【登場人物】

ジミン商会:量販店
善農北斗:農家


【物語】
PM2.5など大気汚染が騒がれる昨今。
ジミン商会では、空気清浄機をキャンペーン中。

『反・塵(Tiri)宣言
 PM2.5からPM1まで除去できる空気清浄機
 略して、反TPP』

善農:おお、こりゃええわ。
   人間、きれいな空気が基本じゃ。

ジミン商会:はい。
   この『反TPP』でしたら、しっかり外圧、
   もとい、汚染された外気をブロックできますので。

善農:よっしゃ。これを買うわ。

こうして善農は代金を支払い、一週間後に納品されることになっていたのだが…。

善農:おい、『反TPP』はどうなっとんのじゃ。

ジミン商会:誠に申し訳ございません。
   只今、工場に掛け合っているのですが…。
   『反TPP』が手に入らない状態でして。

善農:お前が手に入れてこないのなら、
   裁判所に申し立てて、他からもってこさせるように
   するかー。

ジミン商会:7月まではご勘弁ください。
    

善農:それなら、『反TPP』をよこすまで、制裁金でも
   支払ってもらうことにするか。

ジミン商会:そ、そんなやり方までできるんですか


【問題】
 契約上の債務の不履行の場合に、代替執行が可能なときには、間接強制を求めることはできない。(新司H19−17)
【正解】「×」

ジミン商会:債務の不履行の場合に、代替執行が可能な
   ときでも、間接強制を求めることができる…。

さくら:はい。
    まずジミン商会さんが、空気清浄機を納めて
    いないのは、債務の不履行にあたりますよね。

ジミン商会:はい。。。

さくら:債務不履行に対しては、債権者である善農さんは、
    強制的に債権の内容を実現することができます(414条)。
    強制執行の執行の方法としては、
    〆枷十蠅亮体蝋垰箸砲茲辰董権利内容を
     そのまま実現する直接強制
    ∈枷十蠅虜枷修砲茲辰涜荵絢圓忘通海陵行を
     行わせ、その費用を債務者から強制的に徴収
     する代替執行
    裁判所が、一定期間履行しないときは損害賠償
     を支払うよう命じて、債務者に心理的な圧迫を
     与える間接強制
    があります。

ジミン商会:当初、善農さんが、裁判所に申し立てて
    他の人にやらせようかと言われたのが代替執行で
    納品するまで制裁金を支払わせるというのが
    間接強制というわけですね。

さくら:はい。
    そして、従前は、間接強制については、心理的
    圧迫を加えるという点で、人格尊重の理念に
    反することから、直接強制や代替執行ができない
    債務、つまり、不代替的作為債務・不作為債務に
    限って認められていました。

善農:債務を履行しないのが問題なのに、間接強制が
   人格尊重の理念に反するなんて、人聞き悪い。

さくら:そうですね。
    間接強制の方がむしろ人道的だという議論も
    あったんですよ。
    それで平成15年に民事執行法が改正され、
    直接強制や代替執行ができる場合でも、
    間接強制ができることになりました(民事執行法
    173条)。
    どの方法を選ぶのかは、債権者の自由という
    ことです。

ジミン商会:あのぉ。
    『反TPP』の代わりに別の空気清浄機を
    ご用意させていただきますので、いかがで
    しょうか。
    重要品目は必ずやブロックできるはず…ですので。

善農:あんたをアテにしたわしが間違っておったわ 

【条文】
(履行の強制)
第414条  債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、その強制履行を裁判所に請求することができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2  債務の性質が強制履行を許さない場合において、その債務が作為を目的とするときは、債権者は、債務者の費用で第三者にこれをさせることを裁判所に請求することができる。ただし、法律行為を目的とする債務については、裁判をもって債務者の意思表示に代えることができる。
3  不作為を目的とする債務については、債務者の費用で、債務者がした行為の結果を除去し、又は将来のため適当な処分をすることを裁判所に請求することができる。
4  前三項の規定は、損害賠償の請求を妨げない。