下町の製本屋さんのブログ -渡邉製本株式会社-

荒川区東日暮里の書籍製本会社 渡邉製本株式会社のブログです。
社長のほかに、社長の奥さんやスタッフもどんどん参戦します。

荒川区東日暮里の書籍製本会社 渡邉製本株式会社のブログです。
製本に関する技術的なトピックスや特殊製本事例を綴っていきます。
オリジナル製品「BOOK NOTE」の情報もお知らせします。

本をかたちにする場合、試作品を作る事があります。
これを「束見本(つかみほん)」とか「ダミーブック」などと呼びます。


今回社長に教わったことを元に『本の設計図』について書いてみます。


そもそも「束(つか)」とは?

表紙を除いた本の中身の厚さの事です。
ページ数が同じでも紙の厚さが異なると当然本の厚みは違ってきます。

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上のA5サイズと比べてこんなに大きくて厚みのあるものも作ります。


見本を作るのは何のため?

製本所で束見本を作る目的は
  • 箱に入る本の場合、取り出す時にきつからず、緩すぎずちょうどいい大きさにする為
  • 表紙デザインおいて背幅をみる

ここまではいわば「簡易見本」です。

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函入りの本の束見本

出版社、デザイナー、企画会社などから
表紙素材
束の厚み
製本様式
など全体がどのようなものになるか、形にして確かめる場合

例えばノベルティのノートが他社の企画と合い見積もりになっていてプレゼンに必要、などの場合がこれに当たります。

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某自動車のノベルティとして提案したもの。
残念ながら採用には至らず。ドイツ装です。

束見本とは必ず本1種類にひとつ作るものではありません。
シリーズものであったり、一般的な用紙や表紙素材、サイズなどの依頼では製作しなくても大丈夫です。

弊社の場合は特殊なデザインや大きさの本も多数
依頼をいただきますので、束見本を作る事が多いと思います。

いずれにせよ最近は 製本に関する道案内というか、コンシェルジュというか、依頼者と相談しながら進めていく事が多くなっています。

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弊社の製品 BOOK NOTEを作る時もダミーを沢山作りました。デザインのみでなく、コンセプトに合ったものを作るために厚みや表紙素材などを試作から選び出しました。

記事担当:A





Lay-flat Binding(レイフラット・バインディング)は正式な製本用語ではありません。
これは渡邉製本が自社製品を作る時に
「どうやったら使いやすくなるだろうか」と考えて、何度も試して至った製本の方法です。

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機能的な特徴としては一言で言えば
「開きが良い」ことです。
ノートを記入する上でフラットに開いて中央部分までストレス無く記入できるのは必須条件と考えます。

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見開きでも使えます。

さらに、本文用紙は全面表紙で覆われているのに180度平らになるだけでなく、360度折り返して二つ折りにも出来るようになっています。
これにより立ったままや、仕事の打ち合わせで机に置いて記入しづらい時にも便利に使えます。
左利きの人にも使いやすいです。

こうして長期間使用してもバラバラになる事もありません。

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この製法、機械加工と職人による手作業のミックスにより生まれました。
機械加工と手仕事はそれぞれに良いところがあります。
例えば機械を使う事により品質が均一に安定的に生産できます。
けれども、機械は規格外の事は出来ません。
例えばサイズ、厚み、通常の本やノートと異なる特徴のものなど。

ほんの一例ですが、渡邉製本の商品は糸で用紙の背を綴じた後、通常は機械を使って糊で固めますが、
自社製品では職人が手作業で行います。
微調整ができるので、機械よりも絶妙に浅く糊入れが可能になり、より一層開きの良い商品ができるのです。
これは一朝一夕に誰でもが出来るものではなく、昔のやり方を更に研究して連綿と継承してきた技によるものです。

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他にもほんの僅かなこだわりかもしれませんが、各所にこのような例えれば『秘伝の鰻のタレ』が盛り込まれています。

特許を取るような発明とは違いますが、機械と手の良さが生きた『ハイブリット製本』とでも言うものでしょうか。
分解しただけでは分からない事が詰まっています。

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記事担当:A

弊社のノートの第3弾として、前々からアナウンスしてきました「トモエリバー手帳用紙」を使いました新商品が間もなく発売になります。

その名は「SEVEN SEAS CROSSFIELD」です。

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この製品には、2012年にカリフォルニアから届いた1通のメールから始まったストーリーがあります。

それは、「NANAMI PAPER社」の社長のIdaさん(日系3世の方です)からの「ALL MADE IN JAPANのトモエリバー用紙を使った自社ブランドの高級ノートを作りたい」というメールでの問い合わせから始まりました。

同年夏社長さんが来日した際に、直接打ち合わせをして細部を擦り合わせ、翌2013年に弊社で製造したノートが海を渡り、「SEVEN SEAS」という製品名でアメリカで発売されました。
その後、アメリカ国内で徐々に評価が高まり、毎回の製造数も増えていきました。
その後細かいデザインの変更や種類を増やしながら、現在も継続して取引が続いています。

その間、日本の万年筆愛好家の方から、「SEVEN SEAS」を直接購入したいがどうしたらいいのかといった問い合わせを度々いただくようになりました。
こうした中、Idaさんからこの製品を日本でも売りたいという話が2年ほど前からありまして、私共でも日本バージョンを弊社で製造販売したいという希望とマッチしました。

そこで、アメリカ版の良さをベースに、日本のユーザー向けにブラッシュアップした、万年筆愛好家のための万年筆用のノートが「CROSSFIELD」です。

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簡単なスペックを記しますと、 
サイズはA5判  384頁、
トモエリバー手帳白52g/㎡  7㍉方眼印刷、
表紙素材はバクラム(クロスにコーティング加工)
価格は税抜き3200円 となっています。


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勿論、弊社の「BOOK NOTE」と同様、180度以上開いてお使いになっても大丈夫な”Lay-Flat Binding”製本※で作られています。
 ※正式な製本用語ではなく、弊社独自の言い方です。
  どの様なものかについては後日ブログに書きます。

オンラインショップでの発売開始は3月5日を予定していますので、今暫くお待ち願います。


ウェブサイトには、詳しい製品情報をアップ済ですので、是非ご覧下さい。
  製品情報はコチラです http://www.booknote.tokyo/products 

(記事担当:社長)






本の形式として背中が角ばっているもの(=角背)と丸いもの(=丸背)があるのはご存知の事と思います。
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この二種類、単にデザイン上の違いだけなのでしょうか?

まず、薄い本だと背中の丸みが上手く出ません。
紙の厚さにもよるので何ページ、とは一概に言えないのですが、おおよそ1センチ以下だと丸背にするのは難しいです。

一般的には角背より丸背の方が開きが良いです。
ただし、工夫の仕方によっては角背でも開きの良い造りにする事は可能です。

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弊社のノートは角背でも水平に開きます。

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先行予約販売が始まりました、グラフィック社さんの雑誌「デザインのひきだし 36号 -紙もの文具&玩具のつくり方ー」 にノート製本様式の事例で協力させて頂きました。
その見本誌が届きました。

この雑誌、デザイナーさんや紙の業界の人に大人気なんです。
この最新号は、紙もの文具に共通して使えそうな製本や紙、加工の知識を具体的に紹介する特集になっています。

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いつもの通り、付録がすごいことになっています。

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左の「紙の手帳」と右の「筆記適性にこだわった紙ノート」の2冊の他にも紙加工品が数点付いています。

「紙ノート」の方はB6サイズの並製本で、厚さが23㍉もあります。よく考えられていて、多品種の紙で構成されていて、それぞれの紙の書き心地やインクの適性を試すことが出来るようになっています。

これだけの付録が本体に挟み込まれていますので、届いた時はこんもりと盛り上がってた丘の様で、よく壊れないなと感心してしまいました。

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こんなデス。すごいでしょう!!

当社が協力させていただいた記事は、49~51頁の3頁に渡り、「角背で開きやすい上製本ノート」「コデックスノート」「コデックス寒冷紗ノート」の3種の仕様が紹介されています。
掲載されている製品はいずれもこの記事用にサンプルとして製作したものです。
3種共とても開きの良い製本になっています。
勝手に記事はアップ出来ませんので、画像は載せませんが、写真入りでとても詳しく仕様を書いて頂いています。
毎号のことなのですが、この雑誌は発売するとすぐに売り切れてしまうほどの人気ですので、
興味のある方は、是非、早めの購入の手配をお薦めします。

デザインひきだしウェブサイト http://www.graphicsha.co.jp/list.html?cat=4&child_cat=22
津田編集長の制作日記     https://dhikidashi.exblog.jp/

(記事担当:社長)





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