第2章 婚姻

2011年08月11日

'11年度第37回「婚姻2」(762条)

【登場人物】

須賀尚人
尾沢市子

【物語】

今をさかのぼること8年前。
尚人は、資産家である鳩川をスポンサーとして、
千代田区永田町に民巣御殿を築きあげていた。

市子:あなたと結婚したら、私もこの民巣御殿に住むのね。
   この際、主義主張なんかどうでもいいわ。
   私は、あなた色に染・ま・る

尚人:君が来てくれたら、鬼に金棒だよ。
   細腕繁盛記ならぬ、豪腕繁盛記だ
   はっはっはっ。

市子:そうよ、もっと御殿を大きくしましょう。
   私たち、きっと日本一になれるわ。

こうして尚人と市子は結婚した。
しかし、もともと互いの思惑による結婚である。
8年の月日を過ごすうちに、2人の間は冷え切っていった。

市子:もうすっかり尚人には愛想がつきたわ。
   全然私の言うことを聞いてくれない
   いえ、聞いてくれないどころか、尚人の書斎には
   出入り禁止だし。お前は表に出るなとの一点張り
   こうなったら、鳩川と組んで民巣御殿を改装だわ。

尚人:なにぃ、聞き捨てならないぞ。
   こっちは毎日、事業課題に必死で取り組んでいる
   のに、いったい何を企んでいるんだ。

市子:企むも何もないですぅ。
   民巣御殿のほころびが目立ってきたから、
   改装するだけよ。

尚人:今、そんなことやってる場合じゃないだろう
   まだまだ大人しくしてろ。

市子:ふん。曲がりなりにも夫婦なんだから、民巣御殿
   だって、あなたと私の共有のはず。
   改装ぐらいやらせてもらうわ

【過去問】
 Aは、自己が所有する甲建物に居住していたところ、Bと婚姻後においても、同建物にA・Bで同居することになった。A・Bが甲建物に関して婚姻の届出前に別段の契約をしなかったときは、甲建物は、A・Bの共有に属するものと推定される。(H18−35)
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2011年08月04日

'11年度第36回「婚姻1」(739条)

【登場人物】

徳川秀忠:徳川二代将軍
江:後に秀忠の正室となる。
静:江戸城の女中。


【物語】

もしも江戸時代に民法が施行していたら…のお話です。
――――――――――――――――――――――――――

江戸城で秀忠の乳母・大姥局に仕えているお静。
秀忠が大姥局の元を訪れた際に見初められ、
ほどなくして懐妊。
秀忠の子どもを出産した。

静:秀忠様。男の子にござりまする。

秀忠:お静。それはでかした…と言いたいところだが、
   このたび父上の命で、亡き豊臣秀勝の室で
   あった江殿と婚儀を交わすこととなった。
   これも定めじゃ。

静:そ、それではこのお子は…。
  秀忠様。この乱世の世でございます。子には
  せめて嫡出子としての地位を与えてやれぬ
  でしょうか。

秀忠:そうじゃのう。。。
   確か江殿はこれで3回目の結婚だそうじゃ。
   こちらも1回ぐらい結婚したところで気にする
   ものでもなかろう。

   どうじゃお静、子に嫡出子としての地位を与え
   るために形式的に婚姻届を出して、認知して
   やろう。そうすれば子は嫡出子となるから、
   それで離婚届を出そうではないか。

静:思し召し、ありがたく存じまする。
  このお子もさぞ幸せにございましょう。

かくして秀忠は、お静と婚姻届を出す一方、江との婚儀を進めていったが…。

秀忠:お静、まだ離婚届に判を押さぬのか。

静:秀忠様。静は離婚届を出したくございませぬ。

秀勝:江殿との婚姻には徳川家の将来がかかっておる。
   第一、もともと形だけの婚姻届。
   そんなものに効力はない。さっさと離婚手続
   をするのじゃ。

静:婚姻届はあなた様と私との合意で出したもの。
  有効のはずでございます

【過去問】
婚姻の届出が単に子に嫡出子としての地位を得させるための便法として仮託されたものにすぎないときでも、婚姻の届出自体については当事者間に意思の合致があれば、婚姻は効力を生じ得る。(H16−29)続きを読む

2010年08月26日

'10年度第41回「婚姻‐2」・736条

【登場人物】

芦長:大学教授・独身
ジュディ:女子大生

【物語】

孤児であったジュディは才色兼備な女性である。
奨学金を得て大学に通っている

ゼミの担当教諭芦長教授はジュディのことが
大層お気に入り。
独身で、子どものいない芦長は“後継者に”と
ジュディを養子にした。

卒業後もジュディは研究室に残った。
研究のパートナーとして活動した長い月日は、
2人の師弟愛を変質させていった

芦長:ジュディ君。
   実は、ある女性と結婚したいと思っているのだ。

ジュディ:まあ、そうでしたか
     おめでとうございます。
     戸籍上、私のお母様になる方ですね。

芦長:いや、君の母親にはなり得ないよ。
   なぜなら…
   それは君自身だからだよ。
   僕と結婚してくれないか

ジュディ:えっ!先生そんなことできるんですか?
     まがりなりにも私たち親子ですよね!?

芦長:養子縁組を解消すれば、できるさ!たぶん…

【過去問】

 養子と養親の間であっても、離縁により親族関係が終了した後は、婚姻をすることができる。(H8−32)

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2010年08月19日

'10年度第40回「婚姻」第742条

【登場人物】
源光(みなもと ひかる):医者・プレイボーイ
藤子:腐れ縁の仲
葵:病院長の娘

【物語】

プレーボーイの光は腐れ縁の女性とずるずると関係を持っていた。
お互い結婚するつもりはなかったものの、ある年、女性が妊娠し出産した。

藤子:こうなったからには婚姻届を出しましょう。

光:えー。どうして?お互い結婚する気はなかったじゃない。
   ちゃんと認知はするし、養育費も払うから。

藤子:戸籍上嫡出子とするにはそうするしかないのよ。
   いくら認知しても、婚外子は何かと不利なのよ!
   相続も半分になっちゃうし…
   子どもがかわいそうだと思わないの?
   婚姻届を出してすぐに離婚届け出せばいいじゃない。

実は光と病院長の娘・葵との縁談が進んでいたのだ。

光:そうは言っても戸籍に残るのはなぁ…

藤子:全くちっちゃい男ね!
すぐに離婚届け出すって言ってるでしょ。
   ちゃんと入籍しないのならこの話、病院中にばらしてや
   るから覚悟しなさいよ!

光:もういいよ。どうせばれるなら!
  婚姻届を出せばいいよ!

藤子は光に印を押させて、婚姻届を提出した。

光は、葵に対し、結婚していて子どもがいるが、離婚話が
進んでおり、葵との結婚を真剣に考えている旨を伝えた。
葵はすでに光に惹かれてしまっており、正直に話してくれたことを逆に誠実であると勘違いしていた。

葵:光さんが本当に愛しているのは私よね。

光:もちろんだよハニー。
すぐに離婚成立させるから待っててね。

ところが藤子はなかなか離婚に応じようとしなかった。

光:ちょっとちょっと!話が違うじゃないか!
  あの結婚はなかったことにしてくれ。

藤子:ふんっ!
   一度婚姻届を提出してるんだから、なかったことになんか
   なるわけないでしょ?
   そのうち離婚してあげるんだから待ってなさいよ

【過去問】
 婚姻の届出が単に子に嫡出子としての地位を得させるための便法として仮託されたものにすぎないときでも、婚姻の届出自体については当事者間に意思の合致があれば、婚姻は効力を生じ得る。(H16−29)
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