2013年10月31日

‘13年度 第36回 危険負担

長らくお休みしてまして大変申し訳ございません。
細々ながら、できる限り続けていくつもりです。
今後とも、どうぞよろしくお願い致します。


【登場人物】
滝川クリスタル A
柿左衛門窯 B


【物語】
世界一気飲み大会の招致に成功した滝川クリスタル
来賓の準備に慌ただしい。

滝川:世界中のお客様が東京いらっしゃるんだもの、
   メイン会場には、日本を感じていただけるように
   したいわ。
   そうね、柿左衛門の花瓶に生け花を大ぶりに
   あしらうなんていいかも。
   スポンサーには江戸屋さんが付いているから
   費用もなんとかなるわね。

滝川は、早速、柿左衛門の窯元に問い合わせをした。

窯元:それは、それは。大変光栄なことでございます。
   ついこの間もGR九州の「いつつ星」列車の洗面鉢を
   手がけたところでして。
   さて、今回はいかがいたしましょうか。

滝川:洗面鉢よりも、もっとゴージャスなのがいいわ。
   スポンサーの江戸屋さんは、ダントツで一番が
   お好きなの。

窯元:それでは、第12代の濁手(にごしで)の花瓶が
   よろしいかと。幻の名品と言われておりますもので、
   特別に300万円でご提供させていただきますが。

滝川:嬉しい そうさせていただくわ。

窯元:では、お引渡しは来月中旬で、お支払いは
   そのときにお願い致します。

その翌日、滝川に窯元から一本の電話が入った。

窯元:大変申し訳ございません。
   第12代の濁手の花瓶を本日、確認しましたところ、
   既に割れておりまして、お引き渡しできないことに
   なりました。

滝川:それは困ったわ。
   この契約はどうなるのかしら。。。

窯元:目的物の引渡しに関する危険はこちらがの負担に
   なりますので、代金を支払っていただく必要は
   ございませんが―。

【問題】
 Aは、Bからその倉庫に保管中の特定物である高価な花瓶を購入したが、花瓶は、契約の成立時点で既に割れていた。花瓶の引渡しがされていない以上、Bが危険を負担し、Aの代金債務は消滅する。(司H9−38

【正解】「×」

滝川:「×」ということは、代金をお支払いしないと
   いけないということ!?

さくら:いえいえ。そういうことにはなりません。

滝川:あー、びっくりした。

さくら:どこが間違っているかというと、窯元(B)が
    危険を負担するという点です。
    危険負担というのは、双務契約を締結したに、
    一方の債務が履行不能により消滅した場合に、
    他方の債務がどうなるかという問題、つまり、
    後発的不能の問題です。

滝川:今回は、契約前から花瓶が割れていたのだから
   危険負担ではないとか。。。

さくら:その通り!
    契約前から特定物である花瓶が割れていた
    のですから、その花瓶を引渡すことは、もともと
    不可能なわけです。これを原始的不能といいます。

滝川:花瓶が割れたのが、契約前か後かで扱いが違う
   というわけね。

さくら:はい。
    契約前から特定物である花瓶が割れていた場合は、
    「その花瓶を引渡す」という債務を実現することが
    不可能ですから、契約自体が成立しません。
    契約が成立していないので、代金を支払わなくて
    よいというわけです。

滝川:あぁ、せっかくの「お・も・て・な・し」、
   (手と手を合わせて)「オモテナシ」だったのに…。

窯元:割れた花瓶に「な〜む〜」ですな。


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