早実、黄金時代への道〜「早実、甲子園への道」第3章〜

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カテゴリ: 2025中村主将


あっという間に迎えた準々決勝

相手は比較的苦手にしている国士舘
今大会はエース鎌村君を中心に久我山、鶴を破って勝ち上がってきて勢いもある

序盤は早実のエース中村君がその勢いを止める
2回、3回にヒットを許したものの、その後は6回まで四死球とエラーによる出塁のみに抑えた

その間に早実は国士舘の先発投手1年生の杉本君、2番手の井村君から、早実らしくないバント攻撃などで3点を奪う

試合が動き始めたのは7回から

7回表、国士舘を無得点に抑えたものの、3本のヒットを打たれ満塁のピンチを迎えるなど、ちょっと中村君が捉えられ始める

これに対し早実も、直後の7回裏にショートゴロ悪送球を皮切りに1アウト満塁のチャンス到来

しかし、後続を断たれ追加点を奪えず

7回表の国士舘が息を吹き替えし始めた雰囲気が残ったまま8回表の国士舘の攻撃に移る嫌な試合展開

すると、8回表、エラー絡みで満塁とされ、中村君のワイルドピッチで失点してしまう

中村君は元々コントロールが悪い方だけど、普段はワイルドピッチまではしない
しかし、この試合ワイルドピッチが2度ほどあり普段とは明らかに異変があった
報道だと3回に指のマメが破れていたそうなので、リリース時の感覚が普段と違ったのかもしれない

結局、この回で140球を超えたこともあり、9回表は中島君に託すことになった

中島君は去年の春は大車輪の活躍をしたものの、その後の公式戦は春の三高戦でのリリーフなどくらい、練習試合はたまに先発するくらい

とはいえ、ベンチ入りした投手陣の中では、練習試合ではコントロールが一番安定していたので、普段とおりに投げてくれればと思いつつ、しかし、緊迫した展開での登板で平常心でいられるかなと不安に思っていたら、案の定、ボール先行という、中島君らしくない立ち上がり

それでも先頭バッターをショートゴロに打ち取った…と思ったら悪送球でランナーを許し…、次のバッターにはセンター前に快音を残すクリーンヒットを打たれ…、平常心とはほど遠い状態になってしまったのかもしれない

練習試合では朝日君とバッテリーを組むことが多かったので、バッテリーの相性もあったのかな??

結局、中島君は同点を追いつかれ、小俣君にスクランブル交代する予想外の展開に

小俣君はセンバツ後の練習試合では、コントロールが安定しなくなったので、どうなるか不安ではあった

しかし、勝ち越しのタイムリーを打たれた以外は、比較的落ち着いていて後続を断ち、結果的には小俣君が先に投げていれば…というあくまでも結果論

結局のところ、中村君に続く、試合を任せられる2番手ピッチャーを育てられなかったのが敗因

全国の強豪校を見ると、早実ほど選手が集まっていない学校でも、140キロ台が2枚いるのは当たり前、130キロ台の控え投手でも試合を任せられるのは当たり前になってきている

早実の場合、中村君、浅木君、小俣君、田中君と球は速くなったけどコントロールが改善されず、その日に投げてみないと調子がわからないタイプが揃い、逆に中島君は制球とバッターのタイミングをずらすことに長けていたけど、この試合みたいなこともある

せめて中村君のコントロールが改善されていれば球数を抑えられたかもしれない

しかし、1年生秋に上柚木でデビューしたときからの、力を入れて投げると右バッターのアウトハイにまっすぐが吹き抜ける癖、左バッターのアウトローにスライダーが流れる癖は最後まで修正されなかった

浅木君もフォームを改良したりして、スピードもあがり、制球も少し良くなってきたけれど、安定感がまだ足りなかった

そういう意味で、春の三高戦で最終回に大量失点して負けたときと敗因は同じ
信頼できる投手陣を揃えきれなかった準備不足

球が速いに越したことはないけれどスピードガンコンテストをやってるわけではないのだから、速さと同じくらいコントロールとタイミングを重視した育成をしてほしい

とはいえ、9回裏を迎えた時点で得点差は1

まだまだ追いつける可能性があっただけに、先頭バッターのセーフティ(キャッチャーフライ)と最後の盗塁は不可解だった

春の三高戦でも、負けてる終盤でセーフティでアウトになった(1点差で負けてる8回表セーフティでピッチャーゴロの場面)
こういう場面のセーフティは、出塁したいという気持ちはわかるけど、ピッチャーとの対戦での気持ちが負けている
相手に隙がある場面ならともかく、そうでないなら無駄死にするだけなので打って欲しかった

2アウトからの盗塁は、エンドランのサインが出ていたのかもしれないけど、よくわからなかった

もしかしたら、昨夏の明八戦での片山君の盗塁を皮切りに高崎君のタイムリーが出て同点、逆転した場面の再現を狙ったのかもしれない

とはいえ代走の切り札だった片山君の再現を狙うなら、脚の速い松永君を代走で使ってもよかった気もする

松永君は6月にはメンバー外の引退試合に出場していたのに、そこから這い上がってのレギュラー入り

その運に任せても良かったんじゃないのかなあ

そもそも、この場面、打席には代打の五木君

五木君は秋はまだ非力な印象があったけど、センバツでも春の大会でも良い場面で打っていた

今大会ほとんど出番がなかった五木君にようやくチャンスを与えたなら、五木君を信頼しても良かったんじゃないかなあという気もする

そもそも攻守に調子が上がらない選手を使い続けるなら、五木君をもう少し信頼してスタメンで起用しても良かったのでは、というモヤモヤも拭いきれない

もっと言えば、3回裏の2アウト満塁、7回裏の1アウト満塁でそれぞれ1点でもとれていれば違った展開になったはず

昨秋の二松学舎とのタイブレーク無得点といい、今年のメンバーなりにあと1点をとるための術を用意できなかったことも準備不足

選手はやれることはやったけど、力及ばずだった

今年のチームは、昨夏から大黒柱で活躍した中村君だけではなく、抜群のインサイドワークで中村君を支えながらもこの大会は左足の故障で力を発揮しきれなかった山中君、例年崩壊する一塁守備を改善してくれた國光君、安打製造機としてチャンスを作った喜澤君、昨夏西東京大会以降は故障と不調で苦しんだ三澤君、今年は内野守備の要だった川上君、夏直前に一本足打法に改良した強肩灘本君などが主力に揃い、夏春連続で甲子園に連れて行ってくれたので感謝しかない

ありがとう

それだけに納得のいかない終わり方なのが残念すぎる


新チームは本大会と練習試合を見る限り、
投手は、小俣君、田中君、1年生の酒本君、石毛君
捕手は、片桐君、1年生の石井君
内野は、金城君、西村君、高木君、高橋君、1年生の板野君、深谷君弟
外野は、渡邊君、白仁田君、高家君、1年生の秋田君
が軸になる気がする

新戦力にも台頭して欲しい


ベスト16の相手は桜美林

予想だにしていなかった接戦になった

試合は序盤〜終盤に掛けては投手戦
中村君と桜美林のエース沼田君の投げ合いで均衡破れないまま緊迫した展開

中村君のメリハリのあるピッチングだけでなく再三にわたる好フィールディングのほか、川上君のマメな声かけ、灘本君からのライトゴロを狙った送球(残念ながら逸れてしまい、國光君と桜美林のバッターランナーが衝突することになってしまったけど、狙いは良かった)など、こんな暑い中、守備が集中していた

さらに、白仁田君がベンチの一番外野寄りから終始外野陣にポジショニングをアドバイスするなど、ベンチの一体感もあった

その白仁田君が今日は試合の流れをたぐり寄せた

8回表に灘本君の代打として凡退したあと、8回裏から着いたポジションはライト

普段はセンターで広い守備範囲を魅せるので、白仁田君がセンターに入って、脚を攣り気味の渡邊君がライトに入るのかと思っていたら、白仁田君がそのままライト

すると、8回裏、2アウトランナーなしからの桜美林のバッターの当たりはライト白仁田君の頭上を超えるあわや右中間フェン直という大きな当たり

これを白仁田君がいつものごとく左回転、右回転と繰り返しながら背走し、最後はフェンスの側を向きながらキャッチしてフライアウト

試合の流れを引き寄せる大きなプレイだった

これぞ和泉マジック

こういうプレイが出ると、早実打線に勢いが着くはず…

と思いきや、9回表も2アウトランナーなしまで追い込まれる

だがしかし、ここで最後にチャンスを作ったのは3年生

中村君、山中君の連続レフト前でチャンスを拡げる

打席には渡邊君

この日はセンター前、レフト前を放ちバッティング好調だったので敬遠されてもおかしくなかったけれど、桜美林は勝負してくれた

渡邊君はファウルで粘った末に、センターオーバースリーベースを放ち、待望の先制点

最後は中村君が本気モードのピッチングで桜美林打線に反撃を許さなかった

これこそ本当の粘り勝ち


苦しい試合だった

次は国士舘戦

久我山打線と日鶴打線を抑えた長身サウスポー鎌村君が登板するのか、それとも右の井村君、草島君が登板するかわからないけれど、打ち勝つのみ

「和泉監督、甲子園に行きたいです」


夏の2戦目は、ここまで2試合を勝ち上がってきた石神井との試合


7月に入ってから静岡、愛知、長野、山梨の試合は見に行っていたので第107回大会にはどっぷり浸かっているものの、早実の初戦はバーチャルで見てたので、ようやく今日がこの夏初の早実公式戦生観戦になった

早実先発は浅木君
先頭打者に初球デッドボールを出し、その後も腕が触れず置きに行くようなピッチングで制球が定まらず苦しい立ち上がり

しかし、ショート川上君がマウンドに声を掛けに行くと、急に腕が触れ、力のあるボールが行きはじめる

投手経験者ならではの自信を持たせる何かを伝えたのかな?

ここから浅木君は立ち直り、打者一巡はほぼ真っ直ぐ、時折変化球くらいの割合で石神井打線を封じる

その浅木君を早実打線も盛り立てる
田中君、三澤君のタイムリーで3点先制すると、山中君のスリーランで初回から6点を先取

田中君、三澤君は今日は当たっていた
3回にフォアボールなどでランナーを溜めたところで、ふたりに更にタイムリーが出て、仕舞いには川上君、國光君、代打片桐君にもタイムリーが出て、怒濤の23得点

ずーーっと当たってなかった三澤君と、ここ最近不調気味だった川上君に当たりが出たの頼もしい

しかも、喜澤君や代打高木君、代打五木君もバントをしっかり決めてチャンスを自分たちで作りながらの得点だったのも、今後に生きそう

川上君は今日は守備でも三遊間の難しい当たりを、やや深めに守ったところからアウトにする好守備を連続で披露

雑になりそうな試合を守備で引き締めていたのは、見てて安心感があった

投手陣では今日は1年生の酒本(さかもと)君も無難にデビュー

次の相手は桜美林か国立か
どちらが来ても早実が勝つだけ

「和泉監督、甲子園に行きたいです」


早実対玉川学園
いよいよ待ちに待った夏の大会が始まった

初戦の相手は、和田監督時代最後の甲子園(1988年春)に出場したときに外野手だった三井さん率いる玉川学園。

和田監督門下生同士の対決になった。

早実は、序盤、玉川学園の守備の乱れに乗じて点を重ねる

初回はランナーを貯めたところで、4番に抜擢された田中君、喜澤君のタイムリー、2回にもランナーを貯めたところで國光君、喜澤君、山中君のタイムリーや押し出しで点を重ね、2回終わったところで、8点リード。

先発した小俣君が、変化球主体の投球で玉川学園打線を封じていたこともあって、早々に試合が終わりそうな感じになった。

しかし、早実打線は全体的に湿っていて、タイムリー以外には良い当たりはなく、追加点もなし。ズルズルと5回へ。

5回からは田中君がマウンドに上がるも、田中君もピリッとせず、内野の守備のミスも重なり、失点してしまう。

そんな中で光ったのは、5回裏の國光君の走塁と、6回裏の灘本君の走塁。

5回裏2アウト1・3塁で一塁走者國光君の場面で、続く喜澤君の当たりはショートにボテボテの当たりでタイムリー内野安打に。

このとき、ショートがファーストに放るのを見て、國光君はサードに向けて走り、それを見た玉川学園のファーストからの送球が逸れる間に國光君が生還し得点。
10点目になった。

また、6回裏1アウトランナーなしの場面で打った灘本君の当たりはフワッと上がったセンター前への当たり。

打球が緩かったこともあり、灘本君は二塁に到達しツーベースになった。

ヒットだからと気を抜かずにちゃんと走っていたのが功を奏した。

こうした隙のない走塁ができると、相手守備にもプレッシャーになるし、打てなくても点に繋がる。

6回からは中島君と朝日君のバッテリーに交代し、試合を締めた。

最後の2イニングが、今日は1番安心して見られたかもしれない。

今大会、このバッテリーが登場する機会も少なくないと思うので、今後も二人の活躍が楽しみ。

ということで、なんとか初戦を突破。

次の相手は石神井。
武蔵関駅から昔の武蔵関グラウンドに行く途中に見えた、あの高校。
試合を見たこともないし、今大会2試合ともエースの徳山君(昨夏もエース)が先発完投していることくらいしか情報がないけど、きっとなんとかなるはず。

「和泉監督、甲子園に行きたいです」

準々決勝の相手は日大三。

早実の先発は中村君だった。
今大会は小俣君に背番号1を任せたのだから、成長や自信を持たせるために小俣君を先発させるかと思いきや、結局中村君だった。

その中村君は本調子とはほど遠い出来。
まっすぐは140キロを超える球は数えるほどで、ほとんどが130キロ中盤。
コントロール重視でスピードを抑えたわけでもなく、力を入れたボールは高めに浮いてカウントを悪くするだけだった。

早めに小俣君に継投するのかと思いきや、中村君もなんだかんだで三高打線を抑えて、序盤のエラー絡みの2失点に抑えていたので、そのまま終盤へ。

ところが、8回に三高にソロホームランを連続で打たれて万事休すで浅木君に交代。

浅木君は中村君よりも球威はあるように見えたものの、高めに浮いたボールを連続で長打され、ピンチを広げるだけになってしまった。

3番手で登板したのは田中君。
田中君も制球が乱れ気味で、センターにタイムリーを打たれ、さらに得点差を広げられてしまった。

登板しなかった小俣君はともかく、中村君以外は三高打線を抑えられないことがハッキリした試合だった。

他方で、早実打線は、三高先発の近藤君に翻弄され続け、7回に山中君がホームランを放った以外はチャンスらしいチャンスもなかった。

近藤君はまっすぐは130キロ前半ながらも、内外角に散らし、徹底的に低めに投げ続ける、泥臭いピッチング。
しかも、序盤はハイテンポ、中盤以降はテンポを変えたり、二段モーションのリズムを変えてみたり、一本調子にならないように工夫している様子が見られた。

早実の投手陣も球速を上げるだけのスピードガンコンテストでなく、近藤君を参考にして、打者とリズムとタイミングの勝負であることをもう一度振り返ってもらいたい。

また、打線も終盤こそ白仁田君がセーフティを試みたりなんとか出塁しようとする工夫が見られたものの、それ以外は、狙い球を決めるなどの工夫らしい工夫はなく、雑な攻撃に見えた。

雑だったのは守備もそう。

内野ゴロの処理、投内連携、外野からの中継、もう一度、全部鍛え直す必要がありそうな印象を受けた。
ファーストゴロでピッチャーが1塁に入り忘れたり、内野の前にボテボテに転がったボールに対する内野の処理と内野の守備隊形(バント処理を含む。)、外野の頭を越えられたボールを追う姿勢、そこからの返球速度・高さなどなど。

今回は春だけれど、久我山や鶴に内野バント攻撃をされて夏に同じ課題で負けた試合を何度も見たので悪夢が脳裏をよぎった。

今日の敗戦で選抜からの浮かれた感じはいったん終わり。
選手たちもこのままでは夏に行けないことを自覚できたはず。

夏のベンチ入りメンバーが決まるまでの残り1ヶ月半。
選抜・春にベンチ入りした選手、秋にはベンチ入りしていたけれど春はベンチ入りから外れた選手、まだベンチ入りしたことがない選手、新たにチームに加わった1年生、故障明けの選手・・・今のレギュラーの座はいったんガラガラポンして、夏のレギュラー奪取に向けたチーム内でのバチバチとした競争を経て何段階も成長することに期待しています。

特に外野陣は、今大会は故障で出場機会がなかった灘本君のほか、松永君、三澤君、高橋君、吉川君、白仁田君、渡邉君、秋田君など例年にないくらい層が厚い競争が期待できるので、同じような競争を内野でもバチバチにやって欲しい。

「和泉監督、甲子園に行きたいです」

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