【登場人物】

金タロー:物まね芸人 A
有吉不動産 不動産会社B


【物語】
 AKV84の物まねでブレイクした金タロー。
 有吉不動産から建売住宅を購入した。

金タロー:キャッホー!
     私が家を購入するなんて夢見たい。
     建売とはいえ、デザイナー住宅だし
     AKV御殿とか呼ばれちゃうかも。

トゥルルルル…。

金タロー:はい。金タローでーす。
     あら、不動産屋さん。
     今週末が家の引渡しでしたよね。

有吉不動産:た、た、大変です。
    金タロー様の…ブ、ブロ…ックが炎上しまして。

金タロー:ブログはよく炎上しちゃいまして。
     炎上芸人と言われてまーす。

有吉不動産:い、いえ…。ブログじゃなくって、ブロック。
   ご購入されたご自宅のブロックが、近所からの
   もらい火で全焼したんです。

金タロー:翔き ┐( ∵ )┌ ファイヤー゙ゲット 
     もう、そんな場合じゃないわ。
     それって酷すぎますよぉぉぉお〜

有吉不動産:本当に残念なことなのですが…。

金タロー:私のAKV御殿が全焼なんて、許せない。
     あなたのところに損害賠償を請求するわっ。

有吉不動産:全焼したのは弊社のせいではないのですが…。

【問題】
 Aは不動産会社Bと、BがC工務店に注文して建築させた建売住宅を購入する契約を締結した。この建売住宅が売買契約成立後Aへの引渡し前に、Bの責めに帰すべからざる事由によって火災で全焼してしまった場合、AはBに対して債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができる。(H15−29)
【正解】「×」

金タロー:購入した家が引渡し前に全焼したのに
     不動産屋に損害賠償を請求できないなんて。
     なんで、なんでよぉぉぉ!

さくら:有吉不動産が金タローさんに建物を引渡す債務は
    建物の全焼により履行不能となったわけですよね。

金タロー:そうなんです。ぐすん。

さくら:履行不能を理由に損害賠償を請求するには、
    その履行不能が債務者の責めに帰すべき事由
    よることが必要なんです(415条)。

金タロー:責に帰すべき事由…。

さくら:はい。
    今回の場合でいえば、全焼により建物の引渡しが
    できなくなったことについて、有吉不動産に故意
    ・過失があることが必要です。

有吉不動産:火事は、近所からのもらい火が原因でして、
      しかも強風のために消防活動が追いつか
      なくて。。。

さくら:ということは、有吉不動産に故意・過失、
    つまり責に帰すべき事由がありません。
    したがって、金タローさんは、有吉不動産に
    対し債務不履行に基づく損害賠償請求をする
    ことができません。

有吉不動産:あのぉ。。。
      購入代金をお支払いいただく件ですが。。。

金タロー:なんで代金を請求されるんじゃ!
     ボケっ!!

有吉不動産:おっ、今度は、光浦やす子や! 


【補足】
 契約成立後に、建物の引渡債務が、その責めによらずに消滅した場合に、買主の代金支払債務も消滅するのかという問題があります。いわゆる危険負担の問題です。
 建物という特定物の引渡債務の消滅ついては、債権者主義により、買主が危険を負担します(534条1項)。したがって、特約がない限り、買主の代金支払債務は消滅せず、買主は代金を支払わなければなりません(火災による損失は、火災保険で賄うことになります)。
 実際には、特約により危険の移転の時期を引渡し時と定めるのが一般的です。

【条文】
(債務不履行による損害賠償)
第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

(債権者の危険負担)
第534条 特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。
2 不特定物に関する契約については、第401条第2項の規定によりその物が確定した時から、前項の規定を適用する。