2012年09月06日

‘12年度 第39回 同時履行の抗弁権(533条)

【登場人物】

谷柿 宋斉の作った椅子の売主
石場 椅子の買主
古河 谷柿の大家

【物語】

古河:おいおい谷柿さん。
   あんたへの貸しがだいぶ貯まってるし、
   いい加減、ここらで清算してもらえんかねぇ。

谷柿:はっ、はい…。
   私も、只今、善処しているところでございまして…。

古河:率直にいって、もっと若い人材にここを貸して
   やろうかとも思ってるんだが。

谷柿:実はですね、この間、なんとか資金を作ろうと 
   代々伝わってきた、宋斉の椅子を石場氏に 
   売却する約束をしたところなんですよ。
   まだ、代金は受け取っておりませんので、
   賃料の代わりに、石場さんに対する代金債権を
   譲渡するということで、どうでしょうか―。

古河:現金がないんじゃ、しょうがないな。
   それじゃあ代金債権を譲り受けるということで
   よしとするか。

谷柿:あ、ありがとうございます。

代金債権を譲り受けた古河は、早速、石場のところに
支払いを請求しに向った。

古河:えーと、もう連絡が入っていると思うけど、
   代金債権は、ワシが譲り受けたから、耳を揃えて
   支払ってもらおうか。

石場:ええ、確かに連絡は入っておりますが、
   まだ谷柿さんから宋斉の椅子を渡してもらって
   おりませんので、代金はお支払いできません。

古河:なにぃ?

石場:売買契約は双務契約ですから、代金の支払いと
   目的物の引渡しは同時履行の関係にあります。
   したがって谷柿さんから椅子を渡してもらうまで
   同時履行の抗弁によって代金の支払いを拒まさせて
   いただきます(533条)。

古河:あんたと谷柿氏の間では、同時履行かもしらんが
   代金債権を譲り受けたワシには関係ない話よ。
   同時履行の抗弁権なんてものは、消滅じゃ、
   消滅じゃよ

【問題】
 同時履行の抗弁権のある債権が他に譲渡されて債権者と反対債務の債務者とが異なることになった場合には、同時履行の抗弁権は消滅する。(司S41−31)

【正解】「×」

【解説】

石場:やれやれ。
   やっぱり、同時履行の抗弁権は消滅しないって
   ことですね。

さくら:はい。
    債権譲渡というのは、債権の同一性を保ったまま
    契約によってそれを移転するというものです。
    したがって、債権が譲渡されたからといって、
    もともとあった同時履行の抗弁権が消滅すること
    にはなりません。

石場:しかも、私は谷柿さんから単に通知を受けただけ
   ですしね。

さくら:そこも大事なポイントですね。
    債権の譲渡人が債権譲渡の通知をしただけの場合、
    債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対し
    て主張できた事由は、債権の譲受人に対しても
    主張できます(468条2項)。

石場:ということは、谷柿さんに対して主張できる
   同時履行の抗弁権を、債権の譲受人である
   古河さんにも主張できるってことですね。

さくら:はい。
    谷柿さんから椅子を引き渡してもらうまで
    古河さんへの代金の支払いを拒むことができます。

石場:やっぱり私の理屈が正しいということですね。
   あとは谷柿さんから宋斉の椅子を渡して
   もらうのを待てば良しですね。

石腹、安部、街村:おいおい、そんなにうまくいくと
         思ったら、大間違いだからな

【条文】
(指名債権の譲渡における債務者の抗弁)
第468条 債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない。この場合において、債務者がその債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したものがあるときはこれを取り戻し、譲渡人に対して負担した債務があるときはこれを成立しないものとみなすことができる。
2  譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。

(同時履行の抗弁)
第533条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。

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