【登場人物】
目白宝飾店:A
田浦マキ子:大臣 B
大臣秘書官


【物語】

秘書官:大臣、14時から中国教育部長との会談が入って
    おりますので、会場にお願いします。

マキ子:あら、ちょっと待って。
    この指輪、洋服にひっかかって。。。
    んっ!? 石がちゃんとはまってないわ。

秘書官:あのぉ…私が代わりの指輪を買いに
    参りましょうか。。。

マキ子:結構ですよ。
    でも、これ、目白宝飾店で購入したばかりなのよね。
    宝飾店に電話を入れて、田浦マキ子が買った
    1点ものの指輪に欠陥があったって、伝えて
    おいて頂戴。いいわね。

秘書官:はっ、承知しました(ふ〜っ)。
―――――――――――――――――――――

そして時は流れ、2013年11月。


マキ子:あ〜ぁ、大臣就任、衆議院解散、総選挙と、
    目まぐるしい1年だったわね。
    そうだ、すっかり指輪のこと忘れてた。
    宝飾店に電話しなくっちゃ。

…トゥルルルル。。。

マキ子:目白宝飾店さん。田浦マキ子でございますが、
    おたくで購入した例の指輪
    石がぐらついてんのよ。
    もし石が無くなって、秘書官に代わりの
    指輪を買いにやらせたら、あなたどうなったと思う?
    大臣辞任だったかも、しれないのよ。
    こんな大変なこと、どうしてくれるわけ

宝飾店:はっ、はい。大変申し訳ないことを…。

マキ子:いいこと。
    しっかりと損害を賠償してもらいますからね。

宝飾店:田浦様がおっしゃられていますのは、
    瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求でしょうか。

マキ子:そうよ。
    1点物(物の個性に着目して取引する物…特定物)に
    隠れた瑕疵(欠陥)があったときは、買主は、
    売主に損害賠償を請求できるって、民法に書いて
    あるでしょ(570条、566条1項)。

宝飾店:その瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求は、
    瑕疵(欠陥)を知った時から1年以内
    ご請求いただきませんと消滅するのですが(570条、
    566条3項)。

マキ子:瑕疵を発見した時に直ぐに、秘書官に電話を
    入れさせたでしょ。
    ちゃんと瑕疵を発見した時点から1年以内に請求
    してるじゃない。

宝飾店:お言葉でございますが、指輪に欠陥があると
    言われただけで、損害賠償をご請求されるとは、
    伺っておりませんので・・・。

マキ子:欠陥があると言えば十分!
    私も立法府の人間なんです。誤魔化されませんっ 

【問題】
 Aから1点物の指輪を購入したBが、同建物の隠れた瑕疵を理由としてAに対して損害賠償を請求する場合には、瑕疵を発見してから1年以内にAに対して瑕疵の内容を具体的に明示しなくても、その存在を通知すれば、同請求権は除斥期間の経過により消滅することはない。(H23−28改)
【正解】「×」


マキ子:あらやだ。
    損害賠償請求権が消滅したわけ?

さくら:はい。
    瑕疵担保責任は、瑕疵を知った時から
    1年以内に請求する必要があります
    からね(570条、566条3項)。
    早期に法律関係を確定させる趣旨で、
    この期間は、経過すると権利が消滅する
    「除斥期間」だとされています。

マキ子:瑕疵を発見して、直ちに秘書官に電話を入れ
    させましたよ。
    それとも、裁判上で請求しろってことかしら。

さくら:いえいえ、裁判外での請求でも大丈夫ですよ。
    ただ、買主は、その期間内に、売主の担保責任
    を問う意思明確に告げる必要があります。
    少なくとも、売王に対し、具体的に瑕疵の内容と
    それに基づく損害賠償請求をする旨を表明し、
    請求する損害額の算定の根拠などを示す必要が
    あるというわけです(最判H4.10.20)。

マキ子:あ〜ぁ。
    あの秘書官。欠陥があると言っただけなのね。
    伝書バトじゃあるまいし、全く気が利かないんだから

――――――――――――――――――――――

秘書官:ハッ、ハックション
     言った通りやらないと、気に入らないくせに。。。
     もう、マキ子だか、マンガだか、漫才だか


※ちなみに、買主が瑕疵を発見してから1年以内に、売主の担保責任を問う意思を明確に告げておけば、引渡時から10年の消滅時効にかかるまで、損害賠償を請求することができます。

【条文】
(売主の瑕疵担保責任)
第570条 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
第566条 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3 前2項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。