2014年08月14日
絵巻の作り方
皆様、おひさしぶりです。
二年以上放置しておいておひさしぶりもないものですが、ちょっとこちらに纏めておきたい記事があったものですから。
私、三年ほど前から「あいち妖怪保存会」という会の一員として活動しております。
あまり(というか、まったくメジャーではない)愛知の妖怪を「発掘」「保存」し、ひろく紹介しようというのがその活動のメイン。
詳しくは、今までビジュアル化されなかった愛知妖怪たちに姿を与えようという試み【愛知おもてなし妖怪隊】サイトをご覧ください。
http://aichiyoukwaitai.web.fc2.com/
さて、「あいち妖怪保存会」の共同代表の一人であるテラさんは、『怪作戦』という妖怪サークルのプロデューサーでもあります。
その怪作戦さんが『愛知妖怪画談』という同人誌を毎年発行しておりまして、今年ではや三冊目、第三号のメインは「恩田の初連」というキツネの妖怪です。内容は座談会形式で、私も参加させてもらいました。
で、今回私はその本に『恩田乃初連花嫁騒動』という絵巻漫画を寄稿いたしました。
……といっても「絵巻」をフロクに付けるのは無理ですから、買っていただいた方に、コピーをとってもらい、切って貼って、絵巻を自作していただこうという趣向。
しかし、考えてみれば、いきなり「絵巻を作ってね!」と言っても「作り方がわからん!」となるのでは……。なりますよね、普通。
たいへん前置きが長くなりましたが、以前つくった「絵巻の作り方」をここに公開して、絵巻の参考にしていただこうという訳です。
『百菌夜行』をベースに説明しているので、少々ピント外れなのは否めませんが、大体の事は伝わるかと思います。
なお、本文中にもありますが、絵巻作りは『おまめの豆本づくり(柴田尚美/ 白泉社)』を参考にさせていただきました。
それでは「絵巻の作り方」スタートです!
(絵巻つくるよ! という方は「続きを読む」を押してください)
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2011年01月03日
ご挨拶
2009年9月25日より、架空ストア様で私の創作した「きのこ妖怪」の絵巻・ポストカードを委託販売させていただく事になりました。
「きのこ妖怪」とは何なのか……
なかなか説明が難しいのですが、作品を紹介していくうちに皆様に伝わるものがあればと、このブログを立ち上げました。
なにぶん不慣れなもので、更新もゆっくりになるかと思いますがよろしくお願いします。
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【架空ストアで百菌夜行絵巻をお買い上げ下さった皆様へ】
付録としてお付けしている「きのこ妖怪と実在するきのこの対比表」で、最初の「001.灰汁掬鬼猪口」が抜けておりました。
修正版を架空ストアさんでお渡ししていますので、お心当たりの方はお問い合わせ下さい。
お手数をおかけします事、また告知が遅れました事をお詫び申し上げます。
<2009.11.26.記>
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2010年12月31日
百菌夜行絵巻:056&060&062(ラスト)
2010年ももう過ぎようとしております。だらだらと続けてきた「百菌夜行絵巻」の更新も、なんとか滑り込みで今年中に終わりそうです。
絵巻の完成が既に2年近く前ですから思い出しながらの解説になってしまいましたが、お買い上げいただいた方、お付き合いいただいた方、本当にありがとうございました。
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――056――
妖怪名:【珊瑚見張茸】サンゴミハリタケ
モデルになったきのこ:【サンゴハリタケ】 ヒダナシタケ目 サンゴハリタケ科
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――060――
妖怪名:【見張櫓】ミハリヤグラ
モデルになったきのこ:【ヤグラタケ】ハラタケ目 キシメジ科、ヤグラタケ属
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――062――
妖怪名:【イロガワリ】
モデルになったきのこ:【イロガワリ】イグチ目イグチ科
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さて、サンゴミハリタケ。これは「見張り」のダジャレで登場してもらっただけです。申し訳ない。(笑)
何を見張っていたかは、この絵巻全体の構成を解説する、この記事の<続きを読む>をご覧下さい。
同じく見張りのためのヤグラタケのきのこ妖怪。
これは寄生菌といって、キノコを食べるキノコです。ベニタケ科のクロハツなどを宿主にします。
そして、いよいよオーラス。
(架空ストアさん等でお買い上げいただいた絵巻についている「きのこ妖怪と実在きのこの対比表には「066.イロガワリ」とありますが「062.」の誤りです。すみません)
青ざめて逃げ出しているのは、その名もイロガワリ。
実在するきのこ:イロガワリも、傷をつけるとアッという間に青く変色します。
この絵巻のオチを担当するに相応しい、という訳で登場してもらいました。
以上で、個々のきのこ妖怪の解説は終了です。
↓<続きを読む>でこの絵巻全体の構成をネタばらし致します。興味のある方はご覧下さい。
2010年12月04日
百菌夜行絵巻:057&059&061
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――057――
妖怪名:【化烏賊茸】バケイカタケ
モデルになったきのこ:【イカタケ】 スッポンタケ目 アカカゴタケ科
――061――
妖怪名:【化赤烏賊】バケアカイカ
モデルになったきのこ:【アカイカタケ】 スッポンタケ目 アカカゴタケ科
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ずいぶん更新が開いてしまいました。あと二回で完結させるつもりですので、今しばらくのお付き合いのほどを。
さて、少年漫画、なかでもスポーツものやバトルもので重要なのが「ビックリ屋」の存在です。
主人公やそのライバルが凄い技をくり出した時、「ええ〜〜ッ!」と大袈裟に目をむいてみせる、アレです。
それによって凄さを引き立てるという演出なのですが、百菌夜行もいよいよ大詰め、トリに控えた「オチ」を際立たせるために用意されたのが、イカタケとアカイカタケのきのこ妖怪。
しかし、冷凍イカを逆さまに突き刺したようなこのキノコ、実際に遭遇してビックリするのは人間の方かもしれませんね。
ちなみにかなり臭いのだとか……。
以前はめったに見られない珍菌といわれていましたが、最近の異常気象の影響かかなり大量に発生したという報告もあるようです。
2010年10月21日
百菌夜行絵巻:054&058
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――054――
妖怪名:【死乃天使】シノテンシ
モデルになったきのこ:【ドクツルタケ】 ハラタケ目テングタケ科
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いつもこの季節になると、毒キノコによる中毒事件がよく耳にしますが、今年は特に多いように思います。そのなかでも「毒キノコ(クサウラベニタケ)を食用として販売した」というケースが相次ぎました。私も含め、天然のキノコの知識に乏しいものは、パッケージして売られているものを疑う事はしないでしょう。人の健康や生命がかかっているのですから、販売者はそれを十分に自覚して、責任ある選別・販売をお願いしたいものです。もちろん、自分で採ったキノコも信頼できる専門家の鑑定なしに口に入れてはいけません!
さて、ようやくゴールが見えてきた「百菌夜行絵巻」ですが、その残りに日本を代表する猛毒キノコが二種含まれています。
そのうちのひとつが、「死の天使(Destroying Angel)」とも呼ばれる「ドクツルタケ」です。一本食べただけで内蔵を破壊し、死に至らしめるという猛烈な毒を持っています。しかし、真白でツバとツボをそなえた姿はまた、あやうい美しさを持っています。
きのこ妖怪は「天使」にちなんで、羽根をつけました。
どうやら、その猛毒キノコすら恐れるものが、この先にあるようですが……。