2017年03月31日

草間彌生展 我が永遠の魂 その2

「我が永遠の魂」と「明日咲く花」や「真夜中に咲く花」が展示されているフロアの次は、草間彌生の初期作品の展示。

彼女は1929年(昭和4年)長野県の松本市生まれ。少女時代に統合失調症(以前は精神分裂と呼ばれていた病気)になり、それによる幻聴や幻覚から逃れるために絵を描き始めたとされる。16歳で長野県の展覧会に入選するなど、その才能は早くから認められていたようだ。地元の高校を卒業後、京都の美術高校に編入して日本画を1年間学んで松本に戻り、本格的に画家活動を始める。その後にアメリカに渡るが、それまでが草間彌生の松本時代と呼ばれる期間である。


前回のエントリーに載せた彼女の風貌・ファッションはとてもエキセントリックだが、松本時代の彼女はごく普通のお嬢さんといった感じ。これは松本時代の最終年、1957年に撮影された28歳頃のもの。
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これが16歳で全信州美術展覧会で入選した作品。京都で日本画を学ぶ前だが、何となく日本画テイストが感じられる。なお草間彌生が日本画に進まなかったのは、古くさい日本画画壇の体質に馴染めなかったからといわれている。

「稔り」 1945年
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「残夢」 1949年
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「残骸のアキュミレイション(離人カーテンの囚人)」 1950年
    ※アキュミレイションは蓄積物というような意味。
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「集積の大地」 1950年
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この3枚は悪くないけど、駆け出し画家のありがちな絵という印象も拭えない。しかし次の3枚からは一皮むけた腕前を感じる。もっともこれは評価というより私の好みの問題だけれど。


「発芽」 1952年
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「誘惑される太陽」 1954年
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「風神」 1955年
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この路線で進んでもおもしろかったとは思うが、それでは今のように圧倒的存在感を持つモダンアートの女王としてのポジションは得られなかったとも思う。それはともかく1957年の終わりに彼女はアメリカに渡る。

草間彌生のアメリカ時代は1957年から1973年の17年間。最初はシアトルだったが、1年ほどで活動の舞台をニューヨークに移す。この写真は1961年、彼女が32歳頃に撮られたもの。背景に摩天楼(もう死語かな)が写っている。松本時代の写真と較べると、なにか肝の据わった人物の印象になっている。
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アメリカ時代の草間彌生は、だんだんといい感じになってきた松本時代とはガラッと路線を変える。前回のエントリーで書いた私が酔えないモダンアートの世界に突入。次の2枚のうち前者は縦2.1メーター横4.15メーターの巨大なカンバスを白いドットですべて塗りつぶしたもの。後者はVIA AIR MAILのシールを無数に貼り付けたコラージュ。美術史の流れの中で何かエポックメイキングな価値を持っている作品なのかもしれないが、それは美術界内側の話であって、ごく一般人の私には何の興味も持てない作品。


「No. AB」 1959年
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「Airmail Accumulation」 1961年
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この作品は布でくるんだものを脚立に組み付けた立体作品だが、こういうものは彫刻の概念を拡張した「ソフト・スカルプチュア(スカルプチュアは彫刻という意味)」というジャンルらしい。それで草間彌生はこのソフト・スカルプチュアに最も早く取り組んだ1人とのこと。ところでこのソフト・スカルプチュア。会場ではウンコだと思っていたのだが、後で調べてみるとオチンチンだということがわかった。それにしては先っちょが尖りすぎだと思うけど(^^ゞ

「トラヴェリング・ライフ」 1964年
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「マカロニ・コート」 1963年
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ニューヨーク時代の草間彌生はヌードも披露。ところで元アイドルが熟女になって脱げば興味を引くけれど、お婆ちゃんの若い頃のヌードには「ヌードとして」関心が持てないのはなぜなんだろう(^^ゞ

「自己消滅(網強迫シリーズ) 1966年
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「自己消滅」 1967年
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草間彌生は当時「ハプニング」と呼ばれた過激なパフォーマンスでも有名だった。次の写真は男女が屋外で裸になって、身体に水玉を描くというパフォーマンス。
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何となく昔懐かしいヒッピーな雰囲気。もうヒッピーという言葉を知らない世代も増えてきたけれど。なおこの2枚の写真は展覧会の展示物ではない。
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残念ながらニューヨーク時代の草間彌生は私の趣味じゃない。でも1957年(昭和32年)当時に単身でアメリカに渡りアートシーンの先頭を切り開いた、現在は御年88歳の日本人女性がいたことは素直にすごいと思うし、また誇らしい気持ちになる。


ーーー続く
















wassho at 08:48│Comments(0)TrackBack(0) 美術展 

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