2012年06月21日

‘12年度 第29回 債務不履行(415条)

【登場人物】
野太 A 家屋の売主
谷恒 B 家屋の買主

【物語】

(電話の呼び出し) トルゥ、トルゥ、トルゥ…。

谷恒:野太さん、あんたが自宅を売るっていうから
   売買契約したんだよ。いったい何時になったら
   家を引き渡してくれるのかね。

野太:えー、ただいま家庭内の了承を取り付けている
   ところでございまして、今しばらくお待ち
   いただきたくお願い申し上げます。

谷恒:あのねぇ、普通は、家庭内の了承をとりつけてから
   買主と交渉をするもんじゃないの

野太:はい、その点は重々承知しておりまして、
   家屋の引渡しにつきましては政治生命を掛けて、
   もとい、善管注意義務を尽くしておりますので。

谷恒:いい加減、契約の違反だ、訴えてやるっ
   …と言いたいところだけど、
   僕達、案外仲良しだしぃ。
   しょうがねぇな。もう少し待ってるから
   早くまとめてよ。

と・こ・ろ・が、家屋の引渡しが遅れている間に、隣家からの
出火で家屋は全焼。
野太は、谷恒に対し家屋を引き渡せなくなってしまった。

谷恒:野太さん、この間、あなたは善管注意義務を
   尽くすって言われたね。
   この責任をどうとってくれるんだ

野太:はい。私は、善管注意義務を尽くして家屋を
   保存・管理致しましたので、責任を負いません。

谷恒:な、なにぃ 

【問題】
 AがBに対して自己所有の家屋を売る契約をした場合、Aが当該家屋をBに引き渡すまでの間は善管注意義務をもって当該家屋を保存・管理しなければならないので、Aの履行遅滞中に不可抗力で当該家屋が滅失してもAが善管注意義務を尽くしていれば責任を負わない。(H20−32)

【正解】「×」

【解説】

野太:私、善管注意義務を尽くして、家屋を保存・管理
   していたわけでして…。

さくら:家屋は、物の個性に着目して取引する「特定物
    ですから、売主はこれを引き渡すまで善良
    管理者注意をもって保管・管理しなければ
    ならないのは当然ですね(400条)。

野太:でも、今回、家屋の引渡しができなくなったのは
   不可抗力によるものです。
   そこまで責任を負うなんて、理不尽です。

谷恒:不可抗力だかなんだか知らんが、そもそも
   家屋の引渡しが遅れていたじゃないか。

さくら:その通り!
    履行遅滞中の不可抗力によって引渡しができなく
    なった場合は、債務者の責めに帰すべき事由
    よる履行不能と評価されます。
    履行遅滞にある者は、その後の履行について
    全責任を負うべきだからです。
    したがって、野太さんは、家屋の引渡債務が
    履行不能となったことについて、債務不履行責任
    を負います。

谷恒:あ〜ぁ。
   債務不履行責任に基づいて損害賠償請求をするしか
   ないか。
   消費税が上がる前に、家を手に入れたかったんだ
   よね。。。

【条文】
(特定物の引渡しの場合の注意義務)
第400条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。

(債務不履行による損害賠償)
第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。


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