うにまかせなくなったことは、何度かブログでもご報告してきたところです。例えば、以下の2つの記事などをご参照ください。
 
2019年1月31日
 
2019年3月23日
 
 そのような状況にもかかわらず、私が3つ目のプロバイダ(ameba)で4つ目のブログを新たに始めた、と聞かれたらさぞ驚かれるでしょうね。
 実際、私自身がいささか呆然としているところです。そのブログというのはこちらです。
 
 
 実際、新たなブログを作ろうなどというつもりは一切なく、ただ単に知人がアメブロで開設しているブログをフォローしようと思って作業をしていたところ、いつの間にか自分でアカウントを作成する手順となり(これがものすごく簡単)、あっという間に「アメブロ」に自分のブログが出来てしまったというのが実情です。
 呆然とした後、すぐに削除してしまうことも出来たのですが、何だか勿体ないような気がして、つい1本目の記事を書いてしまいました。ここまで来ると、やはり「業」なのでしょうかね?
 その記事「はじめに~ブログタイトルについて」は、私が高校時代に作った(その後は作っていないので唯一の)俳句(これを基にブログタイトルを決めました)からの連想で、高校時代に古本屋で購入した書籍の思い出を書いたごく短いものなので、以下に全文引用しておきます。
 私のブログは原則として敬体(ですます調)で書くようにしていますが、この新たなブログでは、意図的に常体(である調)で書いてみました。文体を変えると、中身も少しは変化が見られるのではないか、という期待からです。
 
 もっとも、他の3つのブログの更新も間遠になっている今、このひょんなことから誕生させてしまった「冬の陽中(ひなか)から」をそうそう更新できるとは思えませんが、従来から私のブログを読んでいただいている方には、とりあえず「お披露目」をしておかねばと思い、ご紹介したという次第です。
 
 それにしても、メールを1本書くのと同じ程度の手間でブログが1つ立ち上がってしまうのですから、何と言ったら良いのか・・・。皆さんもやってみます?
 
冬の陽中(ひなか)から 2019年4月2日
はじめに~ブログタイトルについて
(引用開始)
 ひょんなことから、また一つブログを作ってしまった(これが3社目のプロバイダーで、ブログとしては4つ目)。はたしてこれから更新していけるのか、また、実名を公表する気になるのかすら定かではないが、そういういい加減なブログがあってもよいか。
 ということで、最初はブログタイトルについて。
 もう何十年前になるだろうか、私が生まれて初めて作った俳句(高校時代だったのは間違いない)、
   古本屋 冬の陽中の 店の前
が思い浮かんだので(というか、私はこれ以降俳句など作っていないので、それで憶えていた)、とっさにタイトルにしてしまったに過ぎないのだが、しばらくはこれでいこうと思う。
 ちなみに、陽中は「ひなか」と読んで欲しいと思っているが、そんな用法・読み方があるのかどうかも知らずに作ったものだ(今でも知らないが)。
 自転車通学していた高校時代、私が学校帰りによく立ち寄っていた古本屋が2軒あった。私の住む町は地方の県庁所在地であるが、当時(昭和40年代後半)でも既に古本屋は数少なくなっており、市内に数軒もあったかどうか。
 私が上記の俳句を詠んだ際に頭に浮かんでいたのは、行きつけの2軒のうちの1軒で、狭い裏路地に面し、西向きの店の表には客寄せのために格安の古本が平台の中にぎっしり並べられており、学校帰りに自転車で立ち寄った午後4時頃、冬の暖かい陽光に包まれながら、平台内の本を手に取っている情景が頭に浮かび、それをそのまま十七文字にしたものだった。
 この店では、高校生でも気軽に買える格安本も購入したはずだが、どんな本を買ったかは憶えていない。憶えているのは、戦前、坪内逍遙訳により、中央公論社が文庫サイズのハードカバーで出版した「シェイクスピヤ全集」全40巻を、親戚から貰ったお年玉をはたいて(5,500円だったと思う)購入したことであり、この全集は、今でも私の書庫に収められている。
 戦前の本といえば、北畠親房の『神皇正統記』(和綴じだった)を購入し、ぱらぱらと読める部分だけ流し読みしたことがあったが、これも同じ店で買ったのか、あるいはもう1軒の方で買ったのかは記憶にない。この本も、購入から既に40数年経つが、いまだに私の書庫の隅にひっそりと収まっている。
 ブログタイトルからの連想で、若い頃に購入した本のことを思い出して書いてみた。他の3つのブログ(今年に入ってからあまり更新できていないが)では、自分の職業や身元なども公開した上で、社会的な発言をすることを主な目的としてきたので、このような極めて個人的な思い出話を語るブログがあっても良いかという気がする。もちろん、「読者」などは全く期待できないけれど。
(引用終わり)

近況報告~今後のメルマガとブログについて

   2019年1月31日配信(予定)のメルマガ金原.No.3404を転載します。
 
近況報告~今後のメルマガとブログについて
 
 私のブログを毎日閲覧してくださる方がいるのかいないのか、確認のしようがありませんが、ブログのベースとなっている「メルマガ金原(暫定版)」をお送りしている数十人の方々の中には、「毎日送られてきていた『メルマガ金原』が、ここ数日届かないのは何故だろう?」と思ってくださっている方がもしかしたら何人かおられるかもしれませんのでご報告しておきます。
 
 先週の土曜日(1月26日)に左肺から空気が漏れて肺が収縮してしまう気胸(ききょう)との診断を受け緊急入院しました。幸い、胸の外からチューブを入れて胸膜腔内の空気を抜く処置によって空気の漏れが止まり、手術までせずに済み、昨日退院しました。
 今回は左肺でしたが、実は2008年10月には右肺が気胸を起こし、やはり同じような期間入院したことがあり、主治医からは、再(々)発の危険性も十分にあると警告されて退院しました。
 
 気胸となる直接のきっかけは様々にあるようで、論証などできぬものの、私が勝手に想像するところでは、
〇10年前の右気胸の際には、発症の前夜、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」が主催するシンガーソングライター横井久美子さんのコンサート準備の際、滅茶苦茶重い音響機器の運搬を手伝った(素晴らしい音響で横井さんには喜んでいただけたものの、費用を値切ったので人手が足りなかった)が身体に応えた。
〇今回の左気胸は、10年前ほどはっきりした理由は分からぬながら、発症(1月24日夕方)の前週(1月19日)に開催した「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」開催準備のため、徹夜まではしなかったものの、日付が変わってから帰宅することが何日か続き、「つどい」が終わった後も、「つどい」準備のために後回しにしていた本来業務に追われ、睡眠不足が続いて疲労が累積していた。
といったようなことではないかと思っています。
 
 以上は、気胸が発症する最後のトリガーを引いたのが何であったかについての私自身の分析(想像)ですが、そもそも肺の病変の主原因は長年にわたる喫煙であると、医師を含め、多くの人は疑っていないようです。
 確かに、私が長い間煙草を吸っていたことは事実ですが、2008年の右気胸を機にきっぱりと禁煙し、今や煙草と縁を切って10年以上が経過したのですけどね。 
 既に禁煙しているので、今さら二重に禁煙する訳にもいかないし、少しでも再発のリスクを低減するためには、上記2回を教訓として、身体や神経に過大なストレスをかけぬように心掛けることくらいしか思いつきません。
 身体へのストレスを避けるというのはともかく、神経にストレスがかかるのは、弁護士という仕事を続ける以上、避けがたい面がありますが、それでも、極力睡眠不足に陥らぬように、ということには気をつけねばと思っています。
 
 ということで、2013年1月24日からスタートした「弁護士・金原徹雄のブログ」の「毎日更新」記録は、ちょうど6年と2日が経過した2019年1月25日でストップしましたが(ざっと計算したら2,193日連続更新と出ましたが、合ってますかね?)、ブログのベースとなっている「メルマガ金原(暫定版)」(暫定版というのは、いったん技術的な理由で休止したものを、仮に復旧させたという趣旨ですが、休止中もブログは更新していました)を含め、しばらく休載とさせていただきます。
 さらに、更新再開となっても、当面「毎日更新」は無理だと思います。
 2011年3月28日に「メルマガ金原」を25人の知人に配信し始めた時、自らに課した責任を投げ捨てるつもりはありませんが、状況の変化に応じたアジャストが必要な時期になったということなのだろうと思います。
 「弁護士・金原徹雄のブログ」の復活をご期待ください(何だかすぐに復活するような気もしますが)。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/メルマガ金原関連)
2013年3月2日
2013年3月2日
2013年10月2日
2015年2月13日
2016年7月2日

番組予告「ベイリーとゆいちゃん」(NHKスペシャル@2019年1月27日)

 2019年1月18日配信(予定)のメルマガ金原.No.3396を転載します。
 
番組予告「ベイリーとゆいちゃん」(NHKスペシャル@2019年1月27日)
 
 世の中には、「猫派」と「犬派」と「どちらも嫌い派」の3種類の人がいるらしいのですが、どう考えても、私は「猫派」の家系でした。けれども、6年前に満20歳で家猫を喪ってからは、自分の年齢も考えて、新しいペットは迎えていません。
 とはいえ、我が家に犬がいた時期も、わずかながらにあり、私の小学生から中学生にかけての頃だったでしょうか、紀州犬を2代続けて(母犬と娘犬)飼ったことがありましたが、惜しいことに、いずれも短命でした。
 
 そんな「猫派」の私でも、以下のような番組告知を読むと、「見てみたいな」という気になったりします。
 
NHK総合テレビ 2019年1月27日(日)午後9時00分~9時49分
再放送 2019年2月27日(水)午前0時40分~1時29分(26日深夜)
NHKスペシャル「ベイリーとゆいちゃん」
(番組案内から引用開始)
神奈川県立こども医療センターには、医療現場に常駐するセラピー犬、ベイリーがいる。長期入院で気分が沈みがちな子どもに寄り添い心をいやしたり、手術室に行くのを嫌がる子どもに付き添ったり。ベイリーが関わった患者は9年間で実に3000人以上。ベイリーに始まった医療現場へのセラピー犬の本格的な導入は、今、全国の医療機関へと広がりを見せている。リハビリの現場にセラピー犬が参加すると、患者の回復が早まったり、自閉症児のコミュニケーション能力が向上したりするケースがあることが注目されている。今回、番組では、重い病と決別するため、大手術を受ける少女、ゆいちゃん(10歳)とセラピー犬ベイリーが、心を通わせながら様々な苦難を乗り越えていく日々を追う。さらに、最新科学は『なぜ犬が人間の心を癒やすのか?』その理由を解き明かしつつある。人と犬の間には、種が違うにもかかわらず『互いに愛情を感じ、心を癒やし合う仕組み』が確かに存在することが分かってきたのだ。それは、人と犬が共に歩んだ3万年の“共進化”が生みだした奇跡の絆だった。犬好きの方!必見です。
(引用終わり)
 
 このベイリーが所属する(というのかな)特定非営利活動法人シャイン・オン・キッズのホームページに、昨年の10月、「“名誉ファシリティドッグ”ベイリーの引退セレモニーを行います」というプレスリリースが掲載されていましたので、引用してみます。
 
(抜粋引用開始)
 ファシリティドッグのベイリー(10歳・オス)は、国内初のファシリティドッグとして、平成22年1月より静岡県立こども病院で活動を開始。その後、平成24年7月に神奈川県立こども医療センター(総長:山下純正氏 
 http://kcmc.kanagawa-pho.jp に着任し、病院スタッフの一員として、ハンドラー森田優子と一緒に大勢の子どもたちを笑顔にしてきました。
 ベイリーは10歳の誕生日を機に徐々に病棟業務を後任犬のアニー(2歳・メス)に引き継ぎ、最近は“名誉ファシリティドッグ”として病院内ボランティア団体での活動に移行。この度ひとつの節目として引退セレモニーを執り行います。
【日時】10月16日(火)14:00スタート (13:30受付開始)
【場所】神奈川県立こども医療センター体育館 http://kcmc.kanagawa-pho.jp/
 特定非営利活動法人シャイン・オン・キッズ( http://sokids.org/ja/ )が派遣するファシリティドッグは、1年半から2年にわたる特別なトレーニングを積み、治療行為に関わる「動物介在療法」を主体として活動します。今回の引退セレモニーには育成元の「アシスタンスドッグス・オブ・ハワイ」(アメリカ・ハワイ州)の創設者モーリーン・マウラー氏とトレーナーでベイリーのパピーレイザーだったシャロン・ダーキスト氏も、シャイン・オン!キッズ理事長のキンバリー・フォーサイスと共に参加します。
 今までベイリーが病院で出会った子どもの数は、のべ2万人以上。「苦しかった入院生活に彩りを与えてくれた」、「ベイリーが来てくれることが楽しみで乗り越えられた」、「リハビリを頑張れたのはベイリーのおかげ」等、たくさんの声が寄せられています。当日は、お子さんからの感謝のスピーチや、お手紙や絵のご紹介もいたします。
 今後は後任犬のアニー(メス・2歳)にバトンを渡し、ボランティア犬として第二の人生を歩みます。
【ファシリティドッグとは】
 病院に常勤して医療チームの一員として働けるように、専門的なトレーニングを受けた犬です。 ハンドラーとペアになって活動し、単なる患者との触れ合いにとどまらず、小児がんや重い病気の治療にも関わっています。
 日本ではまだ、シャイン・オン!キッズが派遣する静岡県立こども病院と神奈川県立こども医療センターにしか存在しません。(都内公的病院に新規導入準備中)
 ファシリティドッグの大きな特徴は、毎日同じ病院に勤務し、個々のニーズに合わせた活動を行うことです。痛い検査や手術室への付き添い、リハビリ支援なども行います。いろいろな病院や施設を巡回訪問することはありません。
 ときどき訪れて短い時間だけふれ合うのではなく、同じ犬がいつもそこにいて多くの時間を繰り返し過ごせることが、入院治療している子どもたちの心の励みになります。ファシリティドッグプログラムは、歯の妖精「TOOTH FAIRY」プロジェクト(日本歯科医師会協賛・日本財団実施)をはじめ、多くの企業、団体、個人のご支援により運営しています。
(引用終わり)
 
 実は、ベイリーのことは本にもなっているのですね。2011年11月に、岩貞るみ子さんの文、澤井秀夫さんの写真で、小学館から刊行されています。思わずAMAZONマーケットプレイスで注文してしまいました。

 27日の放送までに本も届いているでしょうから、ざっと目を通した上で、番組を視聴できればと思います。

(追記)
 以下の日程で再放送されます。
2019年2月27日(水)午前0時40分~1時29分(26日深夜)

「終活のススメⅡ~心穏やかな老後と残された人の幸せを願って~」(2/23法テラス和歌山・法教育セミナー)のご案内

 2019年1月17日配信(予定)のメルマガ金原.No.3395を転載します。
 
「終活のススメⅡ~心穏やかな老後と残された人の幸せを願って~」(2/23法テラス和歌山・法教育セミナー)のご案内
 
 昨日、消費者ネットワークわかやま公開学習会「無縁社会と終活~人生のエンディングを考える~」(2019年2月9日@和歌山県勤労福祉会館プラザホープ2階多目的室)をご案内したところですが、2日続けての「終活」企画のご案内です。
 今日ご紹介するのは、法テラス和歌山(正式名称は日本司法支援センター和歌山地方事務所)が主催する法教育セミナー「終活のススメⅡ~心穏やかな老後と残された人の幸せを願って~」(2019年2月23日@和歌山県民文化会館小ホール)です。
 
 「終活のススメⅡ」ということは「終活のススメⅠ」があった訳で、それは4年前に開催した「法テラス和歌山 法教育セミナー-終活のススメ-」(2015年3月14日@和歌山市あいあいセンター6階ホール)でした。
 前回の「終活のススメ」は、第1部でドキュメンタリー映画『エンディングノート』(砂田麻美監督)を上映し、第2部で、相続・遺言を主なテーマとした座談会形式の弁護士による法律講座という構成でした。事前告知した私のブログは以下のとおりです。
 
2015年2月2日
 
 前回は映画を上映した第1部、今回は林家染二(はやしや・そめじ)師匠に落語をお願いしています。
 私自身、上方落語といえば、長らく米朝事務所と提携して和歌山で落語会を開催してきている和歌山音楽愛好会フォルテに関わってきた関係から、米朝一門の皆さんの高座は何度も拝見してきましたが、染二さんの師匠である四代目林家染丸一門の噺家さんとはこれまで一度もご縁がありませんでしたので、今回の企画で初めて染二師匠の落語を聴くことができるのを非常に楽しみにしています。
 
 ちなみに、染二師匠のオフィシャルサイトに掲載されたプロフィールによると、染二さんは龍谷大学法学部のご出身、「2012年~落語家で初めて京都大学で講義(※「宇宙総合学」全学部1・2回生対象)を担当し、その他大阪電気通信大学・京都造形芸術大学・大阪成蹊大学にも出講している。」とか。
   もっとも、2月23日には「出講」していただくという訳ではなく、高齢者が消費者被害にあわないようにという創作落語の一席をお願いしているのですが。
 
 そして、第2部は、今回も座談会形式の法律講座で、弁護士、司法書士により、相続、遺言、成年後見などについて、分かりやすく説明します(染二師匠にも参加していただきます)。
 
 以下に、チラシ記載情報を転記します。
 
チラシから引用開始)
終活のススメⅡ
~心穏やかな老後と残された人の幸せを願って~
 
第1部 落語 林家染二(はやしや・そめじ)さん
 
第2部 座談会 林家染二さん・弁護士・司法書士
       (相続、遺言、成年後見について)
 
開催日時 平成31年2月23日(土)
          開場/14:00 開会/14:30 閉会予定/16:15
会   場
 和歌山県民文化会館小ホール
         和歌山市小松原通一丁目1番地

定員 300名
入場無料
予約不要
手話通訳あり 手話通訳が必要な方は事前に法テラスにご連絡ください。お席を確保します。
  
参加者特典
『法テラス和歌山特製エンディングノート(冊子)』と『LEDライト付きペン』を差し上げます。(300名限定)
 
主催者・お問合せ先
日本司法支援センター和歌山地方事務所(法テラス和歌山)
 TEL:050-3383-5457(受付時間平日9:00~17:00)
 
後援
和歌山県、和歌山県教育委員会、和歌山市、和歌山市教育委員会、(社)和歌山県社会福祉協議会、(社)和歌山市社会福祉協議会、和歌山弁護士会、和歌山県司法書士会、(一社)和歌山県社会福祉士会、NHK和歌山放送局、(株)テレビ和歌山、(株)和歌山放送、ニュース和歌山(株)、(株)和歌山リビング新聞社、(株)わかやま新報
(引用終わり)
 
 上掲の、4年前に書いた私のブログでもご紹介したとおり、無料でダウンロードできるエンディングノートも色々ありますが、法テラス和歌山のスタッフが独自に作成し、法教育講座などで配布して好評を博している特製エンディングノートを、普段はカラーコピーで対応しているのですが、今回の企画に合わせて特に印刷することになりました。ご期待ください。
 
 私自身、エンディングノートや終活を素材として、「法」のはたす役割についてお話する機会があり、その骨子を文章にまとめていますので、その一部を以下に引用し、今日の記事のまとめとしたいと思います。
 
「法テラス和歌山では、2015年3月に、一般市民を対象とした法教育セミナーを開催し、その中で、『エンディングノート』(砂田麻美監督作品/2011年)というドキュメンタリー映画を上映しました。
 映画は、長年ビジネスの最前線で活躍していた男性が、定年を迎えて間もなく癌の宣告を受け、自分の生と死を見つめながら、様々な思いを整理してエンディングノートを作成していく様子を実の娘さんが撮影したもので、非常に感銘深いものでした。
 セミナーでは、映画を上映した後、後半で、和歌山弁護士会高齢者・障害者支援センター運営委員会の正副委員長を招き、法テラス和歌山法律事務所のスタッフ弁護士がコーディネーターを務めて、遺言や相続についての解説をしてもらうという構成で進行しました。
 皆さんは、エンディングノートというものを見たことがあるでしょうか?色々なものが市販されていますし、ネットで無償ダウンロードできるものもたくさん公開されています。
 自分がどんな人生を歩んできたかを振り返る「自分史」、死後に子どもや親族が困らないように、亡くなったことを連絡して欲しい人の連絡先、葬儀や墓についての希望、財産や負債のことなどが書けるようになっているものが多いようです。
  これは、どちらかと言えば「トラブルが起こらないようにするにはどうするか」という問題ですが、少し私の意見を書いてみます。
 人はみな「自分らしく生きたい」「自己実現したい」と望んでいるはずです。実は、上でご紹介したエンディングノートは、「どう死ぬか」ということ、すなわち究極の「自己実現」のためのツールなのだと思います。
  しかし、セミナーの後半で取り上げたテーマは、「相続」「遺言」でした。
  それはこういうことです。
  人は、様々な社会集団や家族の中で生活しています。彼ら、彼女たちは、朝起きてから夜眠りにつくまで、習俗、道徳、規則(校則や就業規則)、法律、条例など、様々な規範の中で生きています。
  そのような「社会的動物」である人間が、自らを取り巻く環境の中で、いかに「自分らしく」生きていくかということに、「法」が関与できる部分というのは決して多くはありません。分野にもよることですが、「ごく一部」であると言っても良いでしょう。
 しかし、「一部」だから重要性が低いということにはなりません。第1でも少し説明しましたが、裁判制度によって担保された「法」の体系が存在することにより、私たちは、最終的には「権力者による恣意」ではなく、法律を基準とした「公正な判断」が得られると社会(国)を信頼することができます。
 人類は、全能の君主による一方的な裁きではなく、衆智を集めて作った「法」を公正に適用する裁判制度こそ、信頼するに足ると選び取ったのです。近代「法治主義」とは、すなわちそのような「法」に対する信頼の体系なのです。
  もちろん、社会には、「法」は関与せず、習慣や道徳に委ねるべきと考えられる分野もたくさんありますし、そのような問題が法廷に持ち出されても裁判所は不適法として却下します。
  そして、「法」によって規律されている社会的事象をめぐってトラブルが生じないように、あらかじめ明確な「遺言書」や「契約書」を作ったりすること。万一トラブルが生じた場合に、「法」に則った公正な解決がなされるようにすること。そのような「法的」な解決のためのアクセス障害を克服するためにこそ、法テラスが設立され、民事法律扶助業務を運営しているのです。」

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「無縁社会と終活~人生のエンディングを考える~」(2/9消費者ネットワークわかやま公開学習会)のご案内

 2019年1月16日配信(予定)のメルマガ金原.No.3394を転載します。
 
「無縁社会と終活~人生のエンディングを考える~」(2/9消費者ネットワークわかやま公開学習会)のご案内
 
 重なるときは重なるもので・・・というのは、ここ最近、「終活」というキーワードにかかわる企画をほぼ同時期に3つも目にすることになったのです。
 
 そもそも、「終活(しゅうかつ)」とは?と言ったところで、「公的な」定義がある訳ではありません。
 インターネットで検索してみれば、一般社団法人終活ジャパン協会とか、一般社団法人終活カウンセラー協会などという団体のホームページがあったりしますが、法制度としての「終活」というものはありません。ただ、一般に言われている「「人生の終わりのための活動」の略。人間が自らの死を意識して、人生の最期を迎えるに当たって執る様々な準備や、そこに向けた人生の総括を意味する言葉である。」(Wikipediaより)のうちのごく一部が、「遺言」などとして個別に制度化されているだけです。
 上のWikipediaの説明によると、「終活」という言葉自体の生みの親は「週刊朝日」で、2009年の連載以降広まったとされています。
 
 実際、私が「終活」という言葉を知ったのはそれほど以前のことではなく、3年前に『エンディングノート』(砂田麻美監督/2011年)という映画の上映を含む企画に関わった時が最初でした。
 その時に書いたブログが以下のものです。
 
2015年2月2日
 
 3年前の3月14日に上の企画を主催した法テラス和歌山では、今年の2月23日(土)に、その続編ともいうべき「終活のススメⅡ~心穏やかな老後と残された人の幸せを願って~」を開催するのですが(和歌山県民文化会館小ホール)、それはまた機会をあらためてご紹介します(今回の企画の第1部は、映画上映ではなく落語上演です)。
 
 以上が、「終活」関連の3つの企画の1つなのですが、あと2つのうちの1つは、私の友人で、ある障害者団体の役員をしている女性から、「終活に関する学習会を企画しているので弁護士を講師に依頼したい」という相談を受け、和歌山弁護士会高齢者・障害者支援センター運営委員会を紹介したというものです。
 
 そして、3つめの「終活」に関わる企画というのが、今日ご紹介する消費者ネットワークわかやま公開学習会「無縁社会と終活~人生のエンディングを考える~」です。
 もっとも、私自身、この企画に関わっている訳ではなく、単に主催団体の役員の方からチラシをいただいただけなので、そこに記載された以上の情報の持ち合わせはありません。
 ただ、そのチラシに「最近では「終活」を狙った悪徳商法や詐欺が問題となっています。」とあるのを読み、インターネットで「終活」と検索してヒットするサイトを子細に見ていくと、そういうサイトを公開しているところ自体は「悪徳商法や詐欺」と無関係であったとしても、「終活」が、新手の消費者被害の素材になりつつあるという事情も、「そうかもしれない」と何だかうなずかれるような気がしてきます。
  
 それにしても、こう私の周辺で「終活」という言葉を頻繁に聞くようになるとは、これが「時流」というものでしょうか。
 以下に、「無縁社会と終活」のチラシ記載情報をご紹介します。
 
(チラシから引用開始)
消費者ネットワークわかやま 公開学習会
無縁社会と終活
~人生のエンディングを考える~
 
 人と人とのつながりが希薄化するなか、1人で孤独に亡くなり、引き取り手もない「無縁死」が急増しています。
 2010年に放送されたNHKスペシャル『無縁社会』では、年間3万2千人が「無縁死」していると報道され、大きな話題となりました。
 
 そうした中で、人生の最期を考え、準備する「終活」への関心が高まっています。最近では「終活」を狙った悪徳商法や詐欺が問題となっています。
 
 無縁社会や終活にともなう消費者トラブルについて学び、人生のエンディングについて、一緒に考えてみませんか。
 
講師プロフィール
板垣 淑子 (いたがき・よしこ) さん
 NHK名古屋放送局 報道部(報道番組)チーフ・プロデューサー
 1994年NHK入局。報道局制作センター、大型企画開発センター、報道局社会番組部あどをへて、現在は名古屋放送局報道部チーフ・プロデューサー。主な担当番組は、NHKスペシャル「ワーキングプア~働いても働いても豊かになれない(2006年)」(ギャラクシー賞大賞)、同「無縁社会~“無縁死”3万2千人の衝撃~(2010年)」(菊池寛賞)、同「終の住家はどこに 老人漂流社会(2012年)」、などを制作。2015年、放送文化基金賞個人賞を受賞。
 
日時 2019年2月9日(土)開場13:00 講演13:30~15:30
会場 和歌山県勤労福祉会館プラザホープ 2F 多目的室
      (和歌山市北出島1丁目5-47)
お問合せ 消費者ネットワークわかやま 事務局 ☎073-474-1124
(引用終わり)
 
(参考サイト)

和歌山弁護士会が和歌山県と「災害発生時における法律相談業務等に関する協定書」を締結~弁護士会の災害ADRに県も協力を約束

 2018年12月27日配信(予定)のメルマガ金原No.3374を転載します。
 
和歌山弁護士会が和歌山県と「災害発生時における法律相談業務等に関する協定書」を締結~弁護士会の災害ADRに県も協力を約束
 
 全国各地で、地方自治体と地元弁護士会との間で、大規模災害の発生に備え、被災者のための法律相談などを迅速に実施するための協定(災害協定)を締結する動きが進んでいることは、去る12月17日に全国市長会と日本弁護士連合会が「災害時における連携協力に関する協定」を締結したことをお伝えしたブログの中でもご紹介したとおりです。
 
 さて、それからわずか9日後の昨日(12月26日)、私が所属する和歌山弁護士会が、和歌山県との間で「災害発生時における法律相談業務等に関する協定書」を締結しました。メディアによる報道のいくつかをご紹介しておきます。
 
NHK NEWS WEB 和歌山NEWS WEB 12月26日 17時34分
県と弁護士会「災害ADR」協定
(引用開始)
 南海トラフの巨大地震などの際に住民トラブルを迅速に解決するため、和歌山県と和歌山弁護士会は裁判を行わずに問題の解決を図る「災害ADR」と呼ばれる取り組みを協力して実施することになり、26日、協定を結びました。
 26日は県庁で、仁坂知事と和歌山弁護士会の山下俊治会長が協定書を取り交わしました。「ADR」は、民事上のトラブルを裁判を行わずに弁護士などが間に入って話し合いで解決を目指す手続きで大規模な災害では、土地の境界が分からなくなるなどのトラブルが頻発すると予想されることから、復興・復旧を迅速に進めるうえでも「災害ADR」の必要性が指摘されています。
 協定では、大規模な災害が起きた際に▼県が主催する法律相談会に弁護士が無料で参加することや▼弁護士会が災害ADRを行う際は県が場所を提供することなどが定められています。
 和歌山弁護士会によりますと、都道府県と弁護士会がこうした協定を結ぶのは全国で初めてだということです。
 これについて仁坂知事は、「法律の専門家が被災者の問題の解決を進めてくれるのは心強い」と話したほか、和歌山弁護士会の山下俊治会長は、「県と協定を結べたことは大変意義深い。災害時に多くの人に利用してほしい」と話していました。
(引用終わり)
 
産経NEWS 2018.12.27 07:24
大規模災害の民事トラブル解決へ 和歌山弁護士会と県が協定
(抜粋引用開始)
 和歌山弁護士会と和歌山県は26日、大規模災害に伴う民事トラブルの解決を支援する裁判外紛争解決手続き(災害ADR)に関する協定を締結した。弁護士会と都道府県の災害ADR協定は全国初という。
 災害ADRは、当事者の申し立てを受け、弁護士が仲裁人となり相手方の言い分も聞いて和解による解決を目指す。裁判に比べ、時間や費用が少なく済む利点がある。
 今回の協定では、災害時に県が無料法律相談を開催する場合に弁護士会は弁護士を派遣。弁護士会が災害ADRを実施する場合は県有施設を提供するほか、必要に応じて市町村などと連携し、開催場所を確保する。避難所などで災害ADR開催も可能になるという。
 大規模災害の被災地では、不動産の賃貸借や土地の境界といったトラブルが多発する一方、双方が被災者となるケースも多く、迅速な紛争解決が早期の生活再建につながるという。
(略)
(引用終わり)
 
共同通信 2018年12月26日 / 16:10 /
災害時ADRで協定締結、和歌山
(抜粋引用開始)
 和歌山県は26日、災害時に被災家屋の瓦が落下して別の住宅を損壊するなどの近隣トラブルを想定し、裁判外紛争解決手続き(ADR)に関する協定を都道府県として初めて県弁護士会と締結した。
(略)
 和歌山県では、ADRについてのパンフレットを避難所で配布するなどして周知を図る考えだ。
(引用終わり)
 
WBS和歌山放送ニュース 2018年12月26日 20時18分
全国初・災害時のADRで和歌山県と弁護士会が協定
(抜粋引用開始)
(略)
 おととし(2016年)地震の被害を受けた熊本県では、家の修繕費の負担や、賃貸物件の立ち退きを巡るトラブルなどが続出しました。
 熊本県弁護士会が、手数料が優遇される「震災ADR」を設けたところ、申し立ては130件ほどにのぼりました。
 和歌山県はこうした例を踏まえて協定を結んだもので、担当者は「裁判所が被災したり、交通網が寸断されたりする可能性もある。ADRは各地の避難所で実施できる」と利点を強調しています。
(引用終わり)
 
テレビ和歌山ニュース 2018-12-26(水) 19:05
災害ADRの協定
(抜粋引用開始)
 大規模災害が発生した際に多発することが予想される、境界紛争をはじめとする近隣トラブルの解決に役立てるための、法律相談や裁判によらない紛争解決手続き「ADR」に関する協定が、県と和歌山弁護士会との間で結ばれ、今日、その締結式が行われました。
 締結式は今日、県庁知事室で行われ、仁坂知事と和歌山弁護士会の山下俊治会長が、それぞれ協定書に署名しました。
(略)
 県の県民生活課によりますとこうした協定は、熊本地震の際、被災地の一つの益城町が熊本弁護士会と結んだ協定に続いて2例目で、都道府県単位では全国で初めてだという事です。
(引用終わり)
 
 全12条の短い協定ではありますが、その意義は非常に大きいと思われます。
 第一に、発災から間を置かず、適切なタイミングで被災者のための切れ目のない法律相談体制を構築する上で、事前に自治体と弁護士会との間で協定を締結し、相互に顔の見える連携関係が出来ていることによる効果には大きなものがあるはずです。
 第二に、まず県との間で災害協定が締結できたことにより、今後、和歌山弁護士会と県下の市町村との間の災害協定締結に向けて大きな弾みがつくことが期待されます。
 そして第三に、上に引用した記事が揃って強調するとおり、大規模災害発生時に、和歌山弁護士会が被災地で実施することが想定される災害ADRに対し、県が開催場所の確保や広報に協力すること、また、災害ADRの開催にあたり、地元市町村との連絡調整が必要な場合には、県がこれに協力することが明示されており、このような、将来の災害に備えて弁護士会災害ADRへの協力を予め明確に認めた県レベルの災害協定は、おそらく全国初だろうということです。
 
 和歌山弁護士会でこの件を担当したのは災害対策委員会(九鬼周平委員長、柳川正剛副委員長)ですが、平成27年度に発足したというまだ「若い」委員会であり、前身の災害対策マニュアル作成プロジェクトチーム時代を含めても、まだ6年余りの活動期間しか有していません。従って、まだまだ、先行して災害問題に取り組んできた他の弁護士会の経験に学びながら、手探りで方向を模索するという段階かもしれませんが、自ら被災者としての体験を有する若い正副委員長のリーダーシップの下、着実な実績を積み重ね、今回の県との災害協定締結に至ったことを、非常に喜ばしく思っています。
 などと書くと、まるで「甥の活躍に目を細める伯父さん」といった風情ですね。それだけ私も年をとったということでしょうが。

年末・年始に私が注目するTVドキュメンタリー番組あれこれ

 2018年12月24日配信(予定)のメルマガ金原No.3371を転載します。
 
年末・年始に私が注目するTVドキュメンタリー番組あれこれ
 
 クリスマスイブといっても、ふだんの休日(今日は天皇誕生日の振替休日)と何ら変わるところはありませんが、さすがに今年もあと1週間となると、ブログの方も年末年始進行を考えなければならない時期です(雑誌の編集者から見れば一月遅れの進行でしょうが)。
 たとえば、ここ何年かは大晦日に「憲法をめぐる激動の〇〇〇〇年を和歌山の地から振り返る」を発信することにしていますが、1年分の行事について、過去のネット記事にリンクをはる作業はとても1日では終わらず、何日か前から作業をスタートする必要があります。
 
 
 また、例年、和歌山市の成人式(はたちのつどい)で「平和と憲法を守りたい市民の声」が実施している新成人アンケート、どうやら2019年も実施する方向のようなので、会員ではない「特別委嘱広報担当」としても、取材に赴いてレポートを書かねばならず、その準備として、過去のデータの確認をやっておかねばなりません。ちなみに、次の和歌山市「はたちのつどい」は、年明け1月6日(日)、昨年に引き続き和歌山県民文化会館で行われます。
 
※2012年~2016年の新成人アンケートの結果をまとめて掲載しています(2017年は荒天のためアンケートは中止)。
 
 というようなことで、何かと慌ただしいことは慌ただしい毎日なので、興味深いTVドキュメンタリー番組を見逃してしまう可能性も十分にあります。
 そこで、私がいつも注目している放送枠の年末・年始番組の中で、「これは録画しておいた方が良いのでは」と思えた番組を、いくつか備忘的に取り上げておきます(再放送を含む)。
 
本放送 2018年12月29日(土)午後11時00分~午前0時00分
再放送 2019年1月3日(木)午前0時00分~1時00分(2日深夜)
移住 50年目の乗船名簿 第1回「アマゾンに生きた人々」
「昭和43年、南米に向かう移住者を取材した番組「乗船名簿AR29」。その後10年毎に移住者を取材した。そして50年。半世紀撮り続けた空前のドキュメンタリー。
昭和43年、一隻の船で南米各地へと渡った移住者を取材した番組「乗船名簿AR29」。ディレクター相田洋は、移住10年目、20年目、31年目と移住者を訪ね、その暮らしを見つめてきた。そして移住者たちが日本を旅立って50年が経った2018年。人々はどのような人生を歩んだのか。4回にわたり放送する。今回は第1回。半世紀をかけて制作した空前の群像ドキュメンタリーが始まる。」
本放送 2019年1月5日(土)午後11時00分~午前0時00分
再放送 2019年1月10日(木)午前0時00分~1時00分(9日深夜)
移住 50年目の乗船名簿 第2回「夢と希望と愛の軌跡」
「昭和43年、南米に向かう移住者を取材した番組「乗船名簿AR29」。その後10年毎に移住者を取材した。そして50年。半世紀撮り続けた空前のドキュメンタリー。
昭和43年、一隻の船で南米各地へと渡った移住者を取材した番組「乗船名簿AR29」。ディレクター相田洋は、移住10年目、20年目、31年目と移住者を訪ね、その暮らしを見つめてきた。そして移住者たちが日本を旅立って50年が経った2018年。人々はどのような人生を歩んだのか。4回にわたり放送する。第2回は、ブラジルの地に生きた人々の半世紀にわたる夢と希望と愛の軌跡を見つめる。」
 
本放送 2019年1月6日(日)午後9時10分~9時59分
サグラダ・ファミリア 天才ガウディの謎に挑む
「天才建築家ガウディが残した大きな謎は解けるのか?およそ140年前から建設が続く未完の世界遺産スペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリア教会。ついに去年10月、教会の最大のシンボル・イエスの塔の建設が始まった。完成すると、サグラダ・ファミリアは世界で一番高い教会(172.5メートル60階建ての高層ビルに相当)となる。しかし、ガウディが残した建築資料はスペイン内戦で焼失。イエスの塔の壮大な構想は長年、謎に包まれてきた。その謎に挑むのは、サグラダ・ファミリアの芸術工房監督として、40年前からガウディの残した手がかりを探し、教会を作り続けてきた外尾悦郎(そとお・えつろう)さんだ。NHKでは10年前から外尾さんに密着、制作の現場を記録してきた。さらに近年発見された、6000点を越えるガウディの遺品を独占取材。宝石のように美しいガウディの実験材料からイエスの塔につながるヒントが明らかになった。また、今回は、光の芸術、石の聖書とも称されるサグラダ・ファミリアを4K高精細カメラとドローンで撮影。新年に相応しいエンターテインメントと歴史ミステリーをご覧頂く。」
 
再放送 2019年1月1日(火)午前5時10分~5時59分
秘島探検 東京ロストワールド 第1集 南硫黄島
「東京に人を全く寄せ付けない秘境「ロストワールド」がある。周囲から隔絶された環境で、まるでタイムカプセルのように貴重な命が守られている。第1集の舞台は、東京都心から南1300kmに浮かぶ絶海の孤島、南硫黄島だ。海は荒れ、四方は断崖絶壁に囲まれているため、簡単に近寄ることはできない。今回、特別の許可を得た科学調査隊が、ドローンも駆使した島の本格的な探検を初めて敢行。NHKのクルーが同行した。研究者たちは、この島が生物の進化を観察できる地球上で数少ない場所のひとつだと考えている。最大の特徴は、急激な高度差によって、熱帯から温帯までの環境が、ひとつの島の中にひしめき合うという点。島にたどり着いた生き物が、環境に応じて新しい種に進化していく姿を目の当たりに出来るというのだ。過酷な登山、大量の海鳥たちの突然の襲来。困難な調査の末、調査隊は新種を続々と発見していく。そして、生物の進化の不思議を物語る、小さな生き物に巡りあう。」
 
再放送 2019年1月2日(水)午前5時10分~5時59分
秘島探検 東京ロストワールド 第2集 孀婦(そうふ)岩
「東京に人を全く寄せ付けない秘境「ロストワールド」がある。そこは、周囲から隔絶された環境で、まるでタイムカプセルのように貴重な命が守られている。第2集の舞台は、東京都心から南へ650㎞の伊豆諸島最南端。大海原にそびえる巨大な岩の柱だ。高さ100mの断崖絶壁、東京都・孀婦岩(ソウフガン)。まるで海面から空に向けて包丁を付き立てたような形をしている。いったいどうやってこんな不思議な岩が生まれたのか?そして、どんな生きものがすんでいるのか?これまで詳しい調査が一度もされたことがない「空白地帯」のため、知見はほとんどない。番組は2年間かけ、科学者やエンジニアらと共に初の科学調査に挑んだ。垂直の崖をロープ一つで登ると、正体の知れない生きものが岩の隙間から次々と現れる。周囲の海からは、まか不思議な深海魚が次々とあがる。科学者は幻の古代魚、シーラカンスさえ見つかるかも知れない環境だと興奮する。空前絶後のスケールで数々の深海探査機を投入。そしてついに見つけた、巨大魚の正体とは?
放送を終えて
番組をご覧いただいた皆さまに、「わくわくどきどき」感を少しでもお伝えすることができたでしょうか?これまで一度も詳しい調査がされたことのない「科学調査の空白地帯」。
そんな秘境を、世界有数の研究者とエンジニアたちと協力し、最新の機器で調査・撮影するのですから、現場は興奮せずにはいられません。いったいどんな生きものがひそんでいて、いったいどうしたらこんな地形ができるのか。調べれば調べるほど、謎が増えていきます。
でも、撮影は、10年かかったダイオウイカの撮影をも凌ぐ大変さでした。海がなぐことはほとんどなく、複雑な海底地形に、刻々と変わる潮流。深海へ投入する機材は次々と壊れたり、行方不明になったり…。担当ディレクターの私は、100mの絶壁をよじ登ることもできなければ、凶暴な巨大ザメが群泳する荒海にも当然もぐれません。何が撮影できるか、まるっきりわからない暗中模索の日々。手弁当で協力してくれた研究者や調査機関の皆さまのおかげで、得られた貴重な映像を最大限に生かし、なんとか一本の番組となりました。
『テレビの原点』ともいうべき冒険物語。お茶の間やネット上で「わくわくどきどき」、
家族や仲間との団らんの肴(さかな)にして頂けたとしたら幸いです。
番組ディレクター 小山 靖弘」 
 
テレビ朝日系列 テレメンタリー
テレビ朝日 2018年12月31日(月)午前2時30分~4時00分(30日深夜)
メ~テレ 2018年12月28日(金)午前2時29分~4時00分(27日深夜)
テレメンタリー2018スペシャル 生きる 平成の終わりに
「平成という時代が、間もなく終わる。平成とはいったいどういう時代だったのか。私たちは、「災害」「性的マイノリティ」「経済格差」「少子高齢化」「安全保障」の5つのキーワードに注目した。
豪雨災害で妻と娘、孫の3人を失った男性。性転換し女性との結婚を果たすも、法の壁に悩まされる男性。元生活困窮者が生活困窮者を支えているという現状。少子高齢化もなんのその、「ここで生活したい」と四国の離島生活を選ぶ若者たち。「戦場ではない」と言われた場所に行ったら、そこは戦場だったという経験をした元船長。
平成の終わりを生き抜く人たちを通して、平成の日本で変わったもの、変わらないものを伝える。
ナレーター:生野文治、細谷めぐみ(KBCアナウンサー)
制作:ANN系列7局共同制作」
※大阪の朝日放送テレビの放送予定は掲載されていません(日程調整中か、もしかしたら放送されないのかもしれません)。
 

 番組そのものというわけではありませんが、今年の8月に放送された「記憶する歌~科学者が詠う三十一文字の世界~」に登場された細胞生物学者・永田和宏さん(京都産業大学教授、京都大学名誉教授)が今年6月23日に龍谷大学で行った講演会のほぼ全編の動画が番組ホームページで無料公開されています。年末年始、何とか時間を作って視聴したいと思っています。

全国市長会と日本弁護士連合会が「災害時における連携協力に関する協定」を締結しました(2018年12月17日)

 2018年12月18日配信(予定)のメルマガ金原No.3365を転載します。
 
全国市長会と日本弁護士連合会が「災害時における連携協力に関する協定」を締結しました(2018年12月17日)
 
 大規模災害の発生に備え、各地の自治体と弁護士会の間で、いわゆる「災害協定」を結ぶ動きが強まっています。
 例えば、静岡県弁護士会は、このような自治体との協定の締結に非常に積極的に取り組んでいる弁護士会として知られており、同会ホームページのトップページ【新着記事】を一覧しただけでも、以下のような記事にリンクされていました。
 
【お知らせ】松崎町と平時及び災害時の被災者支援等に関する協定を締結しました
2018年12月7日(締結日11月16日)
 
【お知らせ】裾野市と平時及び災害時の被災者支援等に関する協定を締結しました
2018年11月10日(締結日11月6日)
 
【お知らせ】菊川市と平時及び災害時の被災者支援等に関する協定を締結しました
2018年11月2日(締結日10月26日)
 
【お知らせ】函南町と平時及び災害時の被災者支援等に関する協定を締結しました
2018年10月1日(締結日9月25日)
 
【お知らせ】小山町と平時及び災害時の被災者支援等に関する協定を締結しました
2018年10月1日(締結日9月14日)
 
 現在のトップページだけでこれだけあるのですから驚きます。
 小山町よりも前に締結されたところがどれだけあるのか知りたいと思ってネット検索したところ、同弁護士会会員の永野海(ながの・かい)弁護士のホームページにまとめて掲載されていました。
 それによると、平成15年2月の静岡県、同25年3月の静岡市以降、沼津市、浜松市、磐田市、藤枝市、富士宮市、富士市、御殿場市、三島市、御前崎市、焼津市、掛川市(これに続くのが小山町)との間で協定を締結しているとのことです。
 
 具体的にどのような内容の協定が結ばれているのか調べてみたところ、藤枝市と静岡県弁護士会との「災害時相談業務等に関する藤枝市と静岡県弁護士会との協定書」(平成27年5月12日付)が、藤枝市のホームページに掲載されていましたので、興味のある方はリンク先でお読みください。
 
 静岡県ほど進んでいるところは少ないかもしれませんが、全国各地で同種の協定を締結すべく、話し合いを進めているところはたくさんあるはずです。
 昨日、そのような動きを強力に後押しする力になるのではと期待される協定が、全国市長会と日本弁護士連合会との間で締結されましたので、今日は、その協定(正式名称は「災害時における連携協力に関する協定」)の全文をご紹介しようと思います。
 
 まず、その協定締結を伝えた弁護士ドットコムニュースを引用します。
 
弁護士ドットコムニュース 2018年12月17日 14時29分
日弁連、全国市長会と「災害協定」締結 「被災者に寄り添っていきたい」
(抜粋引用開始)
 日本弁護士連合会(日弁連)と全国市長会は12月17日、「災害時における連携協力に関する協定」(災害協定)を締結した。この日、全国市長会の立谷秀清会長(福島県相馬市長)と日弁連の菊地裕太郎会長による協定締結の調印式が東京・霞が関の弁護士会館でおこなわれた。
 協定には、弁護士による相談(無料相談を含む)や被災者の生活再建、被災地域の復旧復興などの情報提供をおこなうことなどが盛り込まれた。
 菊地会長は、法律相談にかぎらず、生活相談を含めて応じていくとして、「これから被災にあわれたら、まっさきに自治体、弁護士会に甘えてもらえたらと願っている」とした。
 また、日弁連の太田賢二副会長は「弁護士会が自治体と連携し、できるかぎりすみやかに正確な情報提供をするなどして、被災者に寄り添いたい。まずは被災者に安心してほしい。さまざまなニーズにこたえていきたい」と話した。
 全国市長会の立谷会長は「市長会のそれぞれの市長が、すみやかに弁護士の協力が得られるようにという願いでお願いしました。このような協定という形で実現を得られたことをこころよりお礼申し上げる」と話した。
(略)
(引用終わり)
 
 以下の協定・第4条にあるとおり、「被災市等及び被災地弁護士会等の間に合意等が存する場合には、当該合意等が本協定に優先する」とされているとおり、大規模発生直後から迅速な法的支援を可能とするためには、やはり、地域ごとに、自治体と地元弁護士会との災害協定を事前に締結しておくことが望ましいことは言うまでもありません。
 先ほど述べたとおり、この全国市長会と日弁連との災害協定が、各地における自治体と弁護士会との協議を加速させる役割を果たしてくれることを期待したいと思います。
 
 それでは、以下に、全国市長会と日弁連との間で昨日締結された「災害時における連携協力に関する協定」全文をご紹介します。
 
(引用開始)
                       災害時における連携協力に関する協定
 
 全国市長会(以下「甲」という。)と日本弁護士連合会(以下「乙」という。)とは、災害時における連携協力に関し、次のとおり協定(以下「本協定」という。)を締結する。
 
 (趣旨)
第1条 本協定は、日本国内において災害が発生した場合において、被災地域の市及び特別区(以下「被災市等」という)並びに被災地域に存する弁護士会及び弁護士会連合会(以下「被災地弁護士会等」という。)が協調して、被災者に対する迅速な生活再建の支援を図り、もって被災地の円滑な復旧復興を実現するために、甲及び乙が連携協力することを目的とする。
 (協力事項)
第2条 甲及び乙は、次に掲げる事項の実施のために連携協力する。
 (1) 被災者に対する弁護士による相談(無料相談を含む。)
 (2) 被災者の生活再建、被災地域の復旧復興その他被災者に有益な情報の提供
 (3) 前各号に掲げるもののほか、被災者の支援に必要な事項
2 日本国内において大規模災害が発生した場合、甲及び乙は、可及的速やかに、被災市等と被災地弁護士会等が協議の上、被災者が災害発生直後の初動期間に前項第(1)号の相談を無料で受ける機会を実現できるように、互いに連携協力する。
 (連絡責任者)
第3条 甲及び乙は、本協定に基づく連携協力に関する連絡責任者を選定し、相互に通知するものとし、変更があった場合も同様とする。
 (被災市等及び被災地弁護士会等との協議)
第4条 甲及び乙は、第2条に定める連携協力を実施するに当たり、前条に定める連絡責任者を通じて、それぞれ被災市等及び被災地弁護士会等と協議を行うものとする。なお、被災市等及び被災地弁護士会等の間に合意等が存する場合には、当該合意等が本協定に優先するものとし、甲及び乙は、当該合意等を尊重するものとする。
 (事前準備等)
第5条 甲及び乙は、本協定が想定する事態に備え、常時情報交換や相談窓口の連絡先等の提供に努め、連携協力するものとする。
 (期間)
第6条 本協定は、本協定締結の日から効力を生じるものとし、甲又は乙が書面をもって本協定を終了させる意思を通知しない限り、その効力は継続するものとする。
 (協議)
第7条 本協定に関し必要な事項については、甲及び乙が協議の上、別に定めるものとする。
2 本協定に定めのない事項については、甲及び乙がその都度協議して定めるものとする。
 
 本協定の締結を証するため、本書2通を作成し、甲及び乙がそれぞれ記名押印の上、各自その1通を保有する。
 
 2018年12月17日
 
                 甲 東京都千代田区平河町二丁目4番2号
                    全国都市会館4階
                                         全国市長会
                                              会長 立 谷 秀 清
 
                 乙 東京都千代田区霞ヶ関一丁目1番3号
                    日本弁護士連合会
                     会長 菊 地 裕太郎
(引用終わり)

山本太郎参議院議員の中野駅頭街頭宣伝(2018年12月10日)~12月8日未明の「叫び」の内容をご説明しましょう

 2018年12月13日配信(予定)のメルマガ金原No.3360を転載します。
 
山本太郎参議院議員の中野駅頭街頭宣伝(2018年12月10日)~12月8日未明の「叫び」の内容をご説明しましょう
 
 今日は、正直言って、長目のブログを書いている時間がないので(最近はそういう日が多い)、目に付いた動画を備忘のために取り上げておこうと思います。
 それは、山本太郎参議院議員による、東京の中野駅頭での街頭宣伝を伝える動画です。
 
 私は、参議院東京選挙区の有権者ではないものの、来年夏の参議院議員通常選挙では、何としても山本太郎さんに再選を果たしてもらいたいと願っている、おそらく全国にたくさんいるはずの応援者の1人です。もちろん、同じ選挙区の吉良よし子議員をはじめ、私が是非当選して欲しいと思っている議員は他にもたくさんいますけどね。
 
 ところで、ここ3週間ほどの間に、山本太郎議員の行動や発言を私のブログで紹介したことが、以下のとおり3度もありました。
 
2018年11月22日
 
2018年12月2日
 
2018年12月9日
 
 今日は、直接的には11月22日の「山本太郎参議院議員による街頭記者会見を視聴する(11/20@赤羽、11/2@落合、10/22@なんば、10/11@藤沢)」の「続き」なのですが、12月8日未明に与党席に向かって「賛成する者は二度と保守と名乗るな。保守と名乗るな。官邸の下請け。経団連の下請け。竹中平蔵の下請け。」「この国に生きる人々を低賃金競争に巻き込むのか。世界中の低賃金競争に。恥を知れ。二度と保守と名乗るな。保身と名乗れ。保身だ。」と叫んでから2日余り後の12月10日(国会が閉会した日)夜に行った街頭宣伝ということで、興味を惹かれたということもあります。
 まず、その動画(なにぬねノンちゃんねる)をご紹介します。
 
山本太郎街宣 中野(1時間38分)

 
 山本太郎さんの街頭宣伝では、まず聴衆の中から、苦言・提言・質問などを求め、それがあれば、そのテーマについて語っていくというスタイルがとられています。
 ただ、12月8日の入管法「改正」案採決時の「叫び」を(動画なりで)聴いた者としては、その訴えの根拠、背景を詳しく聴いてみたいですよね。
 ということで、動画を探してみると、ありました。「経団連の下請け。竹中平蔵の下請け。」「この国に生きる人々を低賃金競争に巻き込むのか。世界中の低賃金競争に。恥を知れ。」という「叫び」をさらに詳しく知りたいという方は、動画の以下の部分をご覧ください(主にパワーポイントのボード見出しを引用しています)。
 
59分~ 
 経団連提言「今後の労働者派遣制度のあり方について」(2013年7月)
 経団連提言「外国人受け入れ問題に関する提言」(2004年4月14日)
1時間02分~
 日本の「外国人技能実習生制度」世界から批判
  失踪技能実習生の失踪動機
 外国人技能実習生の受入れ企業、法令違反は過去最多を更新中
 失踪した技能実習生の聴取票によると
 外国人技能実習生が2015年~17年の3年間に計69人が亡くなっていた
 なぜそこまで急ぐのか?「半年遅れれば、それらの方は帰ってしまう」と山下法務大臣が答弁
 国際的な「移民」の定義
 移民流入により国内労働者の雇用が減少-英・政府諮問機関レポート(2012年)
 ジョージ・ボージャス教授(米・ハーヴァード大学教授)の研究
1時間10分~
 「外国人労働者受け入れ」、経団連だけではなくまたしても「あの方」の影が・・・
 外国人の雇用促進団体の顧問にも・・「あの方」の名前が
 入管法改正案成立直後にパソナ研究所が意識調査を発表
 特定技能は「派遣労働者」形態でも可能
 外国人労働者の受入れに係る最近の主な取組(法務省)
1時間13分~
 外国人人材を受け入れに関して 経団連 中西会長の発言
 経団連は政治に対して「提言」という名の命令を行い叶えている
 派遣法改正
 外国人労働者
 ホワイトカラーエグゼンプション
 消費税
 武器輸出
 集団的自衛権
 憲法改正(発議用件緩和など)
 カジノ
 TPP
 原発再稼働
1時間16分~
 ではどうするか?
 
 最後に、私が山本太郎議員のオフィシャルサイトを閲覧しても、積極的に行っているはずの街頭演説の予定が全然掲載されていないのは何故だろう?とかねて疑問に思っていたことについて、山本議員自身がブログで説明されている文章を発見しましたのでご紹介しておきます。
 
山本太郎オフィシャルブログ 2018年11月2日
お詫び
(引用開始)
 最近、事務所に、 「なぜ街頭宣伝の事前告知をやらないのか」、 とのお問い合わせを多く戴くようです。
 ターミナル駅など大きな街宣現場が廻らない場合に限って、ボランティア登録下さっている方々と、 ネットワーク会員の方々には事前にお知らせはしていますが、一般的には SNS などでの事前告知は秋からの街宣では、ほぼ行っていません。
 理由は、たまたま通りがかった人々が、どれくらい足を止めて聞いてくれるかの、リアルを把握するためです。
 そのためには、ゲリラ街宣しかないのです。(行政に許可が必要なものに関しては当然申請は行っています)
 大々的に事前告知をするやり方もありますが、おなじみの聴衆を多く集めても、世の中は変わりません。
 偶然通りかかった人々が、足を止め、手を上げて、直接質問して下さったり、マイクは握らなくとも、耳を傾けて下さる。
 支持者以外でどれ位の方々が興味を持って戴けるかを知る重要性を考え、現在は無告知街宣の期間です。
 そうやって、自分たちの置かれた立場を理解し、伝え方や考え方などにも工夫が生まれる大切な機会です。
 これほど勉強になることはありません。
 生で聴きたい、と思って下さっている方々や、直接聞きたい、言いたい、とお考えの皆様には、ご不便をおかけいたしますが、また事前告知をするヴァージョンでの街宣も行いますので、それまでお待ち戴ければ幸いです。
山本太郎
(引用終わり)

「新時代沖縄の扉を開く若者たち~玉城デニー知事誕生と沖縄県民投票~」(2018年12月10日)を視聴して学ぶこと

 2018年12月11日配信(予定)のメルマガ金原No.3358を転載します。
 
「新時代沖縄の扉を開く若者たち~玉城デニー知事誕生と沖縄県民投票~」(2018年12月10日)を視聴して学ぶこと
 
 来年1月19日(土)午後1時30分から、和歌山県民文化会館大ホールで開催する「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」の企画の内容を議論していた過程で(まだメインゲストとして小林節先生をお招きすることしか決まっていなかった頃です)、誰も経験したことのない「国民投票運動」をどう勝ち抜くのか?ということを考えるために、今年9月の沖縄県知事選挙から学ぶべきではないか?そのために、翁長雄治(おなが・たけはる)那覇市議を何とかお招きできないか?というような意見も出されました。
 そのアイデア自体は、予想される沖縄県民投票の実施時期から考えて、とても和歌山までお招きできるようなタイミングではないだろうということで断念したのですが、実行委員会のメンバーの中には、沖縄の若者たちの知事選への関わりから学びたいという気持ちがかなり共有されていたことは間違いありません。
 また、「反安倍政権」を前面に出すような集会名称からして、わざわざ若者たちを自ら遠ざけているようなものだという意見も一部にあったりして、それはそれで聴くべき価値のある意見ではあるものの、本集会のそもそもの成り立ちから考えて採用には至りませんでした。
 
 しかし、以上のような問題意識は、全国的に多くの人々が抱いているはずで、昨日(12月10日)東京で「新時代沖縄の扉を開く若者たち~玉城デニー知事誕生と沖縄県民投票~沖縄知事選『ポジティブ・キャンペーン』の立役者、徳森りまさんを迎えて」(主催:辺野古高江を守ろう!NGOネットワーク、問い合わせ先:国際環境NGO FoE Japan)という、どこまでが集会名称かよく分からない企画が開催されたのも、そのような問題意識からであったことは間違いないでしょう。
 Facebookイベントページに登壇者の経歴などが紹介されていましたので、これを引用しておきます。
 
「新時代沖縄」の扉を開く若者たち
-玉城デニー知事誕生と沖縄県民投票-
沖縄県知事選『ポジティブ・キャンペーン』の立役者、徳森りまさんを迎えて
(抜粋引用開始)
日時 12月10日(月)18:30~20:45(18:00開場)
場所 不忍通りふれあい館(東京都文京区根津2-20-7)
参加費 一般800円 学生200円
 
徳森りまさん 「デニってる?~若者たちの県知事選」
 沖縄県出身。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修士課程修了(国際関係学)。沖縄「建白書」島ぐるみ会議にて翁長雄志沖縄県知事の国連人権理事会参加への随行を経験。南米コロンビア、ペルーにて紛争被害者の社会参画支援に従事。2018年の沖縄県知事選挙で若者チームとして玉城デニー候補を支援する。
 
元山仁士郎さん-インターネット参加- 「県民投票の成功のために」
 沖縄県出身。「辺野古」県民投票の会代表。国際基督教大学卒業。一橋大学社会学研究科修士課程在籍(休学中)。SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)やSEALDs RYUKYUの立ち上げ/中心メンバー。『世界』(岩波書店、2018年12月号)に「沖縄県知事選と県民投票」をテーマに寄稿。
 
パネリスト
米須清真さん(小金井市市議会に陳情、自分ごととして考える重要性を提起)
鶴巻拓さん(横浜のみどりを未来につなぐ実行委員会)
 
主催:辺野古・高江を守ろう!NGOネットワーク
問い合わせ先:国際環境NGO FoE Japan
(引用終わり)
 
 それでは、UPLANさんによる中継動画をご紹介します。私も是非じっくり視聴して学びたいと思います。
 
20181210 UPLAN 「新時代沖縄」の扉を開く若者たち-玉城デニー知事誕生と沖縄県民投票-沖縄知事選『ポジティブ・キャンペーン』の立役者、徳森りまさんを迎えて(2時間03分)

3分~ 徳森りまさん
38分~ 元山仁士郎さん
1時間12分~ 糸数慶子参議院議員(沖縄の風)
1時間15分~ パネルディスカッション
モデレーター 満田夏花さん(国際環境NGO FoE Japan)
パネリスト
米須清真さん(小金井市市議会に陳情、自分ごととして考える重要性を提起)
鶴巻拓さん(横浜のみどりを未来につなぐ実行委員会)
徳森りまさん 
元山仁士郎さん
 
 徳森さんのお話は示唆に富む内容の連続です。絶対に聴いて欲しいですね。例えば16分~の「SNSを使った発信」など。ポジティブ・キャンペーンに力を注げたのも、ネガティブ・キャンペーンに反撃する役割(デマバスター)を引き受けてくれた県外・県内の協力者がいたからこそ、というお話など、とても参考になります。
 
 なお、小金井市議会で採択された意見書自体は見つけられませんでしたので、それを伝えた琉球新報のネット記事にリンクしておきます。
 
琉球新報 2018年12月7日 06:30
普天間意見書を可決 小金井市議会 国民的議論求め
小金井市議会 米軍普天間飛行場 意見書 辺野古新基地
(抜粋引用開始)
 【東京】東京都小金井市議会は6日、米軍普天間飛行場の移設問題について全国で議論することなどを求める意見書を、旧民進党系会派や共産党会派などの賛成多数で可決した。辺野古新基地建設の阻止に向け有志が取り組む「新しい提案」の実践に基づくもので、意見書の可決は全国初。沖縄の基地問題についての世論を喚起し、全国各地での議論にも影響を与えそうだ。
 意見書は辺野古新基地建設工事を中止し普天間基地の運用停止を求めると共に、普天間基地の代替施設が国内に必要かどうかを国民全体で議論するよう求めた。
 代替施設が国内に必要だとの結論になった場合には「沖縄県以外の全国の全ての自治体を候補地」として検討し、基地が一地域に一方的に押し付けられないよう訴えている。宛先は衆参両院議長や首相など。
(略)
 反対討論はなく採決を行い、賛成13、反対10の賛成多数で可決した。
(略)
(引用終わり)

集中再放送・NHKスペシャルが追いかけてきた“アマゾン”(2018年12月15日・16日)

 2018年12月10日配信(予定)のメルマガ金原No.3357を転載します。
 
集中再放送・NHKスペシャルが追いかけてきた“アマゾン”(2018年12月15日・16日)
 
 1本、1本を視聴しても興味深いけれど、シリーズで製作された番組をまとめて視ることによってさらに深い知見が得られるドキュメンタリー番組もあると思います。
 定期的にチェックするNHKスペシャルの「再放送予定」のページに、2016年に初回放送された「大アマゾン 最後の秘境」全4作の他に、2003年制作の「沢木耕太郎 アマゾン思索紀行  隔絶された人々 イゾラド」と2009年制作の「ヤノマミ
奥アマゾン 原初の森に生きる」の2本を加えた6本が、来る12月15日(土)、16日(日)の両日に一挙再放送されることが予告されていました。
 私自身、かけ違って1本も視聴できていませんので、是非録画してじっくり視聴したいと思います。
 
 なお、NHKスペシャルの番組ホームパージの中の特設サイトの1つ「大アマゾン 最後の秘境」のページもご紹介しておきます(このページの構成は私のセンスに合いませんけどね)。
 
 それでは、以下に再放送予定の6本の番組案内を引用します(放送は全てNHK総合TVです)。
 
2018年12月15日(土)午前1時40分~2時39分(14日深夜)
ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる
(引用開始)
初回放送 総合 2009年4月12日(日)午後9時00分~9時59分 
アマゾンの最深部に1万年以上、独自の文化・風習を守り続けている部族がいる。欧米人に“最後の石器人”と呼ばれているヤノマミ族だ。現在、ヤノマミ族は2万人。40~200人で一つの集団を作り、ブラジルとベネズエラにまたがる広大なジャングルに分散して暮らしている。
私たちはその一つ、ワトリキ(風の地)と呼ばれる集落に150日間同居し、彼らの言葉を覚え、彼らと同じモノを食べながら撮影を続けた。森の中、女だけの出産、胎児の胎盤を森に吊るす儀礼、2ヶ月以上続く祝祭、森の精霊が憑依し集団トランス状態で行われるシャーマニズム、集団でのサル狩り、深夜突然始まる男女の踊り、大らかな性、白蟻に食させることで天上に送る埋葬…。そこには、私たちの内なる記憶が呼び覚まされるような世界があった。
笑みを絶やさず、全てが共有で、好きなときに眠り、腹が減ったら狩りに行く。そんな原初の暮らしの中で、人間を深く見つめてゆく。
※ブラジル政府、および部族の長老7名との10年近い交渉の末、TV局としては初めて長期の同居が許されたものです。
(引用終わり)
 
2018年12月15日(土)午後4時15分~5時04分
沢木耕太郎 アマゾン思索紀行  隔絶された人々 イゾラド
(引用開始)
初回放送 総合 2003年6月22日(日)午前0時00分~ 
アマゾンの奥地には,文明社会と一度も接触した事のない先住民族が今もいて、彼らは「イゾラド」と呼ばれている。「イゾラド」の世界とはどのようなものなのか、文明社会は彼らとどう向かい合えばいいのか。作家沢木耕太郎が、密林の奥深く分け入り、思索を重ねていく。
(引用終わり)
 
2018年12月16日(日)午後2時00分~2時58分
大アマゾン 最後の秘境 第1集 伝説の怪魚と謎の大遡上
(引用開始)
初回放送 総合 2016年4月10日(日)午後9時00分~9時58分 
「誰も見たことがない大河のさらに奥へ」をコンセプトに、地球最後の秘境とも言われる世界最大の川、アマゾンの奥深くにNHKのカメラが分け入り、これまで撮影されたことのない未知の世界を描く4本シリーズの第1集。テーマは、年に一度、数百万匹の魚たちが大遡上する様子と遡上する魚を追いかける幻の巨大魚の姿をとらえること。濁流渦巻くアマゾン川の本流では、水中にどんな生物がいるのか見ることは不可能。取材チームは、およそ一年のリサーチを費やし、ついにアマゾンの真ん中に、透明な水が湧き上がる「神秘の泉」を探し当てた。そして、そこで繰り広げられる怪魚たちの驚きの生態を高画質の4Kハイスピードカメラで撮影することに成功した。中でも、デンキウナギが自ら発電する電気を使って捕食する克明な映像は、世界で初めて、学術的にも貴重な映像だ。また、魚たちの大遡上を追ってアマゾン最上流のアンデス山脈へと向かい「奇跡の瞬間」の撮影に挑戦、下流域では魚の群れを襲うアマゾンカワイルカや体長2メートルの幻の巨大魚、ピライーバの姿を捉えることにも成功。川や魚と密接に関わって暮らす人々の暮しも描きながら、これまで誰も見たことのないアマゾン川の水中世界を描く。
放送を終えて
2016年8月に開催されるリオデジャネイロオリンピック。そのオリンピックイヤーで注目されるブラジルにある、世界一の大河アマゾンを舞台に、未だ見たことのない秘境を描き出す大型シリーズ「大アマゾン」。その第1集では、濁流の中に渦巻く魑魅魍魎、魚たちの世界を紹介しました。
アマゾンは、民放でも何度も取り上げられているので、生半可な映像ではNHKスペシャルの視聴者に満足していただけないと考え、自然番組の原点である、「誰も見たことのない映像」、濁流の中に潜む怪魚たちの生態と数百万匹の魚たちが繰り広げる大遡上の撮影にこだわりました。
しかし、その撮影は、簡単なことではありません。魚の生態を撮るためには、10m以上は透明度がないと難しいのに、アマゾンの水は、基本的に泥水か紅茶色で、水中では1mも見えれば御の字なのです。
本業は熱帯魚屋という異色のコーディネーターが持つアマゾンネットワークをフルに使って見つけてもらった、透明度30m以上ある泉を初めて見た時は、これで撮影できると本当にホッとしました。
こんなに透明な水でアマゾンの魚たちの自然な生態をとらえた映像はこれまで世界でも例が無く、特にデンキウナギの捕食シーンのハイスピード撮影は、間違いなく世界で初めての映像です。
他にも、アンデス山麓で起きる魚たちの一斉遡上の様子や、ピンク色のアマゾンカワイルカが魚を追いかけ、逃げ惑う大量の魚が水面から飛び出すシーンなど、現場で見た興奮をそのまま番組に詰め込みました。
その映像を盛り上げてくれた佐藤正治さんの素晴らしい音楽と松田龍平さんの怪しげなナレーション。何が起きるかわからないアマゾンの奥深さと「大アマゾン」のシリーズとしての世界観が作り上げられ、理屈抜きに見ていただける異色のNスペに仕上がったと思います。
アマゾンに初めて行ったのは2001年。この15年間に、その環境は確実に変化しています。ネグロ川という大きな支流には橋が架かり、各地で活発になっている経済を支える発電をするために沢山のダムが作られました。1年で10m以上変動する川の水位は、毎年のように「今年は異常だ」という声が聞かれます。30年ほど前は、普通に見られたと言う魚の大遡上も、ダムや乱獲の影響でブラジル国内では、ほとんど見られなくなりました。日本の20倍の面積を誇るアマゾンでも、その環境は目に見えて失われてきているのです。
番組を見ていただいた方に、失われつつあるアマゾンの自然の奥深さと美しさが伝わっていれば、これほど嬉しいことはありません。
(ディレクター 岡部聡) 
(引用終わり)
 
2018年12月16日(日)午後3時05分~3時54分
大アマゾン 最後の秘境  第2集 ガリンペイロ 黄金を求める男たち
(引用開始)
初回放送 総合 2016年5月8日(日) 午後9時00分~9時49分 
そこには「未知のものたち」が潜んでいる-。“地球最後の秘境”とも言われる世界最大の川・南米アマゾンの奥深くに、誰も見たことがない世界を追う4本シリーズ。第2集は、「生々しい人間たちの生きざま」に迫る。
大アマゾンの密林の奥、無数の滝を遡り、何日もかけてようやくたどり着くその先に、黄金にとりつかれた荒くれ者たちが住んでいる。彼らは“ガリンペイロ”と呼ばれる金鉱掘り。そこは、社会からはみ出した者たちの「闇の王国」だ。大当たりか、大外れか。一獲千金を夢見て土砂を洗い、金を取り出す作業を繰り返す毎日。黄金の美しさに人生を囚われ、いさかいが起きれば時に死者が出ることもあるという無法者たち…。ガリンペイロたちの、はかなくも濃密な人間模様を描く。
(引用終わり)
 
2018年12月16日(日)午後3時55分~4時44分
大アマゾン 最後の秘境 第3集 緑の魔境に幻の巨大ザルを追う
(引用開始)
初回放送 総合 2016年6月12日(日)午後9時00分~9時49分 
“最後の秘境”アマゾン川に、まだ見ぬ世界を追うシリーズ。第3集は、密林の奥深くに潜む「伝説の巨大ザル」を追う。アマゾンの鬱蒼としたジャングルは正に魔界。未だ新種の発見が相次ぎ、魑魅魍魎(ちみもうりょう)の伝説も数多く語り継がれている。こうした怪物伝説の中でも、特に注目されるのが「巨大ザル」の存在だ。体長1メートルを超えるサルは南米にはいないとされる中で、今もアマゾンのあちこちで、大型のサルの目撃例が後を絶たない。約100年前に撮影された類人猿のような姿をしたサルは「モノス」と呼ばれ、その正体をめぐって、今も多くの注目を浴びている。取材班はその「伝説」を追い、人跡未踏のジャングルの奥深くへと分け入る。驚くほど豊かなアマゾンの生態系と、謎に満ちたサルたちの映像で織りなすエキサイティングな冒険活劇。
放送を終えて
番組をご覧下さった皆様、どうもありがとうございました。「あんな過酷な場所に行って取材班は大丈夫だったのか?」という反響を数多く頂きましたが、お陰様で無事生還しました。虫刺されの猛烈なかゆみも、今はほとんど収まっています。
さて、今回の取材では最大の目標であった「未知の巨大ザル」には結局出会えませんでした。肩すかしをくらったという方がいたら、ごめんなさい。私たちとしても、完全に本気で探していただけに非常に悔しい限りです。
今回、私たちが鳴き声を聞いたり、「塩場」でサルの爪痕らしき物を目撃した、あの森の目撃談は、現地取材で独自に掴んだ特筆ものの情報です。サルの研究者にも一切知られていませんでした。番組では時間の関係で詳しく紹介できませんでしたが、数多くの住民の証言の中には、実は「しっぽがほとんど無いサル」という意味の「マカク・ビコ」という名前の巨大ザルの目撃例がありました。もちろん既知のサルの写真を見せて慎重に確認しましたが、誰もが絶対に違うと言うのです。しっぽのない巨大ザルが実在したら、それこそ科学の常識を覆す大スクープです。
これまで知られていない何らかのサルがいる可能性は極めて高い。私たちはそんな確信のもと、長期取材を敢行しました。残念ながら番組の放送までには100%満足の答えは出せませんでしたが、無人カメラは現場に仕掛けたままですし、いつかきっとこの謎を解明したいと思っています。
今回の番組で、謎に迫る我々取材班のドキドキ感と、何が潜むかわからないアマゾンの底知れないロマンを感じていただけたなら、制作者としてうれしい限りです。
ディレクター 田所勇樹
(引用終わり)
 
2018年12月16日(日)午後4時45分~5時34分
大アマゾン 最後の秘境 第4集 最後のイゾラド 森の果て 未知の人々
(引用開始)
初回放送 総合 2016年8月7日(日)午後9時00分~9時49分 
“最後の秘境”アマゾン川に、まだ見ぬ世界を追うシリーズ。第4集は、文明社会と接触したことがない“原初の人々”を追う。アマゾン源流域、ブラジルとペルーの国境地帯にいるという彼らは、部族名も言語も人数もわからない。「隔絶された人々」という意味の『イゾラド』と呼ばれる謎の先住民族である。いま、そのイゾラドの目撃情報が相次いでいる。森に猟に入った若者が弓矢で腹を射抜かれた。川辺で遊んでいた少女の足元に数本の矢が飛んできた。イゾラドの集団にとり囲まれた村からSOSが発信された…。なぜ彼らは、文明社会の領域に、突如姿を現すようになったのか。取材班は、ペルー政府との交渉の末、イゾラドを監視する複数の最前線基地に、テレビ局として初めて滞在。森の彼方から聞こえてくる、「知られざる、しかし私たちと同じ人間の声」に耳を澄ました。
(引用終わり)

立憲野党と市民連合の意見交換会(2018年11月16日)に国民民主党が初参加~市民連合と各党はどう伝えたか

 2018年11月19日配信(予定)のメルマガ金原No.3336を転載します。
 
立憲野党と市民連合の意見交換会(2018年11月16日)に国民民主党が初参加~市民連合と各党はどう伝えたか
 
 去る11月6日、国民民主党と市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)との初の正式会合が行われたことは、このブログでもお伝えしたところです(市民連合と国民民主党が初の正式会合で基本合意(2018年11月6日)/2018年11月11日)。
 
 今日は、その続報といえばよいのでしょうか、去る11月16日に衆議院議員会館において、半年ぶりに「立憲野党と市民連合の意見交換会」が行われ、国民民主党から、平野博文幹事長と小宮山泰子衆議院議員が初めて参加しましたので、意見交換会の当事者がホームページでこの意見交換会をどう伝えたかご紹介しておこうと思います。来年の参院選や(もしかしたらあるかもしれない)憲法「改正」国民投票、それに、歯舞・色丹2島返還問題にからめた衆院解散、衆参同日選挙も、などという観測を踏まえた「市民と野党の共闘」を模索する全国の市民団体にとっても、中央でのこのような動きはしっかりとフォローしていおく必要があるでしょうから。
 
 まずは、市民連合のホームページに掲載された報告です。
 
市民連合 November 16 2018
11/16 立憲野党と市民連合の意見交換会
(引用開始)
11月16日(金)、議員会館にて約1時間にわたり、「立憲野党と市民連合の意見交換会」が行われました。この意見交換会は、安保法制の成立以来、継続的に行われているもので、今回は約半年ぶりの開催となりました。
 
意見交換会には、野党から、立憲民主党・福山哲郎幹事長、辻元清美国対委員長、国民民主党・平野博文幹事長、小宮山泰子衆議院議員、日本共産党・小池晃書記局長、穀田恵二国対委員長、自由党・森裕子幹事長、日吉雄太国対委員長、社会民主党・吉川元幹事長、無所属の会・大串博志幹事長、広田一国対委員長が参加しました。なお、国民民主党からの参加は初めてのこととなります。
 
はじめに立憲民主党福山幹事長より挨拶がありました。
 
「財務省の文書改ざん、加計学園問題、防衛省の日報隠しといったことで国会が大紛糾している最中に、前回の市民連合との意見交換会が行われました。半年が経った今、安倍政権は臨時国会で入管法改正を無理やり採決しようとしており、その体質は全く変わっていません。一方で、9月には沖縄県民の皆さんの力と、市民の皆さん、そして政党の皆さんの力の中で、玉城デニー知事が当選しました。安倍政権の体質が全く変わらず、民主主義を壊し続けているという状況の中で、今日このような形で集まれたことはとても意義が深いと思います。また、国民民主党の平野幹事長にお越しいただきました。我々としては歓迎させていただきたいと考えております。安倍政権を倒すために、来年の参院選に向けて、より具体的かつ建設的な意見交換をしていきたいと考えています。」
 
続いて安全保障関連法に反対する学者の会・広渡清吾より挨拶がありました。
 
「前回の参院選では、野党と市民の努力により32全ての1人区で候補者の1本化が実現し、大きな成果をあげました。来年の参院選に向けて、この水準を後戻りしてはならないと強く思っています。先日『あたりまえの政治』を掲げ、街頭宣伝を行いました。『あたりまえの政治』を求めなくてはならないというのが、今の安倍政権が陥っている状況です。憲法を守る、民意を尊重する、嘘をつかない。このあたりまえのことができない政治を変えなければなりません。そのためにも立憲野党の皆さんと市民との協力を深めていきたいです。」
 
さらに、立憲デモクラシーの会・山口二郎より安保法制の廃止、改憲阻止、さらに今の日本政治が直面するいくつかの重要な課題について、前回と同様に政策合意を何らかの形で結び、共通の旗印としていきたいといいう提起がありました。
 
その後、立憲民主、国民民主、共産、自由、社民、無所属の会の各党・会派と、市民連合の各構成団体から、幅広く意見交換が行われ、参院選に向けて市民と野党の協力をさらに強く深めていくことが確認され、意見交換会は終了となりました。
 
市民連合は、11月28日(水)19時から王子・北とぴあにて、野党とのシンポジウムを開催予定です。私たちは、このような機会を通じて、参院選に向けた協力体制をさらに深化させていきたいと考えています。ぜひご参加いただけますと幸いです。
(引用終わり)
 
 続いて、意見交換会に参加した各党のホームページを調べてみました。漏れがあるかもしれませんが(社民党のホームページには記事が見当たらず、無所属の会はホームページそのものがないようです)、アップされていたものを全部紹介しておきます。
 現時点における各党のスタンスの差が、このニュースを伝える記事にも何とはなしに反映しているような気もしますが、さてどうでしょうか?
 なお、市民連合の記事には写真が付いていませんでしたが、各党のホームページには写真が掲載されていました。4枚の写真を奮発した立憲民主党のホームページを見れば、画像は小さいものの、どなたが参加したか(見る人が見れば)大体分かります。それ以外の写真では、自由党ホームページが使用した森ゆうこ幹事長が発言されているシーンを撮ったものが最高ですね。森さんだけではなく、共産党の
穀田国対委員長や広渡清吾先生の笑顔も素敵です。
 
立憲民主党 2018年11月16日
市民連合と野党の意見交換会に福山幹事長と辻元国対委員長が参加
(引用開始)
 16日午後、国会内で安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合と野党5党1会派との意見交換会が行われ、福山哲郎幹事長と辻元清美国会対策委員長が参加しました。福山幹事長はあいさつで「市民連合との意見交換会を今回5党1会派で開催できることに感謝したい。安倍政権の体質は安保法制を強行した頃となんら変わっていない。来年の参院選にむけて市民連合の皆さんとしっかり意見交換していきたい」と述べました。意見交換会には、これまでの立憲民主党、日本共産党、無所属の会、自由党、社会民主党に加えて、今回から国民民主党が参加しました。
※写真4葉付き
(引用終わり)
 
国民民主党 2018年11月16日
平野幹事長が市民連合との意見交換会に出席
(引用開始)
 平野博文幹事長は16日、国民民主党はじめ立憲、共産、無所属の会、自由、社民の野党5党1会派と市民連合の意見交換会に出席した。前回は、5月28日に開かれたが国民民主党は今回が初めての参加。国民民主党からは小宮山泰子衆院議員も出席した。市民連合からは、来年の参院選に向けて野党がどのように連携していくかの話し合いが呼びかけられた。
 意見交換会終了後に記者団からの取材に応じた平野幹事長は「安倍政権を倒すだけが共通認識ではなく、倒せば次の日本がこう変わるというわくわく感を出さないといけない」と連携をつくるために必要な考えを示した。
※写真1葉付き
(引用終わり)
 
日本共産党(しんぶん赤旗 電子版) 2018年11月17日(土)
参院選に向けて共闘の具体化を 市民連合 5野党1会派代表 意見交換
(引用開始)
 来年の参院選で安倍政権打倒の市民と野党の共闘の本格化に向け、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)と野党との意見交換会が16日、国会内で行われました。初めて国民民主党が参加し、日本共産党、立憲民主党、無所属の会、自由党、社民党の5野党・1会派の書記局長・幹事長と国対委員長が一堂に会しました。
小池書記局長が発言
 問題提起を行った市民連合世話人の山口二郎法政大学教授は「いまは参院選の1人区で野党協力を行うことは共通の了解事項になっている」と指摘。「私たちは野党の協力の機運を高め、共通して掲げるべき政策を議論し、野党と政策合意を結び共通の旗印としたい」とのべました。
 日本共産党の小池晃書記局長は、沖縄県知事選で5野党1会派による本気の共闘の実現で玉城デニー氏が勝利したことをあげ、「この流れを参院選に実らせれば安倍政権を必ず倒せる」と強調。「1人区での候補者一本化で各党の主張は一致している。より具体化する段階だ」とし、相互推薦、相互支援など党の方針を示した上で、「前提条件をおかず、政党の本部間の率直で真剣な協議を始めることが急がれている」と表明しました。
 立民の福山哲郎幹事長は「安倍政権を倒すための意見交換を具体的、建設的なものにしたい」と発言。国民の平野博文幹事長は「参加でき大変うれしい。前回の1人区での勝利数を上回ることが安倍政権を倒す一里塚になる」とし、無所属の会の大串博志幹事長は「安倍1強独走に終止符を打つという大目標に向け、5野党1会派がまとまることが重要だ」と強調しました。
 自由党の森ゆうこ幹事長は前幹事長の玉城デニー沖縄県知事の勝利に感謝を述べ、6月の新潟県知事選での敗北にふれ「なんとなくの連携では勝利をつかめない。争点を掲げ、結束してたたかうことが必要だ」と強調。社民党の吉川元・幹事長は「小異を残して大同につくというのが、わが党の共闘の立場だ」と表明しました。
 山口氏は「5野党1会派が一堂に会したことは大きな意味がある。日本の民主政治にとって何が一番大きな問題かを見据えればおのずと野党の共通項が見えてくる」と語りました。
※写真1葉付き
(引用終わり)
 
自由党 2018年11月16日
「市民連合との意見交換会」開催
(引用開始)
11月16日、自由、立憲民主、国民民主、無所属の会、共産、社民各党派の代表と、市民連合との意見交換会が国会内で開かれた。
 
会では、安倍政権に対峙するべく野党共闘について話し合われた。また来年の参院選に向け、市民連合と政策合意を結び、国民に選択肢を与えることを確認した。
 
自由党から出席した森ゆうこ幹事長は「市民と野党の本気の共闘で玉城デニー沖縄県知事が誕生した。皆さんに感謝を申し上げたい。本気の共闘なら勝てる反面、なんとなくの連携では結果が出ていないのも事実。市民と立憲民主党中心の野党共闘で安倍政権を倒したい」と語った。
※写真1葉付き
(引用終わり)

『子ども白書2018 「子どもを大切にする国」をめざして』(日本子どもを守る会編)のご紹介

 2018年11月16日配信(予定)のメルマガ金原No.3333を転載します。
 
『子ども白書2018  「子どもを大切にする国」をめざして』(日本子どもを守る会編)のご紹介
 
 今日は、1冊の書籍をご紹介しようと思うのですが、奥書に記載された発行日は「2018年8月15日」、出版社から私の事務所にこの本が届いたのが7月末でしたから、時期遅れもよいところです。
 しかも、これが単発の書籍ならともかく、毎年刊行されている一種の「年鑑」なので、うっかりすると次年版の編集作業がもう始まっているかもしれません。ということで、まことに遅ればせながらではありますが、ブログでご紹介することにしました。
 なぜ、かくも遅くなったかたといえば、せめて収載された論考の半分以上は読んだ上で紹介しよう、という殊勝な心掛けであったのがかえってあだになったという次第です。つまり、日々の雑用に追われ、なかなか本をじっくりと読む時間が作れなかったということで、読まなければと思いながら積み上げてある本は増える一方です。このままでは、いつになったら紹介できるか分かりませんので、読んだ上での感想を披瀝するのはあきらめ、ともかく、内容の概略でもご紹介しようと決意しました。
 
 以下に、その書籍の書誌データを記載しておきます。
 
書名:子ども白書2018 「子どもを大切にする国」をめざして
編集:日本子どもを守る会
出版年月日:2018年8月15日(初版第1刷)
発行所:株式会社本の泉社
版型・頁数:B5判 192ページ 並製 グラビア年表付
定価:2,000円+税
 カバー折り返しに書かれた●編者紹介と●会の歴史と活動を引用しておきます。
 
(引用開始)
●編者紹介
日本子どもを守る会
 日本子ども守る会は、1952年5月17日に誕生しました。「児童は人として尊ばれる」とうたった児童憲章が制定された翌年のことです。
 当時は朝鮮戦争の最中。米軍の前線基地となっていた日本の子どもたちは、その生活・教育・文化・福祉・健康・環境のすべてにわたって、児童憲章が踏みにじられる状況下にありました。
この現実を黙視できないと、親や教師はもちろん、学生・研究者・専門家・地域活動家・市民団体・文化団体・労働組合など広範な顔ぶれの人々が結集し、思想・信条のちがいをこえて、子どもの人権と平和を守る国民的な運動をすすめてきました。
 1989年、国連総会は「子どもの権利条約」を採択し、21世紀を「子どもの世紀」にすることを目指して壮大で国際的な取り組みを進めています。日本子どもを守る会は、日本における子どもの権利の水準を向上させるために、子どもの意見を聞きながら、子どもの権利条約の具体化を進めています。
●会の歴史と活動
1951年 児童憲章制定
1952年 日本子ども守る会結成(初代会長 長田 新)
1961年 羽仁説子、第2代会長に就任
1964年 『子ども白書』創刊
1988年 大田 堯、第3代会長に就任
1989年 国連総会、子どもの権利条約採択(94年5月 日本が批准)
2002年 日本子ども守る会50周年(50年誌『花には太陽を子どもには平和を』刊行)
2012年 日本子どもを守る会結成60周年記念集会(60年誌『子どもの尊さ』part2発行)
(引用終わり)   
 
 ところで、なぜこの『子ども白書2018』が、発行日前の7月末に版元(本の泉社)から私の事務所に届いたのかというと、実は私も執筆者の一人であったからです。「ことしの子ども最前線」というコーナーに掲載された5つの論考の1編として、「家庭教育支援条例のある「まち」に住んで」という文章を書かせていただきました。
 今年の4月はじめ、「日本子どもを守る会」の増山均先生から、「家庭教育支援法と家庭教育支援条例の動向について(仮)」というテーマで、6500~6700字の原稿を書いてもらえないか、というご依頼をいただきました。
 「なぜ私なのか?」という疑問が頭をよぎったことは言うまでもありませんが、和歌山市家庭教育支援条例や条例制定記念講演会の聴講記などをブログに書いていましたので、それを目に留めてくださった上でのご依頼のようでした。
 私としては、その任でないことは重々承知の上で、「これまでに書いたブログのツギハギ程度のものにしかならないと思われます」が、「もしもその程度のものでも良いということであれば、はなはだ力不足で申し訳ありませんが、執筆をお引き受け致します。」とメールで返信してしまったのが運の尽きでした。
 「ブログのツギハギ」といっても、それなりの取捨選択は必要で、さらには1編の論考としてのまとまりをつける必要もあるのですから、締切間際にはかなりの時間をとられました。まあ結局は、「ブログのツギハギ」を超えるものにはなりませんでしたけど。
 「子ども白書2018」に掲載していただいた「家庭教育支援条例のある「まち」に住んで」(同タイトルのブログも書いていますが、その文章の一部も使いつつ、新たに書き直したものです)は、2019年になって、そろそろ「子ども白書2019」に関心が向かうようになった頃を見計らい、私のブログにも掲載させていただこうと思っています。
 
 以下に、「子ども白書2018」の目次を転記します。これによって、2018年の「子ども白書」の内容を想像していただけることと思います。
 
(目次から引用開始)
〈グラビア〉年表(子ども生活関連年表/別刷)
〈巻頭言〉良心の自由を守れ!-こころの中までは誰にも決められない/増山 均
発刊にあたって/森本 扶
 
〈特集〉型にはめたい大人たち~「人づくり革命」「働き方改革」に未来はあるか~
解題/森本 扶
安倍政権の“教育革命”-二段階で進行する統制強化-/本田由紀
「人づくり革命」幼児教育無償化策の問題点と評価/垣内国光
「働き方改革」と若年労働者-働き方を変える主体は誰か-/上西充子
インタビュー ひとはつくるものではなく、ひとなるもの/大田 堯
座談会 ROCKET 座談会「学校って何?! 努力って何?! 私たちはどう生きるか?! ~“型にはまらない子どもたち”の本音~

〈ことしの子ども最前線〉
子どもの権利条約第4・5回政府報告書に対する市民NGO報告書を読む/世取山洋介
【資料】日本政府第4・5回定期報告に関する質問リスト
学校教育における「スタンダード」の浸透とその影響-授業スタンダードを中心に-/村上祐介
家庭教育支援条例のある「まち」に住んで/金原徹雄
「新しい社会的養育ビジョン」と「育ちあう養護」の課題/遠藤由美
家庭のなかの貧困 奪われる子ども、引き受ける子ども 沖縄での若年出産女性の聞き取り調査から/上田真弓
 
〈震災後を生きる子どもたち〉
この1年 東日本大震災・熊本地震と子ども支援/吉川恭平
教育シンポジウムin石巻 開催報告/教育シンポジウム石巻実行委員会
災害と子ども支援-気候変動の時代と子どもの権利保障-/安部芳絵
被災地で「子どもたちの遊び場」作り/瀧田 希
トピック 高校生がバイヤー、地元の魅力と想いを市外に発信!高校生百貨店/加藤くるみ
 
〈子どもをめぐるこの1年〉
-いのちと健康-
この1年 子どものからだと生活からみたこの一年/安倍大輔
トピック 子どもに忍び寄るエネジードリンクの恐怖/野井真吾
東京オリンピック・パラリンピックの光と影/内海和雄
子どもの便秘とトイレ環境/加藤 篤
性の多様性と子どもをめぐる課題/渡辺大輔
-医療-
この1年 拡大する「医療の守備範囲」/内海裕美
トピック 今、学校で始まる「がん教育」/林 和彦
医療ケアの必要な子どもたち/前田浩利
「子どもの死亡事例全数検証制度(CDR)」によって子どもの予防可能死を減らす/山田不二子
小児科医からみた要対協の現状と課題/栗山智之
-家庭-
この1年 家族・家庭のあり方と子育て力の創造/増山 均
トピック 「菜園家族の思想」を読み解いて/田名部周伍
子育て支援・家庭教育政策の動向と親の「第一義的責任」/望月 彰
子どもの現実と「親」支援/吉田のり子
精神疾患の親と暮らす子どもの問題/横山恵子
-福祉-
この1年 子どもの生活問題の深刻化と社会福祉-福祉の公的責任と共に在る福祉実践-/義基佑正
トピック 児童館は「なにもしなくていい」が認められる場所なんです/中村興史
子どもの貧困対策の現状と課題/中嶋哲彦
生活保護制度改悪と子どもの生活問題への影響/加美嘉史
深刻化する子どもの生活実態とスクールソーシャルワークの果たす役割/山田恵子
障害のある子どもたちの放課後保障と放課後等デイサービスの課題/黒田 学
-司法-
この1年 子どもの「時間」と子どもの権利/佐々木光明
トピック 非行相談の空洞化?~非行少年の伴走者としての児童相談所を問い直す~/遠藤洋二
「刑罰改革」と少年法の適用年齢引下げの関係について/山下幸夫
非行の問題をかかえた子どもの未来/野田詠氏
少年法適用年齢の引下げに関する法制審議の現状と問題点/伊藤由起夫
-学校-
この1年 新しい管理主義?-ブラック校則、スタンダード、ゼロトレランス/田沼 朗トピック 福井県議会の「教育行政の根本的見直しを求める意見書」/鈴木ひかり
指導死を招くゼロトレランス/大貫隆志
「学校における働き方改革」の問題点/勝野正章
高等学校学習指導要領の改訂とその特徴-教科・特別活動・総合的な探求の時間を通じて主権者としての学びを-/櫻井 歓
-地域-
この1年 地域の「日常」と「非日常」を支えるもの/阿比留久美
トピック 総合的な学習「地域交流」と生徒の育ちなおし/松澤仁志
民生委員・児童委員による地域の子ども・子育て家庭支援活動/高橋久雄
地域組織としてのPTA再考-親が学校を通じて地域とかかわるということ/大塚玲子
大学生が本気で考え実践する子どもの放課後/深作拓郎
-文化-
この1年 大人と子どもの真の関係性が問われている/片岡 輝
トピック ポケモン(ポケットモンスター)はどこへ?/齋藤史夫
おもちゃを手に、ジェンダーの壁を越える子どもたち/黒澤千春
変化する児童書界で/市川久美子
教育音楽に携わる者の使命と覚悟~童謡生誕100年を迎えた今~/若松 歓
-メディア-
この1年 ますます深刻になるネット・ゲーム依存~WHO「ゲーム依存」疾病指定へ~/成田弘子
トピック WHO「ネットゲーム依存」疾病指定~今やらなくてはいけないこと~/笠松直美
社会学の視点から見る「ネット依存」/伊藤賢一
メディアと子どもの眠り 睡眠不足は前頭前脳の機能を低下させる/神山 潤
久里浜医療センターから見える「ネット依存」の実態/三原聡子
-環境-
この1年 子どもたちの未来へ残すのはゴミ?/野田 恵
トピック 獣害被害とけもかわproject/井野春香
暮らしのごみが海を汚す-プラスチックによる海洋汚染/小島あずさ
辺野古の海とジュゴン~未来に何を遺すのか/志村智子
人口減少社会の教育はどうあるべきか/荻原 彰
 
第66回 日本子どもを守る会総会アピール
資料(児童憲章全文)
編集後記
編集委員会紹介
(引用終わり)
 
 私の原稿はともかくとして、子どもをめぐる最新の状況を概観するために、とても有用な年鑑だと思います。
 是非一度手に取られてお読みになることをお薦めします。
 また、近くの図書館に行かれる機会があれば、探してみられてはいかがでしょうか。もしもなければ、是非購入図書として「リクエスト」してみてください。
 
 最後に、「子ども白書2018」の末尾にも掲載されている「児童憲章」全文をここでも引用しておきましょう。
 
(引用開始) 
制定日:昭和26年5月5日
制定者:児童憲章制定会議(内閣総理大臣により招集。国民各層・各界の代表で構成。)
 
われらは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。
 
児童は、人として尊ばれる。
児童は、社会の一員として重んぜられる。
児童は、よい環境の中で育てられる。
 
一 すべての児童は、心身ともに健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される。
二 すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもつて育てられ、家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。
三 すべての児童は、適当な栄養と住居と被服が与えられ、また、疾病と災害からまもられる。
四 すべての児童は、個性と能力に応じて教育され、社会の一員としての責任を自主的に果たすように、みちびかれる。
五 すべての児童は、自然を愛し、科学と芸術を尊ぶように、みちびかれ、また、道徳的心情がつちかわれる。
六 すべての児童は、就学のみちを確保され、また、十分に整つた教育の施設を用意される。
七 すべての児童は、職業指導を受ける機会が与えられる。
八 すべての児童は、その労働において、心身の発育が阻害されず、教育を受ける機会が失われず、また、児童としての生活がさまたげられないように、十分に保護される。
九 すべての児童は、よい遊び場と文化財を用意され、悪い環境からまもられる。
十 すべての児童は、虐待・酷使・放任その他不当な取扱からまもられる。あやまちをおかした児童は、適切に保護指導される。
十一 すべての児童は、身体が不自由な場合、または精神の機能が不充分な場合に、適切な治療と教育と保護が与えられる。
十二 すべての児童は、愛とまことによつて結ばれ、よい国民として人類の平和と文化に貢献するように、みちびかれる。 
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/家庭教育支援関連)
2017年3月29日
2017年6月28日
2017年7月4日
2017年7月27日
2017年8月3日
2017年8月4日
2017年8月5日
2017年8月6日

「翁長さんと魂のことば~翁長雄志さん菅原文太さん翁長樹子さん」(デモクラシータイムス【新沖縄通信 別冊】)を保存し視聴して欲しい

 2018年10月13日配信(予定)のメルマガ金原No.3299を転載します。
 
「翁長さんと魂のことば~翁長雄志さん菅原文太さん翁長樹子さん」(デモクラシータイムス【新沖縄通信 別冊】)を保存し視聴して欲しい
 
 8月8日に翁長雄志(おなが・たけし)知事が急逝されたことにともなう沖縄県知事選挙も、9月30日の投開票の結果、翁長知事の後継候補、玉城デニー氏が当選しました。
 これを承け、デモクラシータイムスが、同社のYouTubeチャンネルにおいて、「翁長さんと魂のことば~翁長雄志さん菅原文太さん翁長樹子さん」という約30分の動画を編集して公開しました。
 収録されているのは、以下の3つの集会における翁長雄志さん、菅原文太(すがわら・ぶんた)さん、翁長樹子(おなが・みきこ)さんによる感動的なスピーチです。

 はじめは、沖縄県知事就任から約半年後の2015年5月17日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われた「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」における翁長知事による挨拶です。そこでは、70年前から始まった米軍占領下の沖縄の歴史が回顧され、沖縄県民の負託を背景として、日本の政治の堕落を痛烈に批判する翁長氏の姿勢に瞠目させられます。今回、動画をご紹介するにあたり、あらたに書き起こしを試みました。

 残る2つのスピーチは、4年前と今年の2回の沖縄知事選挙に際しての、歴史に残る応援演説です。まず、2014年11月1日、沖縄セルラースタジアム那覇において行われた「オナガ雄志うまんちゅ1万人大集会」での菅原文太さんのスピーチは、それから4週間も経たずに逝去されたこともあって、私たちにとって忘れ難いものとなりました。スピーチ直後にブログで書き起こしをしていましたので、以下に再録します。

 もう1つは、翁長知事急逝にともなう今年9月の沖縄県知事選挙において、翁長知事の遺志を継いで立候補した玉城デニー候補を応援するため、翁長知事の夫人・樹子さんが一度だけ登壇した、2018年9月22日「玉城デニー うまんちゅ大集会」(那覇市新都心公園中央広場)でのスピーチで、私は、これもブログで書き起こしを紹介していますので、以下に再録します。

 最後の翁長雄志知事による挨拶は、2016年6月19日に那覇市奥武山公園運動競技場で行われた「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾!被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める県民大会」でのものですが、最後のウチナーグチでの結びの言葉だけが採用されています。
 
 この編集動画をアップするに際し、デモクラシータイムスが添えた言葉を引用します。
 
(引用開始)
翁長雄志さんの県民葬が終わった。
翁長さんのことばには魂があった。
腹の底から湧き上がる気持ちが率直で飾り気のないことばとなってほとばしっていた。
そして、そのことばと響きあった知事選の決起集会での菅原文太さんの演説も、玉城さんを応援する翁長樹子さんの挨拶も、聞くもののこころに深くしみ込んだ。
翁長さんを追悼し、この機会に4つのメッセージを再録した。
(引用終わり)
 
 以上に私から付け加えることはあまりないのですが、3人の皆さん(内2人は既に故人となっている)の言葉がどうしてこんなに私たちの胸を打つのか、その人の生き方や思いは、その人の発する言葉に如実にあらわれるからこそなのだろうと、書き起こしをしながら考えていました。
 
 是非1人でも多くの方にこの動画を保存し、折に触れて繰り返し視聴して欲しいと思います。それは、沖縄問題のみならず、自らの生き方を考える上で、とても大切な指針を与えてくれると思うからです。そして、その際、以下の書き起こしが少しでもお役に立てればと願っています。
 
デモクラシータイムス「翁長さんと魂のことば~翁長雄志さん菅原文太さん翁長樹子さん」(29分44秒)

 
0分50秒~ 翁長雄志氏
2015年5月17日「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」にて
(書き起こし開始)
(冒頭ウチナーグチでの挨拶部分は省略)
 新辺野古基地を作らせないということで、ご結集いただいた皆さん。こちらの方、見えないと思いますが、外野席もいっぱいであります。3万人を超えてですね、4万、5万と、多くの県民が集まってると思っております。
(ウチナーグチの部分省略)
 私は、多くの県民の負託を受けた知事として、県の有するあらゆる手法を用いて、辺野古に新基地は作らせない、この公約実現に向けて、全力で取り組んでいくことを、今皆さま方にあらためて決意をいたします。(拍手)
 先月、私は安倍総理、管官房長官と会談させていただきました。お二人との会談内容を国民の皆さまが注目することになり、ほとんどの中央メディアの世論調査で、平均して10%ほどの国民が反対との意思表示を(注:賛成よりも)多くやっていただきました。本土と沖縄の理解が深まったことに、大変意を強くいたしております。
 さらに、辺野古基金においても、本土からの支援が、先ほど来ありますように、多く寄せられていると聞いており、心強い限りであり、ともどもにこの沖縄から日本を変えていきたい、こう決意をしているところであります。
 しかし私が、沖縄県の民意を伝えたにもかかわらず、日米首脳会談の共同会見において、安倍総理が「普天間飛行場の危険性を、辺野古建設によって1日も早く除去する」と発言をされました。私は、強い憤りを感じております。安倍総理は「日本を取り戻す」と言っておられますが、私からすると、この「日本を取り戻す」中に、「沖縄」が入ってるのかと強く申し上げたいと思います。(拍手)
 「戦後レジームからの脱却」とよく言っておりますが、沖縄に関しては、戦後レジームの死守をしている、私はこう思っております。沖縄の基地問題(の解決)なくして、「日本を取り戻す」ことはできません。(「そうだ」の声と拍手)
 日本の安全保障は、日本国民全体で負担をする気構えがなければ、沖縄一県にほとんど負担をさせておいて、日本の国を守ると言っても、仮想敵国から日本の覚悟のほどが見透かされ、抑止力から言っても、私はどうだろうかなと思っている訳であります。
 特に沖縄から見ると、日本が独立をし、沖縄が切り離されたサンフランシスコ講和条約の祝賀式典で万歳三唱をする姿を見ると、また同じ歴史が繰り返されることがないだろうかと、あるいはまた、ミサイル数発で沖縄が沈むことはないだろうか。将来の子や孫が、また捨て石として犠牲にならないか、沖縄に責任を持つべき責任者として、しっかりと見極めていかなければなりません。(拍手)
 そして、これは強調しておかなければなりません。政府は、普天間基地の危険性の除去がこの問題の原点だと言っておりますが、沖縄から言わせると、さらなる原点は、普天間基地が戦後米軍に強制接収されたことであります。(「そうだ」の声と拍手)何回も確認をいたします。沖縄は、自ら基地を提供したことは一度もございません。(大きな拍手)普天間飛行場もそれ以外の基地も、戦後県民が収容所に収容されている間に接収をされ、また、居住場所等をはじめ、銃剣とブルドーザーで強制接収をされ、基地建設がなされた訳であります。自ら土地を奪っておきながら、普天間飛行場が老朽化したから、世界一危険だから、辺野古が唯一の解決策だ、沖縄が負担しろ、嫌なら沖縄が代替案を出せ、こういう風に言っておりますが、こんなことが皆さん許されるでしょうか。(「許されない」「NO!NO!」の声と拍手)
 私は、このことを、日本の政治の堕落だと言っている訳であります。(拍手)自国民に自由と人権、民主主義という価値観を保障できない国が、世界の国々と価値観を共有できるでしょうか。(「できない」の声と拍手)
 日米安保体制、日米同盟というものは、私はもっと品格のある、世界に冠たる誇れるものであって欲しいと思っております。一方、「2+2」共同発表には、世界一危険だと指摘されている普天間飛行場の5年以内運用停止が明示されておりません。普天間飛行場の5年以内も運用停止について、前知事は県民に対し、一国の総理及び官房長官を含め、きっかりと言っている、それが最高の担保であると説明をしておりました。5年以内運用停止は、前知事が埋立承認にいたった大きな柱であります。しかし、米国側からは、日米首脳会談でも言及することはありませんでした。5年以内運用停止は、辺野古埋立承認を得るための話のご馳走、ハナシクワッチ、空手形であったのではないかと私は危惧しております。
 今日までの70年間の歴史、いつも困難の壁があるときには、必ず話のご馳走、ハナシクワッチを、ウチナワ(沖縄)県民にも国民にも聞かして、そしてそれを乗り越えたら知らんぷりと、これが70年の沖縄基地問題の実態でございます。(「そうだ」の声と拍手)
 私は、安倍総理におききしました。「ラムズフェスド元国防長官が、13年前、『普天間基地は世界一危険な基地だ』と発言し、管官房長官もそのことを再三再四言う中で、辺野古が唯一の解決策だと言っております。辺野古基地ができない場合、本当に世界一危険な普天間基地は固定されるのでしょうか?」こう総理にききました。そしたら、返事がありませんでした。しかし、私は、自由と人権と民主主義の価値観を共有する国々との連帯を目指す日米同盟が、そんなことはできないと思っております。新辺野古基地の建設を阻止することが、普天間基地を唯一解決する政策であります。(「そうだ」の声と拍手)
 中谷防衛大臣との対談では、今日の中国の脅威を説明し、数字をあげ、新辺野古基地が唯一の解決策だと話をしておりました。いかに現在が危機的な状況であるか、自衛隊の増強も必要だ、沖縄がいかに安全保障にとって重要か、得々と説明をしておりました。
 しかし、考えてみますと、沖縄のこの70年間、とんでもございません。冷戦構造時代、あのときも大変です。今も危機があると言っておりますけども、あの積極的平和主義の中でですね、私たちは今、積極的平和主義の名の下に、中東まで視野に入れながら、これから日米同盟が動くということを考えますと、沖縄はいつまでこの世界の情勢に、自らを投げ捨てなければいけないのか、私はこれについてしっかりと対処していきたいと思っております。(拍手)
 そして、安倍総理が、2つ私に、前に進んでいることを話しておりました。1つは、嘉手納以南の(返還の)着実とした(な?)進展、それからもう1つは、オスプレイは全国に配備してありますよ、もう少しずつ良くなっていますよ、という話でありました。こういう話を聞くと、本土の方々はですね、なかなかやるじゃないかと、少し前に進んだんだなあと思っておると思います。しかし、私は総理に申し上げました。総理が仰るように、普天間基地が新辺野古基地に移り、そして嘉手納以南が廃止された場合に、一体全体、何%基地が減るんですか?これは、73.8%が73.1%、たったの0.7%しか減らないんです、皆さん。なんでかというと、全部県内移設だからであります。外に持ってく話じゃ全くないんです。これが、本土の方々には分かっていない。嘉手納以南をみんな返すぞと、こういうことで分かっていない。
 それから、オスプレイ。あの森本防衛大臣が、こう仰ってました。5年前、自分の著書の中で、平成22年に12機、平成23年に12機、その2~3年前にですよ、著書の中で、沖縄にオスプレイが配備されるだろうと書いてあります。見事に的中をしております。そして、その中に何が書いてあったかと言いますと、あの新辺野古基地は、オスプレイを100機以上持ってくるために設計をされている。これから全てオスプレイは向こう(辺野古)に置かれるんだということが、あの森本さんの著書の中に書いてあるんです。ですから今本土で飛んでいるオスプレイも、一定程度が過ぎたら、みんな沖縄に戻ってくるんです。これが私が日本の政治の堕落だということを申し上げている訳でございます。(拍手)
 どうか、日本の国が、独立は神話だと言われないように、安倍総理、頑張ってください!
 ウチナーンチュ(以下書き起こし不能)。(拍手)
書き起こし終わり)
 
12分50秒~ 菅原文太氏
2014年11月1日「オナガ雄志うまんちゅ1万人大集会」にて
(書き起こし開始)
 こんにちは。沖縄は、何度来ても気持ちがいいね。(拍手)
 カートに乗って、楽をさしてもらったけど、80過ぎたんで、さっきの2人みたいに走れないよ。(笑いと拍手)30年前なら、あの倍くらいのスピードで走ったけどね。(笑いと拍手)
 今日は、自分から立候補して、ピッチャー交代、知事交代、ということで押し掛けてきました。(拍手)
 プロでない私が言うんだから、あてになるのかならないのかは分かりませんけど、政治の役割はふたつあります。ひとつは、国民を飢えさせないこと、安全な食べ物を食べさせること。(拍手)
 もう一つは、これが最も大事です。絶対に戦争をしないこと!(大きな拍手)
 私が小学校の頃、戦国(軍国)少年でした。小学校、なんでゲートルを巻いて、戦闘帽を被って、竹槍持たされたのか、今振り返ると、本当に笑止千万です。もう二度と、ああいう経験は子どもたちに、子どもたちだけじゃない、大学生も雨のなかを、大勢の将来大事な大学生が戦地へ運ばれて、半数が帰ってこなかった。
 今の政府と、本土の政府ですよ、仲井眞知事は、まさに戦争が起きること、戦争をすることを前提に、沖縄を考えていた。
 前知事は、今、最も危険な政権と手を結んだ。(拍手)沖縄の人々を裏切り、公約を反故にして、辺野古を売り渡した。(そうだ!の声と拍手)
 古い映画だけど、『仁義なき戦い』に、(拍手)その流れに言うと、『仁義なき戦い』の裏切り者の山守(やまもり)、覚えてらっしゃらない方もいるかな?(覚えてるよー!の声)憶えてるかー(拍手)。映画の最後で、「山守さん、弾はまだ残っとるがよ。一発残っとるがよ。」というセリフをぶつけた。その伝でいくと、「仲井眞さん、弾はまだ一発残っとるがよ。」(大きな拍手)と、ぶつけてやりたい。(拍手)
 沖縄の風土も、本土の風土も、海も山も空気も風も、すべて国家のものではありません。(大きな拍手)そこに住んでいる人たちのものです。(拍手)辺野古もしかり!勝手に他国へ売り飛ばさないでくれ。(大きな拍手)
 まあそうは言っても、アメリカにも、良心厚い人々はいます。中国にもいる。韓国にもいる。(拍手)その良心ある人々は、国が違え、同じ人間だ。(拍手)みな、手を結び合おうよ。(拍手)
 翁長さんは、きっと、そのことを、実行してくれると信じてる。(大きな拍手)
 今日来てるみなさんも、そのことを、肝に銘じて実行してください。(拍手)
 それができない人は、沖縄から、日本から、去ってもらおう。(大きな拍手)
 はなはだ短いけど、終わり(拍手)
(書き起こし終わり)
※弁護士・金原徹雄のブログ「菅原文太さんからのメッセージ 沖縄へ、そして日本へ」(2014年11月3日)に掲載しました。
 
23分58秒~ 翁長樹子氏
2018年9月22日「玉城デニーうまんちゅ大集会」にて
(書き起こし開始)
 泣かずにしゃべれる自信がありません。翁長雄志の家内の樹子でございます。
 本当にたくさんの方に支えていただいて必死に頑張ったんですけど、8月8日に急逝いたしまして、ひと月半になります。
 正直、翁長が亡くなって、頭の中では理解しているつもりなのに、心がなかなか追いつきません。洗濯物を畳んでいるだとか、ご飯を出しているときに突然、「あっそうだパパ」って顔をあげちゃうんですよね。そしたら遺影の翁長がいつも笑っているの。「ばかだなあ君は」って言って。
 翁長が恋しいです。あの笑顔がもう一度見たい。あの笑い声がもう一度聞きたい。でもかなわないから。
 この選挙は正直言って翁長がいつも言ってたように、みんな同じウチナーンチュだから、みんな一生懸命考えてみんなが出した結論はもうそういうことなんだということで、私は今回、本当は静かに皆さん県民の一人ひとりの方が出す結論を待とうと思ってました。ところが、日本政府の方のなさることがあまりにもひどいから。たった140万の、1%しかない沖縄県民に、オールジャパンと称して政府の権力を全て行使して、私たち沖縄県民を、まるで愚弄するように押しつぶそうとする。民意を押しつぶそうとする。何なんですか、これは。
 こんなふうに出てくるというのは正直、とても躊躇がありました。でももう、何だか翁長が、「もうしようがないな、もうみんなで頑張らないといけないから君も一緒になって頑張っておいで」と言ってくれたような気がして、今日はこの場に立っております。(拍手)
 この沖縄は翁長が心の底から愛して、140万県民を本当に命がけで守ろうとした沖縄です。県民の心に1ミリも寄り添おうとしない、なさらない。相手の方に悪いけど、申し訳ないけど、私は譲りたくはありません。(拍手)
 いまデニーさんの話を聞いて、よかった、うちの人の心をデニーさんが継いでくれるんだと思ったら、涙がとまりません。(拍手)
 残り1週間です。簡単には勝てない。それでも簡単には負けない。翁長が信じてた、私たちウチナーンチュの心の中をすべてさらけ出してでも、マグマを噴き出させてでも、必ず勝利を勝ち取りましょう、みなさん。(拍手)頑張りましょうね、ぬちかじり(注:命のかぎり)、ぬちかじりですよ。頑張りましょうね。よろしくお願いします。(拍手)
(書き起こし終わり)
 
28分55秒~ 翁長雄志氏
2016年6月19日「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾!被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める県民大会」にて(結びの部分)
(書き起こし(画像の字幕を転記)開始)
グスーヨー マケテーナイビランドー
(みなさん、負けてはいられない)
ワッターウチナーンチュヌ
(私たちウチナーンチュは)
クワッウマガ マムティイチャビラ
(子や孫を守るために)
チバラヤナーサイ
(頑張ろう!)
(書き起こし終了)
 
(参考動画)
戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会(1時間40分)

※翁長知事の挨拶は1時間10分~です。
 
オナガ雄志うまんちゅ1万人大集会(総集編)(45分)

※菅原文太さんのスピーチは21分~ですが、抜粋なので、全編動画を以下に掲げます。
菅原文太氏のスペシャルゲストあいさつ(11分)

 
玉城デニーうまんちゅ大集会【沖縄県知事選挙】(1時間15分)

※翁長樹子さんのスピーチは1時間04分~です。
 
6.19元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会@奥武山陸上競技場(39分)

※翁長知事の挨拶は25分~です。

貴闘力(元大相撲力士)講演会「ギャンブル依存症の恐ろしさ!~私の経験から伝えたいこと~」(2018年10月30日@和歌山県民文化会館)のご案内

 2018年10月1日配信(予定)のメルマガ金原No.3287を転載します。
 
貴闘力(元大相撲力士)講演会「ギャンブル依存症の恐ろしさ!~私の経験から伝えたいこと~」(2018年10月30日@和歌山県民文化会館)のご案内
 
 3日連続でお送りしてきた和歌山行事案内も今日でとりあえずの打ち止め、10月30日(火)午後7時から、和歌山県民文化会館小ホールで開かれる貴闘力(たかとうりき)さんの講演会です。
 今、世間を騒がせている貴乃花さんとは藤島部屋(後の二子山部屋)の同門であり、貴闘力さんの方が5年先輩になるのですが、事情は異なるとはいえ、結局2人とも角界を去ることになるようであり、奇しき因縁というものかもしれません。
 ちなみに、9月26日に放送された情報番組「スッキリ」(日本テレビ系)に出演した貴闘力さんの、貴乃花角界引退騒動にかかわる発言が世上を賑わしたりしていますが、和歌山での講演会は、もちろん「日本相撲協会と貴乃花親方との確執」がテーマではありません。
 演題は、「ギャンブル依存症の恐ろしさ!~私の経験から伝えたいこと~」というものであり、主催は和歌山クレサラ・生活再建問題対策協議会です。
 
 以下に、まずチラシ記載情報を転記します。
 
チラシから引用開始)
元大相撲力士 
貴闘力 講演会
ギャンブル依存症の恐ろしさ!
~私の経験から伝えたいこと~
 
〈プロフィール〉
1967年9月28日生 神戸市出身
藤島部屋(のちに二子山部屋)から1983年3月初土俵。
2000年3月、史上初の幕尻優勝。2002年9月現役引退。後に年寄・第16代大嶽を襲名し、大鵬部屋の親方となった。
2010年、親方を退いて「焼肉本店ドラゴ」を開店し、現在では約8店舗。
東日本大震災の際には牛、鶏、豚肉を計2トン以上を持ち込み各所で炊き出し、気仙沼では1カ月以上にわたり炊き出しを続けた。
2014年4月、リアルジャパンプロレス「貴闘力」として参戦。
 
日時:2018年10月30日(火)
   開場18:30 開演19:00
場所:和歌山県民文化会館小ホール 
     和歌山市小松原通1丁目1 電話:073-436-1331
 
入場無料・予約不要

主催:和歌山クレサラ・生活再建問題対策協議会
[お問い合わせ]クレサラ対協事務局 TEL:073-433-2244
(引用終わり)
 
 貴闘力さんとギャンブル依存症については、年輩の者にとっては常識と言ってよいでしょうが、若い人は知ってるでしょうかね。
 何しろ、部屋持ち親方であった2010年に日本相撲協会を解雇されたのも、野球賭博への関与が原因であり、当時相当に世間を騒がせましたので、多くの方はご存知かと思いますが。
 
 「元貴闘力 ギャンブル依存症のきっかけ」(Daily Sports Online 2016年2月8日)という記事によると、「8日放送のテレビ朝日系「しくじり先生 俺みたいになるな!!2時間SP」に出演し、ギャンブル依存症だった現役時代を振り返った」貴闘力さんは、「オーストラリア巡業中、カジノで5500万円勝ったこともあったというが、「ギャンブル依存症の特徴として、勝った時のイメージしかない。負けている額は何十倍も負けている」と告白した。」上で、「現在は「ギャンブルに走ることがないように1日16時間ぐらい働いている」と明かした。金も持たないようにしており、「やりたい、やりたいと思うけど、お金がないとできないから」と、「負けても笑える金額にしよう」と、自らの経験を踏まえた教訓を述べた。」そうです。
 
 ところが、カジノ推進基本法やカジノ実施法が制定されるという時流の中、貴闘力さんにギャンブルがらみのインタビューをしようというメディアが増えてきて、それらを読んでみると、ギャンブルから完全に手を切るのがいかに難しいかを実感することになります。
 例えば、「貴闘力、2カ月前にカジノ出入り告白「ギャンブルは体が悪くならない」」(デイリースポーツ2017.3.11)によると、「プロレスラーで大相撲の元関脇貴闘力が11日、都内で開催された「依存症への理解を深めるシンポジウム」に出席。ギャンブル依存症アドバイザーとしても活動する貴闘力は、2カ月前に韓国でカジノに出向いたことをあえて告白し、カジノの合法化へ向かう日本への問題意識を提起した。イベントは厚労省による啓発事業活動の一環として行われた。」「「悪い友だちに韓国へ連れて行かれ、自分は金を持っていかなかったが、カジノで『ちょっとやってみ-な』と100万円を手渡されて(ギャンブルを)やったら1000万円になった。ほんの2カ月前のことです」と自身のギャンブル再発の事実を明かし、「1000万円はすぐにゼロになってしまった。(ソウル市内の)漢江に飛び込もうかとも思った」と話した。」上で、「ディスカッションの最後にあらためて、「ほんとに…ギャンブル忘れてがんばるしかないなと思ってます」とあいさつ」したそうです。
 
 これが昨年3月の発言で、それで今年はどうなっているかというと、「どうなる、カジノ法案? 元関脇・貴闘力が語るギャンブル依存症の本質」(週プレNEWS/2018年6月19日)では、以下のように発言しています。
 
(抜粋引用開始)
―そもそも貴闘力さんは、今はもうギャンブルから足を洗っているという認識で......。
貴闘力 洗ってないよ。
―洗ってないんですか(笑)。
貴闘力 やるよ。
―パチンコとか?
貴闘力 パチンコは近所のおばちゃんに「でっかい体して、仕事もせんと」って言われるのがつらいからやらない(笑)。競馬のGⅠと、韓国のカジノに行ったりするくらい。今、深夜に韓国行きの便があるから、仕事が終わってから行っても朝の5時くらいには向こうに着く。で、3、4時間やって帰ってくれば仕事も休まないで済むからね。
―バリバリやってるじゃないですか!主にカジノでは、何で勝負するんですか?
貴闘力 カジノのメインといえば、ブラックジャックとバカラ......って、今日はこんな話でいいの?依存症の相談はできないよ。俺がまだ依存症なのに、相談受けてもしょうがないでしょ(笑)。
―カジノ法案が成立間近ですが、日本にカジノができたら、行かれますか?
貴闘力 視察に行くよ。
―あくまで視察ですよね。
貴闘力 毎日、視察に行っちゃったりして(笑)。でも、近くにできちゃうと困るなー、うずうずしちゃうから。でも東京にできたら儲かるだろうな。1万人くらい収容できる巨大なハコを造って、1日ひとりから5万円くらい抜いたら5億だろ。×365日でおよそ年2000億か。それぐらいのお金は計算できる。日本は治安もいいから、世界中から客が集まると思うよ。
―ギャンブルでいろいろあった貴闘力さんでもやめられない魅力って、ずばり、なんなんでしょう?
貴闘力 ギャンブル依存症の人って、勝っていい服を着ようとか、いい車を買おうとか、まるっきり興味がないの。ギャンブルができれば4畳半の部屋にテレビと冷蔵庫があるだけで十分なんだよね。じゃあギャンブルで50万円勝ったらどうするか?それを元手にまたギャンブルをやる。俺もそうだったけど、そこまでいったら人間のクズだな。
(引用終わり)
 
 故大鵬親方(かつての岳父)に賭博による借金の尻ぬぐいをしてもらい、テレビ番組(しくじり先生 俺みたいになるな!!)で過去を懺悔して教訓を語り、厚労省の啓発イベントであらためてギャンブルからの脱却の決意を披瀝しても、それでも止められないのがギャンブル依存症というものであることがよく分かります。
 ここまで読んで、「自分は大丈夫」とか、「貴闘力さんは特別」とか考える人がいるかもしれませんが、「本人の心がけ次第」では何ともならない非常に困難な症状であることに思いを致すべきでしょう。もちろん、その影響は身近な家族などの周囲にも否応なく及んでしまいます。
 
 10月30日に貴闘力さんからどんなお話を伺えるか、正直私にもよく分かりませんが、お一人お一人が自分なりの問題意識を持ってご来場いただけることを主催者は心から願っていると思います。

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和歌山弁護士会シンポジウム「空き家問題について考える~現状と対策~」(2018年11月8日@和歌山県民文化会館5階大会議室)のご案内

 2018年9月30日配信(予定)のメルマガ金原No.3286を転載します。
 
和歌山弁護士会シンポジウム「空き家問題について考える~現状と対策~」(2018年11月8日@和歌山県民文化会館5階大会議室)のご案内
 
 昨日から3日連続でお送りする10月・11月の和歌山行事案内その2は、和歌山弁護士会が11月8日(木)に開催するシンポジウム「空き家問題について考える~現状と対策~」(和歌山県民文化会館5階大会議室)です。
 所管する委員会が、公害対策・環境保全委員会なのですが、ついに「空き家問題」は「公害問題」になったのか、という感慨がないこともありません(主として「環境保全」の分野ということではあるのでしょうが)。
 
 ここで、和歌山弁護士会ホームページ・委員会活動報告から、公害対策・環境保全委員会のページをご紹介しましょう。
 
(引用開始)
公害対策・環境保全委員会 2018年(平成30年)度
委員長:北野栄作 副委員長:重藤雅之
1 当委員会の目的
 当委員会は、環境基本法の精神に則り、地域住民の健康及び生活環境を保全するため、公害問題につき調査及び対策を立て、必要な諸活動を行うことを目的とする委員会です。
2 当委員会の過去の主たる活動について
(1)平成10年10月17日、和歌山市民会館市民ホールにおいて、「雑賀崎沖埋め立て問題」のテーマでシンポジウムを開催しました。
(2)平成14年3月22日、きのくに志学館メディアアートホールにおいて、「循環型社会をめざして」のテーマでシンポジウムを開催しました。
(3)平成16年11月12日、御坊市民会館において、「使用済み核燃料中間貯蔵施設の安全性を考える」のテーマでシンポジウムを開催しました。
(4)平成18年2月24日、「アスベスト問題110番」を実施しました。
(5)平成20年2月29日、「スギ花粉症被害の実態とその対策を考える」のテーマでシンポジウムを開催しました。
(6)平成20年10月31日、 第3回憲法について考える市民集会「地球環境の危機と環境権について考える」を気候ネットワーク代表の弁護士浅岡美恵氏を招いて当会の憲法委員会と協力し当会主催で開催しました。
(7)平成21年11月4日及び5日、日本弁護士連合会第52回人権擁護大会が和歌山で開催され、そのシンポジウム第2分科会「ストップ地球温暖化~HOTな心でCOOLな選択~」を準備支援しました。
(8)平成22年11月19日、第26回近畿弁護士会連合会人権擁護大会が和歌山で開催され、シンポジウム第2分科会「市民のための公害環境紛争解決制度-使いやすく、科学的な紛争解決をめざして-」を準備支援しました。
(9)平成23年1月27日、「再生可能エネルギーへの転換と推進」のテーマで市民集会を開催しました。
(10)平成25年2月19日、「食品摂取による内部被曝について考える」のテーマでシンポジウムを開催しました。
(11)平成27年2月17日、「PM2.5と大気汚染について」のテーマでシンポジウムを開催しました。
(12)平成29年2月15日、「低周波問題について考える」のテーマでシンポジウムを開催しました。
3 今後の活動について
 平成30年11月8日午後6時から、県民文化会館大会議室において、空き家問題に関するシンポジウムを開催する予定です。その他、環境問題について適宜取り組んで参ります。
(引用終わり)
 
 以上に記載された「過去の主たる活動」のうち、日弁連や近弁連のシンポに協力した(7)、(8)を除く、和歌山弁護士会が単独主催したシンポジウムが、ほぼ2年間隔で開催されていることにお気づきでしょうか?
 実際、充実したシンポを開催するためには、それくらいの周到な準備が必要ということもあるのでしょうが、同委員会には、「いったん委員長に就任したら、シンポジウムを開催してコーディネーターを務めぬ限り、委員長を降りさせてもらえない」という不文律がある(らしい)ということも、その理由の1つでしょう。
 さすがに、委員長が1年交替では、すぐになり手が底をついてしまうという事情と、委員長の「何とか早く後進に道を譲りたい」という思惑との妥協点が、シンポの2年毎の開催ということになっているのではないか?というのが、入会以来30年、一度もこの委員会に配属されたことのない私の勝手な推測です。
 
 それでは、今年のシンポの開催概要をチラシからご紹介します。
 
チラシから引用開始)
空き家問題について考える~現状と対策~
 
近年、和歌山県の人口及び世帯数は減少し、
実際に居住・使用されていない住宅の数も年々増加しています。
このまま放っておくと、空き家はまずます増加し、
防犯、防災、景観、環境の悪化を来し、
地域住民の生活環境にも悪影響が及びます。
本来、空き家は所有者がきちんと管理すべきものではありますが、
今後、行政や専門家が連携し、空き家の除却・利活用など早急な対策が望まれるところです。
そこで、社会問題となりつつある空き家問題について知っていただきたく、
本シンポジウムを企画しました。
 
2018年11月8日(木) 開場:17時30分 開会:18時00分
和歌山県民文化会館 5階 大会議室(80人収容可能)
 和歌山市小松原通1丁目1 電話:073-436-1331
 
入場無料/予約不要
 
基調講演「空き家問題 背景と特措法の意義」
 講師 小川宏樹氏(徳島大学教授・一級建築士)

パネルディスカッション「空き家問題の現状と対策」
パネラー
 小川宏樹氏(徳島大学教授・一級建築士)
 高橋一輝氏(橋本市建設部建築住宅課)
 松下 誠氏(一班社団法人ミチル空間プロジェクト理事)
 森田拓哉(弁護士・和歌山弁護士会)
コーディネーター
 北野栄作(和歌山弁護士会公害対策・環境保全委員会委員長)
 
主催・お問い合わせ
和歌山弁護士会
〒640-8144 和歌山市四番丁5番地 TEL:073-422-4580  FAX:073-436-5322
 
後援 和歌山県
(引用終わり)
  
 和歌山弁護士会ホームページの委員会活動報告の内容は、いずれの委員会も、毎年5月に内容を更新することになっていますので、その段階でテーマ、日時、会場が決定済みであったということは、前年度(平成29年度)から準備を積み重ねてきたということでしょう。
 充実した議論が期待できると思いますので、「空き家問題」について関心を持たれている方には是非ご参加いただきたくご案内します。
 
(参考サイト)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/和歌山弁護士会公害対策・環境保全委員会関連)
2013年1月18日
2015年1月27日
2017年1月20日

沖縄県知事選挙投票日を前に「玉城デニー うまんちゅ大集会」(2018年9月22日)をあらためて視聴する~付・翁長樹子さんスピーチ書き起こし

 2018年9月28日配信(予定)のメルマガ金原No.3284を転載します。
 
沖縄県知事選挙投票日を前に「玉城デニー うまんちゅ大集会」(2018年9月22日)をあらためて視聴する~付・翁長樹子さんスピーチ書き起こし
 
 沖縄県のみならず、日本の今後に大きな影響を及ぼす沖縄県知事選挙が、いよいよ明後日(9月30日)投開票を迎えます。
 台風24号の進路と速度が心配ですが、無事、有権者の皆さんが、自らの信じる一票を投じてくださることを祈りたいと思います。
 
 そして、2日前になって今さらではあるのですが、9月22日に那覇市の新都心公園中央広場で開催された「玉城デニー うまんちゅ大集会」の模様をあらためてご紹介します。
 動画が公開されてすぐ、翁長雄志知事未亡人の樹子(みきこ)さんのスピーチや玉城デニー候補の決意表明は視聴していたのですが、やはりブログでもご紹介しておくべきかと思い、取り上げることにしました。
 沖縄に知人がおられる方は、是非最後のお願いの電話をよろしくお願いします。
 
玉城デニーうまんちゅ大集会【沖縄県知事選挙】(1時間15分)

冒頭~ 開会
1分~ 「ひやみかちうまんちゅの会」女性部長からの訴え
4分~ 玉城デニー沖縄県知事選候補 登壇
5分~ 故翁長雄志知事に対して黙祷
7分~ 呉屋守將氏(ひやみかちうまんちゅの会会長)
14分~ 照屋義実氏(元沖縄県商工会連合会会長)
18分~ 富川盛武沖縄県副知事
25分~  城間幹子那覇市長
30分~ 照屋美波氏(ひやみかちうまんちゅの会青年局)
32分~ 来賓紹介
34分~ 仲西春雅氏(宜野湾市長選予定候補)
40分~ 選対本部からの訴え 照屋大河氏(「調整会議」議長)
45分~ 決意表明 玉城デニー沖縄県知事選候補
1時間04分~ 翁長樹子氏(故・翁長雄志沖縄県知事夫人)
1時間09分~ 頑張ろう 翁長雄治氏(那覇市議)
 
 なお、この集会の動画としては、IWJによるものも全編無料公開されており、各登壇者の発言要旨も掲載されています。
 
 
 また、最後に登壇された翁長樹子夫人のスピーチ書き起こしが、以下のTwitterにアップされていました。
 それをベースに、実際のスピーチと照らし合わせ、脱落していた箇所を書き起こし、また部分的に修正したものを以下に掲げておきます。
 
翁長樹子(みきこ)さんのスピーチ
 泣かずにしゃべれる自信がありません。翁長雄志の家内の樹子でございます。
 本当にたくさんの方に支えていただいて必死に頑張ったんですけど、8月8日に急逝いたしまして、ひと月半になります。
 正直、翁長が亡くなって、頭の中では理解しているつもりなのに、心がなかなか追いつきません。洗濯物を畳んでいるだとか、ご飯を出しているときに突然、「あっそうだパパ」って顔をあげちゃうんですよね。そしたら遺影の翁長がいつも笑っているの。「ばかだなあ君は」って言って。
 翁長が恋しいです。あの笑顔がもう一度見たい。あの笑い声がもう一度聞きたい。でもかなわないから。
 この選挙は正直言って翁長がいつも言ってたように、みんな同じウチナーンチュだから、みんな一生懸命考えてみんなが出した結論はもうそういうことなんだということで、私は今回、本当は静かに皆さん県民の一人ひとりの方が出す結論を待とうと思ってました。ところが、日本政府の方のなさることがあまりにもひどいから。たった140万の、1%しかない沖縄県民に、オールジャパンと称して政府の権力を全て行使して、私たち沖縄県民を、まるで愚弄するように押しつぶそうとする。民意を押しつぶそうとする。何なんですか、これは。
 こんなふうに出てくるというのは正直、とても躊躇がありました。でももう、何だか翁長が、「もうしようがないな、もうみんなで頑張らないといけないから君も一緒になって頑張っておいで」と言ってくれたような気がして、今日はこの場に立っております。(拍手)
 この沖縄は翁長が心の底から愛して、140万県民を本当に命がけで守ろうとした沖縄です。県民の心に1ミリも寄り添おうとしない、なさらない。相手の方に悪いけど、申し訳ないけど、私は譲りたくはありません。(拍手)
 いまデニーさんの話を聞いて、よかった、うちの人の心をデニーさんが継いでくれるんだと思ったら、涙がとまりません。(拍手)
 残り1週間です。簡単には勝てない。それでも簡単には負けない。翁長が信じてた、私たちウチナーンチュの心の中をすべてさらけ出してでも、マグマを噴き出させてでも、必ず勝利を勝ち取りましょう、みなさん。(拍手)頑張りましょうね、ぬちかじり(注:命のかぎり)、ぬちかじりですよ。頑張りましょうね。よろしくお願いします。(拍手)

和歌山弁護士会「高齢者・障がい者あんしん電話相談」(無料)のご案内

 2018年9月26日配信(予定)のメルマガ金原No.3282を転載します。
 
和歌山弁護士会「高齢者・障がい者あんしん電話相談」(無料)のご案内
 
 他の弁護士会に負けず劣らず、和歌山弁護士会の各種委員会も、非常に活発に活動していますが、高齢者・障害者支援センター運営委員会も、熱心に様々な活動に取り組んでいる委員会の一つです。
 私は、成年後見制度の施行を見据え、高齢者・障害者支援センターの立ち上げ準備を行っていた時期に和歌山弁護士会の担当副会長をしていたことから、センター及び運営委員会発足後の何年か委員を務め、その後、委員会からは離れたものの、同委員会が主催する研修などには出来るだけ参加するようにしてきました。
 和歌山弁護士会高齢者・障害者支援センターがどんな活動を行っているか、和歌山弁護士会ホームページ和歌山弁護士会とは委員会活動報告から、同センター運営委員会の紹介記事を引用してみましょう。
 
(引用開始)
1 和歌山弁護士会の活動
 和歌山弁護士会には「和歌山弁護士会高齢者・障害者支援センター」(以下「支援センター」といいます)が設置されており、当委員会は、支援センターの運営を担当しています。高齢者・障害者の権利の確立と自立の支援等を目的として、主に次の活動をしています。
 
高齢者の財産管理を行う弁護士(支援弁護士)の紹介並びにその指導・監督等
家庭裁判所への成年後見人等の候補者の推薦
高齢者・障害者のための専門法律相談
「高齢者・障害者虐待対応専門職チーム」の派遣・運営
「障害者なんでもADR」の運営・広報
「高齢者・障がい者あんしん電話相談」の運営・広報
会員に対する研修の実施
関連団体等との協働
 
2 活動報告
(1)支援センターは、和歌山県社会福祉士会との協働による高齢者・障害者虐待対応相談、和歌山県社会福祉協議会の成年後見人養成講座等に協力しているほか、和歌山県からの委託により、障害者のための法律相談や高齢者虐待防止専門職相談も実施しています。
(2)平成27年度には、社会福祉士会と協力して、「高齢者・障害者虐待対応専門職チーム」を発足させました。これは、市町村等が行う高齢者・障害者虐待等に関するケース検討会議などの場に、専門的な知識を持った弁護士と社会福祉士をペアで派遣し、助言を行う仕組みです。支援センターでは、これまでも虐待等の困難事例について、予め決められた日に行う出張相談やFAXによる相談で対応してきましたが、突発的に生じた事案に即応的に対応することは困難でした。今後は、市町村等からの依頼を受け、ケース検討会議等に速やかに専門職を派遣することで、迅速かつ適切な解決の一助になることが期待できます。
(3)高齢者及び障害者の虐待防止、障害者差別解消法や改正障害者雇用促進法への対応、精神障害のある人についての取り組み、成年後見制度の適切な運営への関与など、支援センターが取り組むべき課題は年々増えてきています。
 特に平成28年4月に障害者差別解消法が施行されたことを受け、平成29年8月、当会ADR委員会と連携し、差別問題を含め障害者に関する様々な問題を柔軟に解決するための仕組みとして、「障害者なんでもADR」を立ち上げました。「障害者なんでもADR」では、弁護士や社会福祉士があっせん人となり、障害のある人と事業者、行政機関等との間の個別紛争を解決するお手伝いをします。
(4)高齢者や障害者から弁護士へのアクセス改善を図るべく、無料電話相談事業「高齢者・障がい者あんしん電話相談」(073-425-4165。「よいろうご」)を実施しています。
(5)平成28年には成年後見制度利用促進法が施行され、これに基づき、平成29年には成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定されました。平成24年に当会が発表した第2次地域司法計画によると、人口比率で算出した成年後見制度の利用率は、和歌山県が近畿2府4県で最低の割合でした。それから数年を経過した現在においても、その状況は大きく変わっていないものと思われます。現在、当委員会では、決して十分とは言えない人員と予算ではありますが、他の先進的な地域と同様に、高齢者や障害者が成年後見制度を有益なツールとして用いることができるよう、和歌山家庭裁判所及び関連自治体や、他の専門職団体と、密に連携を図っております。
(6)今年度も、上記「高齢者・障害者虐待対応専門職チーム」、「障害者なんでもADR」及び「高齢者・障がい者あんしん電話相談」のさらなる利用促進策を講じるのはもちろんのこと、高齢者や障害者の権利擁護のため、行政、社会福祉協議会、地域包括支援センター、社会福祉士会その他関連諸団体とも連携し、主体的役割を担っていく所存です。
(引用終わり)
 
 会員に対する研修の実施や、成年後見人等候補者の家庭裁判所への推薦なども非常に重要な業務ですが、一般の方や高齢者福祉の最前線を担う市町村への支援を直接の目的とした「高齢者・障害者虐待対応専門職チーム」、「障害者なんでもADR」及び「高齢者・障がい者あんしん電話相談」は、和歌山弁護士会高齢者・障害者支援センターが行う対外的業務の三本柱です。
 
 今日は、そのうちの「高齢者・障がい者あんしん電話相談」についてご紹介しようと思います。
 というのも、この「あんしん電話相談」のチラシ及びポスターをリニューアルしたということで、会員のレターケースに3枚ずつ新しいチラシが入っており、「(このチラシを)適当なところに備え置きいただき、相談者として該当する方がいらっしゃいましたら、ご案内いただく等について、格別のご協力をお願い申し上げます」という会長・委員長連名の要請書が付いていたからです。
 私の場合、事務所の来客待合スペースの壁に貼り付けるというようなことよりも、ブログでご紹介する方が、よほど「格別のご協力」になると思いますので、ご案内することとしたものです。
 早速、以下に、チラシ記載内容を転記します(※PDF)。
 
(チラシから引用開始)
和歌山弁護士会高齢者・障害者支援センター
 
高齢者障がい者あんしん電話相談
 
相談無料
☎073-425-4165(よいろうご)
 
受付時間 平日の午前10時~午後4時(正午~午後1時は除く。)
※お電話でのお申込みが難しい方は代表FAX(073-436-5322)までご連絡ください。
 
弁護士が、和歌山県内にお住まいの高齢者(満65歳以上)・障がい者ご本人、その家族や生活支援者(福祉関係者等)のお悩みに電話でお答えします。
消費者被害、遺言・相続、成年後見、財産管理、虐待等なんでもご相談ください。
(ただし、相談は1案件につき1回のみとなります。)
 
相談方法
① まずは、上記受付電話番号(073-425-4165)にお電話ください。
② ①にて、担当弁護士が折り返しお電話するのにご都合のよい電話番号をお伝えください。
③ 受付後3営業日以内に担当弁護士が②の電話番号にお電話を差し上げご相談をお聞きします。
 
相談は、専用電話番号での受付後、担当の弁護士から折り返しお電話する方法でおこないます。
電話による相談時間は30分以内となります。担当弁護士がさらに時間を要すると判断した場合は、有料の来所相談・出張相談をお勧めすることがあります。(この場合でも、法テラスの援助制度により無料となる場合があります。)
 
お問い合せ先 和歌山弁護士会
〒640-8144 和歌山市四番丁5番地 TEL:073-422-4580  FAX:073-436-5322
ホームページ 
(引用終わり)
 
 この他、「障害者なんでもADR」については、以下のパンフレットなどをご参照ください。
 
20180926132402_00001

新宮市名誉市民記念・企画展「大石誠之助とはどんな人?」(2018年10月2日~2019年2月24日@佐藤春夫記念館)のご案内

 2018年9月16日配信(予定)のメルマガ金原No.3272を転載します。
 
新宮市名誉市民記念・企画展「大石誠之助とはどんな人?」(2018年10月2日~2019年2月24日@佐藤春夫記念館)のご案内
 
 昨日の「大石誠之助を名誉市民に推挙するか否かを議論した新宮市議会の会議録(2017年12月21日)を読む」に引き続き、今日も「新宮市と大石誠之助」に関わる話題をお届けします。
 今日ご紹介するのは、来る10月2日から来年(平成31年)2月24日まで、新宮市の佐藤春夫記念館で開催される企画展「大石誠之助とはどんな人?」(新宮市名誉市民記念)です。
 実は、先日、「新宮市立 佐藤春夫記念館だより 第23号(2018.9.1)」(※PDFファイルをお送りいただいた、その封筒の中に上記企画展のチラシが同封されており、すぐにご紹介しようかと思ったのですが、その前に、大石誠之助を名誉市民に推挙した新宮市議会の議論状況を会議録で確認するのが先決だろうと思い、昨日のブログをまとめたという次第です。
 
 私自身、このチラシに書かれていること以上の情報の持ち合わせはありませんので、まず、チラシの内容を以下に転記します。
 
チラシから引用開始)
新宮市名誉市民記念
企画展 大石誠之助とはどんな人?
 
辻原登著『許されざる者』にみる“大石像”など
 
期間 平成30年10月2日~31年2月24日
佐藤春夫記念館
 〒647-0003 和歌山県新宮市新宮1番地(熊野速玉大社境内)
 TEL/FAX 0735-21-1755 
   
開館時間:午前9時~午後5時(入館は4時半まで)
休館日:月曜、祝日の翌日、年末年始(12月28日~1月3日)
入館料:一般310円、小中学生150円
 
平成30年11月10日(土)ギャラリートーク開催
今回の展示の見所を館長が解説します
1日2回開催
①10:30~ ②14:30~
各回定員15名程度・約1時間
事前にお電話等でお申込みください
 
大石は開業医としても活躍。貧しい人からはお金を取らず親しまれていました。
平成30年1月24日、大石誠之助の新宮市名誉市民授与式が行われました。
 
主催:公益財団法人佐藤春夫記念会、新宮市教育委員会
協力:新宮高等学校同窓会、「大逆事件」の犠牲者を顕彰する会
(引用終わり)
 
 なお、チラシには、「佐藤春夫の母校・和歌山県立新宮高等学校の文化祭「彩雲祭」にて、図書館内で同窓会企画のパネル展が先行開催されます。」と案内されていましたが、既に9月7日・8日に「彩雲祭」は開催済みとなっていますので、引用はしませんでした。
 
佐藤春夫記念館にて ところで、「昭和2年(1927年)東京都文京区関口町に建てられ、昭和39年(1964年)春夫が72歳で亡くなるまでを過ごした家」を新宮市の熊野速玉大社境内に移築した佐藤春夫記念館を、私は一度だけ訪れたことがあります。
 それは、昨年(2017年)の6月11日、くまの平和ネットワーク主催(「大逆事件」の犠牲者を顕彰する会後援)による共謀罪に関する講演会の講師としてお招きいただいたのを機に、講演会が始まるまでの時間を利用して、佐藤春夫記念館見学という宿願をようやく果たすことができたのでした(講演会・「共謀罪」って何?こんなにある問題点!(6/11くまの平和ネットワーク)レジュメ紹介/2017年6月11日)。
 その際は、短い滞在時間しかとれませんでしたが、館長の辻本雄一先生から直々に館内をご案内いただくことができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。
 佐藤春夫記念館の正面玄関に立つ私の写真を掲げておきます(辻本館長にシャッターを押していただきました)。
 
 私が、館長の辻本先生に直々ご案内いただくことができたのは、2014年5月31日、和歌山市勤労者総合センターに辻本先生をお招きし、「熊野・新宮の「大逆事件」」と題した講演会をお願いした実行委員会の、私が呼びかけ人の末席を汚していたからなのですが、そもそも、辻本先生においでいただくことになったのは、その年の2月、辻本先生が、かねて様々な機会に発表された論考をまとめられた『熊野・新宮の「大逆事件」前後―大石誠之助の言論とその周辺』(論創社)を刊行されたこともきっかけの一つでした。
 
 ところで、私が企画展「大石誠之助とはどんな人?」を見て、直ちにブログで取り上げようと決意したのは、昨年、佐藤春夫記念館を訪問して大変お世話になったということや、大石誠之助を新宮市名誉市民とした同市の決断に敬意を抱いていたからということはもちろんなのですが、それ以外にも理由があります。
 それは、チラシを見た瞬間に、私より9歳年上の、昭和20年に和歌山県で生まれた3人の皆さんのお顔とお名前が脳裏に浮かんだからという理由です。
 
 そのお1人が、昭和20年、新宮市のご出身、母校の県立新宮高校で長年国語科教師として教鞭をとられ、県立みくまの養護学校(現「みくまの支援学校」)校長を最後に定年退職された後、佐藤春夫記念館館長に就任された辻本雄一先生です。
 
 もうお1人が、企画展チラシに「辻原登著『許されざる者』に見る“大石像”など」とある著名な作家・辻原登さんです。辻原さんは、昭和20年、和歌山県印南町のご出身ですが、中学校は、和歌山市にある和歌山大学教育学部附属中学校に進まれたため、私の中学校の9年先輩ということになります。
 
 最後のお1人が、和歌山県立桐蔭高校校長、和歌山市教育長などを歴任された大江嘉之先生で、大江先生も昭和20年生まれです(ご出身は岩出町(当時))。大江先生が、和歌山大学教育学部を卒業後、最初に赴任されたのが同学部附属中学校で、2年生の社会(歴史)を担当されましたので、当時、同校の2年生であった私は、大江先生の最初の教え子の1人ということになります。
 
 それで、大江先生と大石誠之助にどんな関係があるのかというと・・・。私が一度だけ辻原登さんにお目にかかったことがあるというのは、大江先生を囲む教え子の勉強会(だったかな?)のゲストとして辻原登さんが招かれた席にたまたま私も出席し、1990年に芥川賞を受賞された『村の名前』の文庫版(文春文庫)にサインしていただいた本が今でも自宅にありますので、多分、辻原さんが会社を辞めて作家専業になってそれほど間のないころのことだったでしょうか。
 これでもまだ大石誠之助とは結びつかない?実は、2009年に毎日新聞社から刊行された辻原登さんの『許されざる者』上・下を読むようにと強く薦めてくださったのが大江先生で、たまたま大江先生がまとめ買いしていた著者サイン入りの本を頒けていただいたのが、今も私の書庫に収まっています(決して押し売りされた訳ではありません)。
 
 『許されざる者』の主人公・槇隆光が大石誠之助を下敷きにして造形されていることは間違いありませんが、同作はいわゆるモデル小説とかノンフィクション・ノベルなどというものではありません。


 ここは、作品論を語る場でもなければ、私にその資質もないので、是非作品そのものをお読みくださいと言うにとどめますが、それよりも重要なことは、私が、実在の大石誠之助の存在を知るに至ったのは、この『許されざる者』という小説を入手したことがきっかけだったということです。そこからさらに、「大逆事件」そのものに遡って調べるようになったのですから、「おくて」もよいところで、まことに恥ずかしい話ですが、事実だから仕方がありません。
 辻本雄一先生を招いた講演会を企画するきっかけになった映画『100年の谺 大逆事件は生きている』上映会のための実行委員会に参加することにしたのも、思えば『許されざる者』のおかげということになるので(大逆事件と和歌山(予告12/8映画『100年の谺 大逆事件は生きている』上映)/2013年10月16日)、ここでようやく、大江嘉之、辻原登、辻本雄一という、昭和20年に和歌山県に生をうけた3人の先達に導かれ、私が大石誠之助にたどり着いたという物語の、これがようやくオープニングです。その後の物語は、もちろん今も続いており、昨日と今日のブログも、その物語の一部を構成する挿話です。
 
 なお、この企画展「大石誠之助とはどんな人?」の会場となるのが佐藤春夫記念館なのですから、佐藤春夫と大石誠之助とのつながりについて一言すべきなのでしょうが、11月10日(土)のギャラリートークに申し込み、辻本雄一館長から直接解説を伺うのが一番でしょう。
 あと、2016年に刊行された山中千春著『佐藤春夫と大逆事件』(論創社)という本があることをご紹介しておきます(私は未入手ですが)。
佐藤春夫と大逆事件
山中 千春
論創社
2016-06

 
  最後に、佐藤春夫が大石誠之助刑死の衝撃から作った『愚者の死』という詩(「スバル」1911年3月1日発行所載)をご紹介しておきます。
 
(引用開始)
愚者の死
          佐藤春夫
 
千九百十一年一月二十三日
大石誠之助は殺されたり。
 
げに嚴肅なる多數者の規約を
裏切る者は殺さるべきかな。
 
死を賭して遊戯を思ひ、
民俗の歷史を知らず、
 
日本人ならざる者
愚なる者は殺されたり。
 
「僞より出でし眞實なり」と
絞首臺上の一語その愚を極む。
 
われの鄕里は紀州新宮。
渠の鄕里もわれの町。
 
聞く、渠の鄕里にして、わが鄕里なる
紀州新宮の町は恐懼せりと。
うべさかしかる商人(あきうど)の町は歎かん、
——町民は愼めよ。
教師らは國の歴史を更にまた説けよ。
(引用終わり)
 
※金原注 大石誠之助、幸徳秋水ら11人の死刑が執行されたのは1911年(明治44年)1月24日でした(管野スガのみ翌25日執行)。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/大逆事件関連)
2018年9月15日

大石誠之助を名誉市民に推挙するか否かを議論した新宮市議会の会議録(2017年12月21日)を読む

 2018年9月15日配信(予定)のメルマガ金原No.3270を転載します。
 
大石誠之助を名誉市民に推挙するか否かを議論した新宮市議会の会議録(2017年12月21日)を読む
 
 今年(2018年)の1月19日、和歌山県新宮市が、大逆事件の犠牲者である大石誠之助を名誉市民としたことは、私のブログでもかなり詳しくご紹介しました。
 
2018年1月22日
 
 もともと、2017年12月21日に開かれた新宮市議会12月定例会(最終日)において、大石誠之助を名誉市民とするよう市長に推挙する件が審議され、11対4の賛成多数で可決され、市長の判断に委ねられていたのでした。
 ブログを書いた時点では、まだ会議録が公表されていなかったため、比較的詳細に賛否の議論状況を伝えてくれていた地元紙・紀南新聞ONLINEの記事「大石誠之助を名誉市民に 改正条例に基づき推挙 市議会」にリンクした上で、私は、ブログの末尾にこういう所感を書きました。
 
(引用開始)
 いかがでしょうか。皆さんも、「是非正式な会議録を読みたい」と思われたのではないでしょうか。
 賛成するにせよ、反対するにせよ、「新宮市民の矜恃」をかけて、自らの信じるところを論じ合っている様子が、発言を要約した新聞報道を読むだけでも伝わってきます。私は、なまじ大した議論もないまま「全会一致」で大石を名誉市民に推挙する議案が議決されるよりは、このような討論を経て11対4の賛成多数で議決されて本当に良かったと思います。
 私は、地元の人間ではありませんから、普段の新宮市議会の様子には全く疎く、何とも評しようがありませんが、上に引用した紀南新聞の記事を読んで、つくづく自分の住む和歌山市の議会状況と比較しない訳にはいきませんでした。
 12月21日の議会には、「大逆事件の犠牲者を顕彰する会」の皆さんも傍聴に駆け付けたようですが、私たち市民1人1人が、議会における議論の状況に常に関心を注ぎ続けなければならないということだと思います。
 いずれにせよ、大石誠之助を名誉市民とした新宮市に深甚なる敬意を表します。
(引用終わり)
 
 さて、今日は、まことに遅ればせながらではありますが、その「正式な会議録」をじっくりと、全て読んでみようと思い立ちました。
 以下に該当部分を全文引用しましたが、全部読むには相当の時間がかかります。けれども、それだけの値打ちは絶対にあります。
 
 賛成討論をした議員が3人(提案理由を説明した上田勝之議員を含めれば4人)、反対討論をした議員が4人(この4人以外の議員11人の賛成多数で可決)でした。それぞれ、議員として、市民としての「矜恃」をかけて(実際にこの言葉を使った議員もおられます)自らの所信を議場で訴えるという(もちろん、会派の縛りなどなく)、当たり前といえば当たり前の光景なのですが、日本の国会審議を見慣れた者にとっては、まことに新鮮です。
 反対した4人の意見についても、得心や同意はできぬまでも、そういう立場もあり得るだろうと理解はできます。もっとも、最後に「絶対反対の立場から討論」された福田讓議員が述べる「日本は法治国家であり、たとえ明治憲法下の裁判による有罪判決であっても、現在の憲法下において再審を請求してもなおかつ有罪判決が覆ることができないならば、裁判の決定を遵守することが当然であります。すなわち大石誠之助先生を名誉市民に推挙する議案には、市議会議員としての矜持に基づき、断じて賛成することはできません。」は、さすがにどうかと思いますけどね。
 第一、刑事訴訟法上、「有罪の言渡を受けた者が死亡し、又は心神喪失の状態に在る場合には、その配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹」でなければ再審を請求できない上に(刑事訴訟法431条1項4号)、「開かずの扉」と言われる日本の刑事再審裁判の実態を踏まえれば、大逆事件の判決に義理立てすることに「市議会議員としての矜恃」をかけるのは筋が違うと思います。
 
 それでは、大石誠之助を名誉市民にするよう市長に推挙する議案について議論が闘わされた新宮市議会の会議録をお読みください。
 
平成29年12月新宮市議会定例会会議録 第6日(12月21日)
日程24.議員発案第2号 新宮市名誉市民の候補者の推挙について
(引用開始)
再開 午後1時00分
○議長(屋敷満雄君) 
 休憩前に引き続き会議を開きます。

△日程24 議員発案第2号 新宮市名誉市民の候補者の推挙について

○議長(屋敷満雄君) 
 日程24、議員発案第2号、新宮市名誉市民の候補者の推挙についてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。
 12番、上田議員。
 
◆12番(上田勝之君) (登壇)
 ただいま上程をいただきました議員発案第2号、新宮市名誉市民の候補者の推挙について。次の者を新宮市名誉市民の候補者として市長に推挙したいので、新宮市名誉市民条例第3条第2項の規定により議会の同意を求めるものであります。
 候補者の氏名は、大石誠之助(故人)であります。
 それでは、以下、提案理由を申し述べます。
 去る12月5日開会の平成29年12月定例会において、新宮市名誉市民条例の一部を改正する条例が松畑玄議員を提出者、前田賢一議員外5名の議員の皆さんの賛成者をもって提案され、賛成多数をもって可決されました。本改正条例は、議会からも2名以上の賛成議員が名誉市民に推挙する提案が可能となり、議会の同意を得て市長が決定するというものに改められました。思い起こせば平成21年12月議会で、前田賢一議員が一般質問で、大石誠之助を名誉市民にと取り上げて以来、平成22年12月議会で、私が新宮市名誉市民条例の一部を改正する条例を提案するも、賛成少数で否決。同じ12月議会で、大西強議員が一般質問で、大石誠之助を名誉市民にと訴えられています。さらに同年の12月議会、大石誠之助を名誉市民に推挙する請願が付議され、翌平成23年1月には、さきの請願に反対意見の請願が提出され、当時の市議会総務委員会でかんかんがくがく議論が交わされたことをついきのうのことのように思い出しつつも、今、本議案の提案、7年ほど前のことですが、まさに隔世の感がありますし、御審議いただける議員各位に感謝を申し上げます。
 さて、大石誠之助の功績は、皆さん方もよく御承知のこととは存じますが、いま一度ここで述べさせていただきます。
 まず、医師の倫理として人間としてのヒューマニズムを優先させ、医療費の無請求主義や、現在にも相通ずるような医療制度批判として無効の投薬を拒否することなど枚挙にいとまがありません。玉置真吉氏が熊野誌6号に、禄亭さんの回顧として、無請求主義は貧しい人々、特に被差別部落の人々には薬代すら取らず、他方、富裕層の人々には往診代は1回1円、薬代は倍額。抗議されれば、貧しい人たちに社会奉仕と思って私の請求どおりお払いなさいと納得させていたと記述されています。「現時の売薬なるものは、人の病を治することを目的とせず、専ら自己の利益のために営む商法と言うべし」と売薬官営論として誠之助自身が論じています。誠之助は、「貧者や青年を愛することが使命であり、その心を酌み取ることに努めている。この汚れたる社会の中にはまり込んだればこそ、貴族と富豪に憎まれ、平民を友とする身になったのだ。型にはまらず自由に考える人間となったのだ。僕は、ただこれを誇りとする」と牟婁新報に寄稿し、貧者と若者に背かないとする、終生その姿勢は変わらなかったのであります。
 また、情歌、都々逸や狂歌、狂句に通じ、特に情歌は、禄亭永升として宗匠となり、また家庭雑誌にも投稿、西洋風合理的な生活を説き、衣食住についても発言し、熊野実業新聞に寄稿した医師訪問録に、「人間は元来平等なもので、現在、仮に貧富、貴賤などという階級に分かれていても、それは今日の悪制度がもたらした一時の現象にとまるので、決して永遠のものじゃない。否、本来はやっぱり平等なのだから、人の上に人なし、人の下に人なしという考え方が各自の頭の底にしみ込んでいるので、今日は主として貧困の原因をなくさんがためにさらに力を尽くしているのだ」と述べています。
 このような誠之助の論は、今でいう民主主義や人道主義、人権意識に通じ、既に新宮市の名誉市民である佐藤春夫や西村伊作を初め、後世の新宮人に多大な思想的な影響や共感を与えました。
 私は、大石誠之助を名誉市民に推挙する意味を次のように考えます。そもそも名誉市民と大逆事件とは全く別のことであります。しかし今日、私たちは、大逆事件を抜きにして誠之助を語ることはできません。明治の末、日露戦争後、戦争の傷跡で国民の生活格差が拡大、戦争反対や平等を求める運動が高まりを見せる世相の中、国家によりフレームアップされ、多くの人々、多くの地域を巻き込んでいった国家犯罪が大逆事件であり、その中で全く実態のなかった紀州グループとして、郷土の誇るべき先覚者である大石誠之助をいり殺したのです。国家権力の悪行は恨んでも恨み切れるものではありません。ただ大逆事件で犠牲になられた方々とその家族たちに対し、私たちの父祖初め当時の新宮の住民は、石持って追うような仕打ちをしてしまいました。当時、まちの人々は、3人もの大悪人を出し、天子様に申しわけない。おわびしようと速玉大社の境内で集会を図ったりしています。また、役場では、我がまちの一大不面目であると議員や区長が集まり、新玉座において町民大会を開き、謹慎の誠意を示し、中学の教師には、国体や歴史について講演するよう手はずをとったりしています。
 時代が時代であったにせよ、このようなまちの空気の中、遺族の方たちは、どれほどつらい悲しみの日々を過ごしたのでしょうか。誠之助の妻と2人の子供さんは、沖野岩三郎の計らいで新宮を脱出し、東京のキリスト教施設に身を隠したそうです。高木顕明の妻と娘さんは追われるように新宮を出ます。徒歩でとぼとぼと名古屋までたどり着き、その後、娘さんは芸妓の置屋に入ったと言われています。峯尾節堂の妻、ノブさんは、結婚2カ月で離縁です。その年、若干15歳でした。ノブさんの身内は、彼女の行く末を案じ、人目を避け、身元を隠し、ふるさとの村から送り出したようです。これらの方々は何か罪を犯したでしょうか。もちろん大逆罪などとは何のかかわりもないのです。最もふるさとの温かさが人の情けが必要としたとき、人々は石を投げ、新宮のまちから追いやってしまったのです。失意の中、生まれ育ったふるさとを後にしなければならなかった奥さんや子供さんたちの心情を察するとき、私は万感胸に迫り、目頭が熱くなるのをこらえ切れません。
 NHKのラジオ放送、ふるさとの心では、誠之助だけにスポットが当てられていますが、ふるさとの心は、遺族の方にこそではないでしょうか。誠之助の兄、玉置酉久の子孫は以前、「私のところは玉置姓だったからこのまちで生きてこられた。大石姓であったならこのまちを出なくてはならなかった」とそのように言われていたそうです。私たちは石を持って追いやった側の末裔として幾ばくかの重荷を背負っているのです。
 作家の辻原登氏は、ある雑談の席上、「新宮市民が100年の桎梏から解き放たれるには、誠之助を新宮の顔にするほかあるまい」と述べています。ちなみに桎梏とは、手かせ足かせのことですが、けだし名言だと思います。誠之助に名誉市民の称号を贈ることは、ある意味、国家の非をただすことにほかなりません。中央より遠く離れた人口3万人足らずの小さなまちが新宮です。巨大な国家権力を前に国家の非をただす、これこそ新宮の矜持というものではないでしょうか。国家に対し物を申すということは少し勇気が要ります。でもその少しばかりの勇気こそふるさとの心であり、人の情けであるのであります。
 そして、新宮市が今、最も大切にしなければならないもの、それは何か。私は人権を守ることだと考えます。日本国憲法第10章最高法規の第97条、日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は過去幾多の試練にたえ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものであると規定し、人間が生まれながらにして持つ権利、天賦人権として明確化されています。さらに第3章国民の権利及び義務、第11条に、国民は全ての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として現在及び将来の国民に与えられる。第12条に、国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない。また、国民はこれを乱用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。第13条に、全て国民は個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とするとし、人権保障の基本原則を定めています。新宮市においても平成27年に新宮市部落差別をはじめあらゆる差別の撤廃に関する条例を制定し、人権と自由を尊重することを定めています。
 昨今、世上の空気は、この最も大切にするべき守らなければならないことが軽んじられているのではないか。私たちは、コンピューターやスマートフォンを通じてインターネットのあふれる情報に接し、さまざまな技術革新がもたらす劇的な社会の変化の中で、知らず知らずのうちにこの世上の空気に流されてしまっているのではないか。今こそ誠之助が主唱した自由と平等、人権と博愛、非戦と平和の大切さを紡いでいかなくてはなりません。その象徴として、民主主義や人道主義、人権意識を論じ、実践した先達である誠之助を今この時代に名誉市民に推挙する意味があります。
 私たちは、この議場において佐藤春夫作詞の新宮市歌を歌います。「山紫に水明く、人朗らかに情あり」です。来年3月議会の冒頭には、「情あり」を心を込めて歌いたいものです。人道主義者であった誠之助の目指した社会は、この「情あり」の社会であったと私は確信しております。議員各位皆様方の賛同をいただけますようお願いを申し上げ、私の提案説明とさせていただきます。
 
○議長(屋敷満雄君) 
 本案について質疑に入ります。
 8番、辻本議員。
 
◆8番(辻本宏君) 
 今回も新宮市の名誉市民、大石誠之助氏の御推挙なんですけれども、大石誠之助さんというのは、もちろん子孫がいらっしゃいます。その子孫の方々のお気持ちというのはどうあるのか。名誉市民を条例では記念品、表彰状を贈呈するというふうになっていますので、その点はいかがなんでしょうかね。この大石誠之助さんには、もちろん子供さんやお孫さんがいらっしゃる。今、一通り説明いただいたんですけれども、そこにはちょっと触れていなかったように思うんですけれども、これ現実論の話として私、申し上げているんですけれども、どうですか、上田議員。
 
◆12番(上田勝之君) 
 大石誠之助氏の係累の方たち、あるいはお孫さんやひ孫さんの方たちに対するコンタクトというものは、現在この議案が同意をいただけるのであれば、コンタクトをとって御説明をさせていただきたいというふうには考えております。ただ、記念品を受け取る、あるいはその称号をお受け取りになる、それは私は墓前に報告であってもよいんではないかと。もちろんそういった御遺族の方々のお気持ちも当然の勘案されるところではありますが、新宮市としてこの考え方を持った大石誠之助氏を名誉市民にするということに尽きると思います。
 
◆8番(辻本宏君) 
 これまで名誉市民の方、10人いらっしゃいます。これまでのあり方ですけれども、いろいろなパターンはあるでしょうけれども、子々孫々、子供さん、お孫さんがいらっしゃる。その方のどなたかがそういうふうな形で受けていっていると思うんですよ。だから非常にこれ大事なことだと思いますので、ただそこが私とちょっと意見の違うところだと思うんですけれども、先にその記念品、表彰状を受け取る、まず第一に大事に考えないといけないのは子供さんとかお孫さん、そこを整えてからこの議案とすべきではないかなというふうに思います。その点いかがですか。
 
◆12番(上田勝之君) 
 確かにその辻本議員のおっしゃられる考え方も確かにあるとは思います。そういった中で遺族の方々、特に直系の遺族の方々を追い求めていく、そこで新宮市として、じゃ、どうしていくかというあたりをしっかりと考えた上で、私が考えますには、まずこの議会で同意をいただいた上で、その直系の方々やあるいは係累の方々にコンタクトを、議長やあるいは最終決定権者である市長等々が相談をされる中でしっかりとコンタクトをとっていく、そういったことも一つの手法ではないかと。そこは辻本議員言われるように、卵が先か鶏が先かのところに論じられるかもしれませんが、現在ではそのように考えております。
 
○議長(屋敷満雄君) 
 4番、大石議員。
 
◆4番(大石元則君) 
 先ほどの提案理由を伺っていて、本当に感銘いたしました。ただ思いますのは、その当時であれば同じ姓を受けた大石として、誠之助さんのことがあった当時は石を持って追われた立場の自分ではありますが、今、上田議員のおかげで、同じ大石として、私流でございますが、名誉市民に推挙されているような気分にもなっておりますので、お礼申し上げたいと思います。かれこれこれまでに上田議員は何年、大石誠之助さんのことで御研究をされてきたんでしょうか。
 
◆12番(上田勝之君) 
 門前の小僧ですので10年余りでございます。それほど研究というほどではございませんが、詳しい方々のお話を伺ったり墓参をさせていただいたりということを行動させていただいています。
 
◆4番(大石元則君) 
 残念ながら、私は同じ大石なんですけれども、誠之助さんに関しては、ごくごく最近研究を始めたばっかりでございますので、ぜひこの機会に上田議員に教えを請いたいと思いますので、たくさんある中で3点ほどお伺いしたいと思います。
 大石誠之助氏の人柄といいますか考えましたときに、私のように見かけは大きいんですけれども、きめ細かく感情豊かな持ち主であったのか、はたまたお見受けいたしますに上田議員のように大志を抱き、なおかつ日々研さんを積まれた方だったんでしょうか。その点についてお伺いいたします。
 
◆12番(上田勝之君) 
 何と言いますか、私自身はそんな大層なあれではないんですけれども、その大石議員が御質問された大石誠之助像というのは、両方実はあるんではないかと。おっちょこちょいな側面もあったり、いろいろとお騒がせをしたりしたこともあるようですけれども、そのこと、医療の道でありますとかそれは、あるいは貧者や青年やそういった方々に対する熱い思いといいますか、そういった信念というものは非常に貫かれておったし、そのために研さんを積まれたものだと、両面あったのではないかと私は考えています、感じています。
 
◆4番(大石元則君) 
 今回のことでちょっと気がつきましたんですけれども、私たちは議員であります。議会の立場で二元代表制、常々考えた上で行動してしかるべきなんですけれども、今回、名誉市民を選定するに当たり、まず推挙する方法に関して今回、議員提案でもって自分たちも推挙できるようになりました。その条件として12分の1の議案提出の基本を踏まえた上でなされているんですけれども、なおかつこの後、議論の後、採決に入ったときに過半数で決められます。果たして名誉市民を選定するときに、この条件で果たしてふさわしいのだろうか、その点についてちょっとお伺いしたいと思います。
 
◆12番(上田勝之君) 
 これまでも以前の平成22年当時もその御意見を賜りました。市民全体あるいは市議会が満場一致で名誉市民とする、そのことは本当に望ましいことではあります。ただ、ある面、この大石誠之助は、100年前の人物でもございます。そういった中でこの名誉市民という称号を贈ることに皆さん方の間でも、あるいは市民の皆さん方の間でもいろいろと意見が分かれることは、これはやむを得ないのではないかと。ただ、誠之助が唱えた、先ほど私が申しました人権意識や自由と平等、あるいは人権と博愛といったような主義主張は、特に現在でこそ光るものがあるのではないかと、その点をしっかりその考え方を受け継ぐことを名誉市民にしていくことが大事なのではないかと、そういったことが皆様方いろいろ議論が分かれて議論が行われることは、私は実は望ましいことだと思っております。一色に染まることばかりが満場一致になることばかりがいいことではないと思います。ただ、名誉市民の場合は、大石議員おっしゃられるように、満場一致が望ましいのかもしれません。ただ、相当先人でもありますので、そのことについて名誉市民の是非論というのは多分、意見も分かれるところではないかと私は思っております。
 
◆4番(大石元則君) 
 激論あってしかるべきだと思いますので、そのように対処したいと思うんですけれども、あと1点、幸いにも辻原登先生のお話をじかにお伺いすることができました。その中で吉田松陰の名前が挙がっておりました。ある意味、大石誠之助さんもそのような歴史の中で貢献されたのではないかという話だったように思います。果たして吉田松陰さんは、地元の皆さんから名誉市民的なことで認定されているのでしょうか。市民がそういうふうに名誉市民として推挙されているのでしょうか、実際。
 
◆12番(上田勝之君) 
 申しわけありません。萩市で吉田松陰が名誉市民に推挙されているかどうかは、名誉市民という称号を贈られているかどうかについては、私、存じません。ただ、辻原登さんが吉田松陰と対比して大石誠之助を語っていただいたこと、それは当時の志を抱く青年たちに多大な影響を与えたという点が一致しているというふうに私は受け取りました。
 
◆4番(大石元則君) 
 そういった面で名誉市民に推挙する段階においていろいろ考察していく中で、私的には名誉市民という私自身のイメージとしては、皆さんから尊敬され愛される人物像を描いているんですけれども、上田議員はどういうふうな。
 
◆12番(上田勝之君) 
 大石議員がおっしゃられるとおりでありまして、皆さんから愛され、また市民の皆さんから尊敬を集める、それに大石誠之助は十分値する人物だと私は考えております。
 
◆4番(大石元則君) 
 どうもありがとうございました。
 
○議長(屋敷満雄君) 
 1番、北村議員。
 
◆1番(北村奈七海君) 
 1点だけ、質問させていただきます。
 大石誠之助さんを名誉回復し、名誉市民にという動きの背景には、高知県の旧中村市、現四万十市の幸徳秋水を顕彰する会の動き、流れの影響があったのかなというふうに大石誠之助を研究していく中で思いました。同じ大逆事件の犠牲者というくくりにはならないとは思っているんですけれども、四万十市の方にお聞きした中で、幸徳秋水は名誉回復の決議は、旧中村市議会のときにされたそうです。そして、名誉回復も行ったので、幸徳秋水の刑死100周年の記念事業として平成23年には、四万十市内で関係団体、住民団体が集まって事業も行ったそうです。それは決議が出されたのは平成12年ですので、10年近くたってからのことにはなるんですけれども、私が一番お聞きしたいのは、四万十市議会の決議は確かに出されて、新宮市議会も名誉回復の決議は出されている、そこまでは同じです。ただ、四万十市のほうは、幸徳秋水を名誉市民にしましょうという動きがあったんですかという問い合わせに対しては、そういった動きはこれまでになく、そしてそういった話も市の中でも議会の中でも特にはなかったというふうに聞いています。同じような流れ、同じような運動といったものを経ながら、新宮市ではどうしても名誉市民にしないといけない、そこの点に関して、四万十市とはどの部分が一番違うと思われますか。
 
◆12番(上田勝之君) 
 ほとんどが違うと思いますが、四万十市への幸徳秋水を顕彰された皆さん、あるいはこの地で紀州グループと言われた6名を顕彰する皆さん、あるいは岡山県の井原市で森近運平さんを顕彰されている方々、あるいはこれは熊本やそのほかにも各地にそういった団体があります。それはおのおの刺激はし合うかもしれませんし、切磋琢磨という言い方はおかしいですね。刺激をし合ってどういう運動を進めていくかというのは、その土地その土地、あるいはその人物に対する思い入れ、そういったものが全て同じかといえば、そういう同一歩調をとるものではないと私は考えます。そういった中で幸徳秋水は、もっと思想家ですよね。大石誠之助は、この地で自由と平等と人権意識を説いた先覚者です。その考えを後世に伝えるために名誉市民という称号を贈り、広く後世に伝えていく、この考え方を伝えていくことこそが私たち新宮市議会、そして新宮市の使命ではないかと私は考えています。だから四万十市と同様の動きである必然性は何もないと思います。
 
◆1番(北村奈七海君) 
 わかりました。
 以上です。
 
○議長(屋敷満雄君) 
 11番、濱田議員。
 
◆11番(濱田雅美君) 
 提案者に一つお伺いします。大石誠之助氏に関しましては、市民の皆様がいまだ理解を得ていない、または大石氏自体を知らないという方もいらっしゃると思います。その点で大石誠之助氏の顕彰を今後どのようにお考えでしょうか。
 
◆12番(上田勝之君) 
 たしか平成22年当時も市民の皆さんの御意見というのは、名誉市民にすべき、あるいはそうでない、それはちょっと違うんじゃないの、あるいは全くわからないと、知らないという方もたくさんいらっしゃいました。それは当時の状況と比べて、じゃ、今その理解が進んだのかといえば、確かに濱田議員の御指摘のように、まだまだ知られていない方もいらっしゃいます。
 そういった中では、これは先ほどの辻本議員の御遺族の方の質問のときにも使わせていただいた比喩ですけれども、卵が先か鶏が先かではないですけれども、市議会や市当局がしっかりと今後この名誉市民という称号を贈った後、広く市民の皆様、あるいはこれを全国発信していく、そういったような特にこの誠之助の考え方を市民の皆さんに御理解をいただけるよう啓発、啓蒙に努めていく、そういったことをするために、この名誉市民が皆さんの同意をいただけて名誉市民になれば、一層取り組んでいくということが必要だと私も考えております。
 
◆11番(濱田雅美君) 
 この議案がもし可決され、そして名誉市民として推挙した場合には、議会に本当に重大というか大きな責務が生じると考えております。その際、その重大さを本当に重く捉えて、私たちこの新宮の歴史の一つとして大石誠之助の研究を重ね、また市民にしっかりと顕彰していく必要が本当にあると考えておりますので、この場をかりて再度重ねてお願いしておきたいと思います。
 
◆12番(上田勝之君) 
 ありがとうございます。しっかりとこの議会で本議案が同意をいただけて名誉市民にという称号が贈られることになれば、これは私ども市議会、今、濱田議員もおっしゃっていただいたように、市議会としても推挙したという大きな責務を負います。また、新宮市としても名誉市民として、そのことをしっかりと広く市民の皆さん、あるいは次世代の皆さんにしっかりと紡いでいく、そういった努力を傾注してまいりたいと考えています。
 
○議長(屋敷満雄君) 
 質疑。
     (「なし」と呼ぶ者あり)
 
○議長(屋敷満雄君) 
 質疑を終わります。
 お諮りいたします。
 議員発案第2号は委員会付託を省略することに御異議ありませんか。
     (「異議なし」と呼ぶ者あり)
 
○議長(屋敷満雄君) 
 御異議なしと認め、よって議員発案第2号は委員会付託を省略することに決定いたしました。
 本案について討論ありませんか。
 反対は。
 8番、辻本議員。
 
◆8番(辻本宏君) 
 思い起こせば今から16年前、平成13年に当時の佐藤市長からの提案で、この市議会において大逆事件に連座したとされる地域の6名の人たちの名誉回復宣言を全会一致で行っています。これは当局の皆さんも御存じかと思うんですけれども、このとき私も賛成討論をいたしました。今回、名誉市民候補として推挙している大石誠之助氏の人柄から、歴史的に残してきた行いは大きなものがあります。冤罪事件と言われる大逆事件を顧みれば、この地域で大石誠之助氏1人だけではなく、ほかにも社会に貢献していた人やこれからの活躍を期待されていた人が処刑され獄死、獄中で亡くなった人がいます。今回2度目の議会からの発案でありますが、以前このことに詳しい人に意見を伺いました。100年以上も経過した今、この6人の人たちの功績を考えると、大石誠之助氏だけを名誉市民とするよりは、今のままで歴史的、社会的な史実として人として崇高な精神哲学を後世に学んでもらうために、故人の功績や善行をたたえ、これからも続けて世間一般に広く知らせていくのが賢明であると思います。
 我々第三者の人たちだけで名誉市民に推挙したとしても、これ先ほども申し上げましたけれども、遺族、親族の方々は、これまでの時代の積み重ねの中で名誉市民となると複雑、割り切れない思いがあるのではないかと感じます。遺族、親族を尊重して、まず気持ちを伺ってから推挙すべきだと思います。名誉市民としての記念品を贈呈、表彰する相手先が定まってから議案として提出するのが道理にかなったやり方ではないでしょうか。また、これまでの名誉市民になられた方は、日本の文化に多く貢献して功績のある方々や、郷土の政治・経済・教育で活躍され大きな実績を残された方々で、時の市長から推挙され、議会も議員全員が同意して名誉をたたえ、その功績を表彰しているものであります。よって、市民、議会で賛成、反対の入り混じった中、市民の誰もが自然と納得されてこそ名誉市民ではないでしょうか。
 また、最後になりますが、市民全般に及ぶ政策については、議会の二元代表制による提案が望ましいと思われますが、名誉市民など人物を推挙することは、やはり市長の権限、選任の担当事務であり、市長が推挙し、議会が同意するのが本来の姿であると考えますので、この議案に対して反対します。
 以上です。
 
○議長(屋敷満雄君) 
 賛成討論はありませんか。
 5番、松畑議員。
 
◆5番(松畑玄君) 
 大石誠之助を名誉市民に推挙することに賛成の立場で討論させていただきます。
 大石誠之助の妻が昭和27年に亡くなりますが、亡くなるその1年前にお世話になった牧師に次のような手紙を書いております。「あれは秋水を首謀者に祭り上げ、時の軍閥という悪魔が後ろで画策していたものにほかならない。これは知る人ぞ知ることでありましたが、知らない人たちが薄気味悪がって私どもを見ておったのであります。それは何とか汚名をそそいでほしい。一生のお祈りですが、こちら側から騒ぎ出すことはないと思います、自然に世の人が真実を知ることになっているでしょうから。今ごろになって騒々しく人の話に乗せられることを好みません。政府のまいた種は政府みずからが刈り取らなければなるまい。既に軍閥は滅び、敗戦国になった哀れな日本ですけれども、これからよく立ち上がってまいりますから、もう少し世の中の成り行きを見てみたいと思います」。時の政府の捏造した事件により、大石を失った熊野の損害は大きい。西村伊作、佐藤春夫、中上健次に大きな影響を与え、ほかの名誉市民の何人かは大石の影響を受けております。まさにその時代の熊野を代表する人物の一人であることに違いなく、現代社会では当たり前ですが、自由、博愛、平等、非戦、福祉などの問題を明治時代に訴えた先覚者であります。不安定な国際情勢、世界全体がいつか来た道に戻っているのではないか、日本も例外ではないのではないか。今回、大石誠之助を名誉市民に推挙することは、ゆがみつつある日本に一石を投じ、警鐘を鳴らし、大石の唱えた自由、博愛、平等、非戦を再確認し、熊野新宮から発信する絶好の機会であります。
 最後に、数年前、新宮市市政功労者で新宮市にも貢献されました林雅彦明治大学名誉教授の御講演でおっしゃった言葉が頭から離れません。「時代の転換期には、いつも熊野が登場する。神武の統制、源平の合戦等、歴史が動くとき熊野であります。日本が変わるとき熊野が変わる、熊野が変わるとき日本が変わる」、この言葉を御紹介させていただきまして、私の賛成討論とさせていただきます。
 
○議長(屋敷満雄君) 
 反対討論はありませんか。
 1番、北村議員。
 
◆1番(北村奈七海君) 
 反対の立場で討論を行います。
 まず、しかし前提として大石誠之助に関しましては、できる限り私も資料を読み込みました。同僚の議員にお借りした書籍、そして新宮市立図書館に行きまして本をこちら読ませていただきました。そして、新宮市立図書館には2階に地域資料を保管してある部署がありますが、そちらにも行って、新宮市で市民団体の方がどのような活動をされてきたか、また名誉回復の決議をされた経緯なども新聞のスクラップとしてとってありますので、そちらも目を通せる限りは通してまいりました。ですので大石誠之助の行ったとされる功績につきましては、議案の提案があったとおり一定の理解をしているつもりです。
 しかし、私が今回反対の立場をとるには、もちろん理由があります。それは私自身の周囲には、大石誠之助を名誉市民とするのはもう少しゆっくりと時間をかけて市民の方に彼の功績を浸透させてからでも遅くはないのではないかという意見が多く聞かれるからです。これはもちろん先ほど提案者の上田議員が言われたとおり、鶏が先か卵が先かという話になるのかもしれません。その意味で言えば、私と提案者、そして賛同議員の皆さんとは立場を異にするのかもしれません。
 議員には二つの役割があると考えます。一つは、自分自身の主義主張を行って市民の方の共感を得て市政に参加すること、もう一つは、市民の方の代弁者であるということです。今回の件についてもちろん満場一致で賛成となれば、それが一番望ましいです。しかし、市民の方の代弁者ということを考えましたら、私がお話を聞いた市民の方、なかなか反映されにくい声かもしれませんが、その方の声を反映して今はまだ時期尚早ではないかと考えておられる方もいるということを示すことも私の役割かと考えます。もちろん私が調べて読んだ書籍、そしてほかの自治体への問い合わせなどを含めて、大石誠之助について議会内でもより深く議論をしていけたら、そちらのほうがより望ましいと私は考えます。もう少し時間をかけて議論すべきではないか、そして議会の中で共通見解をつくりながら、市民の方へも大石誠之助の功績を浸透させていく、そういった蓄積がさらに必要だと考えています。
 これまでずっと活動されてきた方からすれば、どれだけ時間をかければいいのかという考えもあるかもしれません。しかし、先ほど同僚議員の方からも質疑があったとおり、まだ大石誠之助のことを御存じない方もおられます。功績のことを正しく御理解、浸透し切れていない部分もあるかと思います。ですので、以上の考えからもう少し時間をかけていきたい、議会としてはそのようにすべきであるという理由から反対させていただきます。
 以上です。
 
○議長(屋敷満雄君) 
 賛成討論。
 3番、杉原議員。
 
◆3番(杉原弘規君) 
 まず最初に、名前の敬称を省略させていただきます。
 私は、この11月6日に議会内での勉強会、このことをきっかけに私なりに大石誠之助の功績について勉強をし始めました、させてもらいました。まだまだ勉強不足ですが、その功績が少し見えてくるようになりました。これまでは大石誠之助の名誉市民のことに対し、貧しい人たちからはお金をもらわなかったというそういう一面からの狭い視野でしか捉えていなかったのであります。大石誠之助の功績、例えば新宮鉄道の継承、川下げ税反対、いかだ師がいかだで流してきた材木に税金をかけるという動きに対して、大石誠之助は反対の立場で頑張ったと言われています。私立総合病院の設立の提唱、これは現在の新宮病院だそうであります。特に女性の人権侵害から人権を守るために公娼制度、昔、子供のころ遊郭と言ったのを覚えています。この制度を廃止させる問題など、この明治憲法下のもと、治安警察法によって社会主義運動を初め労働組合、農民運動、婦人運動などが極端な制約を受けていた時代に地元新宮のことを批評しつつ、社会全体のことを革新的立場に立って大石誠之助は論じてきたことを知ることができました。
 新宮町時代の当時、熊野新報改革派と言われたそうであります。熊野実業新聞実業派によって新宮での政争が二大地方紙の中で論じられ、大石誠之助は改革派の側から論陣が張られたようであります。町長や県会議員をめぐる問題、中学校や高等女学校の教育や制度に関する問題などなど、当時、大石誠之助の行ってきた論陣は、現在の憲法、国民主権、平等、平和主義、人権尊重、議会制民主主義の基本原則から見ても相通ずるものがあると思います。私は、特にここ5年の間に日本の政治は2013年の特定秘密保護法、2015年の安保法制、戦争法、2016年の盗聴法、通信傍受法などで国民の言論を封殺し、2017年、ことしの戦争する国づくりの集大成としての共謀罪など、安倍政権の暴走を見ると、大石誠之助が冤罪で処刑されるまでに追い込められた時代、この時代とかなりの共通点があると思わざるを得ません。その立場に立ってみれば、大石誠之助を名誉市民に推挙し、大石誠之助の功績をもっと市民に広げることは、日本を戦争する国にさせない上においても意義あるものと考え、大石誠之助を名誉市民に推挙する議案に賛成をします。
 最後に、名誉市民という課題は全会一致が望ましいところであることを申し述べて賛成討論といたします。
 
○議長(屋敷満雄君) 
 反対討論はありませんか。
 4番、大石議員。
 
◆4番(大石元則君) 
 同案に対し、反対討論を行います。
 私は、大石誠之助氏の業績を否定するものではありません。彼が彼の人生を全うすることができていれば、既に新宮市の名誉市民になっている西村伊作氏や佐藤春夫氏以上の功績を上げたものと思います。しかし、残念なことに大逆事件の首謀者の一人にされてしまい、道半ばで処刑されております。確かに大石誠之助氏を名誉市民に推挙することは大切なことであると思います。しかし、もっと大切なことは、ドクトル大石の本当にやろうとしたことを今残された自分たちが継承し、今の新宮市をもっと潤いのあるまちにするために汗をかくことだと考えます。さらにこの5日の12月議会の開会において、名誉市民の選定方法の改正を行いました。間を置かず今、議会の閉会に当たり、大石誠之助氏を名誉市民に推挙する議案が提出されております。この間、17日間、大石誠之助の実情にどれだけ迫られたか、私自身、疑問であります。大石誠之助が名誉市民を本当に望んでいるのか、これを知るためにもう少し時間が必要であります。よって不徳のいたすところですが、推挙するのを見送らざるを得ないと考えます。私は同案に反対いたします。
 
○議長(屋敷満雄君) 
 賛成討論はありませんか。
 17番、大西議員。
 
◆17番(大西強君) 
 本案に賛成の立場で討論を行います。
 まずもって僭越ではありますが、レジェンドとして大石誠之助先生の敬称は省略させていただきます。
 さて、大石誠之助の辞世の句と言われる中に、「我がむくろ、煙となりて果てしなき、かの大空に通いゆくかも」という短歌が残されております。私はこれに近年、秋川雅史という歌手が歌って大ヒットした歌謡曲、千の風になってという歌があるのですが、その歌詞の中に、「私のお墓の前で泣かないでください、そこに私はいません、死んでなんかいません、千の風に千の風になってあの大きな空を吹きわたっています、千の風に千の風になってあの大きな空を吹きわたっています」と歌っているのですが、この歌を聞くたびにこの大石誠之助の「我がむくろ、煙となりて果てしなき、かの大空に通いゆくかも」の辞世が「我がむくろ、煙となりて果てしなき、あの大空を吹きわたっています」と重なってしまうのであります。大石誠之助は、修めた医術をもって、ふるさとの人々に貴賤を問わず仁術を施し、青年に新しい文化、思想を啓蒙し、人権擁護、非戦を説いて市民生活の向上に尽力していたものを何らのとがもなく国家権力によって理不尽な弾圧を受け、犯罪者として処刑された。その無念と悲惨な最期を思うとき痛恨の極みでありますが、この歌の歌詞のとおり、大石誠之助が「私の墓の前で泣く必要はない、私はそこにはいない、死んでなんかいない、あの果てしない大きな空を吹きわたっているのだ」と言っているように感じるし、そう思うことで少しは気持ちが安らぐのであります。
 そして今、100年たった後も我々郷里の後輩がこうして大石誠之助の冤罪を恨み、その遺徳をしのんで名誉を回復した上、名誉市民として顕彰しようと活動していることこそ、大石誠之助がよみがえり、生きているあかしであると思えるのであります。
 私は、1944年、昭和19年1月25日、太平洋戦争の真っ最中に生まれたわけでありますが、その翌年の8月15日に終戦となり、1947年5月3日に平和憲法、民主憲法と言われる現日本国憲法が施行されたのであります。大石誠之助が犠牲になった旧大日本帝国憲法のもとで生まれた私ですが、敗戦の結果において制定された新憲法であるこの日本国憲法に守られ、以後70年余りにわたって平和で自由で人権を保障された幸福な生活を享受してきたのであります。しかし、この平和、民主憲法は、さきの太平洋戦争で350万人とも言われる国民の犠牲のもとに我々国民が勝ち得たものであります。さきの原子力発電所までも破壊された東日本の大震災による犠牲者や被害と太平洋戦争のそれを比較するだけでも人が起こした戦争の犠牲、損害ははかり知れないものではありませんか。ちなみに東日本大震災の死者、行方不明合わせて約2万4,000人と言われています。これを太平洋戦争の350万人と言われる犠牲者と単純に比較して、その恐ろしさを実感していただきたいのであります。
 果たしてこの太平洋戦争は、非戦平和、市民生活の向上を唱えていた大石誠之助が処刑された1911年からわずか30年後の1941年に勃発しているのであります。結局敗戦し、膨大な人的被害、産業、経済、国土の荒廃を招いたのであります。しかし、その後に新しく制定された日本国憲法のもとで我々国民が歩んできたこの70年余りの日本の政治、経済、教育、文化の発展の歴史をよくかみしめてみるべきではありませんか。
 翻って70年余りにわたってこの日本国憲法のために何らかの不利益、犠牲をこうむった国民が一人でもいるのでしょうか。私は、この70年余りの人生を振り返り、また自分の性格などを反省するたびに、いつも大石誠之助の時代に生まれていたとしたら到底人生を全うすることはできなかったであろうと背筋が凍りつくような思いにかられるのであります。それと同時に、現在の平和で民主主義の時代に生まれたことをつくづく感謝しながら人生を送ってきたのであります。
 しかしながら、現在、憲法の改正が政治問題となっておりますが、改正の賛否についてアンケート調査をすると、19歳から30歳までの年齢層の賛成割合が最も多く、我々70歳代以上になるほど反対意見が多くなっているのが実情であります。なぜそのような結果になるのかについては明らかではありませんか。我々70歳を超える人々は、戦争の悲惨さを直接体験しているか肉親を戦争でなくしたり戦後の貧しい生活を経験しているなど、戦争の恐ろしさ、愚かさを知っているからであります。しかし、若い世代はその経験がないのであるから、今の平和で自由、平等、人権が保障された社会が当たり前になっているからではありませんか。しかし、そのこと自体、今の日本国憲法の恩恵ではありませんか。憲法第97条に、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は過去幾多の試練に耐え、現在及び将来の国民に対し侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」と規定しているのであります。まさに大石誠之助先生方先覚者の自由獲得の努力と犠牲のおかげで現代の我々が享受しているのであります。ゆえにその遺徳に報い、これを後世に伝えていくことが我々世代の使命であると決心しているところであります。
 ところで大石誠之助の名誉市民推挙について、社会主義者であったと思想的な違和感を持って反対意見を主張する人がいます。このことについてですが、私は子供のころ、父親がこの大石誠之助の名誉回復の先覚者と言われる元新宮市立図書館長の濱畑栄造先生が経営していた会社の従業員であった関係で、中学生のころから濱畑先生の漢文塾に通っていましたので、そのころから大石誠之助の話を聞かされていたのであります。と同時に漢文の授業で孔子、孟子などの思想を習っていたのであります。そういうわけで私は、四十数年前に昭和50年、市議会議員に立候補したとき、政治理念を孟子の説く、仁義をバックボーンにしたのであります。孟子は、政治の根本は仁義、すなわち博愛と正義である。真の国家発展の道は仁義によるべきであると、武力による政治を排撃し、戦争をいさめ、民のごときはすなわち恒産なくんばよりて恒心なしと庶民生活の安定と人権尊重を政治の基本とし、また惻隠、羞悪、辞譲、是非すなわち仁義礼智の四端を広め、充実させることこそが国を豊かにし、平和に治めることができると説いているのであります。このことからも、社会主義者であると一口に言いますが、人それぞれ概念が違うのであります。孟子は、恒産なくんばよりて恒心なし、すなわち貧困にあえいでいる庶民に道徳心を守れと言っても無理である。正しい心をなくした庶民が悪事を働くようになるのは当然である。悪事を働いたからといって捕らえる前に貧困をなくすことが政治を行う者の責任であると、国を治めるには、まず庶民生活の安定が大切であると説いているのであります。
 実に大石誠之助の生き方、活動は、この孟子の教えを体現、実践していたのであって、言うところの君子、すなわちすぐれた教養と高い徳を備えた立派な人物であったと思うわけであります。この大石誠之助を名誉市民に推挙することは、国民、市民が日本の近代史、熊野地方の近代史に関心を持ち、研究が活発になり、専制政治、軍国主義の怖さ、比較して現代の平和、自由、平等、人権尊重社会の価値などについて再確認し、感謝するとともに、決して過去の不幸な時代に逆戻りさせない覚悟を醸成するための契機となり、教育、文化の振興についてもはかり知れない意義があると考えるのであります。また、人権擁護都市を宣言している私たち新宮市は、名実ともに人権を最もたっとぶまちであり、市民であることの誇りを内外に発信できると信じるところであります。本案が満場一致で採択されることを切に祈念し、賛成意見といたします。
 以上。
 
○議長(屋敷満雄君) 
 反対討論はありませんか。
 7番、福田議員。
 
◆7番(福田讓君) 
 私は、本議案に対して絶対反対の立場から討論を行います。
 我が国の地方自治体は、市民から選挙によって選良される市長と市議会議員が間接民主主義の最重要性を認識し、その信念のもとに市の発展と市民の福祉向上に努めることが責務であります。それゆえに二元代表制と称されるところであります。市長は、治世者として市政を担当する責務を負い、市議会は、市長の政治を監視し、市長に対して提言と提案を行い、予算等を議決する議決権を持っております。さらに地方自治法第112条に基づき、議員の議案提出権があります。
 今般の議会初日に議員が6名の賛同議員を得て、新宮市名誉市民条例の一部を改正する条例案を発案し、討論の結果、賛成12名、反対3名で可決されました。内容は、名誉市民条例第3条第1項にある、市長が名誉市民を推挙し、議会の同意を得て決定することができる現行条例に、第2項として名誉市民の決定に関し、議会の議員は2人以上の賛成議員があるときは、あらかじめ議会の同意を得て市長に名誉市民の候補者を推挙できるものであります。すなわち議会の決定は全会一致か多数決原理に基づく民主主義決定の合議体であります。今般の議案提出は、名誉市民条例の一部改正の可決に伴う議員からの大石誠之助先生を名誉市民に推挙するものであります。
 7年前にも大逆事件の犠牲者を顕彰する会の方々から、大石誠之助先生を名誉市民に推挙していただきたいとの請願書が提出され、当時の議会において僅差で否決されました。さらに2人以上の賛成議員が名誉市民を議会に推挙し、議会の同意を得て市長が決定するという条例改正案も僅差で否決されました。
 本定例会で議会制民主主義、多数決に基づいて可決された名誉市民条例の一部改正の第3条第3項では、市長は、議会において推挙された者が名誉市民として適当と認めたときは、第1項の規定にかかわらず決定することができるというものであり、名誉市民の最終決定権限は市長に委ねるものであります。
 本議案の趣旨は、大石誠之助先生を名誉市民に推挙するものでありますが、果たして大石誠之助先生の生い立ちから亡くなられるまでの経歴をどれだけの市民が熟知されているでしょうか。私が推察するところ、さらに市民の方々に大石誠之助先生の人物像をお尋ねしても、ほとんどの方々は認識されていないのが現状であります。名誉市民の原点とは、その人物が広く市民に知れ渡り、市民の誰もが納得し、市政の発展と社会福祉の向上、産業の発展・振興、学術・文化・スポーツの興隆に貢献され、さらに市民が郷土の誇りとかつ尊敬に値すると認められる人物でなければならないと考えております。
 大石誠之助先生は、新宮市でも特に裕福な家庭で育ち、学問にも優秀で、明治17年に大阪の小野医師の書生として住み込み、その後、同志社英学校、東京の神田共立学校で英語を学び、明治23年、アメリカ合衆国に渡り、オレゴン州立医学部へ入学され、明治26年にオレゴン州ポートランドで医院を開業いたしました。その後、カナダのモントリオール大学で外科を修得され、コロンビア州スティーブストンに移り、開業いたしましたが、家庭の都合で明治28年、新宮市に帰郷されました。明治29年、仲之町でドクトルおおいしという看板を掲げ開業をいたしました。アメリカ帰りの新しい医術が光っている上に、患者にはいたって物優しく、貧しい人々に対しても極めて気安く診察され、さらには診察料も薬代も積極的には請求しないというので庶民の間ではたちまち有名となり、一種の信仰的存在となりました。明治32年、シンガポールに渡り、植民地病院にてマラリア病を研究し、さらに伝染病学研究のためにインドのボンベイ大学に留学をされました。このインドで見聞したカースト制度が大石誠之助先生に差別について深く考えさせるきっかけとなり、社会主義へ近づかせることとなりました。翌年、病気のために新宮市に帰郷し、船町で再び病院を開業されました。このころより地方新聞に文芸作品及び社会主義的評論を投稿するようになりました。
 その後、明治37年、平民新聞のシンパとなり投稿を始め、反戦論を主張するようになりました。さらには非戦論を牟婁新報などに寄稿するとともに、社会主義を標榜する堺利彦、幸徳秋水らと交流し、資金援助をするに至っております。明治43年、大逆事件が発覚。共同謀議の罪で大石誠之助先生も起訴され、明治44年に処刑されました。若干43歳でこの世を去りました。大石誠之助先生を語るとき、時は幕末の時代から明治の社会へと変革する文明開化の波とヨーロッパ列強国と戦うために富国強兵、尊王攘夷の向かっていた時代であります。幾多の国難を乗り越えるとき、吉田松陰、高杉晋作、伊藤博文、山縣有朋などを生み、その結果、明治天皇を頂点とする当時の近代国家が誕生いたしました。おくれてからの近代化のため、強引な政治を進めたことに反発する社会主義運動や反戦運動が活発化し、その渦中にあった社会主義思想を標榜する幸徳秋水らが企てたとする明治天皇暗殺未遂事件が俗に言う大逆事件であります。
 大石誠之助先生は、大逆事件の首謀者とされる幸徳秋水とは、たとえ主義思想が同じであったとしても、また資金を援助していたとしても、天皇暗殺という画策、すなわち時の政府が社会主義者や博愛・反戦論者を弾圧するための政策であったとも考えられております。まして医者であり人命を守っていくことが責務である人物がそのような考えを持つすべもなく、捏造されたことも現代においては報告をされております。
 私は、先生は謀議に加担するようなはずがないと思っております。しかしながら、時の時代の運命とはいえ、当時の検察によって起訴され、わずか1カ月の裁判によって有罪判決が確定し、処刑されました。現在の憲法下では、地裁、高裁、最高裁の三審制度のもとでの裁判によって時間をかけ、慎重に審理されますが、明治憲法下での判決は、大石誠之助先生が歩んできた医者としての博愛精神を打ち消されるむごいものであり、まことに残念至極であり無念であったと思われます。大石誠之助先生が生誕されてから100年の年月が流れました。昭和34年に再審請求を行いましたが、却下されました。たとえ明治時代の旧憲法とはいえ、当時の刑法で起訴され、有罪判決が下されたことも現行憲法においても判決は覆っていないことも認識しなければなりません。
 大石誠之助先生が博愛主義の信念のもと、医者として貧しい人には診察代や薬代も請求せず、文学者としても優秀であり、持って生まれた反骨精神は、新宮人としての誇りであると思っております。しかし、戦後多くの研究者によって大逆事件の解明が進む中において、大石誠之助先生らは、冤罪事件の犠牲者になったことが明らかになりつつあります。
 しかしながら、国家による名誉回復はできておりません。すなわち有罪判決のままで現在に至っております。このような現況の中で何ゆえ名誉市民に推挙されようとするのか、私には理解に苦しむところであります。大石誠之助先生を名誉市民に推挙して新宮市民が郷土の誇りと尊敬に値すると認めていただけるでしょうか。大石誠之助先生を真に名誉市民として推挙するためには、日本を震撼させた大逆事件が時の明治政府が社会主義者や反戦論者たちを弾圧するための冤罪とするならば、無実を勝ち取るために国家の誤った認識をただす以外に道はないと思います。大石誠之助先生を名誉市民に推挙して、この問題の決着を図ろうとするのは、余りにも安易な手法ではないのでしょうか。
 私は新宮人であるとともに市民に選ばれた議員であります。新宮市の名誉と市民の名誉を守る義務があります。日本は法治国家であり、たとえ明治憲法下の裁判による有罪判決であっても、現在の憲法下において再審を請求してもなおかつ有罪判決が覆ることができないならば、裁判の決定を遵守することが当然であります。すなわち大石誠之助先生を名誉市民に推挙する議案には、市議会議員としての矜持に基づき、断じて賛成することはできません。
 以上で反対討論を終わります。
 
○議長(屋敷満雄君) 
 討論を終わります。
 これより、本案について起立により採決いたします。
 念のため、申し上げます。
 採決に際し、着席された議員は本案に反対とみなします。
 本案に賛成の方の起立を求めます。
     (賛成者起立)
 
○議長(屋敷満雄君) 
 起立多数であります。
 よって、議員発案第2号は、これを同意することに決定いたしました。
 
※付記
 上記審議において発言した議員の所属政党・会派を参考までに付記しておきます。
上田勝之議員(提案者) 無所属/浜木綿クラブ
辻本宏議員(反対) 無所属
松畑玄議員(賛成) 無所属/浜木綿クラブ
北村奈七海議員(反対) 無所属
杉原弘規議員(賛成) 日本共産党
大石元則議員(反対) 無所属/政友クラブ
大西強議員(賛成) 無所属/きょうけん会
福田讓議員(反対) 無所属/政友クラブ
(引用終わり)
 
(参考条文)
新宮市名誉市民条例(平成17年10月1日条例第4号)
改正 平成29年12月7日条例第22号
 (目的)
第1条 この条例は、新宮市における市政の振興、社会福祉の向上、産業の振興、学術・文化又はスポーツの興隆に貢献してその事績が卓絶し、功労が特に顕著な者に対しその栄誉をたたえ、功績を表彰することを目的とする。
 (称号)
第2条 市民又は市と特別に縁故の深い者で、前条に掲げる事項に該当し、市民が郷土の誇りとし、かつ、尊敬に値すると認めるものには、新宮市名誉市民(以下「名誉市民」という。)の称号を贈る。
2 前項の名誉市民の称号は、故人に対しても追贈することができる。
 (名誉市民の決定等)
第3条 名誉市民は、市長が議会の同意を得て決定し、その事績を公表し、表彰状及び記念品を贈呈して表彰する。
2 名誉市民の決定に関し、議会の議員は2人以上の賛成議員があるときは、あらかじめ議会の同意を得て、市長に名誉市民の候補者を推挙することができるものとする。
3 前項の場合において、市長は当該推挙された者が名誉市民として適当と認めたときは、第1項の規定にかかわらず、これを決定することができる。
(第4条~第6条及び附則は省略)
※第3条2項及び3項は、議員発案第1号として、2017年12月定例会(12月5日)で改正(追加)されたものであり、この新規定に基づいて、大石誠之助を名誉市民に推挙する件(議員発案第2号)が可決されるに至ったのでした。 
 
(参考サイト)
【おおいし せいのすけ】(1867~1911) 慶応3年、新宮市に生まれる。渡米して医療を学び、新宮市に医院を開業。人権思想や平和思想の基礎を築き、甥の西村伊作等に対して大きな影響を与えた。
平等に医療を。「ドクトルさん」
 渡米して医療を学び、新宮市に医院を開業した大石誠之助は、熊野地方に多い伝染病や脚気などをインドに渡って研究したほか、貧しい人からは診察料を取らず、「ドクトルさん」と称えられ感謝されました。「太平洋食堂」や「中央堂」といったレストランを開業し、西洋料理の普及や調理法の発案を行うなど、西洋的で合理的生活などの普及にも尽力しました。「情歌(都都逸)」の世界においても、禄亭永升として宗匠の地位まで上り詰め、その普及にも活躍したほか、中央や地方の新聞、雑誌に当時の社会問題などに関するエッセイを投稿し、現在にも通じる先駆けの作品として評価されています。さらに、「新聞雑誌縦覧所」を設け、青年たちに弁論と思想の交流の場を提供しました。中央の文化人を招へいし、講演会などを開き、市民の啓蒙に努めました。 
 戦後の研究では、明らかに冤罪事件とされる所謂「大逆事件」に連座され、四十三歳の若さで非業の死を遂げたが、平和・博愛・自由・人権を訴えた大石誠之助の思想啓蒙活動は、現在にも通じる先覚的な取り組みであり、明治期に、熊野地方において人権思想や平和思想の基礎を築いたといえます。
 その思想と行動は、名誉市民として名を連ねる甥の西村伊作のほか、佐藤春夫や中上健次などに対しても大きな影響を与え、新宮市における質の高い文化土壌の創生に貢献しました。
 
和歌山県教育委員会 ふるさと教育副読本「わかやま発見」 
第2編 わかやまの歴史
第4章 近代和歌山の発展 
『牟婁新報』と大逆事件
(引用開始)
大逆事件と大石誠之助らの悲劇
 社会主義思想が田辺で最も盛んであったのが,荒畑寒村(あらはたかんそん)らが活躍した1905~06年で,新宮で最も盛んになったのは1908年のことです。幸徳秋水がこの年の夏,新宮に大石をたずねています。大石は困っている人からは治療費をもらわないなど,「ドクトル(毒取る)さん」と親しまれていました。若者にも共感をよせていた大石の人柄をしたって,社会主義に関心をもつ青年たちが,大石のまわりに集まり,さかんに論議しあいました。
 1910年,長野県で弾を持っている者が見つかり,天皇の暗殺を企てたとして,全国で社会主義者の逮捕がつづきました。その中心者は,幸徳秋水ということにされました。世に大逆事件とよばれた事件ですが,このとき,大石を中心とする「紀州グループ」の人々6名も次々にとらえられていきました。そして,大石と成石平四郎(なるいしへいしろう)の2人が死刑,成石勘三郎(なるいしかんざぶろう)・高木顕明(たかぎけんみょう)らが無期懲役に処せられました。高木顕明は,新宮の浄泉寺(じょうせんじ)の住職で,貧困などで苦しんでいる人々の相談相手としてやさしく手をさしのべていました。そうしたことから,たくさんの人々からしたわれていました。また,成石勘三郎と平四郎の兄弟は請川(うけがわ)(田辺市)で将来を期待されていた青年たちでした。
 この事件をきっかけに,日本では,特に社会主義者のとりしまりがたいへん厳しくなりました。第二次世界大戦後,大逆事件にかかわる資料が次々と発見されてこの事件の真相が明らかにされ,大石らは,全くの無実であったことがわかりました。
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/大逆事件関連)

アーサー・ビナードさん講演「知らなかった、ぼくらの沖縄」(2018年8月31日)を視聴する

 2018年9月4日配信(予定)のメルマガ金原No.3260を転載します。
 
アーサー・ビナードさん講演「知らなかった、ぼくらの沖縄」(2018年8月31日)を視聴する
 
 巻末のリンク一覧をお読みいただければ分かるとおり、過去数年、少なくとも年に1度は、アーサー・ビナードさんの講演動画をご紹介してきました。
 私が、直接ビナードさんのお話を伺ったのは、2011年7月9日、和歌山地域地場産業振興センター(当時)5階ホールで開催された核戦争防止和歌山県医師の会主催による講演会「夏の線引き─アメリカからピカドンを見つめて─」だけですが、新鮮な視点、深い含蓄、的確な言葉の選択に感銘を受け、年に一度はビナードさんの講演がどうしても聴きたくなってきて、ネット検索をするのが癖になってしまいました。
 
 今日ご紹介するのは、8月31日に、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)池袋本部8階において開催されたビナードさんの講演「知らなかった、ぼくらの沖縄」の模様であり、UPLAN(三輪祐児さん)に動画がアップされていました。
 これは、一般社団法人日本社会連帯機構が主催する「第2回 ふくろう社会連帯カレッジ 地域の底から、社会をかえる」の第2回という位置付けです。
 ちなみに、第1回から第6回までの内容は以下のとおりです。
 
第1回 2018年7月25日
 「人口減少時代の社会デザイン」 平川克美さん
第2回 2018年8月31日
 「知らなかった、ぼくらの沖縄」 アーサー・ビナードさん
第3回 2018年9月25日
 「平成の終わりと《国体》の運命」 白井 聡さん
第4回 2018年10月24日
 「グローバルからローカルへ “幸せの経済”の時代が来た」 辻 信一さん
第5回 2018年11月28日
 「雇用なしで生きる-スペイン発「もうひとつの生き方」への挑戦」 工藤律子さん
第6回 2018年12月18日
 「「共に生きる」社会を-川崎ヘイトスピーチ根絶をともに」 崔江衣子さん  
 
 このような連続講座の企画が、1月前や2月前に決まるとは思えませんから、沖縄県をめぐる最近の情勢、翁長知事による辺野古沖埋立承認の撤回方針の発表、それから2週間足らずでの翁長知事の急逝、玉城デニー衆議院議員の立候補表明、副知事による埋立承認の撤回などのかなり前に、主催者からビナードさんに依頼がなされ、ビナードさんも講演の内容についての構成を考えてこられたことと思います。
 実際、講演の中では、来る9月30日に行われる沖縄県知事選挙についての直接の言及は(多分)なく、間接的に、本土では不可能になっている「争点の設定」がかろうじて沖縄の選挙では機能しているという文脈で語られただけです(動画の1時間16分~頃)。そして、その言及の中で、名護市長選挙における現職の敗北についての意見は、おそらく発言するビナードさんご自身も含め、心が痛む内容でした。
 
 それでは、是非じっくりとアーサー・ビナードさんの講演に耳を傾けてください。
 
20180831 UPLAN アーサー・ビナード「知らなかった、僕らの沖縄」(2時間00分)

 
(弁護士・金原徹雄のブログから/アーサー・ビナードさん関連)
2011年7月9日(2013年7月6日に再配信)
アーサー・ビナード氏講演会(in和歌山市)レポート/2011年7月9日
2013年7月7日
7/2アーサー・ビナード氏講演会「ヒロシマとフクシマとどっちが遠い?」(in岡山市)
2013年8月16日
スナメリチャンネルが伝えた8月の広島(アーサー・ビナードさん講演会&中国電力前アピール)
2013年9月5日
アーサー・ビナードさん 祝島への旅(スナメリチャンネル)
2014年9月5日
アーサー・ビナードさんの講演は面白くて為になる~9月2日・岡山から(付記・足立力也さんによる「消極的平和と積極的平和」)
2015年1月8日
殺すな!殺されるな!~福島菊次郎さんとアーサー・ビナードさんの対話(in多摩市)
2016年5月16日
早稲田の杜から「Democracy Strikes Back!! 民主主義の逆襲」(5/15)
※高畑勲さんとアーサー・ビナードさんの対談が聴けます。
2017年1月30日

追悼・翁長雄志知事~(再配信)菅原文太さんからのメッセージ 沖縄へ、そして日本へ

 2018年8月9日配信(予定)のメルマガ金原No.3234を転載します。
 
追悼・翁長雄志知事~(再配信)菅原文太さんからのメッセージ 沖縄へ、そして日本へ
 
 膵がんの治療を続けていた沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事が、昨日(8月8日)逝去されたとの報は、沖縄県民のみならず、多くの日本国民を悲嘆の底に突き落としました。
 つい先日(7月27日)、記者会見を行い、名護市辺野古の新基地建設のために仲井眞前知事が行った埋立承認を撤回する意向を表明されたばかりでしたので(翁長雄志沖縄県知事が公有水面埋立承認の撤回に向けた意向を表明しました(2018年7月27日)/2018年7月27日)、衝撃も大きなものがあります。
 県民との約束を生命のある限り果たそうとされた翁長氏に対し、心から敬意と哀悼の意を表します。
 
 自ら信ずることのために、正しい意味で「生命をかけた」人として、翁長知事とともに思い出すのが菅原文太さんです。
 4年前の11月1日、沖縄県知事選挙に立候補した翁長雄志氏を応援するため、病身を押して沖縄入りし、心のこもったスピーチをされた菅原文太さんは、それから4週間も経たぬ11月28日、転移性肝がんによる肝不全のために逝去されたのでした。
  妻の菅原文子さんが公表されたコメントに、「祖霊の一人となった今も、生者とともにあって、これら(注:無農薬有機農業を広めることと、日本が再び戦争をしないという願いが立ち枯れ、荒野に戻ってしまわないよう、共に声を上げること)を願い続けているだろうと思います。」とあったのが思い出されます。
 沖縄の風土が、沖縄に住む人々のものであることを願い続けた菅原文太さんと翁長雄志さんのお二人が、ともに「祖霊」となって沖縄と日本を見守り続けてくださることを信じて、4年前に配信した記事「菅原文太さんからのメッセージ 沖縄へ、そして日本へ」を再配信することにしました。
 以下の再配信記事の中で、「オナガ雄志 うまんちゅ 1万人大集会」での菅原文太さんのスピーチ動画とその書き起こしをご紹介していますが、その集会での翁長雄志候補による決意表明の動画もご紹介しておきます。翁長さんが、ここで表明した「決意」を、この4年弱でいかに実行してきたかということは私たちが見てきたことであり、これを後の世に正しく伝える責務があります。
 
オナガ雄志決意表明(17分36秒)

※2014年11月1日、那覇市営奥武山野球場での「オナガ雄志 うまんちゅ 1万人大集会」にて。
 
(参考サイト)
※週刊朝日増刊「朝日ジャーナル 2016年7月7日号」より再録。
 
慰霊の日「沖縄全戦没者追悼式」(1時間01分)

※2018年6月23日、沖縄県糸満市摩文仁で行われた「沖縄全戦没者追悼式」。翁長知事の挨拶は25分~31分です。 
 

 2014年11月3日に配信した以下の記事を再配信します。
 
 
 去る11月1日(土)15時から、那覇市営奥武山野球場(沖縄セルラースタジアム那覇)において、沖縄県知事選挙立候補者・翁長雄志(おなが・たけし)候補を支援する「ひやみかち うまんちゅの会」が主催する「オナガ雄志 うまんちゅ 1万人大集会」が開催されました。
 主催者発表の参加者数はあえて書きません。どこでもそうかもしれませんが、沖縄では、特に主催者発表と実数との懸隔が激しい傾向があるようなので、以下にご紹介するIWJ沖縄による中継映像でご確認ください。
 
 
(当日進行)
4分~ 開会
5分~ 登壇者入場
 開会あいさつ 浦崎唯昭氏(沖縄県議会議員)
18分~ 応援スピーチ
 呉屋守将氏(選対本部長、金秀グループ会長)
 宮城篤実氏(ひやみかちうまんちゅの会会長、前沖縄県嘉手納町長)
 稲嶺進氏(沖縄県名護市長)
 新里米吉氏(沖縄県議会議員)
 赤嶺政賢氏(衆議院議員)
 糸数慶子氏(参議院議員)
 玉城デニー氏(衆議院議員)
 奥平一夫氏(沖縄県議会議員)
 城間俊安氏(南風原町長)
 金城徹氏(那覇市議会議員)
 大城紀夫氏(連合沖縄会長)
 平良識子氏(ひやみかちうまんちゅの会青年局、那覇市議会議員)
1時間13分~ 県議会・那覇市議会補欠選挙予定候補紹介
1時間15分~ ゲストスピーチ 菅原文太氏(俳優)
1時間29分~ 決意表明 城間幹子氏(那覇市副市長、那覇市長選挙立候補予定者)
1時間37分~ 決意表明 翁長雄志氏(前那覇市長、沖縄知事選挙候補)
1時間55分~ 行動提起
1時間58分~ 後援会会長あいさつ
2時間 0分~ がんばろう三唱
 
(注 2018年8月9日)
 今は、IWJ会員(一般会員でよいのですが)でないと、この2時間に達する全編動画は視聴できません。是非会員登録をお願いしたいのですが、各登壇者の発言を個別にアップした動画が翁長雄志YouTubeチャンネル(4年前の知事選のために開設)で視聴できます。
 
 以下に、IWJが文字起こししてくれた菅原文太(すがわら・ぶんた)さんの応援スピーチを引用します。なお、勝手ながら金原において再校正しましたので、かなり厳密な再現になっているのではないかと思います。
 分量の割には長い時間がかかっているのは、年齢ということもあるかもしれませんが、スピーチ原稿に目を落としつつ、発言する時はしっかりと聴衆の方に目を向けて訴えられているからでもあります。
 マスコミ的に注目を集めたのは「仲井眞さん、弾はまだ一発残っとるがよ。」という決め台詞だったかもしれませんが、そのスピーチ全体が、沖縄の皆さんの心に直接届く誠実さにあふれたものだったと思います。
 それはまた、「最も危険な政権」を許している日本国民全体に向けられたメッセージでもあります。
 
(引用開始)
こんにちは。
沖縄は、何度来ても気持ちがいいね。(拍手)
カートに乗って、楽をさしてもらったけど、80過ぎたんで、さっきの2人みたいに走れないよ。(笑いと拍手)
30年前なら、あの倍くらいのスピードで走ったけどね。(笑いと拍手)
 
今日は、自分から立候補して、ピッチャー交代、知事交代、ということで押し掛けてきました。(拍手)
 
プロでない私が言うんだから、あてになるのかならないのかは分かりませんけど、政治の役割はふたつあります。ひとつは、国民を飢えさせないこと、安全な食べ物を食べさせること。(拍手)
 
もう一つは、これが最も大事です。絶対に戦争をしないこと!(大きな拍手)
私が小学校の頃、戦国(軍国)少年でした。小学校、なんでゲートルを巻いて、戦闘帽を被って、竹槍持たされたのか、今振り返ると、本当に笑止千万です。もう二度と、ああいう経験は子どもたちに、子どもたちだけじゃない、大学生も雨のなかを、大勢の将来大事な大学生が戦地へ運ばれて、半数が帰ってこなかった。
 
今の政府と、本土の政府ですよ、仲井眞知事は、まさに戦争が起きること、戦争をすることを前提に、沖縄を考えていた。
前知事は、今、最も危険な政権と手を結んだ。(拍手)
沖縄の人々を裏切り、公約を反故にして、辺野古を売り渡した。(そうだ!の声と拍手)
 
古い映画だけど、『仁義なき戦い』に、(拍手)その流れに言うと、『仁義なき戦い』の裏切り者の山守(やまもり)、覚えてらっしゃらない方もいるかな?(覚えてるよー!の声)
憶えてるかー(拍手)。
映画の最後で、「山守さん、弾はまだ残っとるがよ。一発残っとるがよ。」というセリフをぶつけた。
その伝でいくと、「仲井眞さん、弾はまだ一発残っとるがよ。」(大きな拍手)
と、ぶつけてやりたい。(拍手)
 
沖縄の風土も、本土の風土も、海も山も空気も風も、すべて国家のものではありません。(大きな拍手)
そこに住んでいる人たちのものです。(拍手)
辺野古もしかり!
勝手に他国へ売り飛ばさないでくれ。(大きな拍手)
 
まあそうは言っても、アメリカにも、良心厚い人々はいます。中国にもいる。韓国にもいる。(拍手)その良心ある人々は、国が違え、同じ人間だ。(拍手)
みな、手を結び合おうよ。(拍手)
 
翁長さんは、きっと、そのことを、実行してくれると信じてる。(大きな拍手)
今日来てるみなさんも、そのことを、肝に銘じて実行してください。(拍手)
それができない人は、沖縄から、日本から、去ってもらおう。(大きな拍手)
 
はなはだ短いけど、終わり(拍手)
(引用終わり)
 
翁長雄志公式チャンネルの映像「菅原文太氏のスペシャルゲストあいさつ」(11分12秒)

 
(追記 2014年12月1日)
 菅原文太さんが11月28日午前3時、転移性肝がんによる肝不全のため、東京都内の病院で亡くなられていたことが12月1日に一斉に報道されました。満81歳。11月30日にすでに福岡県・太宰府天満宮祖霊殿にて家族葬が執り行われたとのことです。
 以下に、奥様・菅原文子さんが発表されたコメントをご紹介するとともに、心より哀悼の意を表します。
<妻・菅原文子さんのコメント全文>
 七年前に膀胱がんを発症して以来、以前の人生とは違う学びの時間を持ち「朝に道を聞かば、夕に死すとも可なり」の心境で日々を過ごしてきたと察しております。
 「落花は枝に還らず」と申しますが、小さな種を蒔いて去りました。一つは、先進諸国に比べて格段に生産量の少ない無農薬有機農業を広めること。もう一粒の種は、日本が再び戦争をしないという願いが立ち枯れ、荒野に戻ってしまわないよう、共に声を上げることでした。すでに祖霊の一人となった今も、生者とともにあって、これらを願い続けているだろうと思います。
 恩義ある方々に、何の別れも告げずに旅立ちましたことを、ここにお詫び申し上げます。
(引用終わり)
※引用はシネマトゥデイより。 
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2014年1月10日

カジノ法成立記念キャンペーンに走るカジノディーラー養成校とその広告を掲載する産経新聞

 2018年8月1日配信(予定)のメルマガ金原No.3226を転載します。
 
カジノ法成立記念キャンペーンに走るカジノディーラー養成校とその広告を掲載する産経新聞
 
 今日(8月1日)、事務所のパソコンで何気なくFacebookを覗いてみたところ、複数の「FB友達」がシェアしている記事があり、何だろう?と思って開いてみたところ、日本カジノ学院(一般社団法人「日本カジノ協会」認定校と書いてあります)という学校(各種学校の要件を満たしているのだろうか?)が産経新聞に出したという大きな広告で、「カジノIR施設の人材育成 本格稼働」「カジノディーラーの資格を取ろう」「カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法成立記念キャンペーン 今だけ入学金0円、今だけ教材費0円」などという謳い文句が並ぶという、なかなか普通の全国紙でお目にかかることのない広告の画像を紹介した昨日付(7月31日)のFacebookへの投稿でした。
 
 これを読んで(見て)まず私の脳裏に浮かんだのは、「これは、手の込んだフェイクニュースではないか?」という疑問でした。「いくら産経でも、これを載せるか?」という疑問と、「いやいや、産経なら載せるかもしれない」という気持ちが相半ばし、結局、裏を取るために余計な手間をかけることになりました。
 
[裏取り1]
 まず、日本カジノ学院という組織があるのなら、しかも「ディーラー養成スクール全国展開学校数No.1」というのが本当なら、当然公式サイトがあって、この「カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法成立記念キャンペーン」についての告知記事も掲載されているはず、ということで調べてみました。
 そうすると、確かにありました。公式サイトのトップページに「カジノ法成立キャンペーン!」と銘打ち、「紹介されたお友達は入学金と教材費無料!」「IR(統合型リゾート)について多くの人に知ってもらおう!」「法案通過日より3カ月以内、友人を3人紹介すると、本場IRにご招待! 2泊3日 韓国仁川 韓国初のIR パラダイスシティへペアでご招待!」とありました。  
 3人紹介で韓国カジノご招待か・・・。何だかマルチ商法を連想するな。
 ちなみに、韓国仁川の「パラダイスシティ」といえば、外国人専用カジノを売り物にし、日本人観光客(つまり「カモ」ですね)を誘致すべく、日本語サイトなどを使って積極的に宣伝している施設です。
 
[裏取り2]
 「裏取り1」でほぼ目的は達したようなものですが、ただ、産経新聞に広告を掲載したかどうかの確証を得るまでには至らなかったので、なお「裏取り」を続けることにし、日本カジノ学院の公式Twitterを覗いてみました。すると、あっさりと確証が得られました。
(引用開始)
「日本カジノ学院」。
先日の産経新聞での広告、Facebookでの地域広告がSNSで話題になっています。賛否両論のご意見ありますが、設立は2015年、職業の一つとしてカジノディーラーを育成していきます!
(引用終わり)
 
[裏取り3]
 「裏取り2」で、日本カジノ学院が産経新聞に広告を出稿したという確証は得られましたが、どの程度の大きさの広告だったかは、現物にあたって確認するのが一番です。幸い(?)私の所属する和歌山弁護士会は、産経新聞も定期購読しており、だいたい1週間程度は保存(その後廃棄)しているので、明日にでも確認に行ってこようと思います。今日は行く時間がなかったので、「7月31日の産経を廃棄せずに取りのけておいてください」と事務局にお願いの電話を入れておいたのですが、本当に31日付だったのか?(30日、もしかしたらそれより前かもしれない)、東京以外でも全国的に出稿されたのか?などは、産経新聞の現物を見て確認します(我ながら「物好きな」とは思いますが)。
※追記(2018年8月2日) 今朝(8月2日)一番で和歌山弁護士会を訪れ、同会が保存してある7月26日以降の産経新聞(朝刊)を調べさせてもらいました。ところが、産業経済新聞大阪本社版にはその広告が見当たらない!日本カジノ学院には大阪校もあるようですが、さすがに全国で出稿するほどの予算はなかったのかもしれません。やや骨折り損という感じがしないこともありませんが、「情報を取る」という作業には、当然このような「裏を取る」手間が伴うわけで、まあ仕方がありません。
  
 「裏取り」はこの程度で良いと思いますが、最初にご紹介したFacebookへの投稿で使われた写真(広告の)については、実際、誰が撮ったものか、という出所は不明なままです。というのは、「日本カジノ学院/産経/広告」というキーワードで検索をかけてみてヒットする記事で使われている画像は、どうもみんな同一ソースのものらしいのです。こういう時は「要注意」なのですけどね。
 
 ここからは「裏取り」ではありませんが、色々と情報検索をしているうちにひっかかってきた情報をいくつかご紹介しておきます。
 
[日本カジノ学院と韓国仁川・パラダイスシティとのつながり]
 日本カジノ学院の公式サイトに以下のような文章が掲載されていました。
(引用開始)
日本人ディーラーの養成と派遣
 日本でカジノに最も敏感な企業の1つ、カジノ運営会社が出資をしている韓国の仁川(インチョン)にある「PARADISE CITY」に日本から採用するディーラーを日本カジノ学院で研修しています。
 今回のカジノ運営会社様とは全3回に分けてのカジノ研修を行っています。全く知らない方から、既に派遣先でカジノディーラーを経験されている方。総勢20名以上の方が研修を受けています。
 4種のゲーム全てを1からレクチャーし、海外でのルールやハウスによっての違い、カメラシステムの動きやミスをした際の対処方法など、それ以外に気になる質問にお答えさせていただきました。
 これから海外で実際に働くというドキドキとこれから日本の最先端を担うカジノディーラーになれるというワクワクがとても伝わる研修内容でした!
(引用終わり)
 
[日本カジノ学院と産経新聞とのつながり]
 ちょっと検索しただけでも、産経グループによる以下のような記事を見つけました。
SankeiBiz 2016.12.6 16:02
サンスポ 2018.5.1 15:31
産経ニュース 2018.5.3 07:07
 もっとも、産経は、「2004年開校」という日本カジノスクールについても記事を書いていますけどね。
産経ニュース 2018.4.12 22:09
 こちらの学校も、「祝 カジノ解禁」「入学金最大100%OFFキャンペーン」実施中だそうです。
 
[大阪カジノディーラースクール公式サイトの興味深い謳い文句]
 日本カジノスクール大阪校が出来たのは、今年4月のことですが、大阪には、既に2011年開校という「大阪カジノディーラースクール」という学校があったようなのです(難波にあるらしい)。
 その公式サイトのトップページは、日本カジノ学院や日本カジノスクールの公式サイトとは趣を異にし、カジノ解禁で浮かれ立つこともなく、入学金免除や韓国旅行で受講生をつり上げようというようなさもしさも見せず、まことにストイックな文章が続き、思わず感心しそうになったくらいです。
 とりあえず読んでいただきましょうか。
 
(引用開始)
世界を凌駕するカジノディーリングを目指して
大阪カジノディーラースクールはカジノディーラーの技術に特化した精鋭カジノディーラー集団です。
華麗さ、正確さ、スピードの3つの観点から世界一の技術を習得したディーラーを輩出すべく日々鍛錬しています。
ディーリングがうまくなるにはコツだけではなく、絶対的な練習量が必要です。
練習の過程は困難を極めます。
楽しくもありますが、それ以上に厳しくもあります。
華やかに見えても、お金を扱う仕事ですから、
実際の現場は想像よりも厳しいです。
スクールでは講師からの容赦ない叱責もあります。
しかし、最後まで耐え忍ぶものにだけ、名誉と称賛が待っています。
習得する覚悟のある方のご連絡をお待ちしています。
(引用終わり)
 
 いかがでしょうか?まことに潔い方針であり、もしもカジノディーラーを目指すのであれば、ちゃらちゃらした日本カジノ学院や日本カジノスクールなどはやめて、是非、大阪カジノディーラースクールの門を叩いてはどうか、と言いたくなるほどです(言いませんけど)。
 けれども、この文章を読んで「どこか変だな」と思いませんでしたか?
 私は、「華やかに見えても、お金を扱う仕事ですから、実際の現場は想像よりも厳しいです。」というところを読み、「お金を扱う仕事」(?)のところで目が点になりました。
 いやあ、確かに厳しい仕事なのかもしれませんが、それって「賭博罪」(刑法第二編、第二十三章)に該当するのじゃないの?何しろ、まだ国内には合法的に認められたカジノは1つもないのですから、と思ってしまった次第です。
 もちろん、海外カジノのディーラーとして雇われる場合のことを言っているのだと言われればそうかもしれませんが、公式サイトの中には、「当スクールでは長年の実績により、多数の国内アミューズメントカジノ等へのご紹介が可能です。長年の信頼により卒業生は技術を取得後すぐに、国内ほぼすべてのアミューズメントカジノでの就業が可能となっているのもご好評いただいております理由の一つです。」とありますので、「お金を扱う仕事ですから、実際の現場は想像よりも厳しいです。」というのがどうしても気になるなあ。
 「国内アミューズメントカジノ」って、事実上、「パチンコ・パチスロ化」してるんだろうか?(行ったことがないので分かりませんが)
 
 あと、ディーラー養成校に「潜入」などとタイトルに掲げた、実態は日本カジノ学院とタイアップしたパブリシティ記事なども読もうと思えば読めます。
 
価格.comマガジン 2017.11.16
生徒、講師、学長に直撃しました
カジノディーラー養成学校に潜入! どんな授業? 卒業後の進路は?
 
 さて、日本カジノ学院の産経新聞への広告掲載をきっかけとして、色々な情報を集めてみました。「だからどうなんだ?」と言われても困るのですが、カジノ推進の旗を振る政治家の背後には、普通の国民には想像もつかない色々なうごめきがあるということを垣間見させてもらったような気がします。
 カジノ推進基本法の成立を阻止できず(2016年)、カジノ実施法の成立も阻止できなかった結果が「これ」です。「これ」をこのまま「仕方がない」とあきらめて何もしないということは私には出来ません。同じ考えの方が多いことを祈りたいと思います(ハードルは、実施法の成立で無茶苦茶上がりましたけどね)。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/カジノ問題関連)
2016年12月8日
カジノ推進法案をめぐる和歌山の現状と読売新聞による徹底批判
2017年2月27日
和歌山弁護士会「いわゆる「カジノ解禁推進法」の成立に抗議し、同法の廃止を求める会長声明」(2017年2月27日)と和歌山でのカジノ誘致の動き
2017年3月10日
「カジノで観光・まちづくり!?ちょっと、おかしいんとちゃうか!緊急トーク集会」3/13@プラザホープのご案内と4月・5月の「予告編」
2017年3月26日
「カジノあかん3・25大阪集会」動画のご紹介と12/12参議院内閣委員会での新里宏二弁護士と鳥畑与一静岡大教授の反カジノ意見陳述
2017年4月5日
「カジノ実施法案」作成作業が始まりました~クリーンなカジノの実現を目指して(!?)
2017年6月21日
和歌山でのカジノ誘致に反対する動き~和歌山弁護士会「会長声明」(6/16)とカジノ問題を考える和歌山ネットワーク準備会「市民集会」(7/19)
2017年7月5日
2017年8月18日
2017年8月19日
2017年8月30日
2017年9月1日
2017年9月3日
2017年9月4日
2017年9月16日
2017年11月3日
2017年12月6日
2018年6月3日
2018年7月28日
2018年7月29日

争点は私たちが決める~和歌山にカジノはいらない!(和歌山市長選挙投票日はいよいよ明日)

 2018年7月28日に配信します。
 
争点は私たちが決める~和歌山にカジノはいらない!(和歌山市長選挙投票日はいよいよ明日)
 
 7月22日に公示された和歌山市長選挙も、今日28日が選挙戦最終日となりました。私が応援する島くみこ候補は、今日の午後7時半ころから、南海和歌山市駅前の選挙事務所(厚仁ビル1階)前で最後の街頭演説を行う予定と聞いており、私も何とか参加したいと考えています。
 ただ、それから今日のブログを書き出したのでは、明日の投票のために少しでも力になりたいという目的には間に合いそうもないので、とりあえず、昼間のうちに、1点だけ書いてアップしておこうと思います。
 
 それは、この選挙の争点は何か?ということについてです。
 和歌山市長選の選挙公報(和歌山市選挙管理委員会編集)がインターネットでも読めます。
 現職の尾花候補の公約をしらみつぶしに読んでみても、「カジノ」の「カ」の字も、「IR」の「I」の字も見当たりません。
 もちろん、島くみこ候補は「和歌山にカジノはいりません」を筆頭に掲げています。
 選挙戦における「争点隠し」は、何も今に始まったことではなく、まことに古典的な戦術に過ぎません。それを打ち破れるかどうかは、「争点は私たちが決める」という自覚を持った市民がどれだけ実際の行動に出るかにかかっています。
 
 ここで、一昨日の7月26日(木)午後6時10分から、和歌山市北部のショッピングセンター「パームシティ」前で行われた島くみこさんの街頭演説会を聴きに行った私が、なりゆきで「カジノはいらない」という大きなボードを掲げ続けることになった顛末を書いたFacebookの記事の一部を引用します。
 
(抜粋引用開始)
 和歌山市長選候補者・島くみこさんの街頭演説会が、今日(7月26日)午後6時10分から、パームシティ前で行われました。私は、選対から送ってもらった街頭演説会予定表の中のパームシティ前に特に二重丸(◎)が付いていたものですから、「これは行かねばなるまい」と思い、5時から予定されていた委員会は、事務員から弁護士会事務局に「急用が出来たので欠席します」という電話を入れてもらい(決して嘘ではない)、パームシティに駆け付けました。
 既に島さんも到着しており、私は「演説会の模様をレポートするために写真でも撮ろうかな、テレビ和歌山のカメラや小谷英治さんも道の向かい側(パームシティ側)から撮るようだから、私もそちらから・・・」などと考えているところに、島さんのパートナーの哲也さんがアピール用のボードを何枚も持って通りかかったので、つい何気なく「私も持ちましょうか?」と声をかけたところ、「カジノはいらない」という結構大きなボードを渡されました。自分から名乗り出た以上、責任がありますので、車道際まで進み、走行する車からよく見える角度を考えながらボードを掲げ続けたものですから(地面に下ろしたら文字が読み取りにくい)、演説会が終わるころには腕がつりそうになってきました。それに、表面積が大きいので、少しの風でも結構保持するのに力が要ります。
 やってみると、ボードを掲げる役というのもなかなか大変だなと思いましたが、「カジノはいらない」というアピールが1人でも多くの人の目に留まるようにと思えば、とてもやり甲斐を感じながら持っていたのでした。
(引用終わり)
 
 ボードを掲げること自体は、まことにささやかな行動ですが(腕はつりそうになりましたが)、実にさわやかな気分でした。それは、「争点は私たちが決める」という意思を市民としてしっかりと実践しているという自信のあらわれであったからでしょう。
 今から島さんの選挙事務所に行って「私もボードを持ってアピールします」と申し込んでもらっても、多分もう間に合わないでしょうが、選挙が終わっても、1人の市民としてのアピールをする方法はいくらでもあります。
 そのようなささやかな行動に一歩でも踏み出すことが、これからいくらでも巡ってくる様々な選挙の際に、「争点は私たちが決める」と確信をもって主張できる基礎となるはずです。
 私たちも、島くみこさんに続き、志を同じくする人々と連帯し、「カジノは和歌山にいらない(日本中にいらない)」という声を巻き起こしましょう。
 
 最後に、和歌山市長選挙における真の争点「カジノ」問題を追及したジャーナリスト・横田一さんの特別寄稿がIWJに掲載されていますので、是非お読みください。仁坂知事や門博文衆議院議員(和歌山マリーナシティ株式会社の元取締役)に対する突撃取材もあります(岸本周平衆議院議員への突撃取材がないないのは残念)。
 
 
 また、同じく横田一さんが取材協力した記事が日刊ゲンダイにも掲載されています。
 
日刊ゲンダイ 2018年7月27日
29日投開票の和歌山市長選 「カジノ誘致」争点に大バトル
 
(付記)
 島くみこ候補の(応援弁士を含む)演説については、小谷英治さんがその多くを録画し、YouTubeにアップしてくださっていますので、是非ご覧ください。ここでは、1つだけ、上に引用した私のFacebookの記事で触れた、7月26日パームシティ前での街頭演説会の動画をご紹介します。

 
(弁護士・金原徹雄のブログから/カジノ問題関連)
2016年12月8日
カジノ推進法案をめぐる和歌山の現状と読売新聞による徹底批判
2017年2月27日
和歌山弁護士会「いわゆる「カジノ解禁推進法」の成立に抗議し、同法の廃止を求める会長声明」(2017年2月27日)と和歌山でのカジノ誘致の動き
2017年3月10日
「カジノで観光・まちづくり!?ちょっと、おかしいんとちゃうか!緊急トーク集会」3/13@プラザホープのご案内と4月・5月の「予告編」
2017年3月26日
「カジノあかん3・25大阪集会」動画のご紹介と12/12参議院内閣委員会での新里宏二弁護士と鳥畑与一静岡大教授の反カジノ意見陳述
2017年4月5日
「カジノ実施法案」作成作業が始まりました~クリーンなカジノの実現を目指して(!?)
2017年6月21日
和歌山でのカジノ誘致に反対する動き~和歌山弁護士会「会長声明」(6/16)とカジノ問題を考える和歌山ネットワーク準備会「市民集会」(7/19)
2017年7月5日
2017年8月18日
2017年8月19日
2017年8月30日
2017年9月1日
2017年9月3日
2017年9月4日
2017年9月16日
2017年11月3日
2017年12月6日
2018年6月3日

伝説のグループ「なつおmeets南風」が呼びかける「CDをゲットして西日本豪雨災害支援に協力を!」のご紹介~よろしくお願いします

 2018年7月26日配信(予定)のメルマガ金原No.3220を転載します。
 
伝説のグループ「なつおmeets南風」が呼びかける「CDをゲットして西日本豪雨災害支援に協力を!」のご紹介~よろしくお願いします
 
 今や「伝説のグループ」の仲間入りをした「なつおmeets南風」との出会いについては、何だか最近書いたことがあったような気がするな、というのは以下のブログでした。
 
2018年6月21日
 
 そして、特に私と彼らとの出会いの曲『スナメリ泳ぐ海』をフューチャーした渾身の(?)ブログが以下のものです。
 
2013年11月16日
 
 さて、その「伝説のグループ」のリーダー(とは言わないのかもしれませんが)南健二さんから、Facebookを通じてとても素晴らしい呼びかけがありましたので、ブログでご紹介しようと思います。
 
南健二さんのFacebookから引用開始)
伝説のグループ
なつおmeets南風
 
西日本豪雨災害支援のためCDの売上を全額寄付します。
寄付してCDもゲット。
みんなハッピーです。
 
CDの売り上げを
「KEEN マッチングペイ」
に全額寄付させていただきます。
 
◎なつおmeets南風◎
『PIECES OF THIS WORLD』
CD3曲収録 ¥500
〈収録曲〉
1.スナメリ泳ぐ海
2.ひとつ
3.pieces of this world
    
ヴォーカル なつお(シマダナツコ)
ピアノ 笠松美奈
パーカッション みなみけんじ
 
アコースティックで、
キッズから年配の方まで楽しんでいただける音楽です。
 
「スナメリ泳ぐ海」2015/09/23 @ララロカレ

 

 
◎寄付金額 1枚500円◎
       
★2枚以上購入の方はご相談下さい。
3枚まで送料180円。4枚~10枚まで送料360円。
10枚単位での購入も可能です。
 
◎目標350枚。
 
先着100名様にCDジャケットデザインのポストカードプレゼント。
イラストレーター、Shinyaさん提供です!
 
少しでもお役にたてますように。
 
8/6まで、寄付した同額をKEENが寄付してくれます。
皆さまご協力お願いします!!!
   

 
お求めの際は、メッセンジャーかコメント欄でご連絡ください。
 
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1.手渡しの方はメンバーに直接メッセージください。
  8/3~8/7は東京で受け渡し可能。
 
2.カード決済ご希望の方。
  メールアドレスと送り先をお知らせください。
  PayPalの請求書をお送りいたします。
  送料180円、手数料3.6%。合計747円です。
 
3.銀行振込、ゆうちょ銀行もオッケーです。
  送り先とともにお知らせください。
  折返し口座番号お知らせします。
  振込手数料はご負担ください。
  送料180円、合計680円です(CD1枚の場合)。
 
4.メルカリでも出品しました。
  手数料、送料込みで755円です。
 
5.10枚単位でも購入可能です。
  5,000円と送料360円、合計5,360円です。
  カード決済の場合、手数料3,6%込み5,602円です。
 
その他、ご相談に応じます。
よろしくお願いします。
(引用終わり)
 
 上の南健二さんの案内に登場するCDジャケットデザインのポストカードプレゼント(by Shinyaさん)はとっても魅力的です!
 この3曲入りのCD『PIECES OF THIS WORLD』は、私も何枚か購入しましたが(今でも2枚は手許にあるはず)、初めて手に取った時(2011年のはじめころ、3.11の直前、和歌山市内のライブハウスだったと思う)から、そのジャケットデザインの素晴らしさに感銘を受けました。このジャケットの絵(スナメリの親子かな)が、私とイラストレーターShinya(楠井伸也)さんの作品との最初の出会いでした。
 
 収録されている3曲の内、『スナメリ泳ぐ海』と『PIECES OF THIS WORLD』が笠松美奈さんの、『ひとつ』がシマダナツコさんの作詞作曲で