2008年07月27日

愛と放尿

 フィリップ・ガレルがヴェルベット・アンダーグラウンドの歌手、ニコとの生活を淡々と綴った映画が「ギターはもう聞こえない」という作品です。
この映画の中で、女が便器に座り放尿している間も恋人の男がずっとそばで手を繋いでいる、というシーンがあります。これは、ある意味究極的な「愛のシーン」ではないでしょうか。
「特殊翻訳家」の柳下毅一郎氏は著書の中でこのシーンを取り上げ、トリュフォーとヒッチコックの対談における言葉を引用する事で、この「愛」をより明快に説明しています。
それによると、ヒッチコックがフランスの田舎を移動している時の事、若い男女がレンガの壁に向かって立っており、良く見ると男は放尿していたが、若い女は男の腕をしっかりと掴んだまま、「行為」を眺めていた、というのである。
これを見てヒッチコックは「まったく愛の現場そのものを見る思いだった、これこそ、本当の愛のすがただと感じた」と語っています。
愛し合っているがゆえに離れられない、「排泄」さえ分かち合う、これは決して「異常な」愛の形ではないのでしょう。

参考;「愛は死より冷たい」柳下毅一郎著

wakuwaku1776 at 09:30コメント(2)トラックバック(0) この記事をクリップ!

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コメント一覧

1. Posted by 下等遊民   2008年07月27日 11:24
 この映画、是非観てみたくなってしまいました。愛とは相手のすべてに関心を持つことでもあるわけで、そこから排泄に関する事柄だけがスルーされるとしたら、その方がむしろ不自然であると言わざるを得ないでしょうね。
柳下毅一郎氏の著書も読んでみたくなりました。
2. Posted by wakuwaku1776   2008年07月27日 19:40
5  下等遊民さま
 ヴェルベット・アンダーグラウンド&ニコについては、アンディ・ウォーホルがらみで知っていましたが(有名なバナナのLPジャケット)、この映画を見るまでは正直、興味を持った事がありませんでした(何せワタシらの世代ではないので・・・)
柳下毅一郎氏は「これは実際にあった事だと思いたい、ガレルはニコの小便を目撃したのだと」と書いております。

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