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1999年に登場し、2006年に姿を消した、セリカ最後のモデル。T-230型。ちょうど日本からスポーツカーやクーペが次々に姿を消し、代わりにミニバンやハイブリッド・カー(この時期なら2代目プリウスなど)が増加しつつあった時代ですね。一部を除いてハイパフォーマンスカーが売れなくなり、4WDもターボもまとわずにこのモデルは登場しました。
全長X全幅X全高 4340mmX1735mmX1305mm
ホイールベース 2600mm
1.8リットルの自然吸気エンジンを持つFF車です。
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セリカは元々既存のファミリカーをベースにしたいわゆる「スペシャリティ・カー」の代表車種だったので、もちろんこのモデルにもベースカーが存在します。サスペンション形式は進化してストラット/ダブルウィッシュボーンですが、どうやらカローラ4WDなどのプラットフォームを流用しているようです。カローラ・レビン&トレノが消滅し、それらのカバーもしなければならなくなったせいでしょうか?
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とはいえ、先ほどのサスの改良もさることながら、走りに対する追求も結構キチンとしています。
ターボこそつけませんでしたが、エンジンは可変バルブタイミングリフト機構をトップモデルに採用。(VVT-L化)加えて軽量化(先代比60~90kg)。また排ガスのクリーン化にもとりくんでいました。時代がエコへと変化していく中で、セリカもまた迷いながら原点回帰を模索していたのでしょう。
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先代T-200までのセリカはどちらかと言えば男っぽく、端的にいえば「速そう」なイメージでした。GT-FOURなどはまさにそんないかついイメージでしたね。ですがこのモデルではそういった(ある意味こけおどしの)ラインを廃し、新世代の非常にすっきりしたデザイン展開をみせています。これも時代の変化を見据えた結果なのでしょう。
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面白いのはこのモデル、2009年に登場した3代目プリウス(ZVW30)とデザイン的に似ていることです。もちろん一方は乗用車をなるべくスポーツカーっぽく見せようとしたクルマ、またもう片方は空気抵抗低減という至上命題をクリアーすべくそのカタチを決めざるを得なかったエコカーですから、自ずと違う点も多々あるのですが、面の構成や左右のエッジの張り出し方などデザインの文法がかなり近しいです。
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どうです?ちょっとイメージかぶってるでしょう?
(写真はプリウスZVW30)
現在(2010年代前半)はハイブリッド・カーの普及期であり、急速に世界に広がりつつあります。一般に広がっていくにはまず、自動車としてそれなりの実用性がなければなりません。普及を使命とするプリウスが、いろいろな意味での妥協の面からあのカタチにたどりついたのはいわば必然といえるでしょう。プリウスの形は燃費に直接影響する空気抵抗や、ファミリカーとして必要なある程度の実用性を考慮して、なおかつ自動車としてのブランドイメージをも大切にした、非常に高度なデザインであると私は考えます。(かならずしもほめているわけではないのですが…)
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スポーツカーとは自動車文化が成熟しないと認知されないものなのかも知れません。特に、エコカー=環境に優しいクルマ(ハイブリッド・カーがトータルで環境に優しいかは少し疑問ですが)やミニバン=家族に優しいクルマ、という二つの価値観が席巻している今の日本では、カッコをつけるクルマ、走りを楽しむクルマとはもしかして「エゴカー」の烙印を押され、差別的な眼で見られてしまうのかもしれません。このセリカはどちらかといえば中性的なラインで、今プリウスにクーペが存在するとすればこんなカンジかな?という未来的なモノでした。もはやセリカは存在しませんが、いつか日本のドライバーがもう少しクルマを選ぶ価値観の多様化を身につけたとき、真の意味のプリウス・セリカが誕生するのかも知れません。