2010年12月31日

百菌夜行絵巻:056&060&062(ラスト)

2010年ももう過ぎようとしております。だらだらと続けてきた「百菌夜行絵巻」の更新も、なんとか滑り込みで今年中に終わりそうです。
絵巻の完成が既に2年近く前ですから思い出しながらの解説になってしまいましたが、お買い上げいただいた方、お付き合いいただいた方、本当にありがとうございました。

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――056――
妖怪名:【珊瑚見張茸】サンゴミハリタケ
モデルになったきのこ:【サンゴハリタケ】 ヒダナシタケ目 サンゴハリタケ科

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2009百菌夜行 056
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――060――
妖怪名:【見張櫓】ミハリヤグラ
モデルになったきのこ:【ヤグラタケ】ハラタケ目  キシメジ科、ヤグラタケ属
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2009百菌夜行 060
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――062――
妖怪名:【イロガワリ】
モデルになったきのこ:【イロガワリ】イグチ目イグチ科
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2009百菌夜行 066

さて、サンゴミハリタケ。これは「見張り」のダジャレで登場してもらっただけです。申し訳ない。(笑)
何を見張っていたかは、この絵巻全体の構成を解説する、この記事の<続きを読む>をご覧下さい。
同じく見張りのためのヤグラタケのきのこ妖怪。
これは寄生菌といって、キノコを食べるキノコです。ベニタケ科のクロハツなどを宿主にします。

そして、いよいよオーラス。
(架空ストアさん等でお買い上げいただいた絵巻についている「きのこ妖怪と実在きのこの対比表には「066.イロガワリ」とありますが「062.」の誤りです。すみません)
青ざめて逃げ出しているのは、その名もイロガワリ。
実在するきのこ:イロガワリも、傷をつけるとアッという間に青く変色します。
この絵巻のオチを担当するに相応しい、という訳で登場してもらいました。

以上で、個々のきのこ妖怪の解説は終了です。
↓<続きを読む>でこの絵巻全体の構成をネタばらし致します。興味のある方はご覧下さい。



2009百菌夜行 070
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さて、この絵巻のラストに登場するのは「鍋」です。
しかもまだ、ほとんど具が入っていない……そう、つまりきのこ妖怪たちを煮込んでしまおうと待ち構えているのです。
それに気付いた「イロガワリ」は青ざめて逃げ出し、「見張櫓」は偵察・監視、「珊瑚見張茸」は伝令役を果たしています。
ちなみに、その伝言は「い.珊瑚見張茸」→「ろ.キクダケ」→「は.告げ猪口」→「に.吃土驚」と経由しています。
2009百菌夜行 071-0
吃土驚(びっつちぐり)がかなり早い段階でビックリしているのは、そういう理由なのです。

ちなみに、本家:真珠庵本「百鬼夜行絵巻」のラストにも大きな赤い玉が登場して妖怪たちを驚かせています。
これは「太陽」であるとも「尊勝陀羅尼の火」とも言われています。
(「百鬼夜行絵巻をよむ」「百鬼夜行絵巻の見える都市」「百鬼夜行絵巻の謎」等を参照)
きのこ妖怪たちにとっての脅威は、「鍋」であったというパロディになっております。

そういう目でもう一度絵巻を見直すと、「ほ.松茸乃鬼」が開封している国産松茸(ニセモノでしたが)や、「へ.偽装件(くだん)」、「と.天ニモ昇龍茸」が運ぶ人魚は皆“食材”であることに気付くでしょう。
2009百菌夜行 071-2

更に「ち.七色茶碗茸」は箸やレンゲを運んでいますし、「り.化蝉茸」や「ぬ.化秋津茸」が持っているのは献立表や招待状なのです。
2009百菌夜行 071-3

そして最初に到着していなければならない「る.灰汁掬(あくすくい)鬼猪口」がもっとも遅れ、慌てて走り出しているのが絵巻の冒頭シーンとなっております。
2009百菌夜行 071-4

以上を持ちまして、「百菌夜行絵巻」の作者としての意図はほぼすべて語り尽くしました。
本当は作者の意図など関係なく、自由に見て遊んでいただけば十分なのです。
ちょっとお喋りが過ぎたかもしれませんが、なにぶんマイナーな遊びが多いので十分に伝わらないのではと、書かずもがなの駄文を連ねてきました。
「きのこ」と「妖怪」、どちらも非常に曖昧な領域を住処とする奇妙で愛すべき存在です。
また違う形で皆様の前に登場する日があるかもしれません。
その時はどうか、温かく迎えてやってください。
長らくのお付き合い、ありがとうございました!
それでは皆様、よいお年を。

 【2010年大晦日 岩里藁人記す】



warajin2009 at 23:57│Comments(0)TrackBack(0) きのこ妖怪 | 百菌夜行

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