国民一人当たり一律10万円の現金給付について、自民党の国会議員はこれを辞退する方針という。
「ああ、そうですか。結構ですね」で済ませばよい話かも知れないが、どうも釈然としない。上っ面だけの“偽善”ぽくて、よい感じがしないからだ。
そもそも辞退する理由は何なのか?自民党幹部からは、明確な理由が示されていない。
岸田文雄政調会長は「それぞれの立場で受け取るべきかを考えていく姿勢は大事なのではないか」と歯切れがよくない。
安倍首相と閣僚が給付申請しないことを決めた政府方針に追随する考えなのだろうが、辞退する理由がはっきりしない。
二階俊博幹事長は「理解が得られるように努力したい」という。自民党所属議員の理解を得るための理屈を探す努力をするということなのだろうが、党内向けの発言で、国民にはさっぱりわからない。
武漢ウイルス感染拡大に対処する緊急経済対策の一環として、減収世帯に限定した30万円給付を変更して行われることになった一律10万円給付は、さまざまな負担を負っている家計への支援にある。
そこでSNS上では、「税金でまかなわれていて収入が減ってもいない国会議員や地方議員、公務員は10万円を受け取るべきではない」と関西の高名な元政治家が息巻くなど、とくに国会議員に対する風当たりが強くなっている。
自民党国会議員が身銭を切ろうというのは、こうした風向きに配慮しての風見鶏なのか。
それとも何か贖罪があっての話なのか。
国民に寄り添うため、とでも考えているのか。
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いずにせよ国民を甘く見るものではない。良識ある国民は、“偽善”ぶったパフォーマンスとしかみないだろう。野党の国民民主党と日本維新の会の方針である、全員が受給し、党として社会で活用できるようにする方がよっぽど筋が通っている。
自民党国会議員の全員が10万円給付を辞退したとしても金額的には総額数千万円ほどだ。チマチマしたことをやっても、国民の共感はとうてい得られまい。
今の自民党には大胆さがない。小出しの積み重ねで、思い切りの良さがない。後手後手と言われれ所以がここにある。
与野党が合意した国会議員の歳費を今後1年間、2割削減することにしても、大胆さと思い切りの良さがない。
日本の国会議員の歳費は年額約2200万円(手当てを含めた総額は約4200万円)で、アメリカの議員の年額約1700万円、イギリス下院議員の約970万円に比べ飛びぬけて高い。
世界最高水準にある歳費を2割削減したところで、まだ米議員の歳費を上回るのである。これでは善行と思ってやっても批判を招くのが関の山だろう。
コロナ禍の国難だからこそ、政治家には大胆で思い切った対策の実現が求められるのである。
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