【登場人物】
植杉 買主A
四つ矢不動産 B
トメ 売主C

【物語】

植杉から投資用物件の購入の依頼を受けた四つ矢不動産。
さっそく、1人住まいのトメさんをターゲットにして
売却を働きかけた。

四つ矢:トメさん。あなたも一軒家に1人住まいじゃ
    寂しいわよね。
    どう、ここを売って、シニア向けのマンションに
    移ったら?

トメ:わたしもね、迷っているんだけど、そうなったら
   この家を処分しないといけないし…。

四つ矢:丁度いいわ。
    今ね、中古物件が欲しいってお客さんがいるの。
    ちょっと見せてもらうわよ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

四つ矢:あぁ、この家、設備がかなりイカレてるわ。
    この土台もこのままじゃ危険だし。
    こうなったら、安くても早く売っちゃった方が
    お得よ。

トメ:えぇっ。この間、家を点検してもらったときは
   まだまだ大丈夫だって云われたのよ。。。

四つ矢:それはないわ。
    グレーゾン、グレーゾンよっ
    いい。完全にアウトになる前に売らなきゃ。
    そうね、建物500万円ってとこかしら。
    悪いこと云わないから、私に任せて

トメは、四つ矢の勢いに押されるまま売買契約書に
署名捺印をしてしまった。

 *********************************
         売買契約書

  売買の目的物の表示 甲建物
  売買代金      500万円
          :
  売主 金丸トメ (印)
  買主 植杉達矢 代理人(株)四つ矢不動産
             代表取締役四つ矢雄三(印)
 *********************************

しかし、ほどなして転売利益による手数料収入を狙った
四つ矢の詐欺による売買だったことが発覚。
トメは、植杉に詐欺による取消しを迫った。

トメ:あんたの代理人、よくも騙してくれたわね。
   建物の売買契約は取り消しますから。

植杉:え〜っ。僕はなんのことかさっぱり…
   四つ矢不動産があなたのことを騙したというなら
   四つ矢不動産に文句を言ってください。
   私に売買契約を取り消すと言われても、困りますよぉ。

【問題】
 Aの代理人Bが、Cを騙してC所有の建物を安い値で買った場合、AがBの欺岡行為につき善意無過失であったときには、B自身の欺岡行為なので、CはBの詐欺を理由にした売買契約の取消しをAに主張することはできない。(H21−27)
【正解】×

トメ:×ということは、売買契約の取消しを植杉さんに
   主張できるんだね。
   ほっとしましたよ。

植杉:代理人が詐欺をしていたとは全く知らなかったのに
   売買契約を取り消されるなんて酷いじゃないですか。
   第一、第三者の詐欺だと、相手方である私が
   詐欺を知っている場合に限って、取り消しできる
   はずですよ。

    第三者―――(詐欺)――――┐
                 ↓
    相手方―――(契約)―――表意者(トメ)
    (悪意)←――(取消し)―――┘

さくら:今回は第三者の詐欺とは違うんですよ。
    代理人による契約では、契約をするのは代理人
    その効果は本人に帰属するわけですからね。

    代理人←――(詐欺・契約)――→
              ↓↓↓        表意者
     本人←――(契約の効果)――→
       ←―――(取消し)―――――

    この場合、契約は代理人自身がするので、
    意思表示について詐欺や錯誤が問題になるときは、
    原則として代理人を基準に判断することに
    なります(101条、大判S7.3.5)。

トメ:契約が詐欺を理由に取り消せるかどうかは、
   代理人が詐欺をしたかどうかで判断する
   ということですね。

さくら:そのとおりです。
    あくまで代理人を基準に判断するので、
    本人の事情は考慮されません。
    植杉さんには、お気の毒ですが。。。

植杉:くっそ〜。
   何がグレーゾンだ。アイツはブラックだ! 


【条文】
(詐欺又は強迫)
第96条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前2項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。

(代理行為の瑕疵)
第101条 意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
2  特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。

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