March 20, 2017

March 20, 2017

Water Literacy Open Forumでノコプロジェクトの発表

ノコプロジェクトのプレゼンターとして参加させてもらったWater Literacy Open Forumは今年が6回目。3月22日の世界水の日へ向けて、Waste Water(無駄にされている水、捨てられる水)が今年のテーマ。第1部は、水と森、食べ物、衛生、3Rに関わる授業と雨水のポスターセッションで、学びの時間。僕らは、ノコプロジェクトで現在取り組んでいる雨水利用について発表させてもらった。
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壁画文化を持つワルリ族。土と木、牛ふんで建てたれた家は、とても快適。
特に、土と牛ふんで作られるたたきの土間の気持ちよさといったら。
「ノコ」というのは、ワルリ族の言葉で「ストップ。もう十分です」という意味。
この言葉に秘められた意味を深く感じるようになったのは、2011年の東日本大震災と、福島第一原発での事故のあとで、「発展」について、自分たちの暮らしについて深く向き合うようになったから。
右肩上がりの経済的な発展を目指す方向にノコノコ、と言い、次世代に地球をまるごと受け渡せるような発展を模索したい。「足るを知る」精神を持つワルリ族と、まずは家を建てることから始めてみた。
その家に日本の子どもたちが泊まり、ワルリ族の子どもたちと交流し、お互いのことを伝え合う場として。経済的な発展をし、原発事故を体験した日本に暮らす者として、今、発展の渦中にあり、岐路に立っているインドの人々へ伝えられることが、あるはず。インド政府機関が発表した最新の調査では、インドの人口は、13億3000万人。平均年齢は26.5歳。対する日本の平均年齢は46.5歳。インドがどのような未来に進むかは、地球にとっても決して小さな出来事ではない予感がする。

ワルリ族の村では6月中旬から10月下旬までの雨季に約2000mmの雨が降る。緑と生き物たちの命豊かなジャングルに囲まれている。牛ふんと枯葉を焼き肥料にし、牛で耕し、手で植える農業で、お米や野菜がよく育つ。
けれど、11月上旬から6月上旬までの乾季には、ほとんど降らない。降っても神様の気まぐれのように、ポツポツと。それは、すぐに乾燥してしまう。農業ができない。

村は、世界有数の都市でもあるムンバイから120kmに位置していて、グローバライゼーションの影響がやってきている。自給自足的な暮らしをしてきたワルリ族の生活に貨幣が入ってきて久しい。現金収入が必要になっている。
乾季に農業ができない村人は、都市部に出稼ぎに行く。村の半分の人々がいなくなる。
小さい子どもを置いていくわけにはいかないから、出稼ぎにともなっていく。
子どもたちは、継続的に学校に通えず、教育がなかなか普及していかない。
村の識字率は60%程度。

2012年から本格的にこの村でWall Art Festivalの準備をし、開催してきた僕たちは2013、2014と年を経るごとに村の事情を知っていき、なんとかできないだろうかと思っていた。
2015年、1回目のノコプロジェクトの最中、村人とミーティングを設けた。
「伝統的な造りの家に住みたいけれど、木が手に入りにくくなっている。ジャングルから木が減っているのは、外部の人々が伐採していることが大きな理由。そして地下水の水位が下がってきた」
そこで僕たちは、水の変化も考えなければいけないんだ、ということに気づく。
そして在来種の米の生育が芳しくなくなってきていることに関連している、とも。

この日の発表に声をかけてくださった橋本淳司さんに水のお話を聞き始めたのはこの頃から。
雨水の可能性。節水型農業。地下水のこと。世界を取り巻く水模様。
それを頭の片隅に常々おきながら、乾季の農業のことを考えてきた。

雨季に稲作をしている村人に、「乾季に、雨水が使えたら何ができますか?」と聞いてみた。
「洗濯や水浴びに川に行く時間を節約できる」
「お皿洗いに使える」
「打ち水をして、暑い時に涼しくできる」
「牛の飲み水にできる」
「家づくり用に使える」
「家庭菜園ができる」
という意見が出てきた。
家庭菜園は、とてもよいアイディアだと思った。始めから出荷を意識した農業へ向けて設備を整えていくよりも、自家消費用につくりながら、雨水の有用性を実感しながら進めること、経験を少しずつ蓄積してくほうがよさそうだ、と思った。日本のメンバーも、ピンときた。
じゃぁ、それに向けて歩を進めてみようか、ということでOMOYA(母屋:2016年2月に建設)の一角に作ってみる計画を立てている。つくるのは、今年9月に開催する第2回世界森会議(Global Forest Meeting)にて。村人が集まる時に、雨水活用の話をし、どういう形になるのかを見せられたらいいな、と思っている。

雨季の始まりに合わせ、雨量を測定する(2000mmというのは、もっと広範囲でのデータなので)。雨水貯水設備をつくったら、水の蒸発量と水質の変化を観察する。すでに自前の井戸で農業をしている人たちから実践例を学ぶ。大事にしたいのは、「この量の野菜を育成したいから◯リットルの水が必要」と考えるのではなくて、「◯リットルで育てられる量の野菜をつくる」という考えを軸に置くこと。
生態系の維持に必要な水を確保し、それ以外の水でどうやって生活していくかを組み立てる「生態共生管理」の考え方。これらを村人と歩を揃えて実験、検証していく。一緒に動くメンバーを「水資源マネージャー」として育て、地域の水資源の守り手になってもらう。僕たちがいなくなり、気候が変動しても、生活を持続できるように。

村にオーガニックな家庭菜園がひろがる。

余剰分を販売し、出稼ぎにいかなくてもよくなる。

家族が家に暮らしながら、子どもたちが学校へ行ける。

こうなっていったら、幸せな人たちが増えるんじゃないかな、と。
僕たちはワルリ族の人たちにたくさんのことを学ばせてもらったし、これからも学んでいきたい。
同時に、「発展」をグルッと一周体験した僕たちだからこそ、今岐路に立つ友人たちに同じ道を来るのではなく、別の方向性がきっとあるよ、と伝えたい。


ここまでがポスターセッションで伝えたこと。これを12分くらいで伝え、3分で質問をもらうという超特急発表(笑)これを2回、計30分。僕の頭は沸騰しそうでした・・・!
聞いてくださった皆さんに次々に押し寄せる新情報たち・・・にもかかわらず、「よい発表でした」「雨水活用のこと、なんでも聞いてください」「どんな野菜が育つのですか」「費用はどのくらいかかるのでしょう」「村人から意見が出てくるまでにどういうプロセスがあったのでしょう」「水資源マネージャーを育てる時に大切にすることはなんですか」「牛ふんのにおいはどうなんですか」など、感想や質問をもらえた。
「全部は説明できないので、はてなマークがきっとうかぶと思います、今日会場にいる間か、このわふのこ新聞にウェブサイトのアドレスもありますし、橋本さんが世界森会議で話してくださったことなどは、このEKTAに書いてありますので、お手に取ってみてください」と、伝え、あぁ、こうやって手渡せるものを作っておいてよかった、と内心思う。

第2部で、Waste Waterに関する100のTips(アイディア)をその場に集まったみんなで考える。
40分くらいで102個のアイディアが!オーガナイザーの方が映像にまとめ、UNWaterへ投稿。
こちらの動画です↓ okazuと当日助っ人に来てくれたbanちゃんも出ています!
 

水のことを真剣に考え、多方面で、様々な取り組みをしている方々と出会えたことがとても大きな一歩。横につながっていくことの心強さをひしひしと感じ、帰路へついた。 

okazu