2013年03月25日

‘13年度 第18回 留置権(295条)

【登場人物】

Mr.マイナー 買主A
松阪不動産 売主B


【物語】
Mr.マイナーは、中古物件を自分流にリフォームして
住もうと、松阪不動産から中古の家屋を購入した。

松阪不動産:さすがマイナーさん。お目が高いです。
   この物件は、かつて空前の金額で赤靴下産業が
   買ったこともあったんですよ。

マイナー:ちょっと古いけど、メンテナンスも
     してあるみたいだし。

松阪:2011年には、思い切ってジョーンズ工法により
   梁の改修工事をしましたし。
   まだまだ十分、使えますよ。

こうしてMr.マイナーは、手に入れた中古物件のリフォーム
に着手した。
クロスをすべて張り替え、窓にはペアガラス。
屋根には太陽光発電を設置した。そして、仕上げに
床暖房を設置しようとしたところ、崩れかけた基礎を発見した。

マイナー:Oh、No! 
     基礎が崩れかけの家屋になんて住めないです。
     家屋に隠れた瑕疵(キズ)があったということで
     瑕疵担保責任に基づいて契約を解除です。

松阪:(ショボン)
   …仕方ありません、わかりました。

マイナー:私、沢山リフォームしたでしょ。
     家屋にかけた費用を支払ってもらわなきゃ。

松阪:今すぐ、支払えと言われましても…。

マイナー:じゃあ、支払ってもらうまで家屋を
     明け渡さないよ。いいね。

松阪:留置権を行使されるわけですね。。。
   では、家屋を留置されている間、賃料相当額を
   お支払いただくことになりますが。。。

マイナー:えーっ、何ですか、それ


【過去問】
 A・B間の家屋売買契約が解除されても、買主Aは解除前に支出した有益費の償還を受けるまで家屋を留置することができるが、Aは、留置中にこれを使用することにより、法律上の原因なく利得することとなるから、その利得を不当利得として返還する義務がある。(H21−32)

【正解】○

【解説】

マイナー:私、欠陥住宅を購入した被害者です。
     だから契約を解除しました。
     ところがリフォームに費やしたお金をすぐに
     支払ってもらえないと言うから、家屋を
     明け渡さないことにしたね。
     それなのに、なぜ私がお金を払わなきゃ
     いけないですか?

さくら:まず家屋に隠れた瑕疵(欠陥)があったために
    契約の目的を達成できないことから、瑕疵担保
    責任に基づいて契約を解除したわけですね
    (570条、566条)。

マイナー:ザッツ、ライトね。

さくら:解除により売買契約の効力は当初に遡って消滅
    しますから、マイナーさんは、原状回復義務
    として家屋をBに返還しなければなりません
    (545条1項)。
    ただ、マイナーさんは、解除前に家屋について
    リフォームしていますね。

マイナー:そう。いっぱいリフォームしました。
     これ、改良のために支出した有益費だから
     松阪不動産に償還請求しましたよ(196条2項)。

さくら:家屋は、松阪不動産の物ですから、この有益費は、
    他人の物(家屋)に関して生じた債権にあたります。
    そして、マイナーさんは、他人の物である家屋の
    占有者ですから、マイナーさんは、留置権
    基づいて、松阪不動産が有益費を償還するまで
    家屋を留置することができます(295条)。

マイナー:やっぱり僕が正しいでしょ。

さくら:でも、留置権は、単に目的物を留置できる権利で
    留置によって生ずる使用の利益
    享受することまでは含んでいません。
    ですから、留置によって家屋を使用した分の
    利益については、法律上の原因のない利得として
    不当利得として返還しなければならないわけです
    (大判S13.4.19)。

マイナー:OH MY GOD

松阪:じゃあ、条件を見直して再契約はどうかな!?


【条文】
(占有者による費用の償還請求)
第196条  占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。
2  占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

(留置権の内容)
第295条  他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
2  前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。

(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
第566条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3  前2項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。

(売主の瑕疵担保責任)
第570条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。


(不当利得の返還義務)
第703条  法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

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