【登場人物】

古屋興産 不動産屋
帆根川誠二 弁護士
剛力秀麻呂 弁護士

【物語】

古屋興産から、賃貸アパートの立ち退き交渉を依頼された
帆根川弁護士。
しかし、持病の痔が悪化し、急遽、入院する羽目に―。

(ル、ルルル…)

帆根川:古屋さん。誠にすいませんが、私、入院する
    ことになってしまいまして。。。
    もしかしたら痔を手術するかもしれないんですわ。

古屋:そいつは大変だ。
   ところで、お願いしていた交渉の件は、
   どうなりますか。

帆根川:それなら御安心ください。
    私の同期の剛力弁護士を復代理人に選任して、
    代わりに交渉してもらおうかと考えています。
    いかがでしょうか。

住田:あの有名な剛力秀麻呂弁護士ですか!?
   噂では、勝率100%、時給7万円と聞きましたが、
   そんなに払えないですよ。

帆根川:いやいや。時給7万円なんて、バブル時代の昔話。
    報酬だってデフレに逆らえません。
    それに私から、同じ費用でと頼みますから。

古屋:いやぁ。それは、願ったり、叶ったりですわ。
   それでは、センセ、どうぞお大事に。

そして、一週間後、古屋興産に帆根川から電話が入った。

帆根川:帆根川です。あれから直ぐに退院できたので、
    相手方と交渉をやってみたんですが、先方が
    なかなか厳しくて。。。
    立退料をもう少し、上積みしてもらえません
    でしょうか?

古屋:あれ?その件は、剛力先生が復代理人でやって
   くれるんでしょ。
   今更、センセに交渉されて、立退料を上乗せして
   欲しいと言われても、敵いませんわ。

帆根川:…。。。


【問題】
 代理人は、復代理人を選任しても代理権を失うものではなく、選任後は復代理人と同等の立場で本人を代理することになる。(H9−27)
【正解】「○」

古屋:帆根川センセは、剛力弁護士を復代理人に
   選任した後でも、私の代理人として、交渉できる
   というわけですか。。。

さくら:はい。
    代理人が復代理人を選任した場合、
    復代理人も、代理人と同様、本人を代理できる
    というだけで、代理人と本人との関係は変わり
    ません。

帆根川:そもそも復代理人は、代理人の代理権を
    基礎とするものですしね。
    復代理人を選任したことで、代理人である私が、
    代理権を失ったら、復代理人もいなくなって
    しまいますよ。
    したがって、私が剛力弁護士を復代理人に
    選任した後でも、同等の立場で、代理することが
    できます。

古屋:帆根川センセ。同等と言うなら、剛力弁護士と同じ
   ぐらい、強気で交渉してくださいよ。
   そうだ。剛力弁護士は、何て言ってるのですか?

帆根川:交渉で立退料を安く押さえるには、
    弁護士費用を上げていただきたいと…。

古屋:報酬もデフレだって言われたじゃないですか。

帆根川:すでにインフレ路線に転換したそうです。。。


【条文】
(任意代理人による復代理人の選任)
第104条 委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。

(復代理人を選任した代理人の責任)
第105条 代理人は、前条の規定により復代理人を選任したときは、その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。
2 代理人は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、前項の責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りでない。

(復代理人の権限等)
第107条 復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。
2 復代理人は、本人及び第三者に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。