2012年09月13日

‘12年度 第40回 危険負担(534条)

【登場人物】
金元:野球選手 甲
清腹:野球評論家 乙

【物語】

清腹:金元、これまでようやった。 
   ご苦労さんやったなぁ。

金元:清腹さん。ありがとうございます。
   引退後のことについては、またいろいろと
   ご相談させてください。

清腹:ほな、ワイにまかしとき。
   まずな、お前がもっとる不動産。
   あれは銭に替えた方がええなぁ。
   昔から現金商売ちゅうて、銭が一番強いんじゃ。

金元:そうですか。それなら、芦屋の別荘を売却
   するかなぁ。。。
   1億円ぐらいで売れると思うんですけど。

清腹:そうか、じゃワイが引退記念に買うてやるわ。
   頭金100万円、100年の分割払いや。
   どや、文句ないやろ。

金元:・・・は、はぁ。

清腹:んっ!?声が小さいぞ。

金元:は、はい。よろしくお願いしますっ。

清腹:ほい、とりあえず現金100万を渡してと。
   引渡しは月末ということで、よろしゅうな。


こうして金元は清腹と売買契約を締結したが、
台風が別荘を直撃。落雷で全焼してしまった―。


金元:清腹さん。大変申し訳ないのですが、別荘が全焼
   いたしまして、お引き渡しできなくなりました。

清腹:男、清腹。
   落雷ごときでガタガタ言わん

金元:はっ、恐縮です。
   それで…誠に言いにくいのですが、今月分の
   代金をいただきに参りました。

清腹:はぁ
   なんでワイが代金を支払うんじゃ。

金元:あのぉ、危険負担の債権者主義とかあるそうで…。

清腹:危険負担???
   お前はワイの危険も察知できんのか、このボケっ 

【問題】
 甲が、所有する別荘を乙に売り渡す旨の契約を締結した後で、別荘が落雷により全焼した場合は、危険負担の債権者主義の問題である。(司S56−5)

【正解】「○」

【解説】

清腹:正解が「○」やてぇ!?
   その危険負担て、どういうことや?

さくら:危険負担とは、売買契約のように、当事者が
    互いに債務を負担するという双務契約において、
    一方の債務が消滅した場合に、その損失(危険)
    どちらが負担するのかという問題です。

清腹:もうちょっと、まともな日本語をしゃべれんか。
   そのぉ…、債務が消滅したとかなんや。
   消滅したのは別荘や。

さくら:金元さんは、売買契約に基づいて別荘を
    清腹さんに引き渡す債務を負っていたわけですね。
    別荘は、当事者が物の個性に着目して取引する物
    (特定物)で、言ってみれば、世界にたった1つ
    しかありません。
    そのため、全焼によって別荘を引渡すという債務は、
    もはや履行が不可能となり、消滅します。

清腹:金元は、ワイに別荘を引き渡さなくて、ええって
   ことやろ。そいつは承知じゃ。
   問題はじゃ。
   なんでワイが代金を請求されるんや。

さくら:それは、民法が、特定物に関する物権の設定
    または移転を双務契約の目的とした場合において
    その物が債務者の責めに帰することができない
    事由によって滅失または損傷したときは、
    その損失(危険)は、債権者が負担すると
    しているからです(534条)。

金元:落雷での全焼ですから、俺に落ち度はない
   わけでして…。
   したがって、その損失は、物の引渡しについての
   債権者である清腹さんが負われることに…。

さくら:債権者が危険を負担するので、債権者主義
    いいますね。
    よって、売主の債務が消滅しても、買主の
    債務である代金支払い債務は消滅せず、
    金元さんは、清腹さんに代金を請求できる
    というわけです。

清腹:あーぁ、人生、挫折ありきや。
   どや、金元、お前もワイと一緒に損失を被れや


【条文】
(債権者の危険負担)
第534条  特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。
2  不特定物に関する契約については、第401条第2項の規定によりその物が確定した時から、前項の規定を適用する。



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