【登場人物】

クマ  甲 債権の譲渡人(債権者)
キツネ 乙 債務者
ウサギ 丙 債権の譲受人
カメ  丁 債権の譲受人

【物語】

このところ業績不振のクマ動物園。
ウサギとカメから次々と借金の返済を迫られたクマは、
苦し紛れにキツネに対する売掛金を、ウサギとカメに
二重譲渡してしまった。

ヤギ郵便:キツネさん、こんちくはー。
     内容証明郵便のお届けです。

キツネ:どれどれ。
    クマ君からか。
    「私が貴殿に対して有する下記の債権を、
     7月29日にカメ君に譲渡しましたので、
     ご通知申しあげます。
          記
     譲渡債権の表示
     債権額 金10万円也
     原因   7月1日付 売買契約代金
     弁済期  8月1日」
    あれあれ、クマ君も大変みたいだなぁ。

ヤギ郵便:もう1通ありますからね。

キツネ:まだあるの どれどれ。
    「私が貴殿に対して有する下記の債権を、
     7月30日にウサギ君に譲渡しましたので、
     ご通知申しあげます。
          記
     譲渡債権の表示
     債権額 金10万円也
     原因   7月1日付 売買契約代金
     弁済期  8月1日」
    ゲッ、クマ君のやつ、二重譲渡じゃん。

そこに、ウサギとカメがやってきた。

ウサギ:キツネ君。僕がクマ君から譲り受けた売掛金を
    払ってもらうよ。

カメ:おいおい。
   先にクマ君から、売掛金を譲り受けたのは、
   僕だからな。
   キツネ君は、僕に払ってくれればいいから。

キツネ:コホン。
    債権譲渡の優劣は、通知の到達または承諾の
    先後で決着するんだよ。
    でも、君たちに対する債権譲渡の通知は、
    ヤギ郵便が同時に配達してきたから、優劣はなし。
    よって僕は、誰にも払わなくていいんだ。

ウサギ・カメ:そんなのズルイ!ズルイぞ

【過去問】
 甲の乙に対する債権を丙と丁とに二重譲渡した場合、丙、丁への譲渡につき確定日付のある通知を送付し、同時に乙に到達した場合は、丙丁の優劣は決することができず、乙に関してもそれを対抗要件として主張することはできない。(司H2−29)
【正解】正解「×」

【解説】

キツネ:あれれ、「×」ということは、ウサギとカメの
    優劣は、確定日付のある通知または承諾の
    先後で決まるんじゃなかったわけ?

さくら:債権が二重に譲渡された場合、確定日付のある
    通知の到達または承諾先後によって優劣が
    決まります(最判S49.3.7)。
    債務の弁済については、債務者が一番利害関係を
    もっているわけですから、債務者をいわば
    インフォメーションセンターにして
    公示しようというわけです。

キツネ:でも、今回は、確定日付ある通知が同時に到達
    したから、優劣は決まらないよね。

さくら:はい。
    譲受人間の優劣は決まりませんが、
    でも、債権譲渡の債務者に対する対抗要件である
    通知または承諾は備えていますから(467条1項)
    どちらの譲受人も、債務者に対して債権の譲受人
    であると主張することができます。

ウサギ:ということはさ。僕は、キツネ君に売掛金の
    全額を請求できるってことだよね。

カメ:私こそ全額を請求させていただきます。

キツネ:え〜っ、2人から請求を受けるなんて、
    殺生な。。。

さくら:譲受人は、それぞれ全額請求できますが、
    かといって、債務者はいずれか一方に支払えば
    債務は消滅し、他方に支払う必要はありません。

ウサギ:カメ君。
    メダルのためには、2番を狙うのが通らしいぜ。

カメ:カメの世界じゃ、スピード違反と言われた俺が
   そんな手に乗るか!!

キツネ:いい加減、ジャンケンでもして決めてくれ。。。

【条文】

(指名債権の譲渡の対抗要件)
民法第467条 指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
◆〜姐爐猟銘遼瑤肋蟻は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

●ベリースの直前対策
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