2008年10月15日

08年度第30回抵当権2・第372条

【登場人物】

菱山ケチ三:金貸し・オネエキャラ
雁 守(がんまもる):個人投資家

【物語】

株価の急落で貯金が底をついた守は、
金貸しの菱山から融資を受け、
自宅の土地に抵当権を設定した。

秋になり、家の庭の木に柿が実った。
一家総出で、もいでいると、菱山が通りかかった。

菱山:ちょっと待った!その柿、採っていいと思って

守:え?俺んちの庭の柿なんだ。俺の自由だろ

菱山:その柿は、私の抵当不動産に生えている柿よ。
   人からお金借りといて民法370条知らないなんて
   抵当権はその目的である不動産に付加して一体と
   なっている物に及ぶはずよ!

【過去問】
 抵当権の効力は、常に、抵当不動産から生じた果実にも及ぶ。(H5−28)


【正解】「×」

【解説】

sakura04さくら:
菱山さんがおっしゃるように、
370条によれば、抵当権を設定した
      土地の上に生えている木など、
      付加一体物にも、抵当権の効力
      及びます。

菱山:ほらね!

さくら:でも、そんなにお詳しいのなら次の371条
    をご存じないのはどういうことでしょう?

【条文】

第371条 抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。

守:被担保債権債務不履行となったときに、
  果実に効力が及ぶとなってますね。
  「常に及ぶ」のではないんだ。
  そりゃそうだ。そもそも抵当権は、
  目的物抵当権設定者占有して使用収益
  できるところに特徴があるんですからね。

さくら:その通りです。ここが質権との違いですよね。
    質権だと、目的物質権者占有して使用収益し、
    その収益を被担保債権の利息に充てるように
    なっています。
    守さんのほうがセンスがいいみたい。

菱山:なんですって!ふんっ。
   じゃああなたたち、柿の実を法律用語でなんていうか
   ご存知?

さくら:もしかして「天然果実」って答えさせたいのかな?

菱山:あら、知ってたのね。

さくら:もしかして果物だから「天然果実」って
    思ってません

菱山:そうだけど?なにか?

守:果物に限らず、野菜・卵・鉱物なんかも
  「天然果実」なんですよね

さくら:そのとおりですそれに対し、アパート
    の家賃収入などを「法定果実」といいます。

菱山:あんまりおいしくなさそうな果物ね。

さくら:おいおい

守:おいしいですよ家賃収入なんて!

【条文】

(天然果実及び法定果実)
第88条 物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする。
2 物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。

(抵当権の効力の及ぶ範囲)
第370条 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び第424条の規定により債権者が債務者の行為を取り消すことができる場合は、この限りでない。

第371条 抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。

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