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夏が来る。

これまでサナギとして土の中で無意味におしりを振り回すことしかすることのなかったカブトムシが,いよいよ成虫としてここぞとばかりに地上で暴れまわる夏が。


だけどそんなカブトムシもあんまり目立ったことをするとすぐにやんちゃ坊主に捕まってムシカゴの中で不毛な一生を過ごすことになる。





小学二年生の夏,僕はとしきと二人で,歩いたら結構距離のある雑木林(ざつぼくりん)にむしとりに行った。

どのくらいの時間いてどのくらい捕まえたかは覚えていないんだけど,一つだけ忘れられないことがある。

手当たり次第,いや,足当たり次第目の前の木を蹴って奥に進んでいった僕たちは,ドサっという大きな音に反応して動きが止まった。
それまでにない大きな音で,これは大物が落ちてきたと思い近付こうとした。


一歩二歩近付いたところで,それが蛇であることに気付いた。








僕は昔から,生き物を怖がると言うことはあまりなかったと思うけど,蛇だけはどうしてもダメだった。

蛇を怖がらない大樹が尻尾をつかんでぐるぐる振り回してるところなんかみるとダッシュで家に逃げていた。







そのぐらいの恐怖が目の前に落ちてきたのだ。
僕たちは目を合わせることもなく走って林を出た。出てからも数百メートル,息が切れながら走り続けた。
もう日は暮れかかっていて,それがまた怖かった。









あれから14年たった今年の夏,としきは東京に来る。

まずはこの話を肴に焼酎でも飲みたい。

そして,縛り付けてでもパチンコは辞めさせる。










僕はいまでも蛇が怖い。