2012年04月05日

‘12年度 第19回 動産の物権変動(192条)

【登場人物】

銭型警視 A
ルパン4世 B
峰不三子 C

【物語】

不三子:あら、ルパァ〜ン。
    貴方、素敵なカメラを持ってるじゃない。
    私に、それ譲って欲しいわ。

ルパン:へへへっ、不三子ちゃん。
    これ、いいだろ。2万円でどうだい?

不三子:OK。
    じゃ、これもらっていくわね。

ルパン:ちょ〜っと待った。
    俺、まだ全然、これ使ってないからさ。
    1週間だけ、俺に貸してくんない。

不三子:もう、しょうがないわねぇ。
    じゃ、1週間、1万円で貸してあ・げ・る!
    いいわね。

―――――――――――――――
ルパン:不三子のやつ、ちゃっかりしてやんの。
    ま、もとはといえば、銭型のじいさんから
    盗んだカメラだ。それぐらいいいか。

銭型警視:待て〜っ、ルパン!
     俺様のカメラを盗みやがって 

ルパン:(げっ、銭型のじいさん。)
    これ、不三子ちゃんから、借りているだけ
    なんですけど。

銭型警視:なにぃ。峰不三子のものだと!?

―――――――――――――――
銭型警視:峰不三子、やっと見つけたぞ。
     窃盗容疑で逮捕する。

不三子:どういうこと?
    私、ルパンから2万円で買ったのよ。

銭型警視:くそ〜っ、やっぱり盗んだのは
     ルパンか!

不三子:ルパンが盗んだかどうだか知らないけど、
    いずれにせよカメラは私のものだから。

銭型警視:それ、どういうことだ!

不三子:あ〜ら、即時取得って知らないの。
    取引によって、平穏かつ公然にその動産の占有を
    善意無過失で取得すれば、その動産の権利を
    取得できるのよ(192条)。

銭型警視:それは甘いな。
     占有を取得といっても、現実にカメラを
     持っているのはルパンだ。
     確か判例によれば、現実に引き渡しを受け
     なければ、確定的に所有権は取得できん!
     したがって、カメラは本官の物だ。

不三子:銭型のおじいさんたら、そんな自信
    たっぷりでいいのかしら。

【過去問】
 A所有のカメラをBが処分権限なしに占有していたところ、CがBに所有権があると誤信し、かつ、そのように信じたことに過失なくBから同カメラを買い受けた。Bは、Cにカメラを売却し、以後Cのために占有する旨の意思表示をし、引き続きカメラを所持していた場合、判例に照らすと、Cは、一応即時取得によりカメラの所有権を取得するが、現実の引渡しを受けるまでは、その所有権の取得は確定的ではなく、後に現実の引渡しを受けることによって確定的に所有権を取得する。(H12−27類、H23−29)

     A      B――(売却)――→C
    (所有権)    カメラ (占有改定)

正解「×」

不三子:これでカメラは私の物ね。

さくら:喜ぶのはまだ早いですよ。
    まず、即時取得が成立するには動産の占有を
    取得することが必要です。

不三子:カメラはルパンから買ったのと同時に
    ルパンに貸したんだけど、ルパンは私の
    占有代理人としてカメラを占有するという
    意思表示をしたと認められるでしょ。
    だから、私は、占有改定によって動産の
    占有を取得したわ(183条)。

さくら:それはそうですね。
    でも、判例は、即時取得(192条)の成立要件である
    動産の「占有を始めた」には、占有改定による
    占有取得を含まないとしています
    (最判S35.2.11)。

銭型:ということは、判例は、占有改定によっては
   即時取得の成立を認めていないということか。

さくら:はい。占有改定があっても、現実にカメラを
    占有しているのはルパンで、外観上、占有状態
    変更がありません。それにもかかわらず、
    即時取得の成立を認めて真の権利者から権利を
    奪うのは酷だからです。
    銭型さんが主張した「占有改定でも一応即時取得
    するが、現実の引渡しを受けることによって
    確定的に所有権を取得する」という考えは、
    有力説だったんですよ。

銭型:これで、カメラは本官のものだってことですな。

不三子:あ〜ぁ、ルパンに貸さないで、即刻、引渡しを
    受けておけばよかったんだわ。

さくら:いえいえ。そもそも今回は盗品でしょ。
    盗品は、盗難の時から2年間経過しないと
    即時取得が成立しないんですよ(193条)。

銭型:いずれにせよ、カメラは本官の所有物だって
   ことですな。

不三子:銭型警視ったら。こんなところでいつまでも
    管巻いて。ルパンにまた逃げられるわよ。

銭型:そうだ!ルパン、逮捕だぁ〜


【条文】
(占有改定)
第183条  代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。

(即時取得)
第192条  取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

(盗品又は遺失物の回復)
第193条  前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。

オンライン講義&SLTソフトによる行政書士講座
gokaku_syu_kouza
 
 

トラックバックURL

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
ベリースの行政書士講座
Recent Comments
訪問者数