June 08, 2022

okazu通信 第93号「淺井裕介×猪苗代中学生徒300人のワークショップ」

ウォールアートプロジェクトを応援してくださっている皆様

お久しぶりです。間がだいぶ空いてしまいました。昨日まで行っていた猪苗代でのアートワークショップの熱気をそのままお伝えします!!

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okazu通信 第93号「淺井裕介×猪苗代中学生徒300人のワークショップ」

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夏を思わせるような日差しの中、植物が勢いよく生い茂る峠道を越えると水面がきらめく猪苗代湖が見えた。そして、磐梯山は相変わらず美しいシルエットで私と淺井裕介さんを迎えてくれた。猪苗代町にやってきた。過去にWAFを開催してきた3つの中学校が合併してできた”新”猪苗代中学校の生徒たち向けに、淺井裕介さんのワークショップを開催するためだ。
 昨年9月、淺井さんは在校生徒200人と粘土で立体を作り、約600体が誕生した。2019年に描いた壁画「野生の合奏」の中に展示し、「野生の大合奏」として、生徒たちとのコラボレーション作品へ昇華した。学校の統廃合に伴い、旧校舎は今夏、取り壊される。動かすことのできない壁画も校舎と運命を共にする。壁画がなくなるのは寂しい気持ちになるけれど、取り壊されることを逆手に取り、学校を飾り付け、沢山の卒業生を送り出してきた校舎を最後にみんなで見送ろうと、今回のワークショップを企画した。
 生徒は、1学年100人ずつ、合計300人と大規模。1年生は、水、風、光をテーマにしたステンシルを制作し、壁に描く。2年生はマスキングテープで床に植物を描く。3年生は2年生が描いた植物をカッターで切り抜き、赤く塗る、という3学年の合同作品を目指した。
 それぞれの学年の前で淺井さんが説明した。私の心に残ったのは、「美術作家の淺井裕介です。”絵描き”として生きています」という自己紹介だった。絵を描いて生きていくのは難しいよ、と言われてきたけれど、たくさんの協力を得ながらなんとかなっています、という言葉はきっと中学生たちの職業観を揺らしたことだろう。もしかしたら何人かには将来の新しい光が差したかもしれない。取り組む内容についてはもちろん、絵を描く、何かを作る、ということについて、自身の体験を噛み砕きながら淺井さんは言葉を尽くし語りかけた。
 限られた時間の中、ワークショップは進み、1、2年生の取り組みが終わった初日の夜のこと。淺井さんとその日のことを振り返った。「去年と比べて子どもたちがすごく変わったように感じたんだ。僕に語りかけられているのは、自分じゃなくて他の人、と感じていたように思えた。周りの人が反応しているから反応する、そうでなければ自分もしない。統合で今まで知らなかった子たち同士が混じり合っているからかもしれないね」。
 大人たちにしてみたら、「学校の統廃合、全国的にもたくさん起きていることだね」、と捉えるに過ぎない出来事かもしれない。けれど、その当事者である子どもたちの心は確実に揺れている。日々接する先生たちも大変だろう。校長先生が「同じ学校に通う者同士、子どもたちに親睦を深めてほしい」と、このワークショップの開催に諸手を挙げて賛成してくださった理由がよく分かった。
 2日目、3年生は、2年生が描いたマスキングテープの植物をカッターで切り抜き模様をつくった。その上にスポンジで赤いペンキを塗り、ふちどった。本当はテープを剥がして完成、だったのだけれど、この日は短縮授業の日ということもあり、完成には至らず。午後の時間、実行委員会のメンバーで完成を目指した。すると、美術の先生が、「総合文化部」という部活の子たちを引き連れ、手伝ってくれた。みんなの頑張りで作品は完成した。3階にある「野生の大合奏」の部屋から赤い脈のような一本の蛇行する線が2階へ下り、ぐるっと一周してまた戻ってくる。植物は壁にも繁茂し、随所に淺井さんが装飾を施した。その姿は、淺井さん流に「お疲れさま」と学校に語っているようでもあった。
 子どもたちはどう思っただろう。淺井さんはワークショップをこう締めくくった。「何をやっているかわかんないな、って思った子もいたかもしれないけど、美術には何かをぐるっと変えてしまう力があります。学校って、普通は今みんなとやったみたいに壁や床に絵を描いたら、オイオイってなる場所。けれど、世の中には、やってはいけないことと、やっていいことの二つしかないのではなくて、その間にある"一見やってはいけないように見えるけれど、実はやったほうがよいこと"が、無数のグラデーションのように存在しています。そのギリギリのところに迫るために、今みんながやっている勉強が大事なんです。いろんなことが分かってくるほど、やってみたほうがよいこと、まで辿り着けるようになるからです。難しいことを話しましたが、みんなと協力して作れた時間がとても楽しかったです」。
 私は胸が熱くなった。とても素敵なメッセージだった。今回の時間を子どもたちがどう受け取ったのか、それはわからない。ただ、私に鮮烈に焼き付いた光景がある。放課後手伝いに来てくれた総合文化部の女の子が、完成して帰る直前にテープを剥がした跡を指でなぞって絵を見つめていた。少なくとも1人には何かを渡せたに違いない、と私は確信している。

 okazu

☆わふのこNEWS★

●ウォールアートプロジェクト応援団更新の時期になりました。
「学校×アート」を掲げ、活動を始めてから14年目を迎えます。淺井さんと取り組んだ今回のワークショップも、応援団の皆様のサポートのおかげで実現しています。
2022年度の更新の時期となりました。今年の中心となるのは、秋に向けた猪苗代アートプロジェクトの取り組み、そしていよいよインドへ渡航し、芸術祭の準備を始めます。
皆様からの変わらぬご声援、何卒よろしくお願い致します。

加入方法
1)一口3000円の会費を納入(お振り込み、または直接納入)
振り込み先
みずほ銀行 成城支店 1170797 トクヒ)ウォールアートプロジェクト
2)「okazu通信」配信先のメールアドレスをお知らせください。
3)サイトに記名するお名前をお知らせください。

淺井裕介さんと中学生がワークショップに取り組んだ旧猪苗代中学校が、6月25日(土)、26日(日)が無料開放されます。
6月25日(土)午後1時〜午後4時
6月26日(日)午前10時〜午後4時
住所:〒969-3133 福島県耶麻郡猪苗代町大字千代田中島5番地の1
どなたでもご来場いただけます。「野生の大合奏」と、今回のワークショプの作品を見ることができる最初で最後のチャンスです!
*会場では、募金箱を設置しています。ご協力賜れますと幸いです。

●WAFふくしま in 猪苗代2020、2021で2つの小学校に壁画を残してくれた浅野友理子さんの個展「脈脈」がツォモリリ文庫で6月13日(月)まで開催中です。
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浅野友理子展「脈脈」
会期:2022年5月20日(金)〜6月13日(月)
時間:月・金  12:00 – 20:00 土・日  12:00 – 18:00
定休日:火・水・木
会場:ツォモリリ文庫 調布市仙川町1-25-4
主催:ツォモリリ文庫 (http://tsomoriribunko.com)
電話:03-6338-1469 (月・金・土・日の営業時間)
Eメール:info@tsomoriribunko.com

展示中の作品の一部をツォモリリ・オンラインショップでもご覧いただけます。
https://tsomoriri.thebase.in/categories/4404538

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ウォールアートプロジェクト 2022年度
【協賛】貝印株式会社 Blue Bear Inc. ポーラスター株式会社
【協力】カモ井加工紙株式会社
【WAP応援団 2022】 2022.6.7 現在 3名
薮内利明 林原裕子 本田啓之
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January 04, 2022

KES

KES(ケン・ローチ監督、1969年)を観た。
今から50年以上前のイギリス北部、とある地域。
主人公の少年の佇まいや、置かれている状況が私がインドで多く目にした子どもたちを思い出させた。
大人たちの理不尽さ、どうしようもなく、振り回される毎日。
「大人たちの物差しで、自分たちを測らないで」
そんな声が聞こえてきそう。
子どもの伸び代がどの方向へ向かっているのか。
どちらに光を感じ取って、伸びていこうとしているのか。
それを大人が勝手に押し付けたり決めることは傲慢なことー。
大多数がそういう大人であったとしても、その中に何人かでもそうでない人がいたら。
その人に出会った子どもは、幸せを見つけやすくなるかもしれない。
観終わった直後、感想を聞かれたらこう答えたと思う。

okazu 

wall_art at 22:42|PermalinkComments(0)子どもの姿 | 出会い

January 02, 2022

久しぶりにラダックのShakunさんと話す

ラダックのシェイ村にいるShakunさんから、Happy New Yearのメッセージをもらった。
返事を書いている途中で思い直し、電話をかけた。
「ジュレー!ニェラン カムザン イナレ?(元気にしてる?)」
「マ ギャラ インレ(めちゃ元気だよ〜)」
と挨拶を交わす。
最後に会ったのは、2019年の8月第4回世界森会議だから、 かれこれ丸2年以上会っていない。
O「寒いでしょう、そちらは」
S「雪が降っているからね、そんなでもないわ。マイナス10度くらい」
O「めっちゃ寒い笑」
S「雪が降っていると、少し暖かいのよー。マイナス15度、20度の日もあるからね」
と、声が元気そう。氷河の万年雪も理チャージできるんじゃないかしら、とのことで、嬉しい。
去年一年はどうだったか尋ねると、夏はインド国内の旅行者でホテルも車も予約を取れないほど。かつてないほどラダックに観光客がいたそう。この寒さでも、観光で訪れる人がいつもの冬よりかなり多いそうだ。
コロナの感染者数は、寒くなってきて微増しているとのこと。
デチェンさんやパドマさん、他の家族の皆さんも元気とのことでひとまずは安心。 
今年はラダックを訪れて、次のプロジェクトへ向けた下準備ができたらいい。
色々な人に連絡を取り始めてみよう。
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マトー村の公立学校に通う子どもたち。CODとpH試験紙で、水質調査中。
氷河の万年雪が減少・後退していることを彼・彼女たちに伝えた。だから、リチャージが進むだろうと聞いて嬉しい。
みんな元気かなー。


okazu 


wall_art at 16:46|PermalinkComments(0)Ladakh 

December 31, 2021

okazu通信 第92号 「翻訳とウォールアートフェスティバル」

ウォールアートプロジェクトを応援してくださっている皆様

今年も1年間、大変お世話になりました。
2021年のウォールアートプロジェクトは、福島県猪苗代町を舞台にした「ウォールアートフェスティバルふくしま in 猪苗代2021」を成功に終え、5年目となる"2022"へと踏み出しました。
そして、インド行きへ向けて、エネルギーがはち切れんばかりです。
今年最後になるokazu通信の配信です。2022年も突き進んでいきますので、ご声援のほど、どうぞよろしくお願い致します!!

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okazu通信 第92号 「翻訳とウォールアートフェスティバル」
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 2021年の暮れ、郡山では雪がちらついている。父は近所の神社の元朝祭の準備でわたわたしている。「今年の冬はしっかり寒い。餅や甘酒の振る舞いもないから、どれだけ人が来るか分からないけど、準備はしっかりと」と、地域の皆さんと早朝から協働作業をしてきた。強風で飛ぶ雪を前に、ラダックでもしっかり雪が降って、近年後退しつつあった氷河の万年雪がちゃんとリチャージされるとよいのだけれど、と願う。
 インドから離れて早22ヶ月。次に行けるときはいつだろうかと、今か今かと待ちわびている。こんなに長い時間日本に居続けたのは13年ぶりだ。もうきっと体の細胞はインドのスパイスや水でできたものから、日本の物質で作られたものにそっくり入れ替わってしまったことだろう。次のインドでは腹も壊すかもしれない。せめて髭を伸ばして、インドでいつも通り交渉事に臨めるよう態勢を整えている。髭の有無でやりとりの対応が変わる。「本当にそんな効果があるのか」と半信半疑な人が大部分と思うけれど、私にとってはマジな話だ。細胞だの、髭だの、普通は思いを馳せるに及ばない身体パーツだけれど、インドとの関係性があるがゆえにそういう生な体感を味わっている。恵まれているな、としみじみと思う。
 郡山に携えてきた本がある。木村榮一著「翻訳に遊ぶ」だ。実家で妹家族の甥っ子や姪っ子の声を聞きながら読破できた。ラテンアメリカ文学翻訳の第一人者である木村さんの半生が綴られたこの本には、翻訳者として積み重ねたキャリアとその過程での苦悩、知ることの楽しさ、悔しさ、知の探究の喜びが克明に書かれている。そこからうかがいしれるのは、小手先ではない翻訳の真髄と、謙虚な達観だ。
 原文に寄り添うこと。 著者の文化や暮らしへの理解を深め、想像を十分にすること。よき読者であること。数多くの名文に触れること。生きている中で出会った自分の記憶にある言葉を、翻訳のためにその底から引き上げてくること。文章を書く時の”調子(リズム)”の大切さ。役者と訳者の共通点。“Bene qui laurie, bene vixit”「隠れて生きる者は、よく生きる」、というラテン語の格言。気取ったものではない普通の語と語のつながりが文章全体を浮かび上がらせる、という実感。
 木村さんによって”翻訳”の文脈の中で語られたこれらは、一見関係のない場でも生きてきそうだ。例えば、子どもと関わるとき。クリエイティブなものに触れ誰かに伝える場面。異文化で生きる人と友情を育む機会で。ウォールアートフェスティバルのキャッチフレーズ、「アート×学校×支援」とも結びつく。現地の状況をよく知り把握し、洞察し、未来を想像する。オーガナイザーである私たちは裏方で、スポットライトがあたるのは子どもたち。アーティストの意図や心意気を最大限ベストな形で発信し伝えること。滞在制作期間中の出来事一つ一つが輝いているから装飾する必要はなく、ありのままを見せることがプロジェクトを伝えることになること。
 拡大解釈かもしれないけれど、「翻訳」は著者や読者という人間関係の中で行われる営みだから、私たちが取り組んでいることと結びつくのは不思議でもなんでもないのかもしれない。
 なぜ最近、翻訳、というテーマに惹かれているのだろう、と謎だったけれど、なんのことはない。インドと日本の子どもたちを結びつける橋のようなものになりたい、と、13年前の初めから思ってきたことに再び全力を注ぎたい欲求に駆られているのだ。

okazu

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ウォールアートプロジェクト 2021年度
【協賛】貝印株式会社 Blue Bear Inc. ポーラスター株式会社
【WAP応援団 2021】 2021.12.31 現在 28名
薮内利明 林原裕子 宇佐美晶宏 内野友稀 みいたん ひろちゃん 東京ヨーガセンター まるこ 小野養豚ん 栗林久美子 竹之内美江 鈴木保人 佐保田雅代 佐保田昌美 長照寺 北辻宣宏 永作佳紀 なべちゃん ツツミエミコ しらがさちこ 鹿島和生 中村敦子 本田啓之 みえ よっしー sammy 鉄矢悦朗 Touch the GOND

【お知らせ】
ウォールアートプロジェクトを個人的に、法人として、寄付の形で応援してくださる方を募集中です。
加入方法
1)一口3000円の会費を納入(お振り込み、または直接納入)
振り込み先
みずほ銀行 成城支店 1170797 トクヒ)ウォールアートプロジェクト
2)「okazu通信」配信先のメールアドレスをお知らせください。
3)サイトに記名するお名前をお知らせください。


wall_art at 20:01|PermalinkComments(0)okazu通信 | 想い

November 11, 2021

okazu通信 第90号「WAFの流れ、脈々と」

Wall Art Projectの活動を応援してくださっている皆様にBCCメールでお送りしているokazu通信。
10月〜11月にかけて、福島県猪苗代町にて、ウォールアートフェスティバルふくしま in 猪苗代 2021を開催しました。
okazu通信の最新号をお送りします。
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okazu通信 第90号「WAFの流れ、脈々と」

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おもてなしを企画した猪苗代高校の生徒たち

 ウォールアートプロジェクトが開催する(主催・共催含む)16目の芸術祭となった「ウォールアートフェスティバルふくしま i猪苗代 2021」は、私にとって記念碑的プロジェクトになった。まず、猪苗代町にある13の壁画作品が一挙に見られる、というまさに「壁画の芸術祭ウォールアートフェスティバル」であったこと。これは作品が蓄積されていっている猪苗代ならではだ。そして、それらが学校にあることの意味を深く実感したのが今回だった。

予約制の鑑賞会、という形で作品を公開した今回、猪苗代高校の美術室に描かれた香川大介さんの作品の中で、高校生たちが「おもてなし」企画をしてくれた。お茶と、手作りのポテト料理と小菊かぼちゃクッキーをふるまってくれた。猪苗代の四季が盛大に描かれているその部屋は、猪苗代という土地や人々に対する香川さんのリスペクトがそっくりそのまま出現したかのようだ。高校生たちは、「猪苗代に憩いの場を作りたい」と、そこをカフェにする企画を学校側に働きかけ、今回実現した。壁画のある空間を活用する、その動きが高校生主体で出てきていることは、とても嬉しいことだった。近くにいた女子2人にもう少し話を聞いてみると、猪苗代中学校と吾妻中学校を卒業した1年生だった。

猪苗代中には淺井裕介さんの作品が残っている。Aさんは2019年当時2年生。制作の風景も見ていた。「今年の9月に淺井さんが猪中生と立体を作るワークショップをして、あれから壁画のある部屋が大きく変わったんだよ」と伝えると、「知っています。妹から作ったって聞きました」と言うではないか。きっと家族の団欒の中、話題になったのだろう。

Bさんが卒業した吾妻中学校には、ラジェーシュ・モールさんの作品がある。吾妻中はその教室を自主学習室として使っている。彼女もその部屋で時間を過ごしたことだろう。1年生ながら「おもてなし」企画に参加しているのも、壁画のある空間で何かをする、ということを体験しているからかもしれない。「大小島真木さんというアーティストが吾妻中で別の壁画を完成させたところなんだよ」と話すと、「妹が吾妻中学校に通っていて、昨日の文化祭で見ることができました」という。それはすなわち、Bさんの妹は、大小島真木さんの仮面を作るワークショップと信太美奈さんのパフォーマンスに参加して、文化祭で発表した1人だということだ。

2人から話を聞いて、私の頭には電撃が走り、今までに見えていなかった線がくっきりと見えた。「壁画のある学校」という場を介して、脈々と流れるものが生まれつつある。小学校、中学校、高校でWAFを開催しているからこその現象だろう。

ちなみに、2018年のWAF猪苗代1回目で現役高校生実行委員だったMさんは成人し、頼れる撮影チームの一員に成長している。201920年と淺井さんや香川さんの制作を手伝ってくれたU君は卒業後も実行委員として活躍してくれている。もう一つの中学校・東中学で昨年杉晴菜さんの壁画制作を見守っていた1年生R君は実行委員会に入ってくれた。

学校は、人が入って、出ていく。わずか数年の間に、子どもも先生も、そこにいた人たちはまるっきり入れ替わる。その中で、子どもたちは壁画を目撃してきていて、何かに取り組もうと主体的に動いている。子どもたちは、大人たちが思っているよりもずっとたくさんのものを吸収しながら日々成長していく。瑞々しい感性を宿すその子たちに、さんさんとした太陽の光や、吹き抜ける風、豊かな土、潤す水として、アーティストが残す作品が働きかけてくれたら。それこそがウォールアートプロジェクトが目指していることだ。人を呼び込むためでなく、そこにいる人たちが元気になることを目標に、猪苗代でのWAF始まった。子どもの成長は、大人たちを勇気づけ、刺激を与える。そのはじまりの実りを目撃できたWAF2021となった。


okazu 


~~~~わふのこNEWS~~~~

 

★大小島真木による「ウォールアートフェスティバル(WAF)くしま in 猪苗代2021」報告会

 ツォモリリ文庫で個展「森臓」開催中の大小島真木さんによる、猪苗代の芸術祭「ウォールアートフェスティバル(WAFふくしま in 猪苗代2021」の報告会です。山間部の学校で公開制作中、湖の源流となる滝へ、温泉の吹き出る湯元へ、フィールドワークに出かけて地球のエネルギーを吸収した大小島さん。どのように壁画を描き、表現したのでしょうか。少しでも現地を体感できるよう、大画面のプロジェクターでご覧いただきます。

ツォモリリ文庫がアートディレクションしているWAFは、インドの学校から始まり、猪苗代での開催が4年目を迎えた今年、6つの学校に13の壁画が完成しました。
WAF
猪苗代の実行委員は地元の有志たちで構成され、資金繰りや運営を実行委員で仕切っています。子どもたちが学ぶ学校で開催する、「子どもたちにアートの力を伝える」ことを軸にした稀有な地域の芸術祭のなりたちについても伝えます

定員15人の予約制とさせていただきます。
参加希望の方は、メールでお申し込み願います。返信をもって受付とさせていただきます。

 

日時:1120日(土)17:0018:30 

会場:ツォモリリ文庫(調布市仙川町1-25-4 シティハウス仙川1階)

予約:ご参加希望の方の(1)ご氏名(2)住所 (3)電話番号 (4)Eメールアドレスをご記入の上、info@tsomoriribunko.com までEメールをお送りください。

電話によるお申し込みも受け付けます。
03-6338-1469 
ツォモリリ文庫 (営業時間内のみ受付)
参加費:1000円(大小島さんが招聘アーティストとして参加したEarth Art Project 2014のドキュメンタリー冊子付き)

 

主催 猪苗代アートプロジェクト実行委員会
共催 NPO法人ウォールアートプロジェクト ツォモリリ文庫

 

■ウォールアートフェスティバルふくしま in 猪苗代 2021のアーティストトークが、YouTubeWAFF in猪苗代事務局のチャンネルにアーカイブされています。制作風景や作品写真も含まれていますので、ぜひご覧ください。

●浅野友理子インタビュー(制作途中で) https://youtu.be/G-hctvmb7U8

●浅野友理子アーティストトーク(完成作品の中で)https://youtu.be/66jXSGswqIQ

●大小島真木アーティストトーク(完成作品の中で)https://youtu.be/iyR7ltv5Z80

●浅野友理子×大小島真木×楠恭信 トークセッション モデレーター:おおくにあきこ

https://youtu.be/KGAjEU4USXM

●淺井裕介(画家)×岡部兼芳(はじまりの美術館館長)

「風と森と。」展オープニングイベントオンライントークセッション

https://youtu.be/G03ejJxWw8s

116日オープンニングセレモニー https://youtu.be/ltG22A1JZ_Q

  

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ウォールアートプロジェクト 2021年度
【協賛】貝印株式会社 Blue Bear Inc. ポーラスター株式会社
【WAP応援団 2021】 2021.11.10 現在 28名
薮内利明 林原裕子 宇佐美晶宏 内野友稀 みいたん ひろちゃん 東京ヨーガセンター まるこ 小野養豚ん 栗林久美子 竹之内美江 鈴木保人 佐保田雅代 佐保田昌美 長照寺 北辻宣宏 永作佳紀 なべちゃん ツツミエミコ しらがさちこ 鹿島和生 中村敦子 本田啓之 みえ よっしー sammy 鉄矢悦朗 Touch the GOND

【お知らせ】
ウォールアートプロジェクトを個人的に、法人として、寄付の形で応援してくださる方を募集中です。
加入方法
1)一口3000円の会費を納入(お振り込み、または直接納入)
振り込み先
みずほ銀行 成城支店 1170797 トクヒ)ウォールアートプロジェクト
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July 27, 2021

ウォールアートプロジェクト、12歳!

今日、2021年7月27日で、ウォールアートプロジェクトが誕生して12年!
はじまりは、このブログを立ち上げたこと。
http://blog.livedoor.jp/wall_art/archives/2009-07-27.html

コロナ禍になり、過去に歩んできた道筋を振り返ることが多かった2020年から今年。一番初めに出した本「ウォールアートプロジェクトについて書いてある本だ、これは」を見返すことが度々あり、興味を持ってくれた人が買ってくれることも多かった。
「面白かったです」「リアリティがありました」と、がむしゃらにインドで1回目のウォールアートフェスティバルを開催した熱量を感じとってもらえ、とても嬉しい。過去の自分たちに励まされている。

“こんにちは、昨日”。
Wall Art Festival 2010 (インド・ビハール州・ブッダガヤ)
Wall Art Festival 2011 (インド・ビハール州・ブッダガヤ)
Wall Art Festival in Fukushima 2011 (福島県郡山市)
Wall Art Festival 2012 (インド・ビハール州・ブッダガヤ)
Wall Art Festival in Warli 2013(インド・マハラシュトラ州・ワルリ族の村)
Wall Art Festival in Sakura 2013(栃木県さくら市)
Wall Art Festival in Warli 2014(インド・マハラシュトラ州・ワルリ族の村)
Earth Art Project in Nang & Puga 2014(インド・ラダック地方)
Wall Art Festival in Khagaria 2015(インド・ビハール州・カガリア)
Wall Art Festival with noco 2016(インド・マハラシュトラ州・ワルリ族の村)
Wall Art Festival in 猪苗代〜プロローグ〜 2016(福島県猪苗代町)
Earth Art Project in Ladakh 2017(インド・ラダック地方)
Wall Art Festival ふくしま in 猪苗代 2018(福島県猪苗代町)
Wall Art Festival ふくしま in 猪苗代 2019(福島県猪苗代町)
Wall Art Festival ふくしま in 猪苗代 2020(福島県猪苗代町)

noco project 2015(インド・マハラシュトラ州・ワルリ族の村。noco house 建築)
noco project 2016(インド・マハラシュトラ州・ワルリ族の村。母屋・カフェ建築)
第1回世界森会議 2016(インド・マハラシュトラ州・ワルリ族の村)
第2回世界森会議 2017(インド・マハラシュトラ州・ワルリ族の村)
第3回世界森会議 2018(インド・ラダック 地方)
第4回世界森会議 2019(インド・ラダック 地方)

漆と絵師展 2018(インド・マハラシュトラ州・ムンバイ)
TSOMORIRI LIFE 展 2019(インド・マハラシュトラ州・ムンバイ)

ツォモリリ文庫 2018〜(調布市仙川町)

そんな今日、とある助成金の申請書を提出した。
なかなか手がつけられず、締め切りの今日、どっぷり集中して仕上げた。

事業の主役は、子ども。この軸は初めから今まで変わっていない。

今やりたいことを明確に表すことができた。助成金が通っても、通らなくても(多分きっと通らないさ〜)、なんとか形にしていくことができたらな。ほぼ迷いなく書き切れたのは、きっと自分が今やりたいことだから。

去年のオンライントークセッションからテーマにしている「風」。
形を取らない、動いているもの。
自分のフィルターを通して、それがどういう意味を持っていて、どうしていけばいいのか、分かってきている。
今日、12年を迎えた日にやりたいことを明確に書き表すことができたのは、巡り合わせなのか。
やるべきは、今。
“さよなら、明日”。

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きっと風と仲良しなのだろう、夜の知人たち。アオバズク。

okazu


wall_art at 23:09|PermalinkComments(0)想い 

June 11, 2021

okazu通信 第89号「ワルリまつりへようこそ」

みなさん、こんにちは!
梅雨明けなのか!?調布市仙川ではここ数日いい天気が続いています。
いかがお過ごしですか?
okazu通信の最新号を配信します。
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okazu通信 第89号「ワルリまつりへようこそ」
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友達の木 

 「この草の葉っぱをすりつぶして傷口に塗ると、血が止まるんだ。稲刈りの最中に鎌で切った時はすぐに葉っぱを揉み、その汁をつけるべし」と、夕暮れ時に私を散歩に連れ出してくれたラジェーシュさんは教えてくれた。「この木の枝は結婚式の時に儀式に使うもの。ここまで取りに来るんだ」「この木は、『友達の木』と言って、この木の葉っぱをこっそり掌の中に隠しておいて、友達になりたい人と握手するときに渡すんだ」薬効だけでなく、友情の証としても使われるあたりが面白い。「木が友情を取り持つのか、なんだかこの人たち素敵」と、彼らの文化に惚れた瞬間だったかもしれない。
 それ以来、ワルリ画を見る目が変わった。むしろ、見えていなかったものが見えるようになった。そこに描かれているのは、描き手の記憶。例えば、稲穂を揺らす風。地表に露出している根っこ。人々の微妙な仕草。夕暮れにマンゴーの大木に帰ってくる鳥たちが空に描く軌跡。薪を燃やして出る煙とスパイスの匂い。網で捕まえた川魚のぬめり。それらが丸と三角と線だけで表現されているすごさ。
 村での経験を重ねるにつれて、ワルリ画は雄弁に語り始めた。その「語り」が、自分の中に蓄積されてくるにつれ、他の人に伝えたくなった。ワルリ族の村でWall Art Festivalを3度、ノコプロジェクトで3軒の建物を建て、世界森会議を開催したモチベーションの源は疑いようもなく、そこにある。
 コロナ禍に見舞われ、新世代の画家たちワイェダ兄弟は昨年の5月、ある作品を描いた。「recreation(再創造)」というタイトルが付けられた絵には、ジャングルの中に見覚えのある人工物が立ち並び、そこにコロナウィルスも描かれていた。「自然環境とモダンライフのバランスをどうとればいいのだろう、とはずっと思っていて。コロナウィルスは崩れたバランスを再び均すためにもたらされたものなのかもしれない、という考えがよぎったんです。」と話していた。
 それから1年がたち、当時はまだ余波くらいにしかすぎなかったコロナウィルスの影響が、第3波として彼らの村を直撃した。それが4月〜5月にかけてのことだった。状況はましになってきているそうだが、先日話した時も村人が1人亡くなったと聞いた。これがバランスを取るためなのだとしたら、自然と共にある暮らしを続けてきた彼らは、巻き添えになったようなものだ。
 ウォールアートプロジェクトのオンライン・ミーティングの際に、「彼らにとっても、私たちにとっても、外の人とのコミュニケーションが大切かもしれないね。今まで通りに人に会ったり、話したりできない今だからこそ」というやりとりがあった。それを「ワルリまつり」として具体化して、ツォモリリ文庫でワルリ画の展示をしながら、3つのワークショップを開催する。ワルリ族の村に行ったことがある人なら、懐かしく再訪する気持ちで、未見の人には、少しでも行った気持ちになってもらえたら嬉しい。
 「コロナウイルス終わったら早く遊びにいきたいです (ゆえ 5歳より)」とは、2歳の時にワルリ族の村へ遊びにきたゆえちゃんからのメッセージ。とても励まされた。彼女たちが行きたくなった時、村に行けるよう、つながりを保っていたい。「ワルリ族の村」と書かれた扉をいつでもノックできるように。彼らといつでもハグして笑いあえるように。

Okazu

 “recreation”の話を聞いたオンライントークセッション・ノコチームのビヨンドコロナ
「先住民ワルリ族の知恵」(2020年5月21日配信)
https://youtu.be/r8SDsRlbZuo

★★★わふのこNEWS★★★

!【ワルリまつり】!

ツォモリリ文庫を運営するウォールアートプロジェクトが、2012年から関わりを持ち続けているインド西部に暮らす先住民族ワルリ族。社会から取り残されがちな先住民である彼らの村もコロナ禍で厳しい状況に陥っています。彼らにエールを送るために「ワルリまつり」を開催中です。
ワルリ画やワルリ画Tシャツ、ポストカードの収益の一部をプールして、コロナで親を亡くしたワルリ族の子どもの教育支援をします。
(2021.6.11現在 ワルリ画4枚、the deep 12冊、ポストカード6枚 プール額23400円)
「ワルリまつり」期間中は、ワークショップも開催します。ワークショップの講師陣は、ウォールアートプロジェクトが関わりを持ち続けているワルリ族の皆さん。感染症予防について村人へ情報を伝えたり、自費でマスクを配るなど、自分たちにできることに取り組んでいます。講師へ参加人数に応じた謝礼を支払い、まずは彼らの暮らしをサポートしようと思います。

 ワークショップは全て!オンライン参加可能です!

6月19日(土)
–ツォモリリ文庫読書会 vol.2 “the deep”を読む–
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ハンドメイドの美しい絵本として話題になっている「the deep」(出版:Tara Books)。著者は、新進気鋭のワルリ画家トゥシャール・ワイェダ(Tushar Vayeda)とマユール・ワイェダ(Mayur Vayeda)兄弟で、私たちと共にウォールアートプロジェクトを開催している仲間です。彼らの生まれ故郷であるインド西部の村と、大都市ムンバイ・滞在制作に臨んだ瀬戸内海粟島で見つけた”発見”とは?
深い海の底へ想いを馳せる一冊を、みんなで一緒に読み進めましょう。
オンラインで著者であるVayeda兄弟をゲストに迎え、みなさんの質問に答えてもらいます。遠慮なく絵本にまつわる秘話など聞いてみましょう。
詳細▶︎http://tsomoriribunko.com/readingsession_vol-2-the-deep/
*「the deep」については、下記URLをご覧ください。絵本は必携ではありませんが、事前にご購入を希望される場合、こちらからお求めいただけます。
https://tsomoriri.thebase.in/items/36811132
*「the deep」の収益の一部は教育支援の資金としてプールされます。

6月20日(日)
–オンライントークセッション「ワルリ族の村からの便り」–
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今まさに雨季に入ろうとしているワルリ族の村。緑がぐんぐん成長し、雨で湿り気を増す田んぼが牛で耕されたり、川で魚をとるのが楽しい季節でもあります。村に暮らす青年たちとオンラインでつながるトークセッションです。2部構成になっています。
第1部は、ウォールアートプロジェクトに一緒に取り組んできたワルリ族の青年ハルシャッド・ワイェダ(Harshad Vayeda)さんにそんな村の様子を映像に収めてもらい、オンラインで案内してもらいます。
第2部では、the deepの作者で、同じくウォールアートプロジェクトの仲間であるトゥシャールさんとマユールさんが描いている新作のワルリ画を写真や映像で見せてもらい、コロナ禍を過ごす彼らが作品に込めているフィロソフィーやメッセージを聞きます。
詳細▶︎http://tsomoriribunko.com/warli_onlinetalksession/

6月26日(土) / 27日(日)
ーアートワークショップ「ワルリ画を描いてみよう!」ー 
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一年の半分を農業、半分を絵を描いて暮らすワルリ画家ラジェーシュ・モール(Rajesh Mor)。福島県猪苗代町の公立学校で描いた教室の壁4面の壁画が話題になった彼を講師に招きます。まず、Morさんが描くワルリ画をデモンストレーションで見せてもらいます。その後、彼の作品を見ながらお気に入りの場所を選び、模写します。その絵をMorさんに見てもらい、「こうするとよくなるよ」というフィードバックをもらい、自分のワルリ画の完成度をあげていきます。
材料は、Morさんが日本へ来たときに残してくれた赤土が塗られているキャンバス地に、ポスターカラーを使って描きます。
*6月27日(日)のみ、会場参加が満員となっております。
詳細▶︎ http://tsomoriribunko.com/try_warlipainting_mor/
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ウォールアートプロジェクト 2021年度
【協賛】貝印株式会社 Blue Bear Inc. ポーラスター株式会社
【WAP応援団 2021】 2021.6.11 現在 21名
薮内利明 林原裕子 宇佐美晶宏 内野友稀 みいたん ひろちゃん 東京ヨーガセンター まるこ 小野養豚ん 栗林久美子 竹之内美江 
鈴木保人 佐保田雅代 佐保田昌美 長照寺 北辻宣宏 永作佳紀 なべちゃん ツツミエミコ しらがさちこ 鹿島和生

【お知らせ】
ウォールアートプロジェクト応援団の更新時期となりました。個人的に、法人として、寄付の形で応援してくださる方を募集中です。
加入方法
1)一口3000円の会費を納入(お振り込み、または直接納入)
振り込み先 
みずほ銀行 成城支店 1170797 トクヒ)ウォールアートプロジェクト
2)「okazu通信」配信先のメールアドレスをお知らせください。
3)サイトに記名するお名前をお知らせください。
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wall_art at 19:13|PermalinkComments(0)okazu通信 | ワルリ

May 30, 2021

okazu通信 第88号「ワルリ族の村続報」

みなさん、こんにちは!
ウォールアートプロジェクトのおかずです。梅雨に入り、植物の生長も目を見張りますね。
いかがお過ごしですか?
okazu通信の最新号を配信します。
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okazu通信 第88号「ワルリ族の村続報」
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松岡さんの壁画の中ではしゃぐ子もたち

ワルリ族の村では、異例の早さで雨期がやってこようとしているそうだ。例年なら、6月半ばすぎに曇り空が多くなり、雨が降り出すのだが、すでに乾き切っていた川に水が満ち、魚がやってきたらしい。「気候変動の影響だろうな」とワルリ画家のマユールから伝え聞いた。
 彼の村での状況は、一月前から比較すると徐々によくなってきているそうだ。(その時の様子は前回のokazu通信参照 http://blog.livedoor.jp/wall_art/archives/52087606.html)
 病院が満員状態でなくなりつつあり、症状が出てきたからといって自宅待機をするのではなく、診察を受ける人が増えてきている。とは言え、先日は大雨をもたらしたサイクロンの影響で村中が停電となり、病院内の電源が落ちてしまう大変困った状態に陥ったそうだ。
 また、友人の母が熱や咳などの症状がなかったにもかかわらず、突然酸素レベルが低下し、亡くなってしまった。死因はコロナウィルス感染であったという。
 予断を許さない状況は続く中、彼と兄トゥシャールは137世帯、900人にマスクを配った。近々別の村にも配りに行くという。前号のokazu通信で書いたように、何かのサポートになれば、と預かっていた彼らの作品を購入したのだが、殊勝にも彼らはこちらの想いを受け止め、村に還元してくれた。とても嬉しい。
 ワルリ族の村で最後にWall Art Festivalを開催した2016年。noco projectでカフェや母屋を建築し、同時進行で芸術祭に臨んだ。正直、心身ともに過酷ではあったが、大きな充実感に満たされていた。最近振り返ったWAF2016の映像にその様子が記録されていた
映像 https://youtu.be/bb3ochKqvps
 ハイライトの一つは、松岡亮さんのplay pray paintだった。床一面に紙を敷き詰めた教室で、12色のクレヨンが渡される。クレヨンを自分が持っているもの(例えば、時間や人間関係、才能、お金など)に見立て、1時間でそれを使い切り、自分の一生を描き出す。映像を見てもらえればわかるのだけど、かなり勢いよく臨んでも使い切るのはなかなか難しい。子どもたちも前のめりで、熱量が物凄かった。それはあくまで「見立て」ではあるけれど「人生ってあっという間だし、振り絞って生きようっ」と、深く感じたことが忘れられない。
 松岡さんの絵は、何かの形を象ったものではない。いわゆる抽象だ。色の洪水、とも言える壁画で囲まれた教室の中、子どもたち数人が踊っていた光景を覚えている。私が入ると、照れて動きを止めてしまったけれど。絵を見た大人たちは「これがあの形に見える」「この意味は?」と、思考していたけれど、子どもたちはただただ純粋にあの空間を楽しんでいたんだな、と思える。思考するのも自由。楽しむのも自由。絵と時間を過ごす豊かさを。言葉にせずとも、松岡さんはそう語っていたのかもしれない。
 マユールもplay pray paintに参加していたし、トゥシャールも松岡さんの壁画が描かれていくところを間近で見ている。彼らがどんなことを感じたかは、彼らにしか分からないけれど、血肉となったことは間違いない。一つの経験が何をもたらし、何を生むのか、誰にもわからない。けれど、何かが生まれる予感がするのなら、そこに身を委ねたいと思う。6月、ワルリ族の村とオンラインでつながるプログラムを企画している。

okazu


!!わふのこNEWS!!


松岡亮展 刺繍と絵「目を瞑って。見る。」「何も見えない。」

5月30日(本日、日曜)、31日(月)残り2日となりました!

松岡さんの2020-21にかけての集大成。絵に出会いにきてください。

会場:ツォモリリ文庫(調布市仙川町1-25-4)

本日日曜:11:00-18:00

明日月曜:12:00-18:00

http://tsomoriribunko.com/ryomatsuoka2021/

作品の一部は、オンラインショップでもご覧いただけます。

https://tsomoriri.thebase.in/categories/3475253


ワルリ画展

トゥシャール&マユール ワイェダ兄弟と、ラジェーシュ・モール作品をツォモリリ文庫の一坪ギャラリーにて展示します。

Tara Booksより出版されている、ワイェダ兄弟著「the deep」も必見の美しい絵本です。

期間中、オンラインワルリ画ワークショップや、ワルリ族の村へショートトリップなどを企画します。詳細は追って発表します。

6月4日(金)〜6月28日(月)*予定

定休日:火・水・木


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【お知らせ】
ウォールアートプロジェクト応援団の更新時期となりました。個人的に、法人として、寄付の形で応援してくださる方を募集中です。
加入方法
1)一口3000円の会費を納入(お振り込み、または直接納入)
振り込み先 
みずほ銀行 成城支店 1170797 トクヒ)ウォールアートプロジェクト
2)「okazu通信」配信先のメールアドレスをお知らせください。
3)サイトに記名するお名前をお知らせください。

ウォールアートプロジェクト 2021年度
【協賛】貝印株式会社 Blue Bear Inc. ポーラスター株式会社
【WAP応援団 2021】 2021.5.28 現在 19名
薮内利明 林原裕子 宇佐美晶宏 内野友稀 みいたん ひろちゃん 東京ヨーガセンター まるこ 小野養豚ん 栗林久美子 竹之内美江 
鈴木保人 佐保田雅代 佐保田昌美 長照寺 北辻宣弘 永作佳紀 なべちゃん ツツミエミコ

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 ウォールアートプロジェクト 2020年度
【協賛】貝印株式会社 株式会社コンピューターシステムハウス Blue Bear Inc. ポーラスター株式会社 
【WAP応援団2020】2021.4.8 現在 34名
みえ 永作佳紀 長照寺 夏目知道 林原裕子 鈴木洋子 敦子 五十嵐ファミリー 山崎春美 まるこ ツツミエミコ 内野友稀 いとうみずほ K’s Family 橋本淳司 小栗朔也 なべちゃん 本田啓之 みいたん 佐藤敬子 栗林久美子 竹之内美江 佐保田雅代 鹿島和生 東京ヨーガセンター 松大輔 ayako&suirei 酒匂克之 佐保田昌美 まつしたひかる 小栗千隼 渡邉昌宏 いやまっち 増永玲子

【お問合せ】info@wafes.net
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wall_art at 08:35|PermalinkComments(0)ワルリ | okazu通信

May 07, 2021

okazu通信 第87号「ワルリ族の村でのCOVID-19の状況」

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2017年にワルリ族の村で開催した第2回世界森会議にて

 4月30日、訃報が飛び込んできた。
ワルリ族の村でプロジェクトを行う度にお世話になってきたヴァンガード家の次男Aさんが新型コロナウィルス感染のために亡くなった。まだ40歳を過ぎたところで、快活なトラックのドライバーであった。彼が残した2人の子どもたちと妻のこと、兄弟ファミリーのことを想うと、胸が痛む。
 ワルリ族の村があるインド西部マハラシュトラ州にはインドで最も激しく感染の波が押し寄せている。ずっとプロジェクトを共に行なってきたワイェダ兄弟のマユールと電話で話をした。村もロックダウンとなり、マーケットの商店も閉店。食料は手元にある米や豆の備蓄で乗り切らねばならなくなっている。昨年の4−5月、オンライントークセッションで現地と繋がった時は、政府からマスクや消毒液の支給もあり、感染者もごく僅かであったのだが、今の状況は大変逼迫している。症状が出ても、村に唯一の病院には病床と酸素吸引器が不足していること、「一度隔離されたら、もう村には戻ってこられないかもしれない」という恐れから、家に籠る場合が多いらしく、状況が悪化している。Aさんの遺体もムンバイ近くの病院から戻ってくる事なく、火葬された。
 村ではまだマスクをする、消毒する、密を避けるという対策への理解が十分とは言えず、ワイェダ兄弟は、ウィルスについて、マスクや手の消毒の必要性、いかに感染が広がるかについて村人に事あるごとに説明をしてきているそうだ。現金収入が途絶え、マスクや消毒液を購入することができない人に提供したり、薬や食料を分けてあげているという。45歳以上の人々へのワクチン接種は行われ、18~45歳の人々へも順次行われているそうだが、時間がかかることが予想される。ワイェダ家では、家の中でもマスクをしているとのこと。
 WAFを開催してきた村の学校の先生たちにも電話で様子を聞いた。「学校は1年間休校状態で、クラス10の卒業試験(日本で言う大学受験)も延期になっている。子どもたちの学びを続けるために、特に高学年のクラス向けに授業をしていた時もあったけれど、今は完全にストップしているんだ」。彼らは村から15kmほど離れたダハヌの町で暮らしている。町も当然ロックダウンで、営業が午前7時から11時まで許されている食料店、医療品店で買い物をし、乗り切っているそうだ。
 何かできる事なないだろうか、と思案した結果、村で一番動けそうなワイェダ兄弟から預かっていたワルリ画の作品を購入することにし、彼らに送金した。別の集落で暮らしているモールさんの作品も、完成から10ヶ月近く経ってもムンバイへ行くことができないため発送できずにいるのだが、送金した。マユールからは、「It will help us in many ways. Thanks」(色々な方法で役立てます。ありがとう)というメッセージが来た。日本にいても予断を許さない状況には違いない。確実に出来るのは、これまでの繋がりを大切に、お互いを想い合うことだろうか。


ウォールアートプロジェクトは、ワイェダ兄弟の著作「the deep」(出版: Tara Books)の売り上げの一部をプールし、親を亡くした子どもの教育資金など、私たちを心から迎え入れてくれた村の子どもたちのために役立てたいと思っています。(出版社よりワイェダ兄弟へロイヤリティも支払われるとのことです)本の詳細はこちらをご覧ください。

【お知らせ】
ウォールアートプロジェクト応援団の更新時期となりました。個人的に、法人として、寄付の形で応援してくださる方を募集中です。
加入方法
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みずほ銀行 成城支店 1170797 トクヒ)ウォールアートプロジェクト
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ウォールアートプロジェクト 2021年度
【協賛】貝印株式会社 Blue Bear Inc. ポーラスター株式会社
【WAP応援団 2021】 2021.5.7 現在 8名
薮内利明 林原裕子 宇佐美晶宏 内野友稀 みいたん ひろちゃん 東京ヨーガセンター まるこ

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 ウォールアートプロジェクト 2020年度
【協賛】貝印株式会社 株式会社コンピューターシステムハウス Blue Bear Inc. ポーラスター株式会社 
【WAP応援団2020】2021.4.8 現在 34名
みえ 永作佳紀 長照寺 夏目知道 林原裕子 鈴木洋子 敦子 五十嵐ファミリー 山崎春美 まるこ ツツミエミコ 内野友稀 いとうみずほ K’s Family 橋本淳司 小栗朔也 なべちゃん 本田啓之 みいたん 佐藤敬子 栗林久美子 竹之内美江 佐保田雅代 鹿島和生 東京ヨーガセンター 松大輔 ayako&suirei 酒匂克之 佐保田昌美 まつしたひかる 小栗千隼 渡邉昌宏 いやまっち 増永玲子

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April 22, 2021

okazu通信 第86号「3・11とウォールアートプロジェクト」

みなさん、こんにちは!
ウォールアートプロジェクトのおかずです。お元気ですか?
東京では暖かい日が続いていて、青葉の色がどんどん深まってくるのを感じます。
okazu通信の最新号を配信します。
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okazu通信 第86号「3・11とウォールアートプロジェクト」
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加茂昂<福島県双葉郡大熊町野上秋葉台付近にたたずむ> 2021
道路に立つ看板には「この先帰還困難区域につき通行止め」とある


 水戸芸術館で開催中の「3・11とアーティスト 10年目の想像」を見た。WAF2014の招聘アーティスト・加茂昂さんの作品に久しぶりに会った。油絵の大作だった。丹念に、執拗なほどに重ねられた数多の筆跡を見て、ワルリ族の村で一月半滞在し、毎日油絵具で壁画制作に臨んでいた姿を思い出す。壁画「眼差しを手向ける」を完成させ、最後には子どもたちに「You are strong!」と声をかけられていた。
 会場のキャプションによると、加茂さんは2016年から帰宅困難区域に実家のある友人を頼り、双葉郡富岡町に通っていたそうだ。2019年にはアーティストインレジデンスに招聘され、半年間富岡町の学校の教室を仕事場に、子どもたちの間近で作品制作をしていた。展示されていた作品はいずれも双葉郡内に実際にある風景を描いたものだ。ウォールアートプロジェクトも富岡町とは縁がある。
 時計の針を10年分、2011年まで巻き戻そう。
 2011年3月11日、私はインド・ビハール州のブッダガヤ近くのスジャータ村にいた。2度目のWAFである、”WAF2011”を開催し、淺井さんの壁画「祝福のダンス」が描かれた教室で放課後、ゴロンと横になっていた。子どもたちが飛び込んできて、「okazuの故郷が大変なことになっているぞ、テレビでニュースをみろ!」と言う。村に一台しかないテレビがある孤児院へ彼らに手を引かれるようにして急ぐ。インドの放送局には限られた映像しか入ってこないのか、同じ映像がアナウンサーの緊迫した声と合わせて繰り返し流されていた。孤児院には20名ほどの男子、教員、スタッフが一緒に暮らしていて、こぞって心配してくれた。か細いインターネットの通信環境でPCにへばりつき、情報収集していた私がへこたれなかったのは、彼らがいてくれたからに他ならない。学校の子どもたちは応援のメッセージをたくさんよこしてくれた。その中には「勇気を持って」という言葉が多くあって、今思えば、招聘アーティストのひとり、遠藤一郎さんが壁画に描いた言葉「ヒンマート(勇気)」とリンクしていたかもしれない。(下部、写真)
 帰国し、桜が満開だった郡山の災害対策本部へ行き、富岡町・川内村の皆さんがビッグパレットふくしまに避難していることを知る。自分も被災し、避難している立場であるものの町の人々の代表として窓口に立っていた町役場の課長さんに、インドからのメッセージと、WAFのことを伝えた。「避難所にいる子どもたちのためにワークショップを開催してもらえたら」という言葉を受け取る。慰問のような形ではなく、一緒に何かを作る時間を、とのことだった。現地の人と一緒に芸術祭を作る、を命題にするウォールアートプロジェクトの出番、と思った。淺井さんや遠藤一郎さんたちのワークショップをし、インドの子どもたちやお寺からの募金も使わせてもらい、彼らからのメッセージを展示した。参加してくれた人々からの「気持ちがすっとした」「いいものをみた」という言葉が嬉しかった。Wall Art Festival in Fukushima2011、日本からインドへ、インドから日本へ、温かなものがやりとりされた。
 私の中に、福島とインドとをアートを媒介にしてつなぎたい、それはインドに長期間滞在していた福島出身の自分だからできることなのではないか、と希望が生まれていた。地平線から顔を出した太陽を見た時のように、心が動いた。おそらくこの出来事がなかったら、私は日本に帰国して、教員採用試験を受けて、今頃はどこかの教室で授業をしていたことだろう。
 それから福島県内の協力者の方々と毎年地道にコツコツと報告会を重ねた。参加者が5人くらいの時もあった。けれど「福島で何かやらないと」、という気持ちは全く無くならなかった。大きく動いたのは2016年、郡山の、母校の高校での報告会をきっかけに、猪苗代のみんなと出会うことになった。お金はほとんどなかったけれど、ワルリ族のVayeda兄弟たちを猪苗代に初招聘することを決め、「Wall Art Festival in猪苗代 プロローグ」を行うことができた。それから約5年、実行委員会のメンバーと心血を注ぎ、今、猪苗代の学校に11の作品が存在している。それが私にとっての10年間だ。
 横浜で開催されていたキュンチョメ個展「ここにいるあなたへ」も見た。15以上の映像作品群は、「3・11後」のフクシマや津波被災地へ心を寄せてきた軌跡の集積だった。そして、この先のフクシマを想っていた。「3・11とアーティスト 10年目の想像」(水戸芸術館)では、「3・11後」、被災した地域の人々と関わりを保ち、アプローチを続けたアーティストの営みを鏡にして、観客が自分の10年間を振り返ることが意図されていたかもしれない。私はその目論見通り、10年間を振り返った。そして、この先を想う。
 先日、福島県猪苗代町でのアートプロジェクトが、福島県地域創生総合支援事業の助成案件として採択されたというgood newsが飛び込んできた。これで向こう3年間、新しい形で活動を継続できる可能性が生まれた。私たちにとっては福島で何かができる、物凄く嬉しい出来事だ。
 今10年前を振り返ったように未来で2021年へ時計の針を戻した時、その時の自分と握手をしたくなるように、日々を積み重ねて行きたい。アーティストたちが示している「忘れない意志」を自分の中に宿しながら。
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遠藤一郎さんの壁画が描かれた(2011.2)教室で、日本へエールを送るインドの子どもたち。
壁面には、「ヒンマート(勇気)」と描かれている。(2011.3.12撮影)


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(2011年当時のブログ。3月から5月にかけて読んでもらえたら嬉しいです。http://blog.livedoor.jp/wall_art/archives/2011-03-12.html

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2)「okazu通信」配信先のメールアドレスをお知らせください。
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ウォールアートプロジェクト 2021年度
【協賛】貝印株式会社 Blue Bear Inc. ポーラスター株式会社
【WAP応援団 2021】 2021.4.22 現在 2名
薮内利明 林原裕子

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 ウォールアートプロジェクト 2020年度
【協賛】貝印株式会社 株式会社コンピューターシステムハウス Blue Bear Inc. ポーラスター株式会社 
【WAP応援団2020】2021.4.8 現在 34名
みえ 永作佳紀 長照寺 夏目知道 林原裕子 鈴木洋子 敦子 五十嵐ファミリー 山崎春美 まるこ ツツミエミコ 内野友稀 いとうみずほ K’s Family 橋本淳司 小栗朔也 なべちゃん 本田啓之 みいたん 佐藤敬子 栗林久美子 竹之内美江 佐保田雅代 鹿島和生 東京ヨーガセンター 松大輔 ayako&suirei 酒匂克之 佐保田昌美 まつしたひかる 小栗千隼 渡邉昌宏 いやまっち 増永玲子

【お問合せ】info@wafes.net
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