2006年12月22日

小説「さよなら涙くん」第一話 

俺はこのままどうなってしまうのか。
隣の席の根津くんは国立の大学へ行くために今から勉強している。後ろではしゃいでいる女子の神田さんは美容師になるために専門学校へ行くお金を自らアルバイトをして貯めているのだそう。友達の木村はサラリーマン。クラスで浮いた存在の高山はバンドマン。不良の村下は・・・・父親の家業を継ぐらしい。


自分より劣っていると感じた人でさえ立派すぎる夢を抱え、それを実現しようと今から頑張っている。それに比べて自分は将来のことなんてみじんも考えていなかった。むしろ将来なんてくるとは思わなかった。みたいな今がよければいいじゃん的な考え丸出しな生きかたで気づけば人生十七年。高校二年生であります。
実は、自分のほうがあの人たちより劣っているんじゃないか。


12月22日昼休みの2年1組の教室にて、こんなことを感じつつ俺はまた友達のところへ向かった。



星山 涙。そのいかにも変わってる名前が名刺代わりになり、友達もそれなりにいる。家も複雑じゃないし、普通の家の生活をしている。ただ学力はない。そのことが将来を悩ませるタネになってるのかもしれないな。学年で入ると中の下くらい。外見はなんだろう、決してダメではないが、「森山未来を二日煮込んだ感じ」とか言われたときはどうリアクションしていいのかわからなかった。

部活も一緒で帰りも一緒に帰るみたいな友達グループは俺を含めて3人いる。一年からのつきあいで、一緒に遊ぶことも多々ある。みんな2年1組。



「でさーおまえ模試の結果どうだったのよ?おれ校内で116番」


このいかにもザ・柳沢慎吾な風貌のお方はそのグループの中心的な人物である川下(趣味は日曜大工)。部活で初めて見たときはロケが入ってるのかと思ったほどだ。発言の通り学力に関してはかなりぎりぎりの人だ。(2年は120人)

「はぁ?ヤバいでしょー川下も落ちぶれたな」

このグループで唯一インテリなヤツは山本。山本は生まれつき頭のキレがよく、国公立の大学を目指している。まさにエリートの道を進もうとしているがかなりエロい。舌の出し入れがかなり早い。
俺はふと聞いてみた。


「みんなさぁー将来どうすんの?」


「そりゃー俺は国公立いくよ」山本がすかさず言った。

「いってどうするの?」

「それは・・・・」

俺の質問に戸惑ってしまった山本。なんだか空気が思い。

「なんだよこの空気ーんなら涙はどうすんだよ〜」川下は言った。


「おれはなんだか気づいたら全然そんなの考えて無かったんだ。川下はどうすんの?」

「俺はなんか介護士になろうかと」


将来のことなど全く見据えていなさそうな川下は立派な夢を抱いていた。自分の祖父を面倒見ているうちになりたくなったのだそうだ。俺はなんだか気が遠くなり、はぁーとため息をつきたくなってきたのであった。


明日から冬休みに入るので、今日は半日で学校は終わった。
その帰り道。いつもの川下山本俺でいつも通る赤橋を通っていた。
「おまえさぁ〜はやく田崎に告白しろよぉ〜もうすぐクリスマスじゃん。なんか雰囲気的に、ね?」

俺には片思いしてる娘がいた。同じクラスの田崎愛美。一年の2学期からなんか気になってしまい、好きであるからして話しかけられたなどの際に、その異性の素振りから「うわぜってー俺のこと好きかもしんねぇー」と勝手に推測し思い込んでしまう恋愛勘違い病の末期に俺はいるようです。もうなんだかんだいってその人のことを考えなかった日はないと言っても過言ではないよ。

「うるさいわぁ〜もうダメだってできるわけねぇやん。それより自分の心配しろよ」

こういう話になると大概山本は話しに入ってこない。のくせに彼女がいる。(加藤ローサ似)先週Aをクリアしたらしい。
クリスマスなんてぜってー家族と過ごしちゃると逆に願うほど関係ない話だ。彼女なんて人生でできるわけないんだ。
はぁ〜
とまだ15時の明かりの空にため息を吐いた俺だった。







「たのしくないのにぼくたちはこころにだまって笑えるかな




せつなくないのにぼくたちはどこからか涙ながせるかな」
RADWIMPS/セツナレンサ






続く

water12 at 21:54│Comments(2)TrackBack(0)

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この記事へのコメント

1. Posted by しほ   2006年12月23日 22:47
楽しくてムシャムシャ読んでしもーた。多彩なあなたにメリークリ〇〇ス!
※〇〇にはお好きな文字をお入れ下さい
2. Posted by りかこ   2006年12月25日 00:17
つづき楽しみ(^ω^*)
クリ○○スおめでとう。笑

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