2012年01月12日

‘12年度 第7回 虚偽表示(94条)

【登場人物】

銭昌男  歌手A
子林幸子 歌手仲間B
小金井粕太 銭昌男の同級生

【物語】

昌男:いや〜紅白に出るのも久しぶりだ。
   幸ちゃん、オラがこの舞台に立たないうちに
   どんどん衣装を膨らまして、そのメガ獅子舞、
   もう最高だねぇ。

幸子:いえいえ、これでも節電の年。
   電飾少な目にさせていただきました。

昌男:歌と衣装が全然関係ないというのもいいねぇ。
   ついでにこれまた全然関係ない話なんだけど、
   オラの土地、幸っちゃんが買ったことに
   してもらえんかなぁ。

幸子:ええっ、土地を買うなんて、そんな簡単には。。。

昌男:いやいや、正式な売買じゃなくて、登記簿上
   幸ちゃんが買ったことにしてもらえればいいの。
   名義を変えるだけで、なんの迷惑もかけないから。

幸子:(演歌の世界。大先輩には逆らえないわ)
   はい、それなら。

―――――――――――――――――――――

それから2週間後。子林の下に1人の男が訪ねてきた。

小金井:子林さん。
    オラ、昌男の同級生なんだけども。
    あいつに金貸してて、まだ返してもらって
    ないんだよね。

幸子:はぁ、私にそんなこと言われても、困ります。

小金井:困るってあんた、昌男の土地さ買ったことに
    してるけど、あれ仮装売買で無効だって
    バレてるから。
    いい加減、土地を差し押さえて借金回収
    したいんだよね。
    ここは1つ、昌男に土地を返してもらおう
    じゃないか。

幸子:第三者のあなたに土地を返せと言われる筋合いは
   ありませんわ。


【問題】
 Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した。Aの一般債権者Dは、A・B間の売買の無効を主張して、Bに対して、甲土地のAへの返還を請求することができる。(H20−27)



【正解】○

子林:第三者から土地を返還請求されるなんて、
   私にはさっぱりわからないわ。

さくら:まず相手方と通じてした虚偽表示による売買は
    無効です(94条1項)
    契約の当事者はいずれも虚偽の意思表示だと
    知っているので、効果を発生させる必要が
    ないからです。
    でも、虚偽表示による無効を知らずに取引に
    入る者を保護する必要がありますから、
    善意の第三者に対しては虚偽表示による無効
    対抗(主張)できません(94条2項)。

子林:善意の第三者に対しては、仮装売買も有効だと
   扱われるということですね。
   じゃあ仮装売買の無効を主張する小金井さんって
   悪者?

小金井:オラが悪者だって人聞き悪いねぇ。
    だいたい悪者じゃなくて、「悪意」だっぺ。
    知っていたが「悪意」で、知らなかったが「善意」だ。

さくら:そのとおりです。
    でも94条2項によって保護される「第三者」とは
    虚偽表示の当事者又はその一般承継人以外の者で
    その表示の目的につき法律上利害関係を有するに
    至った者をいいます。
    つまり、虚偽表示を前提に新たに取引に入った者
    を指します。

小金井:オラが金を貸したのは、仮装売買の前だからね。
    あいつ、いざとなればこの土地で返すからって
    言うから、金貸したんだから。

さくら:ということは、小金井さんは94条2項の「第三者」
    ではありませんね。
    そのため、小金井さんについては、94条2項の
    「第三者」としての保護は問題になりません。
 
    そして、もともと虚偽表示による売買は無効
    ですから(94条1項)、一般債権者(抵当権などの
    担保を持たない債権者)である小金井さんは、
    その無効を主張できます。

小金井:あとは、土地の名義を昌男に戻してもらわないと。
    子林さん名義のままじゃ、差押えできんからねぇ。

さくら:土地の売買は無効ですから、土地の所有権は
    昌男さんにあります。
    ですから、昌男さんは、子林さんに対して
    所有権に基づいて土地を返還請求できます。
    あとは、小金井さんが昌男さんの子林さんに
    対する所有権に基づく返還請求権を代位行使
    すればいいんですよ。

小金井:だいいこうす?

さくら:債権を確保する必要がある場合には、債権者は
    債務者が有する権利を、債務者に代わって
    行使することができるという制度です(423条)。

小金井:そっかぁ。
     借金回収、ガンバッペし、ガンバッペしだぁ。


【条文】
(虚偽表示)
第94条  相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2  前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

(債権者代位権)
第423条  債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。
2  債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。



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