【登場人物】

ヂミー大酉 画家(元芸人)
三条不呂梨 若手貧乏芸人

【物語】
お笑い芸人から画家に転じたヂミー大酉。
久しぶりのテレビ出演で若手芸人から声をかけられた。

三条:ヂミーさん。折り入って相談があるっす

ヂミー:そっ、そっ、相談!?
    俺に相談って、お前、頭おかしいわ。

三条:そのぉ…、助けてもらえんでしょうか。
   タダで貸してくれるところがなくなってしもうて。

ヂミー:俺にも貸してくれるところないで。

三条:でも、担保があったら借してくれるところが
   あるんですよ。
   すいませんが、ヂミーさんの絵を質に入れさせて
   もらえないでしょうか。

ヂミー:絵がナナに入るんか
    ナナに入るのは…えーと、ロク

三条:「7」じゃなくて「質屋」です。
   俺、ちゃんと返して、先輩には御迷惑を掛けません
   から。お願いします。

ヂミー:そやけど、絵は、今、美術館に貸していて展示中
    やけど。

三条:美術館に展示したまま、質権を設定できれば
   いいのですが。。。
   できるってことで、お願いしますわぁ。

【問題】
 物の所有者がその物を第三者に使用収益させ、その占有の状態を変更させないで、質権を有効に成立させることができる。(司S46−29)
【正解】○

三条:へぇ、美術館に展示したまま質権を設定できる
   というわけですね。

さくら:質権の設定は、債権者に目的物を引き渡すことに
    よって効力を生じるわけですが(344条)、ここに
    いう引渡しには、目的物を現実に引き渡すだけ
    でなく、すでに債権者が目的物を占有している
    場合に意思表示によって引き渡す、簡易の引渡し
    (182条2項)も含まれます。

三条:今回は、質権を設定する予定の絵が美術館に
   あるのですが。

さくら:第三者が占有しているというわけですね。
    この場合は、指図による占有移転(184条)で引渡し
    をすることになります。この方法も質権設定の
    引渡しにあたると解されています。
    具体的には、質権を設定する者が第三者に対して、
    以後、質権者のために占有することを命じ
    これを質権者が承諾するというやり方になります。
    この方法なら、絵を美術館で展示している状態を
    変更せずに、質権を設定することができますね。

ヂミー:質屋に持っていかなくていいんだ。

さくら:指図による占有移転の場合も、目的物は質権
    設定者のところにはありませんから、目的物を
    留置することによって返済を促すという質権の
    機能を発揮することができますからね。

三条:ということで、ヂミーさん。質権の設定をどうか
   お願いします。

ヂミー:お前が頑張れよ

【条文】
(質権の設定)
第344条 質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。