下町の製本屋さんのブログ -渡邉製本株式会社-

荒川区東日暮里の書籍製本会社 渡邉製本株式会社のブログです。
社長のほかに、社長の奥さんやスタッフもどんどん参戦します。

荒川区東日暮里の書籍製本会社 渡邉製本株式会社のブログです。
製本に関する技術的なトピックスや特殊製本事例を綴っていきます。
オリジナル製品「BOOK NOTE」の情報もお知らせします。

流通している本の場合、印刷が上がってきたものを最終的な製品にするまで、当社くらいの会社の規模では全部の工程を一つの会社でやるという事は有りません。。

・大きな紙に印刷されたものを折る『折本』やさん。
・ページを合わせる『丁合い』やさん。
・折ったものを何単位かにまとめて糸で綴じる『糸かがり』やさん。
・表紙に紙や布を張り合わせる『表紙貼り』やさん。
・表紙などに箔を押す『箔押し』やさん。
・ハコ付きの本の場合の『製函』やさん。

などなど結構細分化した専門の会社があるのです。

その中で今回は大変古くからお世話になっている表紙貼りやさんのことを書かせて貰います。

どの位昔からのお付き合いかというと、会社に入って35年以上経っている現社長が知っている限り同じ表紙貼りやさんに依頼しています。
いや、そんなものでは無く、当社も表紙貼りやさんも先代からのお付き合いなのです。

特筆すべきは表紙貼りやさんの「Mちゃん」です。
気安く「ちゃん」付けで書いていますが、大大大ベテランの女性です。

本やノートの角が丸くなっているのを「角丸」と言いますが、紙の端っこで指先を切ってしまうことや、ドッグイヤー(本文用紙の角が折れた状態)にならないようにひと手間かけるのです。


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6月第3日曜日は父の日。
もうすぐですね。

・・・という訳で、「本」と「父」に関わることをあれこれ考えてみました。

タイトルに「父」「おとうさん」などが付く本は何があったでしょうか。

まずは、大好きなエッセイスト・小説家の森 茉莉さん。

森 茉莉
筑摩書房
1975


オンボロアパートの色あせたカーテンが西洋アンティークみたいに思える妄想女王にして、怜悧な観察眼を合わせ持つ茉莉さんの「パッパ」は、かの文豪森 鷗外。
鷗外は脳味噌がたくさん詰まっていたのか分かりませんが、人より頭が大きくて既成の帽子ではサイズが合わなかった、という内容が書籍のタイトルになっていた記憶があります。
茉莉さんはファザコンだったと思うのですが、一方冷めた視点で見ているものだなぁ、と思った事もあります。
「鷗外は結末まで分かって小説を書いているところがあり、そのような書き方よりむしろ最後が分からないで書く人の方が面白いものを世に出す」というような事をどこかのエッセイで綴っていました。

余談ですが、鷗外は子供たちに「あんぬ、ふりつ、おと」など西洋風の名前をつけていて『元祖キラキラネーム』などと言われる昨今です。


名エッセイつながりではこの方。

向田 邦子
文藝春秋
2005-08-03


昭和(戦前)の父親像、そして家族の様子が伺われます。
脚本家として大ヒットした昔のドラマ、『寺内貫太郎一家』のお父さんも無骨だけれど真面目で素直に家族に対する愛情を表すのが苦手でした。
最近のパパのように子供を外出の時に抱っこしたりしない時代でした。

コミックスではこんなのも。



登場人物が味わいのある人が多いです。
主人公のおませなちせちゃんのファッションは可愛く、ちょっとしたセリフが哲学的だったりします。


本にまつわる苗字に「父」が付く人。
ブックデザイナーの祖江 慎さんです!

ほぼ日刊イトイ新聞
東京糸井重里事務所
2006-11-30


・・・この本家にあるのですが、タイトルも「言い間違い」を既にまつがえて、もとい間違えているように、製本もあちこち間違ってるんです・・・。
本の左下だけ角丸。
本文と表紙のサイズが違う。 しかも、表紙と見返しの文字がずれてはいけない。
妙な場所に寒冷紗が貼り付けてある。
製本した会社大変だったでしょうねぇ。感覚が狂ってしまいますね。
でも興味深いです。 
本にまつわる事を知り尽くした上でイレギュラーをするのが祖父江さんだと思います。




さて、忘れてならないのはプレゼントです。
書籍はもちろん、皮表紙の手帳、いつもよりちょっと上質なノート。
紙製品を差し上げていただけると我々製本業者はとても嬉しいです。

記事担当 A

製本工房謹製 丈夫で書きやすい BOOK NOTE(ブックノート)







最近、お気に入りの場所が増えました。

4月末にオープンした荒川区立図書館の「ゆいの森あらかわ」です。

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うちから歩いても10分とかからない場所に出来ました。
5階建ての建物そっくり図書館になっていて、4階と5階には気持ちのいいテラスもあって、そこのベンチでも本が読めます。

1階にはカフェも入っていて、そこで買ったものでも、持参した物でも、飲食可のテーブルが結構1・2階にはあって、コーヒーなどを飲みながら勉強したり本を読んだりできます。

各階とも、余裕を持った造りになっているので、開架式の書棚から気に入った本を持ってきて、ゆっくりと読める椅子やベンチがたくさんあります。ノートPCやタブレットが心置きなく出来るようにかコンセント付のテーブルを結構あります。
気に入った場所と椅子を見つけるのも楽しいかもしれません。

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昨日の日曜日も、読み終わった本を返しがてら、ついでに2時間ほど、まったりと読書してきました。
行くたびに、私は3階の開架コーナーから本を選んできて、窓際に席を見つけます。窓の目の前には荒川自然公園が広がっていて、木々の緑も気持ち良く目に入ります。真下を見ると都電荒川線のちんちん電車がゴトンゴトンとのんびりと走っていきます。東京スカイツリーも斜め右手の方によく見えます。

もうすぐ、梅雨入りしそうな東京ですが、外がだめっだたら、こんなところでまったり、ゆったりするのもいいものですね。

ゆいの森は 都電荒川線の荒川自然公園前を一番近いのですが、地下鉄千代田線・京成電鉄の町屋駅からも歩いて5.6分で行けます。
ぜひ一度訪れてみて下さい。

ゆいの森荒川 https://www.yuinomori.city.arakawa.tokyo.jp/

(記事担当:社長)




少し前のブログでコデックス装という製本の様式についてご紹介しました。

最近人気の造本で,弊社も何度もご依頼をいただいて製作しています。

実はこの『コデックス装』、造本に詳しい人や携わる人の中では結構好き嫌いが分かれる様式ではあります。

ハードカバーの本を作る場合、本の背の部分は

 ①糸綴り(いとかがり)→②ボンドで下固め(仮固め、とも言います)→③サイズに断つ、背の丸みを出す→④形が崩れないように、ニカワを付けて更に固めて(本固め、と言います)寒冷紗という布を貼り、より崩れを防ぎかつ中身と表紙の接着を良くする

という行程で作業します。
④のニカワをつける行程も機械では2度あるので、こうして何重にも固めることにより辞書や事典のように何度も何度も開く本でも簡単には壊れないようになるのです。

コデックス装は上記の作業工程では②番の下固めまでの状態です。
「未完」とも言える訳です。
この様式をあまり好まない人というのはそのような事が理由なのかもしれませんね。

私共はコデックス装に好き、嫌いという感覚は有りません。
  開きが良い
  背を綴じる時に色糸を使う、などデザインの余地がある

という長所も知っているので、デザイナーさんなどからのご相談にも喜んでお受けしています。

ただし、本を開く、閉じるの繰り返しと耐久性には難あり、です。
はっきり言うと弱点です。

記念誌、図録、ノート、手帳・・・紙を綴じる形式のものの用途は様々ですので、私共は造本のご相談には向き、不向きやコデックス装の弱点もきちんとお伝えし、デザイナーさんやご依頼主のご意向とのすり合わせを試みています。
背のデザインを生かしながら補強する方法もいくつか有り、提案しています。

造本のコンシェルジュを自認する(あ、ちょっと照れくさい表現です )社長は工夫したり考えたりするのが楽しいと言っています。

難しそうな案件もどうぞお寄せ下さい!

記事担当 言いっぱなしのA 


   写真は弊社で製作したものではありませんが、『春画展』の図録です。
  内容の性格からコデックス装という形式を考えられたのがうかがわれます。   



 




『がんだれ』
この言葉から何を思い浮かべますか?
地域限定のつけ汁? とても難しい部首?
いえいえ。これも製本用語です。漢字で表すと「雁垂れ」になります。
これは、並製本の表紙の仕立て方の1種で、表紙の小口だけを中身より長くしておき、その部分を内側に折込んだ様式です。
「小口折表紙(製本)」とも呼んでいます。
この写真でお解りになりますでしょうか?

小口折製本

表紙とカバーを兼用させているような感じですね。

この「がんだれ」と混同されるのが「フランス装」という様式です。
こちらは、四方に折返しを付けて折込んだ表紙と別に固めて断裁してある本体をチリを付けてくるんだもので、どちらかというと上製本に近いものです。
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ちょっと分かりづらいかもしれませんが、この写真がフランス装です。
2つとも特殊表紙加工の範疇になります。
また2つはよく混同されるので、お問い合せで「フランス装(表紙)なんだけど」と言われた時には、「表紙の天地は折返しですか? チリはついていますか?」と確認しています。そうしますと、勘違いが多くて、「それは雁垂れ(小口折)製本ですね」となることがほとんどです。
いずれにしても、ちょっと凝った製本をしたい方が好まれる様式ですね。
(記事担当:社長)

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