2006年08月27日

レポート No1

レスキュー依頼から実行までを、レポートにまとめました。
過去の日誌と重複する部分もありますが、ご覧下さい。


※画像はクリックすると大きくなります。

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糞尿にまみれた「生き地獄」・・・

今まで数々の悲惨な現場を目にしてきたが、こんなに酷く切なく悲しい現場は初めてだった。。

今回レスキューした子達は、こんな環境で生きながらえるなら、いっその事処分場で薬殺された方がよっぽどマシであっただろう。。


現場を目の当たりにした瞬間、全員絶句・・・。


『事故と病のため飼いつづけることができなくなったたブリーダーの犬達を助けてやってほしい・・』
というSOSが愛護団体VOVからwan lifeに。

1人で100頭飼育していたらしいという情報が。

状況を調査し事実である事が判明。


『すぐに行こう。』

皆に迷いは無かった。

wan lifeのスタッフは総勢9名。

しかし全員ボランティア。

仕事をしながら、あるいはバイトをしながら空いた時間に活動している。人材も資金も団体と呼ぶには程遠く、小さな組織だ。


レスキュー当日、VOVのメンバー2名と共に現地へ。

現場は三重県北牟婁郡海山。

朝5時wan life事務所出発。
熊野の、深い霧の中を、重い不安を抱えつつ、走る、走る・・・
1


「一人で100頭もの犬を抱えて繁殖していた」らしい・・・。それだけでも充分悲惨な状況は予測つく。
ブリーダー?繁殖屋?

・・・きっと、それ以下。

100頭のうち、50匹は、ブリーダー仲間が引き取ったとか。
じゃ、残されてるのはきっと、状態のいい子を抜き取ったその残りの子達・・


現場に到着すると、飼い主の身内という方が3名待機していた。

『ほんとうにすみません。もうかなり以前からヒドイ飼い方していたので、中はかなり悲惨な様子です。犬たちも本当に可愛そうな状態です。どうか、助けてやってください・・。』

何度も深々と頭を下げられる。

この場所で”ブリーダー”をしていたという犬たちの飼い主は、脳腫瘍を患って体調が悪くなった上に交通事故にあい、復帰できる可能性は無いらしい。
入り口


ブリーダー?仲間が犬の半数を引き取ったあと、身内が盆休みを使って世話していたものの、結局もてあまし、21日に”処分”の話が進んでいたのだとか。

とにかく中を見よう・・・本当は怖いのだけれど・・・
中へ


陽の差さない場所


薄暗い部屋に足を踏み入れると、犬達が一斉に吠え始める。
そして、蒸れてよどんだ空気の中、形容しがたい生臭い悪臭に包まれる・・・
臭い 暑い


生き地獄


いる・・・いる!!
生きた犬達がいっぱいいる!
重ねたゲージ


物が散乱


糞尿まみれ、毛は抜け落ち皮膚はズルズル
でも、動いている・・・
全身ドロドロ


反応無い子


そして・・・
きたないゲージ


見ている・・・
白内障


見つめる


じっと食い入るように見ている・・・
静かに見ている


疥癬


そして、みんな尻尾をちぎれんばかりに振っている・・。
レスキューのメンバーを見て・・・
うれしそうに・・。
こんな生き地獄の中で・・・。

みんな、もっとつらそうに、悲しそうにしろ!
こんなところで尻尾なんか振るな!!

・・・涙があふれそうになる。
でも、泣いてるどころじゃない。

まわる子


目がつぶれ膿が出ている
見えないのに、気配で人を追っている・・・
ヨーキー


ここで、何度子を産まされたのか・・
片目のダックス


何人の人間がこの子達の子をペットショップで
『かわい~』と喜んで購入したのだろうか・・


”ブリーダー”?これが?
奥に1頭


トイプー


ケージも床も、糞尿でズルズルドロドロ・・・
ドロドロのゲージ


床


どこから・・・
・・・


過去


何が狂ってしまったのだろう・・・・
過去

過去の栄光


さあ、とにかく連れ出そう。
外へ


ポメ


見ている


寄り添う


何の種類?


48頭目を連れ出したところで、犬達の世話をしていた人が言った。

『あと、奥の部屋に、もっとヒドイ状態の子が5匹いるんですが・・・。もう、以前から飼い主に処分せんかぁゆうてたんですが、殺すのはかわいそうやゆうて、そのまま置いてるんですが・・・。どうされますか?』


代表の島田が迷わず即答

『全部連れて帰ります』

wan lifeそのものは、特に目立った団体ではない。
先にも書いたが、規模も決して大きくなく、団体と称する規模ではない。
本当に小さな『グループ』である。


しかし、代表は犬保護の修羅場をたくさん乗り切ってきた。

『何とかするわよ。』

と、ポジティブなオーラを発しながら、明るくしっかりとした対応で、テキパキと事を運んでいる。

犬達への熱く深い想いと、豊富な経験と、広く確実で信頼性のあるネットワークとに裏打ちされた自信が満ちている。

「虐待されている動物保護の時なんか、『うちの犬だ。』って所有権ふりかざしてなかなか引き取らせてもらえないのよ。それに比べたら、今回はほんとに楽な作業よ。」

島田の気迫とパワーに後押しされて、最後の5匹に対面する。

この部屋から・・・
奥の部屋


暗く、汚くて、
こんなになるまで


臭くて、
ひどい


暑くて、寒くて
・・・


痛みと、かゆみと、
生きている


さびしさと・・・
生きている


いったい、どれだけ長い年月を
生きていることだけに費やしてきたのだろう・・・


さあ、車に乗せよう
とにかく積み込む


積み込む


雨も降ってきた・・・
雨が


一刻も早く連れ帰って、きれいにしてあげよう。

痛みや、かゆみを取って、この子らを抱きしめてくれる人を探そう・・・


wan life事務所ではトリマーや訓練士助手達が待っていた。
獣医師の手配も整っており、段取り良く、犬達の状態に合わせて仕分けて運んでいく。
しっぽを振る子


きれいになっていく子たち
トリミング中


トリミング済み


重症、重体の子はwan life事務所にボランティアで来て下さった獣医師により応急処置後、動物病院に緊急搬送。
ドクター


でも、53頭、なかなか追いつかない・・・
島田からの連絡を受けて、大阪や遠く名古屋からも応援部隊がこちらに向かっている。

みんな、深く強い志ある仲間たち。



今回のことは、氷山の一角。
日本全国に”ブリーダー”とはとても呼べないような「繁殖屋」がたくさんいて、今も、無残な状況の中で生き永らえている動物達がたくさんいるのだ。

すべてではないし、これほどひどくはないにせよ、ペットショップに並ぶ子たちのかなりは、これに近い環境の中で産み落とされ、かき集められ、箱詰めにされて送られているのだ。

大手ペットチェーンやホームセンターの一角で格安で販売される命の裏側。

動物愛護法が改変されて、少し光が見えてきたようにも思えるが、金のためなら、あの手この手でスキをついて逃れる連中もいる。

何とかしたい。

何ができるのか。。


事実をできるだけ多くの人に伝え、知ってもらう。



今回のレスキューは、まだまだこれからが本当に大変なところ。莫大な費用と、人手と、時間がかかる・・・。


誹謗や中傷もある。

しかし、この子達が味わってきた苦痛に比べればそんなもの比では無い。甘んじて受けよう。



今回、多くの方のご支援や激励の元、今日まで皆頑張れた。
そして、ご支援や激励、ワンコ達の回復をエネルギーに、これからもがんばる。

本当に本当に多くの方から激励のメールや電話が殺到した。

この場をお借りしてお礼申し上げます。
本当に本当にありがとうございます。




犬を積んで帰る車の中で、代表が言った。

『私は活動のためなら、どんな団体とでも協力しあうのよ。あんな団体とよく一緒にやるわね・・って言われることもあるけど、やり方は違っても、一番大事な思いは一緒でしょ。合わせられるところをみつけながら、たくさんある団体や個人みんなが少しづつでも手を合わせたら、どれだけ大きく世の中変えていけるかと思うのよ。』


島田の考えはこうである。


この精神を元に、wan lifeは2つの計画を立てている。

一つ目は、近い将来、愛護団体同士のネットワーク(連盟)を作りたいと思う。皆が協力し合えば、もっと多くの命をを救う事ができる。
具体案は現在構想中だが、構想は最終段階に入っている。

二つ目はシェルター建設である。
レスキューした子達の非難場所。行き場の無い子達が安心して暮らせる場所。
これに関しては規模や場所等何も決まっていない。
莫大な費用がかかるだろう。しかし、絶対に必要なのだ。命をつなぐ為には無くてはならないのだ。

ネットワークとシェルター。
この二つが完成した時、ワンコ達の笑顔は今の数倍にも増えるだろう。


ネットワークに賛同下さる団体の方、または個人で保護活動されてる方、並びにwan lifeの活動又はシェルター建設をご支援下さる方、ご連絡下さい。


wan life

ホームページ
http://wanlife.gozaru.jp/

メールは
wanlife1@yahoo.co.jp

ご寄付・支援金は下記までお願いします
郵便局
00900-7-252255
ワンライフ

銀行
イーバンク銀行
ビート支店 
普通 3112322 
シマダ カオリ

ジャパンネット銀行 本店営業部
普通 6596355
シマダ カオリ

新生銀行 本店
普通 1519040
シマダ カオリ



何はともあれ今回レスキューした53の命、その他全ての命が皆の力で幸せになれ!!


このレポート作成に際し、ご協力下さった『まぁるさん』、ご協力、心より感謝致します。


長々と最後までお読み下さりありがとうございました。
         

※誹謗中傷、ひやかしと判断したコメントは削除します



wanlife3 at 10:49|PermalinkComments(166)TrackBack(5)clip!