2023年12月29日配信(予定)の「メルマガ金原No.3539」を転載します。
Facebookにも同内容で掲載しています。
『増補版
熊野・新宮の「大逆事件」前後-大石誠之助の言論とその周辺』(辻本雄一著/論創社刊)刊行のお知らせ
過去、私が「ブログ毎日更新」をしていた頃(2013年1月から2019年1月までの丸6年間)、憲法問題や(特に初期は)原発問題をテーマに取り上げることが圧倒的に多かったのですが、そのどちらとも言えないが、結構、何年にもわたり、何度も取り上げてきたテーマの1つが「『大逆事件』と和歌山~特に大石誠之助について」でした。
私が過去そのテーマで書いた記事は、一番最後の「新宮市名誉市民記念・企画展「大石誠之助とはどんな人?」(2018年10月2日~2019年2月24日@佐藤春夫記念館)のご案内」(2018年9月16日)の巻末に掲載したリストにリンクを貼っていますので、ご参照いただけると幸いです。
そして、私が継続して上記テーマに関心を持ち続けた最も大きな要因となったのが、ほぼ10年前(2014年2月)に刊行された『熊野・新宮の「大逆事件」前後-大石誠之助の言論とその周辺』という本でした。
私がこの本を知ったのは、その著者である辻本雄一先生(新宮市立佐藤春夫記念館館長)を和歌山市にお招きし、2014年5月に「熊野・新宮の『大逆事件』」と題してご講演いただくこととなった際、企画の中心となっていた松浦攸吉さん(平和と憲法を守りたい市民の声)から、刊行されたばかりの上記書籍を紹介していただいたのがきっかけでした。
その後も、上記ブログで詳しくご紹介している人と人との繋がりなどもあり、辻本先生からはご厚誼をいただいてきており、2017年には念願の佐藤春夫記念館訪問がかない、辻本先生に詳しく館内をご案内いただいたりしてきました。
さて、その『熊野・新宮の「大逆事件」前後-大石誠之助の言論とその周辺』の待望の増補版が、来たる2024年1月10日に、初版刊行から10年ぶりに発行されることになりました。
ところで、皆さんは「増補版」と聞いてどういうことを想像されるでしょうか。
私は、今、初版と印刷されたばかりの増補版を見比べているのですが(ありがたいことに著者からの「謹呈本」が昨日届きました)、圧倒的にページ数が増えていることは一見しただけで明らかです。
詳しく調べてみると、
初版の最終頁 393頁
増補版の最終頁 687頁
ということで、ほぼ300頁の増加となっています。
目次で確認してみると、初版の最終章は「第Ⅳ部 第11章 熊野における「大逆事件」余聞-漱石の俳句と大石ドクトル一統、そして中上文学へ」でしたが、増補版では、以下の章が新たに付け加えられていました(版元ドットコムから引用)。
増補版の定価「5,000円+税」を高いと思われる方もおられるでしょうが、約300頁の新稿を付け加え、おそらく旧稿部分の修正も行い、カバーも新しくして、「3,800円+税」からわずか1,200円(+税)アップにとどめたのは、この種の研究書の常識からすると、版元(論創社)の英断だと思います。
いわば、「正編」と「続編」の2冊を合本としたような「増補版」です。
是非1人でも多くの方に手に取っていただきたく、ご案内することと致しました。
(通販サイト)
AMAZON
楽天ブックス
紀伊國屋書店ウエブストア
(増補部分)
第Ⅴ部
第十二章 大石誠之助における「信仰」の問題
はじめに
1 誠之助とキリスト教・兄余平の影響
2 「大逆事件」・獄中の誠之助・刑死とその後
第十三章 大石誠之助の獄中落書きに寄せて
第十四章 在米・岩佐作太郎の京都帝大学生宛の「公開状」
「公開状」(抄)
第十五章 熊野川を遡る「新思想」
第十六章 牧師作家沖野岩三郎の『宿命』を読み解く
――「大逆事件」との遭遇と熊野・新宮時代
はじめに―「有りの儘」と「萬年筆と原稿紙の生まれた話」
1 「懸賞小説に当選して 応募について」の感想から
2 新聞連載時改稿と作品「宿命」の問題
3 新宮時代の初期作品から
4 与謝野晶子来訪の問題
5 「細部」の「事実」から読む「宿命」
6 「沖野神話」のひとり歩き
おわりに
第十六章付表・牧師作家沖野岩三郎の『宿命』を読み解く(含・関連年譜)
第十七章 与謝野寛の詩「誠之助の死」成立にみる、晶子の「大逆事件」
1 一九一五(大正四)年三月、晶子「熊野行」の意味
2 「誠之助の死」成立の背景
3 与謝野夫妻と沖野岩三郎の文学的出発
【付・参考資料】
第十八章 「大逆事件」の受刑者たち
――いわゆる「紀州グループ」と言われた人たちをめぐって
はじめに
1 「犠牲者」六名の人と為り
2 六名のその後
3 成石勘三郎の「獄中手記」と崎久保誓一の「名誉回復」への願い
4 再審請求と棄却の問題
おわりに
第十九章 「大逆事件」と熊野の人びとの「現代」
はじめに
1 「大逆事件」とは―石川啄木の慧眼
2 「大逆事件前夜」の熊野新宮
3 犠牲者の名誉回復から大石名誉市民の実現まで
第二十章 大石誠之助の名誉市民実現をめぐって
1 「咽のど喉に刺さったトゲ」
2 反骨の榾火―大石誠之助の名誉市民推挙を支える信念
3 大石誠之助、名誉市民実現に際して
4 〔年表〕 大石誠之助・新宮市名誉市民実現までの道のり
第二十一章 熊野反骨の系譜
1 十津川からの「眼差し」―文武館と「隠岐コミューン」と新宮でのキリスト教受洗
2 畑下(山口)熊野の自由民権運動時代
3 自由民権運動と熊野地方
4 印東玄得のこと―追悼碑建立の「気骨」の裏側で
5 印東熊児が古河力作に贈った「豆本聖書」
6 異境の地での「大逆事件」研究―仲原清のこと
7 「発禁・熊野誌」六号への濱畑榮造氏の書き込み
8 「煉瓦の雨」の下敷きになった大石余平の最期
9 死刑判決を報じる、幻の「熊野日報」の号外
10 「大逆事件」を機に追放された教師たち―八十三年前の「新聞投稿」に触発されて
11 西浦宇吉の歩み
12 沖野岩三郎の「紀南半島夜話」―大石誠之助と津田長四郎への追悼文
13 崎久保誓一、名誉回復への願い
14 坂本清馬、「大逆事件」再審請求の執念と棄却
15 戦争の最中、玉置酉久の讃美歌に誘われて
16 佐藤春夫の父豊太郎の「懸泉堂割譲」への反発
17 佐藤春夫、「老父の賜物」、中国趣味と「強権」への抗いと
18 在野の東欧文学研究・エスペランチスト栗栖継・『真実へのひとり旅』
19 伊達李俊の悲劇
20 管野須賀子の「針文字」展示
21 没後20年の中上健次
22 抵抗の画家・石垣栄太郎は熊野人
23 反戦平和の信念を貫いた女性・北林トモ
24 「人権を取り戻す」―果敢に闘った木村亨
25 堺利彦の故郷、みやこ町・豊津を訪れて
第二十二章 書評など
1 新たな「大逆事件問題」を提起―田中伸尚著『大逆事件―死と生の群像』を読んで
2 I am only a free thinker ―黒川創著『きれいな風貌―西村伊作伝』を読む
3 峰尾節堂のこと―田中伸尚著『囚われた若き僧峯尾節堂 未決の大逆事件と現代』を読む
社会
2021年5月22日配信(予定)のメルマガ金原No.3492を転載します。
『司法はこれでいいのか―裁判官任官拒否・修習生罷免から50年』(現代書館)出版記念集会(2021年4月24日)の動画ご紹介
去る4月24日、東京において、『司法はこれでいいのか―裁判官任官拒否・修習生罷免から50年』(23期・弁護士ネットワーク著/現代書館)の出版を記念した集会が開催されました。主催等は以下のとおりです。
主催:23期弁護士ネットワーク
共催:青年法律家協会弁護士学者合同部会
協賛:日本民主法律家協会
この集会の模様を収録した動画がNPJ(代表の梓澤和幸先生も23期ですね)から公開されていますのでご紹介します。
何しろ全編で3時間17分にも及ぶ長大な動画なので、私もまだつまみ食い的にしか視聴していませんが、以下に集会の概要を引用します。
(引用開始)
☆総合司会 澤藤統一郎
☆出版と集会の趣旨説明 村山 晃
☆挨拶 阪口徳雄(23期修習生罷免当事者)
☆メッセージ(代読) 宮本康昭氏 (13期再任拒否当事者)
第1部 パネルディスカッション (司法の現状把握と希望への道筋)
☆司会 梓澤和幸
☆パネラー冒頭発言
・西川伸一氏 司法の現状:制度と運用の実態をどう把握するか
・岡田正則氏 司法の現状:司法はあるべき職責を果たしているか
・伊藤 真氏 司法の希望への道筋をどう見い出すか。
☆各パネラーへの質疑と意見交換
第2部 具体的事件を通じて司法の希望を語る
☆司会 北村 栄、豊川義明
☆報告者
1 東海第二原発運転差止訴訟弁護団 丸山幸司弁護士
2 生活保護基準引下げ違憲大阪訴訟 小久保哲郎弁護士
3 「結婚の自由をすべての人に」北海道訴訟 皆川洋美弁護士
4 建設アスベスト京都1陣訴訟弁護団 谷 文彰弁護士
5 東京大空襲訴訟弁護団 杉浦ひとみ弁護士
☆フリーディスカッション
冒頭発言 森野俊彦 (23期・元裁判官)
会場・Zoom参加者からの発言
※どうすれば、裁判官の共感を獲得できるか。
※個別事件での獲得課題と司法を変えていく課題とはどう結びつくか。
※司法の独立・民主化に向けて今何が課題なのか など。
☆議論のまとめ 「司法の希望を切り開くために」 豊川義明
☆青法協弁学合同部会議長挨拶
・上野 格
☆閉会あいさつ
・梓澤和幸
(引用終わり)
私は司法修習41期で、1989年(平成元年)に弁護士になりましたから、23期の皆さんは法曹界の大先輩なのですが、それにしても「多士済々」というのはこの「期」のためにあるような言葉だと感心します。
ところで、上記集会の登壇者・発言者の顔ぶれを眺めてみると、私の地元和歌山にご縁のある方が少なくとも2人おられます。
森野俊彦元裁判官はかつて和歌山家裁の上席裁判官としてお世話になりましたし、集会の主役(?)の1人である「修習生罷免から50年」の当事者である阪口徳雄弁護士(大阪弁護士会)は、和歌山で司法修習された大先輩なのです。
記念出版や集会のタイトルとなった50年前の「裁判官任官拒否・修習生罷免」は法曹界にとっての大事件で、このために日本弁護士連合会は臨時総会を開催し(1971年5月8日)、以下の2つの決議を採択したほどです。
第一決議 裁判官の再任拒否に関する決議
第二決議 司法修習生の罷免に関する決議
先ほど、23期の先輩方を「多士済々」と評しましたが、多感な修習生時代(1969年4月~1971年4月)を、「政治の時代」(ひょっとしたら今のところ「最後の政治の時代」だったかもしれません)の荒波に翻弄されて過ごされた世代であったということと深く関連しているのかもしれません。
私もじっくりと視聴させていただこうと思います。
2021年1月23日配信(予定)のメルマガ金原No.3488を転載します。
東京オリンピックは中止すべきか~志位和夫日本共産党委員長の代表質問と菅義偉首相の答弁を視聴した(文字起こし付)
2019年1月25日までの丸6年間、ブログ毎日更新を続けている間は、秘密保護法、安保法制、共謀罪など、問題法案が目白押しであり、国会論戦もそれなりに時間をかけてフォローしていました。
そこで気が付いたことは、日本共産党の「質問力」のレベルが非常に高いということでした。もちろん、他の野党にも、周到な準備を踏まえて鋭く踏み込んだ質問をする議員はたくさんいましたが、共産党は、党としての調査力、分析力が一段他党よりも勝っているのではないかという印象を受けたということです。
中でも、2015年の安保法制審議に際しての志位和夫委員長による質疑に感心した私は、巻末にご紹介したとおり、衆議院特別委員会での2日にわたる志位委員長の質疑を6回分載で「読み解く」ことまでしたほどです。
体調の問題から、ブログ毎日更新が途絶え、ブログを書くのはせいぜい月に2~3回となって以降は、国会論戦も以前ほど熱心にフォローしなくなり、ネット記事であとから気が付くということが多くなりました。これは何とかせねばと思っているのですがね。
その「何とかする」ためのウオーミングアップとして、1月20日から始まった各党代表質問のうち、1月21日の衆議院本会議で行われた志位和夫日本共産党委員長による代表質問と、それに対する菅義偉内閣総理大臣の答弁を聴いてみることにしました。
ただし、今日は、そのうちの「今夏の東京オリンピックを中止すべきか否か」というテーマに絞りました。まだ衆議院WEBサイトには、本会議の会議録がアップされていませんので、衆議院インターネット審議中継で視聴しながら自分で書き起こししてみるという作業を自らに課しましたので、時間と体力の都合から、これくらいがウオーミングアップには適当と判断しました。
志位委員長による代表質問の概要が、しんぶん赤旗WEB版に掲載されているので読んだところ、オリンピック中止を迫るポイントを3つの具体的な問題点に絞って質問していることに感心したため、インターネット審議中継で実際の発言を確認し、文字起こしすることにしたものです。
マスクをしているから、という事情もあるのでしょうが、2015年の安保法制審議の際に比べると、さすがの志位委員長も、声の調子がいまひとつかな、と思わざるを得ないのは残念でしたが、それでも早口に原稿を読み飛ばしていく菅首相の滑舌の悪さに比べればはるかにましです。それに、質問の内容自体は、限られた時間の中で説得力を持たせるため、しっかりと吟味されていました。
なお、志位委員長の質問だけというわけにもいかないので、菅首相によるオリンピック関連部分の答弁も書き起こししましたが、「ワクチンを前提としなくても、安全・安心の大会を開催できるよう準備を進めています」には議場から(主に野党席からでしょうが)呆れたようなどよめきが起こり、「必要な医療体制については、地域医療に支障を生じないよう、東京都、組織委員会などと連携しつつ準備を進めてまいります」については、目的と手段が乖離していないか、心配になるところです。
答弁を起案したのは官僚でしょうが、このテーマ(オリンピック)については、官僚も既に「投げて」いるのではないか、などと思ったりしました。
皆様も、じっくり比較して味わっていただければと思います。
2021年1月21日 衆議院本会議より
志位和夫日本共産党委員長
衆議院インターネット審議中継 1時間28分45秒~1時間31分33秒
日本共産党YouTubeチャンネル動画 16分20秒~19分08秒
総理は施政方針演説で、今年の夏の東京オリンピック・パラリンピックを、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として開催すると述べました。しかし、コロナ機器の拡大の下、世論調査でも、中止・再延期を求める声は既に8割を超えています。総理は一体何を根拠に夏の東京五輪の開催が可能だと言うんですか。説明いただきたい。
我が党は、夏の東京五輪の開催は、いくつもの重大な問題点があると考えます。
第一に、一部の国でワクチン接種が始まったものの、集団免疫については、WHOの主任科学者は、「2021年中に達成することはあり得ない。いくつかの国ではできるかもしれないが、世界全体の人が守られる水準になることはない」と述べています。ワクチンを頼りに、開催を展望することはできないのではありませんか。
第二に、アスリートが最も強く願っている「フェアな大会」という点でも、各国の感染状況の違いによって、アスリートの置かれている練習などの環境に大きな較差があり、ワクチンの接種でも、先進国と途上国との間で較差が生じています。「アスリート・ファースト」という立場からも、開催できる条件がないのではありませんか。
第三に、五輪開催期間中に必要とされる医療従事者は、熱中症対策だけでも5,000人とされています。これに、PCR検査などコロナ対策を加えたら、これをはるかに上回る医療従事者が必要となるでしょう。半年後に、多数の医療従事者を医療現場から引き離して五輪に振り向けることはとても現実的ではないのではありませんか。
総理は、これらの問題点をどう考えますか。日本共産党は、これらの問題点を考慮するならば、今年夏の五輪開催は中止し、日本と世界のあらゆる力をコロナ収束に集中するべきだと考えるものであります。
総理に求めたい。開催国の政府として、「五輪開催ありき」でなく、ここで立ち止まって、ゼロベースから開催の是非を再検討し、東京都、組織委員会、IOCなどとの協議を開始すべきではありませんか。答弁を求めます。
菅義偉内閣総理大臣
衆議院インターネット審議中継 1時間42分38秒~1時間44分08秒
日本共産党YouTubeチャンネル動画 30分13秒~31分41秒
コロナ危機と東京五輪の開催についてお尋ねがありました。まずは、新型コロナウイルスの克服に全力を尽くします。東京大会については、安全・安心の大会を実現するため、IOCや各競技団体とも相談しながら、感染対策の具体的内容を検討してまいります。バッハ会長とも、東京五輪を必ず実現をし、今後とも緊密に協力していくことにしており、引き続き東京都、大会組織委員会、IOCなどと緊密に連携して準備をしっかりと進めてまいります。
ワクチン、アスリートとの問題、医療体制についてお尋ねがありました。アスリートも含めて、感染症対策をしっかり行うことにより、ワクチンを前提としなくても、安全・安心の大会を開催できるよう準備を進めています。また、必要な医療体制については、地域医療に支障を生じないよう、東京都、組織委員会などと連携しつつ準備を進めてまいります。
東京五輪の開催の再検討についてお尋ねがありました。さきほど申し上げましたとおり、新型コロナウイルス克服に全力を尽くし、引き続き万全な感染対策を検討し、準備をしっかりと進め(以下聴取不能ですが、文脈からいうと「ております」ですかね)。
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2015年5月28日
国会論戦はこうありたい~志位和夫日本共産党委員長による安倍首相追及を多くの人に視聴して欲しい
2015年6月1日
志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く(1)~自衛隊は「戦闘地域」に派遣される
2015年6月2日
志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く(2)~必ず戦死者が出る
2015年6月3日
志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く(3)~兵站は軍事行動の不可欠の一部
2015年6月4日
志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く(4)~治安維持でも「殺し、殺される」
2015年6月5日
志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く(5)~日本は“米国の戦争”に反対したことはただの一度もない
2015年6月6日
志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く(6/完)~ベトナム戦争とイラク戦争を教訓としない国
(あしたの朝 目がさめたら 弁護士・金原徹雄のブログ2
から)
2015年6月6日
志位和夫日本共産党委員長による安保法制特別委員会質疑(まとめ)
2020年12月18日配信(予定)のメルマガ金原No.3483を転載します。
放送大学・ラジオ科目「感染症と生体防御('18)」(45分講義×15回)がインターネットで全編公開(OCW)されています
私が、COVID-19感染症の蔓延という事態の下、私自身が学生として在籍する放送大学に対し、ラジオ科目「感染症と生体防御('18)」(45分講義×全15回)をOCW(オープンコースウエア)として、全編インターネットで公開して欲しいと大学当局にお願いするブログを書いたのが今年の8月2日のことでした。
2020年8月2日
放送大学はラジオ科目「感染症と生体防御('18)」全15回を全編インターネットで公開してください
また、その翌8月3日には、放送大学の学生(私のことですが)から大学当局に対する「要望書」の形に書きあらためて郵送しました。この「要望書」については、以前のブログ(放送大学「危機の時代に考える」(全15回をWEBで公開)視聴の勧め/2020年9月6日)でもご紹介しましたが、以下に本文のみ再掲します。
(引用開始)
(要望の趣旨)
本学開講科目(ラジオ)「感染症と生体防御('18)」全15回をオープン・コース・ウェア(OCW)として、速やかに全編インターネットで公開されることを要望致します。
(要望の理由)
日頃より、私たち学生にとって生涯学習の拠点である本学の運営に多大のご配慮をいただき、心より御礼申し上げます。
また、本年上半期に発生したCOVID-19感染症の蔓延という事態に際し、実施できなくなった面接授業の代替措置としてのWEB講義を短時間のうちにご用意いただくなど、単位認定試験の代替方法の策定などを含め、適切なご配慮をいただき、感謝申し上げます。
さて、私が居住する和歌山県におきましても、いったんは収束したかに見えた新型コロナウイルスによる感染者が、7月9日以降、第一波襲来時を上回るペースで増加しており、県の担当者自ら「第二波襲来であると認識している」と明言している状況です。
このような中、本学・生活と福祉コース開設科目である「感染症と生体防御('18)」をシステムWAKABAを通じて視聴したところ、感染症についての正しい基礎知識を身につける上で、非常に有益な科目であることを確信し、次学期には科目登録したいと考えております。
ところで、本学学生であれば、上記科目の全講義を、システムWAKABAを通じていつでも視聴できますが、一般には、その第1回のみが公開されているに過ぎません。
本学では、既にテレビ授業32科目、ラジオ授業24科目が、15回の講義全てをインターネットで視聴できるように公開されており(OCW)、「感染症と生体防御('18)」をこれに加えることは、主任講師、分担講師の先生方のご了解さえあれば、それほど困難なことではないと思われます。
COVID-19をめぐっては、様々な言説がマスメディア、ネット空間を飛び交っており、自らの思考の拠り所としての、学説上の共通認識(到達点)についての正しい知識を身につけることが、今ほど求められている時はないと存じます。
そして、本学開設科目「感染症と生体防御('18)」は、まさにそのような国民的要請に応え得る素晴らしいツールであると思います。
放送大学に期待される使命から見ても、現時点において、最も歓迎される社会貢献となるのではないかと考えます。
以上の理由により、「要望の趣旨」記載のとおり、「感染症と生体防御('18)」全15回をOCWとして、全編インターネットで公開されることを要望致します。
(引用終わり)
私が言いたかったことは上記「要望書」に尽きるのですが、さてその結果です。「要望書」は送ったものの、そう簡単には実現しないかもしれないと思っていたところ、9月下旬、私の自宅に放送大学から封書が届き、開けてみると、何と学長の來生新先生からの「要望書」に対するお礼と現状報告のお手紙であり、はなはだ恐縮したことでした。
來生学長は、「要望書」の趣旨に賛意を示された上で、「感染症と生体防御('18)」全15回を公式サイトで一般向けに公開するにあたっては、学内手続きにそれなりに時間を要するが、必ず実現する見通しであると説明してくださっていました。
ということで、その後、おりおりには放送大学のホームページを確認していたのですが、しばらくチェックを怠っていたところ、本日(12月18日)、
放送大学公式サイト トップページ
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特集
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新型コロナウイルス状況下での学習をサポートする学習コンテンツのご提供
上記ページを確認してみると、「OCW(全15回公開) ラジオ」の上から4番目に「感染症と生体防御(’18)」が掲載されており、45分講義×全15回が全編公開されていることに気が付きました。
本講義はラジオ科目ですから、基本的に音声のみで動画はありませんが、この科目は、逐語的に字幕を表示する機能も付いており、字幕を表示したい場合には、画面右下に4個並んでいるうちの右から2番目のボタン(Settings)をクリックし、「Subtitles」の右側を選択してください(左側を選択すると字幕は表示されません)。
以下に、「感染症と生体防御('18)」のシラバスから、講義概要と各回の担当講師名をご紹介しておきます。
(引用開始)
感染症と生体防御(’18)
主任講師名:田城 孝雄(放送大学教授)、北村 聖(地域医療研究所シニアアドバイザー)
【講義概要】
本講義は、人間の健康について広範に論ずる「健康科学」の中の講義の一つとして実施される。健康科学は人間生活に密接に関わる学問であることから、感染症関係では昨今の話題であるHIV、結核はもとよりSARS、新型インフルエンザなどの新興・再興感染症と医療現場での感染症問題に特に焦点を当てた。また、生態防御については、免疫システムの多様性と多型性、自然免疫と獲得免疫、自己免疫と免疫が関与する疾患などを中心に免疫学の最近の動向についてわかりやすく疾患との関係も踏まえながら講義を行う。
【授業の目標】
交通機関の発達、生活様式の変化、そして医療技術の進歩や医療行為に伴い現代社会に脅威を及ぼしている感染症の特徴を正しく理解するとともに、これら感染症などに対処するためにヒトが有している免疫システムの特徴および多様性について理解を得るようにする。
【各回のテーマと授業内容】
第1回 ヒトと感染症の歴史
講師名:田城 孝雄(放送大学教授)
第2回 免疫学総論
講師名:北村 聖(地域医療研究所シニアアドバイザー)
第3回 細菌感染と免疫応答
講師名:北村 聖(地域医療研究所シニアアドバイザー)
第4回 ウイルス感染と免疫応答
講師名:北村 義浩(元国際医療福祉大学教授)
第5回 市中感染症①
講師名:岩田 健太郎(神戸大学教授)
第6回 市中感染症②
講師名:岩田 健太郎(神戸大学教授)
第7回 結核
講師名:乾 啓洋(順天堂大学准教授)
第8回 HIV感染症
講師名:乾 啓洋(順天堂大学准教授)
第9回 真菌感染症
講師名:高橋 優三(岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授)
第10回 寄生虫感染症
講師名:高橋 優三(岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授)
第11回 衛生動物による健康被害
講師名:高橋 優三(岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授)
第12回 医療関連感染症①
講師名:矢野 晴美(筑波大学教授)
第13回 医療関連感染症②
講師名:矢野 晴美(筑波大学教授)
第14回 予防接種と感染症
講師名:北村 義浩(元国際医療福祉大学教授)
第15回 21世紀の感染症の課題-国内と国際保健の課題-
講師名:田城 孝雄(放送大学教授)
北村 義浩(元国際医療福祉大学教授)
高橋 優三(岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授)
(引用終わり)
ところで、本日(12月18日)現在、15回の講義全てがインターネットで公開されている(OCW)放送大学の科目は、テレビ授業41科目、ラジオ授業40科目に達していました。
本年度はじめ(4月)に確認した時点では、たしか、テレビ授業32科目、ラジオ授業24科目であったと思いますので、この間、新型コロナウイルス感染症拡大の収束が見通せないという状況の下、「新型コロナウイルス状況下での学習をサポートする学習コンテンツ」という位置付けから、「感染症と生体防御('18)」だけではなく、多くの科目を追加公開するという判断に至ったのではないかと推測します。
是非、公開されているテレビ科目、ラジオ科目の一覧に目を通し、ご自身が興味を持たれた科目を見つけた上で、じっくりと視聴・学習していただければと思います。
2020年8月27日配信(予定)のメルマガ金原No.3477を転載します。
本稿は、昨日(2020年8月26日)、私のFacebook及び第2ブログ(あしたの朝 目がさめたら)に掲載したものを転載するものです。
ある日の挿話
平日の朝、和歌山市内の路線バスに乗車する機会など全くなかった私が、この8月半ば以降、3回も同じ路線のバスに乗っている。
停留所の名前を出しても、和歌山市在住の人以外には少しも土地勘が働かないだろうが、私が乗ることになったのは、JR和歌山駅前を出発し、海南駅前を終点とする路線バスであり、私は、事務所近くの「公園前」停留所から乗車し、「医大病院前」で下車している。
先日、3回目の時には、中学生と思しき生徒たちが多く乗車していたこともあり、前2回の時とは異なり、乗車した際には座る席がなかった。
ただ、「市役所前」と「県庁前」で降りる人もあり、特に「県庁前」では私の近くの席が空いた。
その席のすぐ前に立っていた女子中学生は、その制服から、私のはるか後輩らしく、であれば、「県庁前」の次の「真砂町(まさごちょう)」で降りると思われた。
実際、その女生徒は、空いた席に座るそぶりを見せず、かえって、近くにいた私が座りやすいように、身体を少し前方にずらしてくれたように見えた。
私が、彼女に会釈してその席に座った際、女生徒も会釈を返してくれたようだった。
予想通り、次の「真砂町」で、彼女や他の男女の中学生何人かが降りて行った。
「真砂町」バス停で乗り降りする中学生といえば、私の後輩としか考えられないが、私がその中学校にバス通学していた60年代終わりから既に半世紀以上が経ち、当時、「どういう場合に席を譲ろうか」と考えていた私が、いまや中学生から席を譲られて、人も自分も怪しまない年齢に達したことにそれなりの感慨を覚えたという、残暑まことに厳しいある日の挿話である。
2020年8月2日配信(予定)のメルマガ金原No.3476を転載します。
放送大学はラジオ科目「感染症と生体防御('18)」全15回を全編インターネットで公開してください
今日は、去る4月19日に書いた「緊急事態宣言下での「放送大学」視聴の勧め~寺脇研さんの呼びかけに応えたひとりの放送大学学生として」の続編です。
続編ですから、放送大学の学生ではない方のための、放送大学の基本的な授業提供システムについての説明を繰り返すことはしませんので、興味のある方は前編をお読みいただければ幸いです。
今日書くことは、内容的には、1人の放送大学学生としての大学に対する「提言」ということになりますので、何もブログで公開せずとも、大学宛にメールか手紙を送れば良いようなものではありますが、出来れば他の放送大学の学生の皆さんにも読んでいただきたい気持ちもあり、ブログに書くことにしました。
私は、巻末リストにあるように、自分が受講したり、受講し損なったりした(「日本美術史('14)」がそれですね)放送授業の視聴を皆さんにお勧めするブログを過去何本も書いていますが、今日は、これから(2020年2学期)受講申込みをするつもりの授業(ラジオ科目)をご紹介しようと思っていました。それは、生活と福祉コースの導入科目、「感染症と生体防御('18)」という科目です。
少し長くなりますが、シラバスの重要部分をご紹介しましょう。
(引用開始)
感染症と生体防御(’18)
Infectious
Disease and Host Defense ('18)
主任講師名:田城 孝雄(放送大学教授)、北村 聖(地域医療研究所シニアアドバイザー)
2020年度 [第2学期]放送時間(BS531チャンネル)
(水曜)15:00~15:45 ※10月7日から
【講義概要】
本講義は、人間の健康について広範に論ずる「健康科学」の中の講義の一つとして実施される。健康科学は人間生活に密接に関わる学問であることから、感染症関係では昨今の話題であるHIV、結核はもとよりSARS、新型インフルエンザなどの新興・再興感染症と医療現場での感染症問題に特に焦点を当てた。また、生態防御については、免疫システムの多様性と多型性、自然免疫と獲得免疫、自己免疫と免疫が関与する疾患などを中心に免疫学の最近の動向についてわかりやすく疾患との関係も踏まえながら講義を行う。
【授業の目標】
交通機関の発達、生活様式の変化、そして医療技術の進歩や医療行為に伴い現代社会に脅威を及ぼしている感染症の特徴を正しく理解するとともに、これら感染症などに対処するためにヒトが有している免疫システムの特徴および多様性について理解を得るようにする。
【各回のテーマと授業内容】
第1回 ヒトと感染症の歴史
感染症は、人間社会の脅威となってきた。交通機関の発達や医学の進歩により克服されたと思われていた感染症は、薬剤耐性を獲得するなどして、その様相を変えて再び現代社会の脅威となっている。講義では人類に脅威を及ぼしてきた感染症の変遷、そして対策の変化を理解する。
放送担当講師名:田城 孝雄(放送大学教授)
第2回 免疫学総論
疫(感染症)を免れるという体の免疫のしくみ、免疫系を構成する要素とその働きについて解説する。抗体の構造と機能、抗体の種類とその生物学的活性、抗体の多様性を生み出す遺伝子の再構成、抗体を作り出すリンパ球の種類とその機能、リンパ球の働きを調節する分子等について述べる。
放送担当講師名:北村 聖(地域医療研究所シニアアドバイザー)
第3回 細菌感染と免疫応答
細菌感染の概説、感染症を生じる病原細菌の分類と、感染経路と、生体防御機構の細菌感染に対する免疫応答について解説する。
放送担当講師名:北村 聖(地域医療研究所シニアアドバイザー)
第4回 ウイルス感染と免疫応答
ウイルスの性質とウイルス感染の基本を学ぶ。ウイルス感染に対する宿主の免疫応答の基本も学ぶ。
放送担当講師名:北村 義浩(元国際医療福祉大学教授)
第5回 市中感染症①
普段の社会生活を送っている中で罹患した感染症である市中感染症は最も一般的な感染症である。市中感染症に関して、その起因菌と診断について解説する。
放送担当講師名:岩田 健太郎(神戸大学教授)
第6回 市中感染症②
普段の社会生活を送っている中で罹患した市中感染症に関して、その代表的な疾患を挙げて、診断と治療を講義する。感染症の診断には、病原体を検出する方法と、患者が示す免疫反応により診断する方法がある。感染症の治療の中心である化学療法薬の分類と実際の使用法について解説する。
放送担当講師名:岩田 健太郎(神戸大学教授)
第7回 結核
人類とともに歩んできた結核が、現在もなお世界の大きな保健医療上の課題となっている現状を認識させるとともに、感染症としての結核についてその病原体、感染伝播の様式、発病にいたる経過などについて基本的な知識を習得させる。結核の発病、診断、治療そして予防について基本的な知識を習得させる。
放送担当講師名:乾 啓洋(順天堂大学准教授)
第8回 HIV感染症
流行発覚後4半世紀の間に、HIV/AIDS流行は推定感染者数4千万人というパンデミックに発展し、現在東アジアで急速に拡大しつつある。わが国は、多剤併用療法登場後も、HIV感染者とAIDS患者数が、未だに同時に増加を続けている稀な先進国である。HIV感染とAIDSの病態について解説する。
放送担当講師名:乾 啓洋(順天堂大学准教授)
第9回 真菌感染症
真菌には種々の種類がある。発酵食品の製造で役立つものもあるが、住居や食べ物に生えて人々を不快にするカビもある。ヒトの体にも、この真菌が感染し水虫、フケなどの病害を及ぼす。症状が無く、本人が感染に気が付かない不顕性感染もあるし、体の深部にも感染が広がり、時には重篤となる場合もある。真菌感染症を防ぐ日常生活の知識を紹介する。
放送担当講師名:高橋 優三(岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授)
第10回 寄生虫感染症
寄生虫感染症はウイルスや細菌などの感染症と比較して、生物学的、臨床的、また公衆衛生学的にも、興味深い側面を有している。病原体自身が高度に進化した動物であり、寄生適応にあたって、複雑な宿主-寄生虫相互作用を必要としている。感染の成立の条件を軸に、講義では、寄生虫感染がその地域の環境や文化に依存している例を挙げ、安全な海外旅行や食生活のための知識を紹介する。
放送担当講師名:高橋 優三(岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授)
第11回 衛生動物による健康被害
衛生動物とは、人の健康に害を及ぼす有害な小動物の総称である。健康害としては、アレルギー反応(ダニ、蜂、蚊、ムカデなど)、有毒物質(蛇、アオバアリガタハネカクシ)、病原体の媒介(蚊、ツェツェバエ、マダニ、鼠、犬など)などが知られている。特にアナフィラキシーショック、熱性疾患(マラリア、アフリカ睡眠病、出血熱)、狂犬病などは、命に関わる重大関心事である。
放送担当講師名:高橋 優三(岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授)
第12回 医療関連感染症①
(医療関連感染)
医療関連感染とは入院後、48時間以降に起こった感染症の総称である。代表的な医療関連感染の概要およびその包括的な予防策について学ぶ。
放送担当講師名:矢野 晴美(筑波大学教授)
第13回 医療関連感染症②
(感染経路別感染対策と職業感染予防)
院内における感染経路のまとめと感染経路別感染対策について学ぶ。また医療現場での職業感染対策について、ワクチン接種および針刺し切創について学ぶ。
放送担当講師名:矢野 晴美(筑波大学教授)
第14回 予防接種と感染症
ワクチンは病原体の一部分、あるいは病原性を減弱した病原体から作られる。感染症から身を守るためには治療よりもワクチンによる予防の方が効果的である。ワクチンと予防接種の基本とわが国の予防接種行政の仕組みの概略を学ぶ。
放送担当講師名:北村 義浩(元国際医療福祉大学教授)
第15回 21世紀の感染症の課題
-国内と国際保健の課題-
わが国の感染症対策は明治維新以降の国家体制の整備とともにはじまり、医学の進歩等により感染症は急速に制圧されていった。しかしまた、これまで知られていなかった新たな感染症も出現している。感染症対策には医療体制の整備など発生時の的確な対応のみならず、法制度等の整備による事前対応型対策の展開、国際協力などの政策が重要となる。感染症が社会生活に及ぼす影響、国内外の対策、課題、今後の方向性を理解する。さまざまな感染症の世界的規模での流行が危惧される今日、これらに起因する健康被害の発生予防、拡大防止、治療対策を迅速に講じ、初期段階で感染症を制圧することが極めて重要である。途上国の感染症の実態に触れ、わが国の国際協力の在り方について探る。
放送担当講師名:田城 孝雄(放送大学教授)
北村 義浩(元国際医療福祉大学教授)
高橋 優三(岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授)
(引用終わり)
放送大学の講義の多くは4年から6年で内容が改訂されますが、この「感染症と生体防御」も、私が放送大学の学生となった2008年以降も、2008年、2014年、2018年と改訂され、現在開講中の授業は2018年改訂版です。
このように、改訂されながらずっと提供され続けていることは、看護師資格取得のための必須科目という位置付けがあるからかもしれませんが、その重要性がうかがい知れます。
そして、今年に入ってからのCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の蔓延です。今この時にあたり、多くの国民が感染症に関する正確な基礎知識を身につける必要性が誰の目にも明らかとなっているのですから、放送大学でも、それなりの配慮があってしかるべきではないかと思い、まず、2020年第1学期(4月~9月)の番組表を調べてみました。
特に、通常放送が終わった後の「夏期学習期間」(7月15日~9月30日)に、「感染症と生体防御('18)」の集中再放送があるのでは?と期待をもって見てみたのですが、残念ながらありませんでした。
まあ、この1学期の番組を編成する頃には、まだコロナウイルスのことなど誰も念頭になかったでしょうから仕方がありませんけどね。
それであれば、このラジオ科目(45分×15回)を誰でもインターネットで聴けるようにできないのだろうか?そうです、オープン・コース・ウェア(OCW)です。
4月に書いたブログでご紹介したとおり、既に放送大学では、テレビ32科目、ラジオ24科目が全15回公開されていますので、これに「感染症と生体防御('18)」を追加して公開することがそんなに難しいことだとは思えないのですけど。
分担講師の中に神戸大学の岩田健太郎教授がおられたり、講師陣も多士済々と思われますが、ネットでの公開に反対される人はどなたもおられないでしょう。
国費を投入して制作された番組なのですし、こういう時にこそ、公開大学としての国民に対する責任を果たす時だと思います。
結論として、「感染症と生体防御('18)」全15回をOCWとして、速やかに全編インターネットで公開されることを大学当局にお願いしたいと思います。
ちなみに、「感染症と生体防御('18)」の第1回だけは、見本として公開されています(ラジオの039番です)。
https://v.ouj.ac.jp/view/ouj/#/navi/vod?ca=494
https://v.ouj.ac.jp/view/ouj/#/navi/player?co=8958&ct=V&ca=1051
(弁護士・金原徹雄のブログから/放送大学関連)
2015年1月30日
放送大学(オープンコースウェア)受講の勧め~学ぶことは楽しい
2015年10月22日
放送大学「日本美術史('14)」単位認定試験にかかわる見過ごせない大学の措置について
2015年10月24日
放送大学長「単位認定試験問題に関する件について」を批判的に読む
2016年1月30日
放送大学で学ぶ“貧困”~「貧困と社会('15)」(西澤晃彦神戸大学大学院教授)受講の奨め
2016年8月6日
高橋和夫教授の「パレスチナ問題('16)」(放送大学)受講のすすめ
2017年1月26日
高橋和夫教授(放送大学)の「パレスチナ問題('16)」全15回を是非視聴して欲しい
2017年5月1日
IWJからの緊急メッセージと高橋和夫放送大学教授の4講義「受講」の奨め
2017年5月23日
山部赤人はどこから富士を眺めたのか?~「名歌「田子の浦ゆ・・・」を解釈する
2017年8月17日
高橋和夫教授(放送大学)の「パレスチナ問題('16)」全15回を是非視聴して欲しい(再説)
2018年1月19日
放送大学あれこれ~高橋和夫教授の退任と「子ども居場所づくりで子そだち子そだて支援-学びは生きる力-」(2/10和歌山学習センター)
2019年4月2日
初めて大学の卒業式(学位記授与式)に出席しました
2020年2月1日
テキスト(印刷教材)は捨てられない
2020年2月2日
タカ派こそ「和平」を進められる~けれどもタカ派にも色々ある
2020年4月19日
緊急事態宣言下での「放送大学」視聴の勧め~寺脇研さんの呼びかけに応えたひとりの放送大学学生として
2020年7月22日配信(予定)のメルマガ金原No.3473を転載します。
蓮池透氏講演会のお知らせ(2020年8月8日)@和歌山市勤労者総合センター
以前、「弁護士・金原徹雄のブログ」でお知らせしたとおり、核戦争防止和歌山県医師の会・2020年平和講演会(講師:久保田智子さん)が、去る7月18日(土)に和歌山県JAビル2F和ホールで開かれました。
キャパ(テーブル2人掛けで)120人の会場を借りたということで、チラシには定員60人(要事前申込)となっていましたが、もしも60人を超えるようなら、椅子席だけにするかもしれないということでした(椅子だけならキャパ320人なので)。
私は所用のために参加できませんでしたが、参加した知人に聞いたところ、会場は椅子席のみであったそうですから、申し込みが60人を超えたのかもしれません。
この週末(7月25日)午後2時から、和歌山県民文化会館小ホールを会場とした上方落語会「桂南光独演会」(主催:和歌山音楽愛好会フォルテ)が久々に開催される旨主催者から案内がありましたが、やはりキャパ(324)の半分しか客入れできないということで、開催するかどうか迷ったものの、米朝事務所と協議した結果、何とか開催に踏み切ることにしたということでした。
このようにして、「キャパの50%以下」という「目安」という名のしばりはありつつ、徐々に各種企画が動き出しているところに、市民連合わかやまから蓮池透さん講演会のチラシを入手しましたので、ご紹介することとします。
(チラシから開催概要を引用開始)
蓮池透さんと語ろう
日時 2020年8月8日(土)
開場:13時00分
開演:13時30分
会場 和歌山市勤労者総合センター
和歌山市七番丁23番地 電話:073-432-0001
資料代 500円
※マスク着用願います
主催 市民連合わかやま
連絡先 講演会事務局 ☎090-7757-1959
(引用終わり)
なお、開催概要以外のチラシ記載事項の一部もご紹介しておきます(選挙のための公約を列挙したような部分は、興味があればチラシをご覧ください)。
(引用開始)
みんなで変えよう、
生きづらい世の中を
地方に住んでいるから見えてきた
元東電社員だから見えてきた
拉致問題から見えてきた
拉致問題の真実
原発神話の嘘
安倍政権の冷血さ
(引用終わり)
「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」元事務局長、東京電力元社員で、『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)の著者であり、昨年(2019年)夏の参院選では、山本太郎氏率いる「れいわ新選組」から比例候補として立候補するも落選した蓮池透さんについては、「一度じっくりとそのお話をうかがってみたい」と思われる方も多いのではないでしょうか。
ということで、会場の和歌山市勤労者総合センター(チラシに記載がありませんが、6階の文化ホールに決まっています)の施設案内をホームページで確認してみました。
それによると、「定員 180名」となっており、これは当然「椅子だけ」並べた場合の数字でしょう。
和歌山県がホームページで公開している「イベント開催制限の段階的緩和の目安」の「基本的な考え方」によると、「8月1日以降」の「屋内イベント」については、「収容率50%以内」がやはり「目安」となるようですから、蓮池透氏講演会をこれにあてはめれば、とりあえず「90人上限」という数字が出てきます。
チラシには、事前申し込み必要とも何とも書いていませんので、90人以上の来場は予想していないのかもしれません(勝手な推測ですが)。
和歌山県が6月1日以降、「感染防止対策の徹底のため、下記ガイドライン等の遵守をお願いします。」としているガイドラインは、この種講演会については、公益社団法人全国公立文化施設協会が5月25日に公表した「劇場、音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」でしょう(県のホームページがリンクしています)。
私も、「守ろう9条 紀の川 市民の会」の第17回憲法フェスタ(11月3日@和歌山市河北コミセン)の企画を検討中なので、人ごとではなく、切実な問題として関心があります。今後、同種の講演会を企画する団体の参考ともなりそうな部分を引用してみます。
(抜粋引用開始)
〇公演会場入口
・公演主催者に対し、会場の入口に手指消毒用の消毒液を設置するように要請してください。
・会場入口の行列は、最低1m(できるだけ2mを目安に)の間隔を空けた整列を促す等、人が密集しないよう工夫するようにしてください。
〇チケット窓口
次の通りチケット窓口で対応を行うものとし、公演主催者やチケット取扱事業者に対しても同様の取り組みを要請してください。
・対面で販売を行う場合、アクリル板や透明ビニールカーテンにより購買者との間を遮蔽するよう努めてください。
・チケット窓口の行列では、最低1m(できるだけ2mを目安に)の間隔を空けた整列を促す等、人が密集しないよう工夫するようにしてください。
〇公演主催者に協力を求める具体的な対策
(公演前の対策)
・チケットシステム等により事前に把握している範囲で、公演ごとに、来場者の氏名及び緊急連絡先の把握に努めてください。また、来場者に対して、こうした情報が来場者から感染者が発生した場合など必要に応じて保健所等の公的機関へ提供され得ることを事前に周知してください。
・来場前の検温の実施の要請のほか、来場を控えてもらうケースを事前に周知するようにしてください。
(公演当日の対策)
・感染予防のため、施設管理者と協力の上、来場者に対し以下について周知してください。
咳エチケット、マスク着用、手洗い・手指の消毒の徹底、社会的距離の確保の徹底、下記の症状に該当する場合、来場を控えること(咳、呼吸困難、全身倦怠感、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、味覚・嗅覚障害、眼の痛みや結膜の充血、頭痛、関節・
筋肉痛、下痢、嘔気・嘔吐)
・以下の場合には、入場しないよう要請してください。
① 発熱があり検温の結果、37.5℃以上の発熱があった場合
② 咳・咽頭痛などの症状がある場合
③ 新型コロナウイルス感染症陽性とされた者との濃厚接触がある場合
④ 過去 2 週間以内に政府から入国制限、入国後の観察期間を必要とされている国・地域への訪問歴及び当該在住者との濃厚接触がある場合等
・パンフレット・チラシ・アンケート等は極力手渡しによる配布は避けるようにしてください。
・接触感染や飛沫感染を防止するため、消毒や換気の徹底、マスク着用と会話抑制等、複合的な予防措置に努めてください。
・座席は原則として指定席にするなどして、適切に感染予防措置がとれる席配置とするよう努めてください。
・座席の最前列席は舞台前から十分な距離を取り、また、感染予防に対応した座席での対策(前後左右を空けた席配置、又は距離を置くことと同等の効果を有する措置等)に努めてください。
・公演中の来場者同士の接触は控えていただくよう周知するほか、座席のひじ掛けの使用についても、左右いずれかに統一するように要請してください。
・場内における会話は控えていただくよう周知してください。
・事前に密集状況が発生しないように余裕を持った休憩時間を設定し、トイレなどの混雑の緩和に努めてください。
・パンフレット等の物販を行う場合、最低 1m(できるだけ2mを目安に)の間隔を開けて整列していただくようにしてください。
・物販に関わる従業員は、マスクの着用と手指消毒を徹底してください。
・対面で販売を行う場合、アクリル板や透明ビニールカーテンにより購買者との間を遮蔽してください。
(公演後の対策)
・公演ごとに、可能な範囲で来場者の氏名及び緊急連絡先を把握し、名簿を作成・保存するよう努めてください。
・感染が疑われる者が出た場合、保健所等の公的機関による聞き取りに協力し、必要な情報提供を行ってください。
・なお、個人情報の保護の観点から、名簿等の保管には十分な対策を講ずるようにしてください。
(引用終わり)
最後に、以上のガイドラインをざっと読んで、私が今、講演会を企画してチラシを作るとしたら、こういう情報は書いておくかもしれないと思うことを書き留めておきます(事前申込制は無理と判断し、主催者において検温する場合を想定)。
〇新型コロナウイルス感染症感染予防のため以下の点にご協力ください(ご協力いただけない場合には入場をお断りすることがあります)。
・マスクは必ず着用願います。
・高熱、体調不良の方は入場をご遠慮ください。
・入場される際の検温にご協力ください(37.5℃以上の方は入場をお断りします)。
・入場の際、受付にて氏名及び緊急連絡先のご記入をお願いします。この情報は、万一来場者から感染者が発生した場合、保健所等の公的機関に提供されますのであらかじめご了承ください(それ以外の目的には使用しません)。
2020年7月11日配信(予定)のメルマガ金原No.3472を転載します。
長野たかしさん・あやこさんの新作CD『残り時間』を是非聴いて欲しい
「『関西フォーク』というムーブメントがあった」と聞いてぴんと来る人、知識として知っているだけではなく、「自分もそのムーブメントに参加していた」という自覚がある世代の中では、1954年(昭和29年)生まれの私などは、比較的若い方(?)でしょうか。
「関西フォークの時代」をいつからいつと定義するかは困難な問題ですが、私の個人史に引きつけて言うと、1967年末の『帰ってきたヨッパライ』(ザ・フォーククルセダーズ)の発売・大ヒット(私は中学1年生)に始まり、岐阜県の坂下町(現中津川市)、椛の湖のほとりで開かれた第3回全日本フォークジャンボリー(高校2年生だった私も友人とテント持参で参加していた)が、一部参加者による舞台占拠をもって幕を閉じた1971年夏まで、という気がします。
そして、その頃歌い始めたアーティストで、今なお現役という方々も多い中で、私が、ここ数年の間に、和歌山のライブハウスで生の演奏に複数回接することができ、とても感銘を受けた方々のお名前を挙げるとすると、中川五郎さん、よしだよしこさん、そして、長野たかしさん(元五つの赤い風船のベーシスト)と奥様の森川あやこさんでしょうか。
このうち、長野たかしさん・あやこさんについては、ほぼ毎年、和歌山でのライブにおじゃましているように思います。実際、そのライブ会場で手売りされていた以下の4枚のCDを都度購入させてもらっていますので。
『Face to Face 面と向かって!』 6曲収録
「花をください」「君こそは友」「心のネット」「生きる」「コップ半分の酒」「Hard Times
Come Again No More」
『希求』 11曲収録
「めぐり逢い」「灰色の街」「私が歌う理由(わけ)」「コップ半分の酒」「希求」「Last
night I had strangest dream」「追放の歌」「勇気を出して」「モノローグ」「つまんない歌」「夢の夜会」
『同じ丘に立って』 10曲収録
「同じ丘に立って」「私が私と言えるよう」「このままじゃ死ねないね」「心許なきこの国で」「光あるうちに」「街はレンガ色に」「何もせん隊ダジャレンジャー」「いいんだよ
それで」「守ろうこの平和」「同じ丘に立って(instrumental)」
『れぞれの木は空へ 2018.11.10 長野たかし50周年記念ライブ with あやこ』 14曲収録
「残りの人生で」「モノローグ」「同じ丘に立って」「灰色の街」「Fight To The Last」「私が私と言えるよう」「コップ半分の酒」「光あるうちに」「それぞれの木は空へ」「心許なきこの国で」「希求」「めぐり逢い」「いいんだよ
それで」「君こそは友」
ところが、今日ご紹介しようと思っている出たばかりのお二人のCD『残り時間』(10曲収録)は、ライブ会場での手売りではなく、「先行予約」した上で郵送していただいたものです。
その間の経緯を理解していただくには、長野さんご自身が「CD先行予約」をFacebookで呼びかけた文章の一部を引用するのが良いでしょう。
(引用開始)
いよいよ、生活苦が現実のものとなりました。
予約をしていたライブハウスから続々と中止、延期、そして開催中止・延期を促すメールや電話が届いています。
そんな中、政府の休業補償とは名ばかりで、ほとんどのツアーミュージシャンは、減収証明ができる書類などはなく、網の目から落とされます。
私どももその中の一人です。
その上、緊急事態宣言が発せられると、私どものライブをしてくれる頑張っているライブハウスも、今後ライブ開催ができるか微妙ですので、ライブをして得る私の現金収入も断たれてしまいます。
そこで、私どもが生き抜く方法としては、現在できている新曲をCDにしたり、これから作っていく曲を録音CDにして皆さんに買って頂くしか術がありません。
しかし、現在、CD製作する資金もなく、前回させて頂いいた様に先行予約という個人的なクラウドファンディングを行いCD製作資金と生活費を確保するしかありません。
(略)
販売予定価格は3000円
どうか先行予約をお願いいたします。
どうぞ宜しくお願いいたします。
目標は「所得補償給付」と同じ額の30万円です。
30万円が集まったところで、CDの原版をプレスにまわせるよう、残りの曲を作ろうと思います。30万円との競争と、自分にプレッシャーをかけておきます。…基本なまけもんなんで。
(引用終わり)
ここまで率直な文章を書ける人はあまりいないかもしれません。
この文章が書かれたのが4月7日、奇しくも一都二府四県に緊急事態宣言が発令されたその日であり、まだ、全国民に所得制限なしで10万円ずつ支給する方針に転換する前のことでした。
CDのジャケットに長野さんが書かれた文章も少し引用してみましょう。
(引用開始)
2020年1月16日、70歳の誕生日を迎え、今年は頑張って古希記念70ヶ所ライブツアーに取り組んでみようと、日本各地のライブハウス、ライブ居酒屋、喫茶店の情報を集め、ツアー計画を立て動き始めました。ところが、2月初め頃からクルーズ船でのコロナウイルスによる感染患者のことが報道され出し、ライブ中止、延期の連絡が次々と入ってきたのです。ライブのできないツアーミュージシャンにとっては死活問題。考えた末「私のできることは、曲を作り歌うこと」。CDを作り売れば口に糊することもできるのではないかという結論に至りました。
(引用終わり)
全国のライブハウス(居酒屋、喫茶店)を回って演奏されているミュージシャンの皆さんにとって、「歌う場」に対する行政からの休業要請、そして正式要請の前から吹き荒れていた「自粛」の嵐は、まさに、表現活動と生計の双方を直撃する「死活問題」だったわけです。
徐々にライブは復活の兆しを見せ始めているとはいえ、いまだ危機の渦中であり、今後の演奏活動とそれを支える収入の確保は、全てのミュージシャンにとって切実な問題であり続けているのだろうと思います。
そのような中、届いた長野たかしさん・あやこさんによる待望の新作CD『残り時間』です。タイトルを見て、私は前作の冒頭に収録された『残りの人生で』を思い出しました。その歌詞をご紹介したいのは山々なのですが、最初の1行を書き写すと、それで歌詞の全部を転記したことになってしまい、著作権法上の「引用」として許容されるかどうか、いささかためらいがありますので控えておきます。
いずれにせよ、私は、長野さんの5学年下ですが、「残り時間」で何が出来るか、いやでも意識せざるを得ない年代となっていますので、私にもぴったりと身につくタイトルです。
収録されているのは以下の10曲です。
『残り時間』
1.Hard Times Come Again No More 詞・曲:Stephen
Foster 訳詞:長野たかし
2.More to Come 詞・曲:長野たかし
3 私に嘘はつかないで 詞・曲:長野たかし
4 午前0時の鐘が 詞・曲:長野たかし
5 だいじょうぶ 詞・曲:長野たかし
6 Chain 詞・曲:長野たかし
7 平和の道(平和行進のうた) 詞・曲:長野たかし
8 道の駅 詞・曲:長野たかし
9 自分の心に正直に 詞・曲:長野たかし
10 風が吹く 詞・曲:長野たかし
この1曲、1曲の感想を書いていてはきりがありませんし、第一、実際の曲を聴いていない人にその良さを伝えることはもともと至難なことなので、あきらめました。
その代わりとして、長野たかしさん・あやこさんのファン代表(?)として、このアルバムのレコーディングにも参加されている、大阪の熊取町議会議員であり、琵琶奏者でもある江川けいこさんのFacebookに書かれた感想の一部を引用させていただきます。ちなみに、江川さんは、和歌山での長野たかしさん・あやこさんのライブにも、長野さんのベースで演奏するオープニングアクトの出演者として何度も出演されており、昨年のライブで演奏された『感謝』(作詞:北山修、作曲:加藤和彦)はとても素晴らしかったですよ(何組も出演していたので、間違っていたらごめんなさい)。
(引用開始)
【残り時間】~えがどんの勝手な感想~
長野たかしさんの「希求」を5年前に初めて聞いた時、私が探し続けていたのはこんな歌だと心奪われ、それからは二人の追っかけを可能な限りしています。
あれから4枚のCD(アルバム)が生まれました。
新曲の制作に没頭する長さんの気迫と、「こんな音どう?」と気に入ったコードをひいて聞かせてくれた時は、それが楽しそうでたまりませんでした。
今回、新しいCDをつくると聞いた時、二つのお願いをしました。
一つは琵琶の音色を入れてほしいとお願いしました。長さんは琵琶の特徴をすぐ理解され、調弦を変えて挑戦するこができました。プロってすごいなと思いました。「道の駅」は、ご高齢のご夫婦が人生の道の駅で一息つきながら、これまで目指してきたことや、将来について戸惑いを感じながらも二人で生きていこうという、長さん自身の人生を歌ったものだと思いました。そんな曲に琵琶の音を入れて下さったこと、とっても感謝しています。
二つ目は、「平和行進」に向けた曲を作ってほしいとお願いしました。毎年広島・長崎まで核兵器の廃絶と平和を求めてみんなで歩きます。音楽を通して元気に歩けて、歌詞は覚えなくても誰でも気軽に歌えるような曲にしてほしいとお願いしました。そこで生まれたのが「平和への道」です。今年は特に新型コロナ感染症で行進時に歌えなかったのですが先導カーから「平和の道」が流れると「元気が出た」との感想をいただきました。行進用はガヤ(会話)抜きで伴奏たっぷりの分を頂きました。
私は「五つの赤い風船」時代を知りませんが、どの曲もいとおしいです。あやこさんが長さんの歌詞に込められた思いをまっすぐ受け止め、尊重しながら歌い、二人のハーモニーが絶妙です。ぜひ聞いてほしいです。
(略)
今回のCDには多くのミュージシャンが加わり、とっても豊富な曲想で楽しめます。いろんな意味で私の支えになった曲ばかりです。勝手な感想をるる述べましたが、ぜひ手に取って聞いてくださいませ。
(引用終わり)
1曲1曲の紹介はあきらめると書きましたが、音源をご紹介できる曲はこの限りにあらずということで、長野たかしさんの公式YouTubeチャンネルで聴ける『残り時間』収録の2曲は是非聴いてください。
まずは、『午前0時の鐘が』です。
この曲については、アルバムのジャケットに長野さんご自身が書かれた紹介文をお読みいただくべきでしょう。
(引用開始)
特に劇団(※金原注 人形劇団MOMO)の作品を通じて、長年やってきた環境問題については、コロナ禍とは切り離せない問題だと知りました。ウイルスは単独では生存することができず、何らかの生物を宿主としていなければならず、その宿主が絶滅の危機に陥ると、別の生物に宿り生き延びていくということを知りました。つまり、人類が自然破壊を行い、絶滅危惧種を作っていく限り、COVID-19のようなウイルスが、次から次と、人類に襲い掛かって来るということです。
このことは必ず訴えようと「午前0時の鐘が」を書きました。
環境危機時計という、地球環境問題の悪化に伴う人類存続危機の程度をどのように感じているか、時計の針にたとえて表示したものがあります。
2019年の調査では「9時46分…極めて不安」となっております。
MVも作り、YouTubeに載せておりますので、ぜひ一度ご覧ください。
(引用終わり)
『午前0時の鐘が』
もう1曲、全曲ヴァージョンがアップされているのが『私に嘘はつかないで』です。
この曲は、長野たかしさん・あやこさんがやっておられる人形劇団MOMOの「主演女優」(自称なので、本当かどうかは知りません)である「ザベス」ちゃんのデビュー曲ということのようです。
曲は、字幕付きの演奏を聴いていただければ分かりますが、ダブル・ミーニングの技法で作られています。
3番まである歌詞の1番だけ引用します(この程度なら著作権法が許容する「引用」でいけるでしょう)。
(引用開始)
ちゃんと目を見て話してよ
いつも話をはぐらかす
責任とるとは言うけれど
口から出任せ嘘ばかり
笑いあってた金髪だーれ?
いくら貢げば気が済むの
ガラクタばかりを押しつけられて
なにがそんなに嬉しいの
私に嘘はつかないで
勝手にルールは変えないで
私に嘘はつかないで
勝手にルールは変えないで
(引用終わり)
表向き(?)の意味は、不実な交際相手の男性をなじる健気な女性の嘆きですが、裏の意味はもちろん(普通の大人には)分かりますよね?これが分からない人は、よほど世間離れしている・・・と私などは思いますが、実はそういう人が案外多いのかも。
アルバム収録ヴァージョンは、さらにYouTube版に手を加え、素敵なアレンジになっていますよ(この曲に限らず、『残り時間』の多彩な編曲はとても優れていると思います)。
『私に嘘はつかないで』
今回の収録曲10曲の中で長野たかしさん公式チャンネルにアップされている曲が実はもう1曲ありました。それがフォスターの『Hard Times Come Again No More』です。
長野さんが、東日本大震災に衝撃を受け、自らの訳詞で歌い始めたこの曲ですが、2011年6月、宮城県の牡鹿半島の小さな避難所を支援物資を持って回った際、「ある漁村に来たとき、どうしてもこの歌を、今、ここで歌わなければならないという衝動にかられ、歌った」映像です。
訳詞も掲載されたご自身による解説とともにご視聴ください(解説を読むためにはYouTubeサイトに移動して視聴する必要があります)。
『Hard Times Come Again No More』
今回のアルバム『残り時間』の冒頭に、再び『Hard Times Come Again No More』をニューアレンジで収録(もちろん、あやこさんと2人で歌っています)したのは、コロナ禍に見舞われた(ご自身も含めた)人類のために「波間に漂う小船のように/辛いことが続いても/きっといつかは祈りは届く/Oh!Hard Times,com again,no more」(訳詞の4番より)と歌わずにはいられなかったのだと思います。
なお、このニューアルバム『残り時間』の入手方法ですが、長野たかしさんのFacebook(7月8日付)では以下のように説明されています。
(引用開始)
7月7日発売!のお約束果たせました。
ご予約頂いていた方へのCDを、全て投函、送付いたしました。
既に届いた方からの、嬉しい感想がぞくぞく届いております。
ありがとうございます!
◆ご希望の方は、メッセンジャーにて、ご住所、お名前をお知らせ下さい。
到着後送金・送料込みの3000円でおわけしております。(振込用紙を添付します。)
宜しくお願い致します。
(引用終わり)
これによれば、長野たかしさんのFacebookにメッセンジャーで
CD『残り時間』 〇枚購入します。
住所&氏名
と書いて送信すれば良く、料金(送料込みで3000円)は、CD到着後に同封された振込用紙で送金する(その送金手数料は購入者負担)ということのようです。
書かれてはいませんが、注文する際には、自己紹介とFacebookの友達申請も併せて行うのが良いように思います(もっとも、友達申請の方は、5,000人の定員間近のようですが)。
それでは、Facebookをしない人はどうすれば良いのか?ということが問題となりますが、
〇これを機にFacebookのアカウントを取得する
〇Facebookをやっている家族・友人などに頼んで注文してもらう
〇長野さんのライブ情報などをもとに(閲覧するだけならFacebookのアカウントがなくても大丈夫)ライブに出かけていって長野さんから直接購入する(お二人のサインも貰える)
のどれかですかね。
実は、先行予約していたCDを送っていただいたので、長野さんの住所も携帯番号もメールアドレスも分かるのですが、勝手にこのブログで公開する訳にもいきませんしね。この程度の情報提供でご了解ください。
以上で、少し長くなり過ぎたような気がするCD紹介を終えます(私の文章は概して長くなり過ぎる傾向があります)。
CDも素晴らしいですが、是非また和歌山のライブ会場でお二人の演奏に接することのできる日が近いことを心から願っています。
(付録)
今回のアルバム収録曲以外にも、長野たかしさんのYouTubeチャンネルには素晴らしい曲が何曲もアップされていますが、その中から、「日本国憲法賛歌」というサブタイトルを持つ曲をご紹介しましょう。
『それぞれの木は空へ・日本国憲法讃歌』
(余談)
このブログの巻末に『残り時間』のジャケット(表)の画像を掲載していますが(厳密に言うと著作権侵害のような気もしますが、まあ長野さんの了解は得られるだろうということで)、逆向きになっていて読みにくいとは思いますが、「ヒヤリングアート株式会社」という補聴器の会社による広告が掲載されています。長野さんが最近補聴器を使われているということは、昨年のライブの「ネタ」にもなっていましたが、その補聴器の会社がこのCDの制作に「賛助広告」を出してくれたということでしょう。とても感心しましたので、以下に広告全文を引用します。
(引用開始)
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ヒヤリングアート株式会社
大阪府豊中市岡町北1-1-15 1階
(引用終わり)
(弁護士・金原徹雄のブログから/長野たかしさん&森川あやこさん関連)
2014年5月6日
音楽で憲法を感じる、考えるⅡ(長野たかし氏・森川あやこ氏奉納ライブ 鞍馬寺)
2015年4月5日
5月3日の過ごし方~鞍馬寺・奉納ライブ(長野たかし・森川あやこ他)はどうですか?
2016年12月27日
長野たかしさんの「乗り越える」ための新しい“We Shall Overcome”~付・CD『希求』ダイジェスト試聴のお勧め
2020年6月28日配信(予定)のメルマガ金原No.3469を転載します。
『10代からの批判的思考 社会を変える9つのヒント』(名嶋義直編)を読む
1冊の本を読み上げ、その感想をブログにまとめるという作業は、思いの他エネルギーを要することで、昨年(2019年)1月から3月にかけて左自然気胸によって立て続けに3度入院するという偶然の機会に読み得た憲法関連の書籍を取り上げた「入院読書日記」(1)~(3)以来、久しく遠ざかっていました。
2019年3月23日
『いま 日本国憲法は 原点からの検証(第6版)』(小林武・石埼学編)を読む~入院読書日記(1)
2019年4月30日
『「表現の自由」の明日へ 一人ひとりのために、共存社会のために』(志田陽子著)を読む~入院読書日記(2)
2019年5月18日
『日本国憲法』(長谷部恭男解説/岩波文庫)を読む~入院読書日記(3)
今日取り上げようとするのは以下の書籍です。
『10代からの批判的思考 社会を変える9つのヒント』
編著者 名嶋義直
著者 寺川直樹、田中俊亮、竹村修文、後藤玲子、今村和宏、志田陽子、佐藤友則、古閑涼二
2020年4月24日 初版第1刷発行
株式会社明石書店
4月中旬にAMAZONで予約しましたが、コロナ禍の影響(?)からか、届いたのは5月13日でした。そして、読み終えたのが6月21日なのですから、約270ページの本を読むにしては時間がかかり過ぎています(そこからブログを書くまでさらに1週間かかりました)。
この本は、9つの章を9人の共著者が分担執筆していますので、自分の関心の向かう章から読み進めていけば良いのだろうとは思いつつ、出来れば第1章から順番に読み進んでいきたい気持ちもあり、途中まで読んでしばらく中断すると、また前書きに戻って読み始めるということを繰り返していたことが、通読するのにかくも時間を要した主要な原因です。
そうなったについては、編者の名嶋義直さんが書かれた前書き「この本を手に取ってくれた皆さんへ」が素晴らしく感銘深い文章だったので、ついついそこから読み始めたくなるということもあったと思います。それに、前書きの中で、「もちろんどの章から読んでもいいのですが、第1章から順番に読んでもらうと、その世界の広がりをもっともダイナミックに感じてもらえると思います。」とも書かれていましたしね(実際、そうでした)。
名嶋さんの前書きは実に11ページにも及び、この本の狙い、読み方、第1章~第9章のガイダンスなどが、丁寧に、誰にでも分かりやすい言葉で説明されています。版元(明石書店)のホームページには、「内容紹介」と「目次」が掲載されていますが、出来れば編者の名嶋義直さんによる「この本を手に取ってくれた皆さんへ」を立ち読みできるようにしておいてくれたらなお良かったのにと思います。
まず、この本のあらましを知っていただくために、目次の大項目・中項目をホームページから引用するとともに、「この本を手に取ってくれた皆さんへ」の重要部分を転記させていただきます。
(引用開始)
目 次
この本を手に取ってくれた皆さんへ[名嶋義直]
第1章 校則(ルール)って?[寺川直樹]
1 こんな校則(ルール)がなぜあるの?
2 自由とルール(秩序)
3 「よりよい」ルール(校則)の創造へ
第2章 いじめって?[田中俊亮]
1 はじめに
2 いじめの定義と分類
3 いじめの原因は?
4 いじめをどう解決する?
5 いじめの「加害/被害」を考える
6 おわりに
第3章 いろいろな学びの形――高校生活の多様な選択肢[竹村修文・名嶋義直]
1 先輩からのメッセージ
2 引きこもりから転校を経験して
3 母の高校受験挑戦
4 高校の選択肢はいろいろ
第4章 いろいろな学びの形――生涯学習/キャリア教育[竹村修文・名嶋義直]
1 生涯学習の時代
2 生き方は変わってきている
3 マルチステージを生きるために
4 さあ、新しいステージへ
第5章 仕事って?[後藤玲子]
1 はじめに
2 規範としてのワーク・ライフ・バランス
3 仕事は多すぎず、少なすぎず、ほどほどに――どうして?
4 仕事と生活の「適度」な組み合わせ――どのように?
5 働くとはどういうことなのか
6 仕事と職業
7 結びに代えて
第6章 メディアを読む力、問いかける力[今村和宏]
1 メディアの多様性と偏り、影響力
2 想像力、疑問を持って読み、ちょっと調べてみる
3 メディアに問いかけ、発信する
第7章 「表現の自由」って何ですか?[志田陽子]
1 「自由です」ということの意味
2 ルールを知ることで自信を持とう
3 知っておきたい権利のいろいろ
4 批判と差別は違う
5 「こんなルールは困る」と思ったら?
6 「自由です」ということの意味
第8章 豊かでプライドが持てる日本が続くために――多文化共生[佐藤友則]
1 日本の現状はどうか?
2 多文化共生、多様性による日本の活性化
3 多文化共生に関する基本法の整備
4 自分の手で強い日本を持続=多文化共生の勉強を!
第9章 世界に挑め!――グローバル人材への道[古閑涼二]
1 はじめに――「どうして英語ができないの?」
2 グローバル化の必要性
3 グローバル人材への道
4 学生時代にすべきこと
5 おわりに――グローバルという未知の世界へ
この本を手に取ってくれた皆さんへ[名嶋義直] から抜粋
生きる力
この本は、皆さんのような若い人がその「生きる力」を身につけ、育て、伸ばしていくためのお手伝いをしたいと思って作りました。
「批判的」って、なんかちょっと・・・
「批判的に考える」とか「批判的思考」とか「批判的姿勢」というのは、簡単に言うと「一歩立ち止まってじっくり考えてみる」姿勢を言います。だから「よいこと」なのです。
さらに言うと、この「批判的に考える」という姿勢と実践は、今さかんに言われる「アクティブ・ラーニング」の本質そのものなのです。
人生は旅
この本はこのように、九つの章が少しずつ、また時には章を超えて関連し合いながらつながっていて、皆さんが読み進めて行くにつれて、今自分がいる世界からもっと外の世界・さらに広い世界へ旅に出て行く、そんなイメージで作られています。
いくつかの読み方
問いの中には簡単には答えられないものがあるかもしれません。そんな時は「自分でいろいろ調べる」などしてみてください。また、自分で考えたり調べたりしても答えが出ない問いがあるかもしれません。その場合でも「考えることを諦めない」で、「どこまで答えられるのか、どこから答えられないのか」を考えてみてください。
そして、考えたことを身近な人と「対話」してみてください。「他者の考え」は「自分にはない視点」を教えてくれる大切な学びのための資産です。また逆に見れば、あなたの視点が他者の学びに寄与するとも言えます。この「対話を通して学び合う」姿勢を持ってください。
情報にアクセスする (略)
各章の紹介 (略)
よい旅を!
第1章から第9章までの内容を見てわかると思いますが、それぞれの章で取り上げているテーマは具体的な事例としては個別的なものです。しかしそこを入り口としていろいろ考える実践は、今後さまざまな場面や局面で必要になってくるもので、まさに「生きる力」につながるものです。またこの本を読みながら、自分で考えたり、友達や先生と一緒に考えたり、時には議論して対立したりといった経験も、皆さんにとってとても大切な「生きる力」になるはずです。この本は、知識・考え方(理念や価値観など)・実践する方法、といった多面的な「生きる力」を、この1冊の中で少しでも伸ばしてもらえたらいいなあと思って作りました。
もしかしたらその「生きる力」はすぐには必要にならないかもしれません。逆に読む前からすでにそのような「生きる力」を必要としている人もいるかもしれません。読者の皆さんにとって、この本が「社会を主体的に生きて行く」上での地図やコンパスのようなものになればとても嬉しいです。この本で学んだことをカバンに詰め込んで自分の旅に出てください。
では、皆さん、よい旅を!
(引用終わり)
ここまで引用すれば、この本の紹介としては十分ではないかという気もしますが、それでは、Facebookで明石書店のこの本を紹介するページにリンクし、「皆さん、良い本ですからお薦めします」と一言コメントするのと大差ないことになるので、もう少し続けることにします。
まず何より述べておきたいのは、この本が(編著者9名が)主として想定した読者層と、今この本を読み終わった私との年代の相当な懸隔をどう理解するかについてです。
本書は、「皆さんのような若い人」(この本を手に取ってくれた皆さんへ)、「みなさんんの多くは未成年者だと思います。」(第7章)、「その時に法律(※多文化共生基本法)制定の意見書提出の中心になるのは若い読者の皆さんです。」(第8章)、「最後に、皆さんが学生時代にすべきことをお伝えします。」(第9章)など、誰がどう読んでも、この本は明確に若い読者層に向けて書かれています。具体的には、高校生、大学生、あるいは彼らと同年代の青少年ということでしょうか。
これに対して私は、本書第4章で取り上げられた「生涯学習」の実践として、ここ12年ほど放送大学の現役学生であり続けているものの、昨年末から前期高齢者の仲間入りをしており、本書の想定読者層とは、40~50歳の年齢の開きがあります。
そのような私が本書を読む意義とは何だろうか?ということは、読み進めながら常に頭を離れなかった問題意識です。
感銘深く本書を読み終えた今、私のような年配者が本書を読むことによって何が得られるかという観点から、本書の読後感をまとめてみたいと思います。
〇自らの行動の指針として
通読してみて、編者の名嶋義直さんの「第1章から順番に読んでもらうと、その世界の広がりをもっともダイナミックに感じてもらえると思います。」という助言は正しいと得心がいった一方、私のような年配の読者には、「まず自分が最も関心を有する分野から読み進める」ことをお薦めしたいと思います。
例えばこういうことです。
私は、昨年(2019年)1月の入院を機に、6年間続けた「ブログ毎日更新」を中断せざるを得なくなったこともあり、ブログ更新よりもはるかに手軽に出来るFacebookによる情報発信の方により時間を割くようになりました。
私の場合、SNSの利用はもっぱらFacebookであり、instagramやtwitterはほぼ利用していないのですが、情報を受け取るにしても、また発信するにしても、自らのスキルが全く不十分であることを意識せざるを得ませんし、同じような思いを持たれている方も少なくないのではないでしょうか。
このように、SNSはそこそこ利用しているが、自信を持ち切れないという方には、本書の第6章「メディアを読む力、問いかける力」(今村和宏さん)と第7章「「表現の自由」って何ですか?」(志田陽子さん)をじっくりとお読みになることをお薦めします。
私のような年代は、新聞を中心とする活字媒体とテレビ、ラジオによる放送媒体が主要な情報ツールという時代に成長し、社会人としての生活をスタートしてからも、インターネットには、相当後年になってから初めて接することになった世代です。また、自らが簡単に情報の発信者となり得る時代も、インターネットの普及と共にやってきたことは言うまでもありません。
第6章と第7章は、インターネットがらみの問題だけを取り上げている訳ではなく、もっと普遍的な「メディア・リテラシー」と「表現の自由」に関する分かりやすい解説となっているのですが、インターネットと無縁の生活などあり得ない時代だからこそ必要となる、情報の吟味や表現行為について身につけておくべき貴重な知識が豊富に提供されており、一読、思わず膝を打つ箇所がどれだけあるかによって、読者自身の問題意識の高低が測られているような気もします。
日々Facebookに流れる情報の中には、真偽不明、出典未詳の、正直に言えば、本来取り上げるに値しない膨大な情報が流れていることは、利用している人には説明の必要もないでしょう。そのような情報の中に、たまたま自分の意見に近いものがあったとしても、それを安易にシェアする前に、「待てしばし」「出来るだけ真偽を確認するための裏取りをしよう」という習慣を身につけるためには、本書第6章はとても有用です。
また、自らが意見や情報の送り手となる場合、そのような「表現の自由」を保障するためにこそ守られなければならないルールがあること、「表現の自由」が民主主義を支えるための根幹をなす権利であること、異論を許容する(異論を表現する自由を保障する)ことこそ、「表現の自由」が想定する「自由」のあり方であることなどが、第7章で語られます。
この2章については、若い人にももちろん読んでもらいたいですが、年代の別なくとても役立つ章だと思います。
※参考
第7章の著者・志田陽子先生(武蔵野美術大学教授)は、2018年10月に『「表現の自由」の明日へ 一人ひとりのために、共存社会のために』(大月書店)という単著を刊行されていますので、より詳しく知りたいという方は、同書をお読みになることをお薦めします(冒頭でリンクしているとおり、私のブログでもご紹介しています)。
※参考
「メディア・リテラシー」ということに関連して書いた私のブログを1つご紹介しておきます。
2019年1月23日
情報の真偽は自分の目で確認しなければならない~平成26年度東京大学教養学部学位記伝達式における石井洋二郎学部長の式辞から
〇自分の周りの若い人のために
本書を冒頭から読み進めながら、「本来の想定読者である若い人たちがこれを読めばどう思うだろうか?」ということを考える瞬間が幾度かありました。
残念ながら私には子どもがないため、自分の子どもに本書を読むことを勧める訳にはいきませんが、このような読み方も出来るという一例として書いておきたいことがあります。
第3章「いろいろな学びの形――高校生活の多様な選択肢」(竹村修文さん・名嶋義直さん)には、高校を中退した後、病院で介護の仕事をしながら、息子の高校受験と同じタイミングで通信制の高校に進学して卒業した女性、その息子で、高校を中退した後、建設関係の会社で働きながら、再び高校卒業を目ざす青年などと共に、高校に登校できなくなり、休学、転学、転籍などの末、7年がかりで高校を卒業した女性が、働きながら三級自動車整備士資格を取得し、さらに自動車教習所の指導員になった話が紹介されていました。
実は、本書を読んでいたころ、私は国選で被疑者弁護事件を1件受任していました。被疑者は20歳そこそこの青年で、高校を中退し、その後少年院にも入り、今は解体の現場で働いているという、(我々にとっては)別に珍しくもない経歴の持ち主だったのですが、珍しかったのは、その青年が「将来は自動車整備士になりたい」という希望を持ち(本人の話では、そんな希望を口に出したのは初めてとか)、お母さんに、そのために何か参考になる本を差し入れて欲しいとお願いしたという話を私にしてくれたことでした。
参考書の差入れはお母さんに任せることとし、私は、得意の(?)ネット検索でヒットした体験談(整備士になる夢を実現した)などをプリントアウトし、次の接見の時に差入れしました。
専門学校などを経て資格をとるのでない限り、実務経験を積みながら、まずは三級自動車整備士の資格をとり(ネットで見つけた学科試験を解こうとしましたが全く分かりませんでした)、さらに経験を積んだ上で二級を目ざすということらしく、夢を実現するのは相当に大変らしいということは分かりました。
幸い、その青年は不起訴で釈放となりましたので、今頃、自分で立てた目標に向かって一歩でも半歩でも前に進んでくれていることを願っているのですが、そのような目標や意欲を持っている、あるいは持ちたいと思っている、一度は高校卒業を断念した青年たちにも、是非本書を手に取って貰いたいと編著者の皆さんは願っておられるのではないか、ということを思ったりしました。
〇これからの日本を考えるために
「類は友を呼ぶ」という成語を使うのが適切かはさておき、人は、自らの意見・嗜好に適合する情報には喜んでアクセスするが、自らの立場を突き崩されそうになる考え方・情報などからは、意識的・無意識的に目を背けるものであることは、否定しがたいことだろうと思います。
本書において、特に年配の読者にとって、「あまり読みたくない」章は、第8章「豊かでプライドが持てる日本が続くために―多文化共生」(佐藤友則さん)と第9章「世界に挑め!―グローバル人材への道」(古閑涼二さん)、とりわけ第9章でしょう。
日本の将来予測、特に著しい人口減少(労働力人口の減少)と市場規模の縮小について、よほど世情に疎い人でない限り、うすうすでも感じていない人はいないと思うのですが、それでも「見たくないものは見ない」人が圧倒的に多いのではないでしょうか。
そこを堪えて、第8章、第9章を通読すれば、今から若い人と同じことはできないまでも、壮年、老年の者にも出来ることはあると思えるはずです。
〇「生きる力」を身につけるために
「生きる力」という言葉が中教審の答申の中ではじめて使用されたのは、「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について 中央教育審議会 第一次答申」「-子供に[生きる力]と[ゆとり]を-」(平成8年7月19日)においてであったそうです。
たまたま、その翌年(多分)から、私は10年以上、和歌山県教育委員会の委嘱により、小中学校教員採用試験の第2次試験の面接委員を務めたのでした。
そして、面接試験が始まる前の試験委員に対するガイダンスの際、受験者に対する質問例が配布されるのですが、そこに書かれた「生きる力」という見慣れぬ用語をどう理解したら良いのか?私は一緒の組となる他の試験委員(皆さん教員)に質問したものでした。先生方からどのような説明を伺ったかは完全に忘れてしまいましたが、おそらくは、中教審答申に書かれた以下の記述をコンパクトに要約したようなことだったのだろうと思います。
「我々はこれからの子供たちに必要となるのは、いかに社会が変化しようと、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力であり、また、自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性であると考えた。たくましく生きるための健康や体力が不可欠であることは言うまでもない。我々は、こうした資質や能力を、変化の激しいこれからの社会を[生きる力]と称することとし、これらをバランスよくはぐくんでいくことが重要であると考えた。」(「-子供に[生きる力]と[ゆとり]を-」、「第1部 今後における教育の在り方」、「(3) 今後における教育の在り方の基本的な方向」)
私は、当初数年の間、自信がないので「生きる力」についての質問は他の面接委員の先生方にお任せしていましたが、受験者の回答も手探りのようで、体験に裏打ちされ、自信をもった意見や抱負を聞いた記憶はあまりありません。
私が教員採用試験の面接委員を務めていたころから既に相当の年月が過ぎ去りましたが、今本書を通読し、「生きる力」の全体像がようやく見えてきたという感慨がひとしおです。あの頃この本を読んでいれば、もっと適切な質問が出来たのに、と言ってもあとのまつりですが。
若い高校生ら以外にどのような人に本書を読んでもらいたいかを考えた結果、少なくとも、将来教員を目ざす人には自信をもってお薦め出来るということに思い至りました。
〇もしも私が今高校生だったら
私が何度も前書きに戻り、本書冒頭から順を追って第9章まで読み終えることにこだわったのは、編者による助言もありましたが、「もしも私が今高校生だったら」という仮定のもとに読んでみたら、どのような人生があり得るだろうか?、という不可能と言うしかない設定が、常に頭の片隅にあったからでした。
誰しも、「私には別の人生があり得たのではないか」という夢想を抱く瞬間があると思うのですが、本書には、「10代からの」というタイトルからして、そのような夢想を促進してくれる要素がふんだんに盛り込まれています。
もちろん、60代半ばの私が10代に戻って実際に人生をやり直すことは出来ませんが、様々な気付きが示唆してくれる方向は、1人1人の年代に即した応用が可能です。そのような観点からは、特に、第4章「いろいろな学びの形―生涯学習/キャリア教育」(竹村修文さん・名嶋義直さん)、第5章「仕事って?」(後藤玲子さん)などが有用でしょう。
もちろん、現実の高校生なら、第1章「校則(ルール)って?」(寺川直樹さん)や第2章「いじめって?」(田中俊亮さん)は、切実な問題として身近に感じられるでしょう。
全ての人に本書のご一読をお薦めします。
2020年4月12日配信(予定)のメルマガ金原No.3455を転載します。
和歌山県・高野町の取組~住民への消毒液とマスク(1人あたり50枚)の配布~から考える
新型コロナウイルス感染症による「災厄」に対し、住民・国民を守るために地方公共団体や国が何をしようと努め、何をしたかについて、日々、ものを思わない人はいないでしょう。
その一々をブログに書き留めることに意義はあるのかもしれませんが、私自身の身辺の事情や意欲の問題もあり、これまでそのような問題を取り上げることはしてきていませんでした。
もちろん、ワシントンポスト(アジア太平洋版)にまで、「和歌山モデル」として称揚された和歌山県におけるPCR検査の効果的な実施と感染封じ込め対策については、私自身、仁坂吉伸知事が推進するIR誘致に大反対であるという立場は立場として、それなりに評価してFacebookで関連情報をシェアなどしてきました。
一昨日(4月10日)、東京の日本記者クラブと和歌山県庁をインターネットで結び、仁坂知事のリモート会見が行われましたので、関心のある方にはアーカイブ動画の視聴をお勧めします。
20200410「新型コロナウイルス」(8) 仁坂吉伸・和歌山県知事(57分)
私が特にお勧めしたいのは、53分頃から、このような危機に臨んだトップのあり方について質問されたのに対し、仁坂知事が「一番大事なのは『論理』であり、しっかり議論すればよい。一番いけないのは『ええかっこしい』である」(金原による要約)と答えた部分です。
さて、本題に戻り、「住民・国民を守るために地方公共団体や国が何をしようと努め、何をしたか」について、今日私がご紹介しようとするのは、弘法大師空海が開いた高野山金剛峯寺が所在する和歌山県伊都郡高野町(こうやちょう)の取組です。
私が、高野町独自の取組に気が付いたのは、毎日新聞(ネット版)の以下の記事を読んだ時でした。短い記事であり、無料サイトで公開されていますので、全文引用させていただきます。
毎日新聞2020年4月7日 地方版
新型コロナ 高野町が「消毒液」配布へ 児童らに洗えるマスクも /和歌山
(引用開始)
新型コロナウイルスの感染予防対策として、高野町は16日から、手指などの消毒に使われる次亜塩素酸水の町民への配布を始めることを明らかにした。次亜塩素酸水を生成する装置を購入し、町役場と富貴支所で毎週月曜日と木曜日の午前9時~午後6時に配布する。毎回1人500ミリリットル以内で、洗浄済みペットボトルなどの容器を持参してもらう。
また、町内のこども園や小中学校の園児、児童、生徒計約230人を対象に、洗えるマスクを1人に付き3~4枚配布するという。
一方、影響を受けている観光業や住民の暮らしなどに対する経済対策として、町内全域(公共施設を除く)の水道料金や下水道などの使用料の5~7月請求分を無料とする方針も固めた。対策に関係する計約1億3000万円の一般会計補正予算案を町議会に提出する予定だ。【藤原弘】
(引用終わり)
「次亜塩素酸水」というのは聞き慣れない上に、自治体が住民を対象に消毒液を配布するというのは興味深いと思い、高野町ホームページで確認したところ、4月9日付で以下の告知がアップされていました。
安全に使える除菌水「次亜塩素酸水」を町民の皆さまに配布します(※PDF)
「次亜塩素酸水(微酸性電解水)」(じあえんそさんすい/びさんせいでんかいすい)の性質については詳しく説明されていますが、正直、私にはよく分かりません。
ただ、一般的な消毒液の入手難を経験した人(多くの人が経験したと思いますし、当然、高野町の町民の皆さんもそうでしょう)にとっては、とてもありがたい施策だと思います。
そして、翌4月10日に高野町のホームページにアップされたのが「町民の皆様にマスクを配布します!」というお知らせでした。
以下に告知文を引用します。
(引用開始)
マスクを配布します!
新型コロナウイルス感染症対策として、住民の皆さまにマスクを配布します。
〇配布場所
①高野町役場 9:00~18:00
②富貴支所 9:00~17:00
〇配布日 令和2年4月20日から
〇配布枚数 お一人あたり 1箱(50枚入り)
〇対象者 高野町に住所を有する住民すべての方
〇交換方法 郵送で届くハガキがマスク引換券です。必ずご持参ください。
※住民の皆さまのマスクについては、人数分確保しております。
〇お問い合わせ
高野町福祉保健課 0736-56-2933
(引用終わり)
除菌水「次亜塩素酸水」配布の案内文にはなかったエクスクラメーション・マーク「!」が付いていることからも、高野町職員の「達成感」がしのばれます。ここまでこぎ着けるには、それなりの努力が必要だったはずですものね。
ここまで読んできて、「素晴らしい!」と思ったその次に、自分の住む自治体と思い比べながら、「高野町ではなぜこのような取組ができるのか?」という疑問がわいてくるのが普通の反応でしょう。
「人口が少ないので、必要とするマスクの量や予算規模も少なくて済むからではないか?」ということは、一応誰でも思いつくことでしょう。
実際、人口92万人台の和歌山県(和歌山より少ないのは7県のみ)にある30市町村の中でも、高野町の人口は下から数えて4番目(多分)の約3,000人です。
しかし、人口の多寡が本当に問題なのでしょうか?
「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」についての4月7日付閣議決定には、例の「1住所当たり布マスク2枚配布」という、国際的にも揶揄・嘲笑の対象となった政策が(今さら引っ込みもつかないのでしょう)以下のように掲げられていました(8頁~)。
(引用開始)
国内でマスク・消毒液等を製造する企業に対して生産設備への投資を支援することで更なる増産に取り組み、マスクについては月7億枚を超える供給を確保するなど、例年の需要を上回る供給量を確保する。
その上で、マスク等の衛生資材を、介護施設、障害者福祉施設、保育所及び学校等に配布する。布製マスクについては、政府による買上げにより、介護施設利用者等及び妊婦に対して、順次、必要な枚数を配布するとともに、全国の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・高等専修学校等の児童・生徒及び教職員に対して、4月以降、1人2枚配布する。加えて、全国で 5,000 万余りの世帯全てを対象に1住所当たり2枚配布する。
(引用終わり)
国が全国民(というか全「住所」)に布マスクを配布できるのであれば、はるかに住民に近い立場にある基礎自治体(市町村)が、全住民にマスクを当面の必要量配布することが不可能なはずはないでしょう。当然、個々の自治体の中には「必要量のマスクが確保できない」「予算の手当がつかない」というところも出てくるはずで、それを援助するのが国の仕事でしょう。「布マスク2枚配布」について、大半の国民が呆れ返ったのは、以上のような役割も弁えず、人気取りのために400億円以上の貴重な国費を蕩尽しようとする国の底意が見え透いていたからだと思います。
私が、一昨日の仁坂吉伸和歌山県知事の日本記者クラブ会見の中で、特に「一番大事なのは『論理』であり、しっかり議論すればよい。一番いけないのは『ええかっこしい』である」という部分に感銘を受けたのは、以上のような感慨から来たものなのです(仁坂知事の真意が奈辺にあるかは知りませんが)。
もとより、頑張っていいる自治体は高野町だけではありません。マスクが不足しがちな医療機関や福祉機関に優先的に配布しているところも多いと聞いています。
また、埼玉県川口市のように、経営難に陥っている小規模事業者に一律10万円を独自に支給すると発表した自治体もあります。
これからも、「新型コロナウイルス感染症による「災厄」に対し、住民・国民を守るために地方公共団体や国が何をしようと努め、何をしたかについて」注意深く見守っていくとともに、素晴らしい取組には賞賛の声を届けたいと思います。
(追記/2020年4月13日)
Facebookやブログで高野町のコロナウイルス感染症対策としての住民サービスをご紹介しましたが、同町では、公式ホームページの他に「高野町長室」というFacebookページを開設し、タイムリーな情報発信に努めておられるようです。以下の投稿で、消毒液やマスクの配布に要する予算規模なども分かります。
公式ホームページにも同内容のPDFファイルが掲載されていますが、探すのはなかなか大変で、Facebookをフォローする方が断然情報を入手しやすいように思います。
ちなみに、元投稿のコメント欄を読むと、写真に写っている町長室の椅子は自費で購入したものを持ち込んでいるのだとか。平野町長はモータースポーツ愛好家なのだろうか?
また、平野町長は徳島文理大学薬学部卒で、20年近く薬剤師として町立高野山病院に勤務していたとか。その経歴が役立っているかもしれませんね。
https://www.jiji.com/sp/v2?id=20140604top_interview31_36
http://www.yakuyukai.org/whatsnew/?p=497
2019年10月27日配信(予定)のメルマガ金原No.3431を転載します。
宮尾節子さんの新刊詩集『女に聞け』を読む
先日、丸谷才一著『日本文学史早わかり』(講談社文芸文庫)の冒頭を久しぶりに読み返していた時、「詩は詞華集で読むに限る。」と断言した部分に続けて、「国の詩の歴史全体をつらぬく詞華集をわれわれは持っていない」とある箇所に至り、「そうなんだろうか?」とふと自分の読書体験を振り返ることになり、私が文学好き(まあ、そうでしょう)になるについて相当の影響を及ぼした本の中に、高校時代に愛読した伊藤信吉編『現代名詩選』という3冊セットの新潮文庫があったことを思い出しました。
ということで、かれこれ半世紀近く前に愛読した文庫本を探し出そうと試みたのですが、私の自宅の床から天井まである作り付けの書棚に並べた本にはやたらと文庫本が多く、また、かなりの量のCDも、文庫や新書の前列に並べているため、後列に並べた背表紙の読めない本の山の中から特定の文庫本を探し出すというのは、時には至難ということもあります。実際、『現代名詩選』(上・中・下)も発見できず、おそらく書棚に並べきれず、段ボール箱に詰め込んで物置に収納している古い文庫本の中に紛れ込んでいる可能性が高く、当面、探索は断念しました。
まあ、その探索の副産物として、山本鈴美香の名作マンガ『エースをねらえ!』全18巻(なぜか第14巻までが文庫版で残りの4冊がコミックス版だった)が出てきたのは喜ばしい発見でした。誰かにあげてもうないとばかり思っていたのですが、あるいは当初コミックス版で買っていたものを誰かにプレゼントし、その後、文庫で買い直したのかもしれません(そういえば年下の従姉妹にあげたような気もする)。是非読み返してみようと思います。
それで、問題は「詞華集」です。伊藤信吉編『現代名詩選』は、丸谷氏のいう「国の詩の歴史全体をつらぬく」ものではなく、「現代詩」に限定した詞華集ですが、今思い返しても、様々な本を手当たり次第に読んでいた(トルストイとアール・スタンリー・ガードナーを並行して愛読していた)高校生の私にとって、詩という人類最古の文学型式への格好の導き手であったと思います。
とはいうものの、その後の私が詩の良き読者になったかといえば全くそうはならず、文学といえばもっぱら小説中心という読書生活を送り、やがて年齢を重ねるにつれ小説を読む機会もどんどん減っていき、購入する本の大半が論説・ノンフィクションになるという経過をたどりました。
その間、個人詩集を全く買わなかった訳ではありませんし、書棚を総ざらえすれば、有名詩人の詩集がそこそこは見つかりますが、それらの詩集を折に触れて手に取るという習慣がある訳でもありません。
やはり、詩をもっと身近な存在とするためには、良き「詞華集」が必要なのだと思います。ということで、私は丸谷才一氏の冒頭で紹介した極論とも言える意見に一応は賛成なのです。
とはいえ、優れた詩や詩人との出会いが、「詞華集」ではなく、個人詩集によってもたらされるということはあるもので(というよりもそれが普通か)、今はそれにインターネット(SNS)も付け加える必要があるようです。
皆さんは、2014年にTwitterで公開され、爆発的に読まれた以下の詩をご記憶でしょうか?(著者自身によって著作権フリーが宣言されていますので全文引用します)
(引用開始)
明日戦争がはじまる
宮尾節子
まいにち
満員電車に乗って
人を人とも
思わなくなった
インターネットの
掲示板のカキコミで
心を心とも
思わなくなった
虐待死や
自殺のひんぱつに
命を命と
思わなくなった
じゅんび
は
ばっちりだ
戦争を戦争と
思わなくなるために
いよいよ
明日戦争がはじまる
(引用終わり)
とても感銘を受けた私は、その年のうちに同作を表題作とする詩集『明日戦争がはじまる』(思潮社刊)を購入し、ブログに感想を書き留めました。
2014年10月24日
「明日戦争がはじまる」をあらためて読む
当時の「明日戦争がはじまる」をめぐる報道では、宮尾節子さん(高知県出身、飯能市在住)の発言もかなり詳しく紹介されていましたので、著作権法の許容範囲も意識しつつ、相当詳細に引用していますので、是非お読みいただければと思います。
さて、その宮尾節子さんが、「『狼が来たぞ』と言う嘘つき少年と同じだ、との厳しいお叱りも受けた詩『明日戦争がはじまる』を発表して以後、五年間に書き貯めたわたしの詩」を、「新しい詩集出版の形を、という予てよりの願いがあり」「クラウドファンディングで出版資金を調達するという方法」によって出版にこぎつけた新刊詩集『女に聞け』(2019年10月20日・響文社刊)が3日前に自宅に届き、早速昨日、大阪での会議に出席するための往復の電車の中で2回読みました(ゆっくり読むために往復とも指定席券を購入しました)。
こんなに早く届いたのは、私もクラウドファンディングに全くの些少ながら協力したからですが、期待以上の素晴らしい読書体験をさせてもらいました。
個人詩集を読む時はいつもそうですが(著明な詩人の作品集を後人が選定した場合であっても)、最初から最後まで全作品に感銘を受けるということはまずないことで、中には書かれている内容がどうも理解できない、などという作品が混じっていたりするのは当たり前であり、『女に聞け』も例外ではありません。
そういう作品に出会ったらどうするかといえば、とりあえず今のところは読み流すしかありません。後に読み返して、しっくり理解できれば幸いというものです。
しかし、一読、再読、さらに三読して、読むほどに感銘が深まる作品がいくつもあれば、幸運な詩集との出会いであることは間違いありません。
私の一押しは、やはり表題作の「女に聞け」(10頁)です。
ここで「女に聞け」という作品をどう紹介したものかと迷います。全文引用(転載)するのはどう考えても著作権侵害だし、かといって、詩の内容だけ要約しても、どうして読み手が感動したのか伝わらないでしょう。
そこを我慢して何とかこの3連構成の作品を紹介してみましょう。
第1連(23行)
女性が、こんなにも恥ずかしい格好をし、恥ずかしい姿を人目にさらし、恥ずかしい声を絞り出さねば、「あなたは、ここに生まれて、来ていない。」と男に事実を突きつけた上で、こう確信を述べます。「あのときの、ひどくみじめに」「敗れたわたしの姿から、生まれたあなたの世界が」「愛であることを、」「平和であることを、」「わたしは、信じて疑わない。」
第2連(3行)※引用します。
どんな姿から、いったい何が生まれるか。生まれないか。
男よ、だから
あなたが忘れている。産声を、わたしは知っている。
第3連(3行)※引用します。
けんぽうきゅうじょうに、ゆびいっぽん
おとこが、ふれるな。やかましい!
平和のことは、女に聞け。
実は、この表題作だけではなく、全編を通して私が感じたのは、作者の中で、何かがふっ切れたようだということでした。
この詩集の中には、「女に聞け」の他に、憲法9条に言及した作品があと1つあります。「美しいからだ」(124頁)は、詩の最後に「―憲法9条讃」と明記されています。全6連のうちの半分だけ引用させてもらいます。
第1連
そのことばの
一文字一文字
一語一句が
清く潔く
美しいからだ。
第5連
そのことばの
守る世界が
そのことばに
守られる世界が
第6連
ひとの
いちばん
美しい姿だからだ。
以上のような憲法9条や平和に関わる作品だけではなく、他にも、表現者としての責任を引き受けようという決意がひしひしと読者に伝わってくる作品がたくさんあります。「鶴を」(28頁)、「何を忘れたか」(30頁)、「赤ままの歌」(32頁)など、第1部「女に聞け」に納められた作品に目立ちますが、他にも「乳の流れる歌」(80頁)や「誰が世界を語るのか」(88頁)など。詩人として言葉を紡ぐことに対する覚悟のほどがしのばれます。
最後に、「願います」(108頁)という全5連19行の作品の一部を引用して本稿を終えたいと思います。
それは、私が以下に引用する部分を読みながら、宮沢賢治のあの有名な作品を思い出したからでもあります。
是非多くの方に手に取っていただきたい詩集です。
第1連
誰かが声をあげることで、黙っている人が
辛くならないように。
黙っている人がいることで、声をあげる人が
辛くならないように。
第3連
どちらの孤独にも、矜持をもてて
それでも 聞く耳を なくさず。
どちらの孤独にも、敬意をはらえて
ときには 自分の正しさを うたがい。
第4連
何より 失望に負けず。
笑みを忘れず。
誰もが
ここで、己自身を十全に生きられるように。
2019年10月9日配信(予定)のメルマガ金原No.3430を転載します。
和歌山県議会9月定例会で「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」に反対した6人の議員の皆さん
[この記事は、昨日、Facebookと第2ブログ(あしたの朝 目がさめたら)に掲載した文章に大幅な補訂を加えて再掲するものです。]
去る9月27日に閉会した和歌山県議会9月定例会は、最終日に「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」を賛成多数で採択しました。
決議は、以下のような内容でした。
(引用開始)
和議第10号
統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議(案)
特定複合観光施設、いわゆる統合型リゾート(以下「IR」という。)は、成長戦略の一つとして、我が国の観光立国政策に貢献するとともに、和歌山県における新たな産業の創出や観光振興、地域振興、雇用の拡大、財政の改善、さらには人口減少の抑制など、将来の本県の発展に多大な貢献をもたらすことが期待できる。
また、こうした経済的・社会的効果を発現させることにより、日本におけるIR導入の成功例として、本県の存在感を全国に示す絶好の機会となるものである。
よって、和歌山県議会は、本県が目指すIR誘致の取組を支持するとともに、特定複合観光施設区域の一つに選ばれるよう、地元の合意形成に向けた誘致機運の醸成を図るなど、IRの誘致活動を積極的に推進する。
以上、決議する。
令和元年9月27日
和歌山県議会
(提
出 者)
総務委員会委員長
川畑 哲哉
(引用終わり)
平成28年に成立した「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「IR推進法」「カジノ推進法」)で使われている「特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものである」(同法1条)というような謳い文句をベースに、「人口減少の抑制」「本県の存在感を全国に示す」など、県民の心をくすぐる(?)と起案者が考えたご当地用フレーズをまぶせば、まあこんなものになるのでしょう。
ところで、「賛成多数」での採択と書きましたが、和歌山県議会議員は全部で42人であり、その会派別構成は以下のとおりとなっています。
自由民主党県議団 27人
改新クラブ 5人
日本共産党県議団 4人
公明党県議団 3人
無所属の会 2人
日本維新の会 1人
無所属の会のことはよく知りませんが、改新クラブは完全な寄り合い所帯で、対立が激しい決議、意見書の採決では、意見が割れることも珍しくありません。
ところで、和歌山県議会では、個々の議員の議案に対する賛否は公開していませんが(これは早急に改善すべきでしょう~電子投票システムを導入する予算がないのだろうか?)、会派ごとの賛否の状況は公表しています。
そこで、「令和元年9月定例会における議案等に対する各会派の賛否の状況」を調べてみました。
それによると、「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」についての会派別の賛否は以下のとおりでした。
(賛成)
自由民主党県議団
公明党県議団
無所属の会
改新クラブの一部
(反対)
日本共産党県議団(奥村規子、高田由一、楠本文郎、杉山俊雄各議員)
日本維新の会(林隆一議員)
改新クラブの一部
案の定、改新クラブの意見は割れたのですが、同クラブの5人の賛否をどうすれば確認できるのか?
知り合いの県議会議員に直接尋ねるという方法もあるでしょうが、誰でもできる方法をご紹介しましょう。
まず、基本的に採決は、全会一致の場合には(事前に事務局が調査するらしい)「議長:ご異議ございませんか?」「議場:異議なし」で済まし、賛否が別れる場合には、賛成者に起立を求める方法で行うようですから、誰が立ったのか、誰が座ったままだったのかを映像で確認すれば良いのです。
採決の模様は、県議会ホームページの「本会議中継・録画」というコーナーで視聴することができます。
今回のIR誘致決議については、以下の方法で録画が視聴できます。
和歌山県議会 インターネット中継
↓
録画中継
↓
令和元年度
↓
9月定例会
↓
9月27日(金) ※52分12秒
以上の最終日の録画のうち、「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」については、43分~48分で、日本共産党県議団の奥村規子議員による反対討論が行われています。映像を注意深く視ていると、討論終了後の48分11秒あたりで、奥村議員に拍手する議員が5人確認できます(結局、その5人と奥村議員が反対することになるのですが)。
その直後の48分55秒~49分09秒あたりで採決が行われ、賛成の議員は起立し、反対の議員は座ったままなのですが、反対した議員が誰かを調べるためには、県議会ホームページの中の「本会議場議席図」をご覧ください。
私はこの議席図をプリントアウトした上で、中継録画の映像との照合を行いました。こう書くと面倒そうですが、何しろ反対者は少ないですからね。たった6人でした。
結局、この議案の採決に際して座ったままだったのは、奥村規子議員の演説に拍手を送った5人に、奥村議員自身を加えた6人だけだったことが映像で確認できます。
あらためて、その6人の議員を賞賛するために、以下にその氏名を掲載します。
日本共産党県議団
奥村規子さん、高田由一さん、楠本文郎さん、杉山俊雄さん
日本維新の会
林隆一さん
改新クラブの一部
谷口和樹さん
なお、「和歌山カジノに反対する海南の会」さんのFacebookに、ネット中継された採決の模様を静止画にしたものがアップされていましたので、議長席から見て右側の部分だけですが借用して掲載させていただきました。こちら側に、反対した議員6人全員が写っています。
余談ながら、日本維新の会の林隆一議員がなぜ反対したのか?理由が知りたいと思い、同議員のTwitterやFacebookを閲覧してみましたが、よく分かりませんでした。可能性としては、①カジノそのものに反対、②大坂維新の会が推進する大阪・夢洲へのカジノ誘致に対する援護射撃、③その他、などが考えられますが、はて?
和歌山市議会議員当時、林さんの市民図書館問題について市当局を厳しく追及する姿勢には注目していたものですが。
それにしても、と私が想起するのは、2014年9月定例会で和歌山県議会が採択した「国会に憲法改正の早期実現を求める意見書」の賛否状況です。この時は、意見書を発出して欲しいという請願を採択するかどうかと、意見書そのものの採択で賛否を使い分けた議員(公明党など)がいたりしてややこしかったのですが、少なくとも請願採択に反対した議員が7人いました(以下のとおり)。
(引用開始)
賛成 自民党と公明党全員・改新クラブの一部(長坂隆司・片桐章浩)
反対 共産党全員(雑賀光夫・高田由一・松坂英樹・奥村規子)
改新クラブの一部(藤本眞利子・浦口高典・谷口和樹)
(引用終わり)
それがカジノについては、維新の会を含めても反対「6人」ですからね。やれやれ・・・。
和歌山県民の中で、カジノ誘致に賛成という者が36/42(86%)もいるとは到底思えませんが、議会の現状はこのとおりです。
それにしても、今回賛成した議員は、4月の統一地方選で、本当に「カジノは誘致すべき」と県民に訴えて当選したのだろうか?
再放送 2019年2月27日(水)午前0時40分~1時29分(26日深夜)
http://kcmc.kanagawa-pho.jp )に着任し、病院スタッフの一員として、ハンドラー森田優子と一緒に大勢の子どもたちを笑顔にしてきました。
ベイリーは10歳の誕生日を機に徐々に病棟業務を後任犬のアニー(2歳・メス)に引き継ぎ、最近は“名誉ファシリティドッグ”として病院内ボランティア団体での活動に移行。この度ひとつの節目として引退セレモニーを執り行います。
27日の放送までに本も届いているでしょうから、ざっと目を通した上で、番組を視聴できればと思います。
(追記)
以下の日程で再放送されます。
2019年2月27日(水)午前0時40分~1時29分(26日深夜)
会 場 和歌山県民文化会館小ホール
定員 300名
~人生のエンディングを考える~
おととし(2016年)地震の被害を受けた熊本県では、家の修繕費の負担や、賃貸物件の立ち退きを巡るトラブルなどが続出しました。
番組そのものというわけではありませんが、今年の8月に放送された「記憶する歌~科学者が詠う三十一文字の世界~」に登場された細胞生物学者・永田和宏さん(京都産業大学教授、京都大学名誉教授)が今年6月23日に龍谷大学で行った講演会のほぼ全編の動画が番組ホームページで無料公開されています。年末年始、何とか時間を作って視聴したいと思っています。
3分~ 徳森りまさん
なお、市民連合の記事には写真が付いていませんでしたが、各党のホームページには写真が掲載されていました。4枚の写真を奮発した立憲民主党のホームページを見れば、画像は小さいものの、どなたが参加したか(見る人が見れば)大体分かります。それ以外の写真では、自由党ホームページが使用した森ゆうこ幹事長が発言されているシーンを撮ったものが最高ですね。森さんだけではなく、共産党の穀田国対委員長や広渡清吾先生の笑顔も素敵です。
はじめは、沖縄県知事就任から約半年後の2015年5月17日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われた「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」における翁長知事による挨拶です。そこでは、70年前から始まった米軍占領下の沖縄の歴史が回顧され、沖縄県民の負託を背景として、日本の政治の堕落を痛烈に批判する翁長氏の姿勢に瞠目させられます。今回、動画をご紹介するにあたり、あらたに書き起こしを試みました。
残る2つのスピーチは、4年前と今年の2回の沖縄知事選挙に際しての、歴史に残る応援演説です。まず、2014年11月1日、沖縄セルラースタジアム那覇において行われた「オナガ雄志うまんちゅ1万人大集会」での菅原文太さんのスピーチは、それから4週間も経たずに逝去されたこともあって、私たちにとって忘れ難いものとなりました。スピーチ直後にブログで書き起こしをしていましたので、以下に再録します。
もう1つは、翁長知事急逝にともなう今年9月の沖縄県知事選挙において、翁長知事の遺志を継いで立候補した玉城デニー候補を応援するため、翁長知事の夫人・樹子さんが一度だけ登壇した、2018年9月22日「玉城デニー うまんちゅ大集会」(那覇市新都心公園中央広場)でのスピーチで、私は、これもブログで書き起こしを紹介していますので、以下に再録します。
最後の翁長雄志知事による挨拶は、2016年6月19日に那覇市奥武山公園運動競技場で行われた「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾!被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める県民大会」でのものですが、最後のウチナーグチでの結びの言葉だけが採用されています。
※翁長知事の挨拶は1時間10分~です。
※菅原文太さんのスピーチは21分~ですが、抜粋なので、全編動画を以下に掲げます。
※翁長樹子さんのスピーチは1時間04分~です。
※翁長知事の挨拶は25分~です。
貴闘力 講演会
~私の経験から伝えたいこと~
入場無料・予約不要
パネルディスカッション「空き家問題の現状と対策」
冒頭~ 開会
(引用終わり)
ここは、作品論を語る場でもなければ、私にその資質もないので、是非作品そのものをお読みくださいと言うにとどめますが、それよりも重要なことは、私が、実在の大石誠之助の存在を知るに至ったのは、この『許されざる者』という小説を入手したことがきっかけだったということです。そこからさらに、「大逆事件」そのものに遡って調べるようになったのですから、「おくて」もよいところで、まことに恥ずかしい話ですが、事実だから仕方がありません。
△日程24 議員発案第2号 新宮市名誉市民の候補者の推挙について
○議長(屋敷満雄君)
アーサー・ビナード氏講演会(in和歌山市)レポート/2011年7月9日
2013年7月7日
7/2アーサー・ビナード氏講演会「ヒロシマとフクシマとどっちが遠い?」(in岡山市)
2013年8月16日
スナメリチャンネルが伝えた8月の広島(アーサー・ビナードさん講演会&中国電力前アピール)
2013年9月5日
アーサー・ビナードさん 祝島への旅(スナメリチャンネル)
2014年9月5日
アーサー・ビナードさんの講演は面白くて為になる~9月2日・岡山から(付記・足立力也さんによる「消極的平和と積極的平和」)
2015年1月8日
殺すな!殺されるな!~福島菊次郎さんとアーサー・ビナードさんの対話(in多摩市)
2016年5月16日
早稲田の杜から「Democracy Strikes Back!! 民主主義の逆襲」(5/15)
※高畑勲さんとアーサー・ビナードさんの対談が聴けます。
2017年1月30日
※2014年11月1日、那覇市営奥武山野球場での「オナガ雄志 うまんちゅ 1万人大集会」にて。
※2018年6月23日、沖縄県糸満市摩文仁で行われた「沖縄全戦没者追悼式」。翁長知事の挨拶は25分~31分です。
※追記(2018年8月2日) 今朝(8月2日)一番で和歌山弁護士会を訪れ、同会が保存してある7月26日以降の産経新聞(朝刊)を調べさせてもらいました。ところが、産業経済新聞大阪本社版にはその広告が見当たらない!日本カジノ学院には大阪校もあるようですが、さすがに全国で出稿するほどの予算はなかったのかもしれません。やや骨折り損という感じがしないこともありませんが、「情報を取る」という作業には、当然このような「裏を取る」手間が伴うわけで、まあ仕方がありません。
いやあ、確かに厳しい仕事なのかもしれませんが、それって「賭博罪」(刑法第二編、第二十三章)に該当するのじゃないの?何しろ、まだ国内には合法的に認められたカジノは1つもないのですから、と思ってしまった次第です。
カジノ推進法案をめぐる和歌山の現状と読売新聞による徹底批判
2017年2月27日
和歌山弁護士会「いわゆる「カジノ解禁推進法」の成立に抗議し、同法の廃止を求める会長声明」(2017年2月27日)と和歌山でのカジノ誘致の動き
2017年3月10日
「カジノで観光・まちづくり!?ちょっと、おかしいんとちゃうか!緊急トーク集会」3/13@プラザホープのご案内と4月・5月の「予告編」
2017年3月26日
「カジノあかん3・25大阪集会」動画のご紹介と12/12参議院内閣委員会での新里宏二弁護士と鳥畑与一静岡大教授の反カジノ意見陳述
2017年4月5日
「カジノ実施法案」作成作業が始まりました~クリーンなカジノの実現を目指して(!?)
2017年6月21日
和歌山でのカジノ誘致に反対する動き~和歌山弁護士会「会長声明」(6/16)とカジノ問題を考える和歌山ネットワーク準備会「市民集会」(7/19)
2017年7月5日
カジノ推進法案をめぐる和歌山の現状と読売新聞による徹底批判
2017年2月27日
和歌山弁護士会「いわゆる「カジノ解禁推進法」の成立に抗議し、同法の廃止を求める会長声明」(2017年2月27日)と和歌山でのカジノ誘致の動き
2017年3月10日
「カジノで観光・まちづくり!?ちょっと、おかしいんとちゃうか!緊急トーク集会」3/13@プラザホープのご案内と4月・5月の「予告編」
2017年3月26日
「カジノあかん3・25大阪集会」動画のご紹介と12/12参議院内閣委員会での新里宏二弁護士と鳥畑与一静岡大教授の反カジノ意見陳述
2017年4月5日
「カジノ実施法案」作成作業が始まりました~クリーンなカジノの実現を目指して(!?)
2017年6月21日
和歌山でのカジノ誘致に反対する動き~和歌山弁護士会「会長声明」(6/16)とカジノ問題を考える和歌山ネットワーク準備会「市民集会」(7/19)
2017年7月5日
上の南健二さんの案内に登場するCDジャケットデザインのポストカードプレゼント(by Shinyaさん)はとっても魅力的です!