【登場人物】

野多商店 甲
スナック谷柿 乙

【物語】

野多:ちわー。
   先月分の集金にあがりました。

谷柿:あら、野田ちゃん。丁度いいところに来たわ。
   今度、長月海産から海苔を仕入れてきて
   欲しいんだけど。
   あそこのオヤジ、ウチみたいなスナックには
   卸さないって言うのよ。

野多:谷柿さんの頼みとくれば、人肌脱ぎまっせ。
   長月解散…、じゃなくて、長月海産を口説けば
   いいんでしょ。
   この野多。近い将来、やりますんで。

谷柿:近い将来って、あなた。
   もう少し、なんとかならない?

野多:えーと、じゃ、近いうちに。

谷柿:もう、まったくぅ。

野多:てへへ。
   で、ウチの集金なんすけど…。

谷柿:ああ、それなら、あなたの昔のツケが
   残ってるから、それと相殺させていただくわ。

野多:そんな古いツケなんて、時効じゃん。
   今更、相殺なんてできるわけ

【過去問】
 甲・乙の債権が相殺適状になった後、乙の債権についてのみ消滅時効が完成した場合にも、乙は相殺をなしうる。(司S46−2)
【解説】
正解「○」

野多:相殺できるってことは、飲み代の消滅時効がまだ
   完成してなかったとか。。。

さくら:飲み代の消滅時効は1年ですから(174条4号)、
    消滅時効は完成していますけどね。

谷柿:相殺はね、時効によって債権が消滅した後でも、
   それ以前に相殺できる状態になっていたら、
   できるのよ(508条)。

さくら:互いの債権が相殺できる状態になっていた場合は、
    すでに決済したと考えがちなので、相殺に対する
    期待を保護するという趣旨なんですよね。

谷柿:ということで、先月の支払い分は残ってるツケと
   相殺するわね。

野多:いつまでもソウサイ、ソウサイって言えるかしらんが、
    ソウリの椅子は渡さないから

【条文】
(1年の短期消滅時効)
民法第174条 次に掲げる債権は、1年間行使しないときは、消滅する。
一 月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権
二 自己の労力の提供又は演芸を業とする者の報酬又はその供給した物の代価に係る債権
三 運送賃に係る債権
四 旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に係る債権
五 動産の損料に係る債権

(時効により消滅した債権を自働債権とする相殺)
民法第508条 時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。

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