2013年02月23日

‘13年度 第14回 不動産の物権変動(177条)

【登場人物】

中井間不動産
安部興産
お浜:地元の有力者(マダム)

【物語】

白い砂浜の目の前には広がる青い海。
心地よい南国の風が辺りを吹き抜けていく。

安部興産:このたび、わが社の社運を賭けてリゾート
     開発を企画しております。
     つきましては是非、こちらの土地をわが社に
     ご売却いただきたいのですが。

中井間不動産:ここは見てのとおり、自然の豊かな所さ。
   譲らんでもないんだけど、自然を壊すような
   開発をしてもらっちゃあ困るんだよねー。

安部:はい。そこは私どももいろいろ考えておりまして。
   沖合いに向って海を埋め立てまして、海上に施設を
   建設する予定でございます。
   自然にやさしいリゾートがテーマですから。

中井間:……。

安部:それだけではございません。周辺地域を含めて
   多様な振興を進めて参りますので、地域の産業も
   活性化し、活力ある地域を実現していくことを
   お誓い申し上げます

こうして安部興産の半ば強引な売り込みによって、中井間不動産が所有する海岸は、安部興産に譲渡された。
ところが―。

安部:中井間さん。うちに譲渡していただいたあの土地!
   お宅から、お浜さんに所有権移転登記されている
   じゃないですか。どういうことですか。

中井間:いやねぇ。
    お浜さんがさ、お宅がここを購入したことを
    知って、それなら自分で開発するって
    いうからさぁ。売却しちゃったんだよね。

安部:わが社がここを購入したことを知っているのに
   ですか!?

中井間:そうさ。仕方ないねぇ。
    この辺りでお浜さんに逆らえる人は、いないよ。
    登記も移転したし、諦めるんだねぇ。

安部:…い、いや。。。
   わが社が先に譲り受けたのを知っているのですから、
   お浜さんには、わが社の土地だと主張させて
   いただきます

【問題】
 A所有の甲地がBに譲渡され、さらにAB間の譲渡の事実を知っているCに譲渡されてCに所有権移転登記がされた場合、Bは登記なくしてCに対抗することができる。(H12−28)


【正解】「×」

安部:登記がないから、土地がわが社のものだと主張
   できない…。

さくら:先に不動産を譲り受けたのは安倍さんの会社
    ですが、そのことを第三者対抗するには登記
    必要ですからね(177条)。
    しかし、登記を備えていなかったのですから、
    第三者に土地の取得を主張できませんし、
    その結果、二重譲渡の場合は、先に登記
    先に備えた者が土地を取得します。

安部:私も登記しないと、土地を取得したことを
   第三者に主張できないことぐらいは知ってます。
   でも、登記は、権利関係を公示して不動産取引の
   安全を図る制度でしょ。
   先にこちらが購入したことを知っている者にまで
   登記がないと、土地の取得を対抗できないという
   のは、納得できません。

さくら:177条は、「…登記をしなければ、第三者に対抗
    することができない」と規定していて、二重譲渡に
    ついて、第三者の知・不知を問題にしていません。
    知ってる(悪意)、知らない(善意)という内心に
    立ち入らずに、登記によって権利関係を画一的
    決定するの公示の原則に適うからです。

安部:お浜さんには、つい先日、開発のためにご挨拶に
   伺ったところだったのに―。

さくら:単に先に売買があったことを知っているだけなら、
    後から購入しても、自由競争の範囲にある
    正当な取引ですから。仕方ないですね。

安部:あ〜ぁ、信頼と強い絆なんて言わなきゃよかった。


【条文】
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。


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