2009年06月10日
09年度第9回「相続と登記」…第177条他
【登場人物】
正男(A):花火屋長男
三男(B):花火屋三男
カジノ支配人(C)
【物語】
打ち上げロケット専門の花火屋の店主が亡くなった。
生前、父と折り合いの悪かった長男は店を継ぐ気もない。
正男:俺は相続放棄して外国に移住するよ
三男:わかったよ。
じゃあ俺が店を継ぐから、この家と土地は
もらったよ。
次男も相続放棄したので、店主の家と土地は、三男が
単独で相続することになった。
しかし、元々傾いていた花火屋の経営がどうにもこうにも
立ち行かなくなってしまった
三男:もうだめだ、不動産を売って俺もどこか逃げよう
ところが、不動産屋が調べたところ、三男がまだ登記を
済ませてなかったのをいいことに、あるカジノ店主が
不動産の一部を仮差押えをし、登記していることが発覚した。
カジノ店主に話を聞きにいくと、正男がカジノですった分が
未払いだったとのこと
カジノ店主:親父さんの遺産があるって言ってたからさ
彼の相続分を仮差押えさせてもらったよ。
三男:兄貴は相続放棄したんだから、相続分なんてないよ
昔から兄貴はこっそりディズニーランドに
連れて行ってもらったりしてずるいんだ
俺なんか写真だって小学校のときまでしかないんだぞ!
不動産は俺の物だ!兄貴のいいようにはさせないぞ
【過去問】
共同相続人の一人Aが相続を放棄し、他の共同相続人Bが
特定の相続不動産の所有権を単独で承継したが、Bが当該不動産の登記を備えないうちに、Aが相続を放棄しなければ得たであろうAの持分に対し、Aの債権者Cが仮差押えをし、登記を備えた。この場合、Bは当該不動産の所有権をCに対抗できない。
(H11−28)
正男(A):花火屋長男
三男(B):花火屋三男
カジノ支配人(C)
【物語】
打ち上げロケット専門の花火屋の店主が亡くなった。
生前、父と折り合いの悪かった長男は店を継ぐ気もない。
正男:俺は相続放棄して外国に移住するよ

三男:わかったよ。
じゃあ俺が店を継ぐから、この家と土地は
もらったよ。
次男も相続放棄したので、店主の家と土地は、三男が
単独で相続することになった。
しかし、元々傾いていた花火屋の経営がどうにもこうにも
立ち行かなくなってしまった

三男:もうだめだ、不動産を売って俺もどこか逃げよう

ところが、不動産屋が調べたところ、三男がまだ登記を
済ませてなかったのをいいことに、あるカジノ店主が
不動産の一部を仮差押えをし、登記していることが発覚した。
カジノ店主に話を聞きにいくと、正男がカジノですった分が
未払いだったとのこと

カジノ店主:親父さんの遺産があるって言ってたからさ

彼の相続分を仮差押えさせてもらったよ。
三男:兄貴は相続放棄したんだから、相続分なんてないよ

昔から兄貴はこっそりディズニーランドに
連れて行ってもらったりしてずるいんだ

俺なんか写真だって小学校のときまでしかないんだぞ!
不動産は俺の物だ!兄貴のいいようにはさせないぞ

【過去問】
共同相続人の一人Aが相続を放棄し、他の共同相続人Bが
特定の相続不動産の所有権を単独で承継したが、Bが当該不動産の登記を備えないうちに、Aが相続を放棄しなければ得たであろうAの持分に対し、Aの債権者Cが仮差押えをし、登記を備えた。この場合、Bは当該不動産の所有権をCに対抗できない。
(H11−28)
【正解】「×」
【解説】
カジノ店主:なんだって?
不動産を全部くれって言ってるんじゃないよ。
正男さんが相続した分だけだよ?
三男:だから兄貴は相続放棄したんだって
カジノ店主:だけどあなたが不動産全部を相続したといっても、
登記をしてなかったでしょ?
俺はもう登記してるんだよ
不動産の取得は、登記をしないと第三者に対抗
できないんだよ(177条)。
さくら:時系列で見ていくと、相続によって、店主の不動産が、
一旦、共同相続人の共有財産となったものの、
正男さんの相続放棄により、その相続分が
三男さんに移ったということになります。
しかし、そもそも相続放棄をした者は、初めから相続人
とならなかった者とみなされるんですよ(939条)。
つまり、相続開始時にさかのぼって、法定相続分
を取得することもなかったとされるのです。
そこで、判例は、相続の放棄の場合は、登記なくして、
何人に対してもその効力を対抗できるとしました
(最判昭42.1.20)。
カジノ店主:遺産の分割なら、909条で、
「第三者の利益は害せない」
って書いてあるのに!
さくら:遺産分割と相続放棄は違うの
遺産分割はいつまでにやらないといけないという
期間制限はないので、遺産分割で権利変動
があった場合は、登記がないと、第三者に対抗
できないと解されています。
一方、相続放棄は、相続開始を知ってから3ヵ月
以内に家庭裁判所に申述しなければなりません
(915条1項)。
期間が限定されているので、相続放棄については、
遡及効が徹底されているんです。
【条文】
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
(遺産の分割の効力)
第909条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
(相続の放棄の効力)
第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
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【解説】
カジノ店主:なんだって?
不動産を全部くれって言ってるんじゃないよ。
正男さんが相続した分だけだよ?
三男:だから兄貴は相続放棄したんだって

カジノ店主:だけどあなたが不動産全部を相続したといっても、
登記をしてなかったでしょ?
俺はもう登記してるんだよ

不動産の取得は、登記をしないと第三者に対抗
できないんだよ(177条)。
さくら:時系列で見ていくと、相続によって、店主の不動産が、
一旦、共同相続人の共有財産となったものの、
正男さんの相続放棄により、その相続分が
三男さんに移ったということになります。
しかし、そもそも相続放棄をした者は、初めから相続人
とならなかった者とみなされるんですよ(939条)。
つまり、相続開始時にさかのぼって、法定相続分
を取得することもなかったとされるのです。
そこで、判例は、相続の放棄の場合は、登記なくして、
何人に対してもその効力を対抗できるとしました
(最判昭42.1.20)。
カジノ店主:遺産の分割なら、909条で、
「第三者の利益は害せない」
って書いてあるのに!
さくら:遺産分割と相続放棄は違うの

遺産分割はいつまでにやらないといけないという
期間制限はないので、遺産分割で権利変動
があった場合は、登記がないと、第三者に対抗
できないと解されています。
一方、相続放棄は、相続開始を知ってから3ヵ月
以内に家庭裁判所に申述しなければなりません
(915条1項)。
期間が限定されているので、相続放棄については、
遡及効が徹底されているんです。
【条文】
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
(遺産の分割の効力)
第909条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
(相続の放棄の効力)
第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
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コメント一覧
1. Posted by まんたろう
2009年06月14日 00:20
この一月で全ての項目を見させて頂きました
大変分かりやすくて、みるみる民法に対しての興味が出てきてありがたい気持ちでいっぱいです
今年、行政書士を受験するのですが独学でやっていますこのブログも毎日チェックするので今後の更新も期待してます
大変分かりやすくて、みるみる民法に対しての興味が出てきてありがたい気持ちでいっぱいです
今年、行政書士を受験するのですが独学でやっていますこのブログも毎日チェックするので今後の更新も期待してます
2. Posted by キーやん
2009年06月15日 16:04
民法なエブリディは一番最初のブログを探してプリントアウトしてノートに貼って読み返しています。民法がとても不安なのですが、有名人らしき人を当事者としているのでとっつきやすいです。甲や乙よりは正男ですね。
3. Posted by さくら
2009年06月16日 09:11
まんたろうさん、キーやんさんはじめまして。
ご愛読くださってありがとうございます。
物語は、ベリースきってのイチビリ王・リンダが担当しています。
私自身は、民法で難儀してきましたので、できるだけ楽しく、そして、民法本来の面白さをお伝えできればとやっています。
これからもどうぞよろしくお願いします。
ご愛読くださってありがとうございます。
物語は、ベリースきってのイチビリ王・リンダが担当しています。
私自身は、民法で難儀してきましたので、できるだけ楽しく、そして、民法本来の面白さをお伝えできればとやっています。
これからもどうぞよろしくお願いします。

