6bd21b4e.jpg


シドニー・ルメット監督



フィリップ・シーモア・ホフマン
イーサン・ホーク
アルバート・フィニー
マリサ・トメイ
マイケル・シャノン
エイミー・ライアン
ローズマリー・ハリス




2007年米・英作品





会計士として成功し、裕福な兄。離婚し養育費も払えない弟。兄は妻との関係を守る為に、弟は生活の為。二人は実の両親が経営する宝石店の強盗計画を立てる。



「十二人の怒れる男」や「狼たちの午後」で知られるアメリカ映画史に名を刻む社会派犯罪映画の巨匠シドニー・ルメット監督作品。



フィリップ・シーモア・ホフマンとイーサン・ホークの演技派の共演も見所。



シドニー・ルメット監督は今年で85歳になられたそうで。とんでもない。敬服するしかない。




85歳で時系列の変動を用いたサスペンスなんて撮れるものなのか?感心を通り越して、本当にシドニー・ルメットが撮ったのか疑問を持ってしまうくらいに若い感性の作品である。



それでも長年の人生経験がある為に一味違うサスペンスに仕上がっている。構成は新しいことにチャレンジしているが、描かれたテーマは兄弟や親子について。


特に、父と子の関係が親側から描かれていることが作品に深みを出している。



親子関係の小さな亀裂が惨事を呼び、再生することの出来ない長年の思いが表面化する様は若い監督ではなかなか描けない微妙な問題。



監督の役者に対する信頼感も良く出ていて安定している。特にフィリップ・シーモア・ホフマンに対する監督の入れ込みは凄い。長回し使ってみたり自然に演じさせようと気を使っているのが見て取れる。




父親役の名優アルバート・フィニーの鬼気迫る演技も引き付けるには充分の魅力があった。ラストの演技は貫禄勝ちだった。胸に突き刺さるかの様だ。素晴らしい。



問題点にはならないと思うがテーマの特殊性が観る者を選ぶ作品ではある。親子間にしこりのない生き方をしている観客にはさっぱりわからない作品だろう。



個人的には本作品の親子、兄弟間の問題は重なる部分が多い。意識するしないの違いで誰もに心当たりがあるテーマだとは思うのだが、本当に些細な行き違いが問題になっているのでわからない人にはさっぱりな様だ。




万人受けを狙い、評価される必要性が最早監督にはないのだろう。作家性が全面に出た作品と言える。




近年当たりのない監督の1人として知られる名匠なのだが、85歳にしてこの作品を作られたことには素直に敬服する。