2013年11月25日

‘13年度 第39回 賃貸借・第三者弁済

【登場人物】

得州興産   B
得田      A
伊野      C

得州興産(B)―(賃貸借)―得田(A)
甲土地         乙建物―(賃貸借)―伊野(C)


【物語】

日本有数の不動産グループ会社、得州興産。
御曹司の得田に都内の一等地を賃貸し、得田は、
そこに賃貸用の建物を建てていた。
そして、そんなある日―。

伊野:はじめまして。伊野と申します。
   このたび選挙に出馬することになりまして
   ご挨拶に伺いました。

得田:それは、それは、わざわざご丁寧に。
   選挙区の前任者の方とは懇意にしておりまして、
   いろいろとお話を伺っております。

伊野:それで、本日は、事務所用にそちらの建物を
   お借りしたいと思いまして。

得田:お貸しするのは、建物だけでよろしいですか。

伊野:まぁ…、そのぉ…。
   とりあえず建物をお願いします。

得田:まぁ、いいでしょう。
   賃貸借契約を締結させていただきますので、
   どうぞ事務所にお使いください。

ところがその数ヵ月後、不動産の不正取引容疑で
得田宅に捜査が入った―。

得州興産の御曹司といえども、伊野が借りた建物の土地は
得州興産が得田に賃貸したものである。
ふいに地代の支払いが心配になった伊野は、得田に無断で、
得州興産を訪ねた。

得州興産:なんだね、この金は?
     資金提供した金を返すとでもいうのか

伊野:いえいえ、そんな資金提供だなんて。
   私、得田さんから建物をお借りしておりまして、
   これはその建物が建っている土地の地代ですが。。。

得州興産:そうか。
     それなら、建物を借りているだけなのに、
     建物の賃貸人に無断で地代を持ってこられても
     困るんだよ。

【問題】
Aが、Bとの間の土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいてCに乙建物を使用させている場合、Cは、Aに無断で甲土地の賃料をBに対して支払うことはできない。(H25ー32)


【正解】「×」

伊野:やれやれ。
   私は、建物の賃貸人である得田さんに関係なく
   土地の賃料を支払えるわけですね。

さくら:はい。
    伊野さんは、土地の賃借人ではないので、
    第三者として地代を弁済することができます
    (474条1項)。

得州興産:第三者の弁済は、債務者が嫌だといったら
     できなかったはずじゃ。
     こいつは債務者である賃借人に無断で
     金を置いていこうとしたから、断ったんじゃ。

さくら:確かに、利害関係を有しない第三者は、債務者
    意思に反して弁済することができません
    (474条1項)。
    しかし、利害関係を有する第三者は、債務者の
    意思に反してでも、弁済することができます。

得州興産:ふーむ。
     この得州興産が得田に貸しているのは、土地
     じゃよ。建物の賃貸人は、土地の地代に
     利害関係があるのか―?

さくら:もし地代が滞って土地の賃借権が消滅すると、
    建物賃借人は土地賃貸人に対して、建物から
    退去して土地を明け渡す義務を負います。
    そのため、借地上の建物の賃借人は、地代の
    弁済について法律上の利害関係を有すると
    されています(最判S63.7.1)。
    したがって、伊野さんは、建物の賃貸人に無断で
    その土地の賃料を支払うことができます。
    伊野さん、これで安心ですね。

伊野:・・・。
   借りたのは、建物だけじゃないんだよね。。。

【条文】

(第三者の弁済)
第474条 債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2 利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。

※今回のケースは土地の転貸借ではないので、こちらの条文(↓↓↓)と混同しないでくださいね!
(転貸の効果)
第613条 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。
2 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。

オンライン講義&SLTソフトによる行政書士講座
gokaku_syu_kouza
 
 

トラックバックURL

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
ベリースの行政書士講座
Recent Comments
訪問者数