漆と絵師展への道okazu通信第62号「WAFで見つけた宝物」をシェアします

September 24, 2018

okazu通信 第61号「帰ってきたokazu通信」

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第3回世界森会議終了後の記念写真

 外からクラクションやオートリキシャのエンジン音、
お祈りの鐘の音が意識に入ってくる。日本でのトマトの料理方法をヒンディ語で解説する、という夢から目覚める。何人ものインドの人々に説明と解説を繰り返してきたからか、夢の中でもインド人と話している。6月からここまで、日々があまりにも濃密で、振り返る間もなく全速力で走ってきたため、okazu通信を書けませんでした。楽しみにしてくださっていた皆様、すみません。お詫びします。
 少し時間ができた今、全力で振り返ろうと思う。
 先日までウダイプルという、湖と大理石で知られる美しい町にいた。連日工房に通い、ツォモリリ2018秋-冬コレクションへ向けた新製品開発の打ち合わせ、試作作りに精を出した。工房の代表や担当のデザイナーに「ムンバイでの漆と絵師展はどうでしたか?Facebookで様子を見てましたよ。プレゼンテーションで笑いを誘っていましたよね」と尋ねられた。
 ウォールアートプロジェクトとして、アートとクラフトを同時に展示する、しかもギャラリーを借りて、というのは初の試みだった。漆の中でも伝統や先人の足跡を省みつつ新しい可能性にチャレンジする若手・八木由紀子さん、一田萌里さんの二人の作品と、香川大介さんの古い蔵に残っていた道具に再び命を吹き込んだ「蔵の22神像」と近作の絵画作品の組み合わせは、とてもうまく融合した。Mumbai Mirrorという新聞に取り上げられ、ムンバイ大学の日本語学科、J.J. School of Art(1857年設立の国立美術学校)、若手アーティストが集うアートスペースClark House Initiativeといった場所でのレクチャーやトークセッションの甲斐もあり、多くの人が足を運んでくれた。急遽、朝レクチャーを頼まれ、Design For Social Change(デザインで社会を変える)を学ぶ学生にも話をした。
 用の美をキーワードに、ハレの日以外の日常にある美を愛でる、という日本の文化を伝えられたように思う。ムンバイはインドの中でも最先端の文化が絶えず生まれ、息づく都市だ(東京より地価が高い場所もある)。そこで暮らす人々に僕たちの意図が伝わり、作品を買ってもらえたことが嬉しかった。尊敬するインド建築事務所の代表も来てくれ、漆作品を購入してくれたことはとても励みになった。ギャラリーの使用料をはじめとする経費をちゃんとカバーできるか・・・賭けだったが、なんとかトントンに持っていけたようだ。
 さて、ウダイプルの工房に戻ろう。ここでは藍染めをはじめとした自然のものを使った染色と縫製をしてもらっている。彼らの新しいコレクションにピッタンワークという手刺繍があった。ウダイプルの地に古くから残る技法で、針で刺繍したのちにハンマーで叩き、より輝かせるという一風変わったクラフトだ。その叩く行為からピッタン、と名付けられた。職人数の減少で文化として絶えそうなところに、コンテンポラリーのデザインを組み合わせ、工房としてリバイバルしようとしているそうだ。銀のメタリックな糸で刺繍された花柄を見た瞬間、akkoさんにインスピレーションが舞い降りた。ピッタンワークブローチを提案し、制作してもらうことになった。その場で試作をしてもらうこと、数回。形が見えた。かわいいものができそうだし、ピッタンワークの職人さんたちやそのトレーニングを受けている人々の仕事を作ることにもなる。日本での日常の服にそういうものを身につけるだけで手でものを作ることへのインスピレーションが湧くかもしれない。それは毎日の食卓に漆のものを取り入れる効用と似ている。
 地域に残るものをリバイバルする、ということは、今回の世界森会議にも通底している。場所はインド最北の地、ラダックへ飛ぶ。マトー村の村長・ティンレスさんは、サステナブル・ディベロップメントを学び、村がどうやったら持続可能かを念頭に置きながら村人と行政機関を結びつけ、尽力してきた。3年かけて両親を説得し自分の畑を有機農業へと再転換し、村人へ普及させてきた、と語るティンレスさんの目は輝いていた。家族で育てたミントのお茶は心を安らげてくれた。その話を聞くのと時を同じくして、ラダック自治政府の農業部門を統括する評議員から2022年までにラダック全土を有機農業に転換するべく大きく舵を切った、という話を聞いた。温暖化によるヒマラヤの氷河減少は確実に進んでいて、農業用水を氷河の雪解け水に依拠しているラダックの多くの村にとっては死活問題になる。森会議の準備の最中、降雪量の変化を村人から聞いた。50年前は村で40〜50センチ、山間部で6メートル。現在は村で2、3センチ、山間部で60センチほどだそうだ。
 そんな状況の中でティンレスさんは人材育成に活路を見出そうとしている。「今の村人にはある程度の収入はある。しかしそれを生かすための知識やビジョンが欠けている。子どもたちへの教育も、学校での授業はこれからの時代の変化についていくための学びとしては十分ではない。加えて、村人はチベット仏教を厚く信仰しているが、儀式に重点が置かれ形骸化しつつあるので、その教えをしっかりと子どもたちに伝えなければいけない。外部の講師を招いてより世界を広く見渡し、考え、表現することを学ぶスタディセンターを始めたい」と、熱心に話してくれた。その場所として考えていたのが、昨年僕たちがEarth Art Project(EAP)を開催したモラヴィアン・ミッションスクールの校舎だった。実はプロジェクトの3ヶ月後、ここ数年間の在校生徒数の減少による赤字経営を立て直すため、レーにある本校の判断で閉校になった。その後、校舎を商業目的で使いたいというオファーが多くあったが断ってきた。学校に描かれた絵が、人々を育てる場として使って、と言っているように感じたから、だそうだ。今回の森会議もここでやるのはどうだろうか、建物を再始動させるきっかけになると思う、と彼は続けた。
 この話を聞いた時、鳥肌がたった。人々が集い、互いの経験値を共有し、学び合うという森会議と、ティンレスさんが描いているビジョンは共鳴しているし、学びの場をつくっていくのは、ウォールアートプロジェクトが目指していることでもある。良いことが生まれる予感がビンビンした。校舎を見に行くと、凄まじい荒れよう(言葉で表すのはやめておこうと思う…)で掃除の手を思いっきり入れる必要があったが、残されていた壁画はそっくりそのままだった。その前に立った時、僕はティンレスさんにそう思わせたアートの力をまざまざと感じた
 森会議当日、掃除の完成度を上げるため選ばれし7人が学校に向かった。約束の時間に鍵が開いていなかったので、脚立で塀を乗り越えて校舎の中へ。マスクをしてまるで盗賊のような7人はハタキやホウキを両手にホコリの中奮闘し、後発メンバーとも力を合わせ、掃除を完了した。淺井裕介さんの壁画が残る部屋もピカピカになり、そこに村人たちを迎え、いざ話をしようという段階で、そこまで電気が行き届かない、というハプニングが。それにもめげず、森会議は進んでいった。互いに刺激になる時間だった。森会議の内容は、また記録集としてまとめたいと思っている。
 ここまで書いたのは各プロジェクトの一端で、これ以上詳しくは長くなりすぎる。これらの報告会を7月に東京・仙川にオープンしたウォールアートプロジェクトの拠点、ツォモリリ文庫にて秋から冬にかけて開催する(本当はツォモリリ文庫のことも詳しく書きたい)。僕たちがインドにいる間、ツォモリリ文庫はほとんどクローズしていたが、10月5日にグランドオープンする。加藤シモンさんの一坪ギャラリーでの展示や、ツォモリリ2018秋冬コレクションの展示、そして福島県猪苗代町でのWall Art Festivalふくしまin 猪苗代2018で来日するワルリ画家モールさんの公開制作とワルリ画展が続く。akkoさんと僕はモールさんをはじめとするアーティストたちと猪苗代町で制作に臨む。引き続きウォールアートプロジェクトを見守ってほしい。

okazu

*=*=*わふのこNEWS*=*=*

◎10月5日、ツォモリリ文庫グランドオープン!

インドでのプロジェクト最中はお休みしていたツォモリリ文庫が、ついにグランドオープンです!

3つのイベントでみなさんをお迎えします。


<加藤シモン展 @一坪ギャラリー> 

10月5日〜11月12日(予定)

入場料:無料 作品は購入いただけます。

☆オープニングレセプション:10月5日 午後6時30分〜 加藤シモン 語り部&ライブペイント 

入場料1000円(小栗雅裕によるごはんとドリンクもお楽しみください)


<ワルリ画展〜ラジェーシュ・モールの世界〜@アートスペース>

Wall Art Festivalふくしま in 猪苗代 2018での滞在制作で来日するワルリ画家モールさん。猪苗代入りに先駆けて、ツォモリリ文庫にて公開制作&ワルリ画ワークショップを開催します。一筆、一筆を重ねる様子をぜひ見に来てください。

日時:10月12日〜11月12日 入場料:無料 作品は購入いただけます。

☆モールさんによるワルリ画公開制作:10月12日〜14日 ワルリ画ワークショップ:13日、14日 午後3時〜午後5時(参加費500円)


<ツォモリリ2018 秋冬コレクション先行展示会>

ツォモリリの新作を4日間だけお披露目します。

 105日(金)〜10月9日(火)(8日はウェディングパーティの貸切のため休みです)

*9日以降も一部商品を展示販売します。


ツォモリリ文庫 営業時間 

午前11時〜午後6時(定休日:火、水、木)

http://tsomoriribunko.com


◎ウォールアートフェスティバルふくしま in 猪苗代 2018

いよいよ間近に迫ってきた猪苗代でのWAF本番!現地では実行員のみなさんが着々と準備を進めています。

猪苗代でのアートボランティア募集も開始です!

ウェブサイトができました♪ぜひご覧ください。

http://wafes.net/inawashiro/


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ウォールアートプロジェクト 2018年度

【協賛】貝印株式会社 株式会社コンピューターシステムハウス Blue Bear Inc. ポーラスター株式会社 
<WAFふくしまin 猪苗代2018へ向けて>
福島県地域創生総合支援事業(サポート事業)補助金
三部会計事務所 ポーラスター株式会社 みらいなこどもプロジェクト (株)UR補償技術研究所未夏with NPO法人猪苗代研究所 いな暮らし OPTICAL YABUUCHI 未夏with 長照寺 道交会 MINA KIKAKU 小西食堂 のうのば 土津神社 やぶうち商店 LAKE SIDE HOTEL みなとや 小川医院 (株)ホテルマウント磐梯 (株)白成舎 (株)国分木材店 渋谷建設(株) (有)森山オートクラブ 富士ゼロックス福島株式会社 株式会社ウィズダム まるよし建材 旅の旅籠「椿」

【後援】在ムンバイ日本国総領事館(漆と絵師展)


WAP応援団20182018.9.24 現在

るつ J-cook 益田玲 五十嵐3姉弟 諸戸里帆 林原裕子 Mariko Tanaka 新内秀一 本田啓之 北辻ファミリー しまだかな 楠ファミリー マリ 猪瀬透 河鍋春恵 淺井裕介 川島けい 福井淳子 角田晴美 小栗朔也 鉄矢悦郎 周 文龙 野地祐里子 青山めい 清水翔 一田萌里 山崎春美 齋藤美和子 栗原ひろみ 齊藤ファミリー 貞包さゆり 貞包さくら 相澤奈那 森美絵子 
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