2005年06月16日

『 蒲公英草紙 』 恩田陸 著 読み終えました。

蒲公英草紙『 蒲公英草紙 』 読了しました。
恩田陸 著  集英社

この物語が恋しいです。読んでしまって恋しい気持ちがどんどん、どんどん膨れて来ます。最初こそ、少女漫画の世界を色濃く感じたのですが、次第に、自分が子供の頃 かしこまって眺めていた大人達の世界をそこに感じました。自分もその場の子供の一人として交じってるような錯覚に陥いり・・・。(ちなみに、私は、ユキ坊かな。笑)
幼い時、祖母がいろいろ聞かせてくれたお話と共通する風景(心)がありました。祖母の話は、孫に聞かせるにしてはどれも怖いものでした。◎鉄砲水が出て村ごと流される話とか、◎人柱をたてる話とか(怖かった〜。自分が人柱に選ばれたらどうしようかと真剣びくびくしました。笑)、◎娘が村を救う為 竜神の花嫁となり海の中に身を投げる話とか、◎山の神様が子をさらう話とか・・・。(^_^;)
昔は、今より自然への畏敬がありました。自然という逆らえない圧倒的なものをいつも身近に感じて生活していましたね。

今、ぼんやり常野の人の事を考えています。不思議な能力を持つのに、でしゃばらず、争わず、ひっそりと生きる人たち。何を見つめて、何のために存在していくのでしょう。
読み終えた後、勝手に物語の続きを作ったり、いろいろ想像できるのは、とても楽しいですね。そんな風に浸れる小説が、自分の宝ものになっていく様に思います。(って事で、以下は、ネタバレとかと全く関係ない、私の勝手な想像 常野。笑(^_^;)

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この前、TVを観てたら、ネアンデルタール人(旧人)と、クロマニョン人(現人類の直接の祖先)とは、かなりの時期、同じく地球上に共存していたらしい、と。昔、授業で習った時は、埋葬の習慣を持ったネアンデルタール人(旧人)の次に、クロマニョン人が出現した・・みたいだったのだが。
しかしTVによれば、この二つの人類は、ほとんど脳の容量も同じで、骨格もほとんど同じなのだそうです。別に脳が、ネアンデルタール人がクロマニョン人より劣っていたわけではないのだ。では、何故、ネアンデルタール人が滅びたのでしょう。
それは、本当に些細な差であったらしい。でもそれが大きな差なのだそうです。
ネアンデルタール人の喉の上の所の骨は、少し扁平なのだそうだ。クロマニョン人のそれは丸みがあった。
この少しの差で、どうなるかと言うと、クロマニョン人の喉の骨は立体的であるが故に、複雑な言葉を話す事が可能になっていったらしい。二つ共存していた人類は、複雑な声の伝達能力(言葉と発展していく)を持つ者の方が、情報、知識をたくさん得、繁栄していったのだ。しかしそれは、持とうとして持ったものではない。生まれながらの能力・・・・。

この知恵を持ったクロマニョン人の子孫・現人類達の、「現在」は どうでしょう。
自分達の優位な「知識」を活かし、地球をいつしか我がものにしている。めちゃくちゃにし、好き放題にし、自分達の利益の為の欲望に際限が無くなってきている。争いごとをする。資源も使い果たす。それらによって地球の気候さえも変化してきている。
科学の進歩が、地球の自然に対する畏敬の念とかをどんどん隅に追いやりました。畏れを忘れています。

そして、今、そこに常野の人が存在しているように思う。少数の彼ら。彼らは皆、特別の能力を持っています。(昔、我々の祖先が持ったように・・)しかし穏やかで知的で、権力への思向を持たず、不思議な優しさを持ち、普通の人々の中に埋もれてひっそりと暮らしている。
現人類を超越した、無いものばかりです。私達はいつしか地球を専横し、地球にとって最も迷惑な存在になっています。
そんな人類はもはや滅びの方向へ向かっても何の不思議があるでしょうか。

ひっそりと存在する別の人類“常野の人達”こそ、彼らの能力を生かして現人類滅亡後 残って、新しい人類となって存在していくのでは・・・と。

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最後になってしまいましたが、こんな素晴らしい御本をお貸し下さったpicoさん、本当に有難うございました。
読んでいた時間以上の、無限の素晴らしい時間をプレゼントして頂きました。(感謝)

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この記事へのコメント

1. Posted by ねる   2005年06月17日 08:58
ワルツさん、こんにちは〜。
>読み終えた後、勝手に物語の続きを作ったり、いろいろ想像できるのは
>とても楽しいですね
私もそういう思います。映画などでもきっちり終わらなくて余韻が残り
この後は観る人のご想像にお任せします〜みたいなのがとても好き。
逆に、夫はそういうのが大の苦手で、なんだ、この終わり方は!
意味がわからない!どうなるんだ!なんて憤慨しまくります(笑)。
単純な人です。

ネアンデルタール人とクロマニョン人のお話し、とっても興味深く読ませて
頂きました。
道具を使えるだけでなく、言葉も進化のキーポイントだったのですね。
というか、言葉も道具の一つでしょうか。
いろいろなものを思いのままに操作できるようになって、人間には驕りも
生まれましたよね。だから上手くいかないと、必要以上に怒ったりもする。
私はできるだけ謙虚に生きたいなーって思ってます。理想ですが。。。
2. Posted by pico   2005年06月17日 15:39
ワルツさ〜ん!
ありがとうございます!!!
ワルツさんの「夜のピクニック」の記事がなければ、
恩田さんとは、無縁だったのかもしれないんです。
導いてくださって、ありがとうございます!

骨格の話。おもしろいですね。
住んでる場所、食べているもの。
様々な環境で、変容するんですよね。
お経のCDを聴いて、山岳地方、平原によって、
音の高低が違っていたのをとても興味深くききました。

無いものから、何かを得て。
失うことによって、進化して。
進化しては、失う。
永遠の理を、うけとめていきたいです。

謙虚!
私も、理想です。
3. Posted by みらくる   2005年06月17日 18:34
わ〜♪こんなに早くワルツさんの感想を拝見できるとは!
picoさんとワルツさんの友情の力ですねヽ(´▽`)ノ

>自分もその場の子供の一人として交じってるような錯覚に陥いり・・・。

私も「蒲公英」読みながら、だんだんそんな気持ちになってました!

ふっと現れてふっと去っていく春田一家。
また常野一族に会いたいです。

この前何かのテレビで「自然は人がいなくても平気だけど、人は自然の存在なしには生きられない」(ウロ覚えですが)みたいなことを言っているのを聞いて、改めて「そうなんだ」と思いました。
そして、ワルツさんの感想を読んでさらにそう思いました。
4. Posted by ワルツ   2005年06月18日 01:57
◆ ねるさん、ありがとー。

終わった後、いろいろお話続けるのは、小さい頃から好きでした。
ああでもない、こうでもないと自分の好きなように想像するって楽しいですよね。

でも、ダンナサマの気持ちもよく分かります。
ENDが出て、えっえっえっ・・・って目が点になる時がありますよね。(笑)

>謙虚に生きたいな
私も、ねるさんや、さなちんさんのblogを読ませてもらって、
人間だけじゃなく、他の動物や植物、そしてかけがえのない地球も同じように生きているのだと改めて感じています。
すこしでも優しく・・・と、思います。
5. Posted by ワルツ   2005年06月18日 02:03
◆ picoさん、本当にありがとうございます。

素晴らしい本にめぐり合えて、picoさんに感謝のきもちでいっぱいです。
読み進めるのがもったいないような本でした。
恩田さんの文章の美しさも光っていたように思いますねー。

>無いものから、何かを得て。
>失うことによって、進化して。
>進化しては、失う。

私達も自然の営みの中の一部なのだと感じます。
ほんとに、「謙虚に」そして、「楽しく」
自然に生きて生きたいものですね。

6. Posted by ワルツ   2005年06月18日 02:13
◆ みらくるさん、こんばんは〜。

そうですね〜、どこかにそっと存在してるんだろうなぁ・・常野の人たち。

私も出会いたいですー・・・・常野の人たちの中でも、不思議で魅力的な春田家の人たちに!
「しまう」ということの意味はとても荘厳でした。
書見台も・・・日本的な美しさにもあふれてますね。

>自然は人がいなくても平気だけど、
>人は自然の存在なしには生きられない
肝に銘じておかねばならぬ言葉ですね!!

7. Posted by 小葉   2005年06月19日 11:48
ワルツさん、こんにちは。
お祖母様から聞いたお話…というの、分かるような気がします。
私の祖母は物心ついた頃には他界していたので、
祖母から昔話を聞くことはなかったのですが、
「日本の昔話」は好きで、子どもの頃よく読んでいました。
そういえば、「光の帝国」を読んだときに
「常野って遠野を意識しているのかなぁ」と思い、
「遠野物語」を読んでみたいと思いつつ、そのままになっています。
8. Posted by ワルツ   2005年06月19日 14:47
◆ 小葉さん、私も読み終えて、うっとりしてます。

「蒲公英草紙」は、いつまでも、読んでいたい様な、読み終わるのが惜しい本でした。
祖母の語る話は、すごく怖いものが多かったのですが、
不思議なのは、子供心に何度もねだっていた話が、そういう怖い話だったように思います。
伝承物語って、不思議ですよね。
柳田さんの「遠野物語」・・・こまごまとしたお話が心に一つ一つ響きます。
でも文字がぎっしり小さくて、注釈がたくさん・・・私も最後まで読めてません。
この機会に挑戦したいです。

9. Posted by Anvil   2005年06月19日 15:48
こんにちは。
なかなか面白い考察ですね。

私は常野物語を「これから始まる本編」の予告編だと思っておりますので、
長編が出たのはとても嬉しいです。今度オセロ・ゲームの「本編」も
出るようなので楽しみです。

私も今日「蒲公英草紙」のレビューをブログにUPしましたので、
トラックバックしてみました(事後承諾でスミマセン^^)。
お時間がありましたら遊びに来てくださいませ。
10. Posted by ワルツ   2005年06月20日 00:42
◆ Anvilさん、はじめまして。
TB&コメントありがとうございます。
紹介下さって、とっても光栄です。
これから、楽しみにAnvilさんちに寄せて頂きますね。

>私は常野物語を「これから始まる本編」の予告編だと思っておりますので、
そうですね。常野の人たちの物語は、これからもずっと読み続けていけそうで、嬉しいです。

>オセロ・ゲームの続編
「エンド・ゲーム」ですね!(^o^)丿
私も単行本になるのを楽しみに待ってるんです。
11. Posted by なな   2005年07月08日 19:36
ワルツさん、こんばんは。
ワルツさんのブログにお邪魔すると、じっくり読みふけってしまい
毎回、「あれ!気がついたらこんな時間!!!」です。
本当に素敵なブログですね。

ネアンデルタール人と、クロマニョン人の話もとても為になりました。


12. Posted by ワルツ   2005年07月09日 10:35
◆ ななさん、こんにちは。

いえいえ、そんな・・(*^。^*)
なんか、いつもまとまりなくつらつら書いてるだけなのに、恥ずかしいです。
読んで下さって、ななさん、どうもありがとうです。(感謝)
blogしてる事によって、いろんな方の書かれるものが読めたり、
お友達になれたりして、とっても嬉しいですね。
ななさんの書評を読ませてもらったり、美味しそうな手作りお菓子(マフィ〜〜〜ン♪)もわくわくしました。
これからもどうぞヨロシクね。(*^。^*)

TB、ありがとうございました♪

13. Posted by 四季   2005年07月22日 09:47
ワルツさん、おはようございます〜。
ネアンデルタール人とクロマニヨン人の違い、面白いですね。
些細な部分が実はとても大きかったのですね。
それが良かったのかどうかは、今となっては、ですが…。

最近、常野の人たちのことが、どうしてもフィクションとは思えなくなってきちゃいました。
「光の帝国」を読んだだけの時は、いいなあと思いつつも、まだそんなこと思ってなかったと思うのに
「蒲公英草紙」を読んでからは、その存在を妙に確信してしまってるんです。
…はっ、もしや恩田さんご自身が…?!
なんてことを真剣に考えてしまう近頃の私です。(^^ゞ

エンドゲームも楽しみですねー。
14. Posted by ワルツ   2005年07月23日 01:55
◆ 四季さん、こんばんは。

>最近、常野の人たちのことが、どうしてもフィクションとは思えなくなってきちゃいました。
四季さん、私もです!初めて読んだ時からそんな気がしてました。
ネアンデルタール人とクロマニョン人の話もそんな思いから感じた事なのです。
でも、
>恩田さんご自身が!・・・とは!
四季さんに言われて、そうかも・・・と思えてきました。
不思議な優しさを持った方ですものね。
エンドゲームも、ホント早く読みたいですね。(*^。^*)


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