わく三の「ま、こんなもんでしょ。」

日々の『こんなもん』

2007年06月

先週の土曜は、とあるリハビリ施設に慰問に行ってきた。

リハビリを頑張っている患者の方々に芸を見せて、元気を出してもらったり、リラックスしてもらうという企画だ。
僕は前座兼司会。
メインは昭和39年オリンピックの年に『東京の灯よいつまでも』が大ヒットした新川二郎さん。

会場には患者さんの他に患者さんの家族の方など、たくさん来ていた。
患者さんは車イスやベットに横たわったままの方もいるので、会場はいっぱいいっぱい。

脳溢血で倒れ精神年齢が4歳児くらいになってしまった男性や、意識はあるが何も喋れなくなってしまった方、今までの記憶が一切なくなってしまい泣く事しか覚えてない女性、皆が会場に集合した。
色々な事を考えてしまい胸が痛くなった。

僕の出番が終わり、新川二郎さんのステージ。
青い山脈やあこがれのハワイ航路、懐かしい歌オンパレード。
すると患者さん達も歌いだした。
『こんなに元気に歌っている患者さんを見るのははじめてです』
っと、院長先生が驚いていた。
子供の頃に聴いた歌は、記憶に残っているらしい。
少し目頭が熱くなった。

慰問が終わり、帰り仕度をしていると患者さんのご家族に呼び止められた。
『君、昔漫才やってなかった!?』
(僕を知っているようだ)
『僕君の事見た事あるんだよね〜漫才は辞めちゃったんだ!?』
(どこかで見たんだろうな)
『これからも頑張ってね!めしたくぞう君!!』

....めしたくぞうは、別れた相方だ。

「あの〜僕は風呂わくぞうの方なんですが...」
それを聞いて、男性は言った。
『何それ?』
....本当に僕の事を見た事あるんだろうか?
少し悲しくなった。

色々と心に響いた一日だった。

昨日午後4時30分頃、遅めの昼食をとる為、師匠と新橋の喫茶店に入った。
昔風の懐かしい喫茶店。
ボーイは初老の男性。
カウンターキッチンの中にはおばちゃんが一人。
どうやら二人でやっているようだ。

初老のボーイは花柄のエプロンをしている。
....全然似合ってない。
いかにも着せられている感がある。

ボーイ『何がよろしいですか?』
僕らはハヤシライスを頼んだ。
ボーイさんはカウンターキッチンの中に入りおばちゃんに伝票を渡した。
おばちゃん『こっちまで入って来ないでさぁ、カウンター越しに口で言えばわかるでしょ!こっちに来る時間が無駄じゃないの!』

初老のボーイさんはお客の前で怒られている。

ボーイさんは僕らの前にスプーンを置いた。
おばちゃん『ほら、サラダの箸も置かないと!しっかりしてよ!』
何もそんな事で怒らなくてもいい様なものだが....

僕らの元にハヤシライスが運ばれてきた。
おばちゃん『気をつけなさいよ!こぼしたらシャレにならないからね!』

事あるごとに怒る様に指示するおばちゃん。

師匠『あの男性、こき使われて大変だなぁ。今は年金問題とかで安心できないから、今も働いてるんだろうな。あの歳でこき使われて...パートするのは大変だよなぁ。いや時代だよ...』
ちょっと、悲しくなった。
....確かに、いやな時代だ。

その後も何かにつけて怒鳴られるボーイさん。
そして色々とこき使われていた。

『どーも!!』
一人の中年男性が入ってきて、ボーイさんに珈琲を注文した。
男性『いやー聞いたよ〜!この間大勝ちしたらしいね〜!』
(パチンコの事かな?)
男性『今月出っぱなしじゃない、マスター!』
ボーイ『そんなでもないよ!』

...マスター?この怒鳴られている初老の男性が?
じゃあ、あのおばちゃんは?

おばちゃん『じゃあ時間だからあとよろしく!』
おばちゃんは帰っていった。

男性『もう、えっちゃんも慣れてきたんじゃない!?二ヶ月ぐらいでしょ。』
マスター『駄目だよ!口ばっかりで。雇うんじゃなかったよ。』

どうやら、あのうるさいおばちゃんはパートらしい。
パートに怒鳴られるマスターって...

僕『師匠、あのボーイさんがここのマスターなんですね!』
師匠『........嫌な時代だよ!』
それ以上は何も言わなかった。

しかし、あのおばちゃんは何故常に怒鳴り口調だったのだろう。
そして、マスターにあの態度とは...
恐ろしいね。

『わくちゃん、ちょっと手伝って欲しいんだけど!!』

知り合いに人が足りないので仕事を手伝って欲しいと頼まれた。
一日だけのアルバイト。

内容も聞かずに現地に行ってみると....
下着の返品処理だった。

と言っても、デパートとでの売れ残りの枚数を数え色、形、等の仕分けをする簡単作業。
僕の他には、おばちゃんが一人。

おばちゃんは僕に気を使ってか、色々喋りかけて来る。
『わからない事あったらなんでも聞いてね!』
「...あの〜、これはどうやるんですか?」
『う〜ん、ちょっとわからないわね。私この仕事2回目なのよ!』
(じゃあ、何故に『なんでも聞いてくれ』なんて言ったのだろう?)

『あなたまだ若いから、こんな下着見たらムラムラしちゃうでしょ〜!?』
「....いや別に。」
『まだ若いんだからいいのよ〜!!』
「.....」

ガースーを思い出した。
おばちゃんは皆こんな感じなのだろうか?

『ねぇ、これ凄い下着だわよ!丸々スケスケ(?)じゃない!』
そして、おばちゃんは自分の体に合わせてみせた。
『ねぇ、見て見て〜!』
(僕に何を期待してるのだろうか?)
「....あはは、凄いっすね。」
思いっきり苦笑いをしてしまった。

『そこの『ダー』取って!』
「『ダー』って何ですか?」
『ダーはDカップの事よ!』
専門用語でそう言うのだろうか?ここだけの事だろうか?

仕分けをしていたらHカップの下着が出てきた。
『ちょっと凄いわね〜こんなの誰が着けるのかしら?靴でもしまえそうよ!』
言っている事はよくわからなかったが、確かに大きい。
Hカップのブラジャーなんてはじめて見た。

『頭にかぶれるわよ!帽子になるわね!!』
そりゃ無理だろう。
こんなものをかぶって歩いていたら変態だ。

その後、しばらくおばちゃんの身の上話になり、僕はみのもんた状態だった。

『ちょっとトイレに行ってくるわね。』
おばちゃんは席を立った。

Hカップのブラジャーが僕の目にとまった。
おばちゃんの言葉を思い出す....

『帽子になるわね!!』

(....帽子!?)
急に興味がわいてきて。

(本当にかぶれるのかな〜?)
好奇心が膨らんでいく。

(頭は入るかもしれない!?)
僕はブラジャーを手に取った。

ブラジャーを頭に合わせてみる。
さすがに頭の方が大きい。
(....だよな〜!)

その時視線を感じた。
パッと後ろを振り向くと....
おばちゃんがジッと僕の事を見ていた。

『若いわね〜!!!』

「....ありがとうございます...」
僕は思わずお礼を言ってしまった。

若さと言うか、馬鹿さというか...

朝、通常通り起きた。
シャワーを浴びて、服を着て駅に向かった。

何か変な感じ。

電車に乗っていすに座る。
急に腰が突っ張る様な感じ、少し痛い。

道を歩いていても、力が入らないと言うか、足が前に出ないと言うか....

やっぱり変な感じ。

昼、ラーメン屋に入るつもりがそば屋に入ってしまった。
そんなつもり無かったのに、調子が悪いのかなんなのか...

なんか上と下が逆の様な....右と左の感覚もおかしい。

一日中、ずっと変な感じだった。


家に帰ってその理由がわかった。

パンツを後ろと前、逆に履いていた。

....ただそれだけです。

昨日は仕事の為、昭島へ。
約束の時間より早く到着したので駅近くのパン屋兼喫茶店になっている店でお茶を飲む事にした。

店内にはさすがにパンがいっぱいだ!
僕はクリームパンが大好き。
すぐさまクリームパンを探した。
みると残り4つ...
(ここのクリームパンはどうだろう?うまいかなぁ〜?)
期待しながら、クリームパンを1つトレイに取った。
若い女の子がレジを打っている。

『店内でお召し上がりですね〜。』
ハキハキと受け答えをして、クリームパンをお皿に移そうとトングで掴んだ時...

トングからするりと抜けてクリームパンが下に落ちた。
レジのテーブルではなく、床に落ちた。


普通は....
パンを拾い上げ
『申し訳ございません。ただ今新しいものをお持ちいたします』
....と言って替えてくれるもんでしょ?


その店員はパンを拾い上げて、「フーフー」と息を吹きかけてお皿の上に置いた。
(まさか!?まさか!?それで終わり?それを客に食わせる気か?)
僕は店員に言った。
「あの〜、そのパン落ちましたよね?駄目でしょ!?」
『大丈夫です。3秒経ってませんから。』
まさかこんなところで3秒ルールが適用されるとは...

「いや、それはマズいでしょ!?」
『味は変わらないと思いますよ。』
「いや、味の事じゃなくて..店としてマズいでしょ?」
『じゃあ替えましょうか?』
「その方向でお願いしますよ。」
ハキハキとした印象とは裏腹に、変な店員だ。

僕はパンを取り替えてもらい、席について食べはじめた。
なんか僕が被害者のはずなのに、下の様な気がしてならない。
そんな事を考えながら食べたクリームパンは全然おいしくはなかった。
実際クリームも少なくてがっかり。

そろそろ待ち合わせの時間なので店を出ようと立ち上がった。
ふとクリームパンの棚を見ると、3つ残っていた。

(....3つ?)

最初は4つだった。
僕が取って3つ残った。
店員が落として1つ持ってきた。
だから、残りは2つのはず。
しかし、現在の残りは3つ。
何故??????

(まさかあの店員が.....!?)

真相はわかりません。
僕の想像が本当だったら.....恐ろしい。

先日友達と近くの居酒屋に飲みにいった。
その店は平日なのに結構な人数が入っていた。

サラリーマンが多い中、僕の隣のテーブルには貫禄のあるおっさんが三人座っていた。
まぁ普通なんだけど...なんかオーラが違う。

テーブルをみると一升瓶が「ドンッ」と置いてある。
「日本酒かなぁ〜」

チラッと銘柄を見た。
「森...。森伊....蔵。....森伊蔵っっっっ!?」

森伊蔵をが一升瓶で置いてある。
「この店に森伊蔵が?」
メニューを見てみると、芋焼酎の所に「森」の字すらない。

この店にないという事はたぶん持ち込みだろう。

一升瓶を豪快に注いでいる。
ロックでガンガン飲んでいる。
「羨ましい...」

しばらくすると、その三人が席を立って帰っていった。
テーブルの上には森伊蔵の瓶が置いてある。
中には7cmぐらい残っている。
2、3杯分はたっぷりある。
「飲みたい...」

その店の男性がテーブルの上を片付けもせず、森伊蔵を持ってうれしそうに厨房の方にさがっていった。どうやら、その男性は店の店長で「残りの焼酎はやるよ!」とでも言われたらしい。

その後店長さんはハキハキとした口調になり、歩くときはスキップをしていた様な...

程よく酔っぱらってきて僕はトイレに立った。
トイレの脇には厨房入り口がある。
そこから怒鳴り声が聞こえた。
『何やってんだ!馬鹿やろう!』
この声はさっきまで機嫌の良かった、店長さんだ。
凄い剣幕。
「何かあったのかな?」
面白そうなので、しばらくその場で様子を見る事にした。

『森伊蔵だぞっ!森伊蔵っっっ!お前にこの価値がわかるのか?』
「...わかりません。」
女性の声が聞こえた。
パートの女性とやり合ってるようだ。

店長『触るなって言っただろっ!この焼酎の中身はどうしたんだ!?』
女性「...捨てました」
店長『何やってんだっ!一杯いくらすると思ってるんだっ!』
女性「知りません。いくらですか?」
店長『....そんな事はどうでもいいっ!なんでそんな事したんだ!』
女性「だって、店長がいつも言ってるじゃないですか、お客さんの残したものは捨てなさいって。」
店長『...それはそうだけど...でも、森伊蔵だぞっ!わかってんのかっ!?』
女性「わかりません。」

どうやらパートの女性が残っていた森伊蔵を捨ててしまったらしい。

価値を知らない人にはただの残り物。
あ〜もったいない。
少しだけでも舐めたかったなぁ。

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