アオ族の村を訪れる_畔[トーク] npo: ゼロからスタートする国際プロジェクト、10年継続の秘訣 by おおくにあきこ×浜尾和徳

April 19, 2018

okazu通信 第59号「WAF in Mumbai延期決定のいきさつ」

okazu通信 第59号をシェアします。

Wall Art Project 応援団の皆さんへ。
インド農村部の学校を舞台に芸術祭を開催してきたWall Art Projectからのお便りです。現地コーディネーター・okazuが現地で活動する中で出会う人、もの、見たこと、聞いたこと、感じたこと、それらを伝える“okazu通信”。日本でのWAP報告会や、展覧会などの情報、プロジェクトの想いをお伝えする“わふわふNEWS”。Wall Art Projectがこの世界で巻き起こしていく活動のすべてを見守ってください。
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okazu通信 第59号 「WAF in Mumbai 延期決定のいきさつ」
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ダラヴィ地区の入り口から少し入ったところを車内から。

 3月31日、照りつける日差しの中、僕たちが乗る乗用車はアジア最大規模のスラム、ムンバイのDharavi(ダラヴィ)地区の小道に入り込もうとしていた。「ダラヴィは革製品のはじめとした家族経営の小さな工房が密集している地域です。その数は2万軒以上と言われています。ここで作られた革製品が、某有名ブランドへ輸出されているんです」と、WAF in ムンバイを一緒に計画しているインド人パートナーDilipさんは話した。これまでに身を置いたことのない地域に入っていく興奮を抑えながら、彼の早口の英語を理解するのに努めていた。
 スラムという言葉から想起されるバラックが並んでいるイメージとは少し違い、入り口には小さな店がびっしりと並んでいる。網の目状に小さな道が走っており、迷い込んだら元来た道は引き返せなさそうだ。「奥へ進むと私たちでも迷うでしょうね」と同行したRoshniさん。彼女は学生時代、研究課題のために訪れたことがあるそうだ。いつの間にかバイクで道を案内してくれる人が現れた。これは曲がりきれるはずがない、という角に差し掛かる。車を降りて歩いていこうとするとそこに腰掛けている普通のおじさんが誘導してくれギリギリで通過(壁との距離は1cm)。誰がやってきたんだろうという住民の視線に見守られながら学校の敷地に入っていく。ダラヴィで30年ほど活動を続けるNGOが運営している学校で、案内してくれた人は学校の主任Vikramさんだった。Vikram さんはDilipさんのWAF開催の呼びかけに反応したそうで、学生時代の同級生とのこと。
 校舎を一通り見学する。350人ほどの子どもたちが通っているこの学校は、2部生になっており、幼稚園クラスから7年生までが通っている。Vikramさんへダラヴィの問題は何か尋ねてみた。「問題は数多くあります。ですが少しずつ改善もみられます。例えば、衛生環境が優れないこと、トイレが不足していることなどが問題でしたが、この10年ほど、人々の意識に訴える活動を続けてきて、住民が維持費を負担するなどしてトイレの数も増えました。ダラヴィの中で生活が完結するので、外へ目を向ける機会が少ないことも問題です。親も子どもをダラヴィの外へ出したがらない。早婚も問題と言えるでしょう。女児が性的な事件に巻き込まれる前に15歳以下で結婚させてしまうケースが少なくありません。」
「学校に通っている子どもが、途中でやめてしまうことはありますか?」
「1クラスに1〜2人くらい、学校全体で毎年15人ほど。経済的な理由が多いです。女の子たちは学びへの意欲が高いのですが、親が途中で通わせるのをやめてしまうこともあります。男子は、教育を受けることよりも、働き、収入を得ることに興味が強く、やめてしまうケースがあります」
 諸々、この学校をめぐる話を聞いた後で、実際にプロジェクトを行うにあたっての話をした。教室の壁にはすでに絵が描かれていた。早寝早起き、歯磨き、入浴、社会での振る舞い方、動物の絵、アルファベットなど、いわゆる「教育的な絵」だ。学校側としてはこういう絵が必要だと考えているらしい。ここ数年、この傾向がインドの各地の学校で見られる。昨年のアースアートプロジェクト2017の際も、教育課のオフィサーにこの部分を説得するのに非常に骨が折れた。はじめ「アートで学校を満たし、アートスペースに一変させよう」と言っていたDilipさんたちも話を聞くうちにそちらの方向へ寄って行き、アートと教育的な絵をうまくミックスすることはできないだろうか、と持ちかけてくる。「ウォールアートプロジェクトが描くのは、教科書にもあるような絵ではなくて、子どもたちの想像力を刺激して、自由に発想していいんだよ、ということを伝えるような絵です。だから描く内容はアーティストに任せます」と伝え、Vikramさんへ映像を見せる。すると、「これは素晴らしいですね・・・校長に相談してみます」と考えが変わったようだ。事前にこの映像を見せておいてよとDilipさんに言いたかったところだが、話がどんどん展開していくので、その機を逸する。「学校で芸術祭をするってどういうこと?」というクエスチョンから始まるのはいつものことなのだけれど。Dilipさんの本業は広告業なので、プロジェクトのストーリーをどう描き、見せていくかという部分が常に念頭にある。「外壁から撮影していき、内壁へ迫っていくようなカメラワークで・・・」と、発信するためのアイディアが先行していくが、40度を超える真夏の中、外壁を描くのは至難の技です、死人が出るかもしれませんよ!とブレーキをかける。ブレインストーミングで、アイディアが溢れてくるのはよいのだが。沈黙が続く会議よりはましかもしれない。アートを学ぶ学生をどう巻き込めるか、そもそもテーマをどうするのかなど、話し合いは5時間ほどに及んだ。頭からは湯気がほとばしっていた。
 だが、ここまで話し合いをしたものの、肝心な資金繰りが芳しくない、という現状があった。今回の僕たちの役割はあくまでアートディレクションとコーディネーションであり、資金繰りはDilipさんたちの役目。学校からの許可がなかなか下りなかったことなどがあり、彼らは十分に動けていなかった。もっと早くそれを伝えてくれていればよかったのに。ゴーを出すかどうか区切りの日を決めましょう、ということにし、4月10日に設定した。
 数日間、メールでのやり取りが続いた後、日本やその他の国、インドの他地域からアーティストを招くのは、来年以降にする、という結論が出た。今年はムンバイに拠点を置くアーティストたちと年間を通じたワークショップを行い、次年度へ向けた機運をつくることに。妥当なところだろう。1月のミーティングで、来年にしましょうよ、と言っていた僕たちの希望通りになった、といえばよいのだろうか。態勢を整え、準備してくれていたアーティストの皆さんには申し訳ないのだけれど・・・。1年目、僕たちは「インスピレーション・パートナー」として関わり、実際の出番は2年目。アートディレクションという形で関わることになった。
 「資金繰りは任せて!という言葉を鵜呑みにせずに、進行状況を常々確認する」「この日までに資金繰りの目処が立っていたらゴーを出す、などのカレンダーを作る(このカレンダーが崩れるのは目に見えているけど。ないよりはマシ)」など、得た教訓は多い。Dilipさんたちがどんな人たちなのか、それがわかったことも収穫だと考えよう。アイディアを生み出す力、行動力、ネットワーク、プレゼン力は素晴らしい。
 この結果をインド人アーティストDibin Thilakanさんへ伝えた。場所は、南インド・ケーララ州・コチ。ちょうど彼の個展も開催中だった。おすすめのドリンク屋さんへ入り、アボカド・シェイクをすすりながらダラヴィでのことを話した。「ケーララの学校現場でも似たようなことを考えていますね。学校の絵は、教育的な絵であるべき、と。プランが変わってしまうことはインドではよくあることなので気にしないでください(笑)。」その言葉に救われる思いがした。面舵いっぱい、気持ちを切り替える。

okazu


☆**☆**☆わふのこNEWS☆**☆**☆
 インドでの18日の滞在終盤、デリーにてラストスパート中なWAPです。気温は連日35度を超えていましたが、諸々のミッションをコンプリート。
日本でお会いしましょう!

*雨水貯水タンクを改良しました!
第2回世界森会議で制作した雨水貯水タンク。暴風雨でやられてしまった部分を改良し、しっかりとした土台を作ってきました。
その模様をタイムラプスにしました!下記リンク先よりご覧ください。(自動で再生されます)

https://www.youtube.com/watch?v=O5C3TU11VAo


*第3回世界森会議へ向け、スピーカー募集中です!
持続可能な社会へ向けて実践を重ねる人々や、動き出そうとしている人々が経験や知識を伝え合う場、世界森会議。今年の開催はラダックです。ご自身の取り組みを伝えに来ませんか?聞きに来る、という人も歓迎です!「漆と絵師」展もLAMOというギャラリーで合わせて開催します。


【とき】2018年8月19日〜26日
【ところ】インド・ジャンムー&カシュミール州 ラダック・マトー村のゴンパ(寺院)スクール
☆2017年7-8月マトー村で開催したEarth Art Project in Ladakh 2017、ドキュメンタリー映像はこちら。まだ限定公開していますが、サポーターの皆さん、ぜひご覧ください!
標高3800mの学校での芸術祭「アースアートプロジェクト 2017」
https://www.youtube.com/watch?v=pglopO0EFMM


 *「漆と絵師」展、お手伝い募集です!
工芸と絵画、二つのコラボレーションから「用の美」を伝える。ウォールアートプロジェクトの新しい挑戦です。
日本の漆をインドへ。漆は知れば知るほど奥の深い素材です。日本人と漆は縄文時代からの長い付き合い。
使えば使うほど味が増していく漆器は、時代を超えて受け継がれ、最終的には大地に還るエコフレンドリーな存在です。
私たちはそれと呼応する作品に出会いました。古い道具に宿る八百万の神を表現した香川大介さん。ひっかえとっかえで使うのではなく、愛着を持って使われた道具に宿るものの声。その展示、ワークショップ、レクチャーを手伝ってくださる方を募集中です!

【展示】
蒔絵師八木由紀子・塗師一田萌里の漆器
絵師・香川大介の「蔵の22神像」と他作品

【とき】2018年9月2日〜9日
【ところ】インド・マハラシュトラ州 ムンバイ ・ARTISANS'(https://www.facebook.com/artisans.centre.9/)、ムンバイ大学など
詳細はお尋ねください。右記メールに返信をください。
info⭐︎wafes.net(⭐︎を@にかえて

*ウォールアートフェスティバルふくしま in 猪苗代 2018、チラシができました!
日本に着く頃にはチラシが事務所に届いている予定です。置いていただける場所があればぜひご一報を!!
郵送いたします。



 (デザインワーク:Blue Bear Inc.)

【とき】2018年10月15日〜滞在制作開始
       11月3日、4日 完成作品を一般公開する芸術祭当日
【ところ】福島県猪苗代町 翁島小学校 吾妻中学校(10/27の公開制作) 猪苗代高校 はじまりの美術館

*WAP応援団、更新の時期が迫っています。
2017年度もWAPの応援、誠にありがとうございました!!
みなさんに直接会うことはなかなか叶いませんが、okazu通信&わふのこNEWSを通じて活動を見守っていただいていると思い、
次へと進んでいく背中を押してもらっています。
2018年5月31日で2017年度は終了し、2018年度がはじまります。応援団登録を更新していただき、引き続きWAPの活動を見守っていただければ幸いです。
〜更新方法〜
●一口3000円の会費を納入(お振り込み、または直接納入)。
●振り込み先  みずほ銀行  成城支店  普通 1170797  トクヒ)ウォールアートプロジェクト

加入いただける方はinfo⭐︎wafes.net(⭐︎を@にかえて)にご連絡ください。
どうぞよろしくお願い致します!

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ウォールアートプロジェクト 2017年度

【助成】ポーラ美術振興財団 国際交流基金 東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京(アースアートプロジェクト in ラダック2017)
【協賛】貝印株式会社 株式会社コンピューターシステムハウス Blue Bear Inc. kai manufacturing India pvt. ltd. 
    三部会計事務所 ポーラスター株式会社 みらいなこどもプロジェクト(WAFふくしま in 猪苗代 2018)
【協力】KOKUYO CAMLIN (アースアートプロジェクト in ラダック2017)
【後援】日印友好交流年記念事業認定(アースアートプロジェクトinラダック2017、第2回世界森会議)
【WAP応援団2017】 2018.4.14 現在

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