【登場人物】

サイケーン(債権)
ブッケーン(物権)


【物語】

サイケーン:僕は、正義の味方、サイケーン
  必殺技は、特定の人に特定の行為を請求することが
  できる請求ケーンだ。

ブッケーン:ふん。請求ケーンといっても、
  裁判所に行かないと、差押えもできないくせに。

サイケーン:それは貴様も同じことではないか!

ブッケーン:しかし、俺は物を直接排他的に支配する王者。
  わざわざ貴様のように人にあれこれ行為を請求する
  必要はない。ブッケーンとあれば、直接、物の支配を
  実現できるというわけじゃ。

サイケーン:直接だと?

ブッケーン:そうよ。
  たとえば、地上権というブッケーン。
  これは他人の土地を使用することができる権利だ。
  地上権があれば、ただそれだけで他人の土地の使用を
  誰にでも主張できる。

サイケーン:他人の土地を使用するなら、賃借ケーン
  だって負けてはおらん。

ブッケーン:お前の賃借ケーンは、賃借人が、「賃貸人」に
  目的物を使用させるという「行為」を請求できるだけだ。
  もし、賃貸借が邪魔されたらどうなるか考えてみるが
  よい。

サイケーン:賃貸人に目的物を「使用できるようにしろ」と
  主張できるぞ。
  これぞ正義の請求ケーンだ! 

ブッケーン:ふふふ、迂遠よのう。
  地上権なら、これを邪魔する者には、妨害排除を請求
  できる。物に対する直接支配を誰にでも主張できると
  いうのは、このことよ。
  所詮、お前が俺に優位することはないのだ。

サイケーン:う、うっ、くそ〜。 
  このままブッケーンにやられてしまうのか!?

【過去問】
 一定の物に対し債権と物権が成立するとき、債権が物権に優先することはありえない。(司S42−20)
正解「×」

【解説】

さくら:随分と抽象的な問題ですが、一定の物に対し債権
    と物権が成立する場面を具体的にイメージして
    みましょう。

サイケーン:自分が所有する物については所有権が成立
  しているわけで、それを賃貸借すれば賃借権が成立
  するが。。。

ブッケーン:物の所有者がそれを他人に貸しても、
  何も問題なかろうて。
  問題は、物の所有者が、他人に貸している物を、
  第三者に譲渡したときじゃな。

さくら:そうですね。
    たとえば、AがBに貸していたパソコンを、AがCに
    譲渡した場合、Bのパソコンに対する賃借権と
    Cの所有権がバッティングしますね。

ブッケーン:Bは、Aにしか賃借ケーンを主張できんが、
  Cは、所有権というブッケーンを誰にでも主張できる。
  したがって、Cは、Bにパソコンを引き渡せと請求できる
  のじゃ。

さくら:それがまさに、「売買は賃貸借を破る」。
   物権が債権に優位するということですね。

サイケーン:ううっ、肩身の狭い。

さくら:でも、同じ債権であっても、不動産賃借権については
    登記を備えると、物権に優先します(605条)。
    つまり、不動産の賃借人が賃借権の登記をすると、
    以後、その不動産の物権を取得した者に対し、賃借権を
    主張することができるというわけです。

サイケーン:ということは、物権が常に優先するわけじゃ
  ないってことですね。
  俺だって、やるときはやるんだ。
  どうだ、少しは見直したか。

ブッケーン:そんな例外を取り出して強がったところで
  ブッケーンの魅力には適わないってことよ。
  どうだ、さくら。

さくら:私には、ゴオクレンジャーの方が魅力的だわぁ