中咽頭がんの手術後のしんどい後遺症と格闘する私、それを一人四役で支えてくれる妻

医師兼看護師兼栄養士…本職はヘルパーの妻の“叱咤激励”語録 ①

「右足が離れてるよ。壁にピッタリつけなきゃ効果ないよ。
 (壁にそって上に伸ばした)右腕が斜めだよ。首が痛くても真っすぐ上にのばさなきゃ。
 真面目にやってるようでもずるしてたらなんもないでしょ!」

(中咽頭がんの手術の後遺症で、鋼のように硬くなってしまった右首筋。常に重いオモリをぶら下げているようでしんどい。少しでもやわらげるために行っている右腕壁リハビリのストレッチ)

「そうそう。
 そうやりながら、よくなったら『あれしたい。あれしよう』とか考えながらやるといいんだよ!」

医師兼看護師兼栄養士兼…本職はヘルパーの妻の“叱咤激励”語録 ②

「水分とった?
 家にいても熱中症になるんだよ。水分とらないと。
 あ、飲んでないじゃない!(怒)」

(妻は毎日、誤嚥しないように少しトロミをつけたカップ2杯の午後の紅茶かウーロン茶を食卓に用意してくれる。水分補給は乾きがちな口の中をうるおし、放射線の副作用で出るやっかいなタンを柔らかくする効果もある)

「お、きょうは飲んだか。
 言わなきゃ、飲まないんだから。
 本当は自分で用意して、すすんで飲むようにしなきゃだめな んだよ」 

「はい」(小さな声で私)

(術後の後遺症で飲み込む力が著しく減退してしまった。入院中、退院後も口から水分を含め何もとることはできなかった。でもリハビリの成果か、いまはソフト食を食べるというか飲み込めるまでにはなってきている。ただ、気をつけないとむせる。水分も誤嚥しないよう注意して飲んでいる。
入院中は当たり前のように水を飲んでいる人が恨めしかった。それから比べれば随分良くなったものだ)

医師兼看護師兼栄養士…本職はヘルパーの妻の“叱咤激励”語録 ③

(がんの再発、転移をチェックする造影剤投与のCT検査を行った。半年前の前回は、肺に転移したがんの疑いがある箇所が見つかった。再度のCT検査で幸いでその箇所が消えて助かったが、今回も結果が怖い)

CT検査後、結果がでるまでの数時間、病院内で待機。そこで妻は、

 「緊張してる?ビビってるんじゃないの?
  あれこれ考えたってしょうがないよ。なるようにしかならないんだから。
  がんがあったらあったで、そのとき考えればいい!」

(それはそうだけど、と私は心のうちでつぶやく)

 「がんには再発や転移はあるもんなんだから。
  小心者じゃだめ。みなさん、それを乗り越えて頑張っているだから」

(ここは、がん専門病院。隣に座っている人、周囲を歩いている人。ここに来ている人たちはみんながんを患っている人たちだ。そう思うと、自分だってがんに負けてはいられない)

数時間後、主治医に呼ばれた。
診察室に飛び込むと、主治医は開口一番

 「CTは合格でしたよ」

フー、よかった。一気に力が抜けた。
 「良かったね」と妻。なんとも心強い妻であることか。