2012年02月09日

‘12年度 第11回 自己契約(108条他)

【登場人物】
シンデレラ A
継母    B
高利貸し  C
姉 継母の連れ子

【物語】

シンデレラの父が亡くなった後、継母はシンデレラを
扱き使いながら、浪費に明け暮れる日々。
残された財産も、だんだん底をつくようになっていっていた。

そんなある日、お城から舞踏会の案内状が届いたが―。

継母:いいかいお前たち。王子様にしっかり気に入って
   もらうんだよ。
   大金が入ってくる起死回生のチャンスだからね。

姉:母さん、それには舞踏会で目立たなくっちゃ。
  パッと目立つように大きなダイヤとかあれば、
  王子様の目にとまるんじゃない。

継母:そうだね。こうなったら先行投資だ。
   金を借りてでも買ってやろうじゃないか。

姉:でも、そんな大金、どうやって借りるの?

継母:ほら、シンデレラが相続した建物。
   あれを担保にすれば金を貸してもらえるさ。
   あの子は未成年者だから、法定代理人である
   私が、代理して抵当権を設定する契約を
   すればいいんだよ。

かくして、継母は金貸しを尋ねた。

高利貸し:これは、これは奥様。また随分とご所望ですな。
     しかし、そんな大金、タダでは貸せませんな。

継母:シンデレラが父親から相続した建物に
   私が代理して抵当権を設定するから。
   それならあんたも文句ないだろう。

高利貸し:お金を借りる貴方が、その担保となる抵当権の
     設定契約を代理できるんでしたっけ?

継母:確かに私があの子の代理人になって、あの子と私が
   契約するのは、自己契約になるからダメさ。
   でも、抵当権の設定は、あんたとシンデレラの間で
   やることだからね。それを私が代理しても、
   自己契約にならないから大丈夫。
   万一のときは、シンデレラの建物から貸金を回収
   しておくれ。

【問題】
 未成年者Aが相続により建物を取得した後に、Aの法定代理人である母Bが、自分が金融業者Cから金銭を借りる際に、Aを代理して行ったCとの間の当該建物への抵当権設定契約は、自己契約に該当しないので、その効果はAに帰属する。(H21−27)
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2012年02月02日

‘12年度 第10回 代理(101条)

【登場人物】
植杉 買主A
四つ矢不動産 B
トメ 売主C

【物語】

植杉から投資用物件の購入の依頼を受けた四つ矢不動産。
さっそく、1人住まいのトメさんをターゲットにして
売却を働きかけた。

四つ矢:トメさん。あなたも一軒家に1人住まいじゃ
    寂しいわよね。
    どう、ここを売って、シニア向けのマンションに
    移ったら?

トメ:わたしもね、迷っているんだけど、そうなったら
   この家を処分しないといけないし…。

四つ矢:丁度いいわ。
    今ね、中古物件が欲しいってお客さんがいるの。
    ちょっと見せてもらうわよ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

四つ矢:あぁ、この家、設備がかなりイカレてるわ。
    この土台もこのままじゃ危険だし。
    こうなったら、安くても早く売っちゃった方が
    お得よ。

トメ:えぇっ。この間、家を点検してもらったときは
   まだまだ大丈夫だって云われたのよ。。。

四つ矢:それはないわ。
    グレーゾン、グレーゾンよっ
    いい。完全にアウトになる前に売らなきゃ。
    そうね、建物500万円ってとこかしら。
    悪いこと云わないから、私に任せて

トメは、四つ矢の勢いに押されるまま売買契約書に
署名捺印をしてしまった。

 *********************************
         売買契約書

  売買の目的物の表示 甲建物
  売買代金      500万円
          :
  売主 金丸トメ (印)
  買主 植杉達矢 代理人(株)四つ矢不動産
             代表取締役四つ矢雄三(印)
 *********************************

しかし、ほどなして転売利益による手数料収入を狙った
四つ矢の詐欺による売買だったことが発覚。
トメは、植杉に詐欺による取消しを迫った。

トメ:あんたの代理人、よくも騙してくれたわね。
   建物の売買契約は取り消しますから。

植杉:え〜っ。僕はなんのことかさっぱり…
   四つ矢不動産があなたのことを騙したというなら
   四つ矢不動産に文句を言ってください。
   私に売買契約を取り消すと言われても、困りますよぉ。

【問題】
 Aの代理人Bが、Cを騙してC所有の建物を安い値で買った場合、AがBの欺岡行為につき善意無過失であったときには、B自身の欺岡行為なので、CはBの詐欺を理由にした売買契約の取消しをAに主張することはできない。(H21−27)
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2012年01月26日

‘12年度 第9回 詐欺(96条)

【登場人物】

悟:ダルビッシュのファン
honmadesse@398:ネットオークションの出品者

【物語】

健太はダルビッシュ投手の大ファン
直筆サインボールを手に入れたくて、
ネットオークションをチェックしていた。

悟:おぉ、これすげ〜掘り出し物かも

 「テキサスレンジャース移籍記念!
  ダルビッシェ・有 サインボール
  価格 5,000円」

悟:んっ、待てよ。
  サインでも直筆じゃないと意味ないしなぁ。
  ここはメールで確認しておくか。


「商品説明には「サイン」とありますが、印刷ではなく
 本人の直筆サインということでよろしいでしょうか」

honmadesse@398:
 「このたびはお問い合わせありがとうございます。
 今回の商品は、ダルビッシュ投手、テキサスレンジャース
 移籍記念としまして、特別に出品させていただいたものです。
 間違いなくご本人の直筆です。」

悟:きゃっほ〜、これはもうゲットするしかないぜ!
  ボタンをポチッとクリックしてと。。。

この2日後、待望の商品が悟の手元に届いた。

悟:ありっ?
  このサイン、ダルビッシュのものと違うじゃん。
  げっ、偽物を掴まされた。
  早く、契約を取り消さなくちゃ


 「商品案内には、ダルビッシュのサインボールとあったのに、
 このたび送付された商品はダルビッシュのサインボール
 ではありません。
 詐欺による売買につき契約を取り消します。
 つきましては、売買代金を下記の口座に返金ください…」

honmadesse@398:
 「商品案内をよーくご欄ください。
  「ダルビッシェ・有 サインボール」
  と書いてございます。
  貴殿に詐欺呼ばわりされる筋合いはありません。
  また、「ダルビッシェ・有 サインボール」とあるのに、
  勝手にダルビッシュ・有と思い込まれた貴殿には
  重大な過失があります。
  そのような重大な過失のある者は詐欺を理由に
  契約を取り消すことはできません。
  よって代金は返金致しかねます。」

【問題】
 相手方の詐欺により意思表示をなした者は、重大な過失があると、その意思表示を取り消すことができない。(司S53−33改題)

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2012年01月19日

‘12年度 第8回 錯誤(95条)

【登場人物】
八五郎:おなじみ長屋の住人
熊五郎:同じく長屋の住人

【物語】

八:よ、熊つぁん。今日も寒いねぇ。
  どうだい、熱燗でもきゅ〜っと行かねぇかい?

熊:八っつぁん。おいら、それどころじゃねぇんだよ。。。
  この間、質屋から金を借りたときに
  「二月末日までに返済する」って書くつもりだったのに
  ついうっかり「一月末日までに返済する」って
  書いちまったんだ。
  もうすぐ1月末だろ。金がなくて困ってんだよ。

八:熊つぁん、お安い御用だ。
  「一月」に、線を一本足して「二月」にすりゃあ
  いいってことよ。

熊:そんなこと、質屋の親爺に通用するわけねぇだろ。

八:はっ、はっ、はっ。それもそうだよな。
  うーん、なんかこう民法でうまいこと言えねぇ
  かねぇ。

熊:民法で説明すると、「二月末日までに返済すると
  書こうと思った」というのが表示意思。
  そして「一月末日までに返済する」と表示したんだから
  表示意思と意思表示が違うってことだよな。

八:表示意思と意思表示が違うってことはさ、
  それ動機の錯誤とかって言うやつじゃねぇかい。
  熊つぁん、質屋の親爺には動機の錯誤で契約が
  無効だって言えばいいんじゃねぇか

【問題】
動機の錯誤は、表示意思と表示との不一致を表意者が知らない場合である。(H14−27)
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2012年01月12日

‘12年度 第7回 虚偽表示(94条)

【登場人物】

銭昌男  歌手A
子林幸子 歌手仲間B
小金井粕太 銭昌男の同級生

【物語】

昌男:いや〜紅白に出るのも久しぶりだ。
   幸ちゃん、オラがこの舞台に立たないうちに
   どんどん衣装を膨らまして、そのメガ獅子舞、
   もう最高だねぇ。

幸子:いえいえ、これでも節電の年。
   電飾少な目にさせていただきました。

昌男:歌と衣装が全然関係ないというのもいいねぇ。
   ついでにこれまた全然関係ない話なんだけど、
   オラの土地、幸っちゃんが買ったことに
   してもらえんかなぁ。

幸子:ええっ、土地を買うなんて、そんな簡単には。。。

昌男:いやいや、正式な売買じゃなくて、登記簿上
   幸ちゃんが買ったことにしてもらえればいいの。
   名義を変えるだけで、なんの迷惑もかけないから。

幸子:(演歌の世界。大先輩には逆らえないわ)
   はい、それなら。

―――――――――――――――――――――

それから2週間後。子林の下に1人の男が訪ねてきた。

小金井:子林さん。
    オラ、昌男の同級生なんだけども。
    あいつに金貸してて、まだ返してもらって
    ないんだよね。

幸子:はぁ、私にそんなこと言われても、困ります。

小金井:困るってあんた、昌男の土地さ買ったことに
    してるけど、あれ仮装売買で無効だって
    バレてるから。
    いい加減、土地を差し押さえて借金回収
    したいんだよね。
    ここは1つ、昌男に土地を返してもらおう
    じゃないか。

幸子:第三者のあなたに土地を返せと言われる筋合いは
   ありませんわ。


【問題】
 Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した。Aの一般債権者Dは、A・B間の売買の無効を主張して、Bに対して、甲土地のAへの返還を請求することができる。(H20−27)

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2012年01月05日

‘12年度 第6回 心裡留保(93条)

【登場人物】
ノビタ
ドラ衛門

【物語】

静香ちゃんとスネ男がドライブしているのを見たノビタ。
どこでもドアや竹コプターなどに頼らず、自分で自動車を
運転したいんだと一念発起。
ようやく免許をとったが…。

ノビタ:どら衛門。自動車の免許をとったけど、
    静香ちゃんとドライブするのに自動車がないんだ。

どら衛門:買えばいいじゃん。

ノビタ:でも、お金がないんだよぉ。

どら衛門:CM収入が入ったんじゃなかったの?

ノビタ:ジャイヤンが俺の分だって、全部持って
    いっちゃったんだ。
    アイツなんて、ちょこっとしかCMに
    出てなかったくせに!

どら衛門:しょうがないヤツだなぁ。

ノビタ:ねぇ、どら衛門、ポケットから自動車を
    出してくれよ。

どら衛門:え〜っ。やっと自分の力で免許をとったのに
     またボクを頼るわけ

ノビタ:今度の日曜日に静香ちゃんとドライブ行くって
    約束しちゃったんだ。
    このとおり、一生のお願い! 

どら衛門:(もう僕を頼ったら駄目だってわからせるために
     ここは空約束だけしておくか。
     わかったよ。僕のどこでも自動車をあげる。

ノビタ:ヤッホー!
    やっぱり僕のどら衛門だ

どら衛門:(…僕は、君に自動車をあげるつもりはないからね)


【問題】
 甲は、贈与の意思がないのに、ある物を乙に贈与する旨の意思表示をした。乙の善意悪意を問わず乙は所有権を取得する。(司S37−55)続きを読む

2012年01月03日

謹賀新年

明けましておめでとうございます。

この1年が皆様にとって実り多きものになりますよう
お祈り申し上げます。

民法なエブリディは5日(木)から再開いたします。
また遊びにいらしてくださいね。

2011年12月23日

‘12年度 第5回 失踪宣告(30条ほか)

【登場人物】

郡馬陀務:夫
郡馬八津葉:妻
後原征一:学生時代の友人(陀務のライバル)。

【物語】

海外出張に行ったきり、行方不明となった陀務。
妻、八津葉は、八方手を尽くして捜したが、
陀務からの連絡は途絶えたまま。
そんなある日、学生時代の友人後原が、八津葉の前に
現れた。

後原:八津葉さん。
   僕、実は君のことをずっと思っていたんです。
   もう団務さんのことは諦めて下さい

八津葉:そ、そんなこと急に言われても…。

後原:ほらこれ見て「コンクリートから人へ」って
   書いてあるでしょ。
   僕、そのまましゃべってるだけだから大丈夫。
   何の心配も要りません。
   今後の生活のことは僕が全部面倒を見ますよ。

戸惑う八津葉であったが、後原に促されるまま、
家庭裁判所に失踪宣告の申立てをし、陀務の
失踪宣告がなされた。
そして、八津葉は後原と再婚へ。。。

しかし、蜜月は長く続くことはなかった。
陀務のかつての同僚、国田幸章から
陀務の消息がわかったと連絡が入ったのだ。

後原:何ぃ!?
   陀務が出てきて失踪宣告が取り消されたって!

八津葉:どうしましょう。
   戸籍上、私は陀務さんとも征一さんとも婚姻
   していることになるのかしら。
   ということは、重婚で無効とか。。。

後原:そんなこと絶対に認めん!
   重婚というなら、陀務との婚姻を取り消して
   もらおうじゃないか


【問題】
 Aは、海外出張に出かけたが、帰国予定の日に帰国しないまま長期間が経過した。その間、家族としては関係者および関係機関に問い合わせ、可能な限りの捜索をしたが、生死不明のまま出張から10年以上が経過した。そこで、Aについて、Aの妻の請求に基づき家庭裁判所によって失踪宣告がなされた。
 Aについて失踪宣告がなされた後にBはD男と婚姻したが、その後、失踪宣告が取り消された場合に、A・B間の婚姻とB・D間の婚姻は、戸籍の上では共に存在することになるが、両者の婚姻は、当然には無効とならず、共に重婚を理由として取り消しうるにすぎない。(H22−35)
続きを読む

2011年12月22日

お知らせ

いつもご愛読ありがとうございます。
今週の更新は23日(金)になります。

どうぞよろしくお願い致します。 

*・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。..。.:*・゜

2011年12月15日

‘12年度 第4回 制限行為能力者の相手方の保護(20条)

【登場人物】

水戸睦国:被保佐人
八べい:睦国の世話係
山岸:不動産屋


【物語】

長年にわたって諸国を旅してきた睦国も80歳。
いよいよ本格的な隠居生活に入るということで、
これまで管理・所有していた不動産を山岸不動産に
売却した。
その数日後…。

山岸:よっ、これは、これは、八べえさん。
   お前さんも旅に出ないんじゃ、退屈だねぇ。

八べえ:いやいや。肩の荷が下りてホッとしてんですよ。
    ここだけの話、ご隠居、大分ボケちまって。
    最後は、面倒が大変だったんすよ。

山岸:へっ。あのご隠居が。

八べえ:そりゃあ、あの年ですもん。
    まぁ、あっしがうまくご隠居をカバーして
    きましたから、気づかれなかったと思いやすが、
    1年前には保佐開始の審判も受けて、正真正銘
    の被保佐人ですからね。

山岸:おいおい、ご隠居って被保佐人だったの?
   俺、被保佐人と知らずに不動産の売買契約を
   締結しちまったよ。

八べえ:何かそれがまずいんですかい。

山岸:被保佐人は、判断能力が著しく不十分だから
   不動産売買とか重要な財産を取引するには
   保佐人の同意を得ないといけないんだよね
   (13条)。
   保佐人の同意を得ないで不動産売買をした場合は
   後から取り消すことができる。
   しかし、こっちは契約を取り消されたら困るし。。。
   ここは、保佐人の追認を受けるよう催告しとくか。

   えーと、「水戸睦国様、このたびの土地売買契約
   について2ヶ月以内に保佐人の追認を受けるよう
   お願い致します」っと。
   八べえさん、この通知をご隠居さんに渡しておいて
   おくれ。

八べえ:へい、お安い御用だ。任しておくんなせぇ。

―――――――――――――――――――――――
八べえに通知を渡してから2ヶ月余りが経過。
しかし返事は一向に来ない。

山岸:八べえさん。ご隠居さんに通知をちゃんと渡して
   くれたんだよね。
   保佐人の追認を受けておかなかったばっかりに
   後から契約を取り消すと言われても、こっちは
   困るんだよ。

八べえ:そりゃあ、もちろん渡しましたよ。
    まぁ、便りのないのがいい証拠っていいますから、
    その契約でいいってことじゃないですか。

山岸:そっか。
   追認したものとみなされたってことになるんだね。

【問題】
 Aは成年被保佐人であるBとの間で、Bの所有する不動産を購入する契約を締結したが、後日Bが制限行為能力者であることを知った。Aは、1ヶ月以上の期間を定めて、Bに対し保佐人の追認を得るべき旨を催告したが、所定の期間を過ぎても追認を得た旨の通知がない。この場合、その行為は追認されたものとみなされる。(H21−30)続きを読む

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