2013年03月08日

‘13年度 第16回 即時取得(192条)

【登場人物】

ウメ 成年被後見人A
小梅 ウメの孫
金目欲夫 貴金属買取り業者

【物語】
80歳になるウメさんは、認知症が進み、成年被後見人の
審判を受けた。
そんなある日、貴金属買取業者がウメさん家を訪ねてきた―。

金目:こんにちは。おばあちゃん。
   どうかな。貴金属とか高く買い取ってあげるけど、
   いらないもの何かないかなぁ〜?

ウメ:あんたが買い取ってくれるっていうのかい?

金目:そうだよ。今ね、金の価格が高騰してるし、
   売り時だよ。

ウメ:それもそうだね。
   じゃ、じぃさんの形見の指輪でも買い取って
   もらおうかね。

金目:これまた随分と太い指輪だねぇ。
   残念だなぁ。こんなに太いとあまり高く買って
   あげられないんだよ。
   そうだなぁ、他所の業者だったら300円ぐらい
   なんだけど、思い切って500円で買い取って
   あげるから。
   亡くなったおじいさんもきっと喜んでくれるよ。

ウメ:そうかい。ありがとうね。

こうして二束三文で指輪を売り渡したウメさんだったが、
すぐに孫の小梅が気が付いた。

小梅:おばあちゃん。おじいちゃんの形見の指輪を
   500円で売っちゃったなんてダメよ
   そうだわ。おばあちゃんは、成年被後見人だから
   判断能力に欠けてたといって、売買契約を
   取り消せるいいわ。今すぐそうして

ウメ:そうかい。お前がそういうなら、そうしようかね。
   (ル、ルルルル…)
   あ、金目さんかい。私ね、成年被後見人だから
   指輪の売却は取り消させてもらうからね。

金目:おばあちゃんが成年被後見人だったの 

ウメ:そうだよ。それでさ、孫が、契約を取り消せば
   指輪を返してもらえるって言うんだよね。

金目:そうか…。
   でもね。こっちは指輪を有効に取得できると
   信じて契約したんだ。動産を有効に取得できると
   信じて契約した場合は、即時取得によって所有権を
   取得するからね。
   今更、指輪を返すことはできないはずだよ


【問題】
 成年被後見人Aは、その所有する指輪をBに売却したが、その後、Aは制限行為能力を理由に当該売買契約を取り消した。Bは、Aが成年被後見人である事実について善意・無過失であった場合、当該指輪について、Bが即時取得(民法192条)によりその所有権を取得できる可能性がある。(H17−26改題)



正解「×」

金目:えーっ。
   そりゃさ、成年被後見人が売買契約を取り消せる
   というのはいいよ(9条)。
   でも、こっちは、ウメさんが成年被後見人だなんて、
   全くわからなかったんだよ。
   有効に指輪を取得したと信じた俺が、即時取得に
   よって保護されないなんて。。。

さくら:即時所得(192条)は、無権利者から有効な取引行為
    によって動産占有を取得した者について、
    外形どおりに権利の取得を認めるという制度です。

金目:動産は、日常頻繁に取引されるけど、権利の公示
   方法は「引渡し」で十分なものではないから、
   動産取引の安全を図るために認められたんでしょ。
   それぐらいは、わかってるさ。

さくら:それなら話が早いですね。
    即時取得は、動産取引の安全を図る趣旨ですから、
    有効な取引行為によって動産の占有を取得した
    ことが必要です。
    でも、成年被後見人との取引行為は、取り消す
    ことができるもので、完全に「有効な取引行為」
    とはいえません。
    また、制限行為能力を理由とする取消しに対し、
    即時取得を認めてしまうと、制限行為能力者
    取消権によって保護しようとした意味がなく
    なってしまいます。
    したがって、制限行為能力を理由とする取消し
    によって、買主が所有権を取得できない場合に
    ついては、即時取得(192条)は成立しません。

金目:なんてこった。ばあさんには、やられたよ。

ウメ:あら、そうかい。
   あんまりガタガタ言ってると、じいさんが化けて
   出てくるかもよ〜。

【条文】
(即時取得)
第192条  取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

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