2012年03月29日

‘12年度 第18回 物権変動2

【登場人物】

うさぎ A
キツネ B
かめ  C

【物語】

キツネ:大変だ、大変だぁ
    うさぎ君、君んちの隣にライオンが引っ越して
    くるんだって。

うさぎ:え〜っ。
    それじゃ、早く、引っ越さなきゃ。

キツネ:君の家は早く処分した方がいいな。
    なんなら僕が買ってあげるから。

うさぎ:うわぁ、買ってもらえるなら、いくらでもいいや。
    キツネ君、ありがとう。

―――――――――――――――――――
しかし、うさぎが騙されたと気づくのに時間は
かからなかった。

「内容証明郵便 キツネ殿
ライオンが引っ越してこないのに、引っ越してくると貴殿が言うので、○月○日に甲不動産を貴殿に売却しました。これは詐欺による契約ですから、民法第96条第1項に基づき当該甲不動産の売買契約を取り消します。
                    ウサギ」

キツネ:ウサギのヤツ、もう気づいたか。
    こうなったら早くウサギの家を売っちまおう。

―――――――――――――――――――

キツネ:カメ君、こんにちは。
    ウサギ君の家を手に入れたんだけど、
    君、買わないかなぁ?
    ウサギ小屋だけど、君には十分な広さだろ。

カメ:へぇ、あのウサギ君の家か!
   徒競走に勝った上に、ウサギの家も手に入れたら
   末代まで大いばりできそうだね。
   こりゃ、買いだな。

キツネ:じゃ、この契約書にサインして。
    登記は、代金の支払いと引き換えだからね。

―――――――――――――――――――

その数日後…。


ウサギ:おーい、カメくーん、カメくーん。

カメ:なんだい?
   まだ懲りずに僕と競争したいのかい?

ウサギ:君、僕んちをキツネから買ったみたいだけど、
    あいつ、僕のことを騙してこの家を手に入れて
    いたんだよ。
    僕は、キツネとの売買契約を取り消して、登記も
    元に戻したから、家を返してもらうよ。

カメ:僕、そんなこと全然知らなかったよ。
   何も知らずに契約したのに、家を君に返さないと
   いけないわけ


【問題】
 AからBに不動産の売却が行われた後に、AがBの詐欺を理由に売買契約を取り消したにもかかわらず、Bがこの不動産をCに転売してしまった場合に、Cは善意であっても登記を備えなければ保護されない。(H11−28類、H20−29)

正解「○」

【解説】

カメ:詐欺による取消しは、善意の第三者に対抗でき
   ないってきいたよ(96条3項)。
   僕は、詐欺のことを全然知らなかったんだから、
   「善意の第三者」にあたると思うんだけど。。。

さくら:契約を取り消すと、当初にさかのぼってその
    効力が生じなかったことになりますが、
    96条3項は、このような取消しの遡及効から
    第三者を保護しようというものです。
    したがって、96条3項の「第三者」とは、
    取消し前に利害関係に入った第三者をいいます。

カメ:僕は、ウサギ君が契約を取り消した後に、キツネと
   売買契約をしたから、96条3項の「第三者」には
   あたらないんだね。

さくら:そうです。
    この場合、ウサギ君とカメさんとの関係は
    対抗問題として、先に対抗要件を備えた者が
    不動産の所有権を取得します(最判S32.6.7)。

カメ:今回は、ウサギ君→キツネ→僕という順番で
   不動産が譲渡されたから、二重譲渡の場合とは
   違うはずだよ。

さくら:取消しまで契約が一応有効であったことに
    着目すると、取消しの時点でキツネを基点して
    キツネ→ウサギという復帰的物権変動を観念
    することができます。
    これに、キツネ→カメさんという物権変動を
    併せると、二重譲渡があったのと同じような関係
    になりますね。

カメ:でも、僕は、キツネがウサギを騙したとか
   何も知らなかったんだよ。

さくら:対抗問題として処理する以上、善意・悪意は
    関係ありません。先に登記を備えた方が不動産を
    取得します(177条)。

ウサギ:今回は、僕の方が早く登記したからね。
    やっぱり足の速い方が勝つってことさ 

【条文】
(詐欺又は強迫)
第96条  詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2  相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3  前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第177条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

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