June 08, 2024

okazu通信 第101号「芽吹きの宴」

いつも温かな応援をありがとうございます。ウォールアートプロジェクトのメルマガ、okazu通信の最新号です。ラダックでのフォレストアートフェスティバルが発進しました!
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okazu通信 第101号「芽吹きの宴」
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花を咲かせたワイルドローズ。ハチもやってきた!

 木を植えることからはじまる芸術祭「フォレストアートフェスティバル in ラダック2024」まで約1ヶ月半となった。昨年6月に植えた6100本の苗木は、マイナス20度の冬を乗り越え、新しい芽、葉をすくすくと成長させている。ワイルドローズにはつぼみがつき、花を咲かせた。コロナ禍中に植物の虜となった私にとってはそういった植物の成長が何よりの楽しみだ。このプロジェクトを推進する原動力は、みんなで森の成長を見守り、喜びを分かち合うことに尽きる。
 今年でウォールアートプロジェクトは誕生して15年を迎える。この間で、アートが持っている磁力によって、何人の知らない人同士が知り合いになったことだろう。「森づくり」と「アート」が掛け合わさったフォレストアートフェスティバルで発生する引力はいかほどだろうか。想像するだけでワクワクする。
 ラダックに招へいするアーティストは、日本から淺井裕介(美術家)さん、香川大介さん(画家)、スギサキハルナさん(美術家)、富松篤(彫刻家)さん、花田千絵子さん(コンテンポラリーダンサー)、RRyusuqueさん(ハンドパン奏者)の6名と、インドからワィエダ兄弟(ワルリ画家)を予定している。「予定」というのは、実は申請していた助成金が三つとも不採択となってしまい、資金が満足に足りていないためだ。
 考えてみれば、助成金を活用しながら15年間で19回の芸術祭を開催してきた私たち。「自立しなさい」というメッセージかもしれないと、前向きにとらえ、クラウドファンディングに挑戦することにした。過去の挑戦は、アーカイブのための記録冊子制作などが目的だったが、今回はアーティストフィーや渡航費、材料費を捻出するための挑戦だ。
 達成できなければアーティストの数や作品の規模を縮小するしかない。プロジェクトの根幹に関わる。「予算がないならば、やらなければいいじゃないか」、と思ったこともある。だけど、木を植えて終わりではなく、森に成長するまで見守っていくには、アートの力が欠かせない。水、土、風、光、自然のエレメンツを感じるアートを点在させる芸術祭を継続して開催することで、現地の人たちはもちろん、世界からアートを見るために集う人たちの関心を集める。それが森の成長を後押しする。トトロたちが木を大きく育て森にしたように。
 だから、他のいつでもない、2024年の夏にフォレストアートフェスティバルを開催することが必要不可欠なのだ。今回の芸術祭が来年までの木々の成長を左右する。実は、今植樹地を管理してくれている僧侶のジャミャングさんに4月にインタビューをしたところ、意外な事実が明らかになった。「去年、管理者を探していた時、誰も立候補しなかったんだ。大変な作業だから。でも私は日本からはるばるやってきてくれたアーティスト、ボランティアのみんなのことを思うと、なんとかしなきゃ、と思って買って出たんだ。けれども実は自分にとっても大変で、できるのはここまでかなと思っている」と彼は言った。1年間の管理を通して、点滴灌漑のメンテナンスや、水やり範囲の調整などで丸1日かかってしまうこともあるなど、予想していた以上の大きな苦労を伴うことがわかった。けれど、努力を重ね、苗木を成長させてくれた彼にはどうしても続けてほしい。
 そこで予算を調整し、報酬を上げ、続けてもらうことに同意を得た。彼もまた人だし、さまざまな要因に左右される。芸術祭でまた多くの人が訪れ、木々の成長を喜ぶ瞬間を分かち合えば、それもモチベーションになるはずだ。
 在来種が植えられたアートの森は、ゆくゆくは地元の人々の暮らしに潤いをもたらす存在となり、来訪者をいつでも歓迎する。ラダック自治政府によってアーティストが制作したり、ワークショップをする拠点が建設される計画も進んでいる。さらに2025年には、ラダックのアーティストを日本に招き、作品展を開催することも視野に入っている。
 なにはともあれ、本番の8月10日、11日まで全力を注ぎたい。
 2ヶ月余り、駆け抜けていく。

okazu

〜クラウドファンディングのお知らせ〜
前述のクラウドファンディングがREADYFORにて始まりました!なんとしてでも成功させ、全てのアーティストにラダックに作品を残してほしいと思っています。スタートダッシュが肝心要だそうで、初動の段階で広く拡散していきたいと思っています。温かな応援を、どうぞ、よろしくお願い致します!

寄付へのリターンもラダック要素あり、アート要素ありで、一風変わった面白いラインナップになっていますので、ぜひご一読ください!

https://readyfor.jp/projects/forestartfestival
 
〜キックオフイベントの動画〜
https://youtu.be/0RzEq1XVy7M?si=42I9aTb9mU4qNWJG

〜植樹地の管理や補植を応援するMy Treeプログラムはこちらです〜
https://wallartproject.net/my-tree-program/

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ウォールアートプロジェクト 2024年度
【協賛】貝印株式会社 Blue Bear Inc. ポーラスター株式会社 ARTISANS’ 
【WAP応援団 2023】 2024.6.7 現在 3名
林原裕子 菅原信子 鹿島和生




October 22, 2023

okazu通信 第100号「龍乗りの物語 in 猪苗代」

ウォールアートプロジェクトを応援してくださっているみなさま

いつもご声援をありがとうございます。ウォールアートプロジェクトのメールマガジンokazu通信です。冬が近づき、山々の色が変わりゆく猪苗代町では、ウォールアート制作真っ只中です。今回はカトウシモンさんの制作エピソードをお届けします。
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okazu通信 第100号「龍乗りの物語 in 猪苗代」
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2023.10. 子どもたちが描いた絵と再会したシモンさん

JR猪苗代駅に降り立つと、雄大な磐梯山が姿を現す。その一方、目の前にはシャッターが降りた建物が並び、お世辞にも活気があるとは言えない。そんな風景が、カトウシモンさんの壁画によって一変しようとしている。

今年のウォールアートフェスティバルふくしま in 猪苗代には一つの大きなテーマがある。来年度、町内の6つの小学校が2つに統合される。子どもたちにとって、単に学舎が変わるだけではなく、喪失感や環境の変化への戸惑い、漠然とした不安が生じることが否めない。統合を目前に控えた彼ら、彼女らにエールを送る取り組みができないだろうか。

そこで白羽の矢が立ったのがカトウシモンさんだ。絵描き、音楽家、詩人・・・シモンさんの活動を何かのラベルで区別することは難しい。「私はこれを伝えたいのだ」ということを多彩な表現方法で、全身全霊で人々に発信し続けている。

9月、まだ暑さが残りつつも、猪苗代では爽やかな風が吹いていた。シモンさんに担当してもらったのは、猪苗代の南側にある翁島小、緑小、千里小の3校。ワークショップの冒頭でシモンさんは子どもたちに「この宇宙のどこまで行っても一つしかない、めちゃくちゃレアなもの、何かわかる?」と問いかけた。考えを巡らせる子どもたち。「心臓!」「自分の想像力!」という答えが聞こえてくる。「惜しい!それもその一部。けど、違う。答えは『自分』です。宇宙の中で唯一無二、君たち自身すべてがとてつもなく貴重なんだよ」とシモンさん。

彼は続けた。

「人生、生きているといろいろあるよ。いろいろな出来事がやってくる。オレはそれを『流れ』だと思っている。避けるでもなく、ぶつかるでもなく、それを乗りこなしていくことが大事なんだ。流れという漢字には、『リュウ』という読み方もあるでしょ?だから流れは『龍』でもあるんだよ。オレは龍に乗っている人の絵をよく描く。この龍乗りは、オレでもある、君でもある、そこの先生でもある。今、生きている一人一人、みんな龍乗りだと思っているんだ。今日はそんな、みんなのエネルギーを一筆に注いで、この板に込めてほしい。バーンッ!と。出来上がった絵を壁に貼って、じっくり観て、浮かび上がってくる何かを描き出します。楽しみましょう」。

声も、体も、ジェスチャーも大きくて、坊主頭のシモンさん。一見ちょっと怖い。けれど子どもたちは臆するどころか、目に熱を宿していく。この人はどうやら本気で自分に向き合っているぞ、と伝わったようだった。子ども×シモンの化学反応が起こった瞬間を目の当たりにした。

ワークショップでは、一人が筆を持ち、描いている間、周囲の人はその姿を見守った。シモンさんは持参したドラムを叩き、空間をリズムとメロディで満たしていく。「大胆にいけ」「もっとそこも描けるよ」と子どもたち同士が声援を送る。やがて、各学校、全児童の筆が入った。200人の子どもたちの巨大なエネルギーの塊が誕生した。

 1018日に制作がスタートしてから4日。早くも何者かの姿が立ち現れてきた。さらに、壁画は、シモンさんがつむぐ詩によって物語になる。1145日のWAF一般公開の日に、ぜひ見にきてほしい。

 

okazu

ワークショップの様子を動画にまとめました。下記リンクよりご覧ください。

https://youtu.be/p0ai7AzAb44

 

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ウォールアートフェスティバルふくしま in 猪苗代 2023特設ウェブサイト

https://inawashiroartproject.com/waf

 

猪苗代町内、14の壁画をバスでめぐる鑑賞会への参加者、まだまだ募集中です!

残席が少なくなってきました。申し込みはお早めに!

https://coubic.com/waffinawashiro/2118492#pageContent

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ウォールアートフェスティバルふくしま in 猪苗代 2023

【主催】 猪苗代アートプロジェクト実行委員会 https://inawashiroartproject.com/

【共催】猪苗代町教育委員会、ウォールアートフェスティバルふくしま in 猪苗代実行委員会、社会福祉法人安積愛育園はじまりの美術館、NPO法人ウォールアートプロジェクト
【助成】令和5年度福島県地域創生総合支援事業(サポート事業)補助金、公益財団法⼈ 福武財団
【後援】猪苗代町、一般社団法人猪苗代観光協会、福島民報社、福島民友新聞社

【協賛】貝印株式会社 ベンジャミンムーア 薮内利明 有限会社ブルーベア ポーラスター株式会社 佐保田雅代

【協力】ターナー色彩株式会社

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ウォールアートプロジェクトは、活動を応援してくださる応援団を募集しています。
サポートは、一口3000円から。ご寄付をいただいた方にメールマガジンokazu通信を配信しています。
詳細はこちらをご覧ください。

https://wallartproject.net/supporter/


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ウォールアートプロジェクト 2023年度
【協賛】貝印株式会社 Blue Bear Inc. ポーラスター株式会社
【協力】コクヨカムリン合同会社 
WAP応援団 2023 2023.10.22 現在 6
林原裕子 菅原信子 鹿島和生 いやまっち 内野友稀 佐保田雅代

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wall_art at 07:38|PermalinkComments(0)making of WAF | okazu通信

October 08, 2023

okazu通信 第99号「ワルリ画の制作ボランティア in 猪苗代、大募集!」

ウォールアートプロジェクトを応援してくださっているみなさま

いつもご声援をありがとうございます。ウォールアートプロジェクトのメールマガジンokazu通信です。猪苗代町で6回目の開催となる「ウォールアートフェスティバルふくしま in 猪苗代」 2023の滞在制作がスタートしています。インドからのワルリ画家ワィエダ兄弟の制作ボランティアを
大募集
中です!詳しくは下記をご覧ください。

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okazu通信 第99号「ワルリ画の制作ボランティア in 猪苗代、大募集!

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2023.10.4 描き始め@猪苗代高校アートルーム
 今年のWAFふくしま in 猪苗代の滞在制作がスタートしている。ワルリ族のワィエダ兄弟が猪苗代高校で巨大な壁画制作に取り掛かって3日が経った。この10年間、彼らはウォールアートプロジェクトに欠かせない存在であった。ボランティアとしてアーティストの制作アシストから始まり、次第に一アーティストとして作品を描くようになっていった。二人が暮らすガンジャード村。ラダック。ビハール州カガリア。初来日となった猪苗代でのWAFプロローグ。そして伝統的な家を建てたnoco projectや世界森会議。一緒に取り組んだプロジェクトは10にのぼる。
 コロナ禍で隔てられた3年間を経て、彼らはさらにパワーアップしていた。ワルリ族の年長者やシャーマンたちからの聞き取り調査に注力し、神話、歌、植物の扱いなど、古くからの暮らしの知恵を集めてきた。それは、自らのアイデンティティを深めることに直結し、ワルリ画のバックボーンとなって表現をグンっと加速させている。
 猪苗代高校の全校生徒へ向けて彼らはこう語った。「皆さんが準備してくれた下地に私たちが描こうと思っているのは、目に見えないエネルギーです。視覚では捉えられないけれど、確かにそこに存在するものがこの世界にはあります。もちろん猪苗代にも。私たちが挑戦するのは、そんなエネルギーをいかに描き出すか。いつでも気軽に現場に見にきてくださいね」。
 ワィエダ兄弟は、水、風、火、土、などエレメントの表現も豊かだ。それは、対話を生み出す種になるという。また、神話や村の生活を描くことは、ワルリ族が自然とどう関わって生きてきたのかを表す。それも見る人の間に対話を促す。
 ワルリ画は線や、丸や四角などの幾何学模様を多用する。彼らはそれをアルファベットのようなものだという。そのアルファベットを使い、物語を描いていく。猪苗代での1ヶ月間の滞在で、彼らはワルリ画で何を語るのか。刮目してほしい。

 okazu

===わふのこNEWS===
ワィエダ兄弟の制作を手伝ってくれるボランティアを募集しています!
ワィエダ兄弟の制作過程を見ることができるのは、猪苗代高校の生徒と先生と、制作ボランティアの人のみです!
10月16日から、公開日直前の11月2日まで。土日を除く平日の9:00〜17:00。この間にワンポイントでも良いので手伝える制作ボランティアを絶賛募集します。
1日4人は欲しい。それ以上いないと終わらないかも!?という切羽詰まった状況です。
絵の具が垂れてしまったり、はみ出ると絵の雰囲気が異なってしまうため、筆の扱いにある程度慣れている方を募集します。
芸術系の学校の出身の人。
芸術学部の学生さん。
絵手紙描くのが好きな人。
日曜画家している人。
丁寧な手仕事に自信がある人。
やってみたい気持ち優先です。かつてのWAFでは、インドまでたくさんのボランティアが来てくれました。でもみんな成長して、それぞれの仕事がある。土日ならまだしも、平日は難しいかもしれません。
それでも!
この日ならいけるよ!
猪苗代まで駆けつけるよ!
という方がいらっしゃいましたらメールください。
詳細をやりとりしましょう。
info@tsomoriribunko.com 

このアドレスは不達になりにくいけれど、もしもお電話なら、ツォモリリ文庫03-6338-1469へ。

「猪苗代の制作ボランティアの件です」と伝えてください。
ご連絡、お待ちしています!

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ウォールアートフェスティバルふくしま in 猪苗代 2023特設ウェブサイト

猪苗代町内、14の壁画をバスでめぐる鑑賞会への参加者、募集中です!
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ウォールアートフェスティバルふくしま in 猪苗代 2023
【主催】 猪苗代アートプロジェクト実行委員会 https://inawashiroartproject.com/
【共催】猪苗代町教育委員会、ウォールアートフェスティバルふくしま in 猪苗代実行委員会、社会福祉法人安積愛育園はじまりの美術館、NPO法人ウォールアートプロジェクト
【助成】令和5年度福島県地域創生総合支援事業(サポート事業)補助金、公益財団法⼈ 福武財団
【後援】猪苗代町、一般社団法人猪苗代観光協会、福島民報社、福島民友新聞社
【協力】ターナー色彩株式会社
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ウォールアートプロジェクトは、活動を応援してくださる応援団を募集しています。
サポートは、一口3000円から。ご寄付をいただいた方にメールマガジンokazu通信を配信しています。
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ウォールアートプロジェクト 2023年度
【協賛】貝印株式会社 Blue Bear Inc. ポーラスター株式会社
【協力】コクヨカムリン合同会社 
【WAP応援団 2023】 2023.10.6 現在 5名
林原裕子 菅原信子 鹿島和生 いやまっち 内野友稀
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wall_art at 07:31|PermalinkComments(0)making of WAF | okazu通信

August 12, 2023

[森の芸術祭への道のり vol.7] 2ヶ月後の植樹地


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Forest Art Festival当日の6月11日からちょうど2ヶ月後、8月11日にマトー村の植樹地に訪れた。迎えてくれたのは、2ヶ月間、丹精込めてお世話してくださっているマトー寺院のJamyang Paldan Shipaさん。木々の総数6100本という規模の世話をするハードワークを受けてくれる村人がなかなか見つからない中、彼が名乗りを上げてくれた。

「はるばる日本からやってきてくださった皆さんが植えた木でもあるし、村人もまた力を傾けて植樹しましたからね。」とJamyangさん。

植えた時は木の棒にしか見えなかった柳(Sar-chang サルチャン)の苗がすくすくと育っている。
 

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足元が砂なのに、芽吹いている。


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ワイルドローズ(Sia シア)

6月から7月末はラダックの夏真っ盛りの時期なのだが、今年は天候が変で、曇りの日や雨の日が多かったという。植樹地にも雨が流れとなって流れ込んだそうだ。レーの街では床上浸水してしまった箇所もあったそう。


雨と点滴灌漑の効果で苗木の成長はもちろん、下草がかなり目立っていた。水が通ったことで、眠っていた種が芽吹いたのだろう。
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風にそよいでいた。


この草本が冬の間に枯れることで、地面に横たわり、分解され、腐植となっていくのではないだろうか。腐植がさらに進み、土壌となっていってくれたら。


今回携行している土壌学者・藤井一至さんの著書「土 地球最後のナゾ」にならい、土を観察してみた。

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苗木の足元の断層。よく見ると木の根っこがある。

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乾いた状態はさらさら。
 


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湿っていると若干の粘土感。砂利も混じっている。
 

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色は赤みがかっている(紫っぽい)
 

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湧水の出ているエリア。背の低い苔類のような植物が繁茂している。


目を見張る成果を確認した一方、葉を出していない苗木も見受けられた。葉を出しているのは、7割ほどだろうか。

「水は点滴で与えられているのだけれど、どうしても個体によりけりな部分もあるからね。残念ながらね」とJamyangさん。

この2ヶ月で点滴灌漑とこの土地との感覚も掴めたので、次の植樹のタイミングである3月末から4月に芽が出ていないものは抜いて、アプリコットやリンゴなど、他の草木を植えてみよう、ということに。


この日は直射日光があまりにも強く、帽子をかぶっていても日射病になりそうなほど。。。

1時間ほどで切り上げることに。


それにしてもこの環境下でお世話をしてくれているJamyangさんには頭が下がる。


連絡を密に取りましょう、と握手を交わし、植樹地を後にした。


マトー寺院からの植樹地の遠景。

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一番右側には貯水池。左へ、コミュニティホール、植樹地、バスケットボールコート。


本文に登場した土壌学者、藤井一至さんをお招きして「『大地の五億年』『土 地球最後のナゾ』の著者・藤井一至さんに聴く(オンライントーク)」を開催します。

土の成り立ちや、土が秘めている可能性についてお話ししていただきます。足元、さらにアスファルトの下にある土について思いを馳せ、つながる時間になります。
 
9月17日(日)18:30〜19:30 
参加費 500円
詳細は、info@tsomoriribunko.comまでお問い合わせください。参加方法をお伝えいたします。


okazu


June 08, 2023

[森の芸術祭への道のり vol.6] 植樹地の今を知る

6月8日、日本からのボランティアチームも高度順応を終え、いよいよフィールドへ! IMG_3291

点滴灌漑の要、ソーラーパネルと、ポンプ。
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一本一本の根元に送水される。
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そのためには水が根元に溜まるようにするなど、微調整が必要で、放っておけばいい、というものではない。しっかり根を張るまでの向こう4年間は、予算に計上してあるお世話料を使って地元の人たちに面倒を見てもらう。

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苗木は、6100本。一面に並ぶ。

アーティストチームの制作もいよいよ佳境へ。
香川大介さんの制作。かなりのハイスピードで、けれども淡々と描き進める。
腕に覚えのあるマトーゴンパのお坊さんも手伝いに来てくれている。
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ゴールに向かって、突き進む!

My-tree-プログラム


mytree達成度_20230609_3

自分の木がラダックの大地を緑の森に変える!
ラダックに行けなくても、苗木を贈り、システムをサポートし、現地の森でMy Treeが育つ様子を見守っていただくプログラムです。
現在、セカンドチャレンジ中です。受付は、6月10日までとなっています。

目標300本 達成度…287本/300本(2023/6/9更新)
詳細はこちらをご覧ください。
https://wallartproject.net/my-tree-program/

苗木のドネーションをしてくださった方々はこちらです。
https://wallartproject.net/my-tree_program_level/



June 06, 2023

okazu通信 第98号 「植樹の日」

ウォールアートプロジェクトを応援してくださっている皆様

いつもご声援をありがとうございます。ウォールアートプロジェクトのメールマガジンokazu通信です。ラダック、マトー村にていよいよ植樹の日を迎えました。My Tree プログラム、セカンドチャレンジ受付も残り4日となりました!

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okazu通信 第98号 「植樹の日」
on the dy of plantation
2023.6.2 植樹チーム in マトー村。丘の上にマトーゴンパ

 朝5時、岩でゴツゴツした山肌と雪を頂く峰々が薄らと赤く染まりつつあった。マトーゴンパ(寺院)宿坊の窓の外には、今日は素晴らしい日になりそう、そんな予感をさせる景色が広がっていた。62日、2年前から計画を進めてきた植樹に取り組む日がやってきた。
 「1日までには大部分の木々を植えて、当日は残りを植える計画でいきましょう」と、今回のプロジェクトでタッグを組んでいる農業・文化大臣のチョスペルさんは当初話していた。だが、蓋を開けてみると、植樹をするための穴掘りが殆どできず、この当日に村人の協力のもと、一気に植える、ということになった。私の胸の内は「果たしてどうなってしまうのだろうか」という不安と、彼を信じようという気持ちがない混ぜになっていた。
 ところで、マトーゴンパに宿泊できたのは、植樹のミッションを担ってやってきた曹洞宗福島県青年会のお坊さんたちに同行していたためだ。前夜には、チベット仏教サキャ派のマトーゴンパと曹洞宗のお坊さん同士の座談会、この日の朝には座禅を組んだり、朝のお祈りに参加する交流が図られた。マトーゴンパには70名ほどのお坊さんが在籍していて、ほとんどがマトー村出身。そのうち30名は、インド各地の仏教寺院に修行に出ている。15年から20年程で戻ってくるそうだ。2017年からマトー村のプロジェクトで接点はあったものの、私自身、本格的な交流は今回が初めてだった。毎朝のお祈りは、600年前に建立されたお堂で行われる。経文を唱える声、貝、ラッパ、太鼓の音色、上に吹き抜ける構造の建築、壮麗な壁画、小ぶりながらも存在感のある観音像。お堂という空間に歌、演奏、絵画、建築、彫刻といったアートの領域にある活動が凝縮されていた。信仰と芸術の深い関係性や、ヒトは想像力を用い、それら文化を作り出すことを営々とやってきているのだな、と思いを巡らせた。そして、それら文化が保たれ続けているゴンパは、まさに村人にとっての精神的支柱であった。

 外に出ると、なんと、あられのように硬い雪が降っていた。まさか今の時期に降るなんて、誰も予想していない。ゴンパの僧長も「今日は特別な日ですね」と言っている。驚きながらゴンパから見下ろす丘の下にある植樹地に目をやると、村の人々が集まって作業している。穴を掘って木を植えてくれているに違いない!この時、私がいかに胸を撫で下ろしたか・・・言葉に尽くせない。日本人お坊さんチームと私も植樹地に移動すると、150人ほどの村の人々が敷地内で散り散りになって作業してくれている。アーティストチームと行動を共にしていたakkoさんも加わり、いざ植樹。植樹地は硬い地面で、掘るにはスコップではなく、先端がヘラ状になった鉄の棒を使い崩し、土をカップや手で掘り出していく。30cmほど掘らなくてはならず、一つ掘るだけで結構な労力。「深さはこのくらいですか?」と見守ってくれるゴンパのお坊さんに尋ねると、まだもうちょっと、と言う。このやり取りを5回くらい繰り返し、ようやく30cmに達すると、苗木を挿し、掘り起こした土をかぶせ、ぎゅっと固める。水をあげて、カタックという白い布を祈り込めて結びつけ、完了。この頃には雪は止み、晴れ間がのぞいていた。だが相変わらず風は強い。

昼近く、上部に集合し、ティーセレモニーの時間となった。そこで今回の植樹の目的は「アートの森」を作ること。今年は二人のアーティストが制作にやってきていること。森の成長を見守るために来年、再来年へと繋げていくこと、などを吹き付ける強風の中、お腹から声を出して伝えた。途中途中で盛大な拍手をもらい、わかってもらえている手応えを感じた。朝私が抱いていた不安は雪のように溶けて、希望が胸を暖めてくれた。セレモニーが終わると、みんなすぐに作業に戻った。そして夕方5時半まで作業を続けてくれた。なんと頼もしいことか。
 それと波長を合わせるように、アーティストチームも611日のオープニングセレモニーを目指し、日夜鋭意制作中だ。今日6日に、日本からのボランティアチームもインド入りし、植樹と制作アシストに取り組む。いよいよ木を植えることからはじまる芸術祭が始まる。

 

okazu


My-tree-プログラム

mytree達成度_20230606_4

自分の木がラダックの大地を緑の森に変える!
ラダックに行けなくても、苗木を贈り、システムをサポートし、現地の森でMy Treeが育つ様子を見守っていただくプログラムです。
現在、セカンドチャレンジ中です。受付は、6月10日までとなっています。

目標300本 達成度…237本/300本(2023/6/6更新)
詳細はこちらをご覧ください。
https://wallartproject.net/my-tree-program/

苗木のドネーションをしてくださった方々はこちらです。
https://wallartproject.net/my-tree_program_level/

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ウォールアートプロジェクト 2023年度
【協賛】貝印株式会社 Blue Bear Inc. ポーラスター株式会社
【協力】コクヨカムリン合同会社
【WAP応援団 2023】 2023.5.21 現在 5名
林原裕子 菅原信子 鹿島和生 いやまっち 内野友稀




June 02, 2023

[森の芸術祭への道のりvol.5]ついに植樹!

植樹の日にふさわしい快晴!これはいい日になる予感。
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前夜、お坊さんたち同士の交流会も盛り上がり、朝は座禅を一緒に組み、マトー寺院の朝のお祈りに参加。

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だが!外に出ると、なんと雪が降ってきている! 

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集合写真に写る、ちらつく雪。

「滅多にないことです。特別な日ですね」と、マトー寺院の僧長。(写真中央)

この日に天から水が降ってくとは。森にとって吉兆の予感。

ゴンパから植樹地を見ると、マトーの村の皆さんが穴を掘って、苗を植え始めてくれている。
感激・・・・!!

地面が硬く、掘るのは大変!!スコップじゃ掘れないので、鉄の棒やツルハシを使う。
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深さは30センチほど。地面を崩してはかき出し、崩してはかき出し。
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なんとか深さが30cmになったら、植える。土をかぶせ、しっかりと固定。
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支えてくれているのは農業・文化大臣のChosphelさん。

水をあげて
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カタックを結びつける。元気に育ってくれますように!!
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お昼近くになって、ティーセレモニー。植樹地の上手にあるバスケットボールコートに集合。
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150〜200人くらいの村の皆さんへ、植樹の目的と「アートの森」を作ること。
Earth Art Project からの流れの上で、Forest Art Festivalを開催することを伝える。
マイクがないので、地声でお腹から声を出して(笑)

一方、アーティストチームは早速制作開始!今回は短期間での制作。
香川大介さんは、ウッドボードに。
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スギサキハルナさんはキャンバス地に。まずはワルリ族のアシスタントチーム、HarshadとPriyankaと土の絵の具作りから。
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制作もトップスピードで進んでいきます!
ジュレー!

okazu



May 31, 2023

[森の芸術祭への道のりvol.4]アート制作と植樹チーム合流!

530日、制作に臨むアーティストチーム、香川大介さんとスギサキハルナさん。そして、植樹プロジェクトに臨む曹洞宗福島県青年会の皆さんを迎えに一路、レーから、デリーへ。

 

午前545分、レー空港に一番乗り。

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乗客が誰もいない状態。スタッフもまだまばらで、セキュリティの人たちはチャイを飲んでいた。

 

定刻通りに出発で、一安心。

機内は満席で、ラダックへの出入りに大きな変化が起きていることを感じる。去年は地元の人口10万人に対して、50万人が訪れたそうだ。

 

気温38度のデリー空港に到着し、宿へ向かう。一通り手続きを行い、昼食を買いに出かけると、

 
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あ、これは!気になる木、発見!カダムの木なのでは!


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カダムの木は、神話の中でクリシュナ神のシーンによく出てくる木で、クリシュナ神を祀る寺院には壁画として描かれているらしい。暑い中、出かけた甲斐があったというもの。 

 

ウェブで飛行機の経路を調べると、予定は16:50着陸にもかかわらず16:10には着陸する予定、と出ている。

慌てて迎えにいく車に乗りこむ。

 

しばらく待ち、無事に合流〜〜!!

七人のお坊さんが揃う。壮観である。
 

翌朝、ラダックへ!小雨だが、テイク・オフ!
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そして、無事にゲストハウスに到着!!

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明日からのスケジュールに備え、休息日。高度順応。

一方、akkoさんとワルリ族の村から合流したHarshadとPriyankaが力を合わせてMy Treeプログラムのプレート作りに勤しんでいる。

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アーティストチームも合流。
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一枚一枚手書きで制作。
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My-tree-プログラム

自分の木がラダックの大地を緑の森に変える!
日本にいながらラダックでの森づくりに参加するMy Tree プログラム参加受付中! 

目標300本 達成度…217本/300本(2023/5/31更新) 

https://wallartproject.net/my-tree-program/  
 



May 29, 2023

[森の芸術祭への道のりvol.3]レーの街で広報

マトー村での作業は、「あとは私たちに任せなさい」という地元チームに委ねて、私たちはレーの町へ。シェイ村から車で30分ほど。
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牛たちも悠長に歩いている。

ツォモリリでお世話になっている工房、数件を訪ね歩く。
約1年ぶりくらいに会う人々は皆「太ったね」と真っ正直に言ってくる。
去年たくわえていた髭がなくなったからそう思うだけですよ、キット・・・。

2013年くらいから付き合いのある工房の人々。手紡ぎ、手織り、天然染めの技術を年々研磨していく姿勢に感銘を受けてきた。会うたびに私たちのプロジェクトのことを伝えている。
私たちのことを単なるバイヤーではなく、ラダックの地元の人々と交流を深めながら何かを生み出そうと活動している人々、と考えてくれていて、話も弾む。
 
Forest Art Festivalのことも伝え、6月11日のアートの森のオープニングセレモニーに招待した。

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 犬もたくさんいて、てくてく歩いている。毛深い。
外でスナックを食べていた女の子たちに「私にもちょうだい」と無音で近づいて驚かせていた。

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 華やか(?)なメインバザールの路地裏。 

夕方、点滴灌漑の敷設の様子が送られてきた。
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おぉ進んでいる!と喜びつつ、何か予想できないことが起きた時への心の構えは解かずにいる。


明日は、アーティストチームの香川大介さんとスギサキハルナさん、そして曹洞宗福島県青年会の皆さんを迎えにデリーへ行く。往復の飛行機がちゃんと飛びますように・・・・!
デリーの天気は、雨。引き返すことになりませんように。

okazu 

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自分の木がラダックの大地を緑の森に変える!
日本にいながらラダックでの森づくりに参加するMy Tree プログラム参加受付中! 

目標300本 達成度…185本/300本(2023/5/29更新) 

https://wallartproject.net/my-tree-program/  


May 28, 2023

[森の芸術祭への道のりvol.2]マトー寺院でミーティング

昨日とうってかわって、無風の朝。「今日は暖かくなりそう」とShakunさん。太陽の光が本当に恵みだと感じられる。これで畑の作物たちも勢いを得てすくすく育ち始めるだろう。

午前は、Forest Art Festivalで植樹のための土地を提供してくださったマトーゴンパ(寺院)にて打ち合わせ。待ち合わせの時間に他の人々はまだ来ておらず、境内にいるお坊さんたちに話しかけてみる。「まぁまぁお茶でも飲んで」とバター茶を出してくれた。

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何やら練った粉を手で成形している。

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明日、大きなお祈りがあり、その時の供物だそうだ。サットゥという豆の粉で作られている。

境内のある部屋からは、お祈りの声が響いている。壁画も本堂もとても立派だ。見学しているとメンバーが揃った。

 マトーゴンパの僧長 Khanpo Khen Thinlesさん(写真右)と、昨日も打ち合わせをした農業・文化大臣のChosphelさん(右から2番目)、自治政府のエンジニアの方(3番目)、人や資材を手配する方(4番目)。植樹へ向けて点滴灌漑設備の敷設と、6月11日までのスケジュールを綿密に打ち合わせた。


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今回の植樹のきっかけには、曹洞宗福島県青年会のサポートがある。7人のお坊さんたちが代表団としてここを訪れ、マトーゴンパの僧侶さんたちと交流し、親交を深める。 

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マトーゴンパからの風景。切り立った山肌にバルコニーが作られている。4月25日にきた時は、まだ木々が茶色かったのに、ひと月たって驚くほど緑に!(4月の写真はokazu通信97号の記事を参考のこと)

ゴンパから降り、植樹地へ。石の転がる地面をてくてく歩きながらエンジニアの方と点滴灌漑の範囲やなどを打ち合わせして、「では本番で」と別れた。

午後4時頃、Chosphelさんから「点滴灌漑の敷設がはじまったよ」と写真が送られてきた。敷設後、木を植えるための穴を掘る工程に移る。時間があまりないので大丈夫だろうかというドキドキと、あとは任せるしかないという割り切りと、植樹へ向けて一歩一歩進んでいくワクワクが入り混じっている。

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今夜の夕飯
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ティモモと、とろみのある野菜スープ 

(ティモモはおいしすぎて6つ食べました)

okazu

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日本にいながらラダックでの森づくりに参加するMy Tree プログラム参加受付中! 

目標300本 達成度…176本/300本(2023/5/28更新) 
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